特許第5835808号(P5835808)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5835808
(24)【登録日】2015年11月13日
(45)【発行日】2015年12月24日
(54)【発明の名称】オイルポンプの支持構造
(51)【国際特許分類】
   F16H 57/04 20100101AFI20151203BHJP
   F16H 57/023 20120101ALI20151203BHJP
   F16J 15/06 20060101ALI20151203BHJP
   F16N 13/20 20060101ALI20151203BHJP
   F16N 13/22 20060101ALI20151203BHJP
   F04C 2/10 20060101ALI20151203BHJP
   F04C 15/00 20060101ALI20151203BHJP
【FI】
   F16H57/04 J
   F16H57/023
   F16J15/06 C
   F16N13/20
   F16N13/22
   F04C2/10 341E
   F04C15/00 A
【請求項の数】2
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2012-153218(P2012-153218)
(22)【出願日】2012年7月9日
(65)【公開番号】特開2014-15967(P2014-15967A)
(43)【公開日】2014年1月30日
【審査請求日】2014年11月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100071870
【弁理士】
【氏名又は名称】落合 健
(74)【代理人】
【識別番号】100097618
【弁理士】
【氏名又は名称】仁木 一明
(74)【代理人】
【識別番号】100152227
【弁理士】
【氏名又は名称】▲ぬで▼島 愼二
(72)【発明者】
【氏名】首藤 憲正
(72)【発明者】
【氏名】田口 勝也
【審査官】 稲葉 大紀
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−025213(JP,A)
【文献】 特開2009−041705(JP,A)
【文献】 実開平02−131007(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16H 57/00−57/12
F04C 2/08− 2/28
11/00−15/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ミッションケース(11)にオイルポンプ(12)のポンプハウジング(13)を固定し、前記ポンプハウジング(13)に形成した第1吐出油路(15a)と前記ミッションケース(11)あるいは該ミッションケース(11)に固定した部材(30)に形成した第2吐出油路(30b,11e)とをオイル供給部材(28)で接続したオイルポンプの支持構造であって、
前記オイル供給部材(28)の中間部を前記ポンプハウジング(13)に支持して前記第1吐出油路(15a)に連通させるとともに、前記オイル供給部材(28)の両端部を前記ミッションケース(11)あるいは該ミッションケース(11)に固定した部材(30)に形成した支持孔(30a,11d)に突き当たるように嵌合して少なくとも一端部を前記第2吐出油路(30b,11e)に連通させ、前記オイル供給部材(28)の両端部と前記支持孔(30a,11d)との間をシール部材(31,32)でシールしたことを特徴とするオイルポンプの支持構造。
【請求項2】
前記オイル供給部材(28)を1本のパイプ材で構成し、前記シール部材(31,32)をOリングで構成したことを特徴とする、請求項1に記載のオイルポンプの支持構造。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ミッションケースにオイルポンプのポンプハウジングを固定し、前記ポンプハウジングに形成した第1吐出油路と前記ミッションケースあるいは該ミッションケースに固定した部材に形成した第2吐出油路とをオイル供給部材で接続したオイルポンプの支持構造に関する。
【背景技術】
【0002】
オイルポンプのポンプハウジングを、ロータを収納するセンターハウジングの両側面に一対のエンドハウジングを重ね合わせて構成し、このポンプハウジングの一方のエンドハウジングをミッションケース(トルクコンバータのステータフランジ)にボルトで固定したものが、下記特許文献1により公知である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012−57675号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、かかるオイルポンプのポンプハウジングの吐出油路をミッションケースから遠い側の他方のエンドハウジングに形成し、エンドハウジングの吐出油路とミッションケースの吐出油路とをオイル吐出パイプで接続した場合、オイルの吐出圧によってオイル吐出パイプに作用する荷重で他方のポンプハウジングが押されることになる。このとき、ミッションケースに固定された一方のエンドハウジングと、荷重が加わる他方のエンドハウジングとの距離(モーメントアーム)が大きいため、その荷重によってオイルポンプがミッションケースに対して変位してしまい、吐出圧の脈動に伴って他方のエンドハウジングとオイル吐出パイプとが相対変位し、Oリングが摺動することで損傷する懸念がある。
【0005】
本発明は前述の事情に鑑みてなされたもので、ミッションケースに固定されたオイルポンプがオイルの吐出圧による荷重で変位するのを簡単な構造で防止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、請求項1に記載された発明によれば、ミッションケースにオイルポンプのポンプハウジングを固定し、前記ポンプハウジングに形成した第1吐出油路と前記ミッションケースあるいは該ミッションケースに固定した部材に形成した第2吐出油路とをオイル供給部材で接続したオイルポンプの支持構造であって、前記オイル供給部材の中間部を前記ポンプハウジングに支持して前記第1吐出油路に連通させるとともに、前記オイル供給部材の両端部を前記ミッションケースあるいは該ミッションケースに固定した部材に形成した支持孔に突き当たるように嵌合して少なくとも一端部を前記第2吐出油路に連通させ、前記オイル供給部材の両端部と前記支持孔との間をシール部材でシールしたことを特徴とするオイルポンプの支持構造が提案される。
【0007】
また請求項2に記載された発明によれば、請求項1の構成に加えて、前記オイル供給部材を1本のパイプ材で構成し、前記シール部材をOリングで構成したことを特徴とするオイルポンプの支持構造が提案される。
【0008】
尚、実施の形態のオイル吐出パイプ28は本発明のオイル供給部材に対応し、実施の形態のバルブボディ30は本発明のミッションケースに固定した部材に対応し、実施の形態のOリング31,32は本発明のシール部材に対応する。
【発明の効果】
【0009】
請求項1の構成によれば、ミッションケースに固定したオイルポンプのポンプハウジングに形成した第1吐出油路が、ミッションケースあるいは該ミッションケースに固定した部材に形成した第2吐出油路にオイル供給部材を介して接続される。オイルポンプがオイルを吐出するとポンプハウジングが吐出圧による荷重を受けてミッションケースに対して変位し、ミッションケースあるいは該ミッションケースに固定した部材に対してシール部材が摺動して損傷する可能性がある。しかしながら、オイル供給部材の中間部をポンプハウジングに支持して第1吐出油路に連通させるとともに、オイル供給部材の両端部をミッションケースあるいは該ミッションケースに固定した部材に形成した支持孔に突き当たるように嵌合して少なくとも一端部を第2吐出油路に連通させたので、吐出圧により受ける荷重をミッションケースあるいは該ミッションケースに固定した部材で受けることができ、ミッションケースに対するオイルポンプの変位を抑制してシール部材の損傷を防止することができる。
【0010】
また請求項2の構成によれば、オイル供給部材を1本のパイプ材で構成し、シール部材をOリングで構成したので、その構造を簡素化してコストダウンに寄与することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】自動車用トランスミッションの部分縦断面図(図2の1−1線断面図)。(第1の実施の形態)
図2図1の2−2線断面図。(第1の実施の形態)
図3図1に対応する図。(第2の実施の形態)
【発明を実施するための形態】
【第1の実施の形態】
【0012】
以下、図1および図2に基づいて本発明の第1実施の形態を説明する。
【0013】
自動車のトランスミッションのミッションケース11は略鉛直方向に延びる側壁部11aと、側壁部11aの下端から略水平方向に延びる底壁部11bとを備えており、側壁部11aの下部にトランスミッションの各部に作動油や潤滑油を供給するためのオイルポンプ12が設けられる。
【0014】
トロコイドポンプよりなるオイルポンプ12のポンプハウジング13は、センターハウジング14と、センターハウジング14の一方の側面に重ね合わされる第1エンドハウジング15と、センターハウジング14の他方の側面に重ね合わされる第2エンドハウジング16とで構成されており、センターハウジング14、第1エンドハウジング15および第2エンドハウジング16は、第1エンドハウジング15およびセンターハウジング14を貫通して第2エンドハウジング16に螺合する6本のボルト17…で一体に締結される。第2エンドハウジング16の外周部には3個の取付フランジ16aが張り出しており、これら3個の取付フランジ16aを貫通する3本のボルト18…がミッションケース11の側壁部11aに螺合することで、オイルポンプ12がミッションケース11に締結される。
【0015】
センターハウジング14の内部には円形のアウターロータ支持孔14aが形成されており、アウターロータ支持孔14aの内部にアウターロータ19が回転自在に嵌合するとともに、アウターロータ19の内部にインナーロータ20が回転自在に嵌合する。アウターロータ19およびインナーロータ20は相互に偏心した状態で噛み合っており、両者の間に容積が増減する複数の作動室21…が形成される。
【0016】
軸方向中央部がインナーロータ20にスプライン結合されたポンプシャフト22は、その一端部が第1エンドハウジング15に回転自在に支持され、その他端部が第2エンドハウジング16を貫通してミッションケース11の側壁部11aに設けたボールベアリング23に回転自在に支持される。ポンプシャフト22の他端側には従動スプロケット24がスプライン結合されており、この従動スプロケット24は図示せぬトルクコンバータの出力軸設けた駆動スプロケットに無端チェーン25を介して接続されて回転駆動される。
【0017】
第1エンドハウジング15および第2エンドハウジング16のセンターハウジング14側の面には、相互に対向する一対の円弧状の吸入ポート26と、相互に対向する一対の円弧状の吐出ポート27とが、約180°の位相差を持って形成される。インナーロータ20が図2矢印A方向に回転したとき、吸入ポート26は容積が拡大する作動室21…に連通し、吐出ポート27は容積が縮小する作動室21…に連通する。第2エンドハウジング16の吸入ポート26から下向きに延びる吸入油路16bが、第2エンドハウジング16の下面に開口する。また第1エンドハウジング15の吐出ポート27から軸方向に延びる第1吐出油路15aが、第1エンドハウジング15の側面に開口する。
【0018】
ポンプハウジング13の第1エンドハウジング15には筒状のブラケット15bが突設されており、このブラケット15bに円形断面のオイル吐出パイプ28の中間部が一対のOリング29,29を介して圧入される。オイル吐出パイプ28における一対のOリング29,29に挟まれた位置に、第1エンドハウジング15の第1吐出油路15aを介して吐出ポート27に連通する開口部28aが形成される。
【0019】
ミッションケース11の底部には、トランスミッションの油圧クラッチや油圧アクチュエータを制御する複数のバルブ等を収納するバルブボディ30が固定されており、その上面に形成した支持孔30aにオイル吐出パイプ28の下端の開口部28bがOリング31を介して嵌合する。支持孔30aはバルブボディ30の内部に形成された第2吐出油路30bに連通する。またミッションケース11の内壁部11cの下面に行き止まりの支持孔11dが形成されており、この支持孔11dにオイル吐出パイプ28の上端の開口部28cが突き当たるように嵌合してOリング32でシールされる。
【0020】
次に、上記構成を備えた本発明の第1の実施の形態の作用を説明する。
【0021】
トランスミッションに設けられたトルクコンバータの出力軸に無端チェーン25および従動スプロケット24を介して接続されたオイルポンプ12のポンプシャフト22が回転すると、ポンプシャフト22に固定されたインナーロータ20と、インナーロータ20に噛合するアウターロータ19とが回転し、両者の間に区画された複数の作動室21…の容積が増減する。その結果、容積が拡大する作動室21…にミッションケース11の底部に貯留したオイルが吸入油路16bおよび吸入ポート26を介して吸入され、そのオイルは容積が縮小する作動室21…から吐出ポート27を介して第1吐出油路15aに吐出される。第1吐出油路15aに吐出されたオイルは開口部28aからオイル吐出パイプ28の内部に供給され、そこから吐出パイプ28の下端の開口部28bおよび第2吐出油路30bを介してバルブボディ30の内部に供給される。
【0022】
オイルポンプ12の吐出圧は高圧であるため、吐出圧により発生する力Fが第1エンドハウジング15に作用することでオイルポンプ12はミッションケースの側壁部11aへの固定部を支点として上向きに変位し、オイル吐出パイプ28の上下端のOリング31,32が摺動して損傷する虞がある。オイルポンプ12の吐出圧は脈動しているため、吐出圧により発生する力Fが変動してオイルポンプ12の変位は大きくなり、上記傾向は一層顕著なものとなる。
【0023】
本実施の形態によれば、オイル吐出パイプ28の上端をミッションケース11の内壁部11cの支持孔11dに嵌合させて突き当てたので、吐出圧により発生する力Fを内壁部11cで受けることになり、オイルポンプ12は変位しない。その結果、オイル吐出パイプ28の上下端をシールするOリング31,32が摺動することが防止されて耐久性が向上する。
【0024】
またオイル吐出パイプ28を上方に延長してミッションケース11の内壁部11cの支持孔11dに突き当てるだけの簡単な構造であり、しかも一般的なパイプ材とOリングだけで構成可能であるため、コストアップを最小限に抑えることができる。
【第2の実施の形態】
【0025】
次に、図3に基づいて本発明の第2の実施の形態を説明する。
【0026】
第1の実施の形態ではオイル吐出パイプ28の上端がミッションケース11の内壁部11cにおいて塞き止められているが、第2の実施の形態ではオイル吐出パイプ28の上端が内壁部11cの内部に形成した第2吐出油路11eを介して図示せぬ油圧機器に連通している。従って、この実施の形態でも、油圧により発生する力Fを内壁部11cで受けることになるので、第1の実施の形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0027】
この第2の実施の形態は、オイルポンプ12が二つの方向にオイルを分岐して供給する場合に好適である。
【0028】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、本発明はその要旨を逸脱しない範囲で種々の設計変更を行うことが可能である。
【0029】
例えば、本発明のオイルポンプは実施の形態のトロコイドポンプに限定されず、ベーンポンプ、内接ギヤポンプ、外接ギヤポンプ等の任意のポンプであっても良い。
【0030】
また本発明のオイル供給部材は厳密に直線状の部材である必要はなく、オイル入口を挟んで両側に一対のオイル出口があれば良い。
【0031】
また本発明のオイル供給部材はオイルを供給可能な部材であれば良く、必ずしもパイプ材である必要はない。
【0032】
また本発明のミッションケースに固定した部材は、実施の形態のバルブボディ30に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0033】
11 ミッションケース
11e 第2吐出油路
11d 支持孔
12 オイルポンプ
13 ポンプハウジング
15a 第1吐出油路
28 オイル吐出パイプ(オイル供給部材
30 バルブボディ(ミッションケースに固定した部材)
30a 支持孔
30b 第2吐出油路
31 Oリング(シール部材)
32 Oリング(シール部材)
図1
図2
図3