【実施例1】
【0015】
実施例1は異常の種類を判定する例である。
図1は実施例1に係る排気熱回収装置100の概略図である。
図1には、排気熱回収装置100とともに内燃機関30、排気管32、スタータコンバータ34及びアンダーフロアコンバータ36を示す。
図1に示す各構成は図示しない車両に搭載されている。排気熱回収装置100はECU(Engine Control Unit)10、循環経路部11、及び熱媒体制御部20を備えている。排気熱回収装置100は、受熱によって蒸気化するとともに放熱によって凝縮する熱媒体を利用して熱の輸送を行う蒸気ループ機構である。
【0016】
循環経路部11は熱回収器12と凝縮部14と供給配管16と戻り配管18とを備えている。供給配管16及び戻り配管18は、熱回収器12(蒸発部)と凝縮部14とに接続されている。循環経路部11は、熱回収器12と凝縮部14とが組み込まれ、熱媒体が循環する熱媒体経路を形成している。循環経路部11内には熱媒体が大気圧よりも減圧された負圧状態(例えば−100kPa)で予め封入されている。そしてこれにより、熱媒体による熱の輸送を行うにあたり、使用環境に合わせて熱媒体の沸点を調整している。熱媒体には例えばH
2Oが用いられる。循環経路部11内の熱媒体の量は、例えば循環経路部11の容積の1/2以下である。
【0017】
熱回収器12は熱交換器であり、熱媒体を蒸発させる。熱回収器12は具体的には内燃機関30の排気と熱媒体との間で熱交換を行うことで排気から熱を回収し、熱媒体を蒸気化する熱交換器となっている。内燃機関30の始動は排気熱回収装置100の作動開始条件となり、内燃機関30の停止は排気熱回収装置100の作動停止条件となる。循環経路部11は作動停止条件成立後に冷却が進む結果、熱媒体の凝縮が進むことで真空状態を有することになる。
【0018】
内燃機関30の排気は排気管32に設けられたスタータコンバータ34やアンダーフロアコンバータ36で浄化された上で、排気管32を介して排出される。熱回収器12は排気管32のうち、アンダーフロアコンバータ36よりも下流側の部分に設けられている。
【0019】
凝縮部14は蒸気化された熱媒体である蒸気が凝縮する部分である。凝縮部14は例えば内燃機関30のうち、蒸気が輸送する熱を暖機に利用する部分となっている。このため、排気熱回収装置100は内燃機関30と共有するかたちで凝縮部14を備えている。凝縮部14は内燃機関30のうち、蒸気が輸送する熱で冷間時の内燃機関30のフリクショントルクを低減可能な部分とすることができ、例えば内燃機関30のクランクシャフトを軸支する軸受部とすることができる。
【0020】
供給配管16は熱回収器12から凝縮部14に蒸気を供給する。供給配管16には圧力センサ13が設けられている。圧力センサ13は供給配管16内の圧力を検知することで、循環経路部11内の圧力(以下、内圧と表記する)を検知する。温度センサ15は循環経路部11内における熱媒体の温度を測定する。
【0021】
戻り配管18は凝縮部14から熱回収器12に凝縮した熱媒体を戻す。戻り配管18は具体的には熱回収器12とともに凝縮した熱媒体を凝縮部14から熱回収器12に重力の作用によって戻すことができるように設けられている。
【0022】
熱媒体制御部20は、リザーブタンク22(貯留部)、分岐配管24(分岐経路)及びバルブ26を備えており、循環経路部11内の熱媒体の量を変更することができる。リザーブタンク22は液相の熱媒体を貯留する。リザーブタンク22は、例えば貯留する熱媒体に大気圧が作用する大気開放型のタンクとなっている。なお大気圧は大気圧センサ28により測定される。リザーブタンク22は、液相状態で貯留する熱媒体に加えて、さらに循環経路部11内を循環する熱媒体を液相状態で貯留可能な容量を有している。リザーブタンク22は例えば所定の圧力で開弁することで、内圧の上昇を抑制するブリーザバルブ付きのタンクであってもよい。
【0023】
分岐配管24は循環経路部11から分岐し、リザーブタンク22と接続されている。分岐配管24は、リザーブタンク22で少なくとも確保されるべき液面の高さよりも低い位置で開口するようにリザーブタンク22に接続されており、例えばリザーブタンク22の底部に下方から接続されている。分岐配管24は戻り配管18から重力作用方向において上方に向かって分岐および延伸し、かつ戻り配管18のうち熱回収器12寄りの部分から分岐している。
【0024】
バルブ26は分岐配管24における熱媒体の流通を制御する。バルブ26は具体的には流量調節弁となっている。バルブ26は例えば開閉弁であってもよい。
【0025】
ECU10は電子制御装置であり、ECU10は圧力センサ13から内圧を、温度センサ15から熱媒体の温度を、大気圧センサ28から大気圧を取得する。またECU10は内燃機関30のイグニッションのON/OFFを取得し、バルブ26の開閉を制御する。
【0026】
図2(a)は内燃機関30の始動前における熱媒体を例示する概略図である。
図2(b)はバルブ26が開いた直後における熱媒体を例示する概略図である。
【0027】
図2(a)に示すように、バルブ26は閉じている。このため熱媒体制御部20から戻り配管18に向けて熱媒体は供給されない。
図2(b)に示すように、バルブ26が開くことにより、リザーブタンク22に貯留されている液相の熱媒体が、分岐配管24を通じて戻り配管18に供給される。次に排気熱回収装置100の動作について説明する。
【0028】
図3は排気熱回収装置100の動作を例示するタイミングチャートである。横軸は時間を表す。時間はゼロからt4に向けて流れる。縦軸は、上から順に内圧、バルブ26の開閉、凝縮部14の温度、及びイグニッション(図中のIG)のON/OFFを表す。L1〜L4は異なる傾きを有する内圧を表す線である。L5〜L8は異なる傾きを有する温度を表す線である。内圧又は温度の傾きを用いて正常/異常の判定を行う。ここでは内圧に基づいた判定について説明する。
【0029】
実線L1の傾きはa1(第1の値)である。破線L2の傾きa2(第2の値)はa1より大きい。点線L3の傾きa3(第3の値)はa1より小さい。一点鎖線L4の傾きa4(第4の値)はa3より小さい。
【0030】
図3に示すように、時間ゼロにおいてイグニッションはOFFであり、バルブ26は閉じている。内圧は大気圧P1より低い負圧であり、例えば−100kPaに維持されている。時間t1においてイグニッションがONになる。熱媒体は循環経路部11を循環する。熱回収器12において熱媒体が蒸発するため、内圧は高くなる。蒸気が循環経路部11に流れるため、循環経路部11における熱媒体の温度は高くなる。内圧の傾き(内圧の変化率)a及び温度の傾き(温度の変化率)bは正の値となる。時間t2〜t3において内圧の傾きaは小さく、例えばゼロなどのように所定の範囲R1内の値である。範囲R1は例えばゼロを含む範囲である。また時間t2〜t3において内圧は大気圧P1より小さい。このように、内圧が大気圧P1より小さく、かつ傾きaが範囲R1内にある状態が所定の時間(t2〜t3)継続している場合、内圧が負圧で安定しているとする。
【0031】
時間t3においてバルブ26は開き、時間t4においてバルブ26は閉じる。
図2(b)に示したように、リザーブタンク22から戻り配管18に向けて熱媒体が供給される。ECU10は、時間t4後の内圧の傾きaに基づき異常が発生している部位を判定する。
【0032】
内圧の傾きaがa1未満かつa3以上である場合、内圧が領域A1内に入る。このとき、ECU10は循環経路部11が正常であると判定する。内圧の傾きaがa2以上である場合、内圧は領域A2内に入る。このとき、ECU10は循環経路部11がドライアウト状態(以下、ドライアウトと表記する)であると判定する。ドライアウトとは、熱媒体が循環経路部11内に存在していない状態である。
【0033】
内圧の傾きaがa2未満かつa1以上である場合、内圧は領域A3内に入る。このとき、ECU10は循環経路部11内において熱媒体が不足していると判定する。不足とは、排気熱回収装置100が適切に動作するための熱媒体の量に対して熱媒体が少ないことを意味する。内圧の傾きaがa3未満かつa4以上である場合、内圧は領域A4内に入る。このときECU10は、循環経路部11が閉塞していると判定する。閉塞とは、例えば異物などにより循環経路部11が遮断されていることである。内圧の傾きaがa4未満である場合、内圧は領域A5内に入る。このときECU10は循環経路部11が正常であると判定する。
【0034】
図4はECU10の構成を例示する機能ブロック図である。
図4に示すように、ECU10は、圧力取得部40、バルブ制御部42、温度取得部44、判定部46、及び通知部48として機能する。圧力取得部40は、圧力センサ13から内圧を、大気圧センサ28から大気圧P1を取得する。圧力取得部40は、取得した内圧に基づいて内圧の傾きaを算出する。バルブ制御部42はバルブ26の開閉を制御する。温度取得部44は、温度センサ15が測定した循環経路部11内における熱媒体の温度を取得する。判定部46は
図3に示したように内圧の傾きaに基づいて、異常が発生している部位を判定する。通知部48は異常が発生している部位を、車両のユーザに通知する。
【0035】
図5から
図6(b)は排気熱回収装置100の制御を例示するフローチャートである。
図5に示すように、圧力取得部40は内圧及び大気圧を取得する(ステップS10)。バルブ制御部42は内圧が負圧で安定しているか判定する(ステップS11)。つまり、内圧が大気圧P1より小さく、かつ傾きaが範囲R1内であるか判定する。Noの場合、制御は終了する。Yesの場合は
図3の時間t2〜t3に対応する。バルブ制御部42はバルブ26を開く。これにより熱媒体が戻り配管18に供給される(ステップS12)。ステップS12は
図3の時間t3〜t4に対応する。圧力取得部40は時間t4から所定の時間Δtが経過したか判定する(ステップS13)。Noの場合ステップS13が繰り返される。Yesの場合、圧力取得部40は内圧の傾きaを算出する(ステップS14)。
【0036】
判定部46は、傾きaが傾きa1未満であるか判定する(ステップS15)。Noの場合は後述する。Yesの場合、判定部46は、傾きaが傾きa3以上であるか判定する(ステップS16)。Noの場合は後述する。Yesの場合、判定部46は循環経路部11が正常であると判定する(ステップS17)。これは
図3の領域A1に対応する。ステップS17の後、制御は終了する。
【0037】
ステップS15においてNoの場合、判定部46は傾きaがa2以上であるか判定する(ステップS18、
図5及び
図6(a)のB参照)。Yesの場合、判定部46はドライアウトが発生していると判定する(ステップS19)。これは
図3の領域A2に対応する。Noの場合、判定部46は熱媒体が不足していると判定する(ステップS20)。これは
図3の領域A3に対応する。ステップS19及びS20の後、通知部48は通知を行う(ステップS21)。ステップS21の後、制御は終了する。
【0038】
ステップS16においてNoの場合、判定部46は傾きaがa4未満であるか判定する(ステップS22、
図5及び
図6(b)のC参照)。Noの場合、判定部46は閉塞が発生していると判定する(ステップS23)。これは
図3の領域A4に対応する。ステップS23の後、通知部48は通知を行う(ステップS24)。ステップS22においてYesの場合、判定部46は循環経路部11が正常であると判定する(ステップS25)。これは
図3の領域A5に対応する。ステップS24の後、又はS25の後、制御は終了する。
【0039】
パッシブ制御では、例えば暖機が完了して内圧が定常値になったとき、又は熱媒体の流量を調整する弁の開閉を切り換えたときに判定を行う。従って、判定の頻度を増やすことは難しい。また、エンジンの運転状況又は運転履歴などに応じて、内圧、及び内圧の傾きが大きく変動する。従って、判定のための閾値を定めることは困難であり、正常/異常の判定も困難となる。
【0040】
実施例1によれば、内圧の傾きaが所定の範囲R1内であるときに熱媒体制御部20が熱媒体を供給する。供給後の内圧の傾きaに基づいて、判定部46が正常/異常の判定を行う。つまり内圧の安定している通常運転時に、排気熱回収装置100が能動的に判定のための動作を行うアクティブ制御が行われる。このため、判定の頻度を増やすことができ、異常を早期に発見することができる。例えば内圧が安定しているときは、常に正常/異常の判定を実施してもよい。また安定状態において判定部46が判定を行うため、判定のための閾値(a1〜a4)の設定が容易であり、正常/異常の判定の精度が向上する。
【0041】
実施例1では、循環経路部11内の熱媒体の流量を調整する弁を備えなくてよい。このため排気熱回収装置100の構成が簡単となる。循環経路部11内の熱媒体の量は例えば容積の1/2程度である。従って、熱媒体制御部20が例えば容積の1/10以下程度の少量の熱媒体を供給することで、内圧の傾きを変化させることができる。供給量は、内圧、及び排気熱回収装置100の動作状況などに応じて変更可能であり、内圧の変化が検出可能な程度の量であればよい。
【0042】
傾きaに応じて、判定部46はドライアウト、熱媒体不足又は閉塞など異常の種類を判定する。このためユーザは適切かつ迅速に異常に対処することができる。また、例えば熱媒体の不足、又はドライアウトが発生している場合(ステップS19又はS20)、バルブ制御部42が自動的にバルブ26を開いてもよい。これにより熱媒体が熱回収器12に供給され、熱媒体の不足、又はドライアウトが解消する。
【0043】
通知部48が行う通知は、例えば車両室内に設けられた通知ランプの点灯、液晶モニタへのメッセージの表示などである。異常の種類に応じて、例えば通知ランプの色、メッセージの内容などを変更してもよい。所定の時間(t2〜t3)は任意に定めることができる。傾きa1〜a4は、例えば車両の使用環境、循環経路部11の容積などに応じて任意に定めることができる。
【0044】
図5のステップS13に示すように、熱媒体を供給してから時間Δt経過後の傾きaに基づいて、判定部46が判定を行う。これにより、ステップS12において供給された熱媒体が熱回収器12に到達した後の内圧の変化が傾きaに反映される。従って、判定の精度が高くなる。Δtは、例えば内圧、大気圧P1及び循環経路部11の容積などに基づいて定められる。なお、ステップS14は行わず、熱媒体供給直後の傾きaに基づいて、判定部46が判定を行ってもよい。
【0045】
例えば傾きa1のみを閾値としてもよい。つまり判定部46は時間t3後の傾きaがa1未満であれば正常、a1以上であれば異常と判定してもよい。このように閾値は選択可能である。
【0046】
内圧以外に、例えば循環経路部11内における熱媒体の温度を判定の指標として用いてもよい。
図3に示すように、時間t2〜t3において、温度は安定している。つまり温度が熱媒体の沸点T1より低く、かつ温度の傾きbが所定の範囲内にある。このとき、熱媒体制御部20は熱媒体を供給する。供給後の温度の傾きbに基づき、判定部46が判定を行う。実線L5の傾きはb1(第1の値)である。破線L6の傾きb2(第2の値)はb1より大きい。点線L7の傾きb3(第3の値)はb1より小さい。一点鎖線L8の傾きb4(第4の値)はb3より小さい。L5〜L7間の領域A6は領域A1に対応する。L6より上の領域A7は領域A2に対応する。L5〜L6間の領域A8は領域A3に対応する。L7〜L8間の領域A9は領域A4に対応する。L8より下の領域A10は領域A5に対応する。
【実施例2】
【0047】
実施例2は内圧が高い場合における判定の例である。排気熱回収装置100は実施例2においても共通である。
図7は排気熱回収装置100の動作を例示するタイミングチャートである。
【0048】
図7に示すように、時間t5〜t6において内圧はP2である。また内圧の傾きaは所定の範囲R2(第2の範囲)内にある。範囲R2はゼロを含む範囲であり、例えば範囲R1と同じでもよいし、異なってもよい。P2は大気圧P1より高い正圧である。このように、内圧が大気圧P1より高くかつ傾きaが範囲R2内にある状態が所定の時間(時間t5〜t6)継続している場合、内圧は正圧で安定しているとする。バルブ26は、時間t6において開き、時間t7において閉じる。
【0049】
異常が発生していない場合、バルブ26が開くと液層の熱媒体が正圧状態にある戻り配管18からリザーブタンク22に回収される。循環経路部11中の熱媒体が減少することにより、内圧は低下する。従って、破線L9のように、時間t5後に内圧が減少する場合、ECU10は正常と判定する。点線L10のように内圧がほとんど変化しない場合、熱媒体がリザーブタンク22に流入していないと推測される。循環経路部11に閉塞が生じている可能性がある。また、熱媒体が循環経路部11に大量に入り込んでいる可能性もある。つまり熱媒体が過多であるため、熱媒体がリザーブタンク22に流入しても、内圧が大きく変化しない。ECU10は、閉塞又は熱媒体過多の異常が発生していると判定する。
【0050】
図7は排気熱回収装置の制御を例示するフローチャートである。圧力取得部40は内圧及び大気圧P1を取得する(ステップS26)。バルブ制御部42は、内圧が正圧で安定しているか判定する(ステップS27)。Noの場合、制御は終了する。Yesの場合、バルブ制御部42はバルブ26の開閉を行う。これにより熱媒体は回収される(ステップS28)。これは
図6の時間t5及びt6に対応する。ステップS29は
図5のステップS13と同じである。ステップS29の後、判定部46は内圧が低下しているか判定する(ステップS30)。Yesの場合、判定部46は循環経路部11が正常であると判定する(ステップS31)。これは
図7の破線L9に対応する。ステップS31の後、制御は終了する。
【0051】
ステップS30においてNoの場合、判定部46は循環経路部11に異常が発生していると判定する(ステップS32、
図6の点線L10)。異常とは、閉塞の発生、又は循環経路部11内における熱媒体の過多である。通知部48は通知を行う(ステップS33)。ステップS33の後、制御は終了する。
【0052】
実施例2によれば、内圧が正圧の場合に、正常/異常の判定をすることができる。また例えば閉塞又は熱媒体の過多のように異常の種類を推測することができる。従って、異常への迅速かつ適切な対処が可能である。熱媒体が過多である場合、熱媒体の沸騰に多くの時間がかかる。このため排気熱回収装置100の応答性が悪化する。また熱媒体が凍結し、循環経路部11の閉塞又は破損が発生する恐れもある。実施例2によれば熱媒体過多を迅速に検出できるため、熱媒体の凍結が発生する前に熱媒体過多への対処が可能である。
【0053】
実施例2においても、循環経路部11内における熱媒体の温度を用いて判定を行ってもよい。
図7に示すように、温度が熱媒体の沸点T1より高い温度T2でかつ傾きbが所定の範囲内であるとき、つまり温度が沸点T1より高温で安定しているときに、熱媒体制御部20は熱媒体を供給する。
図7の破線L11のように供給後に温度が低下する場合、判定部46は循環経路部11が正常であると判定する。点線L12のように供給後に温度が低下しない場合、判定部46は閉塞又は熱媒体過多の異常が発生していると判定する。
【0054】
上述のように、実施例1によれば内圧が負圧の場合に正常/異常の判定をすることができる。従って実施例1及び2を組み合わせることで、内圧が負圧及び正圧のどちらであっても、判定部46は正常/異常の判定を行うことができる。この結果、排気熱回収装置100を効果的に監視、及び修正することができる。範囲R1及びR2以外に、例えばゼロを異常の種類を判定するための閾値としてもよい。また、実施例1及び2において、内圧及び温度の両方を用いて正常/異常の判定を行ってもよい。ランキンサイクルと比較して蒸気ループ機構では熱媒体の量が少ない。このため、熱媒体の供給又は回収による内圧の変化及び温度の変化が検出しやすい。従って、より精度高く正常/異常の判定が可能である。ただし、実施例1及び2は、蒸気ループ機構以外に、例えばヒートパイプ又はランキンサイクルなどにも適用可能である。
【0055】
以上、本発明の実施例について詳述したが、本発明はかかる特定の実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。