(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5835863
(24)【登録日】2015年11月13日
(45)【発行日】2015年12月24日
(54)【発明の名称】スクリューアンカおよびスクリューアンカの製作方法
(51)【国際特許分類】
E04G 21/12 20060101AFI20151203BHJP
F16L 21/08 20060101ALI20151203BHJP
【FI】
E04G21/12 105Z
F16L21/08 E
【請求項の数】12
【外国語出願】
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2012-3122(P2012-3122)
(22)【出願日】2012年1月11日
(65)【公開番号】特開2012-149508(P2012-149508A)
(43)【公開日】2012年8月9日
【審査請求日】2015年1月5日
(31)【優先権主張番号】10 2011 002 637.1
(32)【優先日】2011年1月13日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】591010170
【氏名又は名称】ヒルティ アクチエンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】100123342
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 承平
(72)【発明者】
【氏名】マルセル レスナー
【審査官】
津熊 哲朗
(56)【参考文献】
【文献】
特公昭48−014969(JP,B1)
【文献】
特開2005−315425(JP,A)
【文献】
特開2003−139119(JP,A)
【文献】
特公昭39−003452(JP,B1)
【文献】
米国特許第04669141(US,A)
【文献】
特開2007−071017(JP,A)
【文献】
特開2000−065029(JP,A)
【文献】
特開2010−007858(JP,A)
【文献】
特開2007−071386(JP,A)
【文献】
特開平10−246216(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04G 21/12
F16L 21/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
おねじ(20)が外側面(18)に設けられ、第1の端面(14)から始まる、円筒長手方向の軸(L)方向に配置された留め付け手段のための受口(22)を有する、基本的に円筒状の本体(12)をもつ、コンクリートに挿入するためのスクリューアンカ(10)であって、
当該受口は、当該第1の端面(14)から始まる留め付け手段のための荷重支持構造(26)を備えたものにおいて、
当該受口(22)に基本的に当該円筒長手方向の軸(L)方向に延びる治具受け(28)が設けられ、
当該治具受け(28)は当該受口(22)内に、当該第1の端面(14)から当該円筒長手方向(L)へ、当該荷重支持構造(26)よりさらに延びている、
ことを特徴とするスクリューアンカ。
【請求項2】
治具受け(28)は、前記受口(22)の軸方向長さ全体に延びる、ことを特徴とする請求項1に記載のスクリューアンカ。
【請求項3】
前記受口(22)は、前記第1の端面(14)から始まり、前記第1の端面(14)に対向する第2の端面(16)まで、本体(12)全体を通って延びる、ことを特徴とする請求項1または2に記載のスクリューアンカ。
【請求項4】
前記治具受け(28)は、基本的に前記円筒長手方向(L)に亘る、少なくとも1つの溝(30)により構成される、ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のスクリューアンカ。
【請求項5】
基本的に平行ないくつかの前記溝(30)が設けられる、ことを特徴とする請求項4に記載のスクリューアンカ。
【請求項6】
前記溝(30)は、複数の角をもつ断面を形成する、ことを特徴とする請求項5に記載のスクリューアンカ。
【請求項7】
前記溝(30)は、半径方向において、前記荷重支持構造(26)より深い、ことを特徴とする前記請求項4乃至6のいずれか1項に記載のスクリューアンカ。
【請求項8】
前記荷重支持構造(26)はめねじである、ことを特徴とする前記請求項1乃至7のいずれか1項に記載のスクリューアンカ。
【請求項9】
前記受口(22)は、円周方向(U)において、完全に閉じている、ことを特徴とする前記請求項1乃至7のいずれか1項に記載のスクリューアンカ。
【請求項10】
前記本体(12)は管状形状を持つ、ことを特徴とする前記請求項1乃至7のいずれか1項に記載のスクリューアンカ。
【請求項11】
スクリューアンカ(10)の本体(12)の円筒長手方向の軸(L)方向に受口(22)を設けるステップと、
治具受け(28)を当該受口(22)に形成するステップと、
続いて荷重支持構造(26)を当該受口(22)に所定の長さ形成するステップ、
の各ステップからなる、前記請求項1乃至10のいずれか1項のスクリューアンカを製作する方法。
【請求項12】
受口(22)と治具受け(28)とが長手方向の軸(L)方向に連続的に備えられた管を用意し、当該管をいくつかの長さに切断し、続けて切断した当該管の受口(22)に荷重支持構造(26)を所定の長さ形成して、スクリューアンカ(10)の本体(12)を構成する、前記請求項1乃至10のいずれか1項のスクリューアンカを製作する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はコンクリートへ挿入する、基本的に円筒状の本体を持つ、スクリューアンカに関する。このスクリューアンカは、外側表面におねじが切られ、円筒長手方向の軸方向に配置され、軸方向端面から延びる、留め付け手段のための受口を備える。この受口は、軸方向端面から延びる、留め付け手段のための荷重支持構造をもつ。
【0002】
本発明は、このようなスクリューアンカを製作する方法にも関する。
【背景技術】
【0003】
コンクリート基材に部材を固定するために、コンクリート基材にねじ込まれるスクリューアンカが頻繁に用いられる。いわゆる盲栓または衝撃膨張アンカーに対するこのスクリューアンカの利点は、この種類のスクリューアンカは、追加の膨張部材なしでもコンクリートに確実に据え付けられ、そして部材の可逆的な留め付けが可能な点である。
【0004】
スクリューアンカは外側にねじ山を持つ。それによって、スクリューアンカは、用意されたコンクリートの基材の穿孔にねじ込まれ、そして軸方向の受口に部材を留め付けるための留め付け具が固定される。受口は、このために適切な荷重支持構造、例えば、ねじのためのねじ山をもつ。
【0005】
コンクリートの基材にスクリューアンカをねじ込むために、治具受けが必要とされ、治具がそこにスクリューアンカを回転させるために係合する。この治具受けは、コンクリートの基材に完全にスクリューアンカをねじ込み、終端をコンクリートの表面と面一にするため、多くは受口にまたはその中に設けられている。しかしながら、この不利な点は、受口の荷重支持構造が、コンクリートの基材にねじ込まれるとき、必要とされる大きなねじ込み力がかかる治具によって、損傷を受けかねず、その結果、荷重支持構造が使用できなくなり、スクリューアンカが取り付けられたあと、改めて荷重支持構造の加工が必要となる可能性がある、ことである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、簡単にそして確実にコンクリートの基材にねじ込むことができ、その過程で、荷重支持構造への損傷を防止できるスクリューアンカを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によれば、おねじが外側面に設けられ、軸方向の端面から始まる円筒長手方向の軸方向に配置された留め付け手段のための受口を有する、基本的に円筒状の本体をもつ、コンクリートに挿入するためのスクリューアンカにおいて、その受口は、軸方向の端面から始る留め付け手段のための荷重支持構造を備え、その受口に基本的に円筒長手方向の軸方向に延びる治具受けが設けられ、その治具受けは受口内に、端面から当該シリンダ長さ方
向へ、荷重支持構造よりさらに延びている。
【0008】
治具受けは、十分に長く構成されるので、治具を介して、スクリューアンカにまたはスクリューアンカの受口に作用する回転力は、すべてが荷重支持構造の領域にではなく、少なくとも部分的にこの領域の外側で、伝達される。さらに、治具受けの長さのため、回転力は、より広い領域にわたって伝達されるので、荷重支持構造の変形または損傷に至り得るような、大きな面積あたりの負荷はかなり減らされ得る。
【0009】
治具受けは、受口の軸方向の長さ全体に亘って延びるのが好ましく、そうすれば負荷は可能な限り広い領域に亘りスクリューアンカに伝達され得る。この利点は、スクリューアンカの捻り負荷が減らされ得ることである。治具が軸端面の短かい長さにおいてだけスクリューアンカに係合するのであれば、ねじ込み工程の始めの大きなねじ込み力により、治具が係合するスクリューアンカの第1の端部と、スクリューアンカがコンクリートの穿孔にすでに挿入されている、そのスクリューアンカの対向する第2の端部との間に、捻り負荷を誘起することになるであろう。この長い治具受けのため、負荷接触点は、受口の長さ全てに亘り効果的に配分されて、第2の端部のより近くにまで接近するので、捻り負荷はかなり減らされ得る。
【0010】
好ましい実施例において、受口は、対向する第2の端部面まで、本体全体を通って延びる。結果として、治具は、スクリューアンカの全長に亘って受口で支えられ得るので、理想的な負荷伝達が可能である。結果として、負荷接触地点が、コンクリートの面と、すなわちスクリューアンカの穿孔との接触面と、同じ軸方向の高さにあるので、スクリューアンカのねじれまたは捻りは、主にねじ込み工程の始めに、完全に防止され得る。
【0011】
加えて、連続的な受口は、スクリューアンカの特に簡単な製造を可能にする。スクリューアンカは、すでに内側に治具受けが連続的に備えられている、長い管から例えば製作され得る。その管は、いくつかの本体を形成する長さに、各々所望の長さで切断される。ねじ山は、所望の長さに切断する前後に切削することができる。続く治具受け(荷重支持構造)の形成も、切削またはフライス加工具が単に受口全体を通して摺動するだけでよいので、かなり簡単にできる。受口の切りくずを清掃することは、一方が閉じた受口に比べると、かなり簡単である。
【0012】
本発明の目的は、同様に、おねじが外側面に設けられ、軸方向の端面から始まる円筒長手方向の軸方向に配置された留め付け手段のための受口を有する、基本的に円筒状の本体をもつ、コンクリートに挿入するためのスクリューアンカであって、その受口は、軸方向の端面から始まる留め付け手段のための荷重支持構造を備え、治具受けおよび荷重支持構造は、受口の軸方向の長さ全体に亘り延びているスクリューアンカ、によっても達成できる。
【0013】
この治具受けは、例えば少なくとも一つの基本的に円筒長手方向軸の連続する溝により、形成され、治具は、円筒長手方向の軸方向に、治具受けから挿入されまたは取りはずすことができる。
【0014】
基本的に平行な、いくつかの溝が配置されるのが好ましく、治具は、受口そして本体の円筒長手方向の軸と一致する工具の回転軸の中央において、その中心に置かれる。結果として、スクリューアンカへの回転力の均等な負荷伝達が可能となる。
【0015】
この溝は、例えば複数の角をもつ断面を有するので、通常の工具、例えばスクリュードライバーまたはトルクス(登録商標)工具が、この治具受けに係合し得る。
【0016】
この溝は、半径方向において、荷重支持構造より深くなっているのが理想的である。このようにすることで、いくつかの利点が得られる。一例として、大きな溝の側面のため、大きい接触面が回転力の負荷伝達のために備えられている。この接触面は荷重支持構造の外側にあるので、スクリューアンカが回されるときに、治具は荷重支持構造と接触せず、回転力が作用するときに、この荷重支持構造は損傷を受け得ない。加えて、より深い溝のため、荷重支持構造の簡単な製作が可能となる。溝が深いため、対応する切削工具が受口に挿入され、そして荷重支持構造は、受口内のこの切断工具を回すことによって、受口に形成される。
【0017】
荷重支持構造は、例えばめねじである。このようなねじを切ることは、本発明のスクリューアンカの場合、通常のスクリューアンカと比べかなり簡単である。ねじ山は通常、軸方向の端面から受口へねじ込まれた、ねじフライスにより受口に切削される。その際に、ねじフライスは、ねじフライスの回転当たり1つのねじ山、すなわち360度回転で1つのねじ山のみを切削し得る。より長いねじ山を製作するためには、相応して、ねじ切り工具の多数の回転が必要となる。同様に、ねじ山形成の後、ねじ切り工具は、ねじ山の全長に亘り、ねじ部の全長にわたってそのねじ山から、回しながら引き抜かれなければならない。
【0018】
本発明のスクリューアンカでは、いくつかの軸方向に連続して配置された、放射状に突き出した切刃を持つ切削工具を使うことができる。ここで切刃の数は所望のねじ山ターンの数に対応するのが好ましい。切削工具は受口に挿入され、切刃は、溝のうちの1つに嵌入される。一旦切削工具が受口に挿入されると、その切削工具はその長手方向の軸周りに回転し、そして完全なねじ山が各切刃により切削される。全ねじ山が、このようにして切削工具の1回転によって、切られ得る。それから、切刃が溝に位置するように切削工具は整列配置されるので、切削工具は、その切削工具を回転することなく軸方向の受口から引き抜かれ得る。結果として、ねじ山は実質的により迅速で製作され得る。ねじ山の底は、負荷受口のへこみほど大きく外側に放射状に突き出さない。いくつかの均等に割り当てられた溝がある場合、円周方向に割り当てられて配置されるいくつかの切刃を持つ切削工具を使うことができるので、全てのねじ長を切断するのに、その切削工具を2つの隣接する溝の間の角度で回すだけでよい。
【0019】
スクリューアンカの受口は、円周方向に完全に閉じるのが好ましい。
【0020】
本体は、例えば管状形状を有してもよい。
【0021】
本発明によれば、以下のステップによる本発明のスクリューアンカを製作するための方法も提供される。
− 本体に細長い受口を設け、
− 治具受けを受口に形成し、
− 続いて荷重支持構造を形成すること。
【0022】
このような方法の場合、治具受けが内側に連続的に備えられ、荷重支持構造を設ける前後に、本体を構成するいくつかの長さに切断される、そのような管が使用されることが好ましい。
【0023】
更なる効果および特徴は、添付の図面とともに、以下の記載に開示される。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図3】
図1のスクリューアンカの
図2の線III〜IIIに沿った断面図である。
【
図4】
図2の線IV〜IVに沿ったスクリューアンカの断面図である。
【
図5】
図1のスクリューアンカをねじ込むための治具の図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
図1は、コンクリートにねじ込むためのスクリューアンカ10を示す。このスクリューアンカは、部材をコンクリート本体に留め付けるため、コンクリート本体の穿孔へねじ込まれる。さらに、コンクリート部分に留め付けられるべき部材は、スクリューアンカ10に、例えば追加の留め付け要素によって、取り付けられ、それによりコンクリート部分に留め付けられ得る。
【0026】
スクリューアンカ10は、側面18とともに、第1の軸方向の端面14、第2の軸方向の端面16を備えた、円筒形の本体12をもつ。おねじ20が本体12の側面18に設けられ、それにより、スクリューアンカ10はコンクリートの本体の穿孔へねじ込まれ、それによりそのコンクリート本体に固定され得る。
【0027】
本体12はまた受口22を持つ。それは、
図3および
図4に示すように、本体12の長さ全体に亘って第1の端面14から第2の軸方向の端面16にまで延びる。従って本体12は基本的に筒型の形状を持つ。
【0028】
受口22の内部の壁24に備えられるのが、耐荷重支持構造26である。それは、円筒長手方向軸Lの方向に、第1の端面14から受口22に延びる。この場合、耐荷重支持構造26はめねじにより構成され、そこに、対応するおねじを備えた留め付け手段がねじ込まれ、それによりスクリューアンカ10に固定される。
【0029】
コンクリート本体の穿孔にスクリューアンカ10をねじ込むため、治具受け28が設けられている。この治具が円筒長手方向軸Lの方向に挿入され、スクリューアンカ10に回転力を伝達する。この場合の治具受け28は、円筒長手方向Lに走る4つの溝30により構成される。この溝は、受口22の内部の壁24から、半径方向Rに外向きに延びる。耐荷重支持構造26および治具受け28は、結果的に重なり合う。
【0030】
特に
図2が示すように、4つの溝30は、2つの隣接する溝30の間の角度が90度であるように、受口22の内壁24に円周方向に均等に割り当てられて配置される。溝30の配置や数は、しかしながら、所望により変更されてもよい。しかしながら、その溝30は、治具によって、スクリューアンカ10に伝達される回転力の軸が円筒長手方向軸Lに位置するように、配置されるのが好ましい。
【0031】
特に
図3および
図4が示すように、治具受け28の溝30は、受口の長さ全体に、すなわち、スクリューアンカ10の本体12の長さ全体に亘って延びる。一方、めねじにより構成される荷重支持構造26は、第1の軸方向の端面14から始まり、受口22の長さのほぼ半分だけに亘って延びる。したがって、溝30により構成される治具受け28は、第1の端面14から始まる荷重支持構造26よりもさらに円筒長手方向軸Lの方向に受口22内で延びる。
【0032】
図2が示すように、溝30は半径方向Rにおいて、荷重支持構造26より深く構成される。換言すれば、溝30の側壁33は、同様に半径方向に見て、基本的に荷重支持構造26の外側にある。
【0033】
例えば、スクリューアンカ10内にねじ込まれる治具32が
図5に描かれている。治具は支持構造34をもち、その構造は十字形36に配置された4本の軸方向のレール36を特徴とする。治具の支持構造34は、スクリューアンカ10の受口22に挿入され、レール36は溝30を貫通する。
【0034】
基本的に横断面でみた支持構造34またはレール36は、受口22または溝30の横断面と相補的であるので、レール36はスクリューアンカに回転力を伝達できる。支持構造34の長さは、基本的に受口22、すなわち、この場合のスクリューアンカ10の体長の長さに対応するので、治具32はスクリューアンカ10の全長に亘って溝30に係合できる。
【0035】
この利点は、回転力が均等にスクリューアンカ10に伝達され得ることである。治具32が第1の端面14に、すなわち第1の端面14に隣接した受口22の領域に係合するだけであれば、すでに穿孔へねじ込まれた第2の端面16と、スクリューアンカ10にねじ込むために必要とされる大きな力により、ねじ込み過程の主に始めに治具32が係合する、第1の端面14との間で、スクリューアンカ10の捻れをもたらすことになるであろう。治具32はスクリューアンカ10の全長に亘ってこのスクリューアンカに係合するので、この種のねじりは排除される。
【0036】
加えて、溝30の面積あたりの負荷は、広い伝達面のためかなり減るので、治具による受口22への、したがって荷重支持構造26への損傷も防止される。ツール受口28が荷重支持構造26より長くなるように設計されているので、回転力伝達の一部は荷重支持構造26以外の場所で生じ、従って、受口22の負荷は、荷重支持構造26の領域でまたも減り、したがって荷重支持構造26への損傷のリスクはさらに減り得る。溝30が荷重支持構造26より深くなっているので、治具32は荷重支持構造26では受口22に係合しない。そのため同様に荷重支持構造26を治具32による損傷から保護する。
【0037】
このスクリューアンカ10は、より良い回転力の伝達の他に、特に実質的により簡単に製作できる更なる利点を提供する。本体12は、例えば管から製作され、そこに、治具受口28が、スクリューアンカを所望の長さに切断する前後に、例えば押出し成形により設けられる。更なる工程のステップで、荷重支持構造26が設けられ得る。
【0038】
通常のスクリューアンカの場合、荷重支持構造26の製作は、例えばねじフライスにより実行され、ねじフライスは、第1の軸方向の端面14から受口22へねじ込まれる。この際、ねじフライスはねじフライスの回転当たり1つのねじ山だけを切るので、より長いねじ山を製作するためには、対応する多数回のねじ切削工具の回転が必要とされる。同様に、ねじ山の完成後は、ねじ切削工具は、ねじ部の全長にわたってそのねじ山から工具を回して引き抜かれなければならない。
【0039】
本発明のスクリューアンカ10の場合、軸方向に連続して配置された、いくつかの放射状に突き出した切刃を持つ切削工具を使うことができ、ここで切刃の数は所望のねじ山ターンの数に対応するのが好ましい。切削工具は、完全に受口22に挿入され、切刃は溝30のうちの1つに嵌入する。一旦切刃が受口22に挿入されると、切削工具はその長手方向の軸周りに回転する。そして完全なねじ山が各切刃により切削される。全ねじ山が、このようにして切削工具の1回転によって切られ得る。
【0040】
さらに切刃が溝30に位置するように切削工具が整列配置されるので、切削工具は、切削工具を回転することなく、軸方向の受口22から引き抜かれ得る。いくつかの均等に配置された溝30がある場合、円周方向に割り当てられ配置されるいくつかの切刃を持つ切削工具を使うことができるので、切削工具は、全てのねじ長を切削するのに、2つの隣接する溝30の間の角度で回すだけでよい。
【0041】
さらにまた、スクリューアンカ10の製作は、治具受口28が内側にすでに連続的に備えられた管があれば、さらに簡単になり得る。スクリューアンカ10を製作するために、この管を本体の所望の長さに切断し、そして受口22に荷重支持構造26を形成するだけである。
【符号の説明】
【0042】
10 スクリューアンカ
12 本体
14 端面
16 端面
18 外側表面
20 おねじ
22 受口
26 荷重支持構造
28 治具受け
30 溝
33 側壁
34 支持構造
36 レール