特許第5835315号(P5835315)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社豊田自動織機の特許一覧

特許5835315蓄電モジュールユニット及び蓄電モジュールユニットの製造方法
<>
  • 特許5835315-蓄電モジュールユニット及び蓄電モジュールユニットの製造方法 図000002
  • 特許5835315-蓄電モジュールユニット及び蓄電モジュールユニットの製造方法 図000003
  • 特許5835315-蓄電モジュールユニット及び蓄電モジュールユニットの製造方法 図000004
  • 特許5835315-蓄電モジュールユニット及び蓄電モジュールユニットの製造方法 図000005
  • 特許5835315-蓄電モジュールユニット及び蓄電モジュールユニットの製造方法 図000006
  • 特許5835315-蓄電モジュールユニット及び蓄電モジュールユニットの製造方法 図000007
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5835315
(24)【登録日】2015年11月13日
(45)【発行日】2015年12月24日
(54)【発明の名称】蓄電モジュールユニット及び蓄電モジュールユニットの製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/6554 20140101AFI20151203BHJP
   H01M 10/613 20140101ALI20151203BHJP
   H01M 10/647 20140101ALI20151203BHJP
   H01M 10/651 20140101ALI20151203BHJP
   H01M 2/10 20060101ALI20151203BHJP
【FI】
   H01M10/6554
   H01M10/613
   H01M10/647
   H01M10/651
   H01M2/10 E
【請求項の数】4
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2013-268587(P2013-268587)
(22)【出願日】2013年12月26日
(65)【公開番号】特開2015-125854(P2015-125854A)
(43)【公開日】2015年7月6日
【審査請求日】2014年12月4日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(72)【発明者】
【氏名】守作 直人
(72)【発明者】
【氏名】植田 浩生
(72)【発明者】
【氏名】加藤 崇行
【審査官】 馬場 慎
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−246990(JP,A)
【文献】 国際公開第2012/147801(WO,A1)
【文献】 特開2013−125617(JP,A)
【文献】 特開2014−238928(JP,A)
【文献】 特開2014−139881(JP,A)
【文献】 国際公開第2012/117681(WO,A1)
【文献】 特開2011−34775(JP,A)
【文献】 特開2011−23296(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 10/60 − 10/667
H01M 2/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
蓄電装置を有する蓄電ユニットが複数配列され、当該所定の配列方向に沿って拘束された蓄電モジュールを備え、前記複数の蓄電装置で発生した熱を放熱部材で放熱する蓄電モジュールユニットであって、
前記蓄電モジュールを前記放熱部材に締結する締結部材と、
前記締結部材によって締結された前記蓄電モジュールと前記放熱部材との間に設けられ、弾性を有する伝熱シートと、
を備え、
前記締結部材によって前記蓄電モジュールが前記放熱部材に締結された際、前記蓄電ユニットの前記放熱部材と対向する対向面が前記放熱部材から最も遠い前記蓄電ユニットの対向面と前記放熱部材との間の距離と、前記蓄電ユニットの対向面が前記放熱部材から最も近い前記蓄電ユニットの対向面と前記放熱部材との間の距離との差である最大位置ずれ量が予め推定され、
前記伝熱シートを前記最大位置ずれ量分圧縮するために必要な圧縮後厚みが予め導出され、
前記伝熱シートの厚みは、前記最大位置ずれ量に前記圧縮後厚みを加算した値以上の厚みであり、
前記締結部材の締結面は、前記放熱部材の締結面に締結され、
前記締結部材は、前記締結部材の前記締結面と前記放熱部材から最も近い前記蓄電ユニットの前記対向面との間の距離が前記圧縮後厚みになるように、前記蓄電モジュールに対して位置調整されて取付けられ、
前記締結部材によって前記蓄電モジュールが前記放熱部材に締結された際、前記蓄電ユニットの対向面が前記放熱部材から最も近い前記蓄電ユニットの前記対向面と前記放熱部材との間の距離と前記圧縮後厚みとが同じである、蓄電モジュールユニット。
【請求項2】
前記締結部材は、前記蓄電モジュールにボルトによって取付けられる取付け部と、締結面を有する締結部とを有する一対のブラケットであり、
前記一対のブラケットの各締結面は、前記放熱部材の締結面にそれぞれ締結される、請求項1に記載の蓄電モジュールユニット。
【請求項3】
前記蓄電ユニットは、前記蓄電装置を保持するホルダーを有し、
前記配列方向に沿って配列された前記複数の蓄電ユニットは、拘束ボルトを用いて拘束され、
前記ホルダーは、前記拘束ボルトの軸径よりも大きい径の貫通孔が形成されており、前記複数の蓄電ユニットが拘束される際に前記貫通孔に前記拘束ボルトが通され、
前記最大位置ずれ量は、前記貫通孔の径と前記拘束ボルトの軸径との差から推定される、請求項1又は請求項2に記載の蓄電モジュールユニット。
【請求項4】
蓄電装置を有する蓄電ユニットが複数配列され、当該所定の配列方向に沿って拘束された蓄電モジュールを備え、前記複数の蓄電装置で発生した熱を放熱部材で放熱する蓄電モジュールユニットの製造方法であって、
前記蓄電モジュールユニットは、前記蓄電モジュールを前記放熱部材に締結する一対のブラケットと、前記一対のブラケットによって締結された前記蓄電モジュールと前記放熱部材との間に設けられ、弾性を有する伝熱シートと、を備え、
前記一対のブラケットによって前記蓄電モジュールが前記放熱部材に締結された際、前記蓄電ユニットの前記放熱部材と対向する対向面が前記放熱部材から最も遠い前記蓄電ユニットの対向面と前記放熱部材との間の距離と、前記蓄電ユニットの対向面が前記放熱部材から最も近い前記蓄電ユニットの対向面と前記放熱部材との間の距離との差である最大位置ずれ量が予め推定され、
前記伝熱シートを前記最大位置ずれ量分圧縮するために必要な圧縮後厚みが予め導出され、
前記伝熱シートの厚みは、前記最大位置ずれ量に前記圧縮後厚みを加算した値以上の厚みであり、
前記一対のブラケットによって前記蓄電モジュールが前記放熱部材に締結された際の前記蓄電ユニットの対向面が前記放熱部材から最も近い前記蓄電ユニットの対向面と前記放熱部材との間の距離と、前記圧縮後厚みとが同じになるように前記一対のブラケットを前記蓄電モジュールに取付ける取付け工程と、
前記一対のブラケットを前記放熱部材に締結する締結工程と、
を含み
前記取付け工程は、所定の平面部に前記圧縮後厚みと同じ厚みを有する板を載置し、前記一対のブラケットによって前記蓄電モジュールが前記放熱部材に締結された際の前記蓄電ユニットの対向面が前記放熱部材から最も近い前記蓄電ユニットの対向面と前記板の上面とが接した状態で、かつ、前記所定の平面部に前記一対のブラケットにおける前記放熱部材と締結される締結面のそれぞれが接した状態で、前記一対のブラケットを前記蓄電モジュールに取付ける、蓄電モジュールユニットの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蓄電モジュールユニット及び蓄電モジュールユニットの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
蓄電モジュールは、所定の配列方向に沿って配列された複数の蓄電装置がエンドプレート間に拘束されている。各蓄電装置では熱を発生するので、その熱を放熱するために、蓄電モジュールは、放熱部材を備えており、エンドプレート間に拘束された状態の複数の蓄電装置が放熱部材に締結されている。さらに、各蓄電装置から放熱部材への伝熱性を向上させるために、蓄電モジュールは、伝熱シートを備えており、複数の蓄電装置と放熱部材との間に伝熱シートが配置されている。例えば、特許文献1には、複数のバッテリセルを積層したバッテリモジュールの冷却面と冷却プレートとの間に伝熱シートを変形させて挟持させたバッテリが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013−122817号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
エンドプレートの間に拘束された複数の蓄電装置の放熱部材に対向する各対向面と放熱部材との間の距離が揃っていない場合(対向面間に位置ずれがある場合)がある。このように各対向面と放熱部材との間の距離が揃っていないと、一部の蓄電装置の対向面と伝熱シートとが接触しない場合があり、複数の蓄電装置において放熱性に差ができ、複数の蓄電装置間で温度ばらつきが発生する。その結果、蓄電モジュールの性能や寿命が低下する。
【0005】
特許文献1に開示のバッテリの場合、端部ホルダー間に拘束された12個のバッテリセルでバッテリモジュールが構成さており、締結バンドで締結されたエンドプレート間に並べられた2個のバッテリモジュールが一体化されている。このエンドプレートには一体で取付フランジが設けられており、エンドプレート間の2個のバッテリモジュールを取付フランジを貫通するボルトによって伝熱シートを介在させて冷却プレートに固定している。このバッテリの場合、端部ホルダー間の12個のバッテリセルの冷却プレートに対向する各対向面との間の距離が揃っていない場合やエンドプレート間に並べられた2個のバッテリモジュール間でも冷却プレートとの間の距離が揃っていない場合が考えられる。この場合、一部のバッテリセルの対向面が伝熱シートに接しない場合がある。
【0006】
そこで、本技術分野においては、複数の蓄電装置の伝熱性の差を抑制して、放熱性を向上させる蓄電モジュールユニット及び蓄電モジュールユニットの製造方法が要請されている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一側面に係る蓄電モジュールユニットは、蓄電装置を有する蓄電ユニットが複数配列され、当該所定の配列方向に沿って拘束された蓄電モジュールを備え、複数の蓄電装置で発生した熱を放熱部材で放熱する蓄電モジュールユニットであって、蓄電モジュールを放熱部材に締結する締結部材と、締結部材によって締結された蓄電モジュールと放熱部材との間に設けられ、弾性を有する伝熱シートと、を備え、締結部材によって蓄電モジュールが放熱部材に締結された際、蓄電ユニットの放熱部材と対向する対向面が放熱部材から最も遠い蓄電ユニットの対向面と放熱部材との間の距離と、蓄電ユニットの対向面が放熱部材から最も近い蓄電ユニットの対向面と放熱部材との間の距離との差である最大位置ずれ量が予め推定され、伝熱シートを最大位置ずれ量分圧縮するために必要な圧縮後厚みが予め導出され、伝熱シートの厚みは、最大位置ずれ量に圧縮後厚みを加算した値以上の厚みであり、締結部材の締結面は、放熱部材の締結面に締結され、締結部材は、締結部材の締結面と放熱部材から最も近い蓄電ユニットの対向面との間の距離が圧縮後厚みになるように、蓄電モジュールに対して位置調整されて取付けられ、締結部材によって蓄電モジュールが放熱部材に締結された際、蓄電ユニットの対向面が放熱部材から最も近い蓄電ユニットの対向面と放熱部材との間の距離と圧縮後厚みとが同じである
【0008】
この蓄電モジュールユニットは、締結部材によって蓄電モジュールが放熱部材に伝熱シートを介在させて締結された構造を有している。蓄電モジュールは、蓄電装置を有する蓄電ユニットが複数配列され、その所定の配列方向に沿って拘束されたものである。各蓄電ユニットの蓄電装置で発生した熱は、伝熱シートを介して放熱部材にそれぞれ伝熱され、放熱部材で放熱される。特に、伝熱シートは、弾性を有する材料で形成され、最大位置ずれ量に圧縮後厚みを加算した値以上の厚みである。最大位置ずれ量は、締結部材によって蓄電モジュールが放熱部材に締結された際に蓄電モジュールの複数の蓄電ユニットにおいて放熱部材側に位置ずれがある場合に、複数の蓄電ユニットの放熱部材と対向する各対向面のうちの放熱部材から最も遠い蓄電ユニットの対向面と放熱部材との間の距離と、放熱部材から最も近い蓄電ユニットの対向面と放熱部材との間の距離との差である。この最大位置ずれ量分圧縮できる伝熱シートでないと、全ての蓄電ユニットの対向面に伝熱シートを接触させることがでない。圧縮後厚みは、伝熱シートをその最大位置ずれ量分圧縮するために必要な伝熱シートの圧縮後の厚みである。したがって、伝熱シートは、最大位置ずれ量に圧縮後厚みを加算した値以上の厚みとすることにより、蓄電モジュールの全ての蓄電ユニットにおいて対向面間の最大位置ずれ量以上圧縮できる。そこで、蓄電モジュールユニットでは、締結部材によって蓄電モジュールが放熱部材に締結された際、複数の蓄電ユニットの各対向面のうちの放熱部材に最も近い対向面から放熱部材に最も遠い対向面まで伝熱シートが接するように伝熱シートを圧縮でき、そのように伝熱シートが圧縮されるように締結部材によって蓄電モジュールが放熱部材に締結されている。したがって、複数の蓄電ユニットの全ての対向面が伝熱シートに接しているので、複数の蓄電ユニットの蓄電装置でそれぞれ発生した熱を伝熱シートを介して放熱部材にそれぞれ伝えることができる。このように、蓄電モジュールユニットは、伝熱シートの厚みを複数の蓄電ユニットの対向面間の最大位置ずれ量にその最大位置ずれ量分圧縮するために必要な圧縮後厚みを加算した値以上の厚みとすることにより、複数の蓄電ユニット(蓄電装置)の伝熱シートを介した伝熱性の差を抑制して、放熱性を向上させることができる。その結果、複数の蓄電装置間の温度ばらつきを低減でき、蓄電モジュールの性能や寿命の低下を抑制できる。
【0010】
この蓄電モジュールユニットは、締結部材によって蓄電モジュールが放熱部材に締結された際の蓄電モジュールの複数の蓄電ユニットの対向面のうちの放熱部材と最も近い対向面と伝熱シートの圧縮後の厚みとが同じなので、締結部材で放熱部材に締結することによって伝熱シートを最大で圧縮後厚みになるまで圧縮できる。したがって、複数の蓄電ユニットの各対向面のうちの放熱部材と最も近い対向面から最も遠い対向面まで伝熱シートに接触させることができ、全て蓄電ユニットの対向面を伝熱シートに接触させることができる。
【0011】
一形態の蓄電モジュールユニットでは、締結部材は、蓄電モジュールにボルトによって取付けられる取付け部と、締結面を有する締結部とを有する一対のブラケットであり、一対のブラケットの各締結面は、放熱部材の締結面にそれぞれ締結される。また、一形態の蓄電モジュールユニットでは、蓄電ユニットは、蓄電装置を保持するホルダーを有し、配列方向に沿って配列された複数の蓄電ユニットは、拘束ボルトを用いて拘束され、ホルダーは、拘束ボルトの軸径よりも大きい径の貫通孔が形成されており、複数の蓄電ユニットが拘束される際に貫通孔に拘束ボルトが通され、最大位置ずれ量は、貫通孔の径と拘束ボルトの軸径との差から推定される。
【0012】
この蓄電モジュールユニットは、蓄電モジュールが一方側のブラケットの取付け部と他方側のブラケットの取付け部との間に挟み込まれてボルトによって取付けられた状態で、その一対のブラケットの各締結部の締結面が放熱部材の締結面にそれぞれ締結されることによって蓄電モジュールが伝熱シートを介在させて放熱部材に締結された構造を有している。特に、蓄電モジュールユニットでは、一対のブラケットによって蓄電モジュールが放熱部材に締結された際の複数の蓄電ユニットの対向面のうちの放熱部材から最も近い蓄電ユニットの対向面と放熱部材との間の距離と伝熱シートの圧縮後厚みとが同じであるので、その一対のブラケットによって放熱部材に締結することによって伝熱シートを最大で圧縮後厚みになるまで圧縮できる。
【0013】
本発明の一側面に係る蓄電モジュールユニットの製造方法は、蓄電装置を有する蓄電ユニットが複数配列され、当該所定の配列方向に沿って拘束された蓄電モジュールを備え、複数の蓄電装置で発生した熱を放熱部材で放熱する蓄電モジュールユニットの製造方法であって、蓄電モジュールユニットは、蓄電モジュールを放熱部材に締結する一対のブラケットと、一対のブラケットによって締結された蓄電モジュールと放熱部材との間に設けられ、弾性を有する伝熱シートと、を備え、一対のブラケットによって蓄電モジュールが放熱部材に締結された際、蓄電ユニットの放熱部材と対向する対向面が放熱部材から最も遠い蓄電ユニットの対向面と放熱部材との間の距離と、蓄電ユニットの対向面が放熱部材から最も近い蓄電ユニットの対向面と放熱部材との間の距離との差である最大位置ずれ量が予め推定され、伝熱シートを最大位置ずれ量分圧縮するために必要な圧縮後厚みが予め導出され、伝熱シートの厚みは、最大位置ずれ量に圧縮後厚みを加算した値以上の厚みであり、一対のブラケットによって蓄電モジュールが放熱部材に締結された際の蓄電ユニットの対向面が放熱部材から最も近い蓄電ユニットの対向面と放熱部材との間の距離と、圧縮後厚みとが同じになるように一対のブラケットを蓄電モジュールに取付ける取付け工程と、一対のブラケットを放熱部材に締結する締結工程と、を含み、取付け工程は、所定の平面部に圧縮後厚みと同じ厚みを有する板を載置し、一対のブラケットによって蓄電モジュールが放熱部材に締結された際の蓄電ユニットの対向面が放熱部材から最も近い蓄電ユニットの対向面と板の上面とが接した状態で、かつ、所定の平面部に一対のブラケットにおける放熱部材と締結される締結面のそれぞれが接した状態で、一対のブラケットを蓄電モジュールに取付ける。
【0014】
この製造方法で製造される蓄電モジュールユニットは、一対のブラケットによって蓄電モジュールが放熱部材に伝熱シートを介在させて締結された構造を有している。蓄電モジュールは、上記した蓄電モジュールと同様のものである。伝熱シートは、上記と同様に、弾性を有する材料で形成され、最大位置ずれ量に圧縮後厚みを加算した値以上の厚みである。この蓄電モジュールユニットを製造する場合、蓄電モジュールが製造されると、取付け工程では、一対のブラケットを蓄電モジュールに取付ける際に複数の蓄電ユニットの各対向面のうちの放熱部材から最も近い蓄電ユニットの対向面と放熱部材との間の距離と伝熱シートの圧縮後厚みとが同じになるように一対のブラケットをそれぞれ位置調整して蓄電モジュールに取付ける。そして、締結工程では、その蓄電モジュールに取付けられた一対のブラケットを放熱部材にそれぞれ締結する。この製造方法によって製造された蓄電モジュールユニットは、放熱部材から最も近い蓄電ユニットの対向面と放熱部材との間の距離が伝熱シートの圧縮後厚さとなるように一対のブラケットが位置調整されて蓄電モジュールに取付けられ、その取付けられた一対のブラケットによって放熱部材に締結されているので、締結された状態で伝熱シートが最大で圧縮後厚みになるまで圧縮される。したがって、上記と同様に、複数の蓄電ユニット(蓄電装置)の全ての対向面が伝熱シートに接することができ、複数の蓄電装置でそれぞれ発生した熱を伝熱シートを介して放熱部材にそれぞれ伝えることができる。そのため、この蓄電モジュールユニットの製造方法によれば、製造された蓄電モジュールユニットの複数の蓄電ユニット(蓄電装置)の伝熱シートを介した伝熱性の差を抑制して、放熱性を向上させることができる。
【0015】
また、伝熱シートの圧縮後厚みと同じ厚みを有する板を用いて一対のブラケットの位置をそれぞれ調整して蓄電モジュールに取付けることにより、簡単かつ高精度に、蓄電モジュールの複数の蓄電ユニットの各対向面のうちの放熱部材から最も近い対向面と放熱部材との間の距離が圧縮後厚みになるように一対のブラケットの位置を調整することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、複数の蓄電装置の伝熱性の差を抑制して、放熱性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本実施の形態に係る蓄電モジュールユニットの平面図である。
図2】伝熱シートの厚みを決める方法の説明図であり、(a)が伝熱プレートの伝熱面間の最大位置ズレ量を示す図であり、(b)が伝熱シートの圧縮前と圧縮後の厚みを示す図である。
図3】取付け工程を模式的に示す図である。
図4】載置工程を模式的に示す図である。
図5】締結工程を模式的に示す図である。
図6】従来の蓄電モジュールユニットの組付け状態を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照して、本発明に係る蓄電モジュールユニット及びその製造方法の実施の形態を説明する。なお、各図において同一又は相当する要素については同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0019】
本実施の形態では、フォークリフトに搭載される蓄電モジュールに適用する。本実施の形態に係る蓄電モジュールは、エンドプレート間で複数の蓄電ユニット(伝熱プレートが取り付けられ、ホルダーに収納された蓄電装置)が所定の配列方向に沿って配列された状態で拘束されている。また、本実施の形態に係る蓄電モジュールユニットは、放熱部材としてフォークリフトに配置されるカウンターウエイトを利用し、蓄電モジュールが一対のブラケットによってカウンターウエイトの側壁に伝熱シートを介在させて締結されている。本実施の形態に係る蓄電装置は、例えば、リチウムイオン二次電池等の非水電解質二次電池である。
【0020】
図1図5を参照して、本実施の形態に係る蓄電モジュール1について説明する。特に、蓄電モジュール1の放熱構造を付加した蓄電モジュールユニット1’について詳細に説明する。図1は、本実施の形態に係る蓄電モジュールユニットの平面図である。図2は、伝熱シートの厚みを決める方法の説明図であり、(a)が伝熱プレートの伝熱面間の最大位置ズレ量を示す図であり、(b)が伝熱シートの圧縮前と圧縮後の厚みを示す図である。図3は、取付け工程を模式的に示す図である。図4は、載置工程を模式的に示す図である。図5は、締結工程を模式的に示す図である。なお、図2図5では伝熱プレート及び蓄電装置を判り易くするように、図1で示す蓄電装置のホルダーを省略して描いている。
【0021】
蓄電モジュールユニット1’は、蓄電モジュール1におけるエンドプレート間に拘束された状態の複数の蓄電ユニットの伝熱面間に位置ずれがある場合でも、放熱性を向上させるために、複数の蓄電ユニットからカウンターウエイトへの伝熱性の差が抑制される構造を有している。そのために、蓄電モジュールユニット1’は、蓄電モジュール1における複数の蓄電ユニットの全ての伝熱面(特に、蓄電ユニットにおける蓄電装置に取り付けられる伝熱プレートの伝熱面)と伝熱シートとが確実に接触できるようにしている。
【0022】
蓄電モジュール1は、複数の蓄電ユニット(本実施の形態に係る蓄電モジュール1の場合、図1等に示すように7個)、一対のエンドプレート5、拘束ボルト6を備えている。この蓄電ユニットは、蓄電装置2、伝熱プレート3、ホルダー4からなるユニットである。蓄電モジュールユニット1’は、蓄電モジュール1、伝熱シート7、カウンターウエイト8、一対のブラケット9、締結ボルト10,11を備えている。
【0023】
本実施の形態では、蓄電モジュール1が特許請求の範囲に記載する蓄電モジュールに相当し、蓄電モジュールユニット1’が特許請求の範囲に記載する蓄電モジュールユニットに相当し、蓄電装置2が特許請求の範囲に記載する蓄電装置に相当し、蓄電装置2、伝熱プレート3、ホルダー4からなる蓄電ユニットが特許請求の範囲に記載する蓄電ユニットに相当し、伝熱シート7が特許請求の範囲に記載する伝熱シートに相当し、カウンターウエイト8が特許請求の範囲に記載する放熱部材に相当し、ブラケット9が特許請求の範囲に記載する締結部材及びブラケットに相当し、締結ボルト10が特許請求の範囲に記載するボルトに相当する。
【0024】
蓄電装置2は、角型の蓄電装置である。以下に、蓄電装置2(特に、リチウムイオン二次電池)の構成について説明する。なお、以下で説明する蓄電装置2の構成は一例であり、他の様々な構成の蓄電装置を適用できる。
【0025】
蓄電装置2は、ケース、電解液、電極組立体を主に備えている。ケースは、電解液及び電極組立体を収容するケースである。電解液は、ケース内に収容され、電極組立体内に含浸される。電解液は、例えば、有機溶媒系又は非水系の電解液である。
【0026】
電極組立体は、正極、負極及び正極と負極とを絶縁するセパレータを備えている。電極組立体は、シート状の複数の正極と複数の負極及びシート状(または袋状)の複数のセパレータが積層されて構成されている。電極組立体は、ケース内に収容され、ケース内において電解液に満たされている。
【0027】
正極は、金属箔と、金属箔の少なくとも一面に形成された正極活物質層からなる。正極は、金属箔の端部に正極活物質層が形成されていないタブを有する。タブは、正極の上縁部(正極端子2a側の縁部)に設けられており、導電部材を介して正極端子2aに接続されている。金属箔は、例えば、アルミニウム箔、アルミニウム合金箔である。正極活物質層は、正極活物質、バインダを含んでいる。正極活物質層は、導電助剤を含んでいてもよい。正極活物質は、例えば、複合酸化物、金属リチウム、硫黄である。複合酸化物は、マンガン、ニッケル、コバルト及びアルミニウムの少なくとも1つとリチウムとを含む。バインダは、例えば、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、フッ素ゴム等の含フッ素樹脂、ポリプロピレン、ポリエチレン等の熱可塑性樹脂、ポリイミド、ポリアミドイミド等のイミド系樹脂、アルコキシシリノレ基含有樹脂などである。導電助剤は、例えば、カーボンブラック、黒鉛、アセチレンブラック、ケッチェンブラック(登録商標)である。
【0028】
負極は、金属箔と、金属箔の少なくとも一面に形成された負極活物質層からなる。負極は、金属箔の端部に負極活物質層が形成されていないタブを有する。タブは、負極の上縁部(負極端子2b側の縁部)に設けられており、導電部材を介して負極端子2bに接続されている。金属箔は、例えば、銅箔、銅合金箔である。負極活物質層は、負極活物質、バインダを含んでいる。負極活物質層は、導電助剤を含んでいてもよい。負極活物質は、例えば、黒鉛、高配向性グラファイト、メソカーボンマイクロビーズ、ハードカーボン、ソフトカーボン等のカーボン、リチウム、ナトリウム等のアルカリ金属、金属化合物、SiOx(0.5≦x≦1.5)等の金属酸化物、ホウ素添加炭素である。バインダ、導電助剤は、正極で示した同様のバインダ、導電助剤を適用できる。なお、バインダは正極での例示に加え、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、スチレンブタジエンゴム、アルコキシシリル基含有樹脂なども適用できる。
【0029】
セパレータは、正極と負極とを隔離し、両極の接触による電流の短絡を防止しつつ、リチウムイオンを通過させるものである。セパレータは、例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等のポリオレフィン系樹脂からなる多孔質フィルム、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート(PET)、メチルセルロース等からなる織布又は不織布である。
【0030】
ケースは、有底筒状の本体部と本体部の開口部を覆う蓋部とからなる。詳述すると、本体部は、矩形平板状の底板と、底板の4辺から鉛直方向上方に延びる矩形平板状の4つの側板とから構成される。本体部には、電解液及び電極組立体が収容され、蓋部で本体部の開口部を覆うことで蓄電装置2が形成される。
【0031】
複数の蓄電装置2は、所定の配列方向(本実施の形態では、各蓄電装置2における最も広い面同士が伝熱プレート3を介して対向する方向)に沿って配列された状態で一対のエンドプレート5間に挟み込まれる。
【0032】
複数の蓄電装置2は、上記の配列方向に沿って配列される際に、図1に示すように、任意の蓄電装置2の正極端子2aと、その蓄電装置2と隣り合う蓄電装置2の負極端子2bとが隣り合うように配列される。そして、正極端子2aと負極端子2bとが接続部材2cでそれぞれ接続され、複数の蓄電装置2が電気的に直列に接続されている。
【0033】
以降、1つの蓄電装置2における上記配列方向に沿う方向を厚さ方向とし、1つの蓄電装置2における正極端子2aと負極端子2bの並設方向を幅方向とし、1つの蓄電装置2における上記厚さ方向及び上記幅方向と直交する方向を高さ方向と称し、説明を行う。
【0034】
伝熱プレート3は、蓄電装置2で発生した熱を伝熱シート7に伝えるための部材であり、蓄電装置2毎に取り付けられる。伝熱プレート3は、熱伝導率が高い材料で形成される。伝熱プレート3は、板状であり、図2等に示すように断面がL字形状である。伝熱プレート3は、蓄電装置2における厚さ方向と交わる面と対向して配置される吸熱部と、蓄電装置2における幅方向と交わる面と対向する伝熱部とを有する。伝熱プレート3における伝熱部は、カウンターウエイト8における伝熱シート7が設けられた部分と対向して配置される。この伝熱プレート3の伝熱部における伝熱シート7(カウンターウエイト8)側の面が、伝熱面3aになる。本実施の形態では、この伝熱プレート3の伝熱面3aが特許請求の範囲に記載する蓄電ユニットの対向面に相当する。なお、図1では、伝熱プレート3がホルダー4に隠れて、見えない。
【0035】
ホルダー4は、蓄電装置2の一部を収納して蓄電装置2を保持するための部材であり、蓄電装置2毎に設けられる。ホルダー4は、伝熱プレート3が取り付けられた状態の蓄電装置2の一部を隙間なく収納できる大きさ及び形状を有している。ホルダー4には、拘束ボルト6の軸径より若干大きい径の貫通孔(図示せず)が開口されている。この貫通孔の個数は、複数個であり、例えば、4個である。
【0036】
したがって、1つの蓄電装置2、1つの伝熱プレート3及び1つのホルダー4によって蓄電ユニットが形成される。複数の蓄電ユニットは、上記配列方向に沿って配列される。
【0037】
一対のエンドプレート5は、複数の蓄電ユニットのうち、配列方向(厚さ方向)の両端部に位置する2つの蓄電ユニットと各々対向して配置されて、配列された複数の蓄電装置2に両側から拘束圧を付加して拘束するための部材である。エンドプレート5は、板状であり、拘束圧を付加できる十分な厚さを有している。エンドプレート5が拘束圧を付加する面は、角型の蓄電装置2の最も広い面の面積よりも少し小さい。エンドプレート5には、ホルダー4に開口される貫通孔に対応して、拘束ボルト6の軸径より若干大きい径の貫通孔(図示せず)が開口されている。この貫通孔の個数は、ホルダー4に開口される貫通孔の個数と同数である。この貫通孔の位置は、ホルダー4に開口される貫通孔の位置に対応した位置である。また、エンドプレート5の外面5a側(エンドプレート5における蓄電ユニットと対向する面と反対側)には、ブラケット9を締結ボルト10で固定するために、締結ボルト10のねじ径と同じねじ径の孔(図示せず)が開口されている。この孔は、有底の孔であり、雌ねじが切られている。この孔の個数は、ブラケット9の取付け部9aに開口される貫通孔の個数と同数である。
【0038】
この一対のエンドプレート5と複数の拘束ボルト6を用いて複数の蓄電ユニットを拘束する場合、複数の蓄電ユニットのうち、配列方向の一端側に配置される蓄電ユニットと一方のエンドプレート5とが対向するように配置され、配列方向の他端側に配置される蓄電ユニットと他方のエンドプレート5とが対向するように配置される。そして、各拘束ボルト6を、一方のエンドプレート5の貫通孔、配列される各ホルダー4の貫通孔、他方のエンドプレート5の貫通孔に通し、ボルト締めを行う。このボルト締めでは、他方のエンドプレート5の外面5a側にナットを配置させて、拘束ボルト6の雄ねじとナットの雌ねじとでボルト締めを行ってもよいし、あるいは、他方のエンドプレート5の各貫通孔に雌ねじが切られ、拘束ボルト6の雄ねじとエンドプレート5の貫通孔の雌ねじとでボルト締めを行ってもよい。このボルト締めの締付力により、一方のエンドプレート5と他方のエンドプレート5との間で配列された複数の蓄電ユニットに拘束力が付加され、拘束された状態になる。この配列方向に沿って配列された複数の蓄電ユニットが一対のエンドプレート5で拘束されたものが、蓄電モジュール1である。なお、拘束ボルト6は、この一対のエンドプレート5間の長さよりも十分に長い長さを有している。
【0039】
この一対のエンドプレート5間に拘束された状態の複数の蓄電ユニット(すなわち、蓄電モジュール1)では各方向で相対的な位置ずれが発生する場合があり、特に、図2等に示すように、複数の伝熱プレート3の伝熱面3a間で位置ずれ(一対のブラケット9によって蓄電モジュール1がカウンターウエイト8に締結された状態でカウンターウエイト8と対向する各伝熱プレート3の伝熱面3a(対向面)との間の距離の差)が発生する場合がある。この位置ずれの要因としては、拘束ボルト6の軸径よりもホルダー4の各貫通孔の径が若干大きいため、この軸径と孔径との最大差を上限として、位置ずれを発生する可能性がある。この位置ずれは、伝熱面3a間の位置ずれ(蓄電ユニットにおける蓄電装置2の幅方向への位置ずれ)の他にも、他の方向の位置ずれも発生する場合がある。なお、このような位置ずれの要因は、一対のエンドプレート5間に複数の蓄電装置2を拘束する方法によって変わる。例えば、断面がコ次状の治具を用いて位置を規制しながら複数の蓄電装置2を並設し、その並設された複数の蓄電装置2を一対のエンドプレート5間で挟み込んで拘束する方法がある。この方法の場合、蓄電装置2を嵌め込んで積層していくために、コ次状の治具の幅が蓄電装置2の幅よりも若干広い幅となっているので、その幅の差を上限として、位置ずれを発生する可能性がある。
【0040】
伝熱シート7は、各蓄電装置2で発生し、各伝熱プレート3に伝熱された熱をカウンターウエイト8に伝えるための部材である。伝熱シート7は、一対のエンドプレート5間に拘束された状態の複数の蓄電ユニット各々に取り付けられた各伝熱プレート3の伝熱面3aとカウンターウエイト8との間に配置される。伝熱シート7は、熱伝導率が高くかつ弾性(応力が加わると圧縮する)を有する材料で形成される。この材料としては、例えば、シート状のTIM[Thermal Interface Material]がある。このシート状のTIMとしては、例えば、シリコンゴム(弾性率が高い)に粉状のセラミックフィラー(熱伝導率が高い)を含有させたものがある。伝熱シート7は、下記方向で決められた厚みを有するシート状である。伝熱シート7の面積は、一対のエンドプレート5間に拘束された状態の複数の伝熱プレート3の伝熱面3aを合わせた面積(蓄電ユニットにおける蓄電装置2の幅方向と交わる面の面積)と同程度である。
【0041】
図2を参照して、伝熱シート7の厚みを決める方法について説明する。上記したように、各伝熱プレート3の伝熱面3aとカウンターウエイト8との間の距離の差(位置ずれ)が大きくなる場合がある。この最大位置ずれ量は、一対のブラケット9によって蓄電モジュール1がカウンターウエイト8に締結された際、複数の蓄電ユニットの伝熱プレート3がカウンターウエイト8と対向する伝熱面3a(対向面)のうちのカウンターウエイト8から最も遠い伝熱面3aとカウンターウエイト8との間の距離と、カウンターウエイト8から最も近い伝熱面3aとカウンターウエイト8との間の距離との差である。この最大位置ずれ量をΔLとすると、この最大位置ずれ量ΔLについては、一対のエンドプレート5間に複数の蓄電ユニットを拘束する方法に応じて予め推定することができる。本実施の形態の方法の場合、ホルダー4の貫通孔の径と拘束ボルト6の軸径との差から最大位置ずれ量ΔLを推定できる。この最大位置ずれ量ΔL分圧縮できる伝熱シート7でないと、全ての伝熱プレート3の伝熱面3aに伝熱シート7を接触させることがでない。したがって、全ての伝熱プレート3の伝熱面3aに伝熱シート7を接触させるためには、最大位置ずれ量ΔL以上圧縮させることができる伝熱シート7でなければならない。そこで、伝熱シート7(伝熱シート7に用いられる材料)の最大圧縮率(最大弾性率)に基づいて、最大位置ずれ量ΔL分圧縮するために必要な伝熱シート7の圧縮後厚みT’を予め導出する。ここで、最大圧縮率をそのまま用いて圧縮後厚みT’を導出してもよいし、余裕を見て、最大圧縮率よりも小さい圧縮率(例えば、推奨圧縮率)を用いて圧縮後厚みT’を導出してもよい。そして、伝熱シート7の厚みTとしては、最大位置ずれ量ΔLに圧縮後厚みT’を加算した値以上の厚みとする。この厚みTとすることにより、伝熱シート7を最大位置ずれ量ΔL以上圧縮させることが可能となる。例えば、ΔLが1mmと推定した場合、最大圧縮率が50%とすると、伝熱シート7の厚みTを2mm以上(圧縮後厚みT’は1mm)とする。また、ΔLが1mm、推奨圧縮率が40%とすると、伝熱シート7の厚みTを2.5mm以上(圧縮後厚みT’は1.5mm)とする。なお、伝熱シート7は薄いほど伝熱性が高くなるので、伝熱シート7の厚みTを最大位置ずれ量ΔLに圧縮後最小厚みT’を加えた値の厚さとすると最も薄くできる。
【0042】
カウンターウエイト8は、伝熱シート7によって伝えられた熱を放熱するための部材として利用される。カウンターウエイト8は、フォークリフトにおいて熱マスの大きな部材であるので、放熱部材として好適である。また、カウンターウエイト8は、蓄電モジュール1を配置できる十分に大きな面を有している。このカウンターウエイト8の側壁に、一対のブラケット9によって、蓄電モジュール1が伝熱シート7を介在させた状態で締結される。このカウンターウエイト8の側壁の面8aが、締結面になる。本実施の形態では、このカウンターウエイト8の締結面8aが特許請求の範囲に記載する放熱部材の締結面に相当する。このカウンターウエイト8の締結面8aには、各ブラケット9に対応して、締結ボルト11の軸径と同程度の径の孔(図示せず)が開口されている。この孔は、有底であり、雌ねじが切られている。この孔の位置は、一対のブラケット9によって蓄電モジュール1が締結される際に、ブラケット9の締結部9bに開口される貫通孔の位置に対応した位置である。この孔の個数は、ブラケット9の締結部9bに開口される貫通孔の個数と同数である。
【0043】
一対のブラケット9は、蓄電モジュール1をカウンターウエイト8の側壁に締結させるための部材であり、かつ、蓄電モジュール1とカウンターウエイト8との間の間隔を調整するための部材である。ブラケット9は、略L字形状である。ブラケット9は、蓄電モジュール1に締結ボルト10によって取付けられる取付け部9aと、カウンターウエイト8に締結ボルト11によって締結される締結部9bとを有する。取付け部9aは、エンドプレート5の外面5aに位置調整されて取り付けられる。この取付け部9aには、締結ボルト10の軸径よりも大きい径の貫通孔(図示せず)が複数開口されている。この貫通孔の大きさは、ブラケット9のエンドプレート5に対する位置調整が可能な十分な大きさである。ブラケット9は、この締結ボルト10によるボルト締結によってエンドプレート5に取付けられる。また、締結部9bは、カウンターウエイト8に締結され、カウンターウエイト8の締結面8aに接する締結面9cを有している。締結部9bには、締結ボルト11のねじ径と同じねじ径の孔(図示せず)が複数開口されている。ブラケット9は、この締結ボルト11によるボルト締結によって蓄電モジュール1をカウンターウエイト8に締結する。本実施の形態では、取付け部9aが特許請求の範囲に記載するブラケットの取付け部に相当し、締結部9bが特許請求の範囲に記載するブラケットの締結部に相当し、締結面9cが特許請求の範囲に記載するブラケットの締結面に相当する。
【0044】
図5を参照して、蓄電モジュール1がカウンターウエイト8の側壁に締結された蓄電モジュールユニット1’について説明する。蓄電モジュールユニット1’は、一対のブラケット9によって蓄電モジュール1をカウンターウエイト8の側壁にボルト締めで締結された状態で、伝熱シート7の上面7aが全ての伝熱プレート3の伝熱面3a(3a〜3a)に接触している。このようにするために、複数の蓄電ユニットを拘束している一対のエンドプレート5の外面5a,5aにブラケット9,9をそれぞれ位置調整して取付ける際に、複数の伝熱プレート3の伝熱面3aのうちのその各伝熱面3aに対向するカウンターウエイト8の締結面8aと最小間隔MNとなる伝熱面3aと各ブラケット9の締結面9c(カウンターウエイト8の締結面8a)との間の距離が圧縮後厚みT’になるように、各ブラケット9がエンドプレート5に対してそれぞれ位置調整されて取り付けられる。最小間隔MNとなる伝熱面3aは、締結された状態のカウンターウエイト8に最も近い位置の伝熱面3aである。この位置調整を行う場合、ブラケット9の取付け部9aに開口された締結ボルト10の軸径より十分に大きい径の貫通孔に締結ボルト10を挿入し、締結ボルト10の雄ねじをエンドプレート5の外面5aに開口された孔の雌ねじにねじ込んだ状態で、ブラケット9を上下左右に移動させることにより、簡単に位置調整を行うことができる。このような位置調整と、上記のように決定した厚みTの伝熱シート7を用いることによって、伝熱プレート3の伝熱面3aのうちのカウンターウエイト8の締結面8aと最小間隔MNとなる伝熱面3aから最大間隔MXとなる伝熱面3aまで伝熱シート7の上面7aに接触させることでき、全ての伝熱プレート3の伝熱面3aを伝熱シート7の上面7aに接触させることができる。最大間隔MXとなる伝熱面3aは、締結された状態のカウンターウエイト8から最も遠い位置の伝熱面3aである。全ての伝熱プレート3の伝熱面3aを伝熱シート7の上面7aに接触している場合、伝熱シート7は、最大間隔MXとなる伝熱面3aの部分では最も圧縮されておらず(全く圧縮されていない場合もある)、最小間隔MNとなる伝熱面3aの部分では最も圧縮されており、その圧縮量の差は最大で最大位置ずれ量ΔLである。
【0045】
このように蓄電モジュール1がカウンターウエイト8の側壁に締結された蓄電モジュールユニット1’の場合の伝熱及び放熱の作用について説明する。各蓄電装置2で熱をそれぞれ発生すると、その熱は各蓄電装置2に取り付けられている伝熱プレート3の吸熱部にそれぞれ伝わる。そして、各伝熱プレート3では、その熱を伝熱部の伝熱面3aから伝熱シート7にそれぞれ伝える。この際、全ての伝熱プレート3の伝熱面3aが伝熱シート7の上面7aに接触しているので、全ての伝熱プレート3で熱を伝熱シート7に伝えることができる。さらに、伝熱シート7では、全ての伝熱プレート3からそれぞれ伝えられた熱をカウンターウエイト8に伝える。カウンターウエイト8では、伝熱シート7から伝えられた熱を放熱する。
【0046】
ここで、図6を参照して、蓄電モジュール100が一対のブラケット104によってカウンターウエイト105の側壁に締結された従来の蓄電モジュールユニット100’の場合の伝熱及び放熱の作用について説明する。蓄電モジュール100は、各蓄電装置101に伝熱プレート102がそれぞれ取り付けられており、この伝熱プレート102がそれぞれ取り付けられた複数の蓄電装置101が一対のエンドプレート103に拘束された状態である。この蓄電モジュール100が一対のブラケット104によってカウンターウエイト105に締結され、蓄電モジュール100とカウンターウエイト105との間に伝熱シート106が配置されている。この伝熱シート106は、本実施の形態に係る伝熱シート7の厚み(最大位置ずれ量ΔLに圧縮後厚みT’を加算した値以上の厚み)と同様の厚みを有しておらず、適宜に決められた所定の厚みを有している。また、一対のブラケット104は、カウンターウエイト105に最も近い伝熱面102aに規制されて、その最も近い伝熱面102aにのみ伝熱シート106が接するようにエンドプレート103に取付けられている。そのため、伝熱面102aが伝熱シート106に接していない伝熱プレート102が存在し、伝熱面102aと伝熱シート106との間に隙間ができる。伝熱プレート102の伝熱面102aと伝熱シート106との間に隙間ができると、各伝熱プレート102からカウンターウエイト105への伝熱に差が発生する。その結果、複数の蓄電装置101において放熱性に差ができ、複数の蓄電装置101間で温度ばらつきが発生する。その結果、蓄電モジュール100の性能や寿命が低下する。
【0047】
この蓄電モジュールユニット1’によれば、伝熱シート7の厚みを伝熱プレート3の伝熱面3a間の最大位置ずれ量ΔLにその最大位置ずれ量ΔL分圧縮するために必要な圧縮後厚みT’を加算した値以上の厚みTとし、カウンターウエイト8の締結面8aと最小間隔MNとなる伝熱面3aから最大間隔MXとなる伝熱面3aまで伝熱シート7が接触するように一対のブラケット9によって蓄電モジュール1をカウンターウエイト8に締結した構造とすることにより、複数の蓄電装置2でそれぞれ発生した熱の伝熱シート7への伝熱性の差を抑制でき、放熱性を向上させることができる。その結果、複数の蓄電装置2間の温度ばらつきを低減でき、蓄電モジュール1の性能や寿命の低下を抑制できる。
【0048】
蓄電モジュールユニット1’によれば、一対のブラケット9によって蓄電モジュール1がカウンターウエイト8に締結された際の複数の伝熱プレート3の伝熱面3aのうちのカウンターウエイト8と最小間隔MNとなる伝熱面3aとブラケット9の締結面9c(カウンターウエイト8の締結面8a)との間の距離と伝熱シート7の圧縮後の厚みT’とが同じなので、伝熱シート7を最大で圧縮後厚みT’に相当する厚みになるまで圧縮できる。したがって、最小間隔MNとなる伝熱面3aから最大間隔MXとなる伝熱面3aまで伝熱シート7に接触させることができ、全ての伝熱面3aを伝熱シート7に接触させることができる。
【0049】
蓄電モジュールユニット1’によれば、ブラケット9の取付け部9aに開口された締結ボルト10の軸径より大きい径の貫通孔と締結ボルト10を用いてブラケット9の位置をそれぞれ調整することにより、簡単に、最小間隔MNとなる伝熱面3aとブラケット9の締結面9c(カウンターウエイト8の締結面8a)との間の距離が圧縮後厚みT’になるようにブラケット9の位置を調整することができる。
【0050】
図1図5を参照して、上記構成の蓄電モジュールユニット1’の製造方法について説明する。特に、ブラケット9のエンドプレート5に対する取付け工程については図3を参照し、ブラケット9が取り付けられた蓄電モジュール1の載置工程については図4を参照し、蓄電モジュール1をカウンターウエイト8にブラケット9によって締結する締結工程については図5を参照する。
【0051】
従来と同様の製造工程によって、各蓄電装置2に伝熱プレート3をそれぞれ取り付け、それをホルダー4にそれぞれ収納して蓄電ユニットを形成する。複数の蓄電ユニットを上記した配列方向で配列させる。さらに、その配列された複数の蓄電ユニットのうちの配列方向の一端側に配置される蓄電ユニットと一方のエンドプレート5とが対向するように配置させ、配列方向の他端側に配置される蓄電ユニットと他方のエンドプレート5とが対向するように配置させ、各拘束ボルト6を、一方のエンドプレート5の貫通孔、配列される各ホルダーの4の貫通孔、他方のエンドプレート5の貫通孔に通し、ボルト締めを行う。これによって、ホルダー4にそれぞれ収納された複数の蓄電装置2が一対のエンドプレート5間に拘束された状態の蓄電モジュール1が形成される。この際、複数の蓄電装置2間に位置ずれが発生する可能性があり、伝熱プレート3の各伝熱面3aの位置もずれている場合がある。
【0052】
取付け工程では、まず、平面部(水平面)Pに圧縮後厚みT’と同じ厚みを有する板Bを載置する。この平面部Pは、作業台等でもよいし、あるいは、カウンターウエイト8の側壁の締結面8aでもよい。本実施の形態では、この平面部Pが特許請求の範囲に記載する所定の平面部に相当する。板Bは、蓄電モジュール1の自重程度では変形しない強固な板である。板Bの大きさ及び形状は、伝熱シート7と同程度の大きさ及び形状である。取付け工程では、次に、その板Bの上に蓄電モジュール1を載置する。この際、伝熱プレート3の伝熱面3aのうちの最も飛び出している伝熱面3a(締結され状態のカウンターウエイト8の締結面8aと最小間隔MNとなる伝熱面3a)だけが板Bと接触した状態で載置されることになる。取付け工程では、次に、蓄電モジュール1を挟み込むように、一対のエンドプレート5の両側にブラケット9をそれぞれ置く。取付け工程では、次に、ブラケット9の取付け部9aの各貫通孔に締結ボルト10をそれぞれ挿入し、その各締結ボルト10の雄ねじをエンドプレート5の外面5aに開口された孔の雌ねじに少しねじ込んだ状態で各ブラケット9を移動させ、ブラケット9の取付け部9aがエンドプレート5の外面5aに確実に接触し、最小間隔MNとなる伝熱面3aだけが板Bの上面と接触した状態でかつ一対のブラケット9の締結面9cが平面部Pに確実にそれぞれ接触した状態になると各締結ボルト10をエンドプレート5の孔に完全にねじ込んでボルト締めを行う。これによって各ブラケット9がエンドプレート5に対して取付けられると、ブラケット9の締結面9cと最小間隔MNとなる伝熱面3aとの間隔が圧縮後厚みT’になるように、ブラケット9がエンドプレート5に対して位置調整されている。
【0053】
載置工程では、まず、カウンターウエイト8の側壁の締結面8aが上方になるように、カウンターウエイト8を配置させる。載置工程では、次に、その締結面8a上に伝熱シート7を載置する。この際、締結面8aの両側にそれぞれ開口されているボルト締結用の各孔の間の中央に位置するように、伝熱シート7を配置させる。載置工程では、次に、その伝熱シート7の上に、一対のブラケット9が取り付けられた蓄電モジュール1を載置する。この際、伝熱シート7には蓄電モジュール1の自重だけがかかり、伝熱プレート3の伝熱面3aのうちの最も飛び出している伝熱面3a(締結され状態のカウンターウエイト8の締結面8aと最小間隔MNとなる伝熱面3a)だけが伝熱シート7の上面7aと接触した状態で載置されることになる。但し、その自重によって、伝熱面3a以外の伝熱面3aも伝熱シート7の上面7aと接触した状態になる場合がある。そのため、各ブラケット9の締結面9cはカウンターウエイト8の締結面8aに接触することはなく、浮いた状態になっている。そのため、一対のブラケット9が取り付けられた蓄電モジュール1を伝熱シート7上で容易に移動させることができる。載置工程では、次に、締結面8aに両側にそれぞれ開口されているボルト締結用の各孔の位置に各ブラケット9の締結部9bにそれぞれ開口されている貫通孔の位置が合うように、伝熱シート7上で一対のブラケット9が取り付けられた蓄電モジュール1の位置を調整する。
【0054】
締結工程では、まず、各ブラケット9の締結部9bに開口されている各貫通孔に締結ボルト11をそれぞれ通し、その締結ボルト11の先端をカウンターウエイト8の締結面8aに開口されている各孔にそれぞれ位置させる。締結工程では、次に、各締結ボルト11に締結力を付加し、各締結ボルト11の雄ねじを締結面8aに開口されている各孔の雌ねじにねじ込む。これによって、各ブラケット9の締結面9cとカウンターウエイト8の締結面8aとの間隔が徐々に狭くなり、伝熱シート7の上面7aが伝熱プレート3の伝熱面3aに当接するとその部分における伝熱シート7が圧縮されていく。そして、各ブラケット9の締結面9cがカウンターウエイト8の締結面8aに完全に接触まで各締結ボルト11の雄ねじが締結面8aに開口されている各孔の雌ねじにねじ込まれると、伝熱プレート3の伝熱面3aのうちのカウンターウエイト8の締結面8aと最大間隔MXとなる伝熱面3aも伝熱シート7の上面7aに接触し、全ての伝熱プレート3の伝熱面3aが伝熱シート7の上面7aに接触した状態になる。これによって、複数のブラケット9によって、カウンターウエイト8の側壁に、伝熱シート7を介在させて蓄電モジュール1が締結された状態になる。
【0055】
なお、上記の製造方法は、一例であり、他の製造方法でカウンターウエイト8の側壁にブラケット9によって締結させてもよい。例えば、カウンターウエイト8がフォークリフトに組み付けられた状態で、ブラケット9によって蓄電モジュール1をそのカウンターウエイト8の側壁に締結させてもよい。
【0056】
この蓄電モジュールユニット1’の製造方法によれば、上記した製造方法でブラケット9によってカウンターウエイト8の側壁に伝熱シート7を介在させて蓄電モジュール1を締結することによって、上記した構成の蓄電モジュールユニット1’を製造することができる。この製造された蓄電モジュールユニット1’は、上記した効果を有する。
【0057】
特に、この製造方法では、圧縮後厚みT’と同じ厚みを有する板Bを用いて各ブラケット9をエンドプレート5に対してそれぞれ位置調整することにより、簡単かつ高精度に、最小間隔MNとなる伝熱面3aと各ブラケット9の締結面9cとの間が圧縮後厚みT’になるように各ブラケット9の位置を調整することができる。その結果、伝熱シート7が最大で圧縮後厚みT’に相当する厚みになるまで圧縮でき、最小間隔MNとなる伝熱面3aから最大間隔MXとなる伝熱面3aまで伝熱シート7に接触させることができ、全ての伝熱面3aを伝熱シート7に接触させることができる。
【0058】
この製造方法では、各ブラケット9の取付け部9aに開口された締結ボルト10の軸径より大きい径の貫通孔と締結ボルト10を用いて各ブラケット9のエンドプレート5に対してそれぞれ位置調整することにより、簡単に、最小間隔MNとなる伝熱面3aと各ブラケット9の締結面9cとの間が圧縮後厚みT’になるようにブラケット9の位置を調整することができる。
【0059】
以上、本発明に係る実施の形態について説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されることなく様々な形態で実施される。
【0060】
例えば、本実施の形態ではフォークリフトに搭載される蓄電モジュールに適用し、放熱部材としてフォークリフトに備えられるカウンターウエイトを利用したが、フォークリフト以外にも自動車等の他の様々なものに適用でき、放熱部材としても冷却プレート等の他の様々なものを適用できる。
【0061】
また、本実施の形態では7個の蓄電装置が直列に接続される蓄電モジュールに適用したが、蓄電装置の個数は7個以外でもよく、また、複数の蓄電装置が並列あるいは並列及び直列に接続される構成でもよい。
【0062】
また、本実施の形態では蓄電装置をホルダーに収容し、ホルダーに収容した状態の複数の蓄電装置をエンドプレート間で拘束する構成としたが、ホルダーがなく、ホルダー無しの蓄電装置をエンドプレート間で拘束する構成としてもよい。また、複数の蓄電装置を拘束する構成も、エンドプレートがない他の形態で拘束してもよい。
【0063】
また、本実施の形態では各蓄電装置に伝熱プレートを取り付け、伝熱プレートを介して蓄電装置の熱を伝熱シートに伝える構成としたが、伝熱プレートがなく、蓄電装置の熱が蓄電装置から伝熱シートに直接伝わる構成としてもよい。この場合、蓄電装置の一面が伝熱面となる。また、伝熱プレート以外の部材を介して蓄電装置の熱が伝熱シートに伝わる構成としてもよい。
【0064】
また、本実施の形態では締結部材として複数のブラケットを用いて、蓄電モジュールをカウンターウエイト(放熱部材)に締結する構成としたが、締結部材として、位置調整が可能であり、拘束された状態の複数の蓄熱装置を放熱部材に締結できれば、どのような部材を適用してもよい。
【0065】
また、本実施の形態ではブラケットをエンドプレートに対して位置調整して固定するためにブラケットの取付け部にボルトの軸径より大きい孔を開口し、この孔とボルトによって位置調整と固定をする構成としたが、ボルトを用いずに、ブラケットをエンドプレートに対して位置調整した後に、ブラケットを溶接等でエンドプレートに固定する構成としてもよい。
【0066】
また、本実施の形態では複数の伝熱プレートの伝熱面のうちのカウンターウエイトの締結面と最小間隔となる伝熱面と各ブラケットの締結面(カウンターウエイトの締結面)との間の距離が伝熱シートの圧縮後厚みとなるようにブラケットをエンドプレート対して位置調整して、複数の伝熱プレートの伝熱面のうちのカウンターウエイトの締結面と最大間隔となる伝熱面まで伝熱シートに接触(ひいては、全ての伝熱プレートの伝熱面を伝熱シートに接触)させる構成としたが、最大間隔となる伝熱面まで伝熱シートに接触させることができれば、最小間隔となる伝熱面と各ブラケットの締結面(カウンターウエイトの締結面)との間の距離が圧縮後厚さとなるようにしない構成でもよい。
【符号の説明】
【0067】
1…蓄電モジュール、1’…蓄電モジュールユニット、2…蓄電装置、2a…正極端子、2b…負極端子、2c…接続部材、3…伝熱プレート、3a…伝熱面、4…ホルダー、5…エンドプレート、5a…外面、6…拘束ボルト、7…伝熱シート、7a…上面、8…カウンターウエイト、8a…締結面、9…ブラケット、9a…取付け部、9b…締結部、9c…締結面、10,11…締結ボルト。
図1
図2
図3
図4
図5
図6