特許第5835698号(P5835698)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5835698
(24)【登録日】2015年11月13日
(45)【発行日】2015年12月24日
(54)【発明の名称】ワーク搬送装置及び搬送方法
(51)【国際特許分類】
   B25J 15/08 20060101AFI20151203BHJP
   B65G 35/00 20060101ALI20151203BHJP
【FI】
   B25J15/08 C
   B65G35/00 A
【請求項の数】10
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2013-231441(P2013-231441)
(22)【出願日】2013年11月7日
(65)【公開番号】特開2015-89609(P2015-89609A)
(43)【公開日】2015年5月11日
【審査請求日】2014年9月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100071870
【弁理士】
【氏名又は名称】落合 健
(74)【代理人】
【識別番号】100097618
【弁理士】
【氏名又は名称】仁木 一明
(74)【代理人】
【識別番号】100152227
【弁理士】
【氏名又は名称】▲ぬで▼島 愼二
(72)【発明者】
【氏名】小杉 亙
(72)【発明者】
【氏名】小倉 正吉
(72)【発明者】
【氏名】辻村 博孝
【審査官】 谷治 和文
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−161616(JP,A)
【文献】 実開昭61−203621(JP,U)
【文献】 米国特許第4412620(US,A)
【文献】 特開2004−26054(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25J 15/08
B65G 35/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワーク搬送空間の上方にその搬送方向に沿って設置されたレール(G)と、そのレール(G)に沿って走行可能な走行体(CH)と、その走行体(CH)に支持されたハンガ(H)とを有するオーバヘッドコンベア(OC)、並びにワーク(W)を把持してオーバヘッドコンベア(OC)まで移送可能な移送装置(T)を含み、前記ハンガ(H)が、前記走行体(CH)にその移動方向に沿って前後揺動可能に吊持されるフック(F)を備え、前記移送装置(T)が把持するワーク(W)を前記フック(F)に係合させるようにして、そのワーク(W)を該移送装置(T)から前記ハンガ(H)に持ち替え、該ハンガ(H)によりワーク(W)を吊り下げ搬送するワーク搬送装置であって、
前記持ち替えのために前記ハンガ(H)の移動を一時停止させた状態で、前記フック(F)がワーク(W)と係合可能な所定待機位置(FA)に位置決めされるよう該フック(F)を支持し得るフック支持部材(S)を備え、
前記フック支持部材(S)は、これが前記フック(F)の搬送軌跡に張り出して該フック(F)に前記所定待機位置(FA)で当接するフック支持位置(S1)と、前記搬送軌跡外に退出する退出位置(S2)との間を往復動可能として取付台(30)に取付けられることを特徴とするワーク搬送装置。
【請求項2】
前記フック支持部材(S)は、支持部材本体(Sm)と、この支持部材本体(Sm)の、前記ワーク(W)との対向面に着脱可能に被着されるカバー部材(Sc)とを備えることを特徴とする、請求項1に記載のワーク搬送装置。
【請求項3】
前記カバー部材(Sc)の材質は、前記ワーク(W)の材質やワーク搬送先の工程に応じて設定されることを特徴とする、請求項2に記載のワーク搬送装置。
【請求項4】
前記フック支持部材(S)は、これが前記フック支持位置(S1)にあるときに、該フック支持部材(S)に接近する前記フック(F)を前記所定待機位置(FA)に向けて案内するフック進入ガイドを有することを特徴とする、請求項1〜3の何れか1項に記載のワーク搬送装置。
【請求項5】
前記フック支持部材(S)と前記取付台(30)との間には、そのフック支持部材(S)を前記フック支持位置(S1)と前記退出位置(S2)との間で強制的に移動させるエアシリンダ(AC)が設けられることを特徴とする、請求項1〜4の何れか1項に記載のワーク搬送装置。
【請求項6】
前記移送装置(T)は、複数のワーク(W)を貯留するワークストック場(WS)から、前記ハンガ(H)にワーク(W)を持ち替え可能な位置までワーク(W)を移送する途中で、該ワーク(W)を反転させる反転装置(A)を含むことを特徴とする、請求項1〜5の何れか1項に記載のワーク搬送装置。
【請求項7】
前記移送装置(T)は、ワーク把持用爪(14)をロボットハンド(Rh)の先端に有する産業用ロボット(R)を含むことを特徴とする、請求項1〜6の何れか1項に記載のワーク搬送装置。
【請求項8】
前記産業用ロボット(R)は、前記ワーク(W)の貫通孔(h1,h2)に挿入されてワーク(W)をクランプ可能な3個のワーク把持用爪(14)と、そのワーク把持用爪(14)の周辺でワーク(W)に係合して該ワーク把持用爪(14)が前記貫通孔(h1,h2)内を相対回転するのを阻止する回り止め手段(16)とを有することを特徴とする、請求項7に記載のワーク搬送装置。
【請求項9】
前記産業用ロボット(R)は、複数のワーク(W)を仕切り板(10)を挟んで上下に段積みした状態でワーク(W)が貯留されるワークストック場(WS)から使用済みの前記仕切り板(10)を吸着して所定の仕切り板置場(11)まで移送可能であることを特徴とする、請求項7又は8に記載のワーク搬送装置。
【請求項10】
請求項1〜9の何れかに記載のワーク搬送装置を用いたワーク搬送方法であって、
ワーク(W)を前記移送装置(T)から前記ハンガ(H)に持ち替えるに当たり、
前記フック支持部材(S)を前記フック支持位置(S1)に移動、保持する工程と、
しかる後、そのフック支持部材(S)に次のフック(F)が接近して前記ハンガ(H)が所定位置に達するのに応じて該ハンガ(H)の移動を停止させることにより、前記次のフック(F)を該フック支持部材(S)に当接させて前記所定待機位置(FA)に位置決めする工程と、
その後、前記移送装置(T)で移送されてきたワーク(W)を、前記所定待機位置(FA)にある前記フック(F)に係合させることで、該ワーク(W)を移送装置(T)から前記ハンガ(H)に持ち替える工程と、
次いで、そのワーク(W)がセットされた前記ハンガ(H)の移動を再開できるように、前記フック支持部材(S)を前記退出位置(S2)まで移動させる工程とを順次実行することを特徴とする、ワーク搬送方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワーク搬送装置、特にワーク搬送空間の上方にその搬送方向に沿って設置されたレールと、そのレールに沿って走行可能な走行体と、その走行体に支持されたハンガとを備えたオーバヘッドコンベアを含み、そのハンガが備える前後揺動可能なフックにワークを係合させてワークを吊り下げ状態で搬送するようにした搬送装置、並びに搬送方法に関する。
【背景技術】
【0002】
上記ワーク搬送装置として、例えば、ハンガに各々複数ずつ設けたフック及びクランプ手段にワークを保持させ、そのハンガによりワークを吊り下げ状態で搬送するようにしたものが知られている(下記特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−187583号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが上記従来装置は、オーバヘッドコンベアを走行させたままの状態で、作業員がワークストック場からワークを手で掴んでハンガに直接取付けるようにしているので、作業に多大の労力と手間を要して作業能率が悪い問題があった。
【0005】
そこで、ワークを把持してオーバヘッドコンベアまで移送可能な産業用ロボット等の移送装置を使用し、その移送装置が把持するワークをハンガのフックに係合させることでワークを移送装置からハンガへ持ち替え可能として、作業工程の自動化と能率向上を図ることが考えられる。この場合、移送装置からハンガのフックにワークを係合させるときに、移動中のハンガにワークを自動移載する技術は極めて高度なため、走行中のハンガ(即ちコンベア)を一時停止させる必要があるが、コンベアの慣性、組み立て誤差等に起因してハンガの停止位置にバラツキが生じ易く、また、たとえハンガの停止位置を正確に制御できた場合でも、フックはハンガに前後揺動可能に吊持されていて前後に簡単に動いてしまうため、移送装置が把持するワークをフックに係合させる作業、即ち移送装置からハンガへのワーク持ち替えを的確には行い得なくなる虞れがある。
【0006】
本発明は、上記に鑑み提案されたもので、従来装置の前記問題を簡単な構造で一挙に解決できるようにしたワーク搬送装置及び搬送方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するために、請求項1の発明は、ワーク搬送空間の上方にその搬送方向に沿って設置されたレールと、そのレールに沿って走行可能な走行体と、その走行体に支持されたハンガとを有するオーバヘッドコンベア、並びにワークを把持して前記オーバヘッドコンベアまで移送可能な移送装置を含み、前記ハンガが、前記走行体にその移動方向に沿って前後揺動可能に吊持したフックを備え、前記移送装置が把持するワークを前記フックに係合させるようにして、そのワークを該移送装置から前記ハンガに持ち替え、該ハンガによりワークを吊り下げ搬送するワーク搬送装置であって、前記持ち替えのために前記ハンガの移動を一時停止させた状態で、前記フックがワークと係合可能な所定待機位置に位置決めされるよう該フックを支持し得るフック支持部材を備え、前記フック支持部材は、これが前記フックの搬送軌跡に張り出して該フックに前記所定待機位置で当接するフック支持位置と、前記搬送軌跡外に退出する退出位置との間を往復動可能として取付台に取付けられることを特徴とする。
【0008】
また請求項2の発明は、請求項1の発明の前記特徴に加えて、前記フック支持部材は、支持部材本体と、この支持部材本体の、前記ワークとの対向面に着脱可能に被着されるカバー部材とを備えることを特徴とする。
【0009】
また請求項3の発明は、請求項2の発明の前記特徴に加えて、前記カバー部材の材質は、前記ワークの材質やワーク搬送先の工程に応じて設定されることを特徴とする。
【0010】
また請求項4の発明は、請求項1〜3の何れかの発明の前記特徴に加えて、前記フック支持部材は、これが前記フック支持位置にあるときに、該フック支持部材に接近する前記フックを前記所定待機位置に向けて案内するフック進入ガイドを有することを特徴とする。
【0011】
また請求項5の発明は、請求項1〜4の何れかの発明の前記特徴に加えて、前記フック支持部材と前記取付台との間には、そのフック支持部材を前記フック支持位置と前記退出位置との間で強制的に移動させるエアシリンダが設けられることを特徴とする。
【0012】
また請求項6の発明は、請求項1〜5の何れかの発明の前記特徴に加えて、前記移送装置は、複数のワークを貯留するワークストック場から、前記ハンガにワークを持ち替え可能な位置までワークを移送する途中で、該ワークを反転させる反転装置を含むことを特徴とする。
【0013】
また請求項7の発明は、請求項1〜6の何れかの発明の前記特徴に加えて、前記移送装置は、ワーク把持用爪をロボットハンドの先端に有する産業用ロボットを含むことを特徴とする。
【0014】
また請求項8の発明は、請求項7の発明の前記特徴に加えて、前記産業用ロボットは、前記ワークの貫通孔に挿入されてワークをクランプ可能な3個のワーク把持用爪と、そのワーク把持用爪の周辺でワークに係合して該ワーク把持用爪が前記貫通孔内を相対回転するのを阻止する回り止め手段とを有することを特徴とする。
【0015】
また請求項9の発明は、請求項7又は8の発明の前記特徴に加えて、前記産業用ロボットは、複数のワークを仕切り板を挟んで上下に段積みした状態でワークが貯留されるワークストック場から使用済みの前記仕切り板を吸着して所定の仕切り板置場まで移送可能であることを特徴とする。
【0016】
また請求項10の発明は、請求項1〜9の何れかに記載のワーク搬送装置を用いたワーク搬送方法であって、ワークを前記移送装置から前記ハンガに持ち替えるに当たり、前記フック支持部材を前記フック支持位置に移動、保持する工程と、しかる後、そのフック支持部材に次のフックが接近して前記ハンガが所定位置に達するのに応じて該ハンガの移動を停止させることにより、前記次のフックを該フック支持部材に当接させて前記所定待機位置に位置決めする工程と、その後、前記移送装置で移送されてきたワークを、前記所定待機位置にある前記フックに係合させることで、該ワークを移送装置から前記ハンガに持ち替える工程と、次いで、そのワークがセットされた前記ハンガの移動を再開できるように、前記フック支持部材を前記退出位置まで移動させる工程とを順次実行することを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、移送装置からハンガへのワーク持ち替えのためにハンガの移動を一時停止させた状態で、ハンガのフックがワークと係合可能な所定待機位置に位置決めされるようフックを支持し得るフック支持部材を備え、このフック支持部材は、これがフック及びワークの搬送軌跡に張り出してフックに前記所定待機位置で当接するフック支持位置と、搬送軌跡外に退出する退出位置との間を往復動可能であるので、ワーク持ち替えのためにコンベアの運転を一時停止させた状態では、フック支持位置のフック支持部材によってフックを、コンベアの慣性、組み立て誤差等の影響を受けずに所定待機位置に精度よく位置決め可能となる。従って、移送装置が把持するワークをフックに係合させてハンガに持ち替える作業を常に的確に実行可能となり、しかもこの一連の作業を自動化できて作業効率向上に大いに寄与することができる。また、上記したワークの持ち替え作業後は、フック支持部材を退出位置に一時的に退避させることで、次のハンガへのワーク持ち替え作業に支障なく移行することができる。
【0018】
また特に請求項2の発明によれば、フック支持部材は、支持部材本体と、この支持部材本体の、ワークとの対向面に着脱可能に被着されるカバー部材とを備えるので、フック支持部材のカバー部材がワークと接触して変形、摩耗しても、そのカバー部材だけを新品と交換すれば足り、支持部材本体は引き続き使用可能であることから、コスト節減に寄与することができる。
【0019】
また特に請求項3の発明によれば、前記カバー部材の材質は、ワークの材質やワーク搬送先の工程に応じて設定されるので、ワークの材質やワーク搬送先の工程に応じたカバー部材の最適の材料選択が可能となり、コスト節減が図られる。
【0020】
また特に請求項4の発明によれば、フック支持部材は、これがフック支持位置にあるときに、フック支持部材に接近するフックを所定待機位置に向けて案内するフック進入ガイドを有するので、そのフック進入ガイドによって、フック支持部材を所定待機位置に的確に案内できて、フック支持部材の所定待機位置への位置決めをより的確に行うことができる。
【0021】
また特に請求項5の発明によれば、フック支持部材と取付台との間には、そのフック支持部材をフック支持位置と退出位置との間で強制的に移動させるエアシリンダが設けられるので、移送装置で移送されてきたワークがフックへの係合の際にフック支持部材に勢いよく接触しても、その衝撃をエアシリンダで効果的に吸収緩和することができる。
【0022】
また特に請求項6の発明によれば、移送装置は、複数のワークを貯留するワークストック場から、ハンガにワークを持ち替え可能な位置までワークを移送する途中で、該ワークの姿勢を反転させる反転装置を含むので、ワークストック場で複雑形態のワークをスペース効率アップのために通常姿勢のものと上下反転姿勢のものとを交互に並べたような場合でも、移送装置は、反転装置を適時作動させることで常に同一姿勢で前記持ち替え位置まで移送可能である。
【0023】
また特に請求項7の発明によれば、移送装置は、ワーク把持用爪をロボットハンドの先端に有する産業用ロボットを含むので、そのワーク把持用爪を用いてワークを的確に把持することが可能となる。
【0024】
また特に請求項8の発明によれば、産業用ロボットは、ワークの貫通孔に挿入されてワークをクランプ可能な3個のワーク把持用爪と、そのワーク把持用爪の周辺でワークに係合して該ワーク把持用爪が貫通孔内を回転するのを阻止する回り止め手段とを有するので、その回り止め手段でワークとワーク把持用爪との相対回転を阻止しつつ、ワーク貫通孔に挿入した上記3個のワーク把持用爪でワークを把持可能となる。
【0025】
また特に請求項9の発明によれば、産業用ロボットは、複数のワークを仕切り板を挟んで上下に段積みした状態でワークが貯留されるワークストック場から使用済みの仕切り板を吸着して所定の仕切り板置場まで移送可能であるので、ワーク移送用のロボットを利用して、ワークストック場から使用済みの仕切り板を自動的に排出することできる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本発明の一実施形態に係るワーク搬送装置の全体平面図
図2】前記ワーク搬送装置の側面図(図1の2矢視図)
図3】移送装置からコンベアへのワーク受け渡し位置付近での要部拡大側面図(図1の3矢視拡大図)
図4】移送装置の主要部(ロボット)を示す平面図
図5図4の5矢視側面図
図6】ロボットアーム先部における把持態様説明図であって、(A)は第2姿勢にあるワークを把持した状態を、また(B)は仕切り板を把持した状態をそれぞれ示す
図7】反転装置を示す平面図
図8】反転装置を示す側面図(図7の8矢視図)
図9図1の9矢視部拡大平面図(図3の9矢視図)
図10図9の10矢視図
図11図10の11−11線拡大断面図
図12】フック支持部材に当接支持されるフックにロボットからワークが持ち替えられる過程を説明する断面図
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明の実施の形態を、添付図面により以下に具体的に説明する。
【0028】
先ず、図1〜3において、本発明に係るワーク搬送装置は、ワーク搬送空間の上方にその搬送方向に沿って設置されるオーバヘッドコンベアOCと、ワークストック場WSからワークWを把持してオーバヘッドコンベアOCまで移送可能な移送装置Tとを主要構成要素とする。
【0029】
オーバヘッドコンベアOCは、設置面B上に設定したワーク搬送空間の上方にその搬送方向に沿って設置固定されるレールGと、そのレールG内に収納、支持されてその長手方向に沿って移動可能な走行体としてのコンベヤチェーンCHと、そのコンベヤチェーンCHにその長手方向に所定間隔をおいて取付けられる複数のハンガHと、コンベヤチェーンCHを走行駆動すベく設置面Bに設置される駆動装置(図示せず)と、その駆動装置の作動を制御すベく設置面Bに設置される制御装置としての制御盤Cとを備えており、その制御盤CによりコンベヤチェーンCHが走行制御されるようになっている。以上の構造は、コンベヤチェーンを用いたオーバヘッドコンベアとして従来公知であるので、ハンガH以外の部分の構造については、これ以上の説明を省略する。
【0030】
尚、本明細書において、前方・後方とは、ハンガHの移動方向(即ちワーク搬送方向)でそれぞれ前方・後方をいう。
【0031】
前記ハンガHは、コンベヤチェーンCHに支持されて該チェーンCHと共に移動するハンガ本体Hmと、そのハンガ本体Hmに前後揺動可能に吊持したフックFとを備える。そのハンガ本体Hmは、同一長さの前後一対の鉛直リンク1,2と、その両リンク1,2の下端に両端がそれぞれ軸支される水平リンク3とを備える。そして、前後一対の鉛直リンク1,2は、コンベヤチェーンCHに装着されて該チェーンCHからレールG下端のスリットを通して下方に延出する前後一対のハンガ支持部4にそれぞれ前後揺動可能に軸支される。
【0032】
而して、前後一対の鉛直リンク1,2及び水平リンク3は、両鉛直リンク1,2を軸支するコンベヤチェーンCHのハンガ支持部4と協働して平行リンク機構を構成する。従って、水平リンク3は、コンベヤチェーンCHに対して、それとの平行姿勢を維持しつつ且つ前後揺動可能として、同チェーンCHに一体的に追従移動する。
【0033】
また前記フックFは、水平リンク3の前後中央部に上端が前後揺動可能に軸支されて直線状に延びる棒状のフック本体Fmと、そのフック本体Fmの下端より後方に一体に延びる鉤部Faとで構成される。その鉤部Faの先端(即ち後端)には、上方に起立した抜け止め用の爪部Fatが形成され、この爪部Fatにより、フック鉤部Faに掛けたワークWが妄りに脱落しないようになっている。
【0034】
そして、後述するように、ワークストック場Wから移送装置Tが把持、移送してきたワークWをハンガHのフック鉤部Faに係合させるようにして、そのワークWを移送装置TからハンガHに持ち替え、そのハンガHによりワークWを吊り下げて、図示しない次工程を実行するステーションまでコンベア搬送する。
【0035】
ワークWとして、図示例では車両用変速機のミッションケース半体が例示され、そのミッションケース半体Wは、一端が開放した皿状部分Waと、その皿状部分Waの他端外壁より外方に膨出する碗状部分Wbとを有する。そして、それら皿状部分Wa及び碗状部分Wbには、図示しない変速機軸等を通すための貫通孔h1,h2が形成されており、それら貫通孔h1,h2が後述するように、移載装置Tによるワーク把持孔(即ちロボットRが把持する孔)、或いはオーバヘッドコンベアOCによるワーク吊り下げ用孔(即ちフックFを掛ける孔)として利用される。
【0036】
前記移送装置Tは、複数のワークWを貯留されるワークストック場WSと、そのワークストック場WSからワークWを把持して、オーバヘッドコンベアOCに対するワーク受け渡し位置(即ちハンガHにワークWを持ち替え可能な位置)まで移送可能なロボットRと、そのロボットRによりワークWをワーク受け渡し位置まで移送する途中で、ワークWを反転させる反転装置Aと、ワークストック場WSで使用されて用済みとなったワーク段積み用の仕切り板10の置場11とを少なくとも含む。
【0037】
ワークストック場WSでは、図1,2に示すように、設置面B上に設置された支持台8の上に、複数のワークWを載置する支持テーブル9が載置、支持されており、その支持テーブル9上には、複数のワークWが仕切り板10を挟んで上下に段積みした状態で貯留される。1つの仕切り板10上において、ワークとしての前記ミッションケース半体Wは、これの前記皿状部分Waを下側とした第1姿勢W1と、同じく上側とした第2姿勢W2とが交互に並ぶように配列されており、これにより、同じ姿勢のもの同士を仕切り板10上に並列させる場合よりも効率よく配列可能となっている。
【0038】
前記ロボットとしては、複数の関節部を有して三次元的に複雑な様々な動きをとり得るロボットハンドRhを備えた従来周知の産業用ロボットRが使用されており、そのロボットRの構成を図4〜6を併せて参照して次に説明する。
【0039】
ロボットRの基部は、オーバヘッドコンベアOCとワークストック場Wとの間の設置面B上に支持台17を介して設置、固定される。そのロボットハンドRhの先部には、3本のワーク把持用爪14を有してワークWを把持し得るワーク把持部12と、そのワーク把持部12の両側で仕切り板10を吸着し得る仕切り板吸着部13とが設けられる。
【0040】
前記ワーク把持部12は、3本のワーク把持用爪14を相互に離間拡開させる爪駆動機構(図示せず)をロボットハンドRhの先部に有する。そして、それら3本のワーク把持用爪14を、ワークWの前記貫通孔h1,h2に挿入した状態で爪駆動機構により拡開作動させることで、それらワーク把持用爪14を以てワークWをロボットハンドRhの先部に把持させることができる。
【0041】
更にワーク把持部12は、ワーク把持用爪14の周辺でワークWの外面に係合してワーク把持用爪14の貫通孔h1,h2に対する相対回転を阻止する回り止め手段16を備える。この回り止め手段16は、図示例ではロボットハンドRhの先部より延出する支持アーム16aと、そのアーム16aの先端に支持されるシリンダ16bと、そのシリンダ16bのピストンロッド先端に支持されてワークWの内面又は外面に圧着係合し得る係合パッド16cとで構成される。その回り止め手段16は、ワークWの貫通孔h1,h2とワーク把持用爪14との相対回転を阻止しつつ、ワーク貫通孔h1,h2に挿入した上記3個のワーク把持用爪14でワークWを強固に把持可能となる。
【0042】
更にロボットハンドRhの先部には、ロボットハンドRhの先方の画像を撮像するイメージセンサ等の光学センサSErが付設される。この光学センサSErで得られた画像データは、例えば把持すべきワークWの各部の情報(例えば貫通孔h1,h2の位置情報、ワークWの姿勢W1,W2等の情報等)や、ワーク把持用爪14でワークWが把持されたか否かの確認、フックFの位置確認等に利用されて、ロボットRによるワークWの把持操作や把持解除操作、更にはフックFへの係合操作をそれぞれ的確に行い得るようになっている。
【0043】
前記仕切り板吸着部13は、ロボットハンドRhの先部に取付けられて仕切り板10に対しシリンダ等で進退駆動可能な複数の可動アーム13aと、そのアーム13aの先端に支持されてワーク把持部12の両側で仕切り板10を吸着し得る複数の吸盤13bとを備えており、この吸盤13bには、その吸盤13b内を随時に大気に開放して吸盤13bの吸着作用を無効化する機構(図示せず)が接続される。従って、可動アーム13aを所定の格納位置(図5実線位置)から張出位置(図5鎖線位置、図6(B)位置)まで移動させた状態で、吸盤13を使用済みの仕切り板10の上面に圧接させることでロボットハンドRhで仕切り板10を吸着可能であり、またそのロボットハンドRhで仕切り板10を仕切り板置場11の真上まで移送させた後、同置場11に落下させることができる。これにより、ワーク移送用のロボットRを利用して、ワークストック場WSから使用済みの仕切り板10を仕切り板置場11まで自動的に排出可能である。
【0044】
前記反転装置Aは、ロボットRによりワークWをワークストック場Wから所定のワーク受け渡し位置まで移送する途中でワークWを反転させるためのものであって、図7,8に明示されるように、ワークストック場WとオーバヘッドコンベアOC間で設置面B上に設置される支持台20と、その支持台20に軸支されて水平軸21j回りに180度回転可能な回転台21と、その回転台21を回転駆動し得るモータ22と、回転台21に固定支持されて水平軸21jを挟んで並列しワークWを各々載置可能な一対の第1,第2ワーク載置テーブル24,25と、それらワーク載置テーブル24,25にそれぞれ設けられて各ワーク載置テーブル24,25上にワークWをクランプし得るクランプ機構26とを備える。そして、第1,第2ワーク載置テーブル24,25のワーク載置面は、上下反対向きに(即ちその一方の載置面が上向きに、他方の載置面が下向きに)配設される。
【0045】
そして、第1,第2ワーク載置テーブル24,25には、ロボットハンドRhの先部が通過可能な切欠き部24k,25kがそれぞれ形成される。また第1,第2ワーク載置テーブル24,25の各クランプ機構26は、それらワーク載置テーブル24,25のワーク載置面に各々載置されたワークWの周囲3箇所でワークW外面に各々圧着し得る3個のホルダバー26bと、その各ホルダバー26bをワーク係合位置とワーク解放位置との間で駆動し得る駆動機構26aとを有する。
【0046】
而してロボットRは、ワークストック場Wで前記第1姿勢W1にあるワークWを貫通孔h2を利用して把持した場合(図2参照)には、そのワークWを反転装置Aを経由せずにオーバヘッドコンベアOCのワーク受け渡し位置まで直接移送して、ワークWの貫通孔h1にハンガHのフックFを係合させる。
【0047】
一方、ワークストック場Wで前記第2姿勢W2にあるワークWを貫通孔h1を利用して把持した場合(図6(A)参照)には、ロボットRは、把持したワークWを反転装置Aの一方の(即ち空いている)ワーク載置テーブル24又は25まで移送して、そのテーブルの下向きのワーク載置面に下方から接近させてクランプさせる。次いで、その隣りのワーク載置テーブル25又は24の上向きのワーク載置面に第1姿勢W1のワークWがクランプ中である場合には、そこからワークWを把持し、またクランプ中でない場合には、ワークストック場Wから第1姿勢W1のワークWを把持してから、オーバヘッドコンベアOCのワーク受け渡し位置まで移送して、そのワークWの貫通孔h1にハンガHのフックFを係合させる。そして、その移送中に回転台21を180度回転させて、前記一方のワーク載置テーブル24又は25にクランプしたワークWの姿勢を180度反転させる。
【0048】
このような動作を繰り返すことで、ロボットRは、ワークストック場Wで前記第1姿勢W1にあるワークWを把持した場合には、それを反転装置Aを経由せずにオーバヘッドコンベアOCのワーク受け渡し位置まで移送する一方、ワークストック場Wで前記第2姿勢W2にあるワークWを把持した場合には、これを反転装置Aで反転させた上で、前記ワーク受け渡し位置まで移送する。
【0049】
ところでオーバヘッドコンベアOCのワーク受け渡し位置では、ハンガH(従ってコンベヤチェーンCH)の移動を一時停止させた状態で、ロボットRが把持してきたワークWをコンベアハンガHに持ち替えさせる必要があり、その場合にハンガHの停止位置にばらつきがあると持ち替えを的確には行い得なくなる虞れがある。しかるにオーバヘッドコンベアOCにおいては、その可動部分(コンベヤチェーンCH等)の慣性、組立て誤差等に起因してハンガHの停止位置にバラツキが元々、生じ易いものであり、また、たとえハンガの停止位置を正確に制御できた場合でも、ハンガHは、そのハンガ本体HmがコンベヤチェーンCHとの間で平行リンク機構を構成していて前後揺動可能である上、そのハンガ本体Hmの下部(水平リンク3)にフックFが前後揺動可能に軸支されるため、フックFがコンベヤチェーンCHに対し前後に簡単に動いてしまうため、ロボットRが把持するワークWをフックFに係合させるようにしたワーク持ち替え作業を的確には行い得なくなるといった技術的課題が存在する。
【0050】
そこで本発明では、前記ワーク持ち替えのためにハンガH(コンベヤチェーンCH)の移動を一時停止させた状態で、ハンガHのフックFがワークWと適切に係合可能な所定待機位置FA(図12参照)に位置決めされるようフックFを支持し得るフック支持部材Sが特別に設けられる。
【0051】
次に図3,9〜12を特に参照してフック支持部材Sの具体例を説明する。即ちこのフック支持部材Sは、これがフックFの搬送軌跡に張り出してフックFに前記所定待機位置FAで当接するフック支持位置S1と、同搬送軌跡外に退出する退出位置S2との間を往復揺動可能として、設置面B上に設置した取付台30に鉛直軸29回りに軸支される。
【0052】
フック支持部材Sは、図示例では上下一対の水平枠31,32とその両水平枠31,32の基端間を一体に結合する鉛直枠33とを有してコ字状の枠体より構成される支持部材本体Smと、この支持部材本体Smの、フックFに掛けたワークWとの対向面(図示例では下部水平枠32及び鉛直枠33のワークWとの対向面)にボルト等の固着手段で着脱可能に被着される帯板状のカバー部材Scとを備える。このようなフック支持部材Sの構造によれば、そのカバー部材ScがワークWと接触して変形、摩耗しても、そのカバー部材Scだけを新品と交換すれば足り、支持部材本体Smは引き続き使用可能であることから、コスト節減に寄与することができる。
【0053】
またカバー部材Scの材質は、ワークWの材質やワーク搬送先の工程に応じて設定される。従って、ワークWの材質やワーク搬送先の工程態様に応じたカバー部材の最適の材料選択が可能となり、コスト節減が図られる。
【0054】
さらにフック支持部材Sの基部の上下両端部には、前記鉛直軸29に嵌合支持される上下一対のヒンジアーム34,35が、またそのフック支持部材Sの基部の上下中間部(上端寄り部分)には、ストッパアーム36がそれぞれ一体に連設される。
【0055】
そして、取付台30とフック支持部材Sとの間には、フック支持部材Sが前記搬送軌跡側へ張出す方向への揺動を前記フック支持位置S1で規制する第1ストッパ手段37と、フック支持部材Sが前記搬送軌跡から後退する側への揺動を前記退出位置S2で規制する第2ストッパ手段38とが設けられる。その第1ストッパ手段37は、前記ストッパアーム36と、これに対応して取付台30に固設した第1ストッパ部材39とで構成され、また第2ストッパ手段38は、前記ストッパアーム36と、これに対応して取付台30に固設した第2ストッパ部材40とで構成される。尚、第1,第2ストッパ部材39,40のストッパアーム36との当たり面には必要に応じて緩衝ゴム等の衝撃吸収手段が設けられる。
【0056】
またフック支持部材Sの、フック搬送軌跡に臨む上部の後面には、フック支持部材Sが前記フック支持位置S1にあるときに、フック支持部材Sに接近するフックFを前記所定待機位置FAに向けて案内するフック進入ガイド43が設けられる。そのフック進入ガイド43は、フック支持部材Sの前記後面に着脱可能にビス止めされた一対のガイド片43a,43bより構成され、そのガイド片43a,43bが互いに協働してフックFの進入可能な案内溝44を構成し、そのガイド片43a,43bの先部には、フックFを案内溝44に誘導する誘導斜面がそれぞれ形成される。このようなフック進入ガイド43の特設によれば、フック支持部材Sを所定待機位置FAに的確に案内できるため、フック支持部材Sの所定待機位置FAへの位置決めをより的確に行うことができる。
【0057】
またフック支持部材Sと取付台30との間には、伸縮作動によりフック支持部材Sを前記フック支持位置S1と前記退出位置S2との間で強制的に移動させるエアシリンダACが設けられる。これにより、移送装置Tで移送されてきたワークWをフックFに係合させる際にワークWがフック支持部材Sに勢いよく接触しても、その衝撃をエアシリンダACで効果的に吸収緩和することができる。
【0058】
また取付台30には、エアシリンダACのピストンロッド部分を検知してフック支持部材Sが前記フック支持位置S1および前記退出位置S2にそれぞれ達したことを検知し得る光電管、イメージセンサ等の光学センサSEsが設けられる。
【0059】
また取付台30には、移送装置T(ロボットR)からハンガHへ持ち替えられたワークWがオーバヘッドコンベアOCによりワーク受け渡し位置から搬出された後において、次のフックFのワーク受け渡し位置への接近を早めに検知するための第1光学センサSE1と、張出位置S1に移動保持したフック支持部材Sの直前位置に前記次のフックFが到達したことを検知するための第2光学センサSE2と、前記次のフックFが張出位置S1のフック支持部材Sに当接して所定待機位置FAで静止している状態を検知するための第3光学センサSE3と、ハンガHに持ち替えられたワークWがオーバヘッドコンベアOCによりワーク受け渡し位置から搬出されて退出位置S2のフック支持部材Sの脇を通過したことを確認検知するための第4光学センサSE4とが、適宜の支持手段(図示せず)により支持される。尚、これら光学センサSE1〜4も光電管、イメージセンサ等から適宜、選定使用される。
【0060】
而して、前記制御盤Cは、移送装置T(ロボットR)からハンガHへ持ち替えたワークWがオーバヘッドコンベアOCによりワーク受け渡し位置から搬出されたことが第4光学センサSEで検知された後において、次のフックFのワーク受け渡し位置への接近が第1光学センサSE1により検知されるのに応じて(即ち検知と同時又は所定時間経過後に)、退出位置S2に待機するフック支持部材Sを張出位置S1まで移動させるべくエアシリンダACを作動させる。次いで、張出位置S1にあるフック支持部材Sの直前位置に前記次のフックFが到達したことが第2光学センサSE2により検知されるのに応じて(即ち検知と同時又は所定時間経過後に)、コンベアチェーンCH、従ってハンガHの移動を停止させるようにする。
【0061】
次いで、前記フックFが張出位置S1のフック支持部材Sに当接して所定待機位置FAで静止している状態が第3光学センサSE3により検知されるのに応じて、ロボットRに持ち替え指令信号を出力し、これにより、ロボットRは、把持中のワークWをフックFに係合させるようにしてハンガHに持ち替える。
【0062】
その持ち替え終了後は、ロボットRはワーク受け渡し位置より離れ、その持ち替え終了が光学センサSEr等で確認されるのに応じて、フック支持部材Sを退出位置S2まで移動させるべくエアシリンダACを作動させる。フック支持部材Sの退出位置S2への移動が光学センサSEsで検知されると、ハンガH(コンベアチェーンCH)の移動を再開させて、ハンガHに持ち替えたワークWがワーク受け渡し位置から搬出され、その搬出が第4光学センサSE4で検知される。
【0063】
そして、このような動作サイクルが繰り返されて、ロボットRからハンガHへのワーク持ち替え作業が順次、自動的に行われる。
【0064】
次に本実施形態の作用を説明する。本実施形態の移載装置T、即ちロボットRは、ワークストック場Wに貯留される多数のワークWの中から1個のワークWを把持して、オーバヘッドコンベアOCのワーク受け渡し位置まで移送し、それをコンベヤのハンガHのフックFに係合させることでハンガHへの持ち替えを行う。その場合、ロボットRは、前述のようにワークストック場Wで反転不要の第1姿勢W1にあるワークWを把持した場合には、それを反転装置Aを経由せずにオーバヘッドコンベアOCのワーク受け渡し位置まで直接移送し、また、ワークストック場Wで第2姿勢W2にあるワークWを把持した場合には、これを反転装置Aで反転させた上でワーク受け渡し位置まで移送する。
【0065】
一方、オーバヘッドコンベアOCでは、そのコンベヤチェーンCHに間隔をおいて吊持される複数のハンガHが次々とワーク受け渡し位置まで移動してくるので、その1つのハンガHがロボットRからのワーク持ち替えに最適の位置に到達するのを見計らってコンベヤチェーンCH、従ってハンガHの走行を停止させ、その位置でロボットRからハンガHへのワーク持ち替え作業を行う。
【0066】
即ち、制御盤Cは、次のフックFのワーク受け渡し位置への接近が第1光学センサSE1により検知されるのに応じて退出位置S2のフック支持部材Sを張出位置S1まで移動させ、次いでその張出位置S1のフック支持部材Sの直前位置に前記フックFが到達したことが第2光学センサSE2により検知されるのに応じてコンベヤチェーンCHの移動を停止させるが、そのときのフックFの停止位置は、張出位置S1のフック支持部材SがフックFに当接することで、慣性等に影響されずにフックFを前記持ち替えに適正な所定待機位置FAに位置決め可能である。そして、このフックFの位置決め状態を第3光学センサSE3が検知するのに応じて、ロボットRに持ち替え指令信号を出力するので、ロボットRは、把持中のワークWをフックFに係合させるようにしてハンガHに持ち替える。尚、ワークWを把持したロボットRがワーク受け渡し位置に到達する前に、前述のようなフック支持部材SによるフックFの所定待機位置FAへの位置決めが完了していない場合には、その位置決めが完了するまでの間、ロボットRは、ワークWを把持したままワーク受け渡し位置の周辺で待機しておき、位置決めが完了するのに応じて前記持ち替え作業が実行される。
【0067】
ところでワークWをフックFに係合させるに当たっては、ロボットRは、図12に示すように把持したワークWを、その皿状部分Waの開口端をフック支持部材S(カバー部材Sc)に後方から当てがうよう水平移動(図12の矢印X参照)させて、ワークWの貫通孔h1内にフック鉤部Faを進入させ、次いでワークWを所定量下降(図12の矢印Y参照)させることで、フック鉤部FaにワークWの貫通孔h1の上縁を係止させるようにして、フック鉤部FaにワークWを吊り下げる。しかる後、ロボットハンドRhの先部のワーク把持爪14のクランプ作動を解除して、ロボットハンドRhをワークWから解放、後退させ、これによりワーク持ち替え作業が終了する。
【0068】
そして、制御盤Cは、上記ワーク持ち替え作業の終了が光学センサSEr等で確認されるのに応じてフック支持部材Sを退出位置S2まで移動させ、その移動が光学センサSEsで検知されると、ハンガH(コンベアチェーンCH)の移動を再開させて、ハンガHに持ち替え後のワークWをワーク受け渡し位置から搬出させる。そして、その搬出が第4光学センサSE4で検知されると、フック支持部材Sは、張出位置S1の移動準備のための待機状態となる。その後、次のフックFのワーク受け渡し位置への接近が第1光学センサSE1により検知されるのに応じて退出位置S2のフック支持部材Sを張出位置S1まで移動させ、次いでその張出位置S1のフック支持部材Sの直前位置に前記フックFが到達したことが第2光学センサSE2により検知されるのに応じてコンベヤチェーンCHの移動を停止させ、以後、上記と同様の動作サイクルが実行されてロボットRからハンガHへの持ち替え作業が自動的に行われる。
【0069】
而して、上記した本実施形態においては、移送装置T(ロボットR)からハンガHへのワーク持ち替えのためにハンガH(コンベヤチェーンCH)の移動を一時停止させた状態で、ハンガHのフックFがワークWと係合可能な所定待機位置FAに位置決めされるようフックFを支持し得るフック支持部材Sが特設される。そして、このフック支持部材Sは、これがフックF及びワークWの搬送軌跡に張り出してフックFに所定待機位置FAで当接するフック支持位置S1と、搬送軌跡外に退出する退出位置S2との間を往復動可能であるので、ワーク持ち替えのためにオーバヘッドコンベアOCの運転を一時停止させた状態では、フック支持位置S1のフック支持部材SによってフックFを、コンベアの慣性、組み立て誤差等の影響を受けずに所定待機位置FAに的確に位置決め可能となる。
【0070】
これにより、ロボットRが把持するワークWをフックFに係合させてハンガHに持ち替える作業を常に的確に実行可能となり、しかもこの一連の作業を自動化できて作業効率向上が達成可能となる。また、上記したワークの持ち替え作業後は、フック支持部材Sを退出位置S2に一時的に退避させることで、そのフック支持部材SがハンガH及びワークWの搬送の障害となる虞れはなく、次のハンガHへのワーク持ち替え作業に支障なく移行することができる。
【0071】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明はその実施の形態に限定されることなく、本発明の範囲内で種々の実施の形態が可能である。
【0072】
たとえば、前記実施形態では、オーバヘッドコンベアOHとして、レールG内を走行体としてのコンベヤチェーンCHが収納されて走行するものを示したが、本発明のオーバヘッドコンベアは、本実施形態の構造に限定されず、種々のタイプのオーバヘッドコンベア、例えば、レール上を走行する走行台車にハンガを支持させるようなものも実施可能である。
【0073】
また前記実施形態では、ハンガHのフックFを、走行体としてのコンベヤチェーンCHに前後揺動可能なハンガ本体Hm(平行リンク機構)に前後揺動可能に吊持したものを示したが、本発明では、ハンガのフックを、走行体としてのコンベヤチェーンに直接、前後揺動可能に吊持してもよい。
【0074】
また前記実施形態では、ワークWとして車両用変速機のミッションケース半体が例示されたが、本発明のワークは、実施形態に限定されず、ロボットRに把持可能で、且つロボットRからハンガフックFへの持ち替えが可能な種々のワークに実施可能である。
【符号の説明】
【0075】
AC・・・エアシリンダ
CH・・・走行体としてのコンベヤチェーン
F・・・・フック
FA・・・所定待機位置
G・・・・レール
H・・・・ハンガ
Hm・・・ハンガ本体
h1,h2・・貫通孔
OC・・・オーバヘッドコンベア
R・・・・産業用ロボット
Rh・・・ロボットハンド
S・・・・フック支持部材
Sm・・・支持部材本体
Sc・・・カバー部材
S1・・・フック支持位置
S2・・・退出位置
T・・・・移送装置
W・・・・ワークとしてのトランスミッションケース半体
WS・・・ワークストック場
10・・・仕切り板
11・・・仕切り板置場 14・・・ワーク把持用爪
16・・・回り止め手段
30・・・取付台
43・・・フック進入ガイド
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12