特許第5835400号(P5835400)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 横浜ゴム株式会社の特許一覧
<>
  • 特許5835400-モールドの洗浄システム 図000002
  • 特許5835400-モールドの洗浄システム 図000003
  • 特許5835400-モールドの洗浄システム 図000004
  • 特許5835400-モールドの洗浄システム 図000005
  • 特許5835400-モールドの洗浄システム 図000006
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5835400
(24)【登録日】2015年11月13日
(45)【発行日】2015年12月24日
(54)【発明の名称】モールドの洗浄システム
(51)【国際特許分類】
   B29C 33/72 20060101AFI20151203BHJP
【FI】
   B29C33/72
【請求項の数】5
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-97993(P2014-97993)
(22)【出願日】2014年5月9日
(65)【公開番号】特開2015-214076(P2015-214076A)
(43)【公開日】2015年12月3日
【審査請求日】2015年5月1日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006714
【氏名又は名称】横浜ゴム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001368
【氏名又は名称】清流国際特許業務法人
(74)【代理人】
【識別番号】100129252
【弁理士】
【氏名又は名称】昼間 孝良
(74)【代理人】
【識別番号】100066865
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 信一
(74)【代理人】
【識別番号】100066854
【弁理士】
【氏名又は名称】野口 賢照
(74)【代理人】
【識別番号】100155033
【弁理士】
【氏名又は名称】境澤 正夫
(74)【代理人】
【識別番号】100117938
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 謙二
(74)【代理人】
【識別番号】100138287
【弁理士】
【氏名又は名称】平井 功
(72)【発明者】
【氏名】松村 謙介
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 誠之
(72)【発明者】
【氏名】宮崎 雄策
【審査官】 長谷部 智寿
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−062633(JP,A)
【文献】 特開2003−112136(JP,A)
【文献】 特開2004−018239(JP,A)
【文献】 米国特許第06369353(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 33/72
B08B 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザ発振器と、このレーザ発振器から供給されるレーザ光をモールドの成形面に照射するレーザヘッドと、このレーザヘッドを3次元に自在移動させるアームと、このアームの動きを制御する制御装置とを備えたモールドの洗浄システムにおいて、
洗浄するモールド毎に付されたそのモールドを示す識別マークと、この識別マークが付されたモールドの成形面の形状データとが関連付けられて予め記憶されているデータベースと、前記識別マークを検知するマーク検知器とを備え、モールドを洗浄する際に前記マーク検知器により検知されたこのモールドに付された識別マークに基づいて、前記データベースに記憶されているこのモールドの成形面の形状データを取得し、この取得した形状データに基づいて前記アームの動きを制御することにより、前記レーザヘッドをその成形面に沿って移動させつつ、レーザ光を照射してその成形面を洗浄することを特徴とするモールドの洗浄システム。
【請求項2】
前記成形面の画像データを取得するカメラを備え、このカメラにより取得された前記画像データに基づいてその成形面の洗浄状態を把握し、この把握した洗浄状態およびその成形面の位置情報を前記制御装置に記憶し、前記把握した洗浄状態が予め設定されている基準に満たない成形面の位置に対して、再度、前記レーザヘッドから前記レーザ光を照射して洗浄を行なう設定にした請求項1に記載のモールドの洗浄システム。
【請求項3】
前記レーザヘッドとして、レーザ照射幅が異なる複数のレーザヘッドを備え、予め設定されている特定の部位に対しては、相対的にレーザ照射幅が小さいレーザヘッドを用いて、または、相対的にレーザ照射幅が大きいレーザヘッドに加えて相対的にレーザ照射幅が小さいレーザヘッドを用いて洗浄を行なう設定にした請求項1または2に記載のモールドの洗浄システム。
【請求項4】
前記レーザ光が照射されている前記成形面の温度を逐次検知する温度センサを備え、この温度センサによる検知温度が予め設定されている許容温度を超えた場合には、前記レーザ光の照射を中断する設定にした請求項1〜3のいずれかに記載のモールドの洗浄システム。
【請求項5】
前記モールドがスタッドレスタイヤ加硫用モールドまたは空気入りタイヤ加硫用鋳継ぎモールドである請求項1〜4のいずれかに記載のモールドの洗浄システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モールドの洗浄システムに関し、さらに詳しくは、複雑な形状の成形面を有するモールドであっても、人手をかけずに、成形面の損傷を防止しつつ汚れを効率よく除去できるモールドの洗浄システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
タイヤ等のゴム製品を加硫するためのモールドの成形面には、加硫する度に、僅かながらゴム成分や配合剤に由来する汚れが付着する。モールドの繰り返し使用によって、この汚れが徐々に累積するので、そのまま汚れを放置すれば、加硫する製品の品質に悪影響が生じる。そのため適宜、成形面を洗浄して汚れを除去する必要がある。モールドを洗浄する方法としては、ショットブラスト洗浄方法、レーザ光洗浄方法、プラズマ洗浄方法等が知られている。
【0003】
ショットブラスト洗浄方法では、成形面が損傷し易いので、洗浄による成形面の損傷を防止するには、レーザ光を成形面に照射してその衝撃波によって汚れを除去するレーザ光洗浄方法や、発生させたプラズマによって汚れを化学反応させて除去するプラズマ洗浄方法が望ましい。ただし、プラズマ洗浄方法は、単位時間に洗浄できる面積が小さいので、効率性を考慮するとレーザ光洗浄方法がより望ましい。
【0004】
レーザ光を用いたモールドの洗浄方法は種々提案されている(例えば、特許文献1、2参照)。特許文献1に記載の洗浄方法では、レーザ発振器から供給されるレーザ光(CO2レーザ光)をレーザヘッドからモールドの成形面に照射して汚れを除去する。この際に、レーザヘッドを移動させるアーム(マニピュレータ)は、モールドの原形状データ(キャドデータなど)とレーザヘッドの位置補正手段によって制御され、レーザヘッドを成形面の凹凸に沿って移動させる(特許文献1の段落0011、0021〜0025等参照)。
【0005】
しかしながら、モールドの成形面は同じ形状に形成されているとは限らず、様々な形状に形成されている。そのため、特許文献1に記載の方法では、成形面が異なる形状のモールドを洗浄するには、モールドの洗浄を行なう度に制御装置に記憶されているこのモールドの原形状データを呼び出す作業が必要になる。成形面の形状が膨大な種類になるタイヤ加硫用モールドの場合は、洗浄の都度、洗浄するモールドと原形状データとが対応していることを確認する必要があり、作業が煩雑になるという問題がある。
【0006】
特許文献2に記載の洗浄方法では、レーザ照射器を所定位置に固定して、モールドを移動させてモールド表面がレーザ光の光軸に対して垂直な姿勢から傾斜した姿勢になるようにモールドを回動させる。モールドをこのように回動させるには、この動きを事前にティーチングする等の工程が必要になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2008−62633号公報
【特許文献2】特開2004−167744号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、複雑な形状の成形面を有するモールドであっても、人手をかけずに、成形面の損傷を防止しつつ汚れを効率よく除去できるモールドの洗浄システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため本発明のモールドの洗浄システムは、レーザ発振器と、このレーザ発振器からのレーザ光をモールドの成形面に照射するレーザヘッドと、このレーザヘッドを3次元に自在移動させるアームと、このアームの動きを制御する制御装置とを備えたモールドの洗浄システムにおいて、洗浄するモールド毎に付されたそのモールドを示す識別マークと、この識別マークが付されたモールドの成形面の形状データとが関連付けて予め記憶されているデータベースと、前記識別マークを検知するマーク検知器とを備え、モールドを洗浄する際に前記マーク検知器により検知されたこのモールドに付された識別マークに基づいて、前記データベースに記憶されているこのモールドの成形面の形状データを取得し、この取得した形状データに基づいて前記アームの動きを制御することにより、前記レーザヘッドをその成形面に沿って移動させつつ、レーザ光を照射してその成形面を洗浄することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、モールドを洗浄する際に、洗浄するモールドに付された識別マークをマーク検知器により検知し、検知した識別マークに基づいて、データベースに記憶されているこのモールドの成形面の形状データを自動的に取得するので、洗浄する度に洗浄対象となるモールドの成形面の形状データを呼び出し、さらに、モールド実物と形状データとの対応関係を確認する人手を介した作業が不要になる。そして、データベースから取得した形状データに基づいて、レーザヘッドをその成形面に沿って移動させつつ、レーザ光を照射してその成形面を洗浄するので、複雑な形状の成形面を有するモールドであっても、人手をかけることなく、成形面の損傷を防止しつつ汚れを効率よく除去することが可能になる。
【0011】
ここで、例えば、前記成形面の画像データを取得するカメラを備え、このカメラにより取得された前記画像データに基づいてその成形面の洗浄状態を把握し、この把握した洗浄状態およびその成形面の位置情報を前記制御装置に記憶し、前記把握した洗浄状態が予め設定されている基準に満たない成形面の位置に対して、再度、前記レーザヘッドから前記レーザ光を照射して洗浄を行なう設定にすることもできる。この設定にすると、特に汚れている位置(範囲)だけを後から再洗浄するので、汚れを効率よく綺麗に除去するには有利になる。
【0012】
前記レーザヘッドとして、レーザ照射幅が異なる複数のレーザヘッドを備え、予め設定されている特定の部位に対しては、相対的にレーザ照射幅が小さいレーザヘッドを用いて、または、相対的にレーザ照射幅が大きいレーザヘッドに加えて相対的にレーザ照射幅が小さいレーザヘッドを用いて洗浄を行なう設定することもできる。この設定にすると、比較的平坦で広い部位に対しては相対的にレーザ照射幅が大きいレーザヘッドを用いることで洗浄を短時間で完了することができる。一方、成形面の狭い範囲に凹凸が複雑に入り込んだ部位に対しては、相対的にレーザ照射幅が小さいレーザヘッドを用いることで、複雑な形状の部分にもムラなくレーザ光を照射できるので、汚れを綺麗に除去することができる。
【0013】
前記レーザ光が照射されている前記成形面の温度を逐次検知する温度センサを備え、この温度センサによる検知温度が予め設定されている許容温度を超えた場合には、前記レーザ光の照射を中断する設定にすることもできる。この設定の場合には、照射するレーザ光によって成形面が過度に加熱されることが回避できる。即ち、成形面がレーザ光によって熱変形する不具合を防止できる。
【0014】
スタッドレスタイヤ加硫用モールドは成形面が複雑な形状であり、空気入りタイヤ加硫用鋳継ぎモールドは成形面に微小なすき間が形成されているが、本発明を適用することにより、成形面の損傷を防止しつつ汚れを効率よく除去できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明のモールドの洗浄システムを平面視で例示する説明図である。
図2】スタッドレスタイヤ加硫用モールドの成形面を平面視で例示する説明図である。
図3】鋳継ぎモールドの成形面を拡大して断面視で例示する説明図である。
図4】レーザヘッドと洗浄するモールドとを側面視で例示する説明図である。
図5】レーザヘッドと洗浄するモールドとを正面視で例示する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明のモールドの洗浄システムを図に示した実施形態に基づいて説明する。
【0017】
以下の説明では、タイヤ加硫用モールドを洗浄対象としているが、本発明はタイヤに限らずゴム製品を加硫するためのモールドの洗浄に用いることができる。
【0018】
図1に例示する本発明のモールドの洗浄システム1は、レーザ発振器2と、レーザヘッド4と、レーザヘッド4が取り付けられるアーム6と、アーム6の動きを制御する制御装置7と、データベース8と、マーク検知器3aとを備えている。この実施形態では、更にモールド11の成形面12の画像データを取得するカメラ3bと、レーザ光Lが照射されている成形面12の温度を逐次検知する温度センサ3cとを備えている。マーク検知器3aによる検知データ、カメラ3bが取得した画像データ、温度センサ3cが検知した温度データは制御装置7に入力される。
【0019】
レーザ発振器2を除いて洗浄システム1の主な構成要素は、閉空間となる洗浄ブース9の内部に配置されている。洗浄ブース9には入口扉9aと出口扉9bとが設けられていて、入口扉9aおよび出口扉9bが閉じられると閉空間になり、レーザ光Lを遮蔽できる構造になっている。
【0020】
入口扉9aには搬入用コンベヤ装置10aが接続され、出口扉9bには搬出用コンベヤ装置10cが接続されている。搬入用コンベヤ装置10aと搬出用コンベヤ装置10cとの間は洗浄ブース9の内部空間になり、この位置には処理用コンベヤ装置10bが配置されている。この実施形態では処理用コンベヤ装置10bは円弧状に曲がって延設されている。搬入用コンベヤ装置10aには洗浄されるモールド11が載置され、搬出用コンベヤ装置10cには洗浄されたモールド11が載置される。処理用コンベヤ装置10bはモールド11を洗浄する際の処理台として機能する。
【0021】
レーザ発振器2とレーザヘッド4とは光ファイバーケーブル2aによって接続されている。レーザ発振器2により供給されたレーザ光Lは光ファイバーケーブル2aを通じてレーザヘッド4に送られる。本発明で使用するレーザ光LとしてはYAGレーザ光が好ましい。
【0022】
レーザヘッド4により、レーザ光Lがモールド11の成形面12に照射される。アーム6はアームベース5に回転自在に取り付けられていて、複数のアーム部6a、6bを回転自在に接続して構成されている。アーム6の先端部にレーザヘッド4が着脱自在に装着される。したがって、アーム6の動きを制御することにより、レーザヘッド4を3次元に自在移動させることができる。
【0023】
この実施形態では、レーザ照射幅が異なる複数のレーザヘッド4a、4bを備えている。一方は相対的にレーザ照射幅が大きいレーザヘッド4aであり、他方は相対的にレーザ照射幅が小さいレーザヘッド4bである。一方のレーザヘッド4aは、ガルバノミラーを内蔵していてレーザ光Lを幅方向にスキャンして幅広に照射できる構成になっている。レーザ照射幅は可変(例えば4mm〜70mm)になっている。他方のレーザヘッド4bは、ピンポイントにレーザ光Lを照射する。レーザ照射幅が可変のレーザヘッド4aを複数備えて、互いのレーザ照射幅を異ならせてもよい。レーザ発振器2の発振周波数は例えば、10kHz〜40kHzである。レーザヘッド4aからレーザ光Lを幅方向にスキャンする周波数は例えば20Hz〜150Hzである。
【0024】
データベース8は、制御装置7の記憶部に配置されている。洗浄するモールド11にはモールド11毎にそのモールド11であることを示す識別マークDが付されている。識別マークDは、刻印やラベル等を貼付することによりモールド11に付される。識別マークDは例えば、数字や文字またはこれらの組み合わせで構成される。
【0025】
データベース8には、それぞれのモールド11の成形面12の形状データが記憶されている。また、それぞれの形状データはその形状データの成形面12を有するモールド11に付された識別マークDとともにデータベース11に記憶されている。即ち、データベース8には、識別マークDが付されたモールド11の成形面12の形状データと識別マークDとが関連付けられて予め記憶されている。
【0026】
洗浄対象となるモールド11は通常タイプのモールドだけでなく、例えば図2に示すスタッドレスタイヤ加硫用モールドである。このモールド11は、成形面12に溝成形突起13、サイプ成形突起14が突設されている。溝成形突起13はモールド11の母材と一体的に鋳造されたものであり、サイプ成形突起14は別体として成形面12に取付けられたものである。モールド11の母材の材質は主にアルミニウム、サイプ成形突起14の材質は鋼等である。
【0027】
サイプ成形突起14の厚さは、0.4mm〜1.2mm程度である。溝成形突起13は、タイヤのトレッドバターンによって、例えば、複雑なトレッドパターンの場合には薄くなることがある。そのため、サイプ成形突起14や薄肉の溝成形突起13は、モールド洗浄の際には損傷し易い部分となる。尚、図2図4図5に記載されているC矢印、R矢印、W矢印は、それぞれ、モールド11に挿入して加硫するタイヤの周方向、半径方向、幅方向を示す。
【0028】
その他、洗浄対象となる別の種類のモールド11としては、例えば図3に示す空気入りタイヤ加硫用鋳継ぎモールドである。このモールド11は、第1鋳造部15を鋳造した後に第2鋳造部16を鋳造するいわゆる鋳継ぎによって製造されたものである。鋳込まれた溶融金属の凝固収縮によって第1鋳造部15と第2鋳造部16との鋳継ぎ部Mには微小すき間gが形成されている。この微小すき間gの大きさは例えば5μm〜80μmである。微小すき間gに連通させて排気穴17が形成されている。このモールド11では、タイヤ加硫時の不要なエアやガスは、成形面12から微小すき間gを通じて排気穴17に排出され、排気穴17を通じてモールド11の外部に排出される。この微小すき間gはモールド洗浄の際には損傷し易い部分となる。
【0029】
次に、この洗浄システム1を用いてモールド11の成形面12を洗浄する手順を説明する。
【0030】
まず、洗浄するモールド11を搬入用コンベヤ装置10aに載置する。次いで、入口扉9aを開き、搬入用コンベヤ装置10aおよび処理用コンベヤ装置10bを稼働して洗浄するモールド11を処理用コンベヤ装置10bの上に移動させて所定位置に位置決めする。その後、入口扉9aを閉めて洗浄ブース9を閉空間にする。洗浄ブース9が閉空間にならなければレーザ発振器2が作動しないインターロック構造になっている。
【0031】
次いで、マーク検知器3aによってモールド11に付されている識別マークDを検知する。この検知した識別マークDに基づいて、データベース8に記憶されているこのモールド11の成形面12の形状データを自動的に取得する。
【0032】
次いで、取得したそのモールド11の成形面12の形状データに基づいてアーム6の動きを制御して、図4図5に例示するようにレーザヘッド4をその成形面12に沿って移動させる。このようにレーザヘッド4を移動させつつ、レーザ発振器2から供給されたレーザ光Lを成形面12に照射する。照射したレーザ光Lによって成形面12に付着していた汚れXは除去されて洗浄される。
【0033】
ここで、レーザ光Lの照射ムラを抑えるために、レーザヘッド4の先端と、これに対向する成形面12との間隔がなるべく一定になるように維持しつつ、レーザヘッド4の移動方向およびレーザ光Lの照射方向を制御する。レーザヘッド4の移動速度はなるべく一定の速度にして洗浄対象範囲を網羅するように移動させる。
【0034】
この実施形態では、2つのレーザヘッド4a、4bを一緒に使用してレーザ光Lを照射しているが、いずれか一方のレーザヘッド4を使用した後に他方のレーザヘッド4を使用することもできる。例えば、相対的にレーザ照射幅が大きいレーザヘッド4aを洗浄対象範囲を網羅するように移動させてレーザ光Lを照射した後に、相対的にレーザ照射幅が小さいレーザヘッド4bを用いてレーザ光Lを照射する。
【0035】
上述したように、本発明によれば、モールド11を洗浄する際に、マーク検知器3aにより検知した識別マークDに基づいて、データベース8に記憶されているこのモールド11の成形面12の形状データを自動的に取得する。それ故、成形面12の異なる多数のモールド11が洗浄対象であったとしても、洗浄する度に洗浄対象となるモールド11の成形面12の形状データを呼び出し、さらに、モールド実物と形状データとの対応関係を確認する人手を介した作業が不要になる。
【0036】
そして、データベース8から取得した形状データに基づいて、レーザヘッド4をその成形面12に沿って移動させつつ、レーザ光Lを照射するので、スタッドレスタイヤ加硫用モールドや空気入りタイヤ加硫用鋳継ぎモールドのような複雑な形状の成形面12を有するモールド11であっても、人手をかけることなく、成形面12の損傷を防止しつつ汚れXを効率よく除去することが可能になる。
【0037】
この実施形態では、洗浄した成形面12の画像データをカメラ3bによって取得し、この取得した画像データに基づいてその成形面12の洗浄状態を把握する。把握した洗浄状態およびその成形面の位置情報は制御装置7に記憶しておく。成形面12のすべての範囲にレーザ光Lを照射した後に、把握した洗浄状態が予め設定されている基準に満たない成形面12の位置に対しては、再度、レーザヘッド4をその位置に移動させてレーザ光Lを照射して洗浄を行なう。マーク検知器3aにこのカメラ3bの機能を持たせて兼用させた構成にすることもできる。
【0038】
制御装置7には洗浄状態が適切(汚れXが除去されている)か不適切(汚れXが残っている)かを判断する基準が予め入力、設定されている。そこで、制御装置7により、把握した洗浄状態が予め設定されている基準を満たしているか否かを判断する。
【0039】
洗浄状態を判断する基準は、例えば、カメラ3bにより取得した成形面12の画像データの色の濃淡に基づいて設定される。ある一定以上の濃度の場合は汚れXが残っていると設定する。或いは、レーザ光Lが照射される直前と照射された直後の成形面12の画像データを取得し、両画像データを比較して色の濃淡の変化に基づいて基準を設定することもできる。色の濃淡が変化していない、または変化の度合いが小さい場合は、汚れXが残っていると設定する。このような設定にすると、特に汚れている位置(範囲)だけを後から再洗浄するので、汚れXを効率よく綺麗に除去するには有利になる。
【0040】
予め特定の部位を制御装置7に入力、設定しておき、この設定されている特定の部位に対しては、相対的にレーザ照射幅が小さいレーザヘッド4bを用いて、または、相対的にレーザ照射幅が大きいレーザヘッド4aに加えて相対的にレーザ照射幅が小さいレーザヘッド4bを用いて洗浄を行なうこともできる。特定の部位としては、例えば、図2に例示したサイプ成形突起14の根元周辺範囲などの複雑な形状の範囲や図3に例示した鋳継ぎ部Mの微小すき間gの内周面とする。
【0041】
この設定にすると、比較的平坦で広い部位に対しては相対的にレーザ照射幅が大きいレーザヘッド4aを用いることで洗浄を短時間で終えることができる。一方、成形面12の狭い範囲に凹凸が複雑に入り込んだ部位に対しては、相対的にレーザ照射幅が小さいレーザヘッド4bを用いることで、複雑な形状の部分にもムラなくレーザ光Lを照射できるので、汚れXを綺麗に除去することができる。
【0042】
レーザ光Lが照射されている成形面12の温度を温度センサ3cによって逐次検知することもできる。制御装置7には許容温度を予め入力、設定しておく。この許容温度は、モールド11の溶融温度に満たない所定温度にする。温度センサ3cによる検知温度が予め設定されている許容温度を超えた場合には、レーザ光Lの照射を中断する。例えば、意図しない要因によってレーザヘッド4の移動速度が遅くなる、停止する等の不具合があった場合であっても、この設定にしておくと、照射するレーザ光Lによって成形面12が過度に加熱されることがなくなる。即ち、成形面12がレーザ光Lによって熱変形や損傷する不具合を防止できる。
【0043】
モールド11の洗浄が完了した後は、出口扉9bを開き、処理用コンベヤベルト10bおよび搬出用コンベヤベルト10cを稼働させて洗浄が完了したモールド11を洗浄ブース9の内部から外部に移動させる。この際に、入口扉9aを開き、搬入用コンベヤベルト10aを稼働させて次に洗浄するモールド11を洗浄ブース9の外部から内部に移動させて、処理用コンベヤ10b上の所定位置に位置決めする。このようにして、順次連続的にモールド11を洗浄する。
【符号の説明】
【0044】
1 洗浄システム
2 レーザ発振器
2a 光ファイバーケーブル
3a マーク検知器
3b カメラ
3c 温度センサ
4、4a、4b レーザヘッド
5 アームベース
6 アーム
6a、6b アーム部
7 制御装置
8 データベース
9 洗浄ブース
9a 入口扉
9b 出口扉
10a 搬入用コンベヤ装置
10b 処理用コンベヤ装置(処理台)
10c 搬出用コンベヤ装置
11 モールド
12 成形面
13 溝成形突起
14 サイプ成形突起
15 第1鋳造部
16 第2鋳造部
17 排気穴
D 識別マーク
M 鋳継ぎ部
L レーザ光
X 汚れ
g 微小すき間
図1
図2
図3
図4
図5