特許第5835475号(P5835475)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5835475
(24)【登録日】2015年11月13日
(45)【発行日】2015年12月24日
(54)【発明の名称】高周波フィルタ
(51)【国際特許分類】
   H01P 1/203 20060101AFI20151203BHJP
   H01P 5/10 20060101ALI20151203BHJP
   H03H 7/09 20060101ALI20151203BHJP
   H03H 7/42 20060101ALI20151203BHJP
【FI】
   H01P1/203
   H01P5/10 C
   H03H7/09 Z
   H03H7/42
【請求項の数】21
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2014-513344(P2014-513344)
(86)(22)【出願日】2013年3月19日
(86)【国際出願番号】JP2013057759
(87)【国際公開番号】WO2013164926
(87)【国際公開日】20131107
【審査請求日】2014年6月9日
(31)【優先権主張番号】特願2012-104621(P2012-104621)
(32)【優先日】2012年5月1日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006231
【氏名又は名称】株式会社村田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001449
【氏名又は名称】特許業務法人プロフィック特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】増田 博志
【審査官】 白井 孝治
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−198241(JP,A)
【文献】 特開2004−320556(JP,A)
【文献】 特開2007−214950(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01P 1/203
H01P 5/10
H03H 7/00〜 7/21
H03H 7/42
H03H 7/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の絶縁体層が積層されてなる積層体と、
入力信号を伝送する第1の伝送線路と、
前記第1の伝送線路と同一の絶縁体層上で電磁結合し、出力信号を伝送する第2の伝送線路と、
絶縁体層を挟んで、前記第1の伝送線路及び前記第2の伝送線路との間に容量を形成する導体層と、
を備え、
前記第1の伝送線路及び前記第2の伝送線路と接触する第1の絶縁体層の誘電率は第1の絶縁体層以外の絶縁体層の誘電率よりも高く、
前記第2の伝送線路にはインピーダンス調整部が設けられ、
前記インピーダンス調整部は、前記第1の絶縁体層において、前記第2の伝送線路の一部と接触する接触部の誘電率が、該接触部以外の部分の誘電率よりも高いことにより構成されていること、
を特徴とする高周波フィルタ。
【請求項2】
前記第1の絶縁体層は前記導体層と接触していること、
を特徴とする請求項1に記載の高周波フィルタ。
【請求項3】
前記導体層は、グランド導体であること、
を特徴とする請求項1又は2に記載の高周波フィルタ。
【請求項4】
前記高周波フィルタは、
前記グランド導体と導通していない浮き導体を、
更に備えており、
前記インピーダンス調整部は、前記浮き導体が前記第2の伝送線路の一部と対向することにより構成されていること、
を特徴とする請求項3に記載の高周波フィルタ。
【請求項5】
前記第2の伝送線路において伝送線路が平行となる2本の平行部が存在し、
前記インピーダンス調整部は、前記2本の平行部の一部間の距離が、該2本の平行部の一部以外の部分間の距離と異なっていることにより構成されていること、
を特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の高周波フィルタ。
【請求項6】
前記第2の伝送線路において伝送線路が平行となる平行部が存在し、
前記インピーダンス調整部は、前記平行部の一部の太さが、該平行部の一部以外の部分の太さと異なっていることにより構成されていること、
を特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の高周波フィルタ。
【請求項7】
前記導体層は複数に分割されていること、
を特徴とする請求項1ないし請求項6のいずれかに記載の高周波フィルタ。
【請求項8】
前記入力信号は不平衡信号であり、
前記出力信号は平衡信号であること、
を特徴とする請求項1ないし請求項7のいずれかに記載の高周波フィルタ。
【請求項9】
複数の絶縁体層が積層されてなる積層体と、
入力信号を伝送する第1の伝送線路と、
前記第1の伝送線路と同一の絶縁体層上で電磁結合し、出力信号を伝送する第2の伝送線路と、
絶縁体層を挟んで、前記第1の伝送線路及び前記第2の伝送線路との間に容量を形成し、グランド導体である導体層と
記グランド導体と導通していない浮き導体と、
を備え、
前記第1の伝送線路及び前記第2の伝送線路と接触する第1の絶縁体層の誘電率は第1の絶縁体層以外の絶縁体層の誘電率よりも高く、
前記第2の伝送線路にはインピーダンス調整部が設けられ、
前記インピーダンス調整部は、前記浮き導体が前記第2の伝送線路の一部と対向することにより構成されていること、
を特徴とする高周波フィルタ。
【請求項10】
前記第1の絶縁体層は前記導体層と接触していること、
を特徴とする請求項9に記載の高周波フィルタ。
【請求項11】
前記第2の伝送線路において伝送線路が平行となる2本の平行部が存在し、
前記インピーダンス調整部は、前記2本の平行部の一部間の距離が、該2本の平行部の一部以外の部分間の距離と異なっていることにより構成されていること、
を特徴とする請求項9に記載の高周波フィルタ。
【請求項12】
前記第2の伝送線路において伝送線路が平行となる平行部が存在し、
前記インピーダンス調整部は、前記平行部の一部の太さが、該平行部の一部以外の部分の太さと異なっていることにより構成されていること、
を特徴とする請求項9に記載の高周波フィルタ。
【請求項13】
前記導体層は複数に分割されていること、
を特徴とする請求項9に記載の高周波フィルタ。
【請求項14】
前記入力信号は不平衡信号であり、
前記出力信号は平衡信号であること、
を特徴とする請求項9に記載の高周波フィルタ。
【請求項15】
複数の絶縁体層が積層されてなる積層体と、
入力信号を伝送する第1の伝送線路と、
前記第1の伝送線路と同一の絶縁体層上で電磁結合し、出力信号を伝送する第2の伝送線路と、
絶縁体層を挟んで、前記第1の伝送線路及び前記第2の伝送線路との間に容量を形成する導体層と、
を備え、
前記第1の伝送線路及び前記第2の伝送線路と接触する第1の絶縁体層の誘電率は第1の絶縁体層以外の絶縁体層の誘電率よりも高く、
前記導体層は複数に分割されていること、
を特徴とする高周波フィルタ。
【請求項16】
前記第1の絶縁体層は前記導体層と接触していること、
を特徴とする請求項15に記載の高周波フィルタ。
【請求項17】
前記導体層は、グランド導体であること、
を特徴とする請求項15に記載の高周波フィルタ。
【請求項18】
前記第2の伝送線路にはインピーダンス調整部が設けられていること、
を特徴とする請求項15に記載の高周波フィルタ。
【請求項19】
前記第2の伝送線路において伝送線路が平行となる2本の平行部が存在し、
前記インピーダンス調整部は、前記2本の平行部の一部間の距離が、該2本の平行部の一部以外の部分間の距離と異なっていることにより構成されていること、
を特徴とする請求項18に記載の高周波フィルタ。
【請求項20】
前記第2の伝送線路において伝送線路が平行となる平行部が存在し、
前記インピーダンス調整部は、前記平行部の一部の太が、該平行部の一部以外の部分の太さと異なっていることにより構成されていること、
を特徴とする請求項18に記載の高周波フィルタ。
【請求項21】
前記入力信号は不平衡信号であり、
前記出力信号は平衡信号であること、
を特徴とする請求項15に記載の高周波フィルタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の絶縁体層と伝送線路を備えた高周波フィルタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の高周波フィルタとしては、例えば、特許文献1に記載の積層バランスフィルタが知られている。以下に、特許文献1に記載の積層バランスフィルタについて説明する。図10は、特許文献1に記載の積層バランスフィルタ500の積層体の分解斜視図である。図11は、特許文献1に記載の積層バランスフィルタ500の等価回路図である。
【0003】
積層バランスフィルタ500は、図10に示すように、積層体502、コイル531,541〜543、キャパシタ電極521〜523及びグランド電極520を備えている。積層体502は、複数の誘電体層550〜556が積層されて構成されている。
【0004】
コイル531,541は、誘電体層553に設けられている。コイル542は、誘電体層552に設けられている。コイル543は、誘電体層551に設けられている。コイル531とコイル542とは、誘電体層552を挟んで、積層体502の積層方向に対向することにより、電磁結合している。また、コイル542の一端は、ビアホール導体を介して、コイル541と接続され、コイル542の他端は、ビアホール導体を介して、コイル543と接続されている。
【0005】
キャパシタ電極521は、誘電体層554に設けられている。キャパシタ電極522,523は、誘電体層556に設けられている。更に、グランド電極520は、誘電体層555に設けられている。
【0006】
キャパシタC100は、グランド電極520とキャパシタ電極521とが誘電体層554を介して対向することによって構成されている。また、キャパシタC100とコイル531とは、並列接続されており、図11に示すように、積層バランスフィルタ500の一部を構成している。
【0007】
また、キャパシタC200は、グランド電極520とキャパシタ電極522とが誘電体層555を介して対向することによって構成されている。また、キャパシタC200とコイル541とは、接続されており、図11に示すように、積層バランスフィルタ500の一部を構成している。
【0008】
更に、キャパシタC300は、グランド電極520とキャパシタ電極523とが誘電体層555を介して対向することによって構成されている。また、キャパシタC300とコイル543とは、接続されており、図11に示すように、積層バランスフィルタ500の一部を構成している。
【0009】
以上のように構成された積層バランスフィルタ500では、図11に示すように、入力端子561からコイル531に入力された非平衡信号が、コイル531とコイル542との間で平衡信号に変換される。平衡信号は、コイル542から、コイル541とコイル543とに伝送され、出力端子562,563より出力される。
【0010】
ところで、積層バランスフィルタ500では、コイル531とコイル542とは、誘電体層552を挟んで、積層方向に対向することにより電磁結合している(ブロードサイド結合)。このため、積層バランスフィルタ500では、2つのコイルが同一層上に並ぶことにより電磁結合している(エッジ結合)積層バランスフィルタと比較して、絶縁体層の面積を小さくできる。
【0011】
しかしながら、積層バランスフィルタ500では、コイル531とコイル542とが積層方向に対向しているため、コイルが同一層上に並ぶことにより電磁結合している積層バランスフィルタと比較して、絶縁体層の積層枚数が増加する。つまり、積層バランスフィルタ500では、積層バランスフィルタの低背化が困難である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2011−124880号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
そこで、本発明の目的は、実装面積の大型化を抑制しつつ、低背化を可能にする高周波フィルタを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の第1の実施形態に係る高周波フィルタは、複数の絶縁体層が積層されてなる積層体と、入力信号を伝送する第1の伝送線路と、前記第1の伝送線路と同一の絶縁体層上で電磁結合し、出力信号を伝送する第2の伝送線路と、絶縁体層を挟んで、前記第1の伝送線路及び前記第2の伝送線路との間に容量を形成する導体層と、を備え、前記第1の伝送線路及び前記第2の伝送線路と接触する第1の絶縁体層の誘電率は第1の絶縁体層以外の絶縁体層の誘電率よりも高く、前記第2の伝送線路にはインピーダンス調整部が設けられ、前記インピーダンス調整部は、前記第1の絶縁体層において、前記第2の伝送線路の一部と接触する接触部の誘電率が、該接触部以外の部分の誘電率よりも高いことにより構成されていること、を特徴とする。
本発明の第2の実施形態に係る高周波フィルタは、複数の絶縁体層が積層されてなる積層体と、入力信号を伝送する第1の伝送線路と、前記第1の伝送線路と同一の絶縁体層上で電磁結合し、出力信号を伝送する第2の伝送線路と、絶縁体層を挟んで、前記第1の伝送線路及び前記第2の伝送線路との間に容量を形成し、グランド導体である導体層と、前記グランド導体と導通していない浮き導体と、を備え、前記第1の伝送線路及び前記第2の伝送線路と接触する第1の絶縁体層の誘電率は第1の絶縁体層以外の絶縁体層の誘電率よりも高く、前記第2の伝送線路にはインピーダンス調整部が設けられ、前記インピーダンス調整部は、前記浮き導体が前記第2の伝送線路の一部と対向することにより構成されていること、を特徴とする。
本発明の第3の実施形態に係る高周波フィルタは、複数の絶縁体層が積層されてなる積層体と、入力信号を伝送する第1の伝送線路と、前記第1の伝送線路と同一の絶縁体層上で電磁結合し、出力信号を伝送する第2の伝送線路と、絶縁体層を挟んで、前記第1の伝送線路及び前記第2の伝送線路との間に容量を形成する導体層と、を備え、前記第1の伝送線路及び前記第2の伝送線路と接触する第1の絶縁体層の誘電率は第1の絶縁体層以外の絶縁体層の誘電率よりも高く、前記導体層は複数に分割されていること、を特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明の一形態である高周波フィルタによれば、実装面積の大型化を抑制しつつ、低背化を可能にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】第1の実施形態に係る高周波フィルタの外観斜視図である。
図2】第1の実施形態に係る高周波フィルタの積層体の分解斜視図である。
図3】第1の実施形態に係る高周波フィルタの等価回路図である。
図4】第1の変形例に係る高周波フィルタの積層体の分解斜視図である。
図5】第1の変形例に係る高周波フィルタの等価回路図である。
図6】第2の変形例に係る高周波フィルタの積層体の分解斜視図である。
図7】第2の変形例に係る高周波フィルタの等価回路図である。
図8】第3の変形例に係る高周波フィルタの積層体の分解斜視図である。
図9】第3の変形例に係る高周波フィルタの等価回路図である。
図10】特許文献1に記載の積層バランスフィルタの積層体の分解斜視図である。
図11】特許文献1に記載の積層バランスフィルタの等価回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に、本発明の一実施形態に係る高周波フィルタについて説明する。
【0018】
(第1の実施形態)
(高周波フィルタの構成)
以下、本発明の第1の実施形態に係る高周波フィルタについて図面を参照しながら説明する。図1は、第1の実施形態に係る高周波フィルタの外観斜視図である。図2は、第1の実施形態に係る高周波フィルタの積層体の分解斜視図である。図3は、第1の実施形態に係る高周波フィルタの等価回路図である。以下、高周波フィルタ10の積層方向をz軸方向と定義し、z軸方向から平面視したときに、高周波フィルタ10の長辺に沿った方向をx軸方向と定義し、高周波フィルタ10の短辺に沿った方向をy軸方向と定義する。x軸、y軸及びz軸は互いに直交している。
【0019】
高周波フィルタ10は、図1及び図2に示すように、積層体12、外部電極14a〜14f、伝送線路18,19、グランド導体24及び浮き導体26を備えている。積層体12は、図2に示すように、絶縁体層28a〜28eにより構成されている。また、積層体12は、図1に示すように直方体状をなしており、上面S1、下面S2及び側面S3〜S6を備えている。上面S1は、z軸方向の正方向側に位置する面である。下面S2は、z軸方向の負方向側に位置する面である。側面S3は、x軸方向の負方向側に位置する面である。側面S4は、x軸方向の正方向側に位置する面である。側面S5は、y軸方向の負方向側に位置する面である。側面S6は、y軸方向の正方向側に位置する面である。
【0020】
絶縁体層28a〜28eは、図2に示すように、z軸方向の正方向側から負方向側へとこの順に並ぶように積層されている。また、絶縁体層28a〜28eはそれぞれ、z軸方向から平面視したときに同じ大きさ及び形状を有する長方形状をなしており、セラミック等の誘電体材料により作製されている。なお、絶縁体層28cの誘電率は、絶縁体層28a,28b,28d,28e(すなわち、絶縁体層28c以外の絶縁体層)の誘電率よりも高い。以下では、絶縁体層28のz軸方向の正方向側の面を表面と称し、絶縁体層28のz軸方向の負方向側の面を裏面と称す。なお、絶縁体層28aの表面に方向識別マーク40が設けられている。
【0021】
伝送線路18及び伝送線路19は、図2に示すように、絶縁体層28cの表面に設けられている。また、伝送線路18及び伝送線路19は、x軸方向の負方向側から正方向側へとこの順に並ぶように設けられている。
【0022】
伝送線路18は、図2に示すように、結合線路部18a及び引き出し部18b,18cを有している。結合線路部18aは、絶縁体層28cの表面のx軸方向の略中央において、y軸方向に延在している。引き出し部18b,18cはそれぞれ、x軸方向に延在している。y軸方向の正方向側に位置する引き出し部を、引き出し部18bとし、y軸方向の負方向側に位置する引き出し部を、引き出し部18cとする。
【0023】
引き出し部18bのx軸方向の正方向側の端部は、図2に示すように、結合線路部18aのy軸方向の正方向側の端部に接続されている。引き出し部18bのx軸方向の負方向側の端部は、積層体12の側面S3に露出している。また、引き出し部18cのx軸方向の正方向側の端部は、結合線路部18aのy軸方向の負方向側の端部に接続されている。引き出し部18cのx軸方向の負方向側の端部は、積層体12の側面S3に露出している。以上より、伝送線路18は、z軸方向から見たとき、x軸方向の負方向側に開口部が向いているコの字形状をなしている。
【0024】
伝送線路19は、図2に示すように、結合線路部19a及び引き出し部19b,19cを有している。結合線路部19aは、絶縁体層28cの表面のx軸の略中央において、y軸方向に延在している。引き出し部19b,19cはそれぞれ、x軸方向に延在している。すなわち、伝送線路19には、互いに平行になる引き出し部19b,19c(平行部)が設けられている。y軸方向の正方向側に位置する引き出し部を、引き出し部19bとし、y軸方向の負方向側に位置する引き出し部を、引き出し部19cとする。
【0025】
引き出し部19bのx軸方向の負方向側の端部は、図2に示すように、結合線路部19aのy軸方向の正方向側の端部に接続されている。引き出し部19bのx軸方向の正方向側の端部は、積層体12の側面S4に露出している。また、引き出し部19cのx軸方向の負方向側の端部は、結合線路部19aのy軸方向の負方向側の端部に接続されている。引き出し部19cのx軸方向の正方向側の端部は、積層体12の側面S4に露出している。
【0026】
また、結合線路部18aと結合線路部19aとは、図2に示すように、平行である。そして、結合線路部18aと結合線路部19aとはそれぞれ、絶縁体層28cの表面上で対向している。これにより、結合線路部18aと結合線路部19aとは、電磁結合(エッジ結合)を形成している。なお、結合線路部18a及び結合線路部19aの長さは、伝送線路18及び伝送線路19を伝播する高周波信号の波長により決まる。
【0027】
ここで、引き出し部19bには、引き出し部19bの一部を占める調整部20bが設けられている。更に、引き出し部19cには、引き出し部19cの一部を占める調整部20cが設けられている。調整部20bと調整部20cとは、y軸方向において互いに対向している。図2に示すように、調整部20bと調整部20cとのy軸方向の距離は、引き出し部19bにおける調整部20b以外の部分と引き出し部19cにおける調整部20c以外の部分とのy軸方向の距離よりも狭い。
【0028】
グランド導体24(導体層)は、図2に示すように、絶縁体層28cを挟んで伝送線路18及び伝送線路19と対向している。また、グランド導体24は、本体部24a及び引き出し部24b、24cを有している。本体部24aは、調整部20b及び調整部20cと対向する部分を除いて、絶縁体層28dの表面の略全体を覆うように設けられている。
【0029】
引き出し部24b,24cは、図2に示すように、絶縁体層28dの表面に設けられている。また、引き出し部24b,24cは、y軸方向に平行な配線である。なお、y軸方向の正方向側に位置する引き出し部を、引き出し部24bとし、y軸方向の負方向側に位置する引き出し部を、引き出し部24cとする。引き出し部24bのy軸方向の負方向側の端部は、本体部24aのy軸方向の正方向側の辺の中央に接続されている。また、引き出し部24bのy軸方向の正方向側の端部は、積層体12の側面S6に露出している。引き出し部24cのy軸方向の正方向側の端部は、本体部24aのy軸方向の負方向側の辺の中央に接続されている。引き出し部24cのy軸方向の負方向側の端部は、積層体12の側面S5に露出している。
【0030】
浮き導体26は、図2に示すように、絶縁体層28dの表面に設けられ、絶縁体層28cを挟んで調整部20b及び調整部20cと対向している。つまり、浮き導体26は、周囲をグランド導体24の本体部24aに囲まれた状態で、絶縁体層28dの表面に設けられている。なお、浮き導体26は、グランド導体24の本体部24aとは導通していない。また、浮き導体26は、z軸方向から見たとき、長方形状をなしている。
【0031】
以上のような調整部20b,20c、浮き導体26及び絶縁体層28cは、伝送線路19のインピーダンスを調整するためのインピーダンス調整部を構成している。具体的には、高周波フィルタ10では、以下の第1の構成及び第2の構成により、インピーダンス調整部が構成されている。第1の構成は、浮き導体26が伝送線路19の一部(すなわち、調整部20b,20c)と対向している構成である。第2の構成は、引き出し部19b,19cの一部(調整部20b,20c)間の距離が、引き出し部19b,19cの調整部20b,20c以外の部分間の距離と異なっている構成である。
【0032】
伝送線路18,19、グランド導体24及び浮き導体26は、スパッタリング法、蒸着法、印刷法、フォトリソグラフィ法などの方法により形成され、Ag−Pd,Ag,Pd,Cu等の材料からなる。
【0033】
外部電極14a及び外部電極14bは、図1に示すように、積層体12の側面S3に設けられている。また、外部電極14a及び外部電極14bは、y軸方向の正方向側から負方向側へとこの順に並ぶように設けられている。
【0034】
外部電極14aは、図1に示すように、側面S3においてz軸方向に延びるように設けられている。また、外部電極14aは、上面S1及び下面S2に折り返されている。更に、外部電極14aは、伝送線路18の引き出し部18bのx軸方向の負方向側の端部に接続されている。
【0035】
外部電極14bは、図1に示すように、側面S3においてz軸方向に延びるように設けられている。また、外部電極14bは、上面S1及び下面S2に折り返されている。更に、外部電極14bは、伝送線路18の引き出し部18cのx軸方向の負方向側の端部に接続されている。
【0036】
外部電極14c及び外部電極14dは、図1に示すように、積層体12の側面S4に設けられている。また、外部電極14c及び外部電極14dは、y軸方向の正方向側から負方向側へとこの順に並ぶように設けられている。
【0037】
外部電極14cは、図1に示すように、側面S4においてz軸方向に延びるように設けられている。また、外部電極14cは、上面S1及び下面S2に折り返されている。更に、外部電極14cは、伝送線路19の引き出し部19bのx軸方向の正方向側の端部に接続されている。
【0038】
外部電極14dは、図1に示すように、側面S4においてz軸方向に延びるように設けられている。また、外部電極14dは、上面S1及び下面S2に折り返されている。更に、外部電極14dは、伝送線路19の引き出し部19cのx軸方向の正方向側の端部と接続されている。
【0039】
外部電極14eは、図1に示すように、側面S5の略全体を覆うように設けられている。また、外部電極14eは、上面S1及び下面S2に折り返されている。更に、外部電極14eは、グランド導体24の引き出し部24cのy軸方向の負方向側の端部と接続されている。
【0040】
外部電極14fは、図1に示すように、側面S6の略全体を覆うように設けられている。また、外部電極14fは、上面S1及び下面S2に折り返されている。更に、外部電極14fは、グランド導体24の引き出し部24bのy軸方向の正方向側の端部と接続されている。
【0041】
図1及び図2に示す構成を有する高周波フィルタ10は、図3に示す回路構成を有している。高周波フィルタ10の伝送線路18は、図3に示す共振器30に対応する。より詳細には、伝送線路18の結合線路部18aは、絶縁体層28cを挟んでグランド導体24と対向することにより、グランド導体24との間に容量を形成している。また、結合線路部18aは、高周波信号に対してインダクタとして作用する。従って、結合線路部18aは、ストリップライン30aを構成している。伝送線路18の引き出し部18bは、絶縁体層28cを挟んでグランド導体24と対向することにより、グランド導体24との間に容量を形成している。また、引き出し部18bは、高周波信号に対してインダクタとして作用する。従って、引き出し部18bは、図3に示されるストリップライン30bを構成している。伝送線路18の引き出し部18cは、絶縁体層28cを挟んでグランド導体24と対向することにより、グランド導体24との間に容量を形成している。また、引き出し部18cは、高周波信号に対してインダクタとして作用する。従って、引き出し部18cは、ストリップライン30cを構成している。
【0042】
また、引き出し部18b、結合線路部18a及び引き出し部18cは、外部電極14a,14b間において、この順に直列に接続されている。従って、ストリップライン30b,30a,30cは、外部電極14a,14b間において、この順に直列に接続されている。
【0043】
高周波フィルタ10の伝送線路19は、図3に示す共振器32に対応する。より詳細には、伝送線路19の結合線路部19aは、絶縁体層28cを挟んでグランド導体24と対向することにより、グランド導体24との間に容量を形成している。また、結合線路部19aは、高周波に対してインダクタとして作用する。従って、結合線路部19aはストリップライン32aを構成している。伝送線路19の引き出し部19bは、絶縁体層28cを挟んでグランド導体24と対向することにより、グランド導体24との間に容量を形成している。また、引き出し部19bは、高周波信号に対してインダクタとして作用する。従って、引き出し部19bは、図3に示されるストリップライン32bを構成している。伝送線路19の引き出し部19cは、絶縁体層28cを挟んでグランド導体24と対向することにより、グランド導体24との間に容量を形成している。また、引き出し部19cは、高周波信号に対してインダクタとして作用する。従って、引き出し部19cは、ストリップライン32cを構成している。
【0044】
また、引き出し部19b、結合線路部19a及び引き出し部19cは、外部電極14c,14d間において、この順に直列に接続されている。従って、ストリップライン32b,32a,32cは、外部電極14c,14d間において、この順に直列に接続されている。
【0045】
また、引き出し部19bの調整部20bは、絶縁体層28cを挟んで浮き導体26と対向することにより、図3に示すように、浮き導体26との間に容量C1を形成している。また、引き出し部19cの調整部20cは、絶縁体層28cを挟んで浮き導体26と対向することにより、浮き導体26との間に容量C2を形成している。従って、図3に示すように、引き出し部19bと引き出し部19cとは、調整部20b,20cが設けられていることにより、直列に接続された容量C1,C2を介して、接続されている。
【0046】
以上のように構成された高周波フィルタ10は、平衡伝送線路の信号及び不平衡伝送線路の信号を相互に変換するための信号変換器として用いられる。
【0047】
伝送線路18に接続されている外部電極14aは、信号入力端子として使用される。また、外部電極14bは、グランド電極に接続される。更に、伝送線路19の外部電極14c,14dは、出力端子として使用される。
【0048】
不平衡信号は、外部電極14aから伝送線路18に入力される。そして、伝送線路18と伝送線路19との間における電磁結合により、伝送線路19において平衡信号が生成される。平衡信号は、伝送線路19に接続された外部電極14c,14dから取り出される。なお、外部電極14c,14dから伝送線路19に平衡信号を入力させて、伝送線路18に接続された外部電極14aから不平衡信号を取り出してもよい。
【0049】
また、伝送線路18に入力された高周波信号は、ストリップライン30a〜30cを通過する。このとき、ストリップライン30a〜30cがバンドフィルタとして機能することにより、入力された不平衡信号の不要な周波数成分は除去される。また、伝送線路19から平衡信号が取り出される場合、ストリップライン32a〜32cにより、平衡信号から不要な周波数成分が除去される。
【0050】
なお、伝送線路18と伝送線路19との距離やグランド導体24との距離を調節することにより、伝送線路18と伝送線路19との間に形成される結合度を変化させることができる。これにより、高周波フィルタ10の通過帯域幅を調節できる。
【0051】
(効果)
以上のように構成された高周波フィルタ10によれば、実装面積の大型化を抑制することが可能である。より詳細には、相対的に高い誘電率を有する絶縁体層上の伝送線路を伝播する高周波信号の波長は、相対的に低い誘電率を有する絶縁体層上の伝送線路を伝播する高周波信号の波長と比べて、波長短縮効果により短くなる。そこで、高周波フィルタ10では、伝送線路18,19が設けられている絶縁体層28cの誘電率を、絶縁体層28a,28b,28d,28e(すなわち、絶縁体層28c以外の絶縁体層)の誘電率よりも高くしている。これにより、高周波フィルタ10の伝送線路18,19は、相対的に低い誘電率を有する絶縁体層(絶縁体層28c以外の絶縁体層)に伝送線路18及び伝送線路19を設けた高周波フィルタの伝送線路よりも短くすることができる。すなわち、高周波フィルタ10によれば、実装面積の大型化が抑制される。
【0052】
また、高周波フィルタ10によれば、部品の低背化を図ることが可能である。積層バランスフィルタ500は、図10に示すように、コイル531とコイル542とを積層方向に対向させて電磁結合(ブロードサイド結合)を形成している。一方、高周波フィルタ10は、図2に示すように、伝送線路18と伝送線路19とを、同一の絶縁体層上で対向させることにより電磁結合(エッジ結合)を形成している。したがって、高周波フィルタ10に必要な絶縁体層の数は、積層バランスフィルタ500に必要な絶縁体層の数よりも少ない。つまり、高周波フィルタ10によれば、低背化が可能となる。
【0053】
高周波フィルタ10によれば、更なる部品の低背化が可能である。より詳細には、インピーダンス調整用の整合回路(以下で整合回路とは、インピーダンス調整用の整合回路を意味する)を設けるためには、所定の容量を得るために誘電体層上に所定の面積が必要となる。従って、整合回路は、高周波フィルタの実装面積の抑制のために、一般的には、電磁結合している伝送線路が設けられている絶縁体層とは別の絶縁体層上に設けられる。
【0054】
一方、高周波フィルタ10では、絶縁体層28cに高誘電率の材料が用いられている。これにより、整合回路は、絶縁体層28c上に設けられることによって、所定の面積よりも小さな面積しか有していなくても、所定の容量を得ることができる。従って、高周波フィルタ10の整合回路、すなわち、インピーダンス調整部(調整部20b,20c,絶縁体層28c及び浮き導体26により構成される)の面積は、一般的な高周波フィルタの整合回路の面積よりも小さくなる。これにより、高周波フィルタ10では、インピーダンス調整部を、図2に示すように、伝送線路18,19が設けられている絶縁体層28cの表面に設けることができる。従って、高周波フィルタ10では、整合回路を設けるために、新たに絶縁体層を設ける必要がなくなり、絶縁体層の総数が低減される。すなわち、高周波フィルタ10によれば、更なる部品の低背化が可能である。
【0055】
更に、高周波フィルタ10によれば、グランド導体24と高周波フィルタ10が実装される基板との間に発生する浮遊容量を抑制することができる。より詳細には、高周波フィルタ10では、絶縁体層28cにのみ高誘電率の材料が用いられている。仮に、絶縁体層28cと同じ高誘電率の材料が絶縁体層28d,28eに用いられた場合、グランド導体24と高周波フィルタ10が実装される基板との間に、浮遊容量が発生する。しかしながら、高周波フィルタ10では、絶縁体層28cにのみ高誘電率の材料が使用されているため、グランド導体24と基板との間の浮遊容量の発生が抑制される。
【0056】
また、高周波フィルタ10によれば、インピーダンス調整を容易に行うことができる。より詳細には、調整部20bと調整部20cとのy軸方向の距離は、引き出し部19bにおける調整部20b以外の部分と引き出し部19cにおける調整部20c以外の部分とのy軸方向の距離よりも狭い。これにより、調整部20bと調整部20cとの間には、微小な容量C3が形成される。そして、調整部20bと調整部20cとの距離を調節することにより、容量C3の大きさを変化させることができる。したがって、高周波フィルタ10によれば、調整部20bと調整部20cとの距離を調節することにより、整合回路におけるインピーダンスの調整を容易に行うことができる。なお、容量C3は微小な容量であるため、図3の等価回路図には記載していない。
【0057】
高周波フィルタ10によれば、更にインピーダンス調整を容易に行うことができる。より詳細には、高周波フィルタ10には、グランド導体24から導通していない浮き導体26が設けられている。また、z軸方向の正方向側から見たとき、浮き導体26と伝送線路19とが重なる面積を調節することで、浮き導体26と伝送線路19との間に発生する容量が変化する。これにより、高周波フィルタ10では、インピーダンス調整を容易に行うことができる。
【0058】
(第1の変形例)
以下に第1の変形例に係る高周波フィルタ10−1について図面を参照しながら説明する。図4は、第1の変形例に係る高周波フィルタ10−1の積層体12−1の分解斜視図である。図5は、図4で示した第1の変形例に係る高周波フィルタ10−1の等価回路図である。外観斜視図については、図1を援用する。
【0059】
高周波フィルタ10と高周波フィルタ10−1との相違点は、グランド導体24の形状及び浮き導体26の有無である。その他の点については、高周波フィルタ10と高周波フィルタ10−1とでは相違しないので、説明を省略する。なお、高周波フィルタ10−1におけるグランド導体をグランド導体24−1とし、本体部を本体部24a−1とする。また、図4及び図5において、高周波フィルタ10と同じ構成については、高周波フィルタ10と同じ符号を付した。
【0060】
図4に示すように、積層体12−1の絶縁体層28dの表面には、浮き導体26が設けられておらず、グランド導体24−1に覆われている。また、引き出し部24b−1は、図4に示すように、x軸に平行な配線である。引き出し部24b−1のx軸方向の正方向側の端部は、本体部24a−1のx軸方向の負方向側の辺におけるy軸方向の負方向側の端部近傍に接続されている。また、引き出し部24b−1のx軸方向の負方向側の端部は、積層体12の側面S3に露出している。これにより、外部電極14bを介して、グランド導体24−1と伝送線路18とが接続されている。
【0061】
また、高周波フィルタ10−1では、調整部20bが、絶縁体層28cを挟んでグランド導体24−1と対向することにより、図5に示すように、グランド導体24−1との間に容量C1−1を形成している。更に、調整部20cは、絶縁体層28cを挟んでグランド導体24−1と対向することにより、グランド導体24−1との間に容量C2−1を形成している。従って、図5に示すように、 引き出し部19bと引き出し部19cとは、調整部20b,20cが設けられていることにより、直列に接続された容量C1−1,C2−1を介して、接続されている。また、容量C1−1,C2−1は、外部電極14b,14eを介して接地されている。
【0062】
以上のように構成された高周波フィルタ10−1では、調整部20b,20cは、グランド導体24−1と対向している。これにより、容量C1−1,C2−1の中点がグランドに接続される。その結果、高周波フィルタ10を不平衡−平衡信号変換器として用いた場合に、バランス性が安定する。
【0063】
(第2の変形例)
以下に第2の変形例に係る高周波フィルタ10−2について図面を参照しながら説明する。図6は、第2の変形例に係る高周波フィルタ10−2の積層体12−2の分解斜視図である。図7は、図6で示した第2の変形例に係る高周波フィルタ10−2の等価回路図である。外観斜視図については、図1を援用する。
【0064】
高周波フィルタ10と高周波フィルタ10−2との相違点は、グランド導体24の形状及び浮き導体26の有無である。その他の点については、高周波フィルタ10と高周波フィルタ10−2とでは相違しないので、説明を省略する。なお、高周波フィルタ10−2におけるグランド導体をグランド導体24−2とし、本体部を本体部24a−2とする。また、図6及び図7において、高周波フィルタ10と同じ構成については、高周波フィルタ10と同じ符号を付した。
【0065】
図6に示すように、積層体12−2のグランド導体24−2の本体部は、2つの本体部24a−2−1,24a−2−2に分割されている。ここで、x軸方向の負方向側に位置する本体部を本体部24a−2−1とし、x軸方向の正方向側に位置する本体部を本体部24a−2−2とする。また、積層体12−2の絶縁体層28dの表面には、浮き導体26が設けられていない。更に、高周波フィルタ10−2では、高周波フィルタ10で浮き導体26が設けられていた部分は、本体部24a−2−2により覆われている。
【0066】
グランド導体24−2の引き出し部24b−2,24c−2は、図6に示すように、y軸方向に平行な配線である。引き出し部24b−2のy軸方向の負方向側の端部は、本体部24a−2−1のy軸方向の正方向側の辺におけるx軸方向の正方向側の端部近傍に接続されている。また、引き出し部24b−2のy軸方向の正方向側の端部は、積層体12の側面S6に露出している。これにより、本体部24a−2−1は、外部電極14fに接続されている。引き出し部24c−2のy軸方向の正方向側の端部は、本体部24a−2−2のy軸方向の負方向側の辺におけるx軸方向の負方向側の端部近傍に接続されている。引き出し部24c−2のy軸方向の負方向側の端部は、積層体12の側面S5に露出している。これにより、本体部24a−2−2は、外部電極14eに接続されている。
【0067】
また、高周波フィルタ10−2では、調整部20bが、絶縁体層28cを挟んでグランド導体24−2の本体部24a−2−2と対向することにより、図7に示すように、本体部24a−2−2との間に容量C1−2を形成している。更に、調整部20cは、絶縁体層28cを挟んでグランド導体24−2の本体部24a−2−2と対向することにより、本体部24a−2−2との間に容量C2−2を形成している。従って、図7に示すように、引き出し部19bと引き出し部19cとは、調整部20b,20cが設けられていることにより、直列に接続された容量C1−2,C2−2を介して、接続されている。また、容量C1−2,C2−2は、外部電極14e,14fを介して接地されている。
【0068】
以上のように構成された高周波フィルタ10−2では、2つの本体部24a−2−1,24a−2−2が設けられている。そして、伝送線路18は本体部24a−2−1と対向し、伝送線路19は本体部24a−2−2と対向している。よって、伝送線路18が対向している本体部24a−2−1と伝送線路19が対向している本体部24a−2−2が接続されていない。これにより、伝送線路18と伝送線路19との電磁結合が弱くなる。すなわち、グランド導体24−2を2つに分割することにより、伝送線路18と伝送線路19間の距離を変えずに電磁結合を弱くできるため、伝送線路間の結合度の調整幅を広げることができる。
【0069】
(第3の変形例)
以下に第3の変形例に係る高周波フィルタ10−3について図面を参照しながら説明する。図8は、第3の変形例に係る高周波フィルタ10−3の積層体12−3の分解斜視図である。図9は、図8で示した第3の変形例に係る高周波フィルタ10−3の等価回路図である。外観斜視図については、図1を援用する。
【0070】
高周波フィルタ10と高周波フィルタ10−3との相違点は、調整部20b,20cの形状である。その他の点については、高周波フィルタ10と高周波フィルタ10−3とでは相違しないので、説明を省略する。なお、高周波フィルタ10−3における伝送線路を伝送線路19−3とし、調整部を調整部20b−3,20c−3とする。また、図8において、高周波フィルタ10と同じ構成については、高周波フィルタ10と同じ符号を付した。
【0071】
図8に示すように、高周波フィルタ10−3における引き出し部19b−3には、19b−3の一部を占める調整部20b−3が設けられている。調整部20b−3の線幅は、引き出し部19b−3における調整部20b−3以外の部分の線幅よりも太い。また、引き出し部19c−3には、引き出し部19c−3の一部を占める調整部20c−3が設けられている。調整部20c−3の線幅は、引き出し部19c−3における調整部20c−3以外の部分の線幅よりも太い。これにより、インピーダンス調整部は、引き出し部19b−3,19c−3の一部(調整部20b−3,20c−3)の太さが、引き出し部19b−3,19c−3の一部(調整部20b−3,20c−3)以外の部分の太さと異なっていることにより構成されている。
【0072】
以上のように構成された高周波フィルタ10−3では、調整部20b−3,20c−3の線幅を変更することにより、調整部20b−3,20c−3と対向する浮き導体26との間に発生する容量C1−3,C2−3(図9参照)を調節することができる。更に、高周波フィルタ10−3では、調整部20b−3,20c−3の線幅を変更することにより、調整部20b−3と調整部20c−3との間に発生した微小な容量C3−3も調節することができる。
【0073】
(第4の変形例)
以下に第4の変形例に係る高周波フィルタ10−4について説明する。高周波フィルタ10と高周波フィルタ10−4との相違点は、絶縁体層28cの一部の誘電率である。なお、高周波フィルタ10−4では、高周波フィルタ10における絶縁体層28cと対応する絶縁体層を、絶縁体層28c−4と称す。その他の点については、高周波フィルタ10と高周波フィルタ10−4とでは相違しないので、説明を省略する。また、第4の変形例に係る高周波フィルタ10−4の図面については、図1図2及び図3を援用する。
【0074】
第4の変形例に係る高周波フィルタ10−4の絶縁体層28c−4の誘電率は、絶縁体層28a,28b,28d,28e(すなわち、絶縁体層28c−4以外の絶縁体層)よりも高い。また、絶縁体層28c−4では、調整部20b,20cと浮き導体26とに挟まれている部分の誘電率が、絶縁体層28c−4の他の部分よりも高い。これにより、インピーダンス調整部は、絶縁体層28c−4において、伝送線路19の一部(調整部20b,20c)と接触する接触部の誘電率が、該接触部以外の部分の誘電率よりも高いことにより構成されている。
【0075】
以上のように構成された高周波フィルタ10−4では、絶縁体層28c−4の一部の誘電率を変更することにより、調整部20b,20cと浮き導体26との間に発生する容量C1,C2を調節することができる。更に、高周波フィルタ10−4では、絶縁体層28cの一部の誘電率を変更することにより、調整部20bと調整部20cとの間に発生した微小な容量C3を調節することができる。従って、高周波フィルタ10−4によれば、絶縁体層28cの一部の誘電率を調節することにより、整合回路におけるインピーダンスの調整を、容易に行うことができる。
【0076】
(その他の実施形態)
本発明に係る高周波フィルタは、前記実施形態及び変形例に係る高周波フィルタ10,10−1,10−2,10−3,10−4に限らずその要旨の範囲内において変更可能である。
【0077】
また、高周波フィルタ10,10−1,10−2,10−3,10−4の構成を組み合わせてもよい。
【0078】
なお、高周波フィルタ10において、調整部20b,20cの間隔は、引き出し部19b,19cの調整部20b,20c以外の部分の間隔よりも広くてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0079】
以上のように、本発明は、高周波フィルタに有用であり、特に、実装面積の大型化を抑えつつ、部品の低背化ができる点において優れている。
【符号の説明】
【0080】
C1,C1−1〜3,C2,C2−1〜3 容量
10,10−1〜4 高周波フィルタ
12,12−1〜4 積層フィルタ
14a〜14f 外部電極
18,19 伝送線路
18a,19a 結合線路部
18b,18c,19b,19b−3,19c,19c−3,24b,24b−1〜2,24c,24c−1〜2 引き出し部
20b,20b−3,20c,20c−3 調整部
24,24−1,24−2 グランド導体
24a,24a−1〜2,24a−2−1,24a−2−2 本体部
26 浮き導体
28a〜28e 絶縁体層
30,32 共振器
30a〜30c,32a〜32c ストリップライン
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11