(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
内燃機関と車輪とを結ぶ動力伝達経路に第一回転電機と変速機構とが設けられているとともに、前記第一回転電機により駆動される第一ポンプと、前記動力伝達経路から独立して設けられた第二回転電機により駆動される第二ポンプとを備え、
前記第一ポンプに供給される油が流通する第一油路と、当該第一油路から分岐して形成され前記第二ポンプに供給される油が流通する第二油路とを有し、前記第一ポンプから吐出された油及び前記第二ポンプから吐出された油の双方を少なくとも前記変速機構へ供給可能に構成された油供給部を更に備える車両用駆動装置を制御対象とする制御装置であって、
車両の主電源がオンとされた場合に、前記第二回転電機によって前記第二ポンプを駆動させる前に、前記第一回転電機によって前記第一ポンプを設定駆動時間駆動させ、前記設定駆動時間の経過後に前記第二ポンプを始動させる補助駆動制御を実行する補助駆動制御部と、
前記第一油路における前記第一ポンプとは反対側の開放端から前記第二油路との分岐点までの部分である共通油路部の容積に基づいて、前記共通油路部と前記第二油路の少なくとも一部とを油で満たすことができるように前記設定駆動時間を決定する駆動時間決定部と、
を備える制御装置。
車両搭載状態において、前記第一油路、前記第二油路、及び前記第二ポンプが、前記第一ポンプに対して鉛直方向における下側に配置されている請求項1から7のいずれか一項に記載の制御装置。
前記駆動時間決定部は、前記第一油路及び前記第二油路の全体を油で満たすのに要する時間以下の範囲内で前記設定駆動時間を決定する請求項1から8のいずれか一項に記載の制御装置。
【発明を実施するための形態】
【0027】
1.第一の実施形態
本発明に係る制御装置の第一の実施形態について、図面を参照して説明する。本実施形態に係る制御装置3は、駆動装置1を制御対象としている。ここで、駆動装置1は、車輪15の駆動力源として内燃機関11及び第一回転電機12の双方を備えた車両(ハイブリッド車両)を駆動するための車両用駆動装置(ハイブリッド車両用駆動装置)である。以下、本実施形態に係る制御装置3について、詳細に説明する。
【0028】
1−1.駆動装置の構成
制御装置3による制御対象となる駆動装置1の構成について説明する。本実施形態に係る駆動装置1は、
図1に示すように、内燃機関11と車輪15とを結ぶ動力伝達経路Pに第一回転電機12と変速機構13とを備えている。第一回転電機12及び変速機構13は、内燃機関11の側から記載の順に設けられている。また、駆動装置1は、第一回転電機12により駆動される第一ポンプ61と、動力伝達経路Pから独立して設けられた第二回転電機18により駆動される第二ポンプ62とを有する油供給部6(
図2を参照)を備えている。これらは、駆動装置ケース(図示せず)内に収容されている。なお、これらのうちの一部(例えば第二回転電機18や第二ポンプ62等)が駆動装置ケースの外部に設けられていても良い。
【0029】
内燃機関11は、機関内部における燃料の燃焼により駆動されて動力を取り出す原動機(ガソリンエンジン等)である。内燃機関11は、駆動装置1の入力部材としての入力軸Iに駆動連結されている。本例では、内燃機関11のクランクシャフト等の内燃機関出力軸が入力軸Iと一体回転するように駆動連結されている。内燃機関11は、第一係合装置CL1を介して第一回転電機12に駆動連結されている。なお、「駆動連結」とは、2つの回転部材が駆動力(トルクと同義)を伝達可能に連結された状態を意味する。この概念には、2つの回転部材が一体回転するように連結された状態や、1つ以上の伝動部材(軸、歯車機構、ベルト等)を介して駆動力を伝達可能に連結された状態等が含まれる。
【0030】
第一係合装置CL1は、内燃機関11と第一回転電機12とを選択的に駆動連結する係合装置である。第一係合装置CL1は、解放状態で内燃機関11と第一回転電機12との間の駆動連結を解除可能である。第一係合装置CL1は、車輪15及び第一回転電機12等から内燃機関11を切り離すための内燃機関切離用係合装置として機能する。第一係合装置CL1は、互いに係合する係合部材間に発生する摩擦力によりトルクの伝達を行うことができる摩擦係合装置(湿式多板クラッチや乾式単板クラッチ等)として構成されている。
【0031】
第一回転電機12は、ロータとステータとを有して構成され、モータ(電動機)としての機能とジェネレータ(発電機)としての機能との双方を果たすことが可能である。第一回転電機12のロータは中間軸Mと一体回転するように駆動連結されている。第一回転電機12は、インバータ装置24を介して蓄電装置25(バッテリやキャパシタ等)に電気的に接続されている(
図4を参照)。第一回転電機12は、蓄電装置25から電力の供給を受けて力行し、或いは、内燃機関11のトルク等により発電した電力を蓄電装置25に供給して蓄電させる。中間軸Mは、第一ポンプ61のポンプロータと一体回転するように駆動連結されているとともに、変速機構13に駆動連結されている。
【0032】
変速機構13は、本実施形態では、変速比(ギヤ比)の異なる複数の変速段を切替可能に構成された自動有段変速機構である。これら複数の変速段を形成するため、変速機構13は、歯車機構と、この歯車機構の回転要素の係合又は解放を行う複数の係合装置(変速用係合装置)とを備えている。これらの係合装置はそれぞれ、互いに係合する係合部材間に発生する摩擦力によりトルクの伝達を行うことができる摩擦係合装置として構成されている。これらの係合装置としては、湿式多板クラッチ(ブレーキを含む)等を用いることができる。変速機構13が有する係合装置には、第二係合装置CL2,第三係合装置CL3,・・・が含まれる。本実施形態では、変速機構13は、複数の係合装置のうちの特定の2つを直結係合状態とするとともにそれ以外を解放状態として、各時点における目標変速段を形成する。なお、特定の1つ又は特定の3つ以上を直結係合状態として目標変速段を形成する構成としても良い。このようにして、変速機構13は、複数の変速用係合装置のそれぞれの係合の状態を制御することにより複数の変速段を切替可能である。
【0033】
変速機構13は、形成される変速段について設定された変速比に基づいて、中間軸Mの回転速度を変速して出力軸Oに伝達する。ここで、変速比は、変速機構13の出力側回転部材としての出力軸Oの回転速度に対する中間軸Mの回転速度の比である。駆動装置1の出力部材でもある出力軸Oは、差動歯車装置14を介して左右2つの車輪15に駆動連結されている。出力軸Oに伝達されるトルクは、差動歯車装置14により分配されて2つの車輪15に伝達される。このようにして、駆動装置1は、内燃機関11及び第一回転電機12の一方又は双方のトルクを車輪15に伝達して車両を走行させることができる。
【0034】
動力伝達経路Pから独立して設けられた第二回転電機18は、ロータとステータとを有して構成され、モータ(電動機)としての機能を果たすことが可能である。第二回転電機18のロータは第二ポンプ62のポンプロータと一体回転するように駆動連結されている。第二回転電機18は、蓄電装置25に電気的に接続されている(
図4を参照)。第二回転電機18は、蓄電装置25から電力の供給を受けて力行し、第二ポンプ62を駆動する。
【0035】
1−2.油供給部の構成
駆動装置1に備えられる油供給部6の構成について説明する。
図2に示すように、油供給部6は、油圧発生源としての第一ポンプ61及び第二ポンプ62を備えるとともに、油流通路としての第一油路63、第二油路64、第三油路65、及び第四油路66を備えている。第一ポンプ61及び第二ポンプ62は、駆動装置ケースの底部における油溜まりとして構成された油貯留部71(いわゆるオイルパン)と油圧制御装置28との間に並列に接続されている。第一ポンプ61及び第二ポンプ62は、それぞれ独立に、油貯留部71から油を吸入して吐出可能に構成されている。これにより、油供給部6は、第一ポンプ61から吐出された油及び第二ポンプ62から吐出された油の双方を、油圧制御装置28を介して変速機構13へ供給可能に構成されている。
【0036】
第一ポンプ61は、本実施形態では内接型のギヤポンプとして構成されている。第一ポンプ61のポンプロータは、中間軸Mを介して第一回転電機12のロータと一体回転するように駆動連結されている。これにより、第一ポンプ61は第一回転電機12により駆動される。車両の通常走行時には車輪15の駆動力源として機能し得る高出力の第一回転電機12により駆動される第一ポンプ61は、第二ポンプ62との比較において、吐出能力が大きいポンプとなっている。
【0037】
第二ポンプ62は、本実施形態では内接型のギヤポンプとして構成されている。第二ポンプ62のポンプロータは、駆動軸19を介して、第二回転電機18のロータと一体回転するように駆動連結されている。これにより、第二ポンプ62は第二回転電機18により駆動される。第二ポンプ62は、第一ポンプ61(第一回転電機12)の停止時に、第一ポンプ61に代わって油を吐出して油圧を発生させるための補助ポンプとして主に機能する。そのため、第二ポンプ62としては、第一ポンプ61よりも吐出能力の低いポンプが用いられている。第二ポンプ62の吐出能力は、例えば第一ポンプ61の吐出能力の1/5〜1/3に設定されている。このような設定とすることで、比較的小型の第二ポンプ62を用いることができるとともに、その動力源にも比較的小型の第二回転電機18を用いることができる。
【0038】
なお、第一ポンプ61及び第二ポンプ62は、外接型のギヤポンプやトロコイドポンプ、ベーンポンプ等であっても良い。
【0039】
第一ポンプ61の吸入ポート61aには、油貯留部71に連通する第一油路63が接続されている。第一油路63における第一ポンプ61(吸入ポート61a)とは反対側には、油吸入口72が設けられている。油吸入口72は、油中の異物やゴミを濾過するためのスクリーン(フィルタ)を内蔵しており、いわゆるストレーナとして機能する。本実施形態では、油吸入口72の油貯留部71側の端部が、第一油路63の開放端67となる。油貯留部71に溜まった油は、油吸入口72から吸入され、第一油路63を流通して第一ポンプ61に供給される。
【0040】
第二ポンプ62の吸入ポート62aには、第一油路63に連通する第二油路64が接続されている。言い換えれば、第二油路64は、第一油路63から分岐して第二ポンプ62に接続されるように形成されている。油貯留部71から油吸入口72を介して吸入され、第一油路63を流通する油の一部は、第一油路63と第二油路64との分岐点68から、第二油路64を流通して第二ポンプ62に供給される。
【0041】
このように、油供給部6は、第一ポンプ61及び第二ポンプ62に共通の供給油路(共通油路部63c)を有する。本実施形態では、共通油路部63cは、第一油路63における、油吸入口72側の開放端67から第二油路64との分岐点68までの部分である。第一油路63における共通油路部63cを通って吸入された油は、各ポンプ61,62の駆動状態に応じて、そのまま第一油路63を通って第一ポンプ61に供給され、及び/又は、第二油路64を通って第二ポンプ62に供給される。
【0042】
第一ポンプ61の吐出ポート61bには、油圧制御装置28に連通する第三油路65が接続されている。第一ポンプ61から吐出された油は、第三油路65を流通して油圧制御装置28に供給される。第二ポンプ62の吐出ポート62bには、第三油路65に連通する第四油路66が接続されている。第二ポンプ62から吐出された油は、第四油路66を流通し、第三油路65と第四油路66との合流点69から、第三油路65を流通して油圧制御装置28に供給される。なお、油供給部6は、第三油路65における第四油路66との合流点69から油圧制御装置28への接続端までの部分である、第2の共通油路部65cを有する。
【0043】
このように、油供給部6は、第一回転電機12により第一ポンプ61を駆動することで、油貯留部71に溜まった油を、第一油路63及び第三油路65を介して油圧制御装置28に供給することが可能である。また、油供給部6は、第二回転電機18により第二ポンプ62を駆動することで、油貯留部71に溜まった油を、油路63(63c),64,66,65(65c)を介して油圧制御装置28に供給することが可能である。油圧制御装置28に供給された油は、所定油圧に調整された後、各係合装置CL1,CL2,CL3,・・・に供給される(
図4を参照)。
【0044】
なお、第三油路65における合流点69よりも上流側には、第一逆止弁74が設けられている。第一逆止弁74は、合流点69側への油の流通のみを許容し、それとは逆方向となる第一ポンプ61側への油の流通を規制する。第四油路66には、第二逆止弁75が設けられている。第二逆止弁75は、合流点69側への油の流通のみを許容し、それとは逆方向となる第二ポンプ62側への油の流通を規制する。これにより、第一ポンプ61から吐出された油が合流点69から第二ポンプ62側へ向かうことが防止されるとともに、第二ポンプ62から吐出された油が合流点69から第一ポンプ61側へ向かうことが防止される。よって、第一ポンプ61及び第二ポンプ62による油の供給効率が高められている。
【0045】
油供給部6を構成する第一油路63、第二油路64、及び第二ポンプ62は、
図3に示すように、車両搭載状態において、第一ポンプ61に対して鉛直方向Vにおける下側に配置されている。本実施形態では、第一油路63は、第一ポンプ61から少なくとも鉛直方向Vの下側に延びるように形成されている。また、図示の例では、第二油路64は、第一油路63から水平方向Hに延びるように形成されている。第二油路64及び第二ポンプ62は、油貯留部71に溜まった油の油面よりも鉛直方向Vの上側に配置されている。なお、第二油路64が、第一油路63から水平方向Hに対して傾斜して延びるように形成されても良い。第二油路64は、その全体が第一ポンプ61の吸入ポート61aよりも鉛直方向Vの下側に配置されていれば良い。
【0046】
1−3.制御装置の構成
本実施形態に係る制御装置3の構成について説明する。
図4に示すように、本実施形態に係る制御装置3は、複数の機能部を備え、主に第一回転電機12、第二回転電機18、第一係合装置CL1、及び変速用係合装置(第二係合装置CL2,第三係合装置CL3,・・・)を制御する。複数の機能部は、互いに情報の受け渡しを行うことができるように構成されている。制御装置3は、内燃機関11を制御する内燃機関制御ユニット21との間でも、情報の受け渡しを行うことができるように構成されている。制御装置3は、車両の各部に備えられたセンサSe1〜Se6による検出結果の情報を取得可能に構成されている。
【0047】
第一回転センサSe1は、第一回転電機12のロータ(中間軸M)の回転速度を検出するセンサである。第二回転センサSe2は、第二回転電機18のロータの回転速度を検出するセンサである。第三回転センサSe3は、出力軸Oの回転速度を検出するセンサである。制御装置3は、第三回転センサSe3による検出結果に基づいて車輪15の回転速度や車速を導出することが可能である。主電源センサSe4は、車両の主電源のオン/オフを検出するセンサである。油温センサSe5は、油貯留部71に貯留されている油の温度(油温)を検出するセンサである。レバー位置センサSe6は、シフトレバー(図示せず)の位置を検出するセンサである。なお、これら以外にも、例えば内燃機関11(入力軸I)の回転速度を検出するセンサや、アクセル開度を検出するセンサ、SOC(state of charge:充電状態)を検出するセンサ等、ハイブリッド車両に通常備えられる各種センサが備えられている。
【0048】
内燃機関制御ユニット21は、内燃機関11を制御する。内燃機関制御ユニット21は、車速とアクセル開度とに基づいて決定される要求駆動力に基づいて、内燃機関11の目標トルク及び目標回転速度を決定する。内燃機関制御ユニット21は、これらの制御目標に応じて内燃機関11の動作を制御する。
【0049】
本実施形態では、内燃機関制御ユニット21は、油温が所定の暖機必要温度域内にある場合に暖機運転制御を実行する。内燃機関制御ユニット21は、油温が所定の暖機判定閾値WT以下であることを条件として暖機必要温度域内にあると判定し、暖機運転制御を実行する。暖機運転制御は、内燃機関11の内部の構成部品どうしの馴染みを促進し、各部が滑らかかつ確実に動作するようにするべく、内燃機関11を低回転低負荷で駆動させる制御である。この暖機運転制御により、内燃機関11の内部の温度を高め、潤滑のための油を各部へと行き亘らせたり、各部が本来の性能を発揮できる状態となるように部品どうしのクリアランスを適正化したりすることができる。本実施形態では、暖機運転制御は第一係合装置CL1の解放状態で実行される。暖機判定閾値WTは、冷間時における油温に基づいて設定されている。例えば、冷間時における油温を予め実験的に求めておき、それに所定の余裕分を加味した油温(経験的に求まる油温よりも高い油温)を暖機判定閾値WTに設定することができる。地域毎に異なる暖機判定閾値WTが設定されても良い。
【0050】
モード指令受付部31は、走行モードと停車モードとのいずれかのモードの選択を受け付ける機能部である。ここで、走行モードは車両を走行可能とするモードであり、停車モードは車両を走行不可能とするモードである。モード指令受付部31は、レバー位置センサSe6により検出されるシフトレバーの位置に基づいてモードの選択を受け付ける。本実施形態では、シフトレバーの位置は、例えば駐車位置(Pレンジ位置)、中立位置(Nレンジ位置)、前進走行位置(例えばDレンジ位置)、及び後進走行位置(例えばRレンジ位置)の中から択一的に選択可能である。本実施形態では、モード指令受付部31は、シフトレバーが停車位置又は中立位置にある場合に、停車モードの選択を受け付ける。また、モード指令受付部31は、シフトレバーが前進走行位置又は後進走行位置にある場合に、走行モードの選択を受け付ける。
【0051】
モード種別決定部32は、走行モードの選択が受け付けられた場合に、その走行モードにおけるモード種別を決定する機能部である。モード種別決定部32は、例えばモード選択マップ(図示せず)を参照し、車速、アクセル開度、及び蓄電装置25の蓄電量(SOC)等に基づいて、駆動装置1で実現すべきモード種別を決定する。本実施形態では、モード種別決定部32が選択可能なモード種別には、電動走行モード(EVモード)とハイブリッド走行モード(HEVモード)とが含まれる。電動走行モードでは、第一係合装置CL1が解放状態とされ、第一回転電機12のトルクを車輪15に伝達させて車両を走行させる。ハイブリッド走行モードでは、第一係合装置CL1が直結係合状態とされ、内燃機関11及び第一回転電機12の双方のトルクを車輪15に伝達させて車両を走行させる。なお、これら以外の走行モードが選択可能に構成されても良い。本実施形態では、停車状態からの車両の発進時には、モード種別決定部32は電動走行モードをモード種別として決定するものとする。
【0052】
目標変速段決定部33は、目標変速段を決定する機能部である。目標変速段決定部33は、例えば変速マップ(図示せず)を参照し、車速及びアクセル開度等に基づいて、変速機構13で形成すべき目標変速段を決定する。本実施形態では、停車状態からの車両の発進時には、目標変速段決定部33は第1速段を目標変速段として決定するものとする。
【0053】
第一回転電機制御部34は、第一回転電機12を制御する機能部である。第一回転電機制御部34は、車速とアクセル開度とに基づいて決定される要求駆動力に基づいて、第一回転電機12の目標トルク及び目標回転速度を決定する。第一回転電機制御部34は、これらの制御目標に応じて第一回転電機12の動作を制御する。
【0054】
第二回転電機制御部35は、第二回転電機18を制御する機能部である。第二回転電機制御部35は、第二ポンプ62を駆動するための第二回転電機18の目標回転速度を決定し、この制御目標に応じて第二回転電機18の動作を制御する。
【0055】
油圧制御部36は、各係合装置CL1,CL2,CL3,・・・への油圧の供給を制御する機能部である。油圧制御部36は、決定されたモード種別及び目標変速段等に応じて各係合装置に対する油圧指令を出力し、油圧制御装置28にて各係合装置に供給される油圧を制御する。油圧制御部36は、油圧指令に応じて比例ソレノイド等で各係合装置への供給油圧を連続的に制御可能である。これにより、油圧制御部36は、各係合装置の係合圧の増減をそれぞれ連続的に制御して、各係合装置の係合の状態を制御する。例えば、油圧制御部36は、対象となる係合装置(対象係合装置)への供給油圧を解放境界圧未満とすることにより、当該対象係合装置を解放状態とする。また、油圧制御部36は、対象係合装置への供給油圧を係合境界圧以上とすることにより、当該対象係合装置を直結係合状態とする。また、油圧制御部36は、対象係合装置への供給油圧を解放境界圧以上係合境界圧未満のスリップ係合圧とすることにより、当該対象係合装置をスリップ係合状態とする。
【0056】
なお、「解放状態」は、対象係合装置により係合される2つの係合部材間で回転及びトルクが伝達されない状態を意味する。「直結係合状態」は、2つの係合部材が一体回転する状態で係合されている状態を意味する。「スリップ係合状態」は、2つの係合部材が差回転を有する状態でトルクを伝達可能に係合されている状態を意味する。対象係合装置のスリップ係合状態では、2つの係合部材が相対回転する状態で、回転速度が高い方の係合部材から低い方の係合部材に向かってトルクが伝達される。
【0057】
本実施形態では、油圧制御部36は、決定されたモード種別に応じて第一係合装置CL1への供給油圧を制御する。また、油圧制御部36は、決定された目標変速段に応じて変速用の各係合装置CL2,CL3,・・・への供給油圧を制御する。このとき、本実施形態では、油圧制御部36は、複数の係合装置のうち、目標変速段に応じた特定の2つを直結係合状態とするように各係合装置への供給油圧を制御する。そして、油圧制御部36は、各係合装置への供給油圧をそれぞれ制御して、それぞれの係合の状態を制御することにより、変速機構13で実現される変速段を切り替える。本実施形態では、油圧制御部36が本発明における「係合制御部」に相当する。
【0058】
なお、本実施形態では、第1速段は、第二係合装置CL2及び第三係合装置CL3の直結係合状態で形成されるものとする。本実施形態では、第二係合装置CL2及び第三係合装置CL3は、油圧が供給されていない状態で解放状態となるいわゆるノーマルオープン型の係合装置とされている。なお、第三係合装置CL3には、連結された回転部材の回転方向を一方向にのみ許容するいわゆるワンウェイクラッチが併設され、車両の発進時には、第二係合装置CL2の直結係合状態かつワンウェイクラッチの固定状態で第1速段が形成される。その後、第三係合装置CL3が直結係合状態とされる。本実施形態では、発進用の第1速段を形成するための第二係合装置CL2及び第三係合装置CL3のうち、ワンウェイクラッチとは代替関係にない方の係合装置である第二係合装置CL2を、「発進用係合装置CLs」と称する。
【0059】
ところで、本実施形態では、燃費向上等の目的で、車両の停車時には内燃機関11及び第一回転電機12が停止される仕様となっている。この場合、第一回転電機12が停止されることで第一ポンプ61も停止されるので、変速機構13に備えられる各係合装置(ここでは特に、発進用係合装置CLs)の直結係合状態を維持することができない。そこで、基本的には、従来公知のように第一回転電機12の停止中に第二回転電機18により第二ポンプ62が駆動され、油圧制御装置28により所定油圧に調整された油が発進用係合装置CLsに供給される。これにより、車両の停車時においても、第二ポンプ62から供給される油によって発進用係合装置CLsの直結係合状態が実現されて発進用の第1速段が形成される。
【0060】
しかし、車両の主電源がオフとされてから長時間が経過したような場合には、油供給部6における各ポンプ61,62に対して上流側の油路(第一油路63及び第二油路64)内の油が、自重により油貯留部71に戻されて空気に置換されている可能性が高い。このような状態で車両の主電源がオンとされて第二ポンプ62が駆動された場合には、第一油路63及び第二油路64内に存在する空気が吐き出された後に初めて実際に油圧が生じ始める。そのため、発進用係合装置CLsが実際に直結係合状態となるのが遅れてしまう可能性がある。発進用係合装置CLsの直結係合状態への移行の遅れは、発進遅れや駆動力不足等につながるので好ましくない。そこで、本実施形態に係る制御装置3は、車両の主電源がオフとされてから長時間が経過したような場合にも、発進用係合装置CLsに対して早期に油を供給可能とするための機能を備えている。このような機能は、補助駆動制御部41と駆動時間決定部42とを中核として実現される。
【0061】
補助駆動制御部41は、車両の主電源がオンとされた場合に、補助駆動制御を実行する機能部である。車両の主電源のオン/オフは、主電源センサSe4により検出することができる。補助駆動制御の実行に際して、車両の主電源がオフからオンとされたことを条件とするのは、車両の主電源がオフとされている間に、第一油路63内及び第二油路64内に空気が混入している可能性が高いからである。本実施形態では、補助駆動制御部41は、車両の主電源がオンとされた場合には、車両の主電源がオフとされていた時間を考慮することなく補助駆動制御を実行する。
【0062】
また、補助駆動制御部41は、油温が所定の低温度域内にある場合に補助駆動制御を実行する。補助駆動制御部41は、油温が所定の低温判定閾値LT以下であることを条件として低温度域内にあると判定し、補助駆動制御を実行する。このため、補助駆動制御部41は低油温判定部41aを備えており、この低油温判定部41aは、油温センサSe5により検出される油温が予め定められた低温判定閾値LT以下であるか否かの判定(低油温判定)を行う。油温センサSe5は、例えば油貯留部71の底部等、少なくとも各ポンプ61,62に対して上流側であって実際に油が存在する位置に設置されていると好適である。低温判定閾値LTは、車両の通常駆動時との比較において、主電源オフ時の粘性抵抗が有意に高くなるような油温に設定されている。例えば、冬季及び夏季における主電源オフ時の油温をそれぞれ予め実験的に求めておき、それらの間の任意の油温を低温判定閾値LTに設定することができる。地域毎に異なる低温判定閾値LTが設定されても良い。
【0063】
なお、本実施形態では、低温判定閾値LTは、内燃機関11による暖機運転制御を実行するための基準となる暖機判定閾値WTよりも高い値に設定されている。このような低温判定閾値LTの設定では、暖機運転制御が必要となるような状況では必ず補助駆動制御も必要となる。一方、暖機運転制御が不要であっても補助駆動制御が必要となるような状況も生じ得る。
【0064】
補助駆動制御では、補助駆動制御部41は、第二回転電機18によって第二ポンプ62を駆動させる前に、第一回転電機12によって第一ポンプ61を設定駆動時間TDだけ駆動させる。補助駆動制御部41は、通常仕様に従えば直ちに第二回転電機18によって第二ポンプ62を駆動すべきところ、そうはせずに、その前にまず第一回転電機12によって第一ポンプ61を駆動させる。なお、本実施形態において、「補助駆動制御部41が第一回転電機12を駆動させる」又は「補助駆動制御部41が第一ポンプ61を駆動させる」とは、第一回転電機12を駆動するための指令を第一回転電機制御部34に出力することを言う。同様に、「補助駆動制御部41が第二回転電機18を駆動させる」又は「補助駆動制御部41が第二ポンプ62を駆動させる」とは、第二回転電機18を駆動するための指令を第二回転電機制御部35に出力することを言う。
【0065】
補助駆動制御の実行中の第一回転電機12の回転速度は、目標回転速度設定部41bにより設定される第一目標回転速度に追従するように制御される。目標回転速度設定部41bは、第一回転電機12の出力特性や車両の主電源オン時における発進前の静音性等を考慮して第一目標回転速度を設定する。目標回転速度設定部41bは、例えば低温条件下で第一回転電機12が出力可能なトルクに応じた回転速度域に第一目標回転速度を設定する。また、目標回転速度設定部41bは、例えば第一回転電機12の駆動時における作動音が車両の乗員にほとんど感知されずに済むような回転速度域に第一目標回転速度を設定する。本実施形態では、目標回転速度設定部41bは、それら両方の回転速度域に含まれる固定値として第一目標回転速度を設定する。
【0066】
補助駆動制御部41は、設定された第一目標回転速度で第一回転電機12を駆動させ、第一ポンプ61を駆動させる。この間、補助駆動制御部41は、例えば制御装置3に内蔵されたタイマー等により第一ポンプ61が始動してからの経過時間を計測する。そして、補助駆動制御部41は、上記経過時間が設定駆動時間TDに到達するまで、第一ポンプ61を駆動させる。
【0067】
本実施形態では、補助駆動制御の実行時間である設定駆動時間TDは、駆動時間決定部42により決定される。駆動時間決定部42は、第一油路63における共通油路部63cの容積に基づいて、設定駆動時間TDを決定する。また、駆動時間決定部42は、補助駆動制御中の第一回転電機12の回転速度(目標回転速度設定部41bにより設定される第一目標回転速度)にも基づいて、設定駆動時間TDを決定する。更に、駆動時間決定部42は、油温にも基づいて設定駆動時間TDを決定する。
【0068】
車両の停車中、第二ポンプ62よりも上流側の管路に混入し得る空気の体積の最大値は、第一油路63における共通油路部63cの容積と第二油路64の容積との和に等しい。このうち、第一ポンプ61を駆動させることによって直接的に油に置換可能な空気の体積は、共通油路部63cの容積分である。また、本実施形態のように、第二油路64が、第一ポンプ61に対して鉛直方向Vの下側に配置された構成では、第二油路64の少なくとも一部の容積分の空気も、容易に油に置換され得る。これらの点を考慮して、駆動時間決定部42は、共通油路部63cと第二油路64の少なくとも一部とを油で満たすことができるように、設定駆動時間TDを決定する。つまり、設定駆動時間TDは、共通油路部63cと第二油路64の少なくとも一部とを油で満たすために必要な時間として決定される。
【0069】
本実施形態では、油で置換すべき空気の目標体積として、基準容積が設定されている。この基準容積は、共通油路部63cの容積以上であって、かつ、共通油路部63cの容積と第二油路64の容積との和以下の値に設定される。ここでは例えば、共通油路部63cの容積と第二油路64の容積との和に設定される。駆動時間決定部42は、設定された基準容積と、第一ポンプ61の駆動による第一油路63内での油の吸引速度とに基づいて設定駆動時間TDを決定する。
【0070】
ここで、第一ポンプ61の駆動による第一油路63内での油の吸引速度は、第一ポンプ61の吐出能力(吸引能力)や油の粘性抵抗に依存する。また、第一ポンプ61の吐出能力は第一回転電機12の回転速度に依存し、油の粘性抵抗は油温に依存する。本実施形態では、制御装置3は、特定の基準容積に対してこれらの点を考慮して設定された設定駆動時間規定マップを記憶して備えている(
図5を参照)。
図5のマップによれば、同一油温の条件下では、設定駆動時間TDは第一回転電機12の回転速度に反比例して定まる。また、第一回転電機12の回転速度が同じであれば、油温が低くなるに従って設定駆動時間TDは長くなる。
【0071】
駆動時間決定部42は、第一回転電機12の回転速度(目標回転速度設定部41bにより設定される第一目標回転速度)と、油温センサSe5により検出される油温とに基づいて、設定駆動時間規定マップを参照して設定駆動時間TDを決定する。なお、設定駆動時間TDの最長時間は、第一油路63及び第二油路64の全体を油で満たすのに要する時間(要充填時間)に設定されている。すなわち、駆動時間決定部42は、第一油路63及び第二油路64の全体を油で満たすのに要する時間(要充填時間)以下の範囲内で設定駆動時間TDを決定する。このように、駆動時間決定部42は、共通油路部63cを油で満たすのに要する時間よりも長く、かつ、第一油路63の全体及び第二油路64の全体を油で満たすのに要する時間以下の範囲内で、設定駆動時間TDを決定することになる。
【0072】
補助駆動制御部41は、第一ポンプ61が始動してからの経過時間が、このようにして決定される設定駆動時間TDに到達するまで、第一ポンプ61を駆動させる。やがて設定駆動時間TDが経過すると、補助駆動制御部41は、その後、第一ポンプ61を停止させるとともに第二ポンプ62を始動させる。第二ポンプ62の始動により、補助駆動制御は終了する。
【0073】
補助駆動制御後の第二回転電機18の回転速度は、目標回転速度設定部41bにより設定される第二目標回転速度に追従するように制御される。目標回転速度設定部41bは、第二回転電機18の出力特性を考慮して第二目標回転速度を設定する。目標回転速度設定部41bは、例えば発進用係合装置CLsを直結係合状態とするために必要とされる油圧を確保可能な回転速度域に含まれる固定値として第二目標回転速度を設定する。設定駆動時間TDの経過後は、設定された第二目標回転速度に従って駆動される第二回転電機18により、第二ポンプ62が駆動される。これにより、車両の停車時においても、第二ポンプ62から供給される油によって発進用係合装置CLsの直結係合状態が実現されて第1速段が形成される。よって、その後アクセル操作等がなされた場合に、要求駆動力を満足させつつ迅速に車両を発進させることが可能となる。
【0074】
特に本実施形態では、補助駆動制御において、第二ポンプ62よりも吐出能力が大きい第一ポンプ61を利用して、第一油路63内に存在する空気を早期に吐き出して油で置換することができる。特に、油温が低温判定閾値LT以下であり油の粘性抵抗が高いような状況でも、第一油路63内に存在する空気を早期に吐き出して油で置換することができる。このとき、共通油路部63cの容積に基づき、更には第一回転電機12の回転速度や油温に基づいて、適切に決定される設定駆動時間TDだけ第一ポンプ61が駆動される。よって、共通油路部63cの全体と第二油路64の少なくとも一部とを油で満たすことができるとともに、相対的に高出力の第一回転電機12を駆動させる時間を比較的短く抑えることができる。
【0075】
設定駆動時間TDの経過後は、第二油路64における第一油路63側の少なくとも一部が油で満たされ、空気が残存する第二ポンプ62側の残余部分も減圧状態となっている。そのため、第二ポンプ62の始動に際して、動力源としての第二回転電機18の負荷を低減することができる。よって、体格の大きな第二回転電機18を用いる必要がないので、駆動装置1の高コスト化や大型化を抑制することができる。また、第二油路64内に残存する空気の吐き出しを早めることができるので、第二ポンプ62により、発進用係合装置CLsに早期に油を供給することができる。すなわち、発進用係合装置CLsの直結係合状態を早期に実現して、要求駆動力を満足させつつ迅速に車両を発進させることが可能な状態を早期に実現することができる。また、そのような状態を、相対的に低出力の第二回転電機18を駆動させることで実現できるので、要求駆動力を満足させつつ迅速に車両を発進させることを可能としながら、燃費の悪化を抑制することができる。
【0076】
なお、油温が暖機判定閾値WTよりも高くかつ低温判定閾値LT以下の状況では、暖機運転制御はそもそも実行されないので、暖機運転による早期の油温上昇及び粘性抵抗低下は期待できない。よって、上述した補助駆動制御が非常に有効となる。また、油温が暖機判定閾値WT以下の状況であっても、第一係合装置CL1の解放状態かつ第一回転電機12の停止状態で暖機運転制御が実行される場合には、中間軸Mが回転しないために変速機構13の内部にも動きがない。このため、暖機のために内燃機関11が駆動している状態であっても、変速機構13内の油(ATF;automatic transmission fluid)に関しては、やはり早期の油温上昇及び粘性抵抗低下は期待できない。よって、この場合にも、上述した補助駆動制御が非常に有効となる。
【0077】
本実施形態に係る制御装置3は、
図4に示すように、受付禁止制御部43を更に備えている。受付禁止制御部43は、車両の主電源がオンとされてから設定駆動時間TDが経過するまで、停車モードから走行モードへの変更の受け付けを禁止する機能部である。車両の主電源がオフからオンとされた時には、通常、シフトレバーは駐車位置にある。そこで、本実施形態のようにモード指令受付部31がシフトレバーの位置に基づいてモードの選択を受け付ける構成では、設定駆動時間TDが経過するまでは、受付禁止制御部43は例えばシフトレバーを駐車位置に固定する。そして、設定駆動時間TDの経過後に、シフトレバーの固定を解除する。なお、設定駆動時間TDが経過するまでは中立位置への移行のみを許容し、設定駆動時間TDの経過後に全ての位置への移行を許容する構成としても良い。
【0078】
このようにすれば、設定駆動時間TDの経過前であって補助駆動制御が完了しておらず、発進用係合装置CLsに早期に油を供給できる条件が整っていない状態では、停車モードから走行モードへのモード変更の受け付けが禁止される。よって、車両の運転者により走行モードへのモード変更がなされても実際には直ちに適切に車両を走行させることができないような状況が発生することを抑制できる。また、設定駆動時間TDの経過後は補助駆動制御も完了し、発進用係合装置CLsに早期に油を供給可能なので、停車モードから走行モードへのモード変更の受け付けが許可される。よって、車両の運転者によりアクセル操作等がなされた場合には、迅速に車両を発進させることができる。従って、車両の運転者に対して、違和感を与えることなく快適な操作感を提供できる。
【0079】
1−4.始動時制御処理の処理手順
本実施形態に係る補助駆動制御を含む始動時制御処理の処理手順について、
図6及び
図7を参照して説明する。なお、
図6のフローチャートには、車両の主電源がオンとされた後の処理を示している。また、
図7のタイムチャートでは、車両の主電源がオンとされたことを黒三角で示すとともに、油温が低い場合における各部の動作状態の一例を示している。
【0080】
時刻T01において車両の主電源がオンとされると始動時制御処理が開始され、まず、油温センサSe5から油温の情報が取得される(ステップ#01)。低油温判定部41aにより、取得された油温が低温判定閾値LT以下であるか否かが判定される(#02)。低温判定閾値LTよりも高い場合には(#02:No)、通常仕様に従い、直ちに第二回転電機18によって第二ポンプ62が駆動される(#10)。その後、第二ポンプ62により十分な油圧が生じ始めると、発進用係合装置CLsが直結係合状態とされて(#11)、始動時制御処理を終了する。
【0081】
油温が低温判定閾値LT以下の場合には(#02:Yes)、受付禁止制御部43により、停車モードから走行モードへの変更の受け付けが禁止される(#03)。この状態で、本願特有の補助駆動制御が実行される。補助駆動制御では、目標回転速度設定部41bにより、補助駆動制御の実行中の第一回転電機12の目標回転速度(第一目標回転速度)が設定される(#04)。本実施形態では、第一回転電機12の出力特性や発進前の静音性等を考慮した固定値に設定される。そして、設定された第一目標回転速度や、ステップ#01で取得された油温の情報に基づいて、駆動時間決定部42により、設定駆動時間規定マップを参照して設定駆動時間TDが決定される(#05)。
【0082】
また、補助駆動制御では、第二回転電機18及び第二ポンプ62を停止させたままで、補助駆動制御部41により、
図7において主電源がオンとされた時刻T01から、第一回転電機12によって第一ポンプ61が駆動される(#06)。第一ポンプ61の駆動中は、補助駆動制御部41により、第一ポンプ61が始動してからの経過時間(第一ポンプ駆動時間)が、ステップ#05で設定された設定駆動時間TDに達したか否かが判定される(#07)。第一ポンプ61は、設定駆動時間TDが経過するまでは(#07:No)、継続的に駆動される。やがて時刻T02において設定駆動時間TDが経過すると(#07:Yes)、補助駆動制御部41により、第一ポンプ61が停止される(#08)。また、受付禁止制御部43により、停車モードから走行モードへの変更の受け付けが許可される(#09)。
【0083】
その後、駆動時間決定部42により、設定駆動時間TDが経過した時刻T02から、第二回転電機18によって第二ポンプ62が駆動され(#10)、補助駆動制御が終了する。本実施形態では、補助駆動制御を実行することで、第二ポンプ62により十分な油圧が速やかに生じ始めるので、時刻T02において発進用係合装置CLsが直ちに直結係合状態とされて(#11)、始動時制御処理を終了する。
【0084】
2.第二の実施形態
本発明に係る制御装置の第二の実施形態について、図面を参照して説明する。本実施形態では、制御装置3は受付禁止制御部43を備えていない。これにより、補助駆動制御が完了しておらず発進用係合装置CLsに早期に油を供給できる条件が整っていない状態でもモード変更の受け付けが許可されている点で、上記第一の実施形態とは異なっている。そこで以下では、主に上記第一の実施形態との相違点について説明する。なお、特に明記しない点に関しては、上記第一の実施形態と同様とする。
【0085】
2−1.制御装置の構成
本実施形態では、駆動時間決定部42は、共通油路部63cだけでなく第一油路63の全体の容積に基づいて、設定駆動時間TDを決定する。駆動時間決定部42は、共通油路部63cを含む第一油路63の全体を油で満たすことができるように設定駆動時間TDを決定する。第一ポンプ61は吐出能力が高いため、このような設定駆動時間TDの設定では、設定駆動時間TDの経過前であっても、第一ポンプ61から吐出される油を油圧制御装置28に供給可能となる。このため、設定駆動時間TDの経過前に走行モードが選択されたとしても、第一ポンプ61から吐出される油によって発進用係合装置CLsをトルク伝達可能な状態とすることができる。
【0086】
より具体的には、油圧制御部36は、設定駆動時間TDの経過前に走行モードが選択された場合、発進用係合装置CLsを解放状態からスリップ係合状態に移行させるように、発進用係合装置CLsに対する油圧指令を制御する。本実施形態では、発進用係合装置CLsを介して伝達されるトルクがクリープトルク相当値となるように、発進用係合装置CLsに対する油圧指令を制御する。これにより、車両の運転者による意思を優先して、設定駆動時間TDの経過前であって補助駆動制御が完全には完了していない状態でも、車両が走行可能な状態(クリープ走行可能な状態)を実現することができる。
【0087】
この場合において、スリップ係合状態とされる発進用係合装置CLsは、伝達トルクが一定の条件下では、互いに係合される2つの係合部材間の差回転速度に比例して発熱する。車両の発進前の状態では、発進用係合装置CLsにおける出力軸O側の係合部材の回転速度はゼロであるので、上記差回転速度は第一回転電機12の回転速度に比例して定まる。つまり、発進用係合装置CLsの発熱量は、第一回転電機12の回転速度に依存する。また、発進用係合装置CLsでの発熱に伴い、発進用係合装置CLsの温度が上昇する。
【0088】
そこで、本実施形態では、目標回転速度設定部41bは、第一回転電機12の出力特性や車両の主電源オン時における発進前の静音性に加え、発進用係合装置CLsの推定発熱量又は推定温度に更に基づいて、第一目標回転速度を決定する。なお、発進用係合装置CLsの推定発熱量は、伝達トルクと2つの係合部材間の差回転速度との積に比例して算出される。また、発進用係合装置CLsの推定温度は、推定発熱量を積分するとともに冷却性能や放熱性能等も考慮して算出される。目標回転速度設定部41bは、例えば伝達トルクが一定(クリープトルク相当値)の条件下、発進用係合装置CLsの推定発熱量及び推定温度が、熱的保護を考慮して設定されたそれぞれの基準値以下となるように、第一目標回転速度を決定する。
【0089】
駆動時間決定部42は、第一回転電機12の回転速度(目標回転速度設定部41bにより設定される第一目標回転速度)に応じて設定駆動時間TDを決定する。この点は上記第一の実施形態と同様であり、駆動時間決定部42は、第一目標回転速度と油温とに基づいて、設定駆動時間規定マップを参照して設定駆動時間TDを決定する。
【0090】
このようにして設定される設定駆動時間TDの経過後は、本実施形態でも、共通油路部63cと第二油路64の少なくとも一部とが油で満たされる。このため、上記第一の実施形態と同様に、第二油路64内に残存する空気の吐き出しを早めることができ、第二ポンプ62により、発進用係合装置CLsに早期に油を供給することができる。すなわち、発進用係合装置CLsの直結係合状態を早期に実現して、要求駆動力を満足させつつ迅速に車両を発進させることが可能な状態を早期に実現することができる。
【0091】
なお、設定駆動時間TDの経過後に第二ポンプ62が始動して必要な油圧が生じ始めると、油圧制御部36は、発進用係合装置CLsをスリップ係合状態から直結係合状態に移行させるように、発進用係合装置CLsに対する油圧指令を制御する。本実施形態では、発進用係合装置CLsに供給される油圧が係合境界圧よりも大きい値となるように、発進用係合装置CLsに対する油圧指令を制御する。これにより、発進用係合装置CLsを直結係合状態に移行させる。そして、その状態を維持させることで、その後のアクセル操作等に応じて直ちに車両を加速させることができる。
【0092】
2−2.始動時制御処理の処理手順
本実施形態に係る補助駆動制御を含む始動時制御処理の処理手順について、
図8〜
図10を参照して説明する。これらの図における記載は、上記第一の実施形態における
図6及び
図7と同様である。また、
図8におけるステップ#21,#22,#30,#31の各処理は、それぞれ
図6におけるステップ#01,#02,#10,#11の各処理と同じである。
【0093】
油温が低温判定閾値LT以下の場合には(#22:Yes)、走行モードへの変更の受け付けが常に許可された状態で(
図9及び
図10も参照)、本願特有の補助駆動制御が実行される。補助駆動制御では、目標回転速度設定部41bにより、補助駆動制御の実行中の第一回転電機12の目標回転速度(第一目標回転速度)が設定される(#23)。本実施形態では、発進用係合装置CLsの推定発熱量又は推定温度も考慮した可変値に設定される。そして、設定された第一目標回転速度や、ステップ#21で取得された油温の情報に基づいて、駆動時間決定部42により、設定駆動時間規定マップを参照して設定駆動時間TDが決定される(#24)。
【0094】
また、補助駆動制御では、第二回転電機18及び第二ポンプ62を停止させたままで、補助駆動制御部41により、
図9及び
図10において主電源がオンとされた時刻T11,T21から、第一回転電機12によって第一ポンプ61が駆動される(#25)。第一ポンプ61の駆動中は、モード指令受付部31により、走行モードへのモード変更が受け付けられたか否かが判定される(#26)。時刻T12,T22において走行モードへのモード変更が受け付けられると(#26:Yes)、油圧制御部36により、発進用係合装置CLsが解放状態からスリップ係合状態に移行される(#27)。なお、この間、補助駆動制御部41により、第一ポンプ61が始動してからの経過時間(第一ポンプ駆動時間)が、ステップ#24で設定された設定駆動時間TDに達したか否かが判定される(#28)。設定駆動時間TDが経過するまでは(#28:No)、ステップ#23〜#28の各処理が繰り返し実行され、第一ポンプ61は継続的に駆動される。やがて
図9の時刻T13において設定駆動時間TDが経過すると(#28:Yes)、補助駆動制御部41により、第一目標回転速度よりも低い回転速度で第一回転電機12が駆動される(#29)。
【0095】
この場合における第一回転電機12の回転速度は、クリープトルクを出力させるために必要な回転速度域に設定される。このような回転速度は、第一ポンプ61の駆動のための第一目標回転速度に比べてかなり低く設定される。そのため、設定駆動時間TDの経過後は、そのような低回転の第一回転電機12によって従動的に駆動される第一ポンプ61の吐出量は、第二ポンプ62の吐出量に比べて無視できる程度に小さくなる。従って、第一回転電機12の回転速度次第では、油の吐出量の観点から、第二ポンプ62との関係で、第一ポンプ61は実質的に停止されるとみなすこともできる。
【0096】
本実施形態では、設定駆動時間TDの経過前は、目標回転速度設定部41bにより逐次、発進用係合装置CLsの推定発熱量が算出される(#32)。そして、算出された推定発熱量に基づいて、目標回転速度設定部41bにより、第一回転電機12の目標回転速度(第一目標回転速度)が再設定される(#23)。詳細な図示は省略しているが、本実施形態では、目標回転速度設定部41bは、算出された推定発熱量が発進用係合装置CLsの熱的耐久性を考慮して予め設定された高発熱閾値HQ未満の間は、第一目標回転速度の設定値を維持する。
図10の時刻T23において推定発熱量が高発熱閾値HQ以上となると、目標回転速度設定部41bは、第一目標回転速度の設定値を小さくする。目標回転速度設定部41bは、例えば第一目標回転速度を、それ以前の設定値の例えば1/3〜1/2の値に再設定する。これにより、発進用係合装置CLsにおいて互いに係合される2つの係合部材間の差回転速度を減少させることができ、発進用係合装置CLsの更なる発熱を抑制することができる。よって、発進用係合装置CLsの発熱量ひいてはその温度を、フィードバック的に適正な範囲内に維持させることができる。
【0097】
第一目標回転速度が低下すると、第一ポンプ61の駆動による第一油路63内での油の吸引速度も低下する。そのため、ステップ#23において第一目標回転速度が再設定された場合には、駆動時間決定部42により、再設定後の第一目標回転速度に応じて、設定駆動時間TDも再設定される(#24)。具体的には、駆動時間決定部42は、第一目標回転速度が低下されることに応じて、それ以前の設定駆動時間TDに対して、それよりも長い修正設定駆動時間TD’を再設定する(
図10を参照)。修正設定駆動時間TD’が経過するまでは(#28:No)、第一ポンプ61は継続的に駆動される。やがて
図10の時刻T24において修正設定駆動時間TD’が経過すると(#28:Yes)、補助駆動制御部41により、再設定後の第一目標回転速度よりもさらに低い回転速度で第一回転電機12が駆動される(#29)。
【0098】
その後、駆動時間決定部42により、設定駆動時間TD(修正設定駆動時間TD’を含む概念)が経過した時刻T13,24から第二回転電機18によって第二ポンプ62が駆動され(#30)、補助駆動制御が終了する。本実施形態では、補助駆動制御を実行することで、第二ポンプ62により十分な油圧が速やかに生じ始めるので、時刻T13,24において発進用係合装置CLsが直ちに直結係合状態とされて(#31)、始動時制御処理を終了する。
【0099】
3.その他の実施形態
最後に、本発明に係る制御装置の、その他の実施形態について説明する。なお、以下のそれぞれの実施形態で開示される構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示される構成と組み合わせて適用することも可能である。
【0100】
(1)上記の各実施形態では、駆動時間決定部42が、共通油路部63c又は第一油路63と、第二油路64の少なくとも一部とを油で満たすことができるように設定駆動時間TDを決定する構成を例として説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されない。例えば、駆動時間決定部42が、共通油路部63cと第二油路64の所定割合以上(例えば、50%以上、75%以上、90%以上等)とを油で満たすことができるように設定駆動時間TDを決定する構成としても良い。また、駆動時間決定部42が、共通油路部63cと第二油路64の全部とを油で満たすことができるように設定駆動時間TDを決定する構成としても良い。また、駆動時間決定部42が、第一油路63の全体及び第二油路64の全体を油で満たすことができるように設定駆動時間TDを決定する構成としても良い。更に、駆動時間決定部42が、第一油路63の全体及び第二油路64の全体がちょうど油で満たされるのに要する時間として設定駆動時間TDを決定する構成としても良い。これらの場合、設定駆動時間TDを、第一回転電機12の回転速度や油温にも応じて予め実験的に求めておくと良い。
【0101】
(2)上記の各実施形態では、補助駆動制御部41が、油温が所定の低温判定閾値LT以下であることを条件として補助駆動制御を実行する構成を例として説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されない。補助駆動制御部41が、油温によらずに補助駆動制御を実行する構成としても良い。なお、この場合において、油温が低温判定閾値LTよりも高い場合には、一律に設定駆動時間TDをゼロとする構成としても良い。
【0102】
(3)上記の各実施形態では、低温判定閾値LTが暖機判定閾値WTよりも高い値に設定されている構成を例として説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されない。低温判定閾値LTが暖機判定閾値WTと等しい値に設定された構成としても良いし、低温判定閾値LTが暖機判定閾値WTよりも低い値に設定された構成としても良い。
【0103】
(4)上記の各実施形態では、補助駆動制御部41が、車両の主電源がオンとされた場合には、車両の主電源がオフとされていた時間を考慮することなく補助駆動制御を実行する構成を例として説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されない。例えば、補助駆動制御部41が、車両の主電源オフ時間が、第一油路63及び第二油路64内の油の大部分が抜け切る時間として予め定められた基準時間以上であったことを条件として補助駆動制御を実行する構成としても良い。
【0104】
(5)上記の各実施形態では、発進用係合装置CLsが、補助駆動制御の完了後に直ちに直結係合状態とされる構成を例として説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されない。例えば、第二ポンプ62の駆動によって少なくとも係合境界圧よりも高い油圧を生成可能とした上で、発進用係合装置CLsに対する油圧指令を解放境界圧相当としても良い。このような構成であっても、その後アクセル操作がなされた場合には、発進用係合装置CLsを迅速に直結係合状態に移行させて発進用の第1速段を早期に形成することができ、要求駆動力を満足させつつ迅速に車両を発進させることができる。
【0105】
(6)上記第二の実施形態では、設定駆動時間TDの経過前に、目標回転速度設定部41bが発進用係合装置CLsの推定発熱量を逐次算出する構成を例として説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されない。目標回転速度設定部41bが、発進用係合装置CLsの推定発熱量に代えて、その推定温度を逐次算出する構成としても良い。そして、算出された推定温度に基づいて、目標回転速度設定部41bが第一回転電機12の目標回転速度(第一目標回転速度)を再設定する構成としても良い。或いは、目標回転速度設定部41bが、推定発熱量及び推定温度の双方を逐次算出し、これら双方に基づいて第一目標回転速度を再設定する構成としても良い。
【0106】
(7)上記第二の実施形態では、目標回転速度設定部41bが、推定発熱量が予め設定された高発熱閾値HQ以上となった場合に限り第一目標回転速度を再設定する構成を例として説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されない。例えば目標回転速度設定部41bが、算出される推定発熱量に応じて第一目標回転速度を逐次変更する構成としても良い。この場合、駆動時間決定部42は、逐次変更される第一目標回転速度に応じて、設定駆動時間TDを動的に設定する構成とすることができる。
【0107】
(8)上記の各実施形態では、変速機構13にワンウェイクラッチが設けられ、車両の発進時には、第二係合装置CL2の直結係合状態かつワンウェイクラッチの固定状態で第1速段が形成される構成を例として説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されない。例えば、そのようなワンウェイクラッチを備えることなく、第二係合装置CL2及び第三係合装置CL3の双方の直結係合状態で第1速段が形成されても良い。第三係合装置CL3を直結係合状態とするためには、補助駆動制御において第三係合装置CL3にも油を供給する構成としても良い。この場合、第二係合装置CL2に加えて第三係合装置CL3も、「発進用係合装置CLs」として扱うことができる。なお、第三係合装置CL3をノーマルクローズ型の係合装置として構成しても良い。
【0108】
(9)上記の各実施形態では、モード指令受付部31が、レバー位置センサSe6により検出されるシフトレバーの位置に基づいてモードの選択を受け付ける構成を例として説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されない。例えば、モード指令受付部31が、ハードウェア的又はソフトウェア的に設けられたボタン等に対する入力操作に基づいてモードの選択を受け付ける構成としても良い。つまり、制御装置3に対して運転者のモード選択意思を入力できるものであればどのような構成を採用しても良い。
【0109】
(10)上記の各実施形態では、制御装置3による制御対象となる駆動装置1について、
図1に示される構成を例として説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されない。駆動装置1は、内燃機関11と車輪15とを結ぶ動力伝達経路Pに第一回転電機12と変速機構13とが設けられたものであれば、その具体的構成は任意である。例えば、駆動装置1が、動力伝達経路Pにおける第一回転電機12と変速機構13との間に、締結用係合装置を有する流体継手(例えばトルクコンバータ等)を備える構成としても良い。また、動力伝達経路Pにおける第一回転電機12と差動歯車装置14との間のいずれかの位置に、専用の伝達用係合装置を備える構成としても良い。
【0110】
(11)上記の各実施形態では、制御装置3が各機能部31〜43を備えている構成を例として説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されない。上記で説明した機能部の割り当ては単なる一例であり、複数の機能部を組み合わせたり、1つの機能部を更に区分けしたりすることも可能である。
【0111】
(12)その他の構成に関しても、本明細書において開示された実施形態は全ての点で例示であって、本発明の実施形態はこれに限定されない。すなわち、本願の特許請求の範囲に記載されていない構成に関しては、本発明の目的を逸脱しない範囲内で適宜改変することが可能である。