(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。
<フラットファイル用の用紙>
図1は、本発明の一実施の形態に係る用紙10が用いられるフラットファイル100を示す斜視図、
図2はインクで印20が印字された用紙10の表面(おもてめん)10aを示す平面図である。
図1に示したフラットファイル100は、内側に書類200を綴じたときの表紙となる用紙10と、書類200を用紙10の内側に綴じる綴じ具90とを備えている。
【0010】
綴じ具90は、書類200に形成された孔(図示省略)に通される2本の綴じ込み帯91と、綴じ込み帯91を押えて書類200を用紙10に固定する押え具92とを備える。
用紙10は、
図2に示すように、1枚の例えば板紙で平板状に形成されている。板紙は、多層抄き(積層紙)のものに限定されず、単層抄きのものも含む。用紙10の四隅の部分10cはそれぞれR(アール)が付けられて丸められている。用紙10には、長手方向Xに直交する短手方向Yに沿った複数の折筋15,16,17,18が形成されている。
【0011】
折筋15,16,18は、
図2の用紙10の紙面の手前側に凸となるように折り曲げられる、いわゆる山折用の折筋である。一方、折筋17は、
図2の用紙10の紙面の奥側に凹となるように折り曲げられる、いわゆる谷折用の折筋である。平板状の用紙10の各折筋15,16,17,18をそれぞれ折り曲げることにより、用紙10は、
図1に示すように立体的な表紙に形成される。
【0012】
図2に示すように、折筋15は、立体的に形成された状態の用紙10(
図1参照)において表表紙となる部分である表表紙部分11と背表紙となる部分である背表紙部分12とを仕切る筋となっている。折筋16は、背表紙部分12と綴じ具90が取り付けられる取付け部分13とを仕切る筋となっている。折筋18は、取付け部分13と裏表紙となる部分である裏表紙部分14とを仕切る筋となっている。
【0013】
取付け部分13は、背表紙部分12に隣接した第1取付け部分13aと、裏表紙部分14に隣接した第2取付け部分13bとを重ね合わせて形成されていて、折筋17は、第1取付け部分13aと第2取付け部分13bとを仕切る筋となっている。第1取付け部分13aと第2取付け部分13bとは、折筋17を中心とした線対称である。そして、折筋17によって折られることで、第1取付け部分13aと第2取付け部分13bとは、用紙10の表面10a同士が向かい合わせられて接触し、重ねられる。なお、フラットファイル100として使用される立体の状態では、第1取付け部分13aと第2取付け部分13bとが、両面テープやステープラなどによって、重ねられ、接触させられた状態に固定される。なお、フラットファイル100は、
図1に示すように折り曲げられた状態で、用紙10の表面10a側が外側、用紙10の裏面10b側が内側となる。
【0014】
また、第1取付け部分13aおよび第2取付け部分13bにはそれぞれ、短手方向Yに沿って並ぶ2つの取付け孔19が形成されている。これらの取付け孔19は円形に形成されている。第1取付け部分13aと第2取付け部分13bとが重ねられた状態で、第1取付け部分13aに形成された2つの取付け孔19は、それぞれ第2取付け部分13bに形成された2つの取付け孔19に重ねられる。
【0015】
取付け孔19には、第2取付け部分13bの側から、一端が取付け孔19の孔径よりも大きく形成された綴じ込み帯91(
図1参照)が通される。取付け孔19を通して第1取付け部分13aの側から出た綴じ込み帯91は、書類200(
図1参照)に形成された綴じ孔(図示せず)を通過して、綴じ具90の押え具92により押えられる。これにより、書類200は、
図1に示すように、取付け部分13に固定されてフラットファイル100に綴じられる。
【0016】
<用紙に形成された印>
また、用紙10には、
図2に示すように、画像形成装置300(後述する
図3参照)に対して特定の状態で配置させる印20が形成されている。この印20は、一例として、用紙10の表面10aであって、第1取付け部分13aと第2取付け部分13bとに形成されている。
第1取付け部分13aの表面10aと第2取付け部分13bの表面10aとは、折筋17が谷折に折り曲げられた状態で、互いに接触して向かい合って重なる。すなわち、印20は、折筋17に沿って折り曲げられた状態で、折筋17を挟む2つの面の互いに接触する領域に形成されている。したがって、表面10aの第1取付け部分13aに形成された印20および第2取付け部分13bに形成された印20は、用紙10が立体的に形成された状態で、重ね合わされた部分に隠されて、フラットファイル100の外観に現れず、外部から視認されない。なお、印20は、用紙10の表面10aであって第1取付け部分13aと第2取付け部分13bとに形成されているが、
図1に示すように、折筋15、折筋16、および折筋18によって折り曲げられた状態で、印20は、用紙10の内側になる部分に形成されていることになる。
【0017】
また、印20は、印刷やスタンプなどによって印字(印刷)されている。第1取付け部分13aに印字されている印20は、具体的には、長手方向Xに沿って表表紙部分11に先端が向いた、記号の一例としての右向き矢印のマーク21である。第2取付け部分13bに印字されている印20は、具体的には「谷折にして接着」という、記号の一例としての文字列22である。なお、右向き矢印のマーク21の先端の向いた方向は、画像形成装置300(後述する
図3参照)で印刷されるに際して、画像形成装置300に向けて用紙10が搬送される搬送向きZを示している。使用者(ユーザ)は、このマーク21に従って用紙10を画像形成装置300に設置する。
【0018】
図3は、画像形成装置300の手差しトレイ310に、用紙10が配置された状態を示す模式図である。この画像形成装置300は、例えば、電子写真方式を用いて、用紙10に文章等の文字を始めとした画像情報を印刷する機能を備えている。画像形成装置300は、
図3に示すように、手差しトレイ310に上に配置された、折筋15,16,17,18(
図2参照)が折り曲げられる前の平坦な状態の用紙10を、搬送向きZに搬送する。そして、画像形成装置300は、搬送向きZの方向に給紙され搬送された用紙10の、手差しトレイ310上で上方を向いた面に対して印刷を施す。
【0019】
この画像形成装置300で用紙10に印刷を施す場合、用紙10の表面10aであって、表表紙部分11、背表紙部分12および裏表紙部分14のうち少なくとも1つに印刷を施す。印刷の内容は、一例として、フラットファイル100に綴じられる書類200(
図1参照)の表題名、書類200の著者名や提供者名、書類200の宛名、ロゴマークや写真等の画像などである。
用紙10を画像形成装置300の手差しトレイ310に配置する場合には、用紙10の表裏のどちらの面に印刷されるか、を認識し、用紙10を正しく配置することが必要となる。
図3に示す画像形成装置300では、配置した用紙10の上方の面に印刷が施される構造を有している。そのために、用紙10の表面10aを上方に向けた状態で用紙10を配置させるように、使用者に対して印20を用いた示唆を行う。
【0020】
また、用紙10を画像形成装置300の手差しトレイ310に配置する場合、用紙10の表表紙部分11を裏表紙部分14よりも、画像形成装置300の搬送向きZの下流側に合わせて配置することが必要である。仮に、裏表紙部分14を表表紙部分11よりも搬送向きZの下流側に合わせて配置した場合、例えば、表表紙部分11に印刷しようとした内容が裏表紙部分14に、上下逆に印刷されるからである。
【0021】
図2に示す用紙10では、用紙10の表面10aに印20が形成されている。使用者が画像形成装置300の手差しトレイ310に用紙10を配置する際に、印20による示唆を受け、
図3に示すように印20が形成されている面(表面10a)を上方に向けて配置することで、画像形成装置300による印刷は、用紙10の表面10aに行われる。
また、本実施の形態の用紙10は、
図2に示すように用紙10に搬送向きZに対応した右向き矢印のマーク21が形成されている。したがって、使用者が画像形成装置300の手差しトレイ310に用紙10を配置する際に、印20による示唆を受け、
図3に示すように右向き矢印のマーク21を画像形成装置300の搬送向きZに合わせるように配置することで、画像形成装置300による印刷は、予め設定された用紙10の部分に、予め設定された向きで行われる。
【0022】
このように、印20が設けられた用紙10により、画像形成装置300に対して用紙10が特定の状態に配置される。特に、用紙10の表裏面の向きおよび用紙10の搬送方向に対する用紙の向きが特定の状態で配置される。
また、
図2に示す用紙10によれば、用紙10が折筋15,16,17,18に沿って折り曲げられた状態で、印20は外観に現れない。
尚、用紙10における印20としては、マーク21や文字列22といった記号が用いられるが、この記号としては、模様など、使用者に対して用紙10の向きや表裏面を認識させることができる他の状況認識表示を含ませることができる。
【0023】
なお、印20は、用紙10の裏面10b(
図1参照)に形成されていてもよい。
図9(A),(B)は、インクで印20が印字された用紙10の裏面(うらめん)10bを示す平面図である。
図2に示した用紙10とは、表裏が逆である。
図2に示す印20(21,22)の代わりに、
図9(A)では左向き矢印のマーク23が、
図9(B)では左向き矢印のマーク24が、印20として設けられている。
【0024】
図9(A)では、用紙10における第1取付け部分13aの裏面10bに、印20である左向き矢印のマーク23が形成されている。第1取付け部分13aの代わりに、または第1取付け部分13aとともに、第2取付け部分13bに印20を形成しても構わない。これらの印20は、接触する用紙10の間に隠れるものではないが、
図1に示すように折り曲げられた状態で、印20は内側に存在することとなる。
また、
図9(B)では、用紙10における背表紙部分12の裏面10bに、印20である左向き矢印のマーク24が形成されている。同時に第1取付け部分13aや第2取付け部分13bに印20が形成されていても構わない。同様に、これらの印20は、接触する用紙10の間に隠れるものではないが、
図1に示すように折り曲げられた状態で、印20は内側に存在することとなる。
【0025】
この
図9(A),(B)に示す態様の場合、印20が形成されていない面が表面10aであることが特定される。そして、例えば、取扱説明書や画像形成装置300にて使用者が操作を行うコントロールパネル(図示せず)などを用いて、印20を参照とした用紙10の配置方法について、使用者に対して何らかの示唆をすればよい。すなわち、
図3に示す画像形成装置300では、
図9(A),(B)に示される用紙10の裏面(うらめん)10bが下となるように、また、矢印のマーク23,24が搬送向きZの方向となるように配置される。そして、画像形成装置300にて印刷が施された後、フラットファイル100として使用される際に、この
図9(A),(B)に示す態様では、フラットファイル100の表紙として立体的に形成された状態の用紙10における裏面10bは、表表紙部分11と裏表紙部分14との間の内側の面となるため、印20は外側からは見えない。すなわち、用紙10が折筋15,16,18に沿って折り曲げられた状態で、印20は内側になる部分に形成され、外側からは見えない状態となる。
【0026】
<印の他の形態1>
図4(A),(B)は、
図2および
図9を用いて説明した印20に代えて、用紙30に、型押しで凹凸形状で形成された印40が形成された態様を説明するための図である。
図4(A)は、印40が形成された用紙30を示す、
図2相当の平面図である。
図4(B)は、
図4(A)の右向き矢印のマーク41の詳細を示す図である。用紙30は、
図2に示した用紙10に対して、印刷された印20が型押しで凹凸形状で形成された印40に代わった以外は特に異なるところはない。用紙10と共通する構成には用紙10の構成と同一の符号が付されている。
【0027】
この印40は、一例として、
図4(A)に示すように、用紙30の表面10a側にて認識が充分にできるように、第1取付け部分13aと第2取付け部分13bとに形成されている。この印40は、圧力や熱などを利用して型押しによって凹凸形状で形成されている。第1取付け部分13aに形成されている印40は、具体的には、長手方向Xに沿って表表紙部分11に先端が向いた、記号の一例としての、凹凸形状で形成された右向き矢印のマーク41である。なお、右向き矢印のマーク41の輪郭の内側には、
図4(B)に示すように、カタカナで「オモテ」の文字列43も凹凸形状で形成されている。「オモテ」の文字列43は、この文字列43が形成されている面が、用紙30の表面10aであることを意味している。
【0028】
第2取付け部分13bに形成されている印40は、具体的には「セッチャク」という、記号の一例としての、凹凸形状で形成されたカタカナの文字列42である。「セッチャク」の文字列42は、第1取付け部分13aと第2取付け部分13bとを接着することを説明したものである。なお、印字と凹凸形状を組み合わせ、例えば文字列42については印20と同様に印字を採用することもできる。
【0029】
このように、本実施の形態の用紙30によれば、画像形成装置300(
図3参照)に対して用紙30が特定の状態に配置される。特に、用紙30の表裏面の向きおよび用紙30の搬送向きZが特定される。
また、本実施の形態の用紙30によれば、用紙30が折筋15,16,17,18に沿って折り曲げられた状態で、印40が外観に現れない。より具体的には、第1取付け部分13aと第2取付け部分13bとが重ね合わせられることで、接触する用紙の間に印40が隠れて外観に現れない。また、
図1に示すように用紙30が折り曲げられた状態では、第1取付け部分13aと第2取付け部分13bとが重ね合わせられた領域は、表表紙部分11と裏表紙部分14との間の内側に存在している。
【0030】
なお、印40は、用紙30の裏面10b(
図1参照)に形成されていてもよい。この場合、印40が形成されていない面が表面10aであることが特定される。フラットファイル100の表紙として立体的に形成された状態の用紙30における裏面10bは、表表紙部分11と裏表紙部分14との間の内側の面となるため、印40が内側に隠れ、印40は外側からは見えない。
【0031】
<印の他の形態2>
図5は、インクで印字された印20(
図2参照)や型押しで凹凸形状に形成された印40(
図4参照)に代えて、切欠きで形成された印60が形成された用紙50を示す、
図2相当の平面図である。
図5(A)は表面10aを示す図であり、
図5(B)は裏面10bを示す図である。用紙50は、用紙10(
図2参照)に対して、印20が印60に代わった以外は異なるところはなく、用紙10と共通する構成には用紙10の構成と同一の符号が付されている。
【0032】
この印60は、一例として、
図5に示すように、用紙50の図示上辺に、折筋17を挟んで第1取付け部分13aと第2取付け部分13bとで線対称となる形状の切欠きとして形成されている。この印60は、切欠きの角がR(アール)とされ、用紙50の四隅の部分10cにR(アール)が付けられる工程で形成されている。
【0033】
印60は、折筋17を中心にして形成されている。そして、
図5(A)に示すように、用紙50の表面10aを上方(
図5(A)の用紙50の紙面の手前側)に向けて、印60を図示の上辺に配置した姿勢で配置すると、印60の図示右側には2本の折筋15,16が配置され、印60の図示左側には1本の折筋18が配置される。
一方、
図5(B)に示すように、用紙50の裏面10bを上方(
図5(B)の用紙50の紙面の手前側)に向けて、印60を図示の上辺に配置した姿勢で配置すると、印60の図示右側には1本の折筋18が配置され、印60の図示左側には2本の折筋15,16が配置される。
【0034】
したがって、印60の形成された用紙50を画像形成装置300(
図3参照)に配置する際は、
図5(A)に示すように、印60が図示の上辺に位置され、かつ、印60よりも右側に2本の折筋(折筋15,16)が位置されるように配置することで、画像形成装置300に対して用紙50が特定の状態で配置される。
また、本実施の形態の用紙50によれば、用紙50が折筋15,16,17,18に沿って折り曲げられた状態で内側に位置することとなり、外側から見て印60が外観に現れない。または印60が見えにくくなる。
【0035】
なお、本実施の形態の用紙50は、印60と折筋15,16,18との位置関係により、用紙50の配置状態(用紙50の表裏面および搬送向き)を特定するものであるが、複数個の印60を形成して、これら複数個の印60の互いの位置関係により、用紙50の配置状態を特定するものであってもよい。
【0036】
図6は、長手方向Xに沿った2つの辺のうち一方の辺(図示では上辺)に1つの印60が形成され、他方の辺(図示では下辺)に2つの印60が形成された用紙51を示す、
図2相当の平面図である。図示の上辺に形成された1つの印60は切欠き61であり、図示の下辺に形成された2つの印60も切欠き62,63である。なお、上辺の切欠き61は、第2取付け部分13bに形成され、下辺の切欠き62,63は、第1取付け部分13aに形成されている。ここでは、切欠きの位置が異なるとともに、異なる位置には数の異なる切欠きが存在する点に特徴がある。
【0037】
このように構成された用紙51を画像形成装置300(
図3参照)に配置する際は、
図6に示すように、1つの切欠き61が形成された辺を上辺とする。このとき2つの切欠き62,63が形成された辺は下辺に配置される。そして、上辺の1つの切欠き61よりも、下辺の2つの切欠き62,63が図示右側に配置されるように、画像形成装置300に配置することで、用紙51の表裏と方向とが特定でき、用紙51の表面10aに意図した印刷が行われる。
【0038】
したがって、本実施の形態の用紙51によれば、画像形成装置300に対する用紙51の表裏と方向とが特定でき、画像形成装置300に対して用紙51が予め定めた状態に配置される。
そして、本実施の形態の用紙51によれば、用紙51が折筋17によって折り曲げられ、第1取付け部分13aと第2取付け部分13bとが重ね合わせられることで、切欠き61,62,63の箇所も重ね合わされ、印60(切欠き61,62,63)が外観から見えにくい。また、用紙51が折筋15,16,17,18に沿って折り曲げられた状態で、印60(切欠き61,62,63)が内側に位置することとなり、印60(切欠き61,62,63)が外側から見て外観に現れない。
なお、切欠きで形成された印60は、上辺や下辺などの辺に接して形成されたものに限定されず、取付け孔19と同様の貫通孔であってもよい。また、切欠きの形状は同一である必要はなく、異なった形状の切欠きを異なった位置に配置して、用紙51の表裏と方向とを特定するように構成することもできる。
【0039】
<印の他の形態3>
図7は、インクで印字された印20(
図2参照)、型押しで凹凸形状に形成された印40(
図4参照)、切欠きで形成された印60(
図5,6参照)に代えて、付加した他の部材を印80として形成した用紙70を示す、
図2相当の平面図である。用紙70は、用紙10(
図2参照)に対して、印20が印80に代わった以外は異なるところはなく、用紙10と共通する構成には用紙10の構成と同一の符号が付されている。
【0040】
この印80は、
図7に示すように、一例として、用紙70の表面10aであって、第2取付け部分13bに貼付された、第1取付け部分13aと第2取付け部分13bとを重ね合わせた状態で固定するための両面テープ81,82である。両面テープ81,82は、一方の粘着面が第2取付け部分13bに貼付されていて、第1取付け部分13aに貼付される面には離型紙が貼付されている。
また、
図7に示した用紙70の上辺に近い側に貼付された両面テープ81は、下辺に近い側に貼付された両面テープ82よりも短く形成されている。
【0041】
このように構成された本実施の形態の用紙70は、両面テープ81,82が貼付されている面(表面10a)を上方(
図7の用紙70の紙面の手前)に向け、かつ、相対的に短い両面テープ81が相対的に長い両面テープ82よりも上辺に近い側となる配置で、画像形成装置300に配置される。これにより、本実施の形態の用紙70には、画像形成装置300に意図した通りの印刷が行われる。
【0042】
したがって、本実施の形態の用紙70は、画像形成装置300に対して用紙70の表裏と方向とを特定でき、用紙70が予め定められた状態に配置される。
また、本実施の形態の用紙70によれば、両面テープ81,82の離型紙が取り除かれた状態で、用紙70が折筋15,16,17,18に沿って折り曲げられることで、両面テープ81,82は、第1取付け部分13aに貼付される。これにより、第1取付け部分13aと第2取付け部分13bとが重ね合わされた状態で、両面テープ81,82によって固定される。
また、両面テープ81,82は、第1取付け部分13aと第2取付け部分13bとが接触した状態で固定されるため、
図1に示すフラットファイル100を形成した後、表紙を開いても外観に現れない。
【0043】
<印の他の形態4>
図8は、両面テープ81,82で形成された印80(
図7参照)に代えて、自着性粘着部材83,84を印80として形成した用紙71を示す、
図7相当の平面図である。用紙71は、用紙70に対して、両面テープ81,82の印80が自着性粘着部材83,84の印80に代わった以外は異なるところはなく、用紙70と共通する構成には用紙70の構成と同一の符号が付されている。
【0044】
この印80は、
図8に示すように、一例として、用紙71の表面10aであって、第1取付け部分13aに固定された自着性粘着部材83と第2取付け部分13bに固定された自着性粘着部材84とである。自着性粘着部材83は、先端が表表紙部分11に向いた矢印形状に形成されていて、自着性粘着部材84は、矩形状に形成されている。
自着性粘着部材83と自着性粘着部材84とは、折筋17が折り曲げられて第1取付け部分13aと第2取付け部分13bとが重ね合わされた状態で、対向する位置に形成されている。自着性粘着部材83と自着性粘着部材84とは、塗布された形状が異なる以外は異なるところがなく、同じ材料で形成されている。
ここで、自着性粘着部材83,84は、自着性粘着部材83,84同士では接着されるが、自着性粘着部材83,84とは異なる材料との間では接着しない特性を有する部材である。
【0045】
このように構成された本実施の形態の用紙71は、自着性粘着部材83,84が固定されている面(表面10a)を上方(
図8の用紙71の紙面の手前)に向け、かつ、自着性粘着部材83の矢印形状を、画像形成装置300の搬送向きZに合わせるように配置することで、画像形成装置300による印刷は、予め設定された用紙71の部分に、予め設定された向きで行われる。
【0046】
したがって、本実施の形態の用紙71は、画像形成装置300に対して用紙71が特定の状態に配置される。
また、本実施の形態の用紙71によれば、用紙71が折筋15,16,17,18に沿って折り曲げられることで、自着性粘着部材83と自着性粘着部材84とが密着する。これにより、第1取付け部分13aと第2取付け部分13bとが重ね合わされた状態で、自着性粘着部材83,84によって固定される。
また、第1取付け部分13aと第2取付け部分13bとが接触した状態で固定されるため、
図1に示すフラットファイル100を形成した後、表紙を開いても自着性粘着部材83,84は外観に現れない。
【0047】
上述した各実施の形態の用紙10,30,50,51,70,71は、一例として、フラットファイル100に用いられる用紙に適用されるものである。ここで、一般にフラットファイルは、1枚の用紙を折筋で折り曲げることで、少なくとも表表紙と裏表紙とを形成し、表表紙と裏表紙とで挟まれた内側の空間に書類等が綴じられる。したがって、フラットファイルに用いられる用紙は、少なくとも表表紙部分11(
図1参照)および裏表紙部分14を備えたものであればよく、背表紙部分12や取付け部分13を含まないものであってもよい。
また、本発明における用紙は、全体が単一の種類の材料(例えば紙)で形成されたものでなくてもよく、例えば、板紙の一部に、透明な樹脂材料で形成されたシート等を含むものであってもよい。
なお、本発明の用紙は板紙に限定されるものではない。
【0048】
<印がフラットファイル以外に用いられる態様例>
本発明は、フラットファイル以外のものに用いられる用紙であってもよい。すなわち、本発明は、例えば、包装容器の一例としての箱(箱の収容部分のみや箱の蓋部分のみも含む。)を形成するための用紙に適用されてもよい。
【0049】
図10(A),(B)は、包装容器の一例としての箱を形成するための用紙に、画像形成装置に対して特定の状態で配置させるための印が形成される一態様を示した図である。
図10(A)は、身箱400、ふた箱500の、折り曲げ前の画像形成装置に対して搬送できる用紙の状態を示した平面図である。また、
図10(B)は、
図10(A)に示す身箱400、ふた箱500を折り曲げて、立体的な箱が作成された状態を示す斜視図である。身箱400に品物を入れ、ふた箱500をかぶせる態様で用いられる。
【0050】
身箱400の用紙は、谷折り用の折筋416,417が設けられ、第1取付け部分413aと第2取付け部分413bとが重ね合わされて、立体的な身箱400が形成される。用紙の表面410aには、重ね合わされる第2取付け部分413bに、印420が形成されている。具体的には、用紙の搬送方向を示す矢印のマーク421(印420の一例)と、「のりしろ」という記号の一例としての文字列422(印420の一例)が形成されている。重ね合わされる領域にマーク421が形成されているので、用紙が折筋416,417に沿って折り曲げられた状態で、印420が折筋を挟んで接触する用紙の間に隠れる。
【0051】
図3に示す画像形成装置300に、
図10(A)に示す身箱400の用紙を配置する場合には、マーク421に示される矢印方向を搬送向きZの方向に合わせた状態で、例えば、
図10(A)の状態から反転させて配置する。その状態で給紙されて印刷されると、
図10(B)に示す身箱400の裏面410b側に印刷が施される。一方、
図10(A)の状態のまま、反転させずに、画像形成装置300の手差しトレイ310に配置され、その状態で給紙されて印刷されると、
図10(B)に示す身箱400の表面410a側に、画像形成装置300による印刷が施される。
【0052】
ここで、
図10(B)に示す身箱400が折り曲げられた状態では、表面410a側が内側となる。矢印のマーク421は、身箱400が折り曲げられた状態で内側になる部分に形成されていることとなる。また、
図10(A)に示す例では、印420の他の例として、表面410a側に矢印のマーク430が設けられている。すなわち、このマーク430は、用紙が折筋416,417に沿って折り曲げられた状態で内側になる部分に形成されている。この場合には、身箱400にふた箱500を組み合わされた状態で、印420(マーク430)が内側に隠れるので、組み合わされた状態で印420が使用者から見えない。
尚、矢印のマーク421と、矢印のマーク430とは、印刷される面に応じて何れか一方だけが形成されていればよい。この例では、身箱400の組み立てによる接触領域に設けられ組み立てにより完全に隠すことができる点で、第2取付け部分413bに設けられた矢印のマーク421が優れる。
【0053】
ふた箱500の用紙は、山折り用の折筋516,517が設けられ、第1取付け部分513aと第2取付け部分513bとが重ね合わされて、立体的なふた箱500が形成される。用紙の表面510aには、重ね合わされる第1取付け部分513aに、印520が形成されている。具体的には、用紙の搬送方向を示す矢印のマーク521と、「のりしろ」という記号の一例としての文字列522が形成されている。重ね合わされる領域にマーク521が形成されているので、用紙が折筋516,517に沿って折り曲げられた状態で、印520が折筋を挟んで接触する用紙の間に隠れる。
【0054】
そして、
図3に示す画像形成装置300に、
図10(A)に示すふた箱500の用紙を配置する場合には、マーク521に示される矢印方向を搬送向きZの方向に合わせた状態で、
図10(A)の状態のまま手差しトレイ310に配置する。その状態で給紙されて印刷されると、
図10(B)に示すふた箱500の表面510a側に、画像形成装置300による印刷が施される。
図10(B)に示すふた箱500が折り曲げられた状態では、裏面510b側が内側となる。矢印のマーク521は、ふた箱500が折り曲げられた状態で内側になる部分に形成されている。
【0055】
このように、包装容器としての箱を形成する用紙は、縦方向、横方向および斜め方向に多数の折筋が予め形成されていて、その折筋に沿って用紙を折り曲げることで、立体的な箱が形成される。そして、この箱の表面となる用紙の部分に、画像形成装置で印刷を行う場合にも、本発明の用紙を適用することで、画像形成装置に対して用紙が特定の状態に配置される。
【0056】
上述した各実施の形態の用紙10,30,50,51,70,71、身箱400の用紙、ふた箱500の用紙は、いずれも印20,40,60,80,420,520が、視覚的な刺激を与えるものであるが、本発明に係る用紙における印は、これらの視覚的な刺激を与える印に限定されない。すなわち、本発明に係る用紙における印は、視覚的な刺激を与える印の他、触覚的な刺激を与える印であってもよい。
【解決手段】用紙10は、用紙10の表面(おもてめん)10aであって、折筋17が谷折に折り曲げられた状態で互いに重なり合って外観に現れない第1取り付け部分13aと第2取り付け部分13bとに、画像形成装置へのセット状態、特に用紙10の表裏面の向きや搬送向きを特定させる印20として、右向き矢印のマーク21と「谷折にして接着」という文字列22とが形成されている。