特許第5835892号(P5835892)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ キヤノン株式会社の特許一覧
特許5835892荷電粒子線描画装置及びデバイス製造方法
<>
  • 特許5835892-荷電粒子線描画装置及びデバイス製造方法 図000002
  • 特許5835892-荷電粒子線描画装置及びデバイス製造方法 図000003
  • 特許5835892-荷電粒子線描画装置及びデバイス製造方法 図000004
  • 特許5835892-荷電粒子線描画装置及びデバイス製造方法 図000005
  • 特許5835892-荷電粒子線描画装置及びデバイス製造方法 図000006
  • 特許5835892-荷電粒子線描画装置及びデバイス製造方法 図000007
  • 特許5835892-荷電粒子線描画装置及びデバイス製造方法 図000008
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5835892
(24)【登録日】2015年11月13日
(45)【発行日】2015年12月24日
(54)【発明の名称】荷電粒子線描画装置及びデバイス製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/027 20060101AFI20151203BHJP
   H01J 37/305 20060101ALI20151203BHJP
   G03F 7/20 20060101ALI20151203BHJP
   G01B 15/00 20060101ALI20151203BHJP
【FI】
   H01L21/30 541K
   H01L21/30 541D
   H01L21/30 541W
   H01J37/305 B
   G03F7/20 504
   G01B15/00 K
【請求項の数】9
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2010-291126(P2010-291126)
(22)【出願日】2010年12月27日
(65)【公開番号】特開2012-138519(P2012-138519A)
(43)【公開日】2012年7月19日
【審査請求日】2013年12月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100076428
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 康徳
(74)【代理人】
【識別番号】100112508
【弁理士】
【氏名又は名称】高柳 司郎
(74)【代理人】
【識別番号】100115071
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 康弘
(74)【代理人】
【識別番号】100116894
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 秀二
(74)【代理人】
【識別番号】100130409
【弁理士】
【氏名又は名称】下山 治
(74)【代理人】
【識別番号】100134175
【弁理士】
【氏名又は名称】永川 行光
(72)【発明者】
【氏名】山口 渉
(72)【発明者】
【氏名】松本 隆宏
【審査官】 松岡 智也
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭63−020829(JP,A)
【文献】 特開昭63−263720(JP,A)
【文献】 特開平09−330869(JP,A)
【文献】 特開2002−151399(JP,A)
【文献】 国際公開第02/041374(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/027
G03F 7/20−7/24、9/00−9/02
H01J 35/305
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の荷電粒子線で、基板上のショット領域にパターンを描画する描画装置であって、
前記基板を保持して移動するステージと、
前記複数の荷電粒子線を前記基板に投影する投影系と、
前記ショット領域の外側に形成されているマークに照射された荷電粒子線に起因して飛来する荷電粒子を検出して、前記マークの位置計測を行う計測器と、
前記ステージ及び前記投影系を用いた描画動作と前記計測器による計測動作を制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記複数の荷電粒子線のうち前記ショット領域及び前記マークの位置に基づいて選択された一部の荷電粒子線の照射位置が前記ショット領域の内側にある間に前記一部の荷電粒子線を用いて前記パターンを描画し、前記一部の荷電粒子線の照射位置が前記ショット領域の外側にあり、前記複数の荷電粒子線のうち前記一部の荷電粒子線とは異なる荷電粒子線の照射位置が前記ショット領域の内側にある間に、前記一部の荷電粒子線を用いて位置計測を行うように、前記描画動作及前記計測動作を制御し、かつ、前記計測動作における位置計測結果に基づいて、前記複数の荷電粒子線の照射位置を補正するように前記描画動作を制御する、ことを特徴とする描画装置。
【請求項2】
前記ステージが第1方向に沿ってスキャン移動を行う間であって、前記一部の荷電粒子線の照射位置が前記ショット領域の外側のうち前記第1方向と交差する第2方向に沿うスクライブ領域上にあり、かつ前記複数の荷電粒子線のうち前記一部の荷電粒子線とは異なる荷電粒子線を用いて前記パターンを描画する間に、前記一部の荷電粒子線を用いて前記位置計測を行うように、前記制御部は、前記描画動作及び前記計測動作を制御することを特徴とする請求項1に記載の描画装置。
【請求項3】
前記ステージは、第1方向に沿うスキャン移動と、前記第1方向と交差する第2方向に沿うステップ移動とを行い、
前記ショット領域の前記第2方向における長さは、前記複数の荷電粒子線が照射する領域の前記第2方向における長さよりも長く、
前記ステージが前記ステップ移動を行う間であって、前記一部の荷電粒子線の照射位置が前記ショット領域の外側のうち前記第1方向と交差する第2方向に沿うスクライブ領域上にあり、かつ前記複数の荷電粒子線のうち前記一部の荷電粒子線とは異なる荷電粒子線の照射位置が前記ショット領域の内側にある間に、前記一部の荷電粒子線を用いて位置計測を行うように、前記制御部は、前記描画動作及び前記計測動作を制御することを特徴とする請求項1に記載の描画装置。
【請求項4】
前記ステージが前記ステップ移動を行う間であって、前記一部の荷電粒子線の照射位置が前記ショット領域の外側のうち前記第1方向と交差する第2方向に沿うスクライブ領域上にあり、かつ前記複数の荷電粒子線のうち前記一部の荷電粒子線とは異なる荷電粒子線の照射位置が前記ショット領域の内側にある間に、前記制御部は、前記複数の荷電粒子線のうち照射位置が前記ショット領域の内側にある荷電粒子線が前記基板に照射されないように前記描画動作を制御することを特徴とする請求項3に記載の描画装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記位置計測動作の制御において、前記一部の荷電粒子線が前記マーク上を走査するように、前記一部の荷電粒子線を偏向することを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の描画装置。
【請求項6】
前記計測器は、前記投影系を構成する部材のうち前記ステージに最も近く配置された部材の表面を前記荷電粒子の検出面とする検出回路を含む、ことを特徴とする請求項1乃至請求5のいずれか1項に記載の描画装置。
【請求項7】
前記計測器は、ファラデーカップを含む、ことを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の描画装置。
【請求項8】
複数の荷電粒子線で、基板上のショット領域にパターンを描画する描画装置であって、
前記基板を保持して移動するステージと、
前記複数の荷電粒子線を前記基板に投影する投影系と、
前記ショット領域の外側に形成されているマークに照射された荷電粒子線に起因して飛来する荷電粒子を検出して、前記マークの位置計測を行う計測器と、
前記ステージ及び前記投影系を用いた描画動作と前記計測器による計測動作を制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記複数の荷電粒子線のうち前記ショット領域及び前記マークの位置に基づいて選択された一部の荷電粒子線の照射位置が前記ショット領域の内側にある間に前記一部の荷電粒子線を用いて前記パターンを描画し、前記一部の荷電粒子線の照射位置が前記ショット領域の外側にあり、前記複数の荷電粒子線のうち前記一部の荷電粒子線とは異なる荷電粒子線の照射位置が前記ショット領域の内側で前記パターンを描画する間に、前記一部の荷電粒子線を用いて位置計測を行うように、前記描画動作及び前記計測動作を制御し、かつ、前記計測動作における位置計測結果に基づいて、前記複数の荷電粒子線の照射位置を補正するように前記描画動作を制御する、ことを特徴とする描画装置。
【請求項9】
請求項1乃至8のいずれか1項に記載の描画装置を用いて基板上にパターンを描画する工程と、
前記工程でパターンを描画された基板を現像する工程と、
を含むことを特徴とするデバイス製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の荷電粒子線でパターンを基板に描画する描画装置及びデバイス製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体集積回路の高集積化、微細化により、基板上に形成されるパターンの線幅は非常に小さいものとなってきている。これに伴って、基板上にレジストパターンを形成するリソグラフィ工程では更なる微細化が要求されている。このようなパターンの微細化の要求を満たす方法の一つとして、電子線描画方式が知られている。電子線描画装置では、電子銃から放出された電子線を、電子光学系を介して基板上の所望の位置に収束させて、基板を載置したステージと電子線とを相対移動させることにより、基板上にパターンを描画する。このため、微細なパターンを作製する上では、電子線と基板の相対位置をいかに精度良く位置合わせできるかが重要なポイントとなる。
【0003】
電子線と基板の位置合わせ精度を低下させる要因として、チャージアップや熱に起因した電子線のドリフトが挙げられる。電子線描画を行う場合、電子の散乱による電子光学系のチャージアップや、電子線の照射に伴う基板のチャージアップが生じる。また、描画の際の電子線照射に伴う熱の影響で、電子光学系や基板の変形が起こる。これにより、電子光学系から基板に向けて射出された電子線の照射位置のずれや、基板上の帯電分布に伴う電子線の軌道の変化により、電子線のドリフトが発生する。このため、電子線描画における位置合わせ精度が低下して、パターンの加工精度が劣化するという問題があった。
【0004】
チャージアップに起因した電子線のドリフトに関する問題を解決するために、以下のような技術が提案されている。特許文献1には、基板からの二次電子を検出する電子検出器により、基板上に形成されたアライメントマークの位置を計測して電子線のドリフトを補正する電子線描画方法について記載されている。特許文献1記載の方法では、描画を開始した後に所定のタイミングで、アライメントマークに電子線を照射し、基板からの二次電子を電子検出器で検出してアライメントマークの位置を計測する。そして、特許文献1記載の方法では、以前の計測結果との差から電子線のドリフト量を算出し、算出結果を電子線の偏向量に重畳させることで、電子線のドリフトを補正する。
【0005】
特許文献2には、電子線を用いたアライメントマークの位置計測結果と光を用いたアライメントマークの位置計測結果とに基づいて、電子線のドリフトを補正する電子線描画装置について記載されている。特許文献2記載の電子線描画装置は、アライメントマークを電子線で走査した際に基板からの二次電子を検出する電子検出器と、アライメントマークに光を照射して反射した光を受光するアライメント光学系とを備える。そして、前記電子線描画装置は、描画開始前に一度だけ光を用いて計測したアライメントマークの位置と、描画開始後に電子線を用いて計測したアライメントマークの位置に基づいて、電子線のドリフト量を算出している。その後、前記電子線描画装置は、算出したドリフト量に基づいて電子線の偏向位置やステージ位置を補正することで、電子線の描画位置の補正を行っている。
【0006】
特許文献3には、マーク計測用電子線を用いたマークの位置計測結果に基づいて、電子線と基板の位置ずれを補正する電子線描画装置について記載されている。特許文献3記載の電子線描画装置では、描画用の電子光学系とは別にマーク計測用の電子光学系を備える。前記電子線描画装置は、マークの材料や形状に応じてマーク計測用の電子銃から放射されたマーク計測用電子線の加速電圧をマーク検出における最適な条件に設定し、パターン描画とマーク計測とを並行して行う。その後、前記電子線描画装置は、計測結果に基づいて電子線と基板の位置合わせを行うことにより、電子線の描画位置の補正を行っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2001−168013号公報
【特許文献2】特開2000−049069号公報
【特許文献3】特開昭63−263720号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、描画動作を中断し、ステージを駆動させてアライメントマークを計測位置に移動させてマーク位置計測を行う場合、描画時間とは別にステージの駆動時間とマークの位置計測時間を要するのでスループットが低下する。このため、特許文献1、2のように、描画開始後に描画動作を中断してマーク位置計測を行う電子線描画装置では、高スループットを実現することが難しい。
【0009】
一方、特許文献3のような電子線描画装置では、描画動作とマーク計測動作を並行して行うことが可能であるため、描画動作の中断に伴うスループットの低下を回避することができる。しかし、電子銃と電子光学系とを描画用とマーク計測用とでそれぞれ別々に備えるので、2つの電子光学系における電子線のドリフト量は必ずしも一致しない。このため、マーク計測用の電子光学系を用いた計測結果に基づいて電子線の描画位置ずれを補正しても、描画用の電子光学系におけるドリフトを精度良く補正することはできない。更に、描画用とマーク計測用とで電子銃と電子光学系とを2組備えると、描画装置の大型化や複雑化、高コスト化を招く。
【0010】
そこで、本発明は、描画精度とスループットとの両立の点で有利な描画装置を提供することを例示的目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の一側面は、複数の荷電粒子線で、基板上のショット領域にパターンを描画する描画装置であって、前記基板を保持して移動するステージと、前記複数の荷電粒子線を前記基板に投影する投影系と、前記ショット領域の外側に形成されているマークに照射された荷電粒子線に起因して飛来する荷電粒子を検出して、前記マークの位置計測を行う計測器と、前記ステージ及び前記投影系を用いた描画動作と前記計測器による計測動作を制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記複数の荷電粒子線のうち前記ショット領域及び前記マークの位置に基づいて選択された一部の荷電粒子線の照射位置が前記ショット領域の内側にある間に前記一部の荷電粒子線を用いて前記パターンを描画し、前記一部の荷電粒子線の照射位置が前記ショット領域の外側にあり、前記複数の荷電粒子線のうち前記一部の荷電粒子線とは異なる荷電粒子線の照射位置が前記ショット領域の内側にある間に、前記一部の荷電粒子線を用いて位置計測を行うように、前記描画動作及前記計測動作を制御し、かつ、前記計測動作における位置計測結果に基づいて、前記複数の荷電粒子線の照射位置を補正するように前記描画動作を制御する、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、例えば、描画精度とスループットとの両立の点で有利な描画装置を提供することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】電子線描画装置の構成を示す図である。
図2】第1実施形態における電子線描画装置の描画動作を説明するための図である。
図3】第1実施形態におけるマーク計測用電子線の動作の切り替えについて説明するための図である。
図4】第1実施形態の描画処理のフローチャートである。
図5】第2実施形態における電子線描画装置の描画動作を説明するための図である。
図6】第2実施形態の描画処理のフローチャートである。
図7】第3実施形態の電子線描画装置における計測器の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に、本発明の好ましい実施形態を添付の図面に基づいて詳細に説明する。なお、各図において、同一の部材については同一の参照番号を付し、重複する説明は省略する。本発明は、複数の荷電粒子線で基板にパターンをショット領域ごとに描画する荷電粒子線描画装置に適用可能であるが、複数の電子線を用いて描画を行う電子線描画装置に適用した例を用いて本発明を説明する。
【0015】
[第1実施形態]
図1は、本発明の電子線描画装置100の構成を示す図である。なお、電子線描画装置は、イオン線を用いるイオン線描画装置であってもよく、本実施形態の電子線描画装置は、より一般的な荷電粒子線描画装置の一例として説明されるものである。他の実施形態においても同様である。電子線描画装置100は、電子銃1、コリメーターレンズ3、アパーチャアレイ4、静電レンズ5,9、ブランキング偏向器6、ブランキングアパーチャ7、偏向器8、ステージ11を備える。電子銃1は、複数の電子線(荷電粒子線)を放出する荷電粒子源を構成している。コリメーターレンズ3、アパーチャアレイ4、静電レンズ5,9、ブランキング偏向器6、ブランキングアパーチャ7、偏向器8は、複数の電子線(荷電粒子線)を基板10の表面に結像する電子光学系80を構成している。電子光学系80は、荷電粒子光学系、光学系、または、投影系ともいう。電子線と基板10の位置合わせを行うために、アライメント光学系12、測長用の干渉計14、電子検出器30が配置されている。電子検出器30は、電子銃1から電子光学系80を介して基板10に形成されたマークに入射した電子線により飛来する荷電粒子(二次電子)を検出しマークの位置を計測する計測器を構成している。
【0016】
電子銃1はクロスオーバ像2を形成し、クロスオーバ像2から発散した電子線は、コリメーターレンズ3の作用により平行ビームとなり、アパーチャアレイ4に入射する。アパーチャアレイ4は、マトリクス状に配列された複数の円形状の開口を有し、入射した電子線は複数の電子線に分割される。アパーチャアレイ4を通過した電子線は、円形状の開口を有した3枚の電極板(図1では、3枚を一体で図示している)から構成される静電レンズ5に入射する。静電レンズ5を通過した電子線が最初にクロスオーバ像を形成する位置に、小さな開口がマトリクス状に配置されたブランキングアパーチャ7が配設され、ブランキング偏向器6とブランキングアパーチャ7によりブランキング動作が実行される。
【0017】
ブランキングアパーチャ7を通過した電子線は、第2の静電レンズ9により結像され、ウエハ、マスク等の基板10上に元のクロスオーバ像2が結像される。電子線により基板10にパターンを描画する際には、電子光学系制御部21により、電子線を偏向器8により走査するとともに、描画するパターンに応じてブランキング偏向器6を制御して電子線の照射のON/OFFを制御する。また、電子線により基板10の位置を計測する場合、基板10に形成されたマーク(アライメントマーク)に対して偏向器8により電子線を走査させて、電子検出器30によって基板10からの二次電子を検出してアライメントマークの位置を求める。ここで、電子光学系制御部21は、不図示の制御回路によりコリメータレンズ3、静電レンズ5,9について制御を行い、信号処理部22は、電子検出器30により検出された二次電子及び反射電子の量を示すデータを出力し、主制御部26に供給する。そして、主制御部26により、偏向量に対応した検出電子量の信号であるマーク信号(離散的信号列)が算出され、記憶部27に記憶される。
【0018】
電子検出器30は、基板10の近傍に配置され、アライメントマークの位置を計測するために、基板10からの二次電子を検出する。図1においては、電子検出器30は、静電レンズ9上に備え付けられ、基板10の上方に位置するように配置されている。これにより、基板10からの二次電子を精度良く検出し、アライメントマークの位置を高精度に求めることができる。電子検出器30は、別の構成として、基板10の近傍でかつ電子光学系80の周辺部に配置されたファラデーカップを含むことができる。これにより、電子検出器30は、ファラデーカップを用いて基板10からの二次電子の電荷量を検出することによって、アライメントマークの位置を計測することができる。
【0019】
図1に示すステージ11は、いずれもYステージにXステージが載置された構成(不図示)であり、Xステージ上に感光材が塗布された基板10を保持して移動可能である。さらにXステージ上には、基板10とは異なる位置に基準マークが形成された基準板15及びXステージ上のX方向の一端にX軸用の移動鏡13が設けられている。Yステージは電子線の光軸に垂直な平面内で図1の紙面に垂直なY方向に基板10の位置決めを行い、Xステージは電子線の光軸に垂直な平面内でY軸に垂直なX方向に基板10の位置決めを行う。なお、Xステージ上には、電子線の光軸に平行なZ方向に基板10の位置決めを行うZステージ等(不図示)も載置されている。YステージとXステージの位置は、ステージ制御部25によって制御される。測長用の干渉計14においては、内部に設けられたレーザ光源から射出されたレーザビームを測定光と参照光に分割する。測定光をステージ11上に設置されたX軸用の移動鏡13に、参照光を干渉計14の内部に設けられた参照鏡にそれぞれ入射させて、反射した測定光と参照光を重ね合わせて干渉させ、検出器を用いて干渉光の強度を検出する。測定光と参照光は射出段階で互いに周波数が微小量Δfだけ異なる為、移動鏡13のX方向の移動速度に応じて周波数がΔfから変化したビート信号が検出器から出力される。このビート信号は、ステージ位置検出部24により処理されることにより、参照光の光路長を基準とした測定光の光路長の変化量、すなわち参照鏡を基準にした場合の移動鏡13のX座標を高い分解能で高精度に計測する。同様に、ステージ11のY方向の位置を検出する測長用の干渉計(不図示)によって、ステージ11に設置された移動鏡のY方向の座標が、参照鏡を基準にして、高分解能かつ高精度に計測される。
【0020】
アライメント光学系12は、非露光光を基板10やステージ11に形成されたアライメントマークに導き、反射光をセンサに結像させることで、アライメントマークの像を検出する。そして、アライメント光学系制御部23により、アライメント光学系12の光軸に対するアライメントマークの位置を求める。主制御部26は、電子光学系制御部21、信号処理部22、アライメント光学系制御部23、ステージ位置検出部24、ステージ制御部25からのデータ処理や、各制御部への指令等を行う。また、記憶部27は主制御部26にとって必要な情報を記憶する。電子光学系制御部21、信号処理部22、アライメント光学系制御部23、ステージ位置検出部24、ステージ制御部25、主制御部26、記憶部27は制御部20を構成している。
【0021】
次に、電子線描画装置100の描画方法について説明する。電子線描画装置100は、ステップアンドスキャン動作により、基板10上の複数のショット領域(パターン描画領域)にパターンの描画を行う。電子線描画装置100の描画動作とは、電子線を用いて基板10上の複数のショット領域にパターンを描画するために、スキャン描画とステップ移動を繰り返し行う動作を意味する。電子線描画装置100は、電子線を偏向させてステージ11に保持された基板10にパターンを描画する。このとき、ステージ11の移動に応じて、偏向器8の制御やステージ11の位置制御を行い、基板10に対する電子線の照射位置を制御する。
【0022】
図2は、電子線描画装置100の電子線の照射領域50における複数の電子線51の配置と、描画動作の際の電子線照射領域50とショット領域40との相対位置の変化を示す図である。図2の(A)に示す電子線照射領域50において、複数の電子線51が、M行N列の完全な格子状の配置からX方向に相互に距離L2だけずれた千鳥格子状に配置される。そして、パターンを描画する際には、ステージ11がY方向に沿って連続的にスキャン移動する間に、偏向器8により基板10上で電子線51がX方向に距離L2の範囲を画素単位で繰り返し偏向される。このとき、ステージ11の速度はレジスト感度と電子線の電流密度の値とから決定され、距離L2は偏向器8の偏向ストロークにより決定される。本実施形態において、Y方向は、ステージ11がスキャン移動する第1方向を、X方向は第1方向と直交する第2方向を構成している。
【0023】
続いて、図2の(B)〜(D)を用いて、電子線描画装置100の描画処理について説明する。ここで、本実施形態の電子線描画装置100では、電子線照射領域50は描画動作が行われるショット領域40に比べてY方向に距離L4だけ広く、X方向の距離は等しいものとする。また、電子線照射領域50のX方向の距離L3とY方向の距離L5は、X方向の距離L1とY方向の距離L4に比べて、それぞれ十分に長いものとする。そして、主制御部26は、図2の(B)〜(D)に示すように、基板10上の複数のショット領域40に対して電子線照射領域50をY方向に沿って順次移動させながらパターンの描画を行う。始めに、主制御部26は、図2の(B)に示すようにショット領域40に対して電子線照射領域50を位置合わせした後、基板10をY方向に距離L4だけスキャン移動させながら、連続的にスキャン描画を行う。ここで、スキャン描画が行われた後のショット領域40と電子線照射領域50は、図2の(C)のような位置関係となる。続いて、主制御部26は、ステージ11をY方向に沿って所定距離だけステップ移動させて、図2の(D)に示すように、電子線照射領域50を次のショット領域40へと移動させる。主制御部26は、これらのショット領域に対するスキャン描画動作とショット領域間のY方向のステップ移動動作を繰り返し行い、基板10上の複数のショット領域40に対してパターンの描画を行う。その後、主制御部26は、基板10のショット領域40におけるY方向の折り返し位置では、X方向に沿って所定距離だけ基板10をステップ移動させて、再びY方向沿ってスキャン描画動作を行う。主制御部26は、ショット領域ごとのスキャン描画動作とショット領域間のステップ移動動作とを繰り返し行うことにより、基板10の全面のすべてのショット領域40に対して描画を行う。なお、本実施形態の電子線描画装置100において、電子線照射領域50の大きさをショット領域40に比べてY方向に距離L4だけ広いものとしたが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、電子線照射領域50の大きさは、ショット領域40の大きさと同じあるいはショット領域40の大きさに比べて小さくても良い。これらの場合には、スキャン描画の距離や方向を調整することにより、ショット領域40に所望のパターンを描画することが可能となる。
【0024】
本実施形態において、1つのショット領域40に対する描画動作の開始から終了までの間に、スキャン描画動作を行いながら、少なくとも1つの電子線を用いて電子検出器30により二次電子を検出することにより、アライメントマークの位置を計測する。以下では、電子線描画装置100の描画動作のうちスキャン描画動作中におけるアライメントマークの位置計測について詳細に説明する。図3は、電子線描画装置100の複数の電子線とショット領域40との位置関係を示す図であり、図の(A)〜(C)の順にステージ11がY方向に移動して、電子線とショット領域40との相対位置が変化していく様子を表している。なお、実際には電子線の照射位置を固定したまま、ステージ11を移動させて電子線とショット領域40の相対位置を変化させるが、図3では説明を簡単にするために、電子線の照射位置を変化させている。ここで、図3に記載される時刻tにおいては、T1<T2<T3の関係が成り立つとする。また、基板10上のショット領域外のスクライブ領域にはアライメントマーク54が形成されている。アライメントマーク54が形成されるスクライブ領域は、ショット領域40と、当該ショット領域40のX方向(第2方向)に沿う境界線を挟んで隣接する領域である。アライメントマーク54に電子線を照射して電子検出器30を用いて二次電子を検出することにより、アライメントマーク54の位置計測が行われる。なお、アライメントマーク54とショット領域40との距離は、電子線照射領域50における距離L4よりも短い。
【0025】
図3の(A)では、複数の電子線の照射位置はショット領域40内に配置される。その後、スキャン描画動作に伴うステージ11のY方向への移動により、(B)を経て(C)に示すように電子線とショット領域40の相対位置が変化する。ここで、ショット領域40にパターンを描画する電子線を描画用電子線52、アライメントマーク54の位置計測を行う電子線をマーク計測用電子線53と定義する。本実施形態においては、図3に示すようにスキャン描画動作中に、照射位置がショット領域40を外れた電子線をアライメントマーク54に対して走査させることによりアライメントマーク54の位置が計測される。すなわち、スキャン描画動作中に所定のタイミングで、マーク計測用電子線53におけるパターン描画とマーク計測の動作を切り替えて、アライメントマーク54の位置計測を行う。ここで、所定のタイミングは、マーク計測用電子線53の照射位置がアライメントマーク54上に位置するタイミングであり、ショット領域40とアライメントマーク54の位置に関するデータに基づいて描画開始前に予め設定される。その後、アライメントマーク54を位置計測するために、ブランキング偏向器6、ブランキングアパーチャ7、偏向器8によりアライメントマーク54に対して電子線が走査される。図3に示すように、アライメントマーク54は、一般に複数のパターンから構成されている。このため、パターンごとの二次電子を個別に検出するために、ブランキング偏向器6の制御により電子線をアライメントマーク54に対して走査させるタイミングをずらして、電子検出器30により二次電子を検出しても良い。また、ステージ11のスキャン方向(Y方向)において照射位置の異なる複数の電子線を用いて、異なるタイミングで電子線をアライメントマーク54に対して走査させて、二次電子を個別に検出して、アライメントマーク54の位置を求めても良い。
【0026】
続いて、図4を用いて、本実施形態の電子線描画装置100の描画処理シーケンスについて説明する。電子線描画装置100は、描画処理動作の開始により、図4に示す描画処理フローチャートに従って、以下のステップを実行する。S101で、主制御部26は、基準板15上に形成された基準マークの設計上の座標位置に基づいて、基準マークをアライメント光学系12の光軸上に位置するようにステージ11を移動させる。そして、主制御部26は、アライメント光学系制御部23により、光軸に対する基準マークの位置ずれを検出し、その位置ずれに基づいて、ステージ座標系(XY座標系)の原点が光軸と一致するようにステージ位置検出部24が定めるステージ座標系を再設定する。S102で、主制御部26は、電子線の光軸とアライメント光学系12の光軸との設計上の位置関係に基づいて、基準マークを電子線の光軸上に位置するように、ステージ11を移動させる。そして、主制御部26は、電子光学系制御部21により、電子線を基準マークに対して走査して、電子線の光軸に対する基準マークの位置ずれを検出し、電子線の光軸とアライメント光学系12の光軸とのベースラインを決定する。
【0027】
S103で、主制御部26は、基板10上のアライメントマーク54の中から複数のアライメントマーク54を選択し、設計上の座標位置に基づいて、アライメント光学系12の光軸上に位置するように移動させる。そして、アライメント光学系制御部23により、アライメント光学系12の光軸に対するアライメントマーク54の位置ずれを検出し、位置ずれ量と設計上の座標位置から、アライメントマーク54の実測値が得られる。S104で、主制御部26は、S103の検出結果を用いて、グローバルアライメント法により基板10上のショット領域40の配列に関して、シフト(移動)誤差、倍率誤差、回転誤差を計算して、その規則性を決定する。その後、主制御部26は、ベースラインと決定された配列の規則性から補正係数を求め、その結果に基づいて電子線と基板10の位置合わせを行う。ここで求めた補正係数は、主制御部26によって記憶部27に保存される。
【0028】
S105で、主制御部26は、主制御部26により、複数の電子線の中から、電子線の基板上における入射位置の補正(ドリフト補正)を行う為に、アライメントマークの計測に用いるマーク計測用電子線53を選んで設定する。なお、マーク計測用電子線53の設定方法については、後で詳しく説明する。S106で、主制御部26は、各ショット領域40に対して描画開始位置に電子線照射領域50の位置を合わせるように偏向器8及びステージ11の少なくとも一方を動作させた後、ショット領域40に描画すべきパターンデータに基づいてスキャン描画を開始する。
【0029】
S107で、主制御部26は、主制御部26により、スキャン描画動作中にS105で設定されたマーク計測用電子線53を用いてアライメントマーク54の位置計測を行う。以下では、スキャン描画の動作中におけるアライメントマーク54の位置計測の手順について説明する。始めに、ステージ11の移動により、マーク計測用電子線53の照射位置がアライメントマーク54の位置に達したときに、主制御部26は、ブランキング偏向器6の制御により、特定のマーク計測用電子線53を偏向してアライメントマーク54に入射させる。そして、偏向器8によりマーク計測用電子線53を偏向させながらアライメントマーク54に対して走査させ、電子検出器30を用いて基板10からの二次電子を検出する。ここで、電子検出器30により検出された検出信号について、例えば、微分処理した後にエッジ検出法や波形対称性の評価法などを適用することにより、アライメントマーク54の位置を求める。その後、S107で求められたアライメントマーク54の位置計測結果は、記憶部27に記憶される。なお、スキャン描画の動作中におけるアライメントマーク54の位置計測方法については、後で詳細に説明する。
【0030】
S108で、主制御部26は、S107での計測結果と、S103でのアライメント光学系12やマーク計測用電子線53を用いた以前の計測結果との差から、電子線の基板上における入射位置のずれの量(ドリフト量)を算出する。S109で、主制御部26は、スキャン描画を開始してからステージ11をY方向に距離L4だけ移動させた後に、スキャン描画を停止する。S110で、主制御部26は、基板10上の全てのショット領域40について描画が完了した場合には、基板10の描画処理動作を終了する。一方で、基板10上の全てのショット領域40について描画が完了していない場合、主制御部26は、S111へと進む。S111で、主制御部26は、ステージ11により、電子線と基板10との相対位置を所定距離だけステップ移動させ、電子線照射領域50を次のショット領域40へと移動させる。
【0031】
S112で、主制御部26は、S108で算出したドリフト量に基づいて、ドリフト補正を実行するか否かの判断を行う。予め決められた許容値を基準として、S108で求めた電子線のドリフト量が許容値よりも小さい場合、主制御部26は、ドリフト補正を行わずに、S106に戻って再びスキャン描画を開始する。一方、電子線のドリフト量が許容値よりも大きい場合、113へと進む。S113で、主制御部26は、所定のタイミングで電子光学系制御部21やステージ制御部25に指令を出し、S108で算出したドリフト量に基づいて電子線の偏向位置またはステージ11の位置を調整することにより、電子線のドリフトを補正する。電子線のドリフト補正を実行するタイミングについては、後で詳しく説明する。そして、S113で電子線のドリフト補正を終了した後、S106に戻り、パターンのスキャン描画を再開する。以上の描画処理動作は、S110で基板10の全てのショット領域に対する描画が完了するまで続けられ、S110で描画が完了した場合に、全ての処理が終了する。
【0032】
図4においては、スキャン描画の動作中にS108により電子線のドリフト量を算出する電子線描画方法について説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。本実施形態においては、S108における電子線のドリフト量の算出は、S112におけるドリフト補正の実行判断の前までに実施すれば良く、例えばS111におけるステップ移動の動作中に、電子線のドリフト量を算出しても良い。本実施形態においては、主制御部26により、描画開始前にマーク計測用電子線53を選んで設定し、スキャン描画の動作中にマーク計測用電子線53のパターン描画とアライメントマーク計測の動作を所定のタイミングで切り替える。そして、主制御部26は、スキャン描画の動作中にマーク計測用電子線53を用いてアライメントマーク54の位置を計測し、計測結果に基づいて電子線のドリフト量を算出して補正する。
【0033】
以下では、マーク計測用電子線53の設定方法について説明する。本実施形態においては、図4に示すS105で、主制御部26は、電子線描画装置100における複数の電子線の中からマーク計測用電子線53を選んで設定する。ここで、例えば、電子線照射領域50の中央付近に位置する電子線をマーク計測用電子線53に設定した場合、スキャン描画開始前のマーク計測用電子線53とアライメントマーク54の間には距離L5/2程度の間隔が生じる。このため、ステージ11をY方向に距離L4だけ移動させるスキャン描画の動作を実行しても、アライメントマーク54の位置にマーク計測用電子線53は照射されず、アライメントマーク54の位置計測を行うことは出来ない。従って、電子線描画装置100の描画動作を一度中断し、ステージ11を駆動させてアライメントマーク54の位置を計測位置に移動させてマーク位置計測を行わなければならず、スループットの低下を招く。
【0034】
一方で、電子線照射領域50においてY方向の両端部付近に位置する電子線をマーク計測用電子線53に設定した場合には、スキャン描画の動作に伴ってマーク計測用電子線53の照射位置がショット領域40の内側から外側(または外側から内側)に変化する。このため、スキャン描画の動作を実行することにより、ショット領域40の近傍に設けられたアライメントマーク54にマーク計測用電子線53が照射され、アライメントマーク54の位置計測を行うことが出来る。従って、電子線照射領域50においてY方向の両端部付近に位置する電子線をマーク計測用電子線53に設定した場合、スキャン描画の動作中にマーク位置計測を実行可能となるため、高速かつ高精度なアライメントマーク54の位置計測を実現させることが出来る。以上より、マーク計測用電子線53の設定においては、電子線照射領域50においてY方向の両端部付近に位置する電子線が選択される。なお、X方向について、主制御部26は、基板10上のアライメントマーク54の位置座標に基づいて、マーク計測用電子線53を選んで設定する。
【0035】
続いて、電子線描画装置100のスキャン描画の動作中におけるマーク計測用電子線53によるアライメントマーク54の位置計測について説明する。前述のように、電子線描画装置100のスキャン描画の動作においては、ステージ11をY方向に連続的に移動させる間に、偏向器8により基板10上で電子線をX方向に偏向させる。このため、偏向器8により複数の電子線を一括して高速に偏向させる構成の場合には、マーク計測用電子線53は描画用電子線52と同様にX方向に繰り返し偏向される。ここで、本実施形態の電子線描画装置100において、主制御部26は、基板10上のX方向及びY方向のアライメントマーク54に対して、ステージ11をY方向に移動させながらマーク計測用電子線53をX方向に偏向させる。そして、電子検出器30により基板10からの二次電子を検出し、アライメントマーク54の位置を求めることにより、主制御部26は、スキャン描画の動作中に、XY平面上における電子線と基板10の相対位置を求める。なお、アライメントマーク54に関しては、例えばXY平面においてX方向に対して±45度傾いたハの字状のアライメントマーク54を用いて、マーク計測用電子線53により電子線と基板10の相対位置(X、Y)を求めても良い。図4のS107に示すマーク位置計測は、基板10上に設けられた全てのアライメントマーク54の位置を計測する場合のみに限定されず、選択した一部のアライメントマーク54について実行しても良い。
【0036】
図4のS113に示す電子線のドリフト補正を実行するタイミングについて説明する。主制御部26により電子線描画装置100のドリフト補正を実行するタイミングは、一定時間毎のタイミングとすることができるが、チップ単位の描画終了のタイミングやチップ列毎の描画終了のタイミングとすることもできる。図2で説明したように、本実施形態の電子線描画装置100においてはチップ単位で基板10にパターンを描画する。このため、一定時間毎のタイミングで補正する場合には、1つのチップ描画の最中に電子線のドリフトが補正されて、チップ内で描画パターンに位置ずれが生じる恐れがある。一方で、チップ単位の描画終了のタイミングやチップ列毎の描画終了のタイミングで電子線のドリフト補正を実行する場合には、チップ内での描画パターンの位置ずれを防止することができる。このため、電子線のドリフト補正を実行するタイミングについては、チップ単位の描画終了のタイミングやチップ列毎の描画終了のタイミングであることが好ましい。
【0037】
以上より、本実施形態によれば、電子線描画装置100の描画動作内のスキャン描画動作中に、主制御部26により設定されたマーク計測用電子線53をアライメントマーク54に照射して、アライメントマーク54の位置計測が行われる。そして、主制御部26は、アライメントマーク54の計測結果に基づいて電子線のドリフト量を算出し、電子線の基板10上における入射位置のずれを補正するようにステージ11及び電子光学系80の少なくともいずれかを制御する。これにより、本実施形態においては、特許文献1、2に記載の従来方式に比べ、アライメントマーク54の位置を計測位置へ移動させる時間とアライメントマーク54の位置計測を行う時間を短縮させることにより、スループットを向上させることができる。また、特許文献3に記載の従来の方法に比べて、描画用電子線52と同一の電子光学系80における電子線を用いてドリフト量を計測するため、高精度なドリフト補正が実現可能であり、しかも、電子線描画装置100の高コスト化や大型化を回避することが出来る。従って、本実施形態によれば、省スペース及び低コストで、高速かつ高精度に電子線と基板10の位置合わせが可能な電子線描画装置100を提供することができる。
【0038】
[第2実施形態]
図5を用いて第2実施形態の電子線描画装置100について説明する。図5は、図1に示す電子線描画装置100の電子線照射領域60における複数の電子線61の基板10上での配置と、描画動作の際の電子線照射領域60と基板10の相対位置の変化を示す図である。図5の(A)に示す複数の電子線が照射する領域60のX方向の長さL6は、ショット領域40のX方向の長さに比べて小さい構成となっている。なお、X方向の長さL6以外は第1実施形態の電子線照射領域50と同様の構成であり、複数の電子線61が完全な格子状の配置からX方向に相互に距離L2だけずれた千鳥格子状に配置される。
【0039】
次に、図5の(B)〜(F)を用いて、本実施形態の電子線描画装置100の描画動作について説明する。基板10上へのパターン描画に際しては、ステージ11がY方向に連続的に移動する間に、偏向器8により基板10上で電子線61がX方向に距離L2の範囲を画素単位で繰り返し偏向される。本実施形態の電子線描画装置100においては、ショット領域40のX方向の距離が、電子線照射領域60のX方向の距離L6の整数倍となるように構成されている。電子線照射領域60のY方向については、第1実施形態の電子線照射領域50と同様に、ショット領域40に比べて距離L4だけ広い構成となっている。なお、電子線照射領域60のX方向の距離L6とY方向の距離L5は、X方向の距離L1とY方向の距離L4に比べて、それぞれ十分に長いものとする。
【0040】
図5の(B)〜(F)に示すように、主制御部26は、基板10上の複数のショット領域40に対して電子線照射領域60を順次移動させてパターンの描画を行う。始めに、主制御部26は、図5Bに示すようにショット領域40に対して電子線照射領域60を位置合わせした後、基板10をY方向に沿って距離L4だけスキャン移動させながら連続的にスキャン描画動作を行う。ここで、スキャン描画動作を行った後のショット領域40と電子線照射領域60は、図5の(C)に示すような位置関係となる。続いて、主制御部26は、図5の(D)に示すようにステージ11をX方向へ沿って距離L6だけステップ移動させるステップ移動動作を行う。ステップ移動動作の後、主制御部26は、基板10を−Y方向に距離L4だけ移動させながら連続的に描画するスキャン描画動作を行う。電子線照射領域60は、X方向の距離L6の整数倍がショット領域40のX方向の距離に一致する構成であり、主制御部26は、ステージ11をX方向に沿ってステップ移動させた後、基板10を−Y方向に距離L4だけ移動さながら連続的にスキャン描画動作を行う。そして、主制御部26は、このスキャン描画動作とステップ移動動作とを繰り返し行うことにより、1つのショット領域40の全体にパターンの描画を行う。
【0041】
図5の(E)は、−Y方向に沿ってスキャン描画動作を行った後の、ショット領域40と電子線照射領域60との位置関係を示す。1つのショット領域40に対する描画動作で、図5の(B)の状態から(E)の状態まで進む。1つのショット領域40へのパターン描画を完了した後に、主制御部26は、電子線照射領域60が次のショット領域40の描画開始位置(図5の(E)の位置)に配置されるように、ステージ11をステップ移動させる。その後、主制御部26は、再び±Y方向に沿うスキャン描画動作とX方向に沿うステップ移動動作を組み合わせて行い、基板10上の複数のショット領域40に対してパターンを描画する。なお、基板10上のショット領域40におけるY方向の折り返し位置では、主制御部26は、X方向へ所定距離だけステージ11をステップ移動させて、再びY方向に沿ってスキャン描画を行う。
【0042】
以上より、主制御部26は、図2の(A)の場合に比べて、ステージ11をX方向へステップ移動させる動作と、−Y方向へ移動させながらスキャン描画を行う動作を加えて行うことにより、基板10上の1つのショット領域40にパターンを描画する。本実施形態においては、ショット領域40内でのステップ移動動作の中で、マーク計測用電子線53をアライメントマーク54に照射して偏向させ、電子検出器30により二次電子を検出することにより、アライメントマーク54の位置計測を行う。アライメントマーク54の位置計測方法については、後で詳しく説明する。
【0043】
続いて、図6を用いて本実施形態の電子線描画装置100の描画処理シーケンスについて説明する。本実施形態で、主制御部26は、描画処理動作の開始により、図6に示す描画処理フローチャートに従って、以下のステップを実行する。なお、図6に示すS201〜S205については、図4に示すS101〜S105と内容が重複するため、説明を省略する。S206で、主制御部26は、電子線照射領域60の位置をショット領域40に対して所定の位置に合わせるように偏向器8及びステージ11の少なくとも一方を動作させた後、ショット領域40に描画すべきパターンデータに基づいてスキャン描画を行う。そして、主制御部26は、スキャン描画を開始してからステージ11をY方向に距離L4だけ移動させた後に、スキャン描画を停止する。
【0044】
S207では、基板10上の1つのショット領域40について描画が完了した場合には、S212へと進む。一方、1つのショット領域40についての描画が完了していない場合には、S208へと進む。S208で、主制御部26は、ショット領域40内でステージ11により電子線照射領域60をX方向へ距離L6だけステップ移動させる動作を開始する。S209で、主制御部26は、S207のショット領域40内でのステップ移動動作中に、S205で設定されたマーク計測用電子線53を用いてアライメントマーク54の位置計測を行う。アライメントマーク54の位置計測の手順については、第1実施形態のS107に記載した内容と同様であるため、ここでは説明を省略する。
【0045】
S210で、主制御部26は、S208でのアライメントマーク54の位置計測結果と、S203でのアライメント光学系12やマーク計測用電子線53を用いた以前のアライメントマーク54の位置計測結果との差から、電子線のドリフト量を算出する。S211で、主制御部26は、ショット領域40内でステージ11により電子線照射領域60をX方向へ距離L6だけステップ移動させた後、ステップ移動を停止する。主制御部26は、ショット領域40内でのステップ移動動作の停止後、S206に戻ってスキャン描画を行う。S212で、主制御部26は、基板10上の全てのショット領域40について描画が完了した場合には、基板10の描画処理動作を終了する。一方、主制御部26は、基板10上の全てのショット領域40について描画が完了していない場合には、S213へと進む。
【0046】
S213で、主制御部26は、電子線照射領域60を基板10上の次のショット領域40の所定の位置に位置合わせするために、ステージ11により電子線と基板10との相対位置を所定距離だけステップ移動させる。なお、本実施形態において、ステージ11によるステップ移動の動作には、以下に示す3種類のステップ移動が存在する。
(1) 1つのショット領域内でのX方向への距離L6のステップ移動
(2) 次のショット領域への所定距離のステップ移動
(3) Y方向の折り返し位置におけるX方向への所定距離のステップ移動
その中で、本実施形態においてアライメントマーク54の位置計測を行うのは、(1)のX方向への距離L6のステップ移動の動作中である。ここで、(1)及び(2)のステップ移動は、図6図2で説明した通りである。また、(3)のステップ移動は、基板10上のショット領域40におけるY方向の折り返し位置で実行される動作である。(1)〜(3)のステップ移動動作は、基板10におけるショット領域40の位置や、ショット領域40におけるパターンの描画状況に応じてそれぞれ実行される。
【0047】
S214〜S215については、図4のS112〜S113と内容が重複するため、説明を省略する。ここで、図6では、ショット領域40内でのステップ移動動作中にS209により電子線のドリフト量を算出する電子線描画方法について説明を行ったが、本発明はこれに限定されるものではない。本実施形態においては、S210における電子線のドリフト量の算出は、S214におけるドリフト補正の実行判断の前までに実施すれば良く、例えばS213におけるステップ移動動作を停止した後に、電子線のドリフト量を算出しても良い。また、S214〜S215の実行順序についても、S213のステップ移動動作の停止後に限定されるものではない。例えば、S211のステップ移動動作中に、S214におけるドリフト補正の実行判断とS215におけるドリフト補正を行い、ステップ移動の動作停止後にS206におけるスキャン描画を開始しても良い。
【0048】
本実施形態においては、主制御部26により、描画開始前にマーク計測用電子線53を選んで設定し、1つのショット領域40内でのステップ移動動作中にマーク計測用電子線53のパターン描画とアライメントマーク計測の動作を所定のタイミングで切り替える。そして、ステップ移動動作中にマーク計測用電子線53を用いてアライメントマーク54の位置を計測し、計測結果に基づいて電子線のドリフト量を算出して補正する。
【0049】
以下では、電子線描画装置100のステップ移動動作中におけるマーク計測用電子線53によるアライメントマーク54の位置計測について説明する。本実施形態で、主制御部26は、ブランキング偏向器6とブランキングアパーチャ7によりブランキング動作が実行されるステップ移動動作中に、アライメントマーク54に対してマーク計測用電子線53を走査させて位置計測を行う。上述したように、ステージ11によるステップ移動には、(1)〜(3)の3種類の動作があるが、本実施形態におけるアライメントマーク54の位置計測は、(1)のショット領域40内でのX方向への距離L6のステップ移動動作中に実行することが可能である。
【0050】
アライメントマーク54の位置計測においては、ステージ11によるステップ移動動作中に、ステージ11をZ方向に駆動させて基板10と静電レンズ9の距離を変化させ、電子検出器30により基板10からの二次電子を検出しても良い。ここで、ステージ11により基板10と静電レンズ9の距離をスキャン描画時に比べて近づける場合には、電子検出器30と基板10との距離が短くなる。このため、電子検出器30における基板10からの二次電子の検出感度を高めることができる。一方で、ステージ11により基板10と静電レンズ9の距離をスキャン描画時に比べて遠ざける場合には、電子検出器30によるXY平面上での二次電子の検出可能範囲が広くなる。このため、例えば、基板10の近傍や電子光学系80の周辺部に設置された電子検出器30により基板10からの二次電子を検出して、アライメントマーク54の位置を計測することが可能となる。なお、第1実施形態で説明したように、XY平面においてX方向に対して±45度傾いたハの字状のアライメントマーク54を配置して、マーク計測用電子線53を用いて電子線と基板10の相対位置(X、Y)を求めても良い。また、X方向へのステップ移動中に、偏向器8を用いて電子線をY方向に偏向させて、長手方向がY方向と一致するアライメントマーク54の位置を計測しても良い。
【0051】
続いて、本実施形態の電子線描画装置100におけるマーク計測用電子線53の設定方法について説明する。本実施形態においては、図6のS205に示すように、主制御部26により、電子線描画装置100における複数の電子線の中からマーク計測用電子線53を選んで設定する。前述のように、本実施形態においては、描画動作内のショット領域40内でのステップ移動の動作中にアライメントマーク54の位置計測を行う。このため、ステージ11の駆動データに基づいて、ステップ移動の動作の際に照射位置がアライメントマーク54上を通過する電子線をマーク計測用電子線53として選んで設定することが好ましい。
【0052】
以上より、本実施形態によれば、描画動作内のショット領域40内でのステップ移動動作中に、主制御部26は、設定されたマーク計測用電子線53をアライメントマーク54に照射して、アライメントマーク54の位置計測を行う。そして、主制御部26は、アライメントマーク54の位置計測結果に基づいて電子線のドリフト量を算出し、電子線と基板10の相対位置を補正する。これにより、本実施形態の電子線描画装置100は、従来のドリフト補正に比べて、アライメントマーク54の位置を計測位置へ移動させる時間とアライメントマーク54の位置計測を行う時間を短縮させることにより、スループットを向上させることができる。また、特許文献3に記載の従来の方法に比べて、描画用電子線と同一の電子光学系80における電子線を用いてドリフト量を計測するため、高精度なドリフト補正が実現可能であり、装置の高コスト化や大型化を回避することが出来る。
【0053】
ここで、本実施形態においては、ブランキング偏向器6とブランキングアパーチャ7によりブランキング動作が実行されるステップ移動動作中に、マーク計測用電子線53を用いてアライメントマーク54の位置を計測し、電子線のドリフトを補正する。第1実施形態においては、スキャン描画の動作中にアライメントマーク54の位置を計測するため、マーク計測用電子線53以外の電子線からの二次電子が同時に検出されてノイズとなる恐れがある。しかし、本実施形態においては、マーク計測用電子線53だけが基板10に照射されるため、電子検出器30におけるノイズを低減させることができる。これにより、本実施形態においては、第1実施形態に比べて精度良く電子線のドリフトを補正することができる。従って、本実施形態によれば、省スペース及び低コストで、高速かつ高精度に電子線とウエハの位置合わせが可能な電子線描画装置100を提供することができる。
【0054】
なお、ここまで主制御部26によりステップ移動動作中にマーク計測用電子線53を用いてアライメントマーク54の位置を計測する方法について説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、第1実施形態と第2実施形態に記載した方法を合わせて、Y方向へのスキャン描画とX方向へのステップ移動の動作中にアライメントマーク54の位置計測を行っても良い。
【0055】
[第3実施形態]
図7を用いて第3実施形態の電子線描画装置100について説明する。本実施形態においては、電子検出器30の構成に特徴があるため、その部分に特化して説明を行い、他の部分については第1実施形態と同様の構成であるため、説明を省略する。図7は、図1に示す電子線描画装置100における電子検出器30の別の構成を示す図である。静電レンズ9のうちで基板10に最も近く配置された静電レンズ(電子光学部材)9cの表面を検出面として、検出面により検出された二次電子信号を処理するための検出回路33が接続されている。検出回路33は、積分回路31とA/Dコンバータ32から構成される。静電レンズ9cの表面で検出された二次電子信号が積分回路31により一定時間の間に積算されて電圧信号に変換された後、A/Dコンバータ32を介してデジタル信号に変換されることにより、基板10からの二次電子の量を検出することができる。図7に示す検出回路33は、コンデンサ36に蓄積された電荷を放電するために、スイッチ34と抵抗35を備える構成となっている。
【0056】
本実施形態によれば、電子線描画装置100の描画動作中に静電レンズ9の表面で検出された二次電子に基づいて、アライメントマーク54の位置を計測する。そして、主制御部26は、アライメントマーク54の位置計測結果に基づいて電子線のドリフト量を算出し、電子線と基板10の相対位置を補正する。これにより、本実施形態においては、従来のドリフト補正に比べて、アライメントマーク54の位置を計測位置へ移動させる時間とアライメントマーク54の位置計測を行う時間を短縮させることにより、スループットを向上させることができる。また、特許文献3に記載の従来の方法に比べて、描画用電子線と同一の電子光学系80における電子線を用いてドリフト量を計測するため、高精度なドリフト補正が実現可能であり、装置の高コスト化や大型化を回避することが出来る。
【0057】
本実施形態においては、静電レンズ9の表面を検出面として基板10からの二次電子を検出するため、図1に示す電子線描画装置100のように静電レンズ9上に電子検出器30を備え付ける必要がない。また、基板10の近傍及び前記電子光学系80の周辺部にファラデーカップを配置する必要がない。このため、本実施形態においては、第1及び第2実施形態に比べて、電子検出器30に必要なコストを低減させることが可能である。また、電子線描画装置100における構成上の制約を減らし、例えば、電子検出器30の設置を回避することにより、静電レンズ9と基板10の距離を短縮させることが可能となる。従って、本実施形態によれば、省スペース及び低コストで、高速かつ高精度に電子線と基板10の位置合わせが可能な電子線描画装置100を提供することができる。
【0058】
[デバイス製造方法]
本発明の好適な実施形態のデバイス製造方法は、例えば、半導体デバイス、FPDのデバイスの製造に好適である。前記方法は、上記の電子線描画装置100を用いて感光剤が塗布された基板10にパターンを描画する工程と、前記パターンが描画された基板10を現像する工程とを含みうる。さらに、前記デバイス製造方法は、他の周知の工程(酸化、成膜、蒸着、ドーピング、平坦化、エッチング、レジスト剥離、ダイシング、ボンディング、パッケージング等)を含みうる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7