特許第5835610号(P5835610)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5835610
(24)【登録日】2015年11月13日
(45)【発行日】2015年12月24日
(54)【発明の名称】位置調整式ステアリング装置
(51)【国際特許分類】
   B62D 1/181 20060101AFI20151203BHJP
【FI】
   B62D1/181
【請求項の数】3
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2011-235233(P2011-235233)
(22)【出願日】2011年10月26日
(65)【公開番号】特開2013-91442(P2013-91442A)
(43)【公開日】2013年5月16日
【審査請求日】2014年9月23日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001247
【氏名又は名称】株式会社ジェイテクト
(74)【代理人】
【識別番号】100087701
【弁理士】
【氏名又は名称】稲岡 耕作
(74)【代理人】
【識別番号】100101328
【弁理士】
【氏名又は名称】川崎 実夫
(72)【発明者】
【氏名】増田 実栄
(72)【発明者】
【氏名】田中 英治
【審査官】 柳元 八大
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−276613(JP,A)
【文献】 特開2009−298298(JP,A)
【文献】 特開2006−264547(JP,A)
【文献】 実開平06−037058(JP,U)
【文献】 特開平11−048987(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2006/0266151(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62D 1/181
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体に固定された固定ブラケットと、
ステアリングシャフトを回転可能に支持し、チルト中心軸線の回りに揺動可能に支持されたステアリングコラムと、
固定ブラケットとステアリングコラムとを連結する連結機構と、を備え、
前記連結機構は、前記ステアリングコラムに、前記チルト中心軸線に平行な第1軸線の回りに揺動可能に連結された揺動部材と、前記揺動部材によって前記揺動部材の揺動に伴って前記第1軸線の回りに揺動可能に支持された第1部材と、前記固定ブラケットによって、前記チルト中心軸線に平行な第2軸線の回りに揺動可能に支持された第2部材と、を含み、
前記第1部材および前記第2部材の何れか一方および他方は、前記第1軸線および前記第2軸線の双方に直交する共通軸線上に嵌合されて電動モータの駆動による相対回転に伴ってチルト調整を達成するねじ軸およびナットであり、
前記揺動部材に対する前記第1部材の前記共通軸線上の移動を規制する第1規制部材と、前記固定ブラケットに対する前記第2部材の前記共通軸線上の移動を規制する第2規制部材と、を備え、
前記第1規制部材および前記第2規制部材の何れか一方は、前記共通軸線上に離隔して配置されて前記ねじ軸を支持するスラスト軸受およびラジアル軸受と、前記ねじ軸に嵌合して前記スラスト軸受および前記ラジアル軸受に予圧を付与する締付ナットとを含む位置調整式ステアリング装置。
【請求項2】
請求項1において、前記ステアリングコラムは、ロアーチューブを含み、
前記連結機構は、前記揺動部材を挿通して、前記ロアーチューブの側部に連結された第1支軸と、前記固定ブラケットを挿通して、前記第2部材の側部に連結された第2支軸と、を含み、
前記第1軸線が、前記第1支軸の中心軸線であり、
前記第2軸線が、前記第2支軸の中心軸線である位置調整式ステアリング装置。
【請求項3】
請求項2において、前記ロアーチューブは、前記第1支軸が連結された第1チューブと、前記第1チューブの下端に嵌合する第2チューブとを含み、
車両の衝突時に、前記第1チューブが前記第2チューブに対して摺動して衝撃を吸収する位置調整式ステアリング装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は位置調整式ステアリング装置に関する。
【背景技術】
【0002】
チルト中心回りに揺動可能に支持されたステアリングコラムを電動モータによって揺動させて、ステアリングホイールの高さ位置を調整する電動式の位置調整式ステアリング装置がある。
例えば、特許文献1では、ステアリングコラムの下端が、チルト中心回りに揺動可能に車体によって支持されている。また、ステアリングコラムの上方部位が、固定ブラケットに揺動可能に支持された電動ボックス内でチルト傾動する。具体的には、電動ボックスによって回転可能に且つ軸方向移動不能に支持された螺軸を、ステアリングコラムに固定された調整ナットが螺合している。電動モータによって螺軸を回転駆動することにより、前記調整ナットが上下方向に移動し、ステアリングコラムがチルト傾動する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−2503号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
チルト傾動時のステアリングコラムは、チルト中心を中心とした円弧軌跡を描くのに対して、螺軸上の調整ナットは、螺軸の中心軸線上の直線的な軌跡を描く。この軌跡差があるため、特許文献1のように、チルト中心と調整ナットとの間の距離が一定とされている場合には、チルト駆動時の電動モータの負荷トルクが大きくなり、電動モータが大型化するおそれがある。
【0005】
そこで、前記軌跡差を吸収するために、ステアリングコラムのロアーチューブを、チルト調整に伴って自在に相対摺動するように嵌合された一対のチューブで構成することも考えられる。しかしながら、その場合にも、チルト調整時に両チューブ間に発生する摩擦力の影響で、電動モータの負荷が増大するおそれがある。
そこで、本発明の目的は、電動モータの小型化を達成することができる位置調整式ステアリング装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、請求項1の発明は、車体(12)に固定された固定ブラケット(15)と、ステアリングシャフト(5)を回転可能に支持し、チルト中心軸線(CC)の回りに揺動可能に支持されたステアリングコラム(6;6A)と、固定ブラケットとステアリングコラムとを連結する連結機構(16)と、を備え、前記連結機構は、前記ステアリングコラムに、前記チルト中心軸線に平行な第1軸線(C1)の回りに揺動可能に連結された揺動部材(17;17B)と、前記揺動部材によって前記揺動部材の揺動に伴って前記第1軸線の回りに揺動可能に支持された第1部材(18;19B)と、前記固定ブラケットによって、前記チルト中心軸線に平行な第2軸線(C2)の回りに揺動可能に支持された第2部材(19;18B)と、を含み、前記第1部材および前記第2部材の何れか一方および他方は、前記第1軸線および前記第2軸線の双方に直交する共通軸線(K1)上に嵌合されて電動モータの駆動による相対回転に伴ってチルト調整を達成するねじ軸およびナットであり、前記揺動部材に対する前記第1部材の前記共通軸線上の移動を規制する第1規制部材(43,45,48;66)と、前記固定ブラケットに対する前記第2部材の前記共通軸線上の移動を規制する第2規制部材(22;73,75,78)と、を備え、前記第1規制部材および前記第2規制部材の何れか一方は、前記共通軸線上に離隔して配置されて前記ねじ軸を支持するスラスト軸受(43;73)およびラジアル軸受(45;75)と、前記ねじ軸に嵌合して前記スラスト軸受および前記ラジアル軸受に予圧を付与する締付ナット(48;78)とを含む位置調整式ステアリング装置(1)を提供するものである。
【0007】
なお、括弧内の英数字は、後述する実施形態における対応構成要素等を表すが、このことは、むろん、本発明がそれらの実施形態に限定されるべきことを意味するものではない。以下、この項において同じ。
また、請求項2のように、前記ステアリングコラムは、ロアーチューブ(9;9A)を含み、前記連結機構は、前記揺動部材を挿通して、前記ロアーチューブの側部に連結された第1支軸(21)と、前記固定ブラケットを挿通して、前記第2部材の側部に連結された第2支軸(22)と、を含み、前記第1軸線が、前記第1支軸の中心軸線であり、前記第2軸線が、前記第2支軸の中心軸線であってもよい。
【0008】
また、請求項3のように、前記ロアーチューブは、前記第1支軸が連結された第1チューブ(101)と、前記第1チューブの下端に嵌合する第2チューブ(102)とを含み、車両の衝突時に、前記第1チューブが前記第2チューブに対して摺動して衝撃を吸収してもよい。
【発明の効果】
【0009】
請求項1の発明によれば、チルト調整を達成するための第1部材および第2部材(ねじ軸およびナットの何れか一方と他方)が、それぞれ、チルト中心軸線に平行な第1軸線および第2軸線の回りに揺動可能であるので、チルト調整に伴って、第1軸線と第2軸線との距離が可変されても、チルト中心軸線と第1軸線との距離は一定に維持される。したがって、ステアリングコラムの第1軸線よりも軸方向の下方において、例えばコラムチューブ間を自在に相対摺動させる機構を設ける必要がない。その結果、構造を簡素化でき、また、チルト調整時の前記コラムチューブ間の相対摺動に伴う摩擦発生がないので、電動モータの負荷を低減し、電動モータを小型化することができる。
また、締付ナットによってスラスト軸受およびラジアル軸受に予圧を付与することにより、ねじ軸の軸方向および径方向のガタつきを抑制することができる。
【0010】
請求項2の発明によれば、揺動部材を挿通しロアーチューブの側部に連結された第1支軸と、固定ブラケットを挿通して第2部材の側部に連結された第2支軸とを用いた簡単な構造で、第1軸線回りの揺動構造、および第2軸線回りの揺動構造を容易に実現することができる。
請求項3の発明によれば、ステアリングコラムにおいて、第1支軸よりも軸方向の下方に延びる部分を有するロアーチューブを第1チューブおよび第2チューブに分割することにより、ロアーチューブを車両衝突時の衝撃吸収に用いることができるので、設計の自由度を向上することができる。第1チューブと第2チューブとは、チルト調整時に相対摺動させる必要がなく、相対摺動に伴う摩擦発生のおそれがないので、電動モータの負荷を増大させるおそれはない。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の一実施形態の位置調整式ステアリング装置の概略構成の模式図である。
図2】位置調整式ステアリング装置の要部の概略断面図である。
図3図2とは別角度から見た、位置調整式ステアリング装置の要部の別角度からの概略断面図である。
図4】本発明の別の実施形態の位置調整式ステアリング装置の概略構成の模式図である。
図5】本発明のさらに別の実施形態の位置調整式ステアリング装置の概略構成の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下では、本発明の実施形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る位置調整式ステアリング装置1の概略構成の模式図である。図1を参照して、位置調整式ステアリング装置1は、ステアリングホイール等の操舵部材2と、ラックアンドピニオン機構等の転舵機構3と、一端に操舵部材2を連結し、操舵部材2の回転を中間軸4等を介して転舵機構3に伝達するステアリングシャフト5と、ステアリングシャフト5を図示しない軸受を介して回転可能に支持する筒状のステアリングコラム6とを備えている。
【0013】
ステアリングコラム6は、アッパーチューブ7と、アッパーチューブ7に外周に嵌合された中間チューブ8と、中間チューブ8の外周に嵌合されたロアーチューブ9を一体に形成したハウジング10とを備えている。本位置調整式ステアリング装置1は、図示しない操舵補助機構を有している。ハウジング10内には、前記操舵補助機構の電動モータ(図示せず)の動力をステアリングシャフト4に伝達するためのウォームギヤ機構等の伝達機構(図示せず)が収容されている。
【0014】
本位置調整式ステアリング装置1は、操舵部材2の位置をチルト調整するための電動チルト機能を備えている。また、本位置調整式ステアリング装置1は、操舵部材2の位置をテレスコピック調整するための電動テレスコピック機能を備えているが、電動テレスコピック機能の構成については図示を省略してある。
ステアリングコラム6の軸方向X1の下方部位が、チルト中心軸線CCの回りに揺動可能に支持されている。ステアリングコラム6のハウジング10から延設された被支持部としてのステー11が、車体12に固定された固定ブラケット13によって、ピボット軸14を介して揺動可能に支持されている。ピボット軸14の中心軸線がチルト中心軸線CCである。
【0015】
ステアリングコラム6の軸方向X1の中間部位は、車体12に固定された固定ブラケット15に、連結機構16を介して連結されている。連結機構16は、揺動部材17と、第1部材としてのねじ軸18と、ねじ軸18に螺合した第2部材としてのナット19とを備えている。第1部材としてのねじ軸18と、第2部材としてのナット19とは、共通軸線K1上で螺合している。図1に示す側面視において、共通軸線K1は、ステアリングコラム6の軸方向X1と交差する方向に延びている。
【0016】
揺動部材17は、ステアリングコラム6に、チルト中心軸線CCに平行な第1軸線C1の回りに揺動可能に連結されている。第1軸線C1は、揺動部材17を挿通して、ステアリングコラム6のロアーチューブ9の両側部に取り付けられた第1支軸21の中心軸線に相当する。
第1支軸21は、揺動部材20のねじ孔にねじ込まれて、ロアーチューブ9の両側部に設けられた被支持孔に、先端の丸軸部が嵌合されたボルト等により構成されている。揺動部材17は、第1支軸21を介して、ロアーチューブ9に揺動可能に連結されている。
【0017】
第1部材としてのねじ軸18は、揺動部材17によって、共通軸線K1の回りに回転可能に且つ軸方向移動不能に支持されている。ねじ軸18は、揺動部材17の揺動に伴って揺動部材17とともに第1軸線C1の回りに揺動可能とされている。また、揺動部材17に対する、ねじ軸18の共通軸線K1上での移動が規制されている。
第2部材としてのナット19は、固定ブラケット15によって、チルト中心軸線CCに平行な第2軸線C2の回りに揺動可能に支持されている。第2軸線C2は、固定ブラケット15に取り付けられた第2支軸22の中心軸線に相当する。
【0018】
第2支軸22は、固定ブラケット15に設けられた一対のねじ孔にねじ込まれて固定ブラケット15を貫通し、ナット19の両側部の被支持孔に、先端の丸軸部が挿入されたボルト等により構成されている。ナット19は、第2支軸22を介して、固定ブラケット15に揺動可能に連結されている。
第2支軸22によって、ナット19の共通軸線K1の回りの回転が規制されている。また、第2支軸22は、固定ブラケット15に対する、ナット19の共通軸線K1上での移動を規制する第2規制部材として機能する。
【0019】
位置調整式ステアリング装置1の電動チルト機能は、以下のように達成される。すなわち、ステアリングコラム6のロアーチューブ9に固定された電動モータ23の回転駆動力が、ロアーチューブ9に固定された切替機構24と、フレキシブルな動力伝達チューブ25と、揺動部材17に支持された減速機構25とを順次に介して、ねじ軸18に伝達されて、ねじ軸18が回転駆動される。このようにして、ねじ軸18が回転すると、ナット19に対してねじ軸18が共通軸線K1上を移動し、第1支軸21と第2支軸22との距離(第1軸線C1と第2軸線C2との距離に相当)が可変される。これにより、ステアリングコラム6の傾動角度が調整されて、チルト調整が達成される。
【0020】
切替機構24は、電動モータ23の駆動力を、電動チルト機能を達成するねじ軸18側へ伝達するか、図示しない電動テレスコピック機能を達成する機構側へ伝達するかを択一的に切り替える機能を果たす。
減速機構25は、揺動部材17によって回転可能に支持された駆動ギヤ26と、ねじ軸18の軸方向の中間部に一体回転可能に連結された被動ギヤ27とを備えている。駆動ギヤ26および被動ギヤ27として、例えば互いに噛合する一対の傘歯車機構を用いてもよい。
【0021】
図2に示すように、固定ブラケット15は、車体12に固定された天板28と、天板28から下方に延びる一対の側板29,30と、一対の側板29,30の下端間を連結する底板31とを備えている。固定ブラケット15の両側板29,30間に、ステアリングコラム6のロアーチューブ9が挿通されている。
第2部材としてのナット19は、一対の平坦な側部191,192を有している。ナット19の一方の側部191は、固定ブラケット15の一方の側板29に設けられたボス32の端面と対向している。ナット19の他方の側部192は、固定ブラケット15の底板31に設けられたボス33の端面に対向している。
【0022】
第2支軸22は、各ボス32,33に設けられたねじ孔34にねじ込まれたねじ部22aと、ねじ軸22aから先端側に延びる丸軸部22bとを有するボルトにより構成されている。各ボス32,33を貫通した丸軸部22bが、ナット19の両側部191,192に設けられた被支持孔35に挿入されている。
丸軸部22bの外周と被支持孔35の内周との間に、ブッシュ36が嵌合されている。これにより、ナット19は、ブッシュ36および第2支軸22を介して、固定ブラケット15に、第2支軸22の回りに(第2軸線C2の回りに)揺動可能に連結されている。ブッシュ36の一端に設けられたフランジ36aが、ナット19の各側部191と対応するボス32,33の端面との間に介在しているので、第2支軸22に対するナット19の回転抵抗が一層に少なくなり、ナット19が第2軸線C2の回りにスムーズに回転できるようになっている。
【0023】
揺動部材17は、ねじ軸18を支持する主体部37と、主体部37の両側部からロアーチューブ9の対応する側部91,92に向けて延びる一対の側板38,39とを有している。各側板38,39には、ねじ孔40が形成されており、ロアーチューブ9の各側部91,92には、被支持孔41が形成されている。第1支軸21は、各側板38,39のねじ孔40にねじ込まれるねじ部21aと、ねじ部21aから先端側に延び、ロアーチューブ9の対応する側部91,92の被支持孔41に嵌合された丸軸部21bとを有するボルトにより構成されている。
【0024】
揺動部材17の主体部37には、ねじ軸18の延びる方向(共通軸線K1の方向)に延びる挿通孔42が形成されている。挿通孔42は、ねじ軸18をスラスト方向に支持するためのスラスト玉軸受等のスラスト軸受43を保持した小径の軸受保持部44と、ねじ軸18を回転可能に支持するためのラジアル玉軸受等のラジアル軸受45を保持した中径の軸受保持部46と、ねじ軸18と一体回転する被動ギヤ27を収容する大径の被動ギヤ収容部47とを有している。
【0025】
ねじ軸18の一端181には、細軸部183が延設され、細軸部183の外周のねじ部に締め付けナット48が嵌合している。また、ねじ軸18の他端182が、チルト用のナット19に嵌合している。締め付けナット48が、ワッシャ49を介して、スラスト軸受43を軸受保持部44の端部に設けられた位置決め段部50に押し当てている。ねじ軸18の中途部に設けられた丸軸部51が、ラジアル軸受45の内輪52に一体回転可能に嵌合されている。ラジアル軸受45の外輪53は、軸受保持部46の内周に圧入されている。
【0026】
ラジアル軸受45の外輪53は、軸受保持部46の端部に設けられた位置決め段部54に当接している。これにより、外輪53の図2において上方への(スラスト軸受43側への)軸方向移動が規制されている。一方、内輪52は、ねじ軸18の丸軸部51に隣接して設けられた位置決め段部55に当接している。これにより、内輪52の図2において下方への(被動ギヤ27側への)軸方向移動が規制されている。
【0027】
したがって、締め付けナット48の締め付けに応じて、ねじ軸18を介して、スラスト軸受43およびラジアル軸受45が、互いに近づく方向に力を受ける。これにより、両軸受43,45間に介在する、揺動部材17の所定部(挿通孔42の内周において、軸受保持部44,46間に形成された環状突起42aに相当)が、両軸受43,45間に挟持されるので、ねじ軸18の軸方向移動が規制される。すなわち、締め付けナット48、スラスト軸受43およびラジアル軸受45が、揺動部材17に対する、ねじ軸18の共通軸線K1上での移動を規制する第1規制部材として機能する。
【0028】
また、締め付けナット48の締め付けに応じて、両軸受43,45に所定の予圧が付与されるので、揺動部材17に対しての、ねじ軸18の軸方向および径方向のガタつきが抑制される。
また、ねじ軸18の中途部に設けられたセレーション部56が被動ギヤ27の内周に一体回転可能に圧入されている。主体部17の挿通孔42の被動ギヤ収容部47の下部は、カバー57によって閉塞されている。ねじ軸18は、カバー57に設けられた挿通孔58を挿通している。
【0029】
図2および図2とは別角度からの位置調整式ステアリング装置1の要部の断面図である図3に示すように、ねじ軸18の他端182は、底部31に設けられた逃げ部59を挿通している。
図3を参照して、揺動部材17の主体部17は、ねじ軸18が挿通された挿通孔42の延びる方向(共通軸線K1の方向)に対して交差する方向に延びる延設筒60を設けている。延設筒60内には、被動ギヤ27と噛み合う駆動ギヤ26と、駆動ギヤ26の支軸61とが収容されている。延設筒60の開口端部に蓋部材62が固定されている。
【0030】
その蓋部材62から延設された筒状部63によって、ブッシュ64を介して、支軸61が回転可能に支持されている。また、支軸61の端部は、蓋部材62の開口から外部に臨んでいる。その支軸61の端部には、連結孔65が設けられ、その連結部65に、フレキシブルな動力伝達チューブTuの端部が動力伝達可能に連結されている。
本実施形態によれば、チルト調整を達成するためのねじ軸18(第1部材)およびナット19(第2部材)が、それぞれ、チルト中心軸線CCに平行な第1軸線C1および第2軸線C2の回りに揺動可能であるので、チルト調整に伴って、第1軸線C1と第2軸線C2との距離が可変されても、チルト中心軸線CCと第1軸線C1との距離D1(図1参照)は一定に維持される。
【0031】
したがって、ステアリングコラム6の第1軸線C1よりも軸方向X1の下方において、従来用いていた、例えばコラムチューブ間を自在に相対摺動させる機構を廃止することができる。すなわち、伸縮しない単一のロアーチューブ9を用いれば良いので、構造を簡素化することができる。また、チルト調整時の前記相対摺動に伴う摩擦発生をなくせるので、電動モータ23の負荷を低減し、電動モータ23を小型化することができる。
【0032】
また、揺動部材17を挿通しロアーチューブ9の側部91,92に連結された第1支軸21と、固定ブラケット15を挿通してナット19(第2部材)の側部191,192に連結された第2支軸22とを用いた簡単な構造で、第1軸線C1回りの揺動構造、および第2軸線C2回りの揺動構造を容易に実現することができる。
次いで、図4は本発明の別の実施形態の位置調整式ステアリング装置1Aの概略構成の模式図である。本実施の形態が図1の実施の形態と主に異なるのは、下記である。すなわち、ステアリングコラム6Aのロアーチューブ9Aが、第1支軸21が連結された第1コラムチューブ101と、第1コラムチューブ101の下端に嵌合し、ハウジング10Aと一体に形成された第2コラムチューブ102とにより構成されている。
【0033】
そして、両コラムチューブ101,102は、通常時は相対摺動できないように所定の圧入荷重で圧入されており、車両の衝突時に、第1コラムチューブ101が第2コラムチューブ102に対して摺動して衝撃を吸収する。本実施の形態の構成要素において、図1の実施の形態と同じ構成要素には、図1の実施の形態の構成要素の参照符号と同じ参照符号を付してある。
【0034】
本実施の形態によれば、ステアリングコラム6Aにおいて、第1支軸21よりも軸方向の下方に延びる部分を有するロアーチューブ9Aを第1チューブ101および第2チューブ102に分割することにより、ロアーチューブ9Aを車両衝突時の衝撃吸収に用いることができるので、設計の自由度を向上することができる。また、第1チューブ101と第2チューブ102とは、チルト調整時に相対摺動させる必要がなく、相対摺動に伴う摩擦発生のおそれがないので、電動モータ23の負荷を増大させるおそれはない。
【0035】
次いで、図5は本発明のさらに別の実施形態の位置調整式ステアリング装置1Bの要部の断面図である。図1図4の各実施の形態では、揺動部材17によって支持された第1部材がねじ軸18であり、固定ブラケット15によって支持された第2部材がナット19であった。これに対して、本実施の形態では、揺動部材17Bに支持された第1部材がナット19Bであり、固定ブラケット15によって支持された第2部材がねじ軸18Bである。
【0036】
具体的には、揺動部材17Bに第1部材としてのナット19Bが、例えば溶接部66により固定されている。そのナット17Bに、第2部材としてのねじ軸18Bの他端182が螺合している。溶接部66は、揺動部材17Bに対する、ナット19B(第1部材)の共通軸線K1上での移動を規制する第1規制部材として機能する。
また、各ボス32,33のねじ孔34にねじ込まれた支軸22によって、第2軸線C2の回りに回転可能に、支持部材67が支持されている。その支持部材67に、第2部材としてのねじ軸18Bの一端181が、回転可能に且つ軸方向移動不能に支持されている。支持部材67の両側部671,672に、被支持孔68が形成されている。その被支持孔68に、ブッシュ36が外嵌された支軸22の丸軸部22bが挿入されている。
【0037】
支持部材67には、ねじ軸18Bの延びる方向(共通軸線K1の方向)に延びる挿通孔72が形成されている。挿通孔72は、ねじ軸18Bをスラスト方向に支持するためのスラスト玉軸受等のスラスト軸受73を保持した小径の軸受保持部74と、ねじ軸18Bを回転可能に支持するためのラジアル玉軸受等のラジアル軸受75を保持した中径の軸受保持部76とを有している。
【0038】
ねじ軸18Bの一端181の細軸部183の外周のねじ部に締め付けナット78が嵌合している。締め付けナット78が、ワッシャ79を介して、スラスト軸受73を軸受保持部74の端部に設けられた位置決め段部50に押し当てている。ねじ軸18Bの中途部に設けられた丸軸部51が、ラジアル軸受75の内輪82に一体回転可能に嵌合されている。ラジアル軸受75の外輪83は、軸受保持部76の内周に圧入されている。
【0039】
ラジアル軸受75の外輪83は、軸受保持部76の端部に設けられた位置決め段部84に当接している。これにより、外輪83の図4において下方への(スラスト軸受73側への)軸方向移動が規制されている。一方、内輪82は、ねじ軸18Bの丸軸部51に隣接して設けられた位置決め段部55に当接している。これにより、内輪82の図4において上方への(被動ギヤ27側への)軸方向移動が規制されている。
【0040】
したがって、締め付けナット78の締め付けに応じて、ねじ軸18Bを介して、スラスト軸受73およびラジアル軸受75が、互いに近づく方向に力を受ける。これにより、両軸受73,75間に介在する、支持部材67の所定部(挿通孔72の内周において、軸受保持部74,76間に形成された環状突起72aに相当)が、両軸受73,75間に挟持されるので、ねじ軸18Bの軸方向移動が規制される。すなわち、締め付けナット78、スラスト軸受73およびラジアル軸受75が、支持部材67に対する、ねじ軸18B(第2部材)の共通軸線K1上での移動を規制する第2規制部材として機能する。
【0041】
図5の実施の形態においても、図1の実施形態と同じく、電動モータの負荷を低減し、電動モータを小型化することができる。
本発明は各前記実施の形態に限定されるものではなく、例えば、チルト調整用の電動モータとテレスコピック調整用の電動モータを別々に設けてもよい。その他、本発明の請求項記載の範囲内で種々の変更を施すことができる。
【符号の説明】
【0042】
1;1A;1B…位置調整式ステアリング装置、2…操舵部材、5…ステアリングシャフト、6;6A…ステアリングコラム、7…アッパーチューブ、8…中間チューブ、9;9A…ロアーチューブ、10;10A…ハウジング、14…ピボット軸、15…固定ブラケット、16…連結機構、17;17B…揺動部材、18…ねじ軸(第1部材)、18B…ねじ軸(第2部材)、19…ナット(第2部材)、19B…ナット(第1部材)、191,192…側部、21…第1支軸、22…第2支軸(第2規制部材)、23…電動モータ、24…切替機構、25…減速機構、26…駆動ギヤ、27…被動ギヤ、29,30…側板、31…底板、34…ねじ孔、35…被支持孔、36…ブッシュ、37…主体部、38,39…側板、40…ねじ孔、41…被支持孔、43…スラスト軸受(第1規制部材)、45…ラジアル軸受(第1規制部材)、48…締め付けナット(第1規制部材)、66…溶接部(第1規制部材)、73…スラスト軸受(第2規制部材)、75…ラジアル軸受(第2規制部材)、78…締め付けナット(第2規制部材)、101…第1チューブ、102…第2チューブ、CC…チルト中心軸線、C1…第1軸線、C2…第2軸線、K1…共通軸線
図1
図2
図3
図4
図5