特許第5835675号(P5835675)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5835675小口電力の集約売買支援システムおよび小口電力の集約売買支援方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5835675
(24)【登録日】2015年11月13日
(45)【発行日】2015年12月24日
(54)【発明の名称】小口電力の集約売買支援システムおよび小口電力の集約売買支援方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/06 20120101AFI20151203BHJP
   G06Q 30/06 20120101ALI20151203BHJP
【FI】
   G06Q50/06
   G06Q30/06 130
【請求項の数】6
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2014-29165(P2014-29165)
(22)【出願日】2014年2月19日
(65)【公開番号】特開2015-153346(P2015-153346A)
(43)【公開日】2015年8月24日
【審査請求日】2014年2月25日
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 会見日: 平成26年1月21日 会見場所: 東京都中央区銀座8−21−1 住友不動産汐留浜離宮ビル ベルサール汐留2F(ホールB) 公開者: 岩崎 辰之
(73)【特許権者】
【識別番号】513161254
【氏名又は名称】岩崎 辰之
(74)【代理人】
【識別番号】110000176
【氏名又は名称】一色国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】岩崎 辰之
【審査官】 宮地 匡人
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−262458(JP,A)
【文献】 特開2010−057262(JP,A)
【文献】 金子 憲治,エプコ、住宅太陽光アグリゲータ事業に続き、小売全面自由化で新サービス展開,[online],日経テクノロジーonline,2014年 2月 7日,[検索日:平成27年8月20日],URL,http://techon.nikkeibp.co.jp/article/NEWS/20140207/332987/
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00−50/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定地域の各一般世帯における所定期間毎の使用電力量実績と、前記各一般世帯に備わる再生可能エネルギーによる発電ユニットの発電能力および所定期間毎の発電量実績と、現時点から所定期間先の未来までの気象予測と、の各情報を格納する記憶装置と、
発電能力と気象条件とに応じて発電ユニットでの発電量を推定する所定アルゴリズムに、前記気象予測と前記各一般世帯の発電ユニットにおける発電能力の各情報を適用し、前記所定期間先の未来までの前記各一般世帯における予想発電量を推定する発電量推定処理と、
前記各一般世帯の予想発電量から、該当一般世帯における所定期間の前記使用電力量実績を減算して、前記各一般世帯の予想余剰電力量を算定し、当該各一般世帯の予想余剰電力量の合算値を、前記未来までの所定期間を成す単位期間毎に配分し、当該単位期間毎の予想余剰電力量の情報を記憶装置に格納する余剰電力予想処理と、
記憶装置に格納されている所定過去の発電量実績および使用電力実績に基づく実際の余剰電力量と、前記所定過去の予想余剰電力量との差異を予測誤差として算定し、当該予測誤差分の電力量を前記単位期間毎の予想余剰電力量から減算して、前記単位期間毎の電力市場での取引対象電力量を算定し、当該取引対象電力量の情報を出力装置に出力する取引対象電力量算定処理とを実行する演算装置と、
を備えることを特徴とする小口電力の集約売買支援システム。
【請求項2】
前記記憶装置は、
前記気象予測の情報として、一定期間以上先までの長期気象予測と、前記長期気象予測の対象時期より近い未来までの短期気象予測の情報とを格納するものであり、
前記演算装置は、
前記発電量推定処理において、前記所定アルゴリズムに、前記長期気象予測の情報と前記各一般世帯の発電ユニットにおける発電能力の各情報を適用し、前記所定期間先の未来までの前記各一般世帯における予想発電量を推定した後、所定時間が経過する毎に、未来の所定時点に関する前記短期気象予測と前記長期気象予測との相違有無を判定し、相違がある場合、短期気象予測の情報を気象予測の情報として前記所定アルゴリズムに適用し、前記予想発電量を推定し、
前記余剰電力予想処理において、前記所定時間が経過する毎に、前記推定した予想発電量から、該当一般世帯における所定期間の前記使用電力量実績を減算して、前記各一般世帯の予想余剰電力量を算定し、当該各一般世帯の予想余剰電力量の合算値を、前記未来までの所定期間を成す単位期間毎に配分し、当該単位期間毎の予想余剰電力量の情報を記憶装置に格納し、
前記取引対象電力量算定処理において、前記所定時間が経過する毎に、前記予測誤差分の電力量を前記単位期間毎の予想余剰電力量から減算して、前記単位期間毎の電力市場での取引対象電力量を算定し、当該取引対象電力量の情報を出力装置に出力するものである、
ことを特徴とする請求項に記載の小口電力の集約売買支援システム。
【請求項3】
前記記憶装置は、
一般世帯からの買電単価と電力市場での売電単価とを更に格納しているものであり、
前記演算装置は、
前記単位期間毎の予想余剰電力量に前記買電単価を乗じて買電額を算定し、前記単位期間毎の取引対象電力量に前記売電単価を乗じて売電額を算定し、当該売電額から前記買電額を減算して利益額を算定し、当該利益額を出力装置に出力する利益算定処理を更に実行するものである、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の小口電力の集約売買支援システム。
【請求項4】
前記記憶装置は、
再生可能エネルギーによる単位発電量に対する所定機関からの助成単価の情報を更に格納しているものであり、
前記演算装置は、
前記利益算定処理において、前記単位期間毎の予想余剰電力量に前記助成単価を乗じて助成金額を算定し、当該助成金額を前記売電額に加えた値から前記買電額を減算して前記利益額を算定し、当該利益額を出力装置に出力するものである、
ことを特徴とする請求項に記載の小口電力の集約売買支援システム。
【請求項5】
前記演算装置は、
所定のインターフェイスないし通信装置を介して、前記使用電力量実績、前記発電量実績、及び前記気象予測、の各情報を一定期間毎に受け付けて、当該受け付けた各情報を記憶装置に格納するものである、
ことを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の小口電力の集約売買支援システム。
【請求項6】
所定地域の各一般世帯における所定期間毎の使用電力量実績と、前記各一般世帯に備わる再生可能エネルギーによる発電ユニットの発電能力および所定期間毎の発電量実績と、現時点から所定期間先の未来までの気象予測と、の各情報を格納する記憶装置を備えた情報処理装置が、
発電能力と気象条件とに応じて発電ユニットでの発電量を推定する所定アルゴリズムに、前記気象予測と前記各一般世帯の発電ユニットにおける発電能力の各情報を適用し、前記所定期間先の未来までの前記各一般世帯における予想発電量を推定する発電量推定処理と、
前記各一般世帯の予想発電量から、該当一般世帯における所定期間の前記使用電力量実績を減算して、前記各一般世帯の予想余剰電力量を算定し、当該各一般世帯の予想余剰電力量の合算値を、前記未来までの所定期間を成す単位期間毎に配分し、当該単位期間毎の予想余剰電力量の情報を記憶装置に格納する余剰電力予想処理と、
記憶装置に格納されている所定過去の発電量実績および使用電力実績に基づく実際の余剰電力量と、前記所定過去の予想余剰電力量との差異を予測誤差として算定し、当該予測誤差分の電力量を前記単位期間毎の予想余剰電力量から減算して、前記単位期間毎の電力市場での取引対象電力量を算定し、当該取引対象電力量の情報を出力装置に出力する取引対象電力量算定処理と、
を実行することを特徴とする小口電力の集約売買支援方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、小口電力の集約売買支援システムおよび小口電力の集約売買支援方法に関し、具体的には、集約と取引の対象となる一般家庭での余剰電力の推定精度を踏まえて、電力市場におけるインバランスコストを抑制し、電力売買利益の最大化を支援可能とする技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年進行中である電力システム改革により、いわゆる電力小売り全面自由化が予定されており、それに伴って電力売買システムの運用形態やその管理技術等についても様々に提案されつつある。そこで、こうした電力売買の管理手法として、以下の技術が提案されている。すなわち、需要家のロードプロファイルの月、日、曜日による違いを考慮して、市場商品の取引時における適正な収益評価を実現することを目的として、電力供給対象である各需要家ごとの電力使用パターンのタイプが算定期間内にどれだけ存在するかを計算し、各日の収益と各タイプの日数とから算定期間内における収益を評価するシステム(特許文献1参照)などが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−285351号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、一般家庭に設置されたソーラーパネルなど、再生可能エネルギーを用いたごく小規模な発電ユニットによる発電量のうち、該当発電ユニットを備えた家庭での消費電力量を差し引きした余剰電力を家庭間でアグリゲートし、これを電力市場における売買対象の電力として取り扱う技術は未だ提案されていない。
【0005】
一方、一般に知られているように、ソーラーパネルや風力発電装置等における発電量は日射量や風速など時々刻々変化する自然条件により変動し続ける。また、各家庭における消費電力量も、気温や湿度、家人の出入りなどにより変動しやすい傾向にある上、そもそもスマートメータが未設置でリアルタイムの消費電力量測定が出来ない状況も多い。
【0006】
従って、上述のアグリゲート対象となる余剰電力自体も複数の要因で変動しやすく、アグリゲート後の電力量が当初想定以下となる事態も起こりうる。そうした余剰電力を各家庭から買電してアグリゲートし、そのまま電力市場での入札対象として提示し応札すると、時に、「30分同時同量」の電力需給バランス規定を達成できず、大きなインバランスコストが必要となるケースも発生する。
【0007】
そこで本発明の目的は、集約と取引の対象となる一般家庭での余剰電力の推定精度を踏まえつつ、電力市場におけるインバランスコストを抑制し、電力売買利益の最大化を支援可能とする技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
また、本発明の小口電力の集約売買支援システムは、所定地域の各一般世帯における所定期間毎の使用電力量実績と、前記各一般世帯に備わる再生可能エネルギーによる発電ユニットの発電能力および所定期間毎の発電量実績と、現時点から所定期間先の未来までの気象予測と、の各情報を格納する記憶装置と、発電能力と気象条件とに応じて発電ユニットでの発電量を推定する所定アルゴリズムに、前記気象予測と前記各一般世帯の発電ユニットにおける発電能力の各情報を適用し、前記所定期間先の未来までの前記各一般世帯における予想発電量を推定する発電量推定処理と、前記各一般世帯の予想発電量から、該当一般世帯における所定期間の前記使用電力量実績を減算して、前記各一般世帯の予想余剰電力量を算定し、当該各一般世帯の予想余剰電力量の合算値を、前記未来までの所定期間を成す単位期間毎に配分し、当該単位期間毎の予想余剰電力量の情報を記憶装置に格納する余剰電力予想処理と、記憶装置に格納されている所定過去の発電量実績および使用電力実績に基づく実際の余剰電力量と、前記所定過去の予想余剰電力量との差異を予測誤差として算定し、当該予測誤差分の電力量を前記単位期間毎の予想余剰電力量から減算して、前記単位期間毎の電力市場での取引対象電力量を算定し、当該取引対象電力量の情報を出力装置に出力する取引対象電力量算定処理とを実行する演算装置と、を備えることを特徴とする。
【0011】
また、本発明の小口電力の集約売買支援方法は、所定地域の各一般世帯における所定期間毎の使用電力量実績と、前記各一般世帯に備わる再生可能エネルギーによる発電ユニットの発電能力および所定期間毎の発電量実績と、現時点から所定期間先の未来までの気象予測と、の各情報を格納する記憶装置を備えた情報処理装置が、発電能力と気象条件とに応じて発電ユニットでの発電量を推定する所定アルゴリズムに、前記気象予測と前記各一般世帯の発電ユニットにおける発電能力の各情報を適用し、前記所定期間先の未来までの前記各一般世帯における予想発電量を推定する発電量推定処理と、前記各一般世帯の予想発電量から、該当一般世帯における所定期間の前記使用電力量実績を減算して、前記各一般世帯の予想余剰電力量を算定し、当該各一般世帯の予想余剰電力量の合算値を、前記未来までの所定期間を成す単位期間毎に配分し、当該単位期間毎の予想余剰電力量の情報を記憶装置に格納する余剰電力予想処理と、記憶装置に格納されている所定過去の発電量実績および使用電力実績に基づく実際の余剰電力量と、前記所定過去の予想余剰電力量との差異を予測誤差として算定し、当該予測誤差分の電力量を前記単位期間毎の予想余剰電力量から減算して、前記単位期間毎の電力市場での取引対象電力量を算定し、当該取引対象電力量の情報を出力装置に出力する取引対象電力量算定処理と、を実行することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、集約と取引の対象となる一般家庭での余剰電力の推定精度を踏まえつつ、電力市場におけるインバランスコストを抑制し、電力売買利益の最大化を支援できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本実施形態の小口電力の集約売買支援システムを含むネットワーク構成図である。
図2】本実施形態の小口電力の集約売買支援システムのハードウェア構成例を示す図である。
図3】本実施形態における使用実績データベースのデータ構成例を示す図である。
図4】本実施形態における発電能力データベースのデータ構成例を示す図である。
図5】本実施形態における発電実績データベースのデータ構成例を示す図である。
図6】本実施形態における気象データベースのデータ構成例を示す図である。
図7】本実施形態における価格情報データベースのデータ構成例を示す図である。
図8】本実施形態における小口電力の集約売買支援方法の処理手順例を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
−−−システム構成−−−
以下に本発明の実施形態について図面を用いて詳細に説明する。図1は本実施形態の小口電力の集約売買支援システム100を含むネットワーク構成例を示す図である。図1に示す小口電力の集約売買支援システム100(以下システム100と記載する)は、集約と取引の対象となる一般家庭での余剰電力の推定精度を踏まえつつ、電力市場におけるインバランスコストを抑制し、電力売買利益の最大化を支援可能とするためのコンピュータシステムである。
【0015】
本実施形態における小口電力としては、一般家庭家屋(一般世帯)に設置された太陽光発電ユニットで発電した電力のうち該当世帯にて消費されなかった余剰電力を一例として想定する。そうした各一般世帯の小口電力は、所定の事業者により買電されて集約すなわちアグリゲートされ、電力取引の市場(電力市場)における応札対象として提供されることになる。よってシステム100は、この事業者(以下、アグリゲータ)が運営するサーバ装置を一例として想定する。
【0016】
上述の一般世帯、アグリゲータ、および電力市場の関係に対応した、装置間のネットワーク構成例は図1に示す通りである。この場合の各一般世帯の家屋10は、屋上等に設置した太陽光発電ユニット1と電力事業者が提供する系統電源2の2系統から分電盤11にて給電を受け、この分電盤11から配電する電力(再生可能エネルギーに由来するものと系統電源から受電したものの少なくともいずれかを含む)で各箇所の電気設備15を稼動させる受電及び配電の構成を備えている。
【0017】
家屋10内の電気設備15で実際に消費された電力の量すなわち使用電力量は、分電盤11に備わる電力量計12により計測されている。この電力量計12の指示値は、例えば1ヶ月1度といった所定のペースで電力事業者が派遣した検針員によって読み取られ、この読み取り値は、検針員の所持する端末から当該システム100ないし電力事業者のコンピュータに転送される。あるいは、上述の分電盤11が通信機能を具備し、ネットワーク50を介してシステム100と通信可能に結ばれており、電力量計12により計測された使用電力量のデータを所定時間毎にシステム100に送信するとしてもよい。
【0018】
また、上述の分電盤11は、太陽光発電ユニット1から受電した電力のみで電気設備15の消費電力をまかなえた場合、その際の余剰電力(太陽光発電ユニット1での発電量−電気設備15での消費電力)を例えば上述の系統電源2に供給する。上述のアグリゲータと系統電源2を管理する電力事業者との間では、余剰電力の送電処理に関して予め取り決めがなされており、ある地域に所在する一般世帯の家屋10から発生する余剰電力に関しては、それを系統電源2で受け入れ、電力市場での入札結果に応じて該当電力の落札者の設備20に給電される運用形態となっている。
【0019】
本実施形態のシステム100は、ネットワーク50を介して、上述の分電盤11の他、少なくとも電力市場の取引サーバ200と通信可能に結ばれている。取引サーバ200は、システム100がアグリゲートした余剰電力に関する応札情報を、ネットワーク50を介して受け付けて、これを他企業や新電力等の備える入札者端末300に配信し、入札者端末300からの入札とこれに対する応札、落札の各処理を行う情報処理装置である。取引サーバ200の構成、機能については、入札から落札に至る一連のオークション取引を行う既存技術を採用すればよい。
【0020】
なお、本実施形態のシステム100は、上述の分電盤11および取引サーバ200を含んでいるとしてもよい。
【0021】
上述した本実施形態における小口電力の集約売買支援システム100のハードウェア構成は以下の如くとなる。図2は本実施形態における小口電力の集約売買支援システム100のハードウェア構成例を示す図である。システム100は、ハードディスクドライブなど適宜な不揮発性記憶装置で構成される記憶装置101、RAMなど揮発性記憶装置で構成されるメモリ103、記憶装置101に保持されるプログラム102をメモリ103に読み出すなどして実行し装置自体の統括制御を行なうとともに各種判定、演算及び制御処理を行なう演算装置104、ユーザからのキー入力や音声入力を受け付ける入力装置105、処理データの表示を行うディスプレイ等の出力装置106、ネットワーク50と接続し他装置との通信処理を担う通信装置107、を備える。上述の他装置との間でのみデータ授受を行う場合、システム100は入力装置105および出力装置106を備えないとしてもよい。
【0022】
続いて、本実施形態の小口電力の集約売買支援システム100が備える機能について説明する。上述したように、以下に説明する機能は、例えばシステム100が備えるプログラム102を実行することで実装されるものと言える。なおシステム100は、記憶装置101において、所定地域の各一般世帯の家屋10における所定期間毎の使用電力量実績の情報を格納した使用実績データベース125と、各一般世帯の家屋10に備わる太陽光発電ユニット1の発電能力の情報を格納した発電能力データベース126と、各一般世帯の家屋10に備わる太陽光発電ユニット1の所定期間毎の発電量実績の情報を格納した発電実績データベース127と、現時点から所定期間先の未来までの気象予測の情報を格納した気象データベース128とを保持しているものとする。
【0023】
本実施形態のシステム100は、発電能力と気象条件とに応じて太陽光発電ユニット1での発電量を推定する発電予測アルゴリズム110(図2)に、上述の気象データベース128から得た気象予測の情報と、上述の発電能力データベース126から得た各一般世帯の太陽光発電ユニット1における発電能力の情報とを適用し、例えば1ヶ月先までの各一般世帯における予想発電量を推定する機能を備えている。
【0024】
また、システム100は、上述の1ヶ月先までの各一般世帯の予想発電量から、上述の使用実績データベース125より得た該当一般世帯における例えば直近1ヶ月間の使用電力量実績を減算して、各一般世帯の予想余剰電力量を算定し、当該予想余剰電力量の合算値を、上述の1ヶ月先までの期間を成す30分など単位期間毎に均等配分し、当該単位期間毎の予想余剰電力量の情報を記憶装置101に格納する機能を備えている。
【0025】
またシステム100は、上述の発電実績データベース127に格納されている直近1年間など所定過去の発電量実績と、上述の使用実績データベース125に格納されている同じく直近1年間など所定過去の使用電力実績と、に基づく実際の余剰電力量と、同じ直近1年間に関して得ていた予想余剰電力量との差異を予測誤差として算定し、当該予測誤差分の電力量を、今次すなわち現時点から1ヶ月先までの単位期間毎の予想余剰電力量から減算して、単位期間毎の電力市場での取引対象電力量を算定し、当該取引対象電力量の情報を出力装置106に出力、ないし通信装置107を介して上述の取引サーバ200に出力する機能を備えている。
【0026】
なお、上述の気象データベース128における気象予測の情報として、半年や1年といった一定期間以上先までの長期気象予測128Aと、こうした長期気象予測128Aの対象時期より近い未来、例えば翌日までの短期気象予測128Bの情報とを格納するとすれば好適である。
【0027】
この場合、システム100は、上述の発電量の推定処理において、発電予測アルゴリズム110に、上述の長期気象予測128Aの情報と、発電能力データベース126から得た各一般世帯の太陽光発電ユニット1における発電能力の情報とを適用し、例えば1ヶ月先の未来までの各一般世帯における予想発電量を推定した後、30分など所定時間が経過する毎に、翌日など未来の所定時点に関する上述の短期気象予測128Bと、上述の長期気象予測128Aとの相違有無を判定し、相違がある場合、短期気象予測128Bの情報を気象予測の情報として発電予測アルゴリズム110に適用して、現時点から1ヶ月先までの予想発電量を推定する機能を更に備えている。
【0028】
またこの時、システム100は、上述の余剰電力の予想処理において、30分など所定時間が経過する毎に、上述のごとく推定した予想発電量から、該当一般世帯における直近1ヶ月間の使用電力量実績を減算して、各一般世帯の予想余剰電力量を算定し、当該予想余剰電力量の合算値を、現時点から1ヶ月先までの1ヶ月間を成す30分など単位期間毎に均等配分し、当該単位期間毎の予想余剰電力量の情報を記憶装置101に格納する機能を更に備えている。
【0029】
またこの時、システム100は、上述の取引対象電力量の算定処理において、30分など所定時間が経過する毎に、上述の予測誤差分の電力量を単位期間毎の予想余剰電力量から減算して、単位期間毎の電力市場での取引対象電力量を算定し、当該取引対象電力量の情報を出力装置106に出力、ないし通信装置107を介して上述の取引サーバ200に出力する機能を更に備えている。
【0030】
なお、システム100の記憶装置101は、一般世帯からの買電単価129Aと電力市場での売電単価129Bを含む価格情報129を更に格納しているとすれば好適である。この場合、システム100は、上述の単位期間毎の予想余剰電力量に、記憶装置101から読み出した買電単価129Aを乗じて買電額を算定し、上述の単位期間毎の取引対象電力量に記憶装置101から読み出した売電単価129Bを乗じて売電額を算定し、当該売電額から買電額を減算して利益額を算定し、当該利益額を出力装置106に出力する機能を更に備えている。
【0031】
また、システム100の記憶装置101は、太陽光(再生可能エネルギー)による単位発電量に対する所定機関からの助成単価129Cの情報を更に格納しているとすれば好適である。この場合、システム100は、上述の利益算定処理において、単位期間毎の予想余剰電力量に、記憶装置101から読み出した助成単価129Cを乗じて助成金額を算定し、当該助成金額を売電額に加えた値から買電額を減算して利益額を算定し、当該利益額を出力装置106に出力する機能を更に備えている。
【0032】
なお、システム100は、入力装置105など所定のインターフェイスないし通信装置107を介して、上述の使用電力量実績、発電量実績、及び気象予測、の各情報を一定期間毎に受け付けて、当該受け付けた各情報を記憶装置101の該当データベースらに格納するとすれば好適である。
【0033】
−−−データ構造例−−−
次に、本実施形態の小口電力の集約売買支援システム100が用いるデータベースにおけるデータ構造例について説明する。図3は本実施形態における使用実績データベース125のデータ構成例を示す図である。使用実績データベース125は、所定地域の各一般世帯の家屋10における所定期間毎の使用電力量実績の情報を格納したデータベースであり、具体的には、一般世帯を一意に識別する世帯IDをキーとして、データ収集期間、および該当期間における使用電力量といった値が対応付けされたレコードの集合体となっている。この使用実績データベース125に格納されている使用電力量の値は、電力事業者の検針員による電力量計12の読み取り値が格納された電力事業者の情報配信サーバからシステム100が取得、或いは家屋10に備わるスマートメータからネットワーク50を介しシステム100が取得した値である。システム100は、一定時間毎に上述の情報配信サーバやスマートメータからの使用電力量のデータ送信を受けて、この使用実績データベース125に格納するのである。
【0034】
図4は本実施形態における発電能力データベース126のデータ構成例を示す図である。発電能力データベース126は、各一般世帯の家屋10に備わる太陽光発電ユニット1の発電能力の情報を格納したデータベースであり、具体的には、上述の世帯IDをキーとして、発電能力値が対応付けされたレコードの集合体となっている。
【0035】
図5は本実施形態における発電実績データベース127のデータ構成例を示す図である。発電実績データベース127は、各一般世帯の家屋10に備わる太陽光発電ユニット1の所定期間毎の発電量実績の情報を格納したデータベースであり、具体的には、上述の世帯IDをキーとして、データ収集期間、および該当期間における発電量実績といった値が対応付けされたレコードの集合体となっている。
【0036】
この発電実績データベース127に格納されている発電量実績の値は、家屋10に備わるスマートメータからネットワーク50を介しシステム100が取得、或いは家屋10の居住者による太陽光発電ユニット1の発電メータ等の読み取り値が入力されたユーザ端末からシステム100が取得した値である。システム100は、一定時間毎に上述のスマートメータやユーザ端末からの発電量実績のデータ送信を受けて、この発電実績データベース127に格納するのである。
【0037】
図6は本実施形態における気象データベース128のデータ構成例を示す図である。気象データベース128は、現時点から所定期間先の未来までの気象予測の情報を格納したデータベースであり、具体的には、現時点から1ヶ月後や1年後といった予測対象期間の気象予測すなわち、一定期間以上先までの長期気象予測128A、こうした長期気象予測128Aの対象時期より近い未来、例えば翌日までの短期気象予測128B、といった値が対応付けされたレコードの集合体となっている。
【0038】
図7は本実施形態における価格情報データベース129のデータ構成例を示す図である。価格情報データベース129は、一般世帯からの買電単価129A、電力市場での売電単価129B、および太陽光(再生可能エネルギー)による単位発電量に対する所定機関からの助成単価129C、の各情報を格納したデータベースである。
【0039】
−−−処理手順例−−−
以下、本実施形態における小口電力の集約売買支援方法の実際手順について図に基づき説明する。図8は、本実施形態における小口電力の集約売買支援方法の処理手順例を示すフロー図である。ここでまず、小口電力の集約売買支援システム100は、太陽光発電ユニット1での発電量に直接影響する日射量や、一般世帯の家屋10における電力消費に影響する気温や湿度、降水量といった気象データを、入力装置105など所定のインターフェイスないし通信装置107を介して所定装置(例:気象観測機関の情報提供サーバ等、或いはアグリゲータ自身で運用する気象観測装置など)から必要数(例えば、直近観測時から一定期間過去まで遡ったデータ数)取得し、所定の気象予測アルゴリズム111(図2参照。既存の気象予測プログラムを採用すればよい)に適用して、例えば現時点から1日間、1週間といった短期間、および1ヶ月間といった長期間の各々の日射量、気温、湿度、および降水量の各予測を行って気象予測の情報(すなわち短期気象予測128Bおよび長期気象予測128A)を取得し、これを記憶装置101の気象データベース128に格納する(s100)。
【0040】
上述の気象予測アルゴリズム111に与える気象データは、直近1週間分の観測値、過去1年間および10年間における同月の観測値に関する統計値、などであり、これら観測値と統計値は組み合わされて気象予測アルゴリズム111に与えるものとする。
【0041】
また、気象予測アルゴリズム111により得られた気象予測の情報に関し、システム100は、該当気象予測の処理を気象予測アルゴリズム111で行った時点から一定期間経過後、実際の気象データ(気象観測装置や気象観測機関の情報提供サーバ等から取得)と比較して予測誤差を算定し、こうした気象誤差を、例えばベイジアン統計の手法を用いるなどして日々微修正する(s101)。なお、 天気予報の予測誤差などの不確実性に関しては、モンテカルロシュミレーションなどを用いて評価すればよい。
【0042】
また、上述のステップs100で得る気象予測の情報は、気象予測アルゴリズム111に気象データを適用して得る場合のみならず、予め気象予測機関が発表している情報を、該当機関のサーバ装置等から取得するとしてもよい。
【0043】
続いてシステム100は、上述の発電予測アルゴリズム110に、気象データベース128から読み出した短期気象予測128B及び長期気象予測128Aの情報と、発電能力データベース126から得た各一般世帯の太陽光発電ユニット1における発電能力の情報とを適用し、例えば1ヶ月先の未来までの各一般世帯における予想発電量を推定する(s102)。
【0044】
またシステム100は、30分など所定時間(短期気象予測128Bの更新間隔に応じた時間)が経過する毎に、翌日など未来の所定時点に関する上述の短期気象予測128Bと、上述の長期気象予測128Aとの相違有無を判定し、相違がある場合、短期気象予測128Bの情報を気象予測の情報として発電予測アルゴリズム110に適用して、現時点から1ヶ月先までの予想発電量を推定する(s103)。
【0045】
続いてシステム100は、上述のステップs103で得た1ヶ月先までの各一般世帯の予想発電量から、上述の使用実績データベース125より得た該当一般世帯における直近1ヶ月間の使用電力量実績を減算して、各一般世帯の予想余剰電力量を算定する(s104)。またシステム100は、算定した各一般世帯の予想余剰電力量を合算処理し、こうして得た合算値を、上述の1ヶ月先までの期間を成す30分など単位期間毎に均等配分し、当該単位期間毎の予想余剰電力量の情報を記憶装置101に格納する(s105)。こうした予想発電量の算定と単位期間毎の均等配分といった一連の処理は、上述の単位期間と一致する30分(所定時間)が経過する毎に更新されうる上述の予想発電量(ステップs103で推定)に基づいて、繰り返し実行するとしてもよい。
【0046】
こうした均等配分の処理を行う背景には、一般世帯におけるスマートメータの普及が未だ進んでいない状況があり、そうした場合、短時間毎(例:30分単位)の使用電力量の実データをシステム100が即時的に把握することはできない。そのためシステム100は、1ヶ月先の余剰電力量を月間で予測し、それを例えば太陽光発電がなされる8時〜16時の時間帯における各30分間(16コマ)に一定配分することで、電力市場に提示する売電量のリソースとみなす。
【0047】
なお、本実施形態では、上述のステップs102〜s104の各処理を経て予想余剰電力量を算定する例を示しているが、上述した1ヶ月先など所定期間先の未来までの気象予測(日射量、気温、湿度、不快指数など)と太陽光発電ユニット1における発電能力とをパラメータとして、太陽光発電ユニット1による発電で余剰電力が生じる各一般世帯での、上述の未来までの予想余剰電力量を推定するアルゴリズムをシステム100が備え、このアルゴリズムによって予想余剰電力量を推定する形態も想定できる。この場合、上述のステップs102〜s104は不要となり、ステップs105において該当アルゴリズムによって直接的に予想余剰電力量を算定することとなる。こうしたアルゴリズムとしては、過去の余剰電力量の実績値や上述の気象情報を入力値とした、線形回帰モデルや多変量自己回帰モデル、重回帰モデルなどを採用すればよい。
【0048】
次にシステム100は、上述の発電実績データベース127に格納されている直近1年間など所定過去の発電量実績と、上述の使用実績データベース125に格納されている同じく直近1年間など所定過去の使用電力実績と、に基づく実際の余剰電力量と、同じ直近1年間に関して得ていた予想余剰電力量との差異を予測誤差として算定する(s106)。
【0049】
この場合、当該予測誤差分の電力量を、今次すなわち現時点から1ヶ月先までの単位期間毎の予想余剰電力量(ステップs105で得ているもの)から減算して、単位期間毎の電力市場での取引対象電力量を算定する(s107)。この取引対象電力量の算定処理において、システム100は、30分など所定時間が経過する毎に、更新されうる予想余剰電力量から予測誤差分の電力量を減算して、単位期間毎の電力市場での取引対象電力量を算定するとすれば好適である。
【0050】
既に述べてきたように、余剰電力量の全量を供給量として電力市場で入札を受ける場合、気象条件等に応じて余剰電力量に一定量以上の変動が生じてしまうと、市場で落札された際の電力量と、実際に供給出来た電力量とに差異、すなわちインバランスが生まれ、その大きさに基づくインバランスコストが発生する。よって、余剰電力量から予測誤差分の電力量を予め減算して取引対象電力量を決定することで、余剰電力量の一定程度の変動を許容して、上述のインバランスを抑制することが可能である。
【0051】
次にシステム100は、ステップs105で得ている単位期間毎の予想余剰電力量に対し、記憶装置101の価格情報データベース129から読み出した買電単価129Aを乗じて買電額を算定する(s108)。また同様にシステム100は、ステップs107で得ている単位期間毎の取引対象電力量に対し、記憶装置101の価格情報データベース129から読み出した売電単価129Bを乗じて売電額を算定する(s109)。更にシステム100は、ステップs105で得ている単位期間毎の予想余剰電力量に対して、記憶装置101の価格情報データベース129から読み出した助成単価129Cを乗じて助成金額を算定する(s110)。
【0052】
こうして売電額、買電額、および助成金額を算定したシステム100は、算定した助成金額を売電額に加えた値から買電額を減算して利益額を算定し、当該利益額を出力装置106に出力する(s111)。当該システム100のユーザすなわちアグリゲータは、集約と取引の対象となる一般家庭での余剰電力の推定精度を踏まえつつ、電力市場におけるインバランスコストを抑制し、電力売買利益の最大化が可能となる。
【0053】
以上、本発明を実施するための最良の形態などについて具体的に説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。
【0054】
こうした本実施形態によれば、集約と取引の対象となる一般家庭での余剰電力の推定精度を踏まえつつ、電力市場におけるインバランスコストを抑制し、小口電力の集約売買を行う事業者(アグリゲーター)における電力売買利益の最大化を支援できる。
【0055】
本明細書の記載により、少なくとも次のことが明らかにされる。すなわち、本実施形態における小口電力の集約売買支援システムの記憶装置は、前記気象予測の情報として、一定期間以上先までの長期気象予測と、前記長期気象予測の対象時期より近い未来までの短期気象予測の情報とを格納するものであり、前記演算装置は、前記発電量推定処理において、前記所定アルゴリズムに、前記長期気象予測の情報と前記各一般世帯の発電ユニットにおける発電能力の各情報を適用し、前記所定期間先の未来までの前記各一般世帯における予想発電量を推定した後、所定時間が経過する毎に、未来の所定時点に関する前記短期気象予測と前記長期気象予測との相違有無を判定し、相違がある場合、短期気象予測の情報を気象予測の情報として前記所定アルゴリズムに適用し、前記予想発電量を推定し、前記余剰電力予想処理において、前記所定時間が経過する毎に、前記推定した予想発電量から、該当一般世帯における所定期間の前記使用電力量実績を減算して、前記各一般世帯の予想余剰電力量を算定し、当該予想余剰電力量の合算値を、前記未来までの所定期間を成す単位期間毎に配分し、当該単位期間毎の予想余剰電力量の情報を記憶装置に格納し、前記取引対象電力量算定処理において、前記所定時間が経過する毎に、前記予測誤差分の電力量を前記単位期間毎の予想余剰電力量から減算して、前記単位期間毎の電力市場での取引対象電力量を算定し、当該取引対象電力量の情報を出力装置に出力するものである、としてもよい。
【0056】
これによれば、長期の気象予測を参照して例えば現時点から1ヶ月先までの発電量予想を行い、これに基づく予想余剰電力量と取引対象電力量を予め得て、電力市場に提示することが出来る一方で、実際に電力市場での入札を翌日に控えた前日などに、ごく近しい将来に関する気象予測に基づいて、上述の予想発電量の推定を再実行し、精度の高い予想余剰電力量と取引対象電力量の算定、出力を行うことが可能となる。よって、電力市場に提示する取引対象電力量と実際の余剰電力量との差異がより小さくなり、更なるインバランスコストの抑制と電力売買利益の最大化を支援することができる。
【0057】
また、本実施形態における小口電力の集約売買支援システムの記憶装置は、一般世帯からの買電単価と電力市場での売電単価とを更に格納しているものであり、前記演算装置は、前記単位期間毎の予想余剰電力量に前記買電単価を乗じて買電額を算定し、前記単位期間毎の取引対象電力量に前記売電単価を乗じて売電額を算定し、当該売電額から前記買電額を減算して利益額を算定し、当該利益額を出力装置に出力する利益算定処理を更に実行するものである、としてもよい。
【0058】
これによれば、当該システムのユーザ(一般世帯など小口電力の集約売買を行う事業者)に対し、一般世帯からの買電と電力市場での売電とにより得られる利益額を、電力市場での取引対象電力量の提示前に明示し、該当ユーザにおいて利益額を事前に認識可能となる。
【0059】
また、本実施形態における小口電力の集約売買支援システムの記憶装置は、再生可能エネルギーによる単位発電量に対する所定機関からの助成単価の情報を更に格納しているものであり、前記演算装置は、前記利益算定処理において、前記単位期間毎の予想余剰電力量に前記助成単価を乗じて助成金額を算定し、当該助成金額を前記売電額に加えた値から前記買電額を減算して前記利益額を算定し、当該利益額を出力装置に出力するものである、としてもよい。
【0060】
これによれば、利益額を大きく左右しかねない公的機関等からの助成金を検討材料に含めることで、的確な利益額の算定が可能となる。
【0061】
また、本実施形態における小口電力の集約売買支援システムの演算装置は、所定のインターフェイスないし通信装置を介して、前記使用電力量実績、前記発電量実績、及び前記気象予測、の各情報を一定期間毎に受け付けて、当該受け付けた各情報を記憶装置に格納するものである、としてもよい。
【0062】
これによれば、例えば一般世帯の使用電力量をチェックする電力計の検針員が備える端末、或いは一般世帯に設置されたスマートメータ(使用電力量と発電量を測定し、その測定値をネットワークを介してサーバ装置等に送信)、などから各一般世帯の使用電力量実績や発電量実績の最新情報を定期的に取得し、また、気象予測機関のサーバ等から気象予測の最新情報を定期的に取得し、これら情報に基づいて予想余剰電力量や取引対象電力量の算定を高精度に行うことが可能となる。
【符号の説明】
【0063】
1 太陽光発電ユニット
2 系統電源
10 家屋
11 分電盤
12 電力量計
15 電気設備
50 ネットワーク
100 小口電力の集約売買支援システム
101 記憶装置
102 プログラム
103 メモリ
104 演算装置
105 入力装置
106 出力装置
107 通信装置
110 発電予測アルゴリズム
111 気象予測アルゴリズム
125 使用実績データベース
126 発電能力データベース
127 発電実績データベース
128 気象データベース
129 価格情報データベース
200 電力市場の取引サーバ
300 入札者端末
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8