特許第5835685号(P5835685)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5835685
(24)【登録日】2015年11月13日
(45)【発行日】2015年12月24日
(54)【発明の名称】自動二輪車における蒸発燃料処理装置
(51)【国際特許分類】
   F02M 25/08 20060101AFI20151203BHJP
【FI】
   F02M25/08 L
   F02M25/08 B
   F02M25/08 E
   F02M25/08 J
【請求項の数】7
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2011-63115(P2011-63115)
(22)【出願日】2011年3月22日
(65)【公開番号】特開2012-197744(P2012-197744A)
(43)【公開日】2012年10月18日
【審査請求日】2013年11月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100071870
【弁理士】
【氏名又は名称】落合 健
(74)【代理人】
【識別番号】100097618
【弁理士】
【氏名又は名称】仁木 一明
(74)【代理人】
【識別番号】100152227
【弁理士】
【氏名又は名称】▲ぬで▼島 愼二
(72)【発明者】
【氏名】近藤 信行
(72)【発明者】
【氏名】稲岡 洋
(72)【発明者】
【氏名】山西 輝英
(72)【発明者】
【氏名】藤原 一夫
(72)【発明者】
【氏名】滝川 俊直
(72)【発明者】
【氏名】兵頭 聰之
(72)【発明者】
【氏名】小川 正明
【審査官】 安井 寿儀
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−155506(JP,A)
【文献】 特開2010−179744(JP,A)
【文献】 特開2010−076662(JP,A)
【文献】 特開2005−061305(JP,A)
【文献】 実開昭49−088172(JP,U)
【文献】 国際公開第2011/083514(WO,A1)
【文献】 国際公開第2011/083569(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02M 25/08
B62J 37/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体フレーム(F)に、乗車用シート(40)が支持されるとともに該乗車用シート(40)の下方に配置される燃料タンク(42)が支持され、後輪(WR)を駆動する動力を発揮するエンジン(E)が前記燃料タンク(42)の下方に配置され、前記エンジン(E)のエンジン本体(19)内のオイルに前記燃料タンク(42)内で蒸発した燃料ガスを吸着させるためのチャージ管路(84)が前記燃料タンク(42)および前記エンジン本体(19)間に設けられる自動二輪車において、前記チャージ管路(84)が、前記燃料タンク(42)に接続される第1管路部(84a)と、第1管路部(84a)に連なって車幅方向一側から他側に延びる第2管路部(84b)と、車幅方向他側で第2管路部(84b)に連なって前記エンジン本体(19)に接続されるとともに前記チャージ管路(84)のうち最も高い位置に配置される最高位部(91)を中間位置に有する第3管路部(84c)とを備え、前記エンジン本体(19)側から前記燃料タンク(42)側への流れを阻止する第1逆止弁(96)が前記最高位部(91)よりも下流側で第3管路部(84c)に介設され、第1逆止弁(96)よりも上流側で第3管路部(84c)に設けられる分岐部(101)に、前記燃料タンク(42)内に大気を導く大気導入管路(102)が接続され、燃料タンク(42)側からの流れを阻止する第2逆止弁(103)が前記最高位部(91)よりも高い位置で前記大気導入管路(102)に介設されることを特徴とする自動二輪車における蒸発燃料処理装置。
【請求項2】
前記分岐部(101)が、前記最高位部(91)よりも燃料タンク(42)側で第3管路部(84c)に設けられることを特徴とする請求項1記載の自動二輪車における蒸発燃料処理装置。
【請求項3】
前記大気導入管路(102)が、第2逆止弁(103)よりも下方で大気に開放されることを特徴とする請求項2記載の自動二輪車における蒸発燃料処理装置。
【請求項4】
第2逆止弁(103)よりも大気開放側で前記大気導入管路(102)にフィルタ(104)が介設されることを特徴とする請求項3記載の自動二輪車における蒸発燃料処理装置。
【請求項5】
前記フィルタ(104)が、前記大気導入管路(102)のうち前記大気開放側に向けて下り勾配となる部分に介設されることを特徴とする請求項4記載の自動二輪車における蒸発燃料処理装置。
【請求項6】
前記燃料タンク(42)を上方から覆うタンクカバー(44)に、乗車用シート(40)の荷重を受けるようにして上方に膨出した膨出部(80)が設けられ、該膨出部(80)の下方に第2逆止弁(10)が配置されることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の自動二輪車における蒸発燃料処理装置。
【請求項7】
前記燃料タンク(42)を上方から覆うタンクカバー(44)に、前記燃料タンク(42)の上面に設けられる給油口(67)を露出させる開口部(79)が設けられるとともに、前記給油口(67)への上方からの給油時に前記開口部(79)の外側に溢れた燃料をせき止める膨出部(80)が上方に膨出するようにして設けられ、前記膨出部(80)の下方に第2逆止弁(10)が配置されることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の自動二輪車における蒸発燃料処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車体フレームに、乗車用シートが支持されるとともに該乗車用シートの下方に配置される燃料タンクが支持され、後輪を駆動する動力を発揮するエンジンが前記燃料タンクの下方に配置され、前記エンジンのエンジン本体内のオイルに前記燃料タンク内で蒸発した燃料ガスを吸着させるためのチャージ管路が前記燃料タンクおよび前記エンジン本体間に設けられる自動二輪車に関し、特に蒸発燃料処理装置の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
燃料タンクで発生した燃料ガスをエンジン本体内のオイルで吸着するために、燃料タンクおよびエンジン本体間にチャージ管路が設けられ、燃料タンク内を大気圧に調整するための大気導入管路がチャージ管路の途中に接続されるようにしたものが、特許文献1で知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開昭49−88172号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、自動二輪車において、上記特許文献1で開示されるもののように、燃料タンクで生じた燃料ガスをチャージ管路でエンジン本体側に導くようにしたものでは、自動二輪車の転倒時にエンジン本体内のオイルがチャージ管路側に流出する可能性があるとともに燃料タンク内の燃料がチャージ管路側に流出する可能性があり、自動二輪車転倒時のオイルおよび燃料のチャージ管路への流出を極力抑えることが望まれる。また大気導入管路で大気圧をチャージ管路の途中に導入するようにしたものでは、燃料タンク内に大気圧を導入する通路の途中に逆止弁が設けられるのであるが、耐久性確保のために前記逆止弁に燃料が付着するのは避けたいという要望がある。
【0005】
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、転倒時のオイルおよび燃料のチャージ管路への流出を抑えるとともに、燃料タンク内に大気圧を導入する通路の途中に設けられる逆止弁への燃料の付着を防止するようにした自動二輪車における蒸発燃料処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明は、車体フレームに、乗車用シートが支持されるとともに該乗車用シートの下方に配置される燃料タンクが支持され、後輪を駆動する動力を発揮するエンジンが前記燃料タンクの下方に配置され、前記エンジンのエンジン本体内のオイルに前記燃料タンク内で蒸発した燃料ガスを吸着させるためのチャージ管路が前記燃料タンクおよび前記エンジン本体間に設けられる自動二輪車において、前記チャージ管路が、前記燃料タンクに接続される第1管路部と、第1管路部に連なって車幅方向一側から他側に延びる第2管路部と、車幅方向他側で第2管路部に連なって前記エンジン本体に接続されるとともに前記チャージ管路のうち最も高い位置に配置される最高位部を中間位置に有する第3管路部とを備え、前記エンジン本体側から前記燃料タンク側への流れを阻止する第1逆止弁が前記最高位部よりも下流側で第3管路部に介設され、第1逆止弁よりも上流側で第3管路部に設けられる分岐部に、前記燃料タンク内に大気を導く大気導入管路が接続され、燃料タンク側からの流れを阻止する第2逆止弁が前記最高位部よりも高い位置で前記大気導入管路に介設されることを第1の特徴とする。
【0007】
また本発明は、第1の特徴の構成に加えて、前記分岐部が、前記最高位部よりも燃料タンク側で第3管路部に設けられることを第2の特徴とする。
【0008】
本発明は、第2の特徴の構成に加えて、前記大気導入管路が、第2逆止弁よりも下方で大気に開放されることを第3の特徴とする。
【0009】
本発明は、第3の特徴の構成に加えて、第2逆止弁よりも大気開放側で前記大気導入管路にフィルタが介設されることを第4の特徴とする。
【0010】
本発明は、第4の特徴の構成に加えて、前記フィルタが、前記大気導入管路のうち前記大気開放側に向けて下り勾配となる部分に介設されることを第5の特徴とする。
【0011】
本発明は、第1〜第5の特徴の構成のいずれかに加えて、前記燃料タンクを上方から覆うタンクカバーに、乗車用シートの荷重を受けるようにして上方に膨出した膨出部が設けられ、該膨出部の下方に第2逆止弁が配置されることを第6の特徴とする。
【0012】
さらに本発明は、第1〜第5の特徴の構成のいずれかに加えて、前記燃料タンクを上方から覆うタンクカバーに、前記燃料タンクの上面に設けられる給油口を露出させる開口部が設けられるとともに、前記給油口への上方からの給油時に前記開口部の外側に溢れた燃料をせき止める膨出部が上方に膨出するようにして設けられ、前記膨出部の下方に第2逆止弁が配置されることを第7の特徴とする。
【0013】
なお実施の形態のタンク側第1管路部84aが本発明の第1管路部に対応し、実施の形態のタンク側第2管路部84bが本発明の第2管路部に対応し、実施の形態のタンク側第3管路部84cが本発明の第3管路部に対応する。
【発明の効果】
【0014】
本発明の第1の特徴によれば、チャージ管路の一部を構成する第2管路部が、車幅方向一側から他側に延びるものであるので、自動二輪車の転倒時に燃料タンクからチャージ管路に流出する燃料量を抑えることができる。また車幅方向他側で第2管路部に連なる第3管路部に、エンジン本体側から燃料タンク側への流れを阻止する第1逆止弁が介設されるので、自動二輪車の転倒時にエンジン本体からチャージ管路を介して燃料タンク側にオイルが流れるのを防止することができる。また第1逆止弁よりも上流側で第3管路部に燃料タンク内に大気を導く大気導入管路が接続されるので、燃料タンク内の圧力を大気圧に調整することができ、大気導入管路側への燃料の流入も抑制することができる。しかも第3管路部の中間位置にチャージ管路のうち最も高い位置に配置される最高位部が設けられ、大気導入管路に介設される第2逆止弁が最高位部よりも高い位置に配置されるので、第2逆止弁側への燃料の流入を抑制し、第2逆止弁への燃料の付着を防止して第2逆止弁の耐久性を高めることができる。
【0015】
また本発明の第2の特徴によれば、大気導入管路が最高位部よりも燃料タンク側で第3管路部に接続されるので、自動二輪車の転倒時にチャージ管路への接続部から第2逆止弁までの間で大気導入管路内に燃料タンクから流出した燃料が入ったとしても、転倒後に自動二輪車を起こしたときに大気導入管路内の燃料はチャージ管路の最高位部よりも上流側に戻ることになり、エンジン本体側に燃料が流れるのを防止することができる。
【0016】
本発明の第3の特徴によれば、大気導入管路が第2逆止弁よりも下方で大気に開放されるので、大気導入管路内にその大気開放端から水が浸入したとしても、浸入した水を第2逆止弁に到達し難くすることができる。
【0017】
本発明の第4の特徴によれば、第2逆止弁よりも大気開放側で大気導入管路にフィルタが設けられるので、第2逆止弁に塵埃が付着し難くなる。
【0018】
本発明の第5の特徴によれば、大気導入管路のうち大気開放側に向けて下り勾配となる部分にフィルタが介設されるので、フィルタが水で濡れたとしてもフィルタから大気開放端側に水を逃がすことができる。
【0019】
本発明の第6の特徴によれば、乗車用シートの荷重を受ける膨出部が上方に膨出するようにしてタンクカバーに設けられ、その膨出部の下方に第2逆止弁が配置されるので、第2逆止弁を高い位置に配置して、浸入した水を第2逆止弁により到達し難くすることができる。
【0020】
さらに本発明の第7の特徴によれば、燃料タンクの上面に設けられる給油口への上方からの給油時に記開口部の外側に溢れた燃料をせき止める膨出部が、上方に膨出するようにしてタンクカバーに設けられ、その膨出部の下方に第2逆止弁が配置されるので、第2逆止弁を高い位置に配置して、浸入した水を第2逆止弁により到達し難くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】車体フレームの後部、燃料タンクおよびエンジンを示す平面図である。
図2図1の2矢視図である。
図3図1の3矢視図である。
図4図1の4矢視方向からた斜視図である。
図5図1の5矢視方向から見た斜視図である。
図6】自動二輪車の側面図である。
図7】乗車用シートを省略した状態での図6の7矢視図である。
図8図7で示した部分を斜め前方から見た斜視図である。
図9図7の9−9線に沿う断面図である。
図10図1の10矢視図である。
図11図7の11−11線拡大断面図である。
図12図2の12−12線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明の実施の形態について図1図12を参照しながら説明する。なお以下の実施の形態の説明において、前後および左右は自動二輪車に乗った乗員から見た方向を言うものとする。また「…」は同一の参照符号の繰り返しを省略するために用いられる。
【0023】
先ず図1図5において、スクータ型である自動二輪車の車体フレームFの一部を構成する左右一対のシートフレーム15,15は、パイプから成るものであり、後上がりに傾斜する傾斜部15a…と、傾斜部15a…の上端から後方に延びる水平部15b…とをそれぞれ有し、両水平部15b…の後端は連結部16で一体に連結される。
【0024】
前記両シートフレーム15…の下方で前記車体フレームFには、パワーユニットPの前部がリンク機構17を介して上下に揺動可能に支承され、このパワーユニットPの後部右側に配置される後輪WRがパワーユニットPの後部に軸支される。而して前記パワーユニットPは、前記後輪WRを駆動する動力を発揮するようにして強制空冷式単気筒の4サイクルに構成されるエンジンEと、該エンジンEおよび前記後輪WR間に設けられる無段変速機Mとで構成され、前記両シートフレーム15…のうち左側のシートフレーム15における傾斜部15aおよび水平部15bの連設部と、前記パワーユニットPの後部との間にリヤクッションユニット18が設けられる。
【0025】
前記エンジンEのエンジン本体19は、クランクケース20と、該クランクケース20の前方に配置されるシリンダヘッド22とを備えるものであり、前記クランクケース20の一部を構成要素としてエンジン本体19から後方に延びる変速機ケース23内に前記無段変速機Mが収容され、前記後輪WRは該変速機ケース23の後部に軸支される。
【0026】
また変速機ケース23内には、エンジンEの作動に応じて回転するファン(図示せず)が収容されており、そのファンによって冷却空気を変速機ケース23内に導入すべく変速機ケース23の前部に蛇腹状の吸気ダクト24の一端部が接続され、この吸気ダクト24の他端部は、左側のシートフレーム15における傾斜部15aの下部に接続される。すなわち変速機ケース23内には左側のシートフレーム15内からの空気が冷却用空気として導入される。
【0027】
前記エンジン本体19の大部分はシュラウド25で覆われており、このシュラウド25の右側壁に開口された吸入口26からシュラウド25内に冷却用空気を吸入するファン(図示せず)が前記エンジンEで駆動されるようにして前記シュラウド25内に収容される。
【0028】
前記エンジン本体19におけるシリンダヘッド22の上部側面には、吸気装置28が接続されるものであり、この吸気装置28は、前記後輪WRの左側方に配置されるエアクリーナ29と、該エアクリーナ29に上流端が接続されるコネクティングチューブ30と、該コネクティングチューブ30の下流端に接続されるスロットルボディ31と、該スロットルボディ31およびシリンダヘッド22間を結ぶ吸気管32とを備え、吸気管32に燃料噴射弁33が取付けられる。
【0029】
また前記シリンダヘッド22の下部側面には、排気装置34が接続されるものであり、この排気装置34は、前記後輪WRの右側に配置される排気マフラー35と、該排気マフラー35および前記シリンダヘッド22間を結ぶ排気管36とを備える。
【0030】
前記車体フレームFの一部を構成する両シートフレーム15…における傾斜部15a…の中間部間には、第1クロスメンバ37が前記エンジン本体19の前部を跨ぐようにして設けられ、前記両シートフレーム15…における傾斜部15a…および水平部15b…の連設部間に第2クロスメンバ38が設けられる。
【0031】
図6において、前記車体フレームFは合成樹脂から成る車体カバー39で覆われており、この車体カバー39の後部上にはタンデム型の乗車用シート40が配置される。
【0032】
前記車体フレームFの後部には、前記両シートフレーム15…間に設けられる第2クロスメンバ38と、前記両シートフレーム15…の後部を一体に連結する連結部16との間に配置されるようにして前記乗車用シート40の下方に配置される燃料タンク42が支持され、この燃料タンク42は前記パワーユニットPの上方に配置される。
【0033】
図7図9を併せて参照して、前記燃料タンク42はその上方からタンクカバー44で覆われるものであり、該タンクカバー44は、前記燃料タンク42よりも前方で前記両シートフレーム15…間に配置される合成樹脂製の収納ボックス43の後部上縁に一体に連なるものであり、前記乗車用シート40および前記燃料タンク42間を通るようにして前記収納ボックス43から後方に延出される。また前記収納ボックス43は、上端を開放するように形成されるものであり、この収納ボックス43の上端開口部は前記乗車用シート40の前部で閉じられる。
【0034】
図9に注目して、前記燃料タンク42は、下方に開放した箱状の上部タンク半体45と、上方に開放した箱状の下部タンク半体46とが相互に接合されて成るものであり、上部タンク半体45および下部タンク半体46の接合部には外側方に張り出すフランジ部42aが形成される。
【0035】
車幅方向で第2クロスメンバ38の中央部には、上方に突出するようにして第1ステー47が固着され、前記燃料タンク42におけるフランジ部42aの前部が第1ステー47に締結、支持される。また両シートフレーム15…における水平部15b…の後部には、上方に突出する第2ステー48…がそれぞれ固着されており、前記燃料タンク42におけるフランジ部42aの左右両側後部は第2ステー48…に締結、支持される。
【0036】
第1ステー47が固着された部分で第2クロスメンバ38には、下方に突出する第3ステー49が固着され、前記両シートフレーム15…の後部を一体に連結する連結部16には上下に突出する第4ステー50が固着されており、前記後輪WRを上方から覆うようにして前記燃料タンク42および前記後輪WR間に配置されるフェンダ51が、第3ステー49の下部および第4ステー50の下部に支持される。
【0037】
また第4ステー50の上部には、前記車体カバー39の一部を構成して前記タンクカバー44の後部に連接されるリヤカバー52と、前記乗車用シート40の後方に配置される荷台53とが、第4ステー50の上部に固着されるナット54へのボルト55の螺合による共締めで支持される。
【0038】
ところで前記タンクカバー44の両側には、前記乗車用シート40よりも外側方に張り出す張出し部44a…が一体に設けられており、前記荷台53の両側部は前記張出し部44a…に滑らかに連なるように形成される。而して前記両張出し部44a…および前記荷台53の両側部は、前記乗車用シート40の後部に座った同乗者が握ることを可能としたグラブレールとして機能する。
【0039】
図10を併せて参照して、前記燃料タンク42を上方から覆うタンクカバー44の後部は、前記燃料タンク42の後部を跨ぐようにして下方に開いた略U字状に形成される第5ステー56で支持されるものであり、この第5ステー56の左右両端部には、前記燃料タンク42のフランジ部42aの左右両側後部を第2ステー48…との間に挟む締結板部56a…が設けられる。而して締結板部56a…およびフランジ部42a…にはボルト57…が挿通され、それらのボルト57…が第2ステー48…の下面に固着されたウエルドナット58…に螺合されることで、第5ステー56の左右両端部の締結板部56a…と、燃料タンク42のフランジ部42aの左右両側後部とが第2ステー48…に共締めされる。また前記タンクカバー44の後部両側はボルト59,59によって第5ステー56に締結される。
【0040】
第1クロスメンバ37の両側にはボックス受け部材60,60が設けられており、前記収納ボックス43の前部両側は、前記ボックス受け部材60…との際に弾性部材(図示せず)を介した状態で、両ボックス受け部材60…にボルト61,61によって締結される。
【0041】
ところで前記乗車用シート40は、収納ボックス43およびタンクカバー44を上方から覆う閉じ状態と、収納ボックス43およびタンクカバー44を開放する開き状態との間で回動することを可能として、前記収納ボックス43の前端上部に回動可能に枢支されており、乗車用シート40の下面には、その閉じ状態で前記収納ボックス43の上端に弾発的に接触するシール部材62(図9参照)が装着される。
【0042】
また前記タンクカバー44の前部に対応する位置で前記乗車用シート40の下部には被係合部材63が設けられており、前記収納ボックス43および前記タンクカバー44の連設部には、乗車用シート40を閉じた状態で前記被係合部材63を突入させるシートロック用開口部64が設けられる。
【0043】
しかもシートロック用開口部64に対応する位置で前記タンクカバー44の前部に下方から当接するシートロック用ステー65が、前記燃料タンク42におけるフランジ部42aの前部を第1ステー47との間に挟むようにして配置されており、前記フランジ部42aの前部および前記シートロック用ステー65が一対のボルト66,66による共締めで第1ステー47に締結される。また前記タンクカバー44の前部は、前記シートロック用開口部64の左右両側に配置されるボルト67,67で前記シートロック用ステー65に締結される。
【0044】
前記シートロック用ステー65には、図示しないシートロック機構が配設されるものであり、該シートロック機構は、乗車用シート40を閉じた状態で前記シートロック用開口部64に突入された被係合部材63に係合して乗車用シート40の閉じ状態を保持するロック状態と、前記被係合部材63との係合を乗車用シート40を開放操作することを可能としたアンロック状態とを切換え可能である。
【0045】
前記燃料タンク42の後部上面の車幅方向一側、この実施の形態では車幅方向左側には給油口67が設けられる。この給油口67は、前記燃料タンク42の上面から上方に突出するようにして燃料タンク42の上部タンク半体45に固着された給油筒68によって形成されるものであり、給油口67はキャップ69で開閉可能に閉じられる。また前記給油口67の周囲には、該給油口67からこぼれた燃料を受け止めるトレー70が配設されており、このトレー70は、前記給油筒68に固定される。
【0046】
燃料タンク42の前部上面の車幅方向中央部には、燃料タンク42内の燃料を吐出するためのポンプモジュール72の上端部が複数のボルト73,73…によって締結される。このポンプモジュール72に連なる給油チューブ74は、前記ポンプモジュール72から前記燃料タンク42の上方を車幅方向右側で前方に延びる部分と、第2クロスメンバ38に沿って車幅方向右側から左側に延びる部分と、車幅方向左側で第2クロスメンバ38から左側のシートフレーム15の傾斜部15aに一部を沿わせて燃料噴射弁33側に向けて延びる部分とを有して前記燃料噴射弁33に接続されるものであり、この給油チューブ74を支持するために、第2クロスメンバ38に給油チューブ支持部材75が取付けられ、左側のシートフレーム15の傾斜部15aに給油チューブ支持部材76,77が取付けられ、前記燃料噴射弁33の近傍で前記シュラウド25の上側面に給油チューブ支持部材78が取付けられる。
【0047】
前記タンクカバー44には、前記燃料タンク42の上面に設けられる前記給油口67を上方に臨ませる開口部79が設けられており、前記トレー70は、その開口部79を閉じるようにして前記タンクカバー44の下面に弾発的に当接する。
【0048】
またタンクカバー44には、前記給油口67への上方からの給油時に前記開口部79の外側に溢れた燃料をせき止める膨出部80が、前記開口部79を囲むように無端状に連なって上方に膨出するようにして設けられ、特に、その膨出部80の後部80aは前部よりも大きく上方に膨出し、左右両側部80b,80bは、前方から後方に向かうにつれて上方への膨出量を徐々に大きくするように形成される。而して前記膨出部80の後部80a上には、前記乗車用シート40の後側下部に設けられた一対の突部40a…が、乗車用シート40に乗員が座ったときに当接することになり、膨出部80の後部80aは乗車用シート40の荷重を受けることになる。
【0049】
ところで前記燃料タンク42の上面は、前記給油口67が設けられる高位部81と、高位部81よりも低い低位部82とを有し、前記ポンプモジュール72は低位部82に配設される。しかも前記低位部82は、燃料タンク42の上面の前部の車幅方向右側に偏って配置されるものであり、前記エンジン本体19の前記クランクケース20側に向けて下るように傾斜して形成される。
【0050】
前記燃料タンク42内で蒸発した燃料ガスは、燃料タンク42の外で吸着するようにして燃料タンク42の上面よりも下方に配置される燃料吸着手段であるクランクケース20内のオイルに吸着されるものであり、燃料タンク42で発生した燃料ガスは、チャージ管路84を介して前記クランクケース20に導かれる。
【0051】
前記チャージ管路84は、前記燃料タンク42の上面に接続されるタンク側第1管路部84aと、タンク側第1管路部84aに連なるとともに車幅方向で前記燃料タンク42の一側から他側に延びるタンク側第2管路部84bとを燃料タンク42側の端部に備えており、タンク側第1管路部84aが、燃料タンク42の上面への接続部85から車幅方向で前記燃料タンク42の一側に延びてタンク側第2管路部84bに連設される。而してこの実施の形態では、燃料タンク42の上面への接続部85は、燃料タンク42の上面の高位部81のうち前記燃料タンク42の上面の車幅方向左側に設けられた給油口67からオフセットするようにして該給油口67よりも後方かつ車幅方向中央部に設定されており、タンク側第1管路部84aは、前記接続部85から車幅方向左側に延び、タンク側第1管路部84aに連なるタンク側第2管路部84bが車幅方向で左側から右側に延びるように配管される。
【0052】
またタンク側第1管路部84aおよびタンク側第2管路部84bは、前記給油口67を周囲から囲むようにして連設されるものであり、タンク側第1および第2管路部84a,84bの一部は、前記給油口67からこぼれた燃料を受け止めるトレー70の下方を通るように配置される。しかもタンク側第1および第2管路部84a,84bの一部を構成して前記トレー70の下方を通る部分は、給油筒68の一部を囲むように屈曲加工された金属製パイプ86から成るものであり、この金属製パイプ86のたとえば2箇所がパイプ保持部材87,87で保持される。また前記燃料タンク42の上面の高位部81には、前記パイプ保持部材87…に対応して取付け部材88,88が溶接されており、前記パイプ保持部材87…は取付け部材88…にボルト89…およびナット90…で取付けられる。而して前記燃料タンク42は、前記取付け部材88…を含めて塗装処理されており、前記金属製パイプ86は、塗装処理された前記燃料タンク42に締結されることになる。
【0053】
また前記チャージ管路84は、車幅方向他側(この実施の形態では右側)でタンク側第2管路部84bに連設されるとともに前記チャージ管路84のうち最も高い位置に配置される最高位部91を中間位置に有するタンク側第3管路部84cを有しており、このタンク側第3管路部84cは、前記燃料タンク42の上面のうち低位部82の上方を前方に延びるように配管される。
【0054】
タンク側第3管路部84cのうち少なくとも前記最高位部91を含む部分は弾性チューブ92から成り、その弾性チューブ92のうち前記最高位部91が、前記燃料タンク21に設けられる最高位部支持部93で下方から支持される。
【0055】
図11に注目して、前記最高位部支持部93は、前記燃料タンク42の上面に固着される支持板94と、該支持板94に固着される上開放クランパ95とから成り、丸棒から成る上開放クランパ95の一部に形成されて上方に開いた略U字状の保持部95aに前記弾性チューブ92のうち前記最高位部91が下方から支持される。
【0056】
前記最高位部支持部93は、前記タンクカバー44に設けられた膨出部80における右側部80bの下方に配置されており、前記最高位部支持部93の上方には比較的大きな空き空間が生じることになる。そこで上開放クランパ95から前記弾性チューブ9が上方に離脱してしまうのを阻止するためのリブ44bが、前記右側部80bの内部を横断するようにして前記タンクカバー44に一体に設けられる。このリブ44bは、上開放クランパ95の真上に配置されることが望ましく、この実施の形態では真上に配置されるのであるが、上開放クランパ95からの前記弾性チューブ9の上方への離脱を阻止し得る位置であれば、上開放クランパ95の真上から弾性チューブ9の長手方向に多少ずれて配置されていてもよい。
【0057】
しかも図10で明示するように、前記チャージ管路84のうち前記最高位部91から前記燃料タンク42への接続部85までは、該接続部85側に向けて下り勾配となるように配管されている。
【0058】
また前記チャージ管路84のタンク側第3管路部84cのうち前記最高位部91よりも下流側に燃料タンク42側への燃料ガスの逆流を阻止する第1逆止弁96が燃料タンク42で支持されるようにして介設され、この第1逆止弁96は、燃料タンク42の上面のうち低位部82上に配置される。
【0059】
ところで前記チャージ管路84のタンク側第3管路部84cの一部は、第1逆止弁96に下流端が接続されて前記燃料タンク42上に配置される前記弾性チューブ92と、第1逆止弁96に上流端が接続されて前記燃料タンク42上に配置される弾性チューブ97とを有しており、前記上開放クランパ95で保持される部分よりも下流側で前記弾性チューブ92は上開放クランパ98で保持され、前記弾性チューブ97の上流端部は上開放クランパ99で保持される。
【0060】
而して上開放クランパ98,99は、前記燃料タンク42の上面に固着される支持板100に共通に固着されており、前記燃料タンク42の上面に設けられる上開放クランパ95,98,99からの前記弾性チューブ92,97の離脱は、前記燃料タンク42を上方から覆うタンクカバー44で阻止される。
【0061】
ところで第1逆止弁96よりも燃料タンク42側で前記チャージ管路84のタンク側第3管路部84cには分岐部101が設けられており、その分岐部101には、前記燃料タンク42内に大気を導く大気導入管路102が接続され、燃料タンク42側からの流れを阻止する第2逆止弁103が大気導入管路102に介設される。しかも第2逆止弁103は、図10で明示するように、前記チャージ管路84における前記最高位部91よりも高い位置に配置される。
【0062】
前記大気導入管路102は、第2逆止弁103よりも下方で大気に開放されるものであり、この実施の形態では、左右一対のシートフレーム15…の後部を連結するパイプ状の連結部16内で大気開放するようにして、前記大気導入管路102が連結部16に接続される。
【0063】
しかも第2逆止弁103よりも大気開放側すなわち前記連結部16側で前記大気導入管路102にはフィルタ104が介設されるものであり、このフィルタ104は、前記大気導入管路102のうち前記大気開放側すなわち連結部16側に向けて下り勾配となる部分に介設され
【0064】
前記大気導入管路102は、一端部が前記分岐部101に接続されるとともに他端部が第2逆止弁103に接続される弾性チューブ105と、一端部が第3逆止弁103に接続されるとともに他端部がフィルタ104に接続される弾性チューブ106と、一端部がフィルタ104に接続されるとともに他端部が前記車体フレームFの連結部16に接続される弾性チューブ107とを有しており、弾性チューブ106は、第2逆止弁103と、第2逆止弁103の後方斜め下方に配置されるフィルタ104とを結んで円弧状に湾曲するように配置され、弾性チューブ106の一部および弾性チューブ107が、フィルタ104を相互間に連結しつつ連結部16側に向けて下り勾配となるように配置される。
【0065】
また第2逆止弁103を相互間に挟む位置で弾性チューブ105の他端部および弾性チューブ106の一端部は、上開放クランパ108,109で保持されるものであり、それらの上開放クランパ108,109は、車体フレームFの一部を構成する第5ステー56に固着され、それらの上開放クランパ108,109からの前記弾性チューブ105,106の離脱は、前記燃料タンク42を上方から覆うタンクカバー44で阻止される。
【0066】
また第2逆止弁10は、前記燃料タンク42を上方から覆うタンクカバー44に設けられた膨出部80のうち前記乗車用シート40の荷重を受けるようにした後部80aの下方に配置される。
【0067】
前記チャージ管路84は、前記タンク側第3管路部84cに車幅方向他側(この実施
の形態では右側)で連なって第2クロスメンバ38に沿って車幅方向一側(この実施の形態では左側)に延びる連絡管路部84dと、この連絡管路部84dに連なるとともに車幅方向一側で上下に延びるようにして前記エンジン本体19の上方に配置されるエンジン側第1管路部84eと、車幅方向一側で前記エンジン側第1管路部84eの下端に連なって前記エンジン本体19の上方を前記車幅方向一側から他側に延びるエンジン側第2管路部84fと、車幅方向他側でエンジン側第2管路部84fに連なって前記エンジン本体19に接続されるエンジン側第3管路部84gとを備える。
【0068】
前記連絡管路部84dは、この実施の形態では車幅方向右側で前記タンク側第3管路部84cに連なるとともに第2クロスメンバ38に沿って車幅方向左側に延びるものであり、エンジン側第1管路部84eの上端に車幅方向左側で連なるとともに第2クロスメンバ38に沿って車幅方向右側に延び、タンク側第3、第2および第1管路部84c,84b,84aを介して前記燃料タンク42に接続されることになる。またエンジン側第1管路部84eは、車幅方向左側で上下方向に延び、エンジン側第2管路部84fはエンジン本体19の上方で車幅方向左側から右側に延びるように配置され、エンジン側第3管路部84gは車幅方向右側でエンジン本体19のクランクケース20に接続される。
【0069】
前記車体フレームFには、前記エンジン側第1管路部84eの中間部を支持するフレーム側支持部110が設けられ、前記エンジンEにおけるシュラウド25の上側面には、前記エンジン側第2管路部84fの中間部を支持するエンジン側支持部111が設けられるものであり、エンジン側支持部111は、ボルト112によって前記給油チューブ支持部材7との共締めで前記シュラウド25の上側面に取付けられる。
【0070】
しかもエンジン側支持部111は、平面視で前記吸気装置28よりも車幅方向一側(この実施の形態では左側)に配置され、前記フレーム側支持部110は、前記エンジン側支持部111よりも後側斜め上方に配置されて両シートフレーム15…のうち車幅方向一側(この実施の形態では左側)のシートフレーム15の傾斜部15aに設けられる。
【0071】
しかも前記チャージ管路84のうち少なくとも前記エンジン側支持部111および前記フレーム側支持部110間が弾性チューブ97から成るものであり、この実施の形態では、タンク側第3管路部84cの一部を構成して第1逆止弁96に一端部が連なる弾性チューブ97によって、前記連絡管路部84dの全部、前記エンジン側第1管路部84eの全部、前記エンジン側第2管路部84fの全部および前記エンジン側第3管路部84gの一部が構成される。
【0072】
また前記エンジン側第2管路部84fは、図1で示すように、前記吸気装置28におけるコネクティングチューブ30およびスロットルボディ31の下方を通るように配管される。
【0073】
図12において、エンジン側第3管路部84gは、エンジン本体19におけるクランクケース20内にオイルを供給すべく該クランクケース20の右側部に設けられて斜め上方に延びるとともに上端部がキャップ115で閉じられる給油管116に車幅方向内側で隣接するようにしてクランクケース20に接続されるものであり、前記弾性チューブ97の一部と、該弾性チューブ97に上端部が接続されて前記クランクケース20に固着される金属製の管体117とで構成されており、この管体117の他端は、前記クランクケース20内のオイルの油面Lよりも下方でクランクケース20内に開放する。これにより燃料タンク42内で蒸発してチャージ管路84で導かれた燃料ガスがクランクケース20内のオイルに吸着されることになる。
【0074】
次にこの実施の形態の作用について説明すると、燃料タンク42で蒸発した燃料ガスを燃料吸着手段であるクランクケース20側に導くチャージ管路84が、燃料タンク42の上面に接続されるタンク側第1管路部84aと、タンク側第1管路部84aに連なるとともに車幅方向で燃料タンク42の一側(この実施の形態では左側)から他側(この実施の形態では右側)に延びてタンク側第2管路部84bとを燃料タンク42側の端部に備え、タンク側第1および第2管路部84a,84bが燃料タンク42の上面に固定されるので、タンク側第1管路部84aが車幅方向いずれの位置で燃料タンク42に接続されていても、自動二輪車が転倒したときに燃料タンク42からチャージ管路84を経てクランクケース20側に流出する燃料量を抑制することができ、しかもチャージ管路84の少なくとも一部を燃料タンク42に予め取付けておくことができるので、組付け性の向上に寄与することができる。
【0075】
またタンク側第1管路部84aが、燃料タンク42の上面への接続部85から車幅方向で燃料タンク42の一側(この実施の形態では左側)に延びてタンク側第2管路部84bに連設されるので、転倒時の燃料の流出を効果的に抑えることができる。
【0076】
また燃料タンク42の上面の車幅方向一側(この実施の形態では左側)に給油口67が設けられ、該給油口67からオフセットした位置で燃料タンク42の上面に接続されるタンク側第1管路部84aと、タンク側第2管路部84bとが、給油口67を周囲から囲むようにして連設されるので、給油口67の周囲のデッドスペースを利用してタンク側第1および第2管路部84a,84bの一部を大きな曲率で配管することができ、タンク側第1および第2管路部84a,84bの配置を容易とすることができる。
【0077】
前記給油口67の周囲には、該給油口67からこぼれた燃料を受け止めるトレー70が配設されており、タンク側第1および第2管路部84a,84bの一部がそのトレー70の下方を通るように配置されるので、給油口6むようにタンク側第1および第2管路部84a,84bの一部が配管されていてもトレー70の面積を大きくすることができる。
【0078】
ところでチャージ管路84は、前記車幅方向他側(この実施の形態では右側)でタンク側第2管路部84bに連設されるとともにチャージ管路84のうち最も高い位置に配置される最高位部91を中間位置に有するタンク側第3管路部84cを有するものであり、転倒時の燃料の流出をより一層効果的に抑えることができる。
【0079】
しかもタンク側第3管路部84cのうち少なくとも前記最高位部91を含む部分が弾性チューブ92から成り、その弾性チューブ92の前記最高位部91が、燃料タンク42に設けられる最高位部支持部93で下方から支持されるので、最高位部91の高さを最高位部支持部93の高さによって定めるようにして設計の自由度を高めることができる。またチャージ管路84のうち最高位部91から燃料タンク42への接続部85までの間が、該接続部85側に向けて下り勾配となるように配管されるので、最高位部91から燃料タンク42までの間でチャージ管路84内に溜まった燃料を燃料タンク42側に戻し易くなる。
【0080】
また前記チャージ管路84の下流端がクランクケース20内のオイル中に開放するようにしてクランクケース20に接続されており、チャージ管路84のうち前記最高位部91よりも下流側に前記燃料タンク42側への燃料ガスの逆流を阻止する第1逆止弁96が介設されるので、クランクケース20内のオイルが燃料タンク42側に流れることを第1逆止弁96で効果的に防止することができ、しかも第1逆止弁96が燃料タンク42に支持されているので、組付け性が向上する。
【0081】
また前記燃料タンク42の上面は、給油口67が設けられる高位部81と、高位部81よりも低い低位部82とを有し、第1逆止弁96が低位部82上に配置されるので、第1逆止弁96の配設位置が高くなってしまうことを回避することができる。しかも低位部82がクランクケース20側に向けて下るように傾斜しているので、第1逆止弁96を通過する燃料ガスの流れを円滑化することができる。
【0082】
また第1逆止弁96よりも燃料タンク42側でチャージ管路84のタンク側第3管路部84cに設けられる分岐部101に、燃料タンク42内に大気を導く大気導入管路102が接続され、燃料タンク42側からの流れを阻止する第2逆止弁103が大気導入管路102に介設されるので、燃料タンク42内が負圧になったときには燃料タンク42内に大気を導入するようにして燃料タンク42内を大気圧に調整することができ、しかも燃料ガスが大気導入管路102を経て外部に放出されるのを第2逆止弁103で阻止することができる。
【0083】
またチャージ管路84の少なくとも一部を構成する弾性チューブ92,97のうち燃料タンク42上に配置される部分が、燃料タンク42の上面に設けられる上開放クランパ95,98,99で保持され、その上開放クランパ95,98,99からの弾性チューブ92,97の離脱を阻止するタンクカバー44で燃料タンク42が上方から覆われるので、簡単な構造でチャージ管路84の一部を燃料タンク42上に支持することができ、組付け性が向上する。
【0084】
また燃料タンク42の外面が塗装処理されており、チャージ管路84の一部を構成する金属製パイプ86が燃料タンク42に締結されることにより、溶接によって金属製パイプ86を燃料タンク42に固定するものと比べて、金属製パイプ86をマスキングする必要がなく、塗装コストを低減することができる。
【0085】
前記第2逆止弁103は、前記チャージ管路84のタンク側第3管路部84cに設けられる前記最高位部91よりも高い位置に配置されており、第2逆止弁103側への燃料の流入を抑制し、第2逆止弁103への燃料の付着を防止して第2逆止弁103の耐久性を高めることができる。
【0086】
また前記分岐部101が、前記最高位部91よりも燃料タンク42側でタンク側第3管路部84cに設けられるので、自動二輪車の転倒時にチャージ管路84への接続部すなわち分岐部101から第2逆止弁103までの間で大気導入管路102内に燃料タンク42から流出した燃料が入ったとしても、転倒後に自動二輪車を起こしたときに大気導入管路102内の燃料はチャージ管路84の最高位部91よりも上流側に戻ることになり、エンジン本体19側に燃料が流れるのを防止することができる。
【0087】
また大気導入管路102が、第2逆止弁103よりも下方で大気に開放されるので、大気導入管路102内にその大気開放端から水が浸入したとしても、浸入した水を第2逆止弁103に到達し難くすることができ、第2逆止弁103よりも大気開放側で前記大気導入管路102にフィルタ104が介設されるので、第2逆止弁103に塵埃が付着し難くなる。しかも前記大気導入管路102のうち大気開放側に向けて下り勾配となる部分にフィルタ104が介設されるので、フィルタ104が水で濡れたとしてもフィルタ104から大気開放端側に水を逃がすことができる。
【0088】
また燃料タンク42を上方から覆うとともに前記燃料タンク42の上面に設けられる給油口67を上方に臨ませる開口部79が設けられるタンクカバー44に、乗車用シート40の荷重を受けるとともに前記給油口67への上方からの給油時に開口部79の外側に溢れた燃料をせき止める膨出部80が上方に膨出するようにして設けられ、該膨出部80の下方に第2逆止弁10が配置されるので、第2逆止弁103を高い位置に配置して、浸入した水を第2逆止弁103により到達し難くすることができる。
【0089】
また前記チャージ管路84は、エンジン本体19の車幅方向一側(この実施の形態では左側)で上下に延びるようにして前記エンジン本体19の上方に配置されるエンジン側第1管路部84eと、車幅方向一側で前記エンジン側第1管路部84eの下端に連なって前記エンジン本体19の上方を前記車幅方向一側から他側(この実施の形態では右側)に延びるエンジン側第2管路部84fと、車幅方向他側でエンジン側第2管路部84fに連なって前記エンジン本体19に接続されるエンジン側第3管路部84gとを備えるので、自動二輪車の転倒時にエンジン本体19内のオイルがチャージ管路84内に流出するのを抑えることができる。
【0090】
しかもエンジン側第1管路部84eを支持するフレーム側支持部110が車体フレームFに設けられ、前記エンジン側第2管路部84fを支持するエンジン側支持部111がエンジンEのシュラウド25に設けられ、チャージ管路84のうち少なくとも前記エンジン側支持部111および前記フレーム側支持部110間が弾性チューブ97から成るので、エンジンEの揺動にチャージ管路84を追随させることができる。
【0091】
また前記エンジン側第2管路部84fが、エンジン本体19におけるシリンダヘッド22の上部側面から後方に延出される吸気装置28の下方を通るように配置されるので、吸気装置28の下方のデッドスペースを利用してチャージ管路84の一部を配置することができる。
【0092】
またエンジン側支持部111が、平面視で前記吸気装置28よりも車幅方向一側で前記エンジンEに設けられるので、チャージ管路84のうち吸気装置の下方を通る部分すなわち第2エンジン側管路部84fをエンジン本体19に対して揺動しないように固定することができ、吸気装置28をチャージ管路84との接触を回避しつつエンジン本体19に近づけて配置することを可能とし、エンジンEのコンパクト化に寄与することができる。
【0093】
また後上がりに延びる傾斜部15a…をそれぞれ有する左右一対のシートフレーム15…を車体フレームFが備え、それらのシートフレーム15…の下方でパワーユニットPが車体フレームFに揺動可能に支持され、前記フレーム側支持部110が前記エンジン側支持部111よりも後側斜め上方に配置されて両シートフレーム15…のうち車幅方向一側(この実施の形態では左側)のシートフレーム15の前記傾斜部15aに設けられるので、エンジン側支持部111およびフレーム側支持部110を前後方向で離隔して配置し、パワーユニットPの揺動に伴う弾性チューブ97の撓み量を小さくすることができる。
【0094】
さらに前記フレーム側支持部110よりも後方で一対のシートフレーム15…間に第2クロスメンバ38が設けられ、第2クロスメンバ38の後方に配置される燃料タンク42が前記両シートフレーム15…に支持され、前記チャージ管路84は、前記エンジン側第1管路部84eの上端に車幅方向一側で連なるとともに第2クロスメンバ38に沿って車幅方向他側に延びて燃料タンク42に接続される連絡管路部84dを有するので、チャージ管路84内へのエンジン本体19側からのオイルの流出をより効果的に抑えることができる。
【0095】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明を逸脱することなく種々の設計変更を行うことが可能である。
【符号の説明】
【0096】
19・・・エンジン本体
40・・・乗車用シート
42・・・燃料タンク
44・・・タンクカバー
67・・・給油口
79・・・開口部
80・・・膨出部
84・・・チャージ管路
84a・・・第1管路部であるタンク側第1管路部
84b・・・第2管路部であるタンク側第2管路部
84c・・・第3管路部であるタンク側第3管路部
91・・・最高位部
96・・・第1逆止弁
101・・・分岐部
102・・・大気導入管路
103・・・第2逆止弁
104・・・フィルタ
E・・・エンジン
F・・・車体フレーム
WR・・・後輪
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12