特許第5835410号(P5835410)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5835410
(24)【登録日】2015年11月13日
(45)【発行日】2015年12月24日
(54)【発明の名称】空気入りタイヤ
(51)【国際特許分類】
   B60C 11/03 20060101AFI20151203BHJP
   B60C 11/12 20060101ALI20151203BHJP
【FI】
   B60C11/03 300D
   B60C11/12 C
   B60C11/12 D
【請求項の数】9
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2014-117607(P2014-117607)
(22)【出願日】2014年6月6日
(65)【公開番号】特開2015-229461(P2015-229461A)
(43)【公開日】2015年12月21日
【審査請求日】2015年5月11日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006714
【氏名又は名称】横浜ゴム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001368
【氏名又は名称】清流国際特許業務法人
(74)【代理人】
【識別番号】100129252
【弁理士】
【氏名又は名称】昼間 孝良
(74)【代理人】
【識別番号】100066865
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 信一
(74)【代理人】
【識別番号】100066854
【弁理士】
【氏名又は名称】野口 賢照
(74)【代理人】
【識別番号】100155033
【弁理士】
【氏名又は名称】境澤 正夫
(74)【代理人】
【識別番号】100117938
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 謙二
(74)【代理人】
【識別番号】100138287
【弁理士】
【氏名又は名称】平井 功
(72)【発明者】
【氏名】本田 稔彦
【審査官】 柳楽 隆昌
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−120055(JP,A)
【文献】 特開2007−161114(JP,A)
【文献】 特開2006−176055(JP,A)
【文献】 特開2009−274669(JP,A)
【文献】 特開平09−263110(JP,A)
【文献】 特開2013−139241(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60C 11/03
B60C 11/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
タイヤ周方向に延在して環状をなすトレッド部と、該トレッド部の両側に配置された一対のサイドウォール部と、これらサイドウォール部のタイヤ径方向内側に配置された一対のビード部とを備えた空気入りタイヤにおいて、
前記トレッド部に、タイヤ赤道の両側でタイヤ周方向に延在する一対の第1周方向主溝と、各第1周方向主溝のタイヤ幅方向外側でタイヤ周方向に沿って延在する一対の第2周方向主溝と、前記第1周方向主溝からタイヤ幅方向外側に向かって接地端まで延在する複数本の第1ラグ溝と、タイヤ周方向に隣り合う一対の第1ラグ溝間でタイヤ幅方向に延在する第2ラグ溝と、前記一対の第1ラグ溝間でタイヤ幅方向に延在する第3ラグ溝と、前記一対の第1ラグ溝間でタイヤ周方向に延在する周方向補助溝とを設け、前記一対の第1周方向主溝の相互間にセンターリブを区画し、前記第1周方向主溝と前記第2周方向主溝との間に前記第1周方向主溝及び前記第2周方向主溝の両方に面する第1ブロックと前記第1周方向主溝及び前記第2周方向主溝のいずれか一方だけに面する第2ブロック乃至第5ブロックとからなる中間ブロックの群を繰り返し単位として構成される中間ブロック列を区画し、前記第2周方向主溝のタイヤ幅方向外側に複数のショルダーブロックからなるショルダーブロック列を区画し、前記センターリブ、前記中間ブロック及び前記ショルダーブロックの各々にタイヤ幅方向に延びる複数本のサイプを設けると共に、
前記第1ブロックと前記第2ブロック及び前記第3ブロックとを区分する第2ラグ溝が屈曲し、該第2ラグ溝は屈曲点を境にしてタイヤ幅方向に対する傾斜方向が反転していることを特徴とする空気入りタイヤ。
【請求項2】
前記第1ブロックのタイヤ幅方向の最大幅W1が前記中間ブロック列の全幅W2の90%〜100%であることを特徴とする請求項1に記載の空気入りタイヤ。
【請求項3】
前記中間ブロックの群において、前記第1ブロックに隣接する第2ブロック及び第3ブロックの踏面の表面積の総和S1と前記第2ブロック及び前記第3ブロックに隣接する第4ブロック及び第5ブロックの踏面の表面積の総和S2とがS1>S2の関係にあることを特徴とする請求項1又は2に記載の空気入りタイヤ。
【請求項4】
前記表面積の総和S1と前記表面積の総和S2とが1.2≦S1/S2≦1.5の関係にあることを特徴とする請求項3に記載の空気入りタイヤ。
【請求項5】
前記第1ラグ溝の前記中間ブロック列内での最大幅G1と、前記第1ブロックと前記第2ブロック及び前記第3ブロックとを区分する第2ラグ溝の前記中間ブロック列内での最大幅G2と、前記第2ブロック及び前記第3ブロックと前記第4ブロック及び前記第5ブロックとを区分する第3ラグ溝の前記中間ブロック列内での最大幅G3とが、1.0<G1/G2≦2.5、1.0<G1/G3≦2.5の関係にあることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
【請求項6】
前記第2ラグ溝の前記屈曲点の両側部分のタイヤ幅方向に対する傾斜角度θ1が10°〜30°であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
【請求項7】
前記第2ブロック及び前記第3ブロックと前記第4ブロック及び前記第5ブロックとを区分する第3ラグ溝が屈曲していることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
【請求項8】
前記第3ラグ溝は屈曲点を境にしてタイヤ幅方向に対する傾斜方向が反転していることを特徴とする請求項に記載の空気入りタイヤ。
【請求項9】
前記第3ラグ溝の前記屈曲点の両側部分のタイヤ幅方向に対する傾斜角度θ2が10°〜30°であることを特徴とする請求項に記載の空気入りタイヤ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トレッド部にタイヤ赤道上に位置するセンターリブとその両側に位置する複数列のブロック列を設けた空気入りタイヤに関し、更に詳しくは、氷上性能及び雪上性能をバランス良く改善することを能にした空気入りタイヤに関する。
【背景技術】
【0002】
空気入りタイヤにおいて、トレッド部にタイヤ周方向に延在する複数本の周方向溝とタイヤ幅方向に延在する複数本のラグ溝とを設け、これら周方向溝及びラグ溝によりタイヤ赤道上に位置するセンターリブとその両側に位置する複数列のブロック列を区画し、各陸部に複数本のサイプを設けたトレッドパターンが提案されている(例えば、特許文献1〜3参照)。
【0003】
このようなトレッドパターンを備えた空気入りタイヤは、トレッド部に形成された周方向溝、ラグ溝及びサイプに基づいて所望の氷上性能及び雪上性能を発揮するようになっている。しかしながら、例えば、氷上ではサイプにより細分化されたブロックが踏み込み時や蹴り出し時に倒れ込むことにより、氷上でのトラクションを確保することができるが、雪上ではブロックの剛性が低過ぎると、雪柱せん断力が不足し、雪上でのトラクションを十分に確保することができなくなる。そのため、氷上及び雪上の双方において最適なトラクションを確保することができず、氷上性能及び雪上性能を同時に改善することは困難である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−120055号公報
【特許文献2】特開2010−167930号公報
【特許文献3】特開2010−188778号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、氷上性能及び雪上性能をバランス良く改善することを能にした空気入りタイヤを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するための本発明の空気入りタイヤは、タイヤ周方向に延在して環状をなすトレッド部と、該トレッド部の両側に配置された一対のサイドウォール部と、これらサイドウォール部のタイヤ径方向内側に配置された一対のビード部とを備えた空気入りタイヤにおいて、
前記トレッド部に、タイヤ赤道の両側でタイヤ周方向に延在する一対の第1周方向主溝と、各第1周方向主溝のタイヤ幅方向外側でタイヤ周方向に沿って延在する一対の第2周方向主溝と、前記第1周方向主溝からタイヤ幅方向外側に向かって接地端まで延在する複数本の第1ラグ溝と、タイヤ周方向に隣り合う一対の第1ラグ溝間でタイヤ幅方向に延在する第2ラグ溝と、前記一対の第1ラグ溝間でタイヤ幅方向に延在する第3ラグ溝と、前記一対の第1ラグ溝間でタイヤ周方向に延在する周方向補助溝とを設け、前記一対の第1周方向主溝の相互間にセンターリブを区画し、前記第1周方向主溝と前記第2周方向主溝との間に前記第1周方向主溝及び前記第2周方向主溝の両方に面する第1ブロックと前記第1周方向主溝及び前記第2周方向主溝のいずれか一方だけに面する第2ブロック乃至第5ブロックとからなる中間ブロックの群を繰り返し単位として構成される中間ブロック列を区画し、前記第2周方向主溝のタイヤ幅方向外側に複数のショルダーブロックからなるショルダーブロック列を区画し、前記センターリブ、前記中間ブロック及び前記ショルダーブロックの各々にタイヤ幅方向に延びる複数本のサイプを設けると共に、
前記第1ブロックと前記第2ブロック及び前記第3ブロックとを区分する第2ラグ溝が屈曲し、該第2ラグ溝は屈曲点を境にしてタイヤ幅方向に対する傾斜方向が反転していることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明では、第1周方向主溝と第2周方向主溝との間に広幅の第1ブロックと狭幅の第2ブロック乃至第5ブロックとからなる中間ブロックの群を繰り返し単位として含む中間ブロック列を形成することにより、相対的に剛性が高くなる第1ブロックに基づいて雪上でのトラクションを十分に確保する一方で、相対的に剛性が低く倒れ込みを生じ易い第2ブロック乃至第5ブロックに基づいて氷上でのトラクションを十分に確保することができる。これにより、氷上性能及び雪上性能をバランス良く改善することが可能になる。
【0008】
本発明において、第1ブロックのタイヤ幅方向の最大幅W1は中間ブロック列の全幅W2の90%〜100%であることが好ましい。これにより、排雪性能を損なうことなく雪上でのトラクションを増大させることができる。
【0009】
中間ブロックの群において、第1ブロックに隣接する第2ブロック及び第3ブロックの踏面の表面積の総和S1と第2ブロック及び第3ブロックに隣接する第4ブロック及び第5ブロックの踏面の表面積の総和S2とはS1>S2の関係にあることが好ましい。特に、表面積の総和S1と表面積の総和S2とは1.2≦S1/S2≦1.5の関係にあると良い。このような関係に基づいて中間ブロックの群の中で倒れ込み量に差を設けることにより、相対的に剛性が高くなる第1ブロックの存在を強調し、氷上性能及び雪上性能を効果的に改善することができる。
【0010】
第1ラグ溝の中間ブロック列内での最大幅G1と、第1ブロックと第2ブロック及び第3ブロックとを区分する第2ラグ溝の中間ブロック列内での最大幅G2と、第2ブロック及び第3ブロックと第4ブロック及び第5ブロックとを区分する第3ラグ溝の中間ブロック列内での最大幅G3とは、1.0<G1/G2≦2.5、1.0<G1/G3≦2.5の関係にあることが好ましい。これにより、相対的に剛性が高くなる第1ブロックの存在を強調し、氷上性能及び雪上性能を効果的に改善することができる。
【0011】
第1ブロックと第2ブロック及び第3ブロックとを区分する第2ラグ溝は屈曲し、かつ第2ラグ溝は屈曲点を境にしてタイヤ幅方向に対する傾斜方向が反転しているものとする。これにより、雪上でのトラクションを増大させることができる。
【0012】
また、第2ラグ溝の屈曲点の両側部分のタイヤ幅方向に対する傾斜角度θ1は10°〜30°であることが好ましい。これにより、排雪性能を損なうことなく雪上性能を改善することができ、車外騒音の低減効果も期待することができる。
【0013】
第2ブロック及び第3ブロックと第4ブロック及び第5ブロックとを区分する第3ラグ溝は屈曲していることが好ましい。特に、第3ラグ溝は屈曲点を境にしてタイヤ幅方向に対する傾斜方向が反転していることが好ましい。これにより、雪上でのトラクションを増大させることができる。
【0014】
また、第3ラグ溝の屈曲点の両側部分のタイヤ幅方向に対する傾斜角度θ2は10°〜30°であることが好ましい。これにより、排雪性能を損なうことなく雪上性能を改善することができ、車外騒音の低減効果も期待することができる。
【0015】
本発明において、雪上性能を十分に確保するために、下記式(1)で示されるスノートラクションインデックスSTIは180以上とすることが好ましい。
STI=−6.8+2202ρg+672ρs+7.6Dg・・・(1)
但し、ρg:溝密度(mm/mm2)=溝のタイヤ幅方向の延長成分の総長さ(mm)
/接地領域の総面積(mm2
ρs:サイプ密度(mm/mm2)=サイプのタイヤ幅方向の延長成分の総長さ
(mm)/接地領域の総面積(mm2
Dg:平均溝深さ(mm)
【0016】
本発明において、トレッド部の接地領域は、タイヤを正規リムにリム組みして正規内圧を充填した状態で平面上に垂直に置いて正規荷重を加えたときに測定されるタイヤ軸方向の接地幅に基づいて特定される。接地端は、接地領域のタイヤ軸方向の最外側位置である。「正規リム」とは、タイヤが基づいている規格を含む規格体系において、当該規格がタイヤ毎に定めるリムであり、例えば、JATMAであれば標準リム、TRAであれば“Design Rim”、或いはETRTOであれば“Measuring Rim”とする。「正規内圧」とは、タイヤが基づいている規格を含む規格体系において、各規格がタイヤ毎に定めている空気圧であり、JATMAであれば最高空気圧、TRAであれば表“TIRE ROAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES”に記載の最大値、ETRTOであれば“INFLATION PRESSURE”であるが、タイヤが乗用車である場合には180kPaとする。「正規荷重」は、タイヤが基づいている規格を含む規格体系において、各規格がタイヤ毎に定めている荷重であり、JATMAであれば最大負荷能力、TRAであれば表“TIRE ROAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES”に記載の最大値、ETRTOであれば“LOAD CAPACITY”であるが、タイヤが乗用車である場合には前記荷重の88%に相当する荷重とする。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の実施形態からなる空気入りタイヤを示す子午線断面図である。
図2図1の空気入りタイヤのトレッドパターンを示す展開図である。
図3】センターリブ及び中間ブロック列を寸法線と共に示す平面図である。
図4】センターリブ及び中間ブロック列を他の寸法線と共に示す平面図である。
図5】センターリブ及び中間ブロック列を更に他の寸法線と共に示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の構成について添付の図面を参照しながら詳細に説明する。図1図5は本発明の実施形態からなる空気入りタイヤを示すものである。
【0019】
図1に示すように、本実施形態の空気入りタイヤは、タイヤ周方向に延在して環状をなすトレッド部1と、該トレッド部1の両側に配置された一対のサイドウォール部2,2と、これらサイドウォール部2のタイヤ径方向内側に配置された一対のビード部3,3とを備えている。
【0020】
一対のビード部3,3間にはカーカス層4が装架されている。このカーカス層4は、タイヤ径方向に延びる複数本の補強コードを含み、各ビード部3に配置されたビードコア5の廻りにタイヤ内側から外側へ折り返されている。ビードコア5の外周上には断面三角形状のゴム組成物からなるビードフィラー6が配置されている。
【0021】
一方、トレッド部1におけるカーカス層4の外周側には複数層のベルト層7が埋設されている。これらベルト層7はタイヤ周方向に対して傾斜する複数本の補強コードを含み、かつ層間で補強コードが互いに交差するように配置されている。ベルト層7において、補強コードのタイヤ周方向に対する傾斜角度は例えば10°〜40°の範囲に設定されている。ベルト層7の補強コードとしては、スチールコードが好ましく使用される。ベルト層7の外周側には、高速耐久性の向上を目的として、補強コードをタイヤ周方向に対して例えば5°以下の角度で配列してなる少なくとも1層のベルトカバー層8が配置されている。ベルトカバー層8の補強コードとしては、ナイロンやアラミド等の有機繊維コードが好ましく使用される。
【0022】
なお、上述したタイヤ内部構造は空気入りタイヤにおける代表的な例を示すものであるが、これに限定されるものではない。
【0023】
図2に示すように、トレッド部1には、タイヤ赤道CLの両側でタイヤ周方向に沿って延在する一対の第1周方向主溝11と、各第1周方向主溝11のタイヤ幅方向外側でタイヤ周方向に沿って延在する一対の第2周方向主溝12と、第1周方向主溝11からタイヤ幅方向外側に向かって少なくとも接地端Eまで延在する複数本の第1ラグ溝21と、タイヤ周方向に隣り合う一対の第1ラグ溝21,21間でタイヤ幅方向に延在する第2ラグ溝22と、一対の第1ラグ溝21,21間でタイヤ幅方向に延在する第3ラグ溝23と、一対の第1ラグ溝21,21間でタイヤ周方向に延在する周方向補助溝13が形成されている。第2ラグ溝22は第2周方向主溝12の近傍で第1ラグ溝21に合流し、第3ラグ溝23はタイヤ幅方向外側に向かって少なくとも接地端Eまで延在している。また、この空気入りタイヤは回転方向Rが指定されたタイヤであるが、第1ラグ溝21はタイヤ赤道CL側からタイヤ幅方向外側に向かって回転方向Rとは反対方向へ傾斜している。なお、第1周方向主溝11及び第2周方向主溝12は、溝幅が7mm〜10mmの範囲にあり、溝深さが8.0mm〜12.0mmの範囲にある溝である。一方、周方向補助溝13は、第1周方向主溝11及び第2周方向主溝12よりも狭く、かつ溝幅が3mm〜5mmの範囲にあり、溝深さが7.0mm〜11.0mmの範囲にある溝である。
【0024】
これにより、トレッド部1において、一対の第1周方向主溝11,11の相互間にはセンターリブ30が区画され、第1周方向主溝11と第2周方向主溝12との間には第1ブロック41A、第2ブロック41B、第3ブロック41C、第4ブロック41D及び第5ブロック41Eからなる5つの中間ブロック41の群を繰り返し単位として含む中間ブロック列40が区画され、第2周方向主溝12のタイヤ幅方向外側には複数のショルダーブロック51からなるショルダーブロック列50が区画されている。また、センターリブ30、中間ブロック列40の中間ブロック41及びショルダーブロック列50のショルダーブロック51の各々には、それぞれタイヤ幅方向に延びる複数本のサイプ32,42,52が形成されている。これらサイプ32,42,52は直線状に延在するものであっても良く、ジグザグ状に延在するものであっても良い。
【0025】
上記空気入りタイヤにおいて、中間ブロック列40は第1ブロック41A、第2ブロック41B、第3ブロック41C、第4ブロック41D及び第5ブロック41Eからなる5つの中間ブロック41の群を繰り返し単位として含んでいる。より具体的には、第1ブロック41Aは、周方向補助溝13よりもタイヤ幅方向外側に位置する第2ブロック41B及び第4ブロック41Dからなる外側列と周方向補助溝13よりもタイヤ幅方向内側に位置する第3ブロック41C及び第5ブロック41Eからなる内側列とに跨るように配置され、第1周方向主溝11及び第2周方向主溝12の両方に面するような広幅の構造を有している。また、第1ブロック41Aに隣接する第2ブロック41B及び第3ブロック41Cは、第1周方向主溝11及び第2周方向主溝12のいずれか一方だけに面するような狭幅の構造を有している。更に、第2ブロック41B及び第3ブロック41Cに隣接する第4ブロック41D及び第5ブロック41Eは、第1周方向主溝11及び第2周方向主溝12のいずれか一方だけに面するような狭幅の構造を有している。特に、第2ブロック41B乃至第5ブロック41Eが概ね平行四辺形をなしているのに対して、第1ブロック41Aは概ね台形をなしている。
【0026】
上述した空気入りタイヤでは、第1周方向主溝11と第2周方向主溝12との間に広幅の第1ブロック41Aと狭幅の第2ブロック41B乃至第5ブロック41Eとからなる中間ブロック41の群を繰り返し単位として含む中間ブロック列40を形成しているので、相対的に剛性が高くなる第1ブロック41Aに基づいて雪上でのトラクションを十分に確保することができる。一方で、相対的に剛性が低く倒れ込みを生じ易い第2ブロック41B乃至第5ブロック41Eに基づいて氷上でのトラクションを十分に確保することができる。つまり、中間ブロック41の群が雪上性能の向上に寄与する第1ブロック41Aと氷上性能の向上に寄与する第2ブロック41B乃至第5ブロック41Eを含んでいるため、氷上性能及び雪上性能をバランス良く改善することが可能になる。
【0027】
上記空気入りタイヤにおいて、図3に示すように、第1ブロック41Aのタイヤ幅方向の最大幅W1は中間ブロック列40の全幅W2の90%〜100%であると良い。これにより、排雪性能を損なうことなく雪上でのトラクションを増大させることができる。第1ブロック41Aの最大幅W1が中間ブロック列40の全幅W2の90%よりも小さいと雪上でのトラクションを増大させる効果が低下し、逆に全幅W2の100%よりも大きいと第1周方向主溝11又は第2周方向主溝12内に詰まった雪が排出され難くなるため雪上性能の改善効果が低下する。なお、中間ブロック列40の全幅W2とは、第1ブロック41Aを除いた他の中間ブロック41により特定される中間ブロック列40の総幅を意味する。
【0028】
中間ブロック41の群において、第2ブロック41B及び第3ブロック41Cの踏面の表面積の総和S1と、第4ブロック41D及び第5ブロック41Eの踏面の表面積の総和S2とは、S1>S2の関係にあると良い。特に、表面積の総和S1と表面積の総和S2とは1.2≦S1/S2≦1.5の関係にあると良い。このような関係に基づいて中間ブロック41の群の中で倒れ込み量に差を設けることにより、相対的に剛性が高くなる第1ブロック41Aの存在を強調し、氷上性能及び雪上性能を効果的に改善することができる。比S1/S2が1.2よりも小さいとブロック41B,41Cとブロック41D,41Eとの間の剛性差が小さくなり、倒れ込み量に差を設けることができず、逆に1.5よりも大きいと第4ブロック41D及び第5ブロック41Eの剛性が下がり過ぎて摩耗性能が低下する。なお、各ブロック41B〜41Eの踏面の表面積は各ブロック41B〜41Eの踏面の輪郭線で囲まれた領域の面積(サイプ面積を含む)である。
【0029】
図4に示すように、第1ラグ溝21の中間ブロック列40内での最大幅G1と、第1ブロック41Aと第2ブロック41B及び第3ブロック41Cとを区分する第2ラグ溝22の中間ブロック列40内での最大幅G2と、第2ブロック41B及び第3ブロック41Cと第4ブロック41D及び第5ブロック41Eとを区分する第3ラグ溝23の中間ブロック列40内での最大幅G3とは、1.0<G1/G2≦2.5、1.0<G1/G3≦2.5の関係にあると良い。このように第1ラグ溝21の最大幅G1を相対的に大きくすることにより、相対的に剛性が高くなる第1ブロック41Aによる効果を強調し、氷上性能及び雪上性能を効果的に改善することができる。但し、比G1/G2及び比G1/G3が2.5よりも大きいと、第2ラグ溝22及び第3ラグ溝23が過度に狭くなることで雪上性能が低下するか、或いは、第1ラグ溝21が過度に広くなることで氷上性能が低下する。
【0030】
上記空気入りタイヤにおいて、第1ブロック41Aと第2ブロック41B及び第3ブロック41Cとを区分する第2ラグ溝22は途中で屈曲している。より具体的には、図5に示すように、第2ラグ溝22は屈曲点P1を境にしてタイヤ幅方向(タイヤ赤道CLと直交する方向)に対する傾斜方向が反転している。特に、第2ラグ溝22は指定された回転方向Rとは反対方向に向かって凸となるように屈曲するのが良い。このような屈曲構造を第2ラグ溝22に与えることにより、雪上でのトラクションを増大させることができる。
【0031】
第2ラグ溝22の屈曲点P1の両側部分のタイヤ幅方向に対する傾斜角度θ1は10°〜30°であると良い。これにより、排雪性能を損なうことなく雪上性能を改善することができる。傾斜角度θ1が10°より小さいと雪上でのトラクションを増大させる効果が低下し、逆に30°よりも大きいと排雪性能が低下する。また、第2ラグ溝22を屈曲させた場合、タイヤ赤道CL側の溝内で発生した気柱共鳴音がタイヤ幅方向外側へ放出されるのを抑制し、車外騒音を低減する効果も得られる。
【0032】
同様にして、第2ブロック41B及び第3ブロック41Cと第4ブロック41D及び第5ブロック41Eとを区分する第3ラグ溝23は途中で屈曲している。より具体的には、図5に示すように、第3ラグ溝23は屈曲点P2を境にしてタイヤ幅方向(タイヤ赤道CLと直交する方向)に対する傾斜方向が反転している。特に、第3ラグ溝23は指定された回転方向Rとは反対方向に向かって凸となるように屈曲するのが良い。このような屈曲構造を第3ラグ溝23に与えることにより、雪上でのトラクションを増大させることができる。
【0033】
第3ラグ溝23の屈曲点P2の両側部分のタイヤ幅方向に対する傾斜角度θ2は10°〜30°であると良い。これにより、排雪性能を損なうことなく雪上性能を改善することができる。傾斜角度θ2が10°より小さいと雪上でのトラクションを増大させる効果が低下し、逆に30°よりも大きいと排雪性能が低下する。また、第3ラグ溝23を屈曲させた場合、タイヤ赤道CL側の溝内で発生した気柱共鳴音がタイヤ幅方向外側へ放出されるのを抑制し、車外騒音を低減する効果も得られる。
【実施例】
【0034】
タイヤサイズ225/65R17 102Qで、トレッド部と一対のサイドウォール部と一対のビード部とを備えた空気入りタイヤにおいて、トレッド部に、タイヤ赤道の両側でタイヤ周方向に沿って延在する一対の第1周方向主溝と、各第1周方向主溝のタイヤ幅方向外側でタイヤ周方向に沿って延在する一対の第2周方向主溝と、第1周方向主溝からタイヤ幅方向外側に向かって接地端まで延在する複数本の第1ラグ溝と、タイヤ周方向に隣り合う一対の第1ラグ溝間でタイヤ幅方向に延在する第2ラグ溝と、一対の第1ラグ溝間でタイヤ幅方向に延在する第3ラグ溝と、一対の第1ラグ溝間でタイヤ周方向に延在する周方向補助溝とを設け、一対の第1周方向主溝の相互間にセンターリブを区画し、第1周方向主溝と第2周方向主溝との間に第1周方向主溝及び第2周方向主溝の両方に面する第1ブロックと第1周方向主溝及び記第2周方向主溝のいずれか一方だけに面する第2ブロック乃至第5ブロックとからなる中間ブロックの群を繰り返し単位として含む中間ブロック列を区画し、第2周方向主溝のタイヤ幅方向外側に複数のショルダーブロックからなるショルダーブロック列を区画し、センターリブ、中間ブロック及びショルダーブロックの各々にタイヤ幅方向に延びる複数本のサイプを設けた実施例1〜18及び参考例1のタイヤを製作した。
【0035】
実施例1〜18及び参考例1において、第1ブロックの最大幅W1(中間ブロック列の全幅W2に対する比率)、第2ブロック及び第3ブロックの踏面の表面積の総和S1と第4ブロック及び第5ブロックの踏面の表面積の総和S2との比S1/S2、第1ラグ溝の最大幅G1と第2ラグ溝の最大幅G2との比G1/G2、第1ラグ溝の最大幅G1と第3ラグ溝の最大幅G3との比G1/G3、第2ラグ溝の傾斜角度θ1、第3ラグ溝の傾斜角度θ2を表1及び表2のように設定した。
【0036】
比較のため、各中間ブロック列をタイヤ周方向に延在する周方向補助溝で分断された2列のブロック列から構成したこと以外は実施例1と同様の構造を有する従来例のタイヤを用意した。従来例のタイヤは特開2009−120055号公報に記載の空気入りタイヤに相当するものである。
【0037】
これら試験タイヤについて、下記試験方法により、氷上駆動性能、雪上駆動性能を評価し、その結果を表1及び表2に併せて示した。各評価は、試験タイヤをリムサイズ17×7Jのホイールに組み付けて排気量2000ccの前輪駆動車に装着し、ウォームアップ後の空気圧を220kPaとした条件にて行った。
【0038】
氷上駆動性能:
各試験タイヤについて、氷上での同一条件での登坂試験を実施し、所定の区間を走行する際の走行時間を測定した。評価結果は、計測値の逆数を用い、従来例を100とする指数にて示した。この指数値が大きいほど氷上駆動性能が優れていることを意味する。
【0039】
雪上駆動性能:
各試験タイヤについて、雪上での同一条件での登坂試験を実施し、所定の区間を走行する際の走行時間を測定した。評価結果は、計測値の逆数を用い、従来例を100とする指数にて示した。この指数値が大きいほど雪上駆動性能が優れていることを意味する。
【0040】
【表1】
【0041】
【表2】
【0042】
この表1及び表2から判るように、実施例1〜18及び参考例1のタイヤは、従来例との対比において、氷上駆動性能及び雪上駆動性能が共に優れていた。
【符号の説明】
【0043】
1 トレッド部
2 サイドウォール部
3 ビード部
11 第1周方向主溝
12 第2周方向主溝
13 周方向補助溝
21 第1ラグ溝
22 第2ラグ溝
23 第3ラグ溝
30 センターリブ
32,42,52 サイプ
40 中間ブロック列
41 中間ブロック
41A〜41E 第1ブロック乃至第5ブロック
50 ショルダーブロック列
51 ショルダーブロック
図1
図2
図3
図4
図5