(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
光学系の損失低減と部品点数の削減とのため、SLDをライトバルブの直下に配置し、レンズアレイを用いて集光と均一照明とを同時に行う方式のプロジェクターが提案されている。このような方式のプロジェクターでは、レンズアレイの間隔に合わせて、出射部を配置する必要がある。
【0006】
特許文献1に記載された技術では、複数の出射部の間隔をピッチの異なる様々なレンズアレイに合わせて配置することが困難であり、上記の方式のプロジェクターに適用できない。
【0007】
本発明のいくつかの態様に係る目的の1つは、複数の出射部の間隔を大きくすることができ、発光装置がライトバルブの直下に配置された方式のプロジェクターに適用できる発光装置を提供することにある。また、本発明のいくつかの態様に係る目的の1つは、上記発光装置を有するプロジェクターを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る発光装置は、
電流を注入することによって光を発生させる第1層と、
前記第1層を挟み、かつ前記光の漏れを抑制する第2層および第3層と、
を含み、
前記第1層には、
前記第1層の第1側面に設けられた第1出射部から前記第1層の第2側面に設けられた第1反射部まで延出する帯状の形状を有する第1光導波路と、
前記第1反射部から前記第1層の第3側面に設けられた第2反射部まで延出する帯状の形状を有する第2光導波路と、
前記第2反射部から前記第1側面に設けられた第2出射部まで延出する帯状の形状を有する第3光導波路と、
が形成され、
前記第2光導波路の延出方向は、前記第1側面と平行であり、
前記第1出射部から出射される第1の光と、前記第2出射部から出射される第2の光とは、同じ方向に出射され、
前記第3層は、
前記第2側面と連続する第4側面の少なくとも一部を含んで形成された第1酸化領域と、
前記第3側面と連続する第5側面の少なくとも一部を含んで形成された第2酸化領域と、
を有し、
前記第1酸化領域は、前記第1層、前記第2層、および前記第3層の積層方向から見て、前記第1反射部と重なり、
前記第2酸化領域は、前記積層方向から見て、前記第2反射部と重なる。
【0009】
このような発光装置によれば、第2光導波路は、第2側面から第3側面まで、第1出射部および第2出射部が形成される第1側面に対して、平行に設けられている。そのため、例えば、第2光導波路が第1側面に対して平行ではない場合に比べて、光導波路の全長が増大することを抑制しつつ、第1出射部および第2出射部の間隔を大きくすることができる。すなわち、第1出射部および第2出射部が形成される側面に垂直な方向の素子長の小型化を図りつつ、第1出射部および第2出射部の間隔を大きくすることができる。
【0010】
さらに、このような発光装置によれば、第3層は、第4側面の少なくとも一部を含んで形成された第1酸化領域と、第5側面の少なくとも一部を含んで形成された第2酸化領域と、を有する。そして、第1酸化領域は、第1反射部と重なり、第2酸化領域は、第2反射部と重なっている。これにより、第1反射部および第2反射部に電流が注入されることを抑制することができ、第1反射部および第2反射部における非発光再結合を抑制することができる。その結果、第1反射部および第2反射部におけるCOD破壊を抑制することができる。
【0011】
本発明に係る発光装置において、
前記第1反射部および前記第2反射部表面は、誘電体層で覆われていてもよい。
【0012】
このような発光装置によれば、第1反射部および第2反射部の表面に現れるダングリングボンドの一部を終端することができる。これにより、CODに対する耐圧を向上させることができる。
【0013】
本発明に係る発光装置において、
前記誘電体層を介して前記第1反射部および前記第2反射部の反対側に、樹脂層が形成されていてもよい。
【0014】
このような発光装置によれば、第1反射部および第2反射部を形成する際にできる切り欠き部を、短時間で埋め込むことができる。
【0015】
本発明に係る発光装置において、
前記第1反射部および前記第2反射部の表面は、露出していてもよい。
【0016】
このような発光装置によれば、小型化を図りつつ、第1出射部および第2出射部の間隔を大きくすることができる。
【0017】
本発明に係る発光装置において、
前記第3層は、
前記積層方向から見て、前記第1酸化領域に対して、前記第1光導波路および前記第2光導波路を挟んで配置された第3酸化領域と、
前記積層方向から見て、前記第2酸化領域に対して、前記第2光導波路および前記第3光導波路を挟んで配置された第4酸化領域と、
を有していてもよい。
【0018】
このような発光装置によれば、光損失を小さくすることができる。
【0019】
本発明に係る発光装置において、
前記第1酸化領域の、前記第4側面の垂線方向の長さは、20μm以上であり、
前記第2酸化領域の、前記第5側面の垂線方向の長さは、20μm以上であってもよい。
【0020】
このような発光装置によれば、拡散した電流が第1反射部および第2反射部に到達することを抑制することができる。これにより、いっそう第1反射部および第2反射部のCOD破壊を抑制することができる。
【0021】
本発明に係る発光装置において、
前記積層方向から見て、
前記第1光導波路と前記第2光導波路とは、前記第2側面の垂線に対して第1角度で傾いて前記第1反射部と接続され、
前記第2光導波路と前記第3光導波路とは、前記第3側面の垂線に対して第2角度で傾いて前記第2反射部と接続され、
前記第1角度および前記第2角度は、臨界角以上であってもよい。
【0022】
このような発光装置によれば、第1反射部および第2反射部は、第1光導波路、第2光導波路、および第3光導波路に発生する光を、全反射させることができる。したがって、第1反射部および第2反射部における光損失を抑制することができ、効率よく光を反射させることができる。
【0023】
本発明に係る発光装置において、
前記第2光導波路の延出方向の長さは、
前記第1光導波路の延出方向の長さ、および前記第3光導波路の延出方向の長さよりも大きくてもよい。
【0024】
このような発光装置によれば、第1出射部および第2出射部の間隔を確実に大きくすることができる。
【0025】
本発明に係る発光装置において、
前記第2側面および前記第3側面は、エッチングにより形成されたエッチング面であってもよい。
【0026】
このような発光装置によれば、ダングリングボンドが形成されやすいエッチング面においても、第1酸化領域および第2酸化領域により、COD破壊を抑制することができる。
【0027】
本発明に係るプロジェクターは、
本発明に係る発光装置と、
前記発光装置から出射された光を集光するレンズアレイと、
前記レンズアレイによって集光された光を、画像情報に応じて変調する光変調装置と、
前記光変調装置によって形成された画像を投射する投射装置と、
を含む。
【0028】
このようなプロジェクターによれば、レンズアレイのアライメントが容易で、均一性よく液晶ライトバルブ(光変調装置)を照射することができる。
【0029】
本発明に係るスーパールミネッセントダイオードは、
電流を注入することによって光を発生させる第1層と、
前記第1層を挟み、かつ前記光の漏れを抑制する第2層および第3層と、
を含み、
前記第1層には、
前記第1層の第1側面に設けられた第1出射部から前記第1層の第2側面に設けられた第1反射部まで延出する帯状の形状を有する第1光導波路と、
前記第1反射部から前記第1層の第3側面に設けられた第2反射部まで延出する帯状の形状を有する第2光導波路と、
前記第2反射部から前記第1側面に設けられた第2出射部まで延出する帯状の形状を有する第3光導波路と、
が形成され、
前記第2光導波路の延出方向は、前記第1側面と平行であり、
前記第1出射部から出射される第1の光と、前記第2出射部から出射される第2の光とは、同じ方向に出射され、
前記第3層は、
前記第2側面と連続する第4側面の少なくとも一部を含んで形成された第1酸化領域と、
前記第3側面と連続する第5側面の少なくとも一部を含んで形成された第2酸化領域と、
を有し、
前記第1酸化領域は、前記第1層、前記第2層、および前記第3層の積層方向から見て、前記第1反射部と重なり、
前記第2酸化領域は、前記積層方向から見て、前記第2反射部と重なる。
【0030】
このようなスーパールミネッセントダイオードによれば、小型化を図りつつ、第1出射部および第2出射部の間隔を大きくすることができる。
【0031】
本発明に係るプロジェクターは、
本発明に係るスーパールミネッセントダイオードと、
前記スーパールミネッセントダイオードから出射された光を集光するレンズアレイと、
前記レンズアレイによって集光された光を、画像情報に応じて変調する光変調装置と、
前記光変調装置によって形成された画像を投射する投射装置と、
を含む。
【0032】
このようなプロジェクターによれば、レンズアレイのアライメントが容易で、均一性よく液晶ライトバルブ(光変調装置)を照射することができる。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、本発明の好適な実施形態について、図面を参照しながら説明する。
【0035】
1. 発光装置
まず、本実施形態に係る発光装置について、図面を参照しながら説明する。
図1は、本実施形態に係る発光装置100を模式的に示す平面図である。
図2は、本実施形態に係る発光装置100を模式的に示す
図1のII−II線断面図である。
図3は、本実施形態に係る発光装置100を模式的に示す
図1のIII−III線断面図である。
図4は、本実施形態に係る発光装置100を模式的に示す
図1のIV−IV線断面図である。なお、
図1では、便宜上、第2電極114の図示を省略している。
【0036】
以下では、発光装置100がInGaAlP系(赤色)のSLDである場合について説明する。SLDは、半導体レーザーと異なり、端面反射による共振器の形成を抑えることにより、レーザー発振を防止することができる。そのため、スペックルノイズを低減することができる。
【0037】
発光装置100は、
図1〜
図4に示すように、積層体120と、第1電極112と、第2電極114と、を含むことができる。
【0038】
積層体120は、基板102と、第2層104(以下「第1クラッド層104」ともいう)と、第1層106(以下「活性層106」ともいう)と、第3層108(以下「第2クラッド層108」ともいう)と、第4層110(以下「コンタクト層110」ともいう)と、絶縁層116と、を有することができる。
【0039】
基板102としては、例えば、第1導電型(例えばn型)のGaAs基板などを用いることができる。基板102は、
図1〜
図3に示すように、段差面103を有していてもよい。段差面103は、後述する反射部190,192を露出するための(側面132,133を露出するための)エッチングによって、形成されることができる。
【0040】
第1クラッド層104は、基板102上に(段差面103を除いた基板102の上面に)形成されている。第1クラッド層104としては、例えば、n型のInGaAlP層などを用いることができる。なお、図示はしないが、基板102と第1クラッド層104との間に、バッファー層が形成されていてもよい。バッファー層としては、例えば、n型のGaAs層、AlGaAs層、InGaP層などを用いることができる。バッファー層は、その上方に形成される層の結晶性を向上させることができる。
【0041】
活性層106は、第1クラッド層104上に形成されている。活性層106は、第1クラッド層104と第2クラッド層108とに挟まれている。活性層106は、例えば、InGaPウェル層とInGaAlPバリア層とから構成される量子井戸構造を3つ重ねた多重量子井戸(MQW)構造を有する。
【0042】
積層体120の積層方向から見た活性層106の平面形状は、例えば、クラッド層104,108およびコンタクト層110の平面形状と同じである。活性層106は、第1側面131、第2側面132、および第3側面133を有する。
図1に示す例では、活性層106は、さらに側面134,135,136を有し、活性層106の平面形状は、六角形である。側面131〜136は、活性層106の面のうち第1クラッド層104または第2クラッド層108に面状に接していない面であり、積層体120の外形を形成している面である。側面131〜136は、積層体120の積層方向から見て(活性層106およびクラッド層104,108の積層方向から見て、以下、単に「平面視において」ともいう)活性層106の側壁、言い換えれば積層体120の側面部に設けられているともいえる。側面131〜136は、平坦な面である。
【0043】
図1に示す例では、側面134,135は、側面131と直交している。側面136は、側面131と対向している。側面132は、側面134,136と接続しており、側面131に対して傾斜している。側面133は、側面135,136と接続しており、側面131に対して傾斜している。例えば、側面131,134,135,136は、劈開によって形成された劈開面であり、側面132,133は、エッチングによって形成されたエッチング面である。
【0044】
活性層106の一部は、第1光導波路160、第2光導波路162、および第3光導波路164を構成している。光導波路160,162,164の電流が注入される部分は、光を発生させることができる。発生した光は、光導波路160,162,164内を、導波することができる。光導波路160,162,164内を導波する光は、光導波路160,162,164の電流が注入される部分において、利得を受けることができる。すなわち、発光装置100では、活性層106の一部は、第1利得領域160、第2利得領域162、および第3利得領域164を構成しているとも言える。
【0045】
第1光導波路160は、平面視において、第1側面131から第2側面132まで延出している。第1光導波路160は、平面視において、所定の幅を有し、第1光導波路160の延出方向に沿った帯状かつ直線状の長手形状を備えている。第1光導波路160は、第1側面131との接続部分に設けられた第1端面181と、第2側面132との接続部分に設けられた第2端面182と、を有する。
【0046】
なお、第1光導波路160の延出方向とは、例えば、平面視における、第1端面181の中心と第2端面182の中心とを通る直線の延出方向である。また、第1光導波路160(と第1光導波路160を除いた部分と)の境界線の延出方向であってもよい。なお、第1光導波路160が、第1側面131の垂線P1と平行(α=0°)であってもよい。
【0047】
第1光導波路160は、平面視において、第1側面131の垂線P1に対して角度αで傾いて第1側面131と接続している。言い換えれば、第1光導波路160の延出方向は、垂線P1に対してαの角度を有しているといえる。角度αは、鋭角であって、臨界角より小さい角度である。
【0048】
第1光導波路160は、平面視において、第2側面132の垂線P2に対して角度βで傾いて第2側面132と接続している。言い換えれば、第1光導波路160の延出方向は、垂線P2に対してβの角度を有しているといえる。
【0049】
第2光導波路162は、平面視において、第2側面132から第3側面133まで延出している。第2光導波路162は、平面視において、所定の幅を有し、第2光導波路162の延出方向に沿った帯状かつ直線状の長手形状を備えている。第2光導波路162は、第2側面132との接続部分に設けられた第3端面183と、第3側面133との接続部分に設けられた第4端面184と、を有する。平面視において、第2光導波路162の延出方向は、第1側面131と平行である。
【0050】
なお、第2光導波路162の延出方向とは、例えば、平面視における、第3端面183の中心と第4端面184の中心とを通る直線の延出方向である。また、第2光導波路162(と第2光導波路162を除いた部分と)の境界線の延出方向であってもよい。また、「第2光導波路162の延出方向は、第1側面131と平行」とは、製造ばらつき等を考慮し、平面視において、第1側面131に対する第2光導波路162の傾き角が±1°以内である、ということを意味している。
【0051】
第2光導波路162の第3端面183は、第2側面132において、第1光導波路160の第2端面182と重なっている。図示の例では、第2端面182と第3端面183とは、重なり面190において、完全に重なっている。
【0052】
第2光導波路162は、平面視において、第2側面132の垂線P2に対して角度βで傾いて第2側面132と接続している。言い換えれば、第2光導波路162の延出方向は、垂線P2に対してβの角度を有しているといえる。すなわち、第1光導波路160の垂線P2に対する角度と、第2光導波路162の垂線P2に対する角度とは、製造ばらつきの範囲で同じである。角度βは、例えば、鋭角であって、臨界角以上である。これにより、第2側面132は、光導波路160,162,164に発生する光を、全反射させることができる。
【0053】
なお、「第1光導波路160の垂線P2に対する角度と、第2光導波路162の垂線P2に対する角度が同じ」とは、エッチング等の製造ばらつきを考慮し、両角度の差が例えば±2°程度以内である、ということを意味している。
【0054】
第2光導波路162は、平面視において、第3側面133の垂線P3に対して角度γで傾いて第3側面133と接続している。言い換えれば、第2光導波路162の延出方向は、垂線P3に対してγの角度を有しているといえる。
【0055】
第2光導波路162の延出方向の長さは、第1光導波路160の延出方向の長さ、および第3光導波路164の延出方向の長さよりも大きい。第2光導波路162の延出方向の長さは、第1光導波路160の延出方向の長さと、第3光導波路164の延出方向の長さと、の和以上であってもよい。なお、「第2光導波路162の延出方向の長さ」とは、第3端面183の中心と、第4端面184の中心と、の間の距離ともいえる。他の光導波路についても同様に、延出方向の長さとは、2つの端面の中心間の距離ともいえる。
【0056】
第3光導波路164は、平面視において、第3側面133から第1側面131まで延出している。第3光導波路164は、平面視において、例えば、所定の幅を有し、第3光導波路164の延出方向に沿った帯状かつ直線状の長手形状を備えている。第3光導波路164は、第3側面133との接続部分に設けられた第5端面185と、第1側面131との接続部分に設けられた第6端面186と、を有する。
【0057】
なお、第3光導波路164の延出方向とは、例えば、平面視における、第5端面185の中心と第6端面186の中心とを通る直線の延出方向である。また、第3光導波路164(と第3光導波路164を除いた部分と)の境界線の延出方向であってもよい。
【0058】
第3光導波路164の第5端面185は、第3側面133において、第2光導波路162の第4端面184と重なっている。図示の例では、第4端面184と第5端面185とは、重なり面192において完全に重なっている。
【0059】
第1光導波路160と第3光導波路164とは、互いに離間している。
図1に示す例では、第1光導波路160の第1端面181と、第3光導波路164の第6端面186とは、間隔Dで離間している。
【0060】
第3光導波路164は、平面視において、第3側面133の垂線P3に対して角度γで傾いて第3側面133と接続している。言い換えれば、第3光導波路164の延出方向は、垂線P3に対してγの角度を有しているといえる。すなわち、第2光導波路162の垂線P3に対する角度と、第3光導波路164の垂線P3に対する角度とは、製造ばらつきの範囲で同じである。角度γは、例えば、鋭角であって、臨界角以上である。これにより、第3側面133は、光導波路160,162,164に発生する光を、全反射させることができる。
【0061】
なお、「第2光導波路162の垂線P3に対する角度と、第3光導波路164の垂線P3に対する角度が同じ」とは、エッチング等の製造ばらつきを考慮し、両角度の差が例えば±2°程度以内である、ということを意味している。
【0062】
第3光導波路164は、平面視において、垂線P1に対して角度αで傾いて第1側面131と接続している。言い換えれば、第3光導波路164の長手方向は、垂線P1に対してαの角度を有しているといえる。すなわち、第1光導波路160と第3光導波路164とは、平面視において、同じ向きで第1側面131と接続しており、互いに平行である。より具体的には、第1光導波路160の延出方向と、第3光導波路164の延出方向とは、互いに平行である。これにより、第1端面181から出射される光20と、第6端面186から出射される光22とは、同一の方向に進むことができる。なお、第3光導波路164が、第1側面131の垂線P1と平行(α=0°)であってもよい。
【0063】
以上のとおり、角度β,γを臨界角以上とし、角度αを臨界角より小さくすることにより、第1側面131の反射率を、第2側面132の反射率および第3側面133の反射率より低くすることができる。これにより、第1側面131に設けられた第1端面181は、光導波路160,162,164に発生する光を出射させる第1出射部(第1出射部181)となることができる。第1側面131に設けられた第6端面186は、光導波路160,162,164に発生する光を出射させる第2出射部(第2出射部186)となることができる。第2側面132に設けられた端面182,183の重なり面190は、光導波路160,162,164に発生する光を反射させる第1反射部(第1反射部190)となることができる。第3側面133に設けられた端面184,185の重なり面192は、光導波路160,162,164に発生する光を反射させる第2反射部(第2反射部192)となることができる。
【0064】
すなわち、第1光導波路160は、第1出射部181から第1反射部190まで延出している。第2光導波路162は、第1反射部190から第2反射部192まで延出している。第3光導波路164は、第2反射部192から第2出射部186まで延出している。
【0065】
なお、図示の例では、出射部181,186および反射部190,192は、その表面が露出しているが、例えば、第1側面131(出射部181,186)を反射防止膜で覆い、第2側面132および第3側面133(反射部190,192)を反射膜で覆ってもよい。これにより、光導波路160,162,164に発生する光が、反射部190,192において、全反射しないような入射角度、屈折率等の条件下においても、光導波路160,162,164に発生する光の波長帯における第1側面131の反射率を、第2側面132の反射率および第3側面133の反射率より低くすることができる。また、第1側面131を反射防止膜で覆うことにより、光導波路160,162,164に発生する光を、第1端面181と第6端面186との間で直接的に多重反射させることを低減できる。この結果、直接的な共振器を構成させないことができるため、光導波路160,162,164に発生する光のレーザー発振を抑制することができる。
【0066】
反射膜および反射防止膜としては、例えば、SiO
2層、Ta
2O
5層、Al
2O
3層、TiN層、TiO
2層、SiON層、SiN層や、これらの多層膜を用いることができる。また、側面132,133をエッチングによって形成されたDBR(Distributed Bragg Reflector)として、高い反射率を得てもよい。
【0067】
さらに、角度αは、0°より大きい角度であることができる。これにより、第1端面181と第6端面186との間で、光導波路160,162,164に発生する光を、直接的に多重反射させないことができる。その結果、直接的な共振器を構成させないことができるため、光導波路160,162,164に発生する光のレーザー発振を抑制または防止することができる。
【0068】
第2クラッド層108は、活性層106上に形成されている。第2クラッド層108は、
図1〜
図3に示すように、活性層106の第2側面132と連続する第4側面142と、活性層106の第3側面133と連続する第5側面143と、を有する。
【0069】
第2クラッド層108としては、例えば、第2導電型(例えばp型)のInGaAlP層などを用いることができる。第2クラッド層108は、In
y(Ga
xAl
1−x)
1−yP層(0≦x≦1、0<y<1)において、xの値を変化させた複数の層からなる積層体であってもよい。図示の例では、第2クラッド層108は、他の層に比べてAlの組成が高い(xの値が小さい)Al高組成層108aを有している。より具体的には、Al高組成層108aをIn
0.49Al
0.51P層とし、第2クラッド層108を構成する他の層をIn
0.49(Ga
0.05Al
0.95)
0.51P層とすることができる。Al高組成層108aと活性層106との間の距離は、例えば、300nm以下であり、Al高組成層108aは、活性層106と接触していてもよい。
【0070】
Al高組成層108aは、第4側面142の少なくとも一部を含んで(換言すれば、第4側面142の少なくとも一部に接して)形成された第1酸化領域170と、第5側面143の少なくとも一部を含んで(換言すれば、第5側面143の少なくとも一部に接して)形成された第2酸化領域172と、を有する。第1酸化領域170および第2酸化領域172は、Al高組成層108aの酸化された部分である。第1酸化領域170は、例えば、平面視において、第4側面142に沿って全体に形成されている。第2酸化領域172は、例えば、平面視において、第5側面143に沿って全体に形成されている。
【0071】
第1酸化領域170は、平面視において、第1光導波路160および第2光導波路162の一部、ならびに第1反射部190と重なっている。第2酸化領域172は、平面視において、第2光導波路162および第3光導波路164の一部、ならびに第2反射部192と重なっている。すなわち、酸化領域170,172によって、光導波路160,162,164は、それぞれ酸化領域170,172と重なる、重なり領域160a,162a,164aを有することができる。
【0072】
重なり領域160a,162a,164aでは、その上方に酸化領域170,172が形成されているので、電極112,114による電流は積極的に注入されない。これにより、反射部190,192に流れる電流を抑制でき、反射部190,192におけるCOD(Catastrophic Optical Damage)破壊を抑制することができる。
【0073】
なお、「電流は積極的に注入されない」とは、電極112,114による電流が、拡散することにより、重なり領域160a,162a,164aに注入されることを含んでいる。すなわち、重なり領域160a,162a,164aの上方に酸化領域170,172が形成されていても、電極112,114によって注入される電流は、拡散して、重なり領域160a,162a,164aに注入されることがある。
【0074】
例えば、第1酸化領域170の、第2側面132の垂線P2方向の長さ(第4側面142の垂線方向の長さ)L1は、20μm以上であり、第2酸化領域172の、第3側面133の垂線P3方向の長さ(第5側面143の垂線方向の長さ)L2は、20μm以上である。長さL1,L2が20μm以上であれば、電流が重なり領域160a,162a,164a内を拡散しても、拡散した電流が反射部190,192に到達することを抑制することができる。すなわち、電流の拡散距離は、20μm未満であるといえる(詳細は後述の実験例を参照)。これにより、反射部190,192におけるCOD破壊を抑制することができる。
【0075】
なお、図示はしないが、第2クラッド層108が酸化領域を有さず、第1クラッド層104が酸化領域を有していてもよい。すなわち、第1クラッド層104は、側面132,133の各々と連続する側面を有し、該側面の少なくとも一部を含むように酸化領域を有していてもよい。また、第1クラッド層104および第2クラッド層108の両者が酸化領域を有していてもよい。さらに、活性層106が、側面132,133の少なくとも一部を含むように酸化領域を有していてもよい。
【0076】
また、図示はしないが、酸化領域の厚みは、第2クラッド層108の厚みと等しくてもよい。例えば、第2クラッド層108の全体が、Al高組成層であってもよい。
【0077】
また、図示はしないが、第2クラッド層108は、側面131と連続する側面を有し、該側面の少なくとも一部を含むように酸化領域を有していてもよい。該酸化領域は、平面視において、第1光導波路160および第2光導波路164、ならびに出射部181,186と重なっていることができる。これにより、出射部181,186におけるCOD破壊を抑制することができる。
【0078】
例えば、p型の第2クラッド層108、不純物がドーピングされていない活性層106、およびn型の第1クラッド層104により、pinダイオードが構成される。第1クラッド層104および第2クラッド層108の各々は、活性層106よりも禁制帯幅が大きく、屈折率が小さい層である。活性層106は、電流が注入されることによって光を発生させ、かつ光を増幅しつつ導波させる機能を有する。第1クラッド層104および第2クラッド層108は、活性層106を挟んで、注入キャリア(電子および正孔)並びに光を閉じ込める機能(光の漏れを抑制する機能)を有する。
【0079】
発光装置100は、第1電極112と第2電極114との間に、pinダイオードの順バイアス電圧を印加する(電流を注入する)と、電流が注入される光導波路160,162,164において電子と正孔との再結合が起こる。この再結合により発光が生じる。この生じた光を起点として、連鎖的に誘導放出が起こり、光導波路160,162,164内で光の強度が増幅される。
【0080】
例えば、
図1に示すように、第1光導波路160に生じ、第2側面132側に向かう光10は、第1光導波路160内で増幅された後、第1反射部190において反射して、第3側面133に向かって第2光導波路162を進行する。そして、さらに第2反射部192において反射して、第3光導波路164を進行して第6端面186から出射光22として出射される。このとき、光導波路162,164内においても光強度が増幅される。同様に、第3光導波路164に生じ、第3側面133側に向かう光は、第3光導波路164内で増幅された後、第2反射部192において反射して、第2側面132に向かって第2光導波路162を進行する。そして、さらに第1反射部190において反射して、第1光導波路160を進行して第1端面181から出射光20として出射される。このとき、光導波路160,162内においても光強度が増幅される。
【0081】
なお、第1光導波路160に発生する光には、直接、第1端面181から出射光20として出射されるものもある。同様に、第3光導波路164に発生する光には、直接、第6端面186から出射光22として出射されるものもある。これらの光も同様に各光導波路160,164内において強度が増幅される。
【0082】
コンタクト層110は、第2クラッド層108上に形成されている。コンタクト層110は、第2クラッド層108と第2電極114との間に形成されている。コンタクト層110は、第2電極114とオーミックコンタクトすることができる。コンタクト層110の上面115は、コンタクト層110と第2電極114との接触面115であるといえる。コンタクト層110としては、例えば、p型のGaAs層などを用いることができる。
【0083】
コンタクト層110と、第2クラッド層108の一部とは、
図4に示すように、柱状部111を構成することができる。柱状部111の積層体120の積層方向から見た平面形状は、光導波路160,162,164の積層体120の積層方向から見た平面形状と同じである。すなわち、コンタクト層110の上面115の平面形状は、光導波路160,162,164の平面形状と同じであるといえる。例えば、柱状部111の平面形状によって、電極112,114間の電流経路が決定され、その結果、光導波路160,162,164の平面形状が決定される。なお、図示はしないが、柱状部111の側面を傾斜させることもできる。
【0084】
絶縁層116は、第2クラッド層108上であって、柱状部111の側方(平面視における、柱状部111の周囲)に形成されている。絶縁層116は、柱状部111の側面に接していることができる。絶縁層116の上面は、例えば、コンタクト層110の上面115と連続している。絶縁層116としては、例えば、SiN層、SiO
2層、SiON層、Al
2O
3層、ポリイミド層などを用いることができる。絶縁層116として上記の材料を用いた場合、電極112,114間の電流は、絶縁層116を避けて、該絶縁層116に挟まれた柱状部111を流れることができる。
【0085】
絶縁層116は、活性層106の屈折率よりも小さい屈折率を有することができる。この場合、絶縁層116を形成した部分の垂直断面の有効屈折率は、絶縁層116を形成しない部分、すなわち、柱状部111が形成された部分の垂直断面の有効屈折率よりも小さくなる。これにより、平面方向において、光導波路160,162,164内に効率良く光を閉じ込めることができる。なお、図示はしないが、絶縁層116として上記の材料を用いず、空気層としてもよい。この場合、空気層が絶縁層116として機能することができる。
【0086】
第1電極112は、基板102の下の全面に形成されている。第1電極112は、該第1電極112とオーミックコンタクトする層(図示の例では基板102)と接していることができる。第1電極112は、基板102を介して、第1クラッド層104と電気的に接続されている。第1電極112は、発光装置100を駆動するための一方の電極である。第1電極112としては、例えば、基板102側からCr層、AuGe層、Ni層、Au層の順序で積層したものなどを用いることができる。
【0087】
なお、第1クラッド層104と基板102との間に、第2コンタクト層(図示せず)を設け、基板102と反対側からのドライエッチングなどにより該第2コンタクト層を基板102と反対側に露出させ、第1電極112を第2コンタクト層上に設けることもできる。これにより、片面電極構造を得ることができる。この形態は、基板102が絶縁性である場合に特に有効である。
【0088】
第2電極114は、コンタクト層110の上面115に接して形成されている。さらに、第2電極114は、
図4に示すように、絶縁層116上に形成されていてもよい。第2電極114は、コンタクト層110を介して、第2クラッド層108と電気的に接続されている。第2電極114は、発光装置100を駆動するための他方の電極である。第2電極114としては、例えば、コンタクト層110側からCr層、AuZn層、Au層の順序で積層したものなどを用いることができる。なお、図示はしないが、酸化領域170,172の上方には、第2電極114が形成されていなくてもよい。
【0089】
以上、本実施形態に係る発光装置100の一例として、InGaAlP系の場合について説明したが、発光装置100は、光導波路が形成可能なあらゆる材料系を用いることができる。半導体材料であれば、例えば、AlGaN系、GaN系、InGaN系、GaAs系、AlGaAs系、InGaAs系、InGaAsP系、InP系、GaP系、AlGaP系、ZnCdSe系などの半導体材料を用いることができる。
【0090】
また、上記では、本実施形態に係る発光装置100を、絶縁層116が形成されている領域と、絶縁層116が形成されていない領域、すなわち柱状部111を形成している領域との間に屈折率差を設けて光を閉じ込める、いわゆる屈折率導波型として説明した。図示はしないが、本実施形態に係る発光装置は、柱状部111を形成することによって屈折率差を設けないこととし、利得領域160,162,164がそのまま導波領域となる、いわゆる利得導波型であってもよい。
【0091】
本実施形態に係る発光装置100は、例えば、プロジェクター、ディスプレイ、照明装置、計測装置などの光源に適用されることができる。
【0092】
本実施形態に係る発光装置100は、例えば、以下の特徴を有する。
【0093】
発光装置100によれば、第2光導波路162は、第2側面132から第3側面133まで、出射部181,186が形成される第1側面131に対して、平行に設けられている。そのため、例えば、第2光導波路が第1側面に対して平行ではない場合に比べて、光導波路の全長が増大することを抑制しつつ、出射部の間隔を大きくすることができる。すなわち、出射部が形成される側面に垂直な方向の素子長の小型化を図りつつ、複数の出射部の間隔(出射部181,186の間隔)を大きくすることができる。これにより、発光装置100では、多大な電流を流す必要はなく、消費電力を抑えることができる。さらに、資源が無駄となることもなく、製造コストを抑えることができる。より具体的には、発光装置100では、出射部181,186の間隔Dを0.262mm以上3mm未満とし、角度αを5°以下(0°を含む)とし、光導波路160,162,164の全長を1.5mm以上3mm以下とすることができる。
【0094】
例えば、光導波路の全長が大きくなると、一般的に、高出力化を図ることはできるが、反転分布を得るために多大な電流を流さなくてはならず、その結果、所定の光出力以上で用いなければ、高効率化を図ることができない。すなわち、所定の光出力未満では、効率が悪化してしまう。さらに、光導波路の全長が大きくなる分、素子全体の面積が大きくなり、資源の無駄や製造コストの向上などの問題が生じる。本実施形態に係る発光装置100では、このような問題を回避することができる。
【0095】
さらに、発光装置100では、第2クラッド層108は、第4側面142の少なくとも一部を含んで形成された第1酸化領域170と、第5側面143の少なくとも一部を含んで形成された第2酸化領域172と、を有する。そして、第1酸化領域170は、光導波路160,162の一部、および第1反射部190と重なり、第2酸化領域172は、光導波路162,164の一部、および第2反射部192と重なっている。これにより、反射部190,192に電流が注入されることを抑制することができ、反射部190,192における非発光再結合を抑制することができる。その結果、反射部190,192におけるCOD破壊を抑制することができる。
【0096】
ここで一般的に、反射部等となる活性層の側面では、結晶を構成する原子が互いに電子を供給して結合することができない、いわゆるダングリングボンドが形成される。このような部分に電流を流すと、表面再結合電流が流れ、この表面再結合による非発光再結合電流により、発光再結合が阻害され発熱が生じる。発熱が生じるとバンドギャップが小さくなり、量子井戸における光の再吸収が大きくなる。光の再吸収が増えると、ますます非発光再結合による発熱が増える。こうして発熱および光の再吸収が繰り返され、最終的には側面が破壊されて、COD破壊が生じる。本実施形態に係る発光装置100では、上述のように、酸化領域170,172によって、反射部190,192に電流が注入されることを抑制することができ、反射部190,192における非発光再結合を抑制することができる。その結果、反射部190,192におけるCOD破壊を抑制することができる。
【0097】
発光装置100によれば、第1酸化領域170の第4側面142に垂直な方向の長さL1は、20μm以上であり、第2酸化領域172の第5側面143に垂直な方向の長さL2は、20μm以上である。長さL1,L2が20μm以上であれば、電流が重なり領域160a,162a,164a内を拡散しても、拡散した電流が反射部190,192に到達することを抑制することができる(詳細は後述の実験例を参照)。これにより、いっそう反射部190,192のCOD破壊を抑制することができる。
【0098】
発光装置100によれば、第1光導波路160および第2光導波路162は、第2側面132の垂線P2に対して角度βで傾いて第1反射部190と接続し、第2光導波路162および第3光導波路164は、第3側面133の垂線P3に対して角度γで傾いて第2反射部192と接続することができる。角度β,γは、臨界角以上である。そのため、反射部190,192は、光導波路160,162,164に発生する光を、全反射させることができる。したがって、発光装置100では、反射部190,192における光損失を抑制することができ、効率よく光を反射させることができる。さらに、反射部190,192を反射膜で覆う工程が不要となるので、製造コストおよび製造に必要な材料・資源を削減することができる。
【0099】
発光装置100によれば、第2光導波路162の長さを、第1光導波路160の長さおよび第3光導波路164の長さより大きくすることができる。これにより、出射部181,186の間隔Dを確実に大きくすることができる。
【0100】
発光装置100によれば、第2側面132および第3側面133は、エッチングにより形成されたエッチング面であることができる。一般的に、エッチング面は、劈開によって形成された劈開面より、ダングリングボンドが形成されやすい。発光装置100では、エッチング面に設けられた反射部190,192であっても、酸化領域170,172により、COD破壊を抑制することができる。
【0101】
2. 実験例
次に、電流の拡散距離を調査した実験について説明する。なお、本発明は、以下の実験によって何ら限定されるものではない。
【0102】
図5は、実験に用いた参考例に係る発光装置1000を模式的に示す平面図である。
図6は、実験に用いた参考例に係る発光装置1000を模式的に示す
図5のVI−VI断面図である。
【0103】
発光装置1000では、
図5および
図6に示すように、基板1102と、第1クラッド層1104と、活性層1106と、第2クラッド層1108と、コンタクト層1110と、第1電極1112と、第2電極1114と、を有することができる。
【0104】
発光装置1000では、基板1102として、GaAs基板を用いた。第1クラッド層1104として、InGaAlP層を用いた。活性層1106として、InGaPウェル層およびInGaAlPバリア層を用いた。第2クラッド層1108として、InGaAlP層を用いた。コンタクト層1110として、GaAs層を用いた。第1電極1112として、基板1102側から、Cr層、AuGe層、Ni層、Au層の順序で積層したものを用い、基板1102の下面全面に形成した。第2電極1114として、コンタクト層110側からCr層、AuZn層、Au層の順序で積層したものを用いた。
【0105】
本実験では、上記構成の半導体レーザーを発光素子1000として用い、第2電極1114の幅W(短手方向の長さ)を、10μm、20μm、30μm、40μm、50μm、60μmと変化させて、発光装置1000の閾値電流密度を測定した。
【0106】
図7は、幅Wに対する、閾値電流密度を幅Wで割った値(Jth)を示すグラフである。
図7では、各幅Wについて、第2電極1114の長さL(長手方向の長さ)を、300μm、400μm、500μm、700μm、900μmと変化させ、閾値電流密度が飽和した値をプロットしたものである。すなわち、
図7では、光導波路の端面における損失を無視できる値をプロットしているといえる。
【0107】
図7に示すように、Jthは、Wが40μm未満で、上昇した。すなわち、Wが40μm未満だと、第2電極1114の幅と光導波路の幅とが等しくならず(光導波路の幅の方が大きく)、電流が拡散しているといえる。一方、Wが40μm以上だと、Jthは、ほぼ一定となった。したがって、電流は、第2電極1114の幅W方向に片側20μm未満の範囲で、拡散していることがわかった。よって、上記のとおり、長さL1,L2を20μm以上とすれば、重なり領域160a,162a,164a内を拡散した電流が、反射部190,192に到達することを抑制できることがわかった。
【0108】
3. 発光装置の製造方法
次に、本実施形態に係る発光装置の製造方法について、図面を参照しながら説明する。
図8〜
図11は、本実施形態に係る発光装置100の製造工程を模式的に示す断面図であって、
図2に対応している。
【0109】
図8に示すように、基板102上に、第1クラッド層104、活性層106、第2クラッド層108、およびコンタクト層110を、この順でエピタキシャル成長させる。エピタキシャル成長させる方法としては、例えば、MOCVD(Metal Organic Chemical Vapor Deposition)法、MBE(Molecular Beam Epitaxy)法などを用いることができる。
【0110】
図9に示すように、例えばエッチングによって、第1反射部190が設けられる第2側面132、および第4側面142を露出させる。該エッチング工程によって、第2反射部192が設けられる第3側面133、および第5側面143(
図3参照)も露出させることができる。なお、図示の例では、基板102の一部をエッチングした時点でエッチングを停止することにより基板102に段差面103を形成しているが、基板102の表面、または第1クラッド層104の途中でエッチングを停止してもよい。
【0111】
図10に示すように、Al高組成層108aを酸化して、第1酸化領域170を形成する。より具体的には、水蒸気中において450℃程度に加熱する水蒸気酸化によって、側面から第1酸化領域170を形成することができる。水蒸気酸化によって、Al高組成層108aの外縁近傍が酸化される。該水蒸気酸化によって、第2酸化領域172(
図3参照)も形成することができる。
【0112】
図11に示すように、コンタクト層110上に第2電極114を形成する。次に、基板102の下面下に第1電極112を形成する。第1電極112および第2電極114は、例えば、真空蒸着法により形成される。なお、第1電極112および第2電極114の形成順序は、特に限定されない。
【0113】
図2および
図3に示すように、例えば劈開によって、出射部181,186が設けられる第1側面131を露出させる。
【0114】
以上の工程により、本実施形態に係る発光装置100を製造することができる。
【0115】
なお、例えば、電極112,114を形成する工程の前に、
図4に示すように、コンタクト層110および第2クラッド層108をエッチングして、柱状部111を形成する工程、さらに、柱状部111の側方に、例えばCVD(Chemical Vapor Deposition)法、塗布法などにより絶縁層116を形成する工程を含むことができる。柱状部111を形成する工程および絶縁層116を形成する工程の順番は、電極112,114を形成する工程の前であれば、特に限定されない。
【0116】
発光装置100の製造方法によれば、小型化を図りつつ、出射部181,186の間隔Dを大きくすることができる発光装置100を得ることができる。
【0117】
4. 発光装置の変形例
4.1. 第1変形例に係る発光装置
次に、本実施形態の第1変形例に係る発光装置について、図面を参照しながら説明する。
図12は、本実施形態の第1変形例に係る発光装置200を模式的に示す断面図であって、
図2に対応している。
【0118】
以下、本実施形態の第1変形例に係る発光装置200において、本実施形態に係る発光装置100の構成部材と同様の機能を有する部材については同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0119】
発光装置100の例では、
図2および
図3に示すように、反射部190,192の表面は、露出していた。これに対し、発光装置200では、
図12に示すように、反射部190,192の表面は、誘電体層202で覆われている。
【0120】
図示の例では、誘電体層202は、基板102の段差面103上であって、第1クラッド層104、活性層106、第2クラッド層108、およびコンタクト層110の側方に形成されている。誘電体層202の上面は、例えば、コンタクト層110の上面115と連続している。誘電体層202は、例えば、反射部190,192(側面132,133)を露出するためのエッチング工程によって形成された、積層体120の切り欠き部122を埋めるように設けられている。
【0121】
誘電体層202としては、より具体的には、SiN層,SiON層,SiO
2層,Ta
2O
5層などが挙げられる。誘電体層202は、例えば、CVD法によって形成される。
【0122】
発光装置200によれば、誘電体層202によって反射部190,192が覆われていることにより、反射部190,192のダングリングボンドの一部を終端することができる。これにより、CODに対する耐圧を向上させることができる。
【0123】
さらに、発光装置200によれば、誘電体層202によって切り欠き部122を埋め込むことにより、ジャンクションダウンによる実装(第2電極114側を実装基板に接続させる実装)を、容易に行うことでき、半田等の導電性の接合部材が反射部190,192に接触し、pn接合を短絡することを防止することができる。
【0124】
4.2. 第2変形例に係る発光装置
次に、本実施形態の第2変形例に係る発光装置について、図面を参照しながら説明する。
図13は、本実施形態の第2変形例に係る発光装置300を模式的に示す断面図であって、
図12に対応している。
【0125】
以下、本実施形態の第2変形例に係る発光装置300において、本実施形態の第1変形例に係る発光装置200の構成部材と同様の機能を有する部材については同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0126】
発光装置200の例では、
図12に示すように、積層体120の切り欠き部122は、誘電体層202によって埋め込まれていた。これに対し、発光装置300では、切り欠き部122は、誘電体層202および樹脂層302によって埋め込まれている。
【0127】
図示の例では、誘電体層202の側方(換言すれば、誘電体層202を介して反射部190,192と反対側)に樹脂層302が形成され、誘電体層202は、樹脂層302と、第1クラッド層104、活性層106、第2クラッド層108、およびコンタクト層110と、の間に形成されている。樹脂層302の上面は、例えば、誘電体層202の上面およびコンタクト層110の上面115と連続している。
【0128】
樹脂層302としては、例えば、ポリイミド層が挙げられる。樹脂層302は、例えば、塗布法によって形成される。
【0129】
発光装置300によれば、例えば発光装置200のように、切り欠き部122を誘電体層202単層で埋める場合に比べて、簡易に切り欠き部122を埋め込むことができる。すなわち、例えば、塗布法によって成膜される樹脂層302は、CVD法によって成膜される誘電体層202よりも成膜速度が大きいため、短時間で切り欠き部122を埋め込むことができる。したがって、発光装置300では、誘電体層202によって反射部190,192のダングリングボンドの一部を終端させつつ、樹脂層302によって短時間で切り欠き部122を埋め込むことができる。
【0130】
4.3. 第3変形例に係る発光装置
次に、本実施形態の第3変形例に係る発光装置について、図面を参照しながら説明する。
図14は、本実施形態の第3変形例に係る発光装置400を模式的に示す平面図である。
図15は、本実施形態の第3変形例に係る発光装置400を模式的に示す
図14のXV−XV線断面図である。
図16は、本実施形態の第3変形例に係る発光装置400を模式的に示す
図14のXVI−XVI線断面図である。なお、
図14では、便宜上、第2電極114の図示を省略している。
【0131】
以下、本実施形態の第3変形例に係る発光装置400において、本実施形態に係る発光装置100の構成部材と同様の機能を有する部材については同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。このことは、以下に示す、本実施形態の第4変形例に係る発光装置500についても同様である。
【0132】
発光装置100では、
図1〜
図3に示すように、第2クラッド層108は、第1酸化領域170および第2酸化領域172を有していた。発光装置400では、
図14〜
図16に示すように、さらに第2クラッド層108は、第3酸化領域174および第4酸化領域176を有する。
【0133】
第3酸化領域174は、第1酸化領域170と対向配置されている。換言すれば、第3酸化領域174は、平面視において、第1酸化領域170に対して、第1光導波路160および第2光導波路162を挟んで配置されている。さらに換言すれば、平面視において、第1酸化領域170と第3酸化領域174との間には、第1光導波路160および第2光導波路162が配置されている。
【0134】
図示の例では、積層体120に第1開口部124が形成され、第1開口部124の内面をなす第2クラッド層108の側面144を含んで、第3酸化領域174が形成されている。すなわち、第3酸化領域174は、平面視において、第1開口部124の周囲に形成されている。
図15に示す例では、第1開口部124の底面は、基板102の上面と下面との間に位置している。
【0135】
第4酸化領域176は、第2酸化領域172と対向配置されている。換言すれば、第4酸化領域176は、平面視において、第2酸化領域172に対して、第2光導波路162および第3光導波路164を挟んで配置されている。さらに換言すれば、平面視において、第2酸化領域172と第4酸化領域176との間には、第2光導波路162および第3光導波路164が配置されている。
【0136】
図示の例では、積層体120に第2開口部126が形成され、第2開口部126の内面をなす第2クラッド層108の側面146を含んで、第4酸化領域176が形成されている。すなわち、第4酸化領域176は、平面視において、第2開口部126の周囲に形成されている。
図16に示す例では、第2開口部126の底面は、基板102の上面と下面との間に位置している。
【0137】
発光装置400によれば、平面視において光導波路160,162,164の両側に酸化領域170,172,174,176が形成されている。そのため、光損失を小さくすることができる。例えば、光導波路の一方側にのみ酸化領域が形成されている場合は、平面視において屈折率分布が非対称となり、この領域における光の電界分布も非対称となる。光導波路160,162,164の酸化領域が形成されていない部分(非酸化領域)では、電界分布はほぼ対称である。そのため、酸化領域と非酸化領域との間で光が入出射する際に、光結合損失が大きくなる場合がある。
【0138】
4.4. 第4変形例に係る発光装置
次に、本実施形態の第4変形例に係る発光装置について、図面を参照しながら説明する。
図17は、本実施形態の第4変形例に係る発光装置500を模式的に示す平面図である。なお、
図17では、便宜上、第2電極114の図示を省略している。
【0139】
発光装置100の例では、
図1に示すように、第1光導波路160、第2光導波路162、および第3光導波路164は、1つずつ設けられていた。これに対し、発光装置500では、
図17に示すように、第1光導波路160、第2光導波路162、および第3光導波路164の各々は、複数設けられている。
【0140】
すなわち、第1光導波路160、第2光導波路162、および第3光導波路164は、光導波路群550を構成することができ、発光装置500では、複数の光導波路群550が設けられている。図示の例では、3つの光導波路群550が設けられているが、その数は特に限定されない。
【0141】
複数の光導波路群550は、第1側面131の垂線P1の延びる方向と直交する方向に沿って、配列されている。より具体的には、隣り合う光導波路群550において、一方の光導波路群550の第6端面186と、他方の光導波路群550の第1端面181と、の間隔がDとなるように(出射部の間隔となるように)配列されている。これにより、後述するレンズアレイに、簡易に光20,22を入射させることができる。
【0142】
発光装置500によれば、発光装置100の例に比べて、高出力化を図ることができる。
【0143】
5. プロジェクター
次に、本実施形態に係るプロジェクターについて、図面を参照しながら説明する。
図18は、本実施形態に係るプロジェクター800を模式的に示す図である。
図19は、本実施形態に係るプロジェクター800の一部を模式的に示す図である。なお、
図18では、便宜上、プロジェクター800を構成する筐体を省略し、さらに光源700を簡略化して図示している。また、
図19では、便宜上、光源700、レンズアレイ802、および液晶ライトバルブ804について図示し、さらに光源700を簡略化して図示している。
【0144】
プロジェクター800は、
図18に示すように、赤色光、緑色光、青色光を出射する赤色光源700R、緑色光源700G、青色光源700Bを含む。光源700R,700G,700Bは、本発明に係る発光装置を有する。以下の例では、本発明に係る発光装置として発光装置500を有する光源700R,700G,700Bについて説明する。
【0145】
図20は、本実施形態に係るプロジェクター800の光源700を模式的に示す図である。
図21は、本実施形態に係るプロジェクター800の光源700を模式的に示す
図20のXXI−XXI線断面図である。
【0146】
光源700は、
図20および
図21に示すように、発光装置500と、ベース710と、サブマウント720と、を有することができる。
【0147】
2つの発光装置500と、サブマウント720とは、構造体730を構成することができる。構造体730は、複数設けられ、
図20に示すように、発光装置500の出射部となる端面181,186の配列方向(X軸方向)と直交する方向(Y軸方向)に配列している。構造体730は、X軸方向の出射部の間隔と、Y軸方向の出射部の間隔と、が同じになるように、配列されることができる。これにより、発光装置500から出射される光を、簡易に、レンズアレイ802に入射させることができる。
【0148】
構造体730を構成する2つの発光装置500は、サブマウント720を挟んで配置されている。
図20および
図21に示す例では、2つの発光装置500は、サブマウント720を介して第2電極114同士が対向するように配置されている。サブマウント720の第2電極114と接する面には、例えば、配線が形成されている。これにより、複数の第2電極114の各々に、個別に電圧を供給することができる。サブマウント720の材質としては、例えば、窒化アルミニウム、酸化アルミニウムが挙げられる。
【0149】
ベース710は、構造体730を支持している。
図21に示す例では、ベース710は、複数の発光装置500の第1電極112と接続されている。これにより、ベース710は、複数の第1電極112の共通電極として機能することができる。ベース710の材質としては、例えば、銅、アルミニウムが挙げられる。図示はしないが、ベース710は、ペルチェ素子を介して、ヒートシンクと接続されていてもよい。
【0150】
なお、構造体730の形態は、
図20および
図21に示す例に限定されない。例えば、
図22に示すように、構造体730を構成する2つの発光装置500は、サブマウント720を介して、一方の発光装置500の第1電極112と、他方の発光装置500の第2電極114とが対向するように配置されていてもよい。また、
図23に示すように、2つの発光装置500の第1電極112が、共通電極となるように配置されていてもよい。
【0151】
図18に示すように、プロジェクター800は、さらに、レンズアレイ802R,802G,802Bと、透過型の液晶ライトバルブ(光変調装置)804R,804G,804Bと、投射レンズ(投射装置)808と、を含む。
【0152】
光源700R,700G,700Bから出射された光は、各レンズアレイ802R,802G,802Bに入射する。
図19に示すように、レンズアレイ802は、光源700側に、出射部181,186から出射される光20,22が入射する平坦面801を有することができる。平坦面801は、複数の光出射部181,186に対応して複数設けられ、等間隔で配置されている。また、平坦面801の法線は、光20,22の光軸に対して傾斜している。したがって、平坦面801によって、光20,22の光軸を、液晶ライトバルブ804の照射面805に対して、直交させることができる。特に、第1側面131と、第1光導波路160および第3光導波路164と、のなす角度αが0°でない場合(
図1参照)、光20,22は各光出射部181,186から第1側面131の垂線P1に対して傾いて出射されるため、平坦面801が設けられることが望ましい。
【0153】
レンズアレイ802は、液晶ライトバルブ804側に、凸曲面803を有することができる。凸曲面803は、複数の平坦面801に対応して複数設けられ、等間隔で配置されている。平坦面801において光軸が変換された光20,22は、凸曲面803によって、集光される、または拡散角を小さくされることにより、重畳(一部重畳)されることができる。これにより、均一性よく液晶ライトバルブ804を照射することができる。
【0154】
以上のように、レンズアレイ802は、光源700から出射される光20,22の光軸を制御して、光20,22を集光させることができる。
【0155】
図18に示すように、各レンズアレイ802R,802G,802Bによって集光された光は、各液晶ライトバルブ804R,804G,804Bに入射する。各液晶ライトバルブ804R,804G,804Bは、入射した光をそれぞれ画像情報に応じて変調する。そして、投射レンズ808は、液晶ライトバルブ804R,804G,804Bによって形成された像を拡大してスクリーン(表示面)810に投射する。
【0156】
また、プロジェクター800は、液晶ライトバルブ804R,804G,804Bから出射された光を合成して投射レンズ808に導くクロスダイクロイックプリズム(色光合成手段)806を、含むことができる。
【0157】
各液晶ライトバルブ804R,804G,804Bによって変調された3つの色光は、クロスダイクロイックプリズム806に入射する。このプリズムは、4つの直角プリズムを貼り合わせて形成され、その内面に赤色光を反射する誘電体多層膜と青色光を反射する誘電体多層膜とが十字状に配置されている。これらの誘電体多層膜によって3つの色光が合成され、カラー画像を表す光が形成される。そして、合成された光は、投射光学系である投射レンズ808によりスクリーン810上に投射され、拡大された画像が表示される。
【0158】
プロジェクター800によれば、複数の出射部の間隔を大きくすることができる発光装置500を有する。そのため、プロジェクター800では、レンズアレイ802のアライメントが容易で、均一性よく液晶ライトバルブ804を照射することができる。
【0159】
なお、上述の例では、光変調装置として透過型の液晶ライトバルブを用いたが、液晶以外のライトバルブを用いてもよいし、反射型のライトバルブを用いてもよい。このようなライトバルブとしては、例えば、反射型の液晶ライトバルブや、デジタルマイクロミラーデバイス(Digital Micromirror Device)が挙げられる。また、投射光学系の構成は、使用されるライトバルブの種類によって適宜変更される。
【0160】
また、光源700とレンズアレイ802とは、アライメントされた状態でモジュール化されることが可能である。さらに、光源700とレンズアレイ802とライトバルブ804とが、アライメントされた状態でモジュール化されていてもよい。
【0161】
また、光源700を、光源700からの光をスクリーン上で走査させることにより、表示面に所望の大きさの画像を表示させる画像形成装置である走査手段を有するような走査型の画像表示装置(プロジェクター)の光源装置にも適用することが可能である。
【0162】
上述した実施形態および変形例は一例であって、これらに限定されるわけではない。例えば、各実施形態および各変形例を適宜組み合わせることも可能である。
【0163】
上記のように、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明の新規事項および効果から実体的に逸脱しない多くの変形が可能であることは当業者には容易に理解できよう。したがって、このような変形例はすべて本発明の範囲に含まれるものとする。