特許第5836005号(P5836005)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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特許5836005位置決め装置、露光装置及びデバイス製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5836005
(24)【登録日】2015年11月13日
(45)【発行日】2015年12月24日
(54)【発明の名称】位置決め装置、露光装置及びデバイス製造方法
(51)【国際特許分類】
   G03F 7/20 20060101AFI20151203BHJP
   H01L 21/68 20060101ALI20151203BHJP
【FI】
   G03F7/20 521
   H01L21/68 K
【請求項の数】12
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2011-177741(P2011-177741)
(22)【出願日】2011年8月15日
(65)【公開番号】特開2013-41979(P2013-41979A)
(43)【公開日】2013年2月28日
【審査請求日】2014年8月6日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100076428
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 康徳
(74)【代理人】
【識別番号】100112508
【弁理士】
【氏名又は名称】高柳 司郎
(74)【代理人】
【識別番号】100115071
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 康弘
(74)【代理人】
【識別番号】100116894
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 秀二
(74)【代理人】
【識別番号】100130409
【弁理士】
【氏名又は名称】下山 治
(74)【代理人】
【識別番号】100134175
【弁理士】
【氏名又は名称】永川 行光
(72)【発明者】
【氏名】小倉 匡博
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 敬恭
(72)【発明者】
【氏名】田村 泰之
【審査官】 佐野 浩樹
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−216866(JP,A)
【文献】 特開2004−215419(JP,A)
【文献】 特開平09−320934(JP,A)
【文献】 特開2005−260183(JP,A)
【文献】 特開平05−006850(JP,A)
【文献】 特開2010−238985(JP,A)
【文献】 特開2004−241478(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L21/027、21/30 、21/67 −21/683
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体の位置決め装置であって、
コイルを含む固定子と前記移動体に接続部材を介して接続された可動子とを有する駆動部と、
前記可動子の駆動範囲に亙って前記可動子と前記固定子とを収容し、前記可動子の駆動に伴う前記接続部材の移動を許容する開口部と前記駆動範囲の第1端部に対応する位置に配置された第1端部排気口及び前記駆動範囲の第2端部に対応する位置に配置された第2端部排気口を含む排気口とを有する筐体と、
前記筐体内の気体を前記排気口から排気する排気部と、
前記排気部を制御する制御部と、を有し、
前記固定子は、冷媒により前記コイルを冷却する冷却手段を含み、
前記制御部は、前記可動子が前記駆動範囲の前記第1端部側を前記第1端部に向けて駆動されるに、前記第1端部排気口からの排気量を前記可動子が前記駆動範囲の中央に位置するときよりも増加させるように前記排気部を制御すことを特徴とする位置決め装置。
【請求項2】
移動体の位置決め装置であって、
前記移動体に接続部材を介して接続された可動子と、前記可動子の駆動範囲に亙って前記可動子を収容し且つ前記可動子の駆動に伴う前記接続部材の移動を許容する開口部と前記駆動範囲の第1端部に対応する位置に配置された第1端部排気口及び前記駆動範囲の第2端部に対応する位置に配置された第2端部排気口を含む排気口とを有する筐体を成す固定子と、を有する駆動部と、
前記筐体内の気体を前記排気口から排気する排気部と、
前記排気部を制御する制御部と、を有し、
前記固定子は、コイルと、該コイルを冷媒により冷却する冷却手段とを含み、
前記制御部は、前記可動子が前記駆動範囲の前記第1端部側を前記第1端部に向けて駆動されるに、前記第1端部排気口からの排気量を前記可動子が前記駆動範囲の中央に位置するときよりも増加させるように前記排気部を制御すことを特徴とする位置決め装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記可動子が前記駆動範囲の前記第1端部側を前記第1端部に向けて駆動されるに、前記第2端部排気口からの排気量を前記可動子が前記駆動範囲の中央に位置するときよりも減少させるように前記排気部を制御する、ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の位置決め装置。
【請求項4】
移動体の位置決め装置であって、
コイルを含む固定子と、前記移動体に接続部材を介して接続された可動子と、を有する駆動部と、
前記可動子の駆動範囲に亙って前記可動子と前記固定子とを収容し、前記可動子の駆動に伴う前記接続部材の移動を許容する開口部と、前記駆動範囲の第1端部に対応する位置に置された第1端部排気口及び前記駆動範囲の第2端部に対応する位置に配置された第2端部排気口を含む排気口と、を有する筐体と、
前記筐体内の気体を前記排気口から排気する排気部と、
前記排気部を制御する制御部と、を有し、
前記固定子は、冷媒により前記コイルを冷却する冷却手段を含み、
前記制御部は、前記可動子が前記第1端部に向けて駆動される間に前記第1端部排気口からの排気量を増加させるように前記排気部を制御することを特徴とする位置決め装置。
【請求項5】
移動体の位置決め装置であって、
前記移動体に接続部材を介して接続された可動子と、前記可動子の駆動範囲に亙って前記可動子を収容し且つ前記可動子の駆動に伴う前記接続部材の移動を許容する開口部と前記駆動範囲の第1端部に対応する位置に配置された第1端部排気口及び前記駆動範囲の第2端部に対応する位置に配置された第2端部排気口を含む排気口とを有する筐体を成す固定子と、を有する駆動部と、
前記筐体内の気体を前記排気口から排気する排気部と、
前記排気部を制御する制御部と、を有し、
前記固定子は、コイルと、該コイルを冷媒により冷却する冷却手段を含み、
前記制御部は、前記可動子が前記第1端部に向けて駆動される間に前記第1端部排気口からの排気量を増加させるように前記排気部を制御することを特徴とする位置決め装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記可動子の位置及び駆動方向に応じて前記第1端部排気口からの排気量を制御することを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の位置決め装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記可動子の位置に基づいて前記第1端部排気口からの排気量と前記第2端部排気口からの排気量の比を制御することを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の位置決め装置。
【請求項8】
前記排気口は、前記第1端部と前記第2端部との間に配置された少なくとも1つの中央部排気口を有することを特徴とする請求項1乃至請求項のいずれか1項に記載の位置決め装置。
【請求項9】
前記制御部は、前記可動子が駆動されている間の前記排気口からの排気総量が所定の値になるように前記排気部を制御することを特徴とする請求項1乃至請求項8のいずれか1項に記載の位置決め装置。
【請求項10】
基板を露光する露光装置であって、
前記基板を保持して移動可能なステージと、
該ステージを位置決めする請求項1乃至請求項のいずれか1項に記載の位置決め装置と、を有することを特徴とする露光装置。
【請求項11】
前記ステージの位置を計測する干渉計と、
温調された気体を前記ステージに向けて供給する供給部と、をさらに備え、
前記排気部は前記供給部から供給された気体を排気し、
前記制御部は、前記第1端部排気口および前記第2端部排気口のうち前記温調された気体の流れ方向の上流側に配置された端部排気口からの排気量が、前記流れ方向の下流側に配置された端部排気口からの排気量より大きくなるように、前記排気部を制御することを特徴とする請求項10に記載の露光装置。
【請求項12】
請求項10又は11に記載の露光装置を用いて基板を露光する工程と、
前記工程で露光された基板を現像する工程と、
を含むことを特徴とするデバイス製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、位置決め装置、露光装置及びデバイス製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、露光装置は、可動子と固定子である駆動部と、該駆動部によって移動するステージの位置を計測するためのレーザー干渉計と、該レーザー干渉計の計測光の光路に温調された気体を供給する供給部とその気体を回収する回収部とを有する。数ナノメートルレベルの位置決め精度が要求される露光装置では、温度、湿度、圧力等、露光装置内の環境を一定に制御する必要がある。そのため、温度等が高精度に管理された気体を気体供給部から装置内全体に一方向に流し、環境の変化を抑制している。
【0003】
露光装置では基板が保持される基板ステージの駆動装置として、非接触で駆動できるリニアモータが多く使用されている。リニアモータは一般に通電によって発熱するコイルを使用しているが、この発熱は非常に大きく、露光装置内での主要な熱源の一つである。そのため温度が一定に制御された環境内で使用するには、リニアモータにおいても発熱量を抑制する必要がある。そこでコイルをジャケット内に収容し、冷媒を流すことによってコイルの発熱を回収する技術が広く用いられている。しかしながら、コイルの熱を十分回収し、かつ、リニアモータの表面温度を一様に保つことは難しい。特許文献1には、駆動部をステージ空間と分離するために筐体で囲い、さらにその筐体から排気ダクトを介して排気することで冷媒では取りきれなかった熱により温まった雰囲気がステージ空間に漏れ出すことを抑制する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−216866号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示される従来技術では、可動子とステージは接続部材によって接続され、接続部材の移動範囲に沿って筐体に開口部を設けている。そのため、接続部材が開口部を高速で移動することで開口部周辺の気体が乱され、駆動部の発熱によって温められた気体がステージ空間へ漏れ出してしまう。さらに、可動子が高速に筐体の端部へ移動することで筐体と可動子との間の気体が圧縮され、開口部の端部から温められた気体が押し出されてしまう。露光装置ではスループット向上の目的でステージの高速化、高加速度化が進んでおり、これらのステージ空間への温められた気体の漏れ出しの可能性がさらに高まると考えられる。
【0006】
このステージ空間への温められた気体の漏れを防止するために、駆動部を囲う筐体からの排気量を大きくすることが考えられる。しかしながら、排気量を大きくすればするほど、気体の供給部によるステージ空間を空調するための流れを乱し、干渉計光路上の空気に揺らぎを生じさせてしまう。さらに排気量の増大のために、露光装置の空調設備も大型化し、装置コストの上昇も招きうる。このように高速化に対応した駆動部の排気を十分に確保できないと駆動部を囲う筐体からステージ空間へ温められた気体が漏れてしまう。その温められた気体は、気体の供給部から供給される気体の流れにのってステージ近傍にまで流れ込む。更にステージの駆動に伴いその淀んだ気体が巻き上がって装置全体へと拡がり、レーザー干渉計に影響を与える。
【0007】
本発明は、上記の課題に鑑みなされたものであり、移動体を駆動する駆動部でめられた気体の移動体側への押し出しを低減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の1つの側面は、移動体の位置決め装置であって、コイルを含む固定子と前記移動体に接続部材を介して接続された可動子とを有する駆動部と、前記可動子の駆動範囲に亙って前記可動子と前記固定子とを収容し、前記可動子の駆動に伴う前記接続部材の移動を許容する開口部と前記駆動範囲の第1端部に対応する位置に配置された第1端部排気口及び前記駆動範囲の第2端部に対応する位置に配置された第2端部排気口を含む排気口とを有する筐体と、前記筐体内の気体を前記排気口から排気する排気部と、前記排気部を制御する制御部と、を有し、前記固定子は、冷媒により前記コイルを冷却する冷却手段を含み、前記制御部は、前記可動子が前記駆動範囲の前記第1端部側を前記第1端部に向けて駆動されるに、前記第1端部排気口からの排気量を前記可動子が前記駆動範囲の中央に位置するときよりも増加させるように前記排気部を制御すことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、移動体を駆動する駆動部でめられた気体の移動体側への押し出しを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】露光装置の上面図である。
図2】実施例1に係る端部排気口の流量制御を示す図である。
図3】実施例2に係る端部排気口の流量制御を示す図である。
図4】実施例2に係る端部排気口の流量制御を示す図である。
図5】実施例3に係る端部排気口の流量制御を示す図である。
図6】実施例4に係る端部排気口の流量制御を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施例について、添付図面を参照しながら詳細に説明する。尚、以下の実施例で説明される形態は一例であり、装置の構成や各種条件によって適宜修正または変更されるべきものである。図1は、露光装置の基板ステージに使用可能な、リニアモータを備えた位置決め装置の概略構成図である。
【0012】
位置決め装置は、ステージ定盤13とステージ2とを有する。ステージ(移動体)2を駆動するリニアモータ(駆動部)は、コイル4を有する固定子3と、磁石6を有する可動子5とを有する。コイル4に適切な位相で電流を流すことにより、磁石6にローレンツ力が作用して可動子5に推力が生じる。パターンが転写又は描画される基板12はステージ2に搭載されるチャック(不図示)の上に保持される。ステージ2は、その周囲4方向に配置された上記リニアモータと接続部材10を介して接続され、リニアモータの駆動に伴って移動可能である。
【0013】
固定子3には少なくとも一つの冷媒流路(不図示)が形成されており、発熱体であるコイル4が発生するジュール熱を冷媒によって回収する。また、固定子3の外側には、可動子5の駆動範囲に亙って可動子5と固定子3とを収容する筐体7が配置されており、冷媒で回収しきれなかった熱が周辺環境に影響を与えることを抑制している。さらに、筐体7は排気ダクトに接続する排気口8を有し、筐体7の内部のコイル4によってめられた気体を強制的に装置外へと排気している。筐体7はその表面に温調用流路(不図示)を設けて冷媒を流し、温調することができる。固定子3が可動子5を両側から挟みこむようにコの字状に配置される場合、固定子3が筐体7の役割を担っていてもかまわない。
【0014】
可動子5とステージ2とは接続部材10を介して接続されることで、可動子5の駆動力をステージ2に伝達している。筐体7はその接続部材10の移動範囲Lに接続部材10の移動を許容する開口部11を有し、開口部11により筐体7がステージ2の移動を妨げることはなく、ステージ空間の空気を筐体7の内部に取り込み、リニアモータ自身の冷却の役割も担う。ステージ装置は、レーザービーム15を出射しステージ2の位置を計測する干渉計14と、ステージ2に設けられレーザービーム15を干渉計14に向けて反射する反射ミラー9とを有する。干渉計14は、反射ミラー9にレーザービーム15を投光し、反射ミラー9から反射するレーザービーム15を受光することによりステージ2の位置を計測する。
【0015】
ステージ空間には供給部1から温調された気体が送風されている。供給部1は、ステージ定盤13に対してほぼ水平に気体を流すサイド・フロー方式のものを示していて、−y方向へ温調された気体を供給している。回収部17は、供給部1に対向する位置に設置され、供給部1からの気体を回収する。これらの空調装置は、ステージ空間内に−y方向に一様な気体の流れをつくることで、ステージ空間内の温度、圧力、湿度を一定に保ち、干渉計14のゆらぎを低減させている。
【0016】
リニアモータからの発熱対策として、駆動部を筐体7で囲い、さらに筐体7の内部から熱を強制排出しているのは前述の通りである。しかし、それでも筐体7の内部から熱によって温まった空気が開口部11からステージ空間へ漏れ出る恐れがある。可動子5が筐体7の端部で駆動方向を反転させるときに、当該端部と可動子5とで挟まれた気体が圧縮され、開口部11を通ってステージ空間に押し出されてしまうからである。そのために、駆動部を囲う筐体7には可動子5の駆動範囲の2つの端部(第1端部、第2端部)に端部排気口8を配置して、筐体7の開口部11の端部からの熱漏れを抑制している。
【0017】
[実施例1]
図2の(a)は、実施例1のステージ2の1つの駆動部を示している。可動子5の駆動範囲Lにおける第1端部Ea、第2端部Ebに対応した筐体7の位置に、筐体7の内部の気体を排出する端部排気口8a(第1端部排気口)端部排気口8b(第2端部排気口)が設置されている。端部排気口8a、8bにはそれぞれ流量制御弁16a、16bが接続され排気量の制御が可能となっている。制御部Cは、可動子5の位置と駆動方向に応じて、流量制御弁16a、16bにより端部排気口8a、8bからの排気量を制御することで、より低流量の排気量で筐体7からの温まった空気の漏れを抑制する。制御部Cは、ステージ2の位置に応じて連続的に端部排気口8a、8bからの排気量を制御してもよいし、駆動範囲Lにおいて段階的に流量を制御してもよい。排気量の制御は、可動子5が駆動している間中、常に行われ、排気量の最適化を行っている。
【0018】
図2の(b)は、制御部Cの流量制御弁16による端部排気口8a、8bからの排気量制御の一例を示すフローチャートである。まず制御部Cは、干渉計14によるステージ2の位置情報から可動子5が駆動範囲L内の端部Ea側(第1端部側)の領域la、端部Eb側(第2端部側)の領域lbのいずれにあるかを判断する。次いで、制御部Cは、可動子5の駆動方向を判断する。可動子5の端部に向けて駆動される場合には、当該端部排気口からの排気量を可動子5が駆動範囲の中央に位置するときよりも増加させる。逆に可動子5の駆動方向が端部から中心へ向かう場合や可動子5自体が静止している場合には端部排気口からの排気量を減少させる。可動子5が駆動範囲L内で往復駆動するときに、端部排気口からの排気量は増減を繰り返し、筐体7の開口部11から押し出される気体を効率的に抑制する。実施例1において排気口に接続された配管、流量制御弁16a,16b、図示しない排気ダクトは、筐体7内の気体を排気口から排気する排気部を構成している。
【0019】
[実施例2]
図3図4を用いて実施例2における筐体7からの排気量制御を説明する。なお、これらの図において、上述した実施例1の構成要素と同一の要素については同一符号を付し、その説明を省略する。筐体7の一方の端部と可動子5との距離をa、その端部に近い側の排気口を端部排気口8a、他方の端部と可動子5との距離をbとし、他方の端部に近い側の排気口を端部排気口8bとする。制御部Cは、ステージ2の位置情報に基づいて距離a、bを算出し、距離a,bの比率に応じて各端部排気口8a,8bの排気量比を制御する。制御部Cが可動子5との距離が近い側の端部排気口が遠い側の端部排気口よりも排気量が大きくなるように制御することで、筐体7の開口部11の端部から温まった気体がステージ空間へ漏れ出ることを抑制することができる。この排気量制御は可動子5が駆動している間中、常に行われ、排気量の最適化を行っている。また簡易的な制御方法として単純に各端部排気のオンオフの切り替え、つまり、可動子5に近い側の端部排気口では排気し、遠い側の端部排気口では排気を止めてしまうという制御でも良い。
【0020】
図3の(b)は、制御部Cによる排気量制御の一例を示すフローチャートである。まず制御部Cは、可動子5から筐体7の両端部への各距離a,bをステージ2の位置情報から算出する。ステージ2の位置情報は先に述べたように干渉計14によって計測される。次に、制御部Cは、その値a,bに対して、a/bという演算を行い、その値をcとし、cの大小関係に応じて3パターンの排気量制御を行う。
【0021】
具体的な例を図4に示す。図4の(a)に示すように、c(=a/b)が一定値c1以上であれば、端部排気口8aqからの排気量が端部排気口8bからの排気量よりも大きくなるように流量制御弁16a、16bを制御する。この場合。端部排気口8bを止めてしまっても構わない。一方、図4の(b)に示すように、c(=a/b)が一定値c2以下の値であれば、端部排気口8aからの排気量よりも端部排気口8bからの排気量が大きくなるように流量制御弁16a、16bを制御する。この場合も端部排気口8aを止めてしまっても構わない。図4の(c)は、c1<c(=a/b)<c2つまり可動子5が筐体7の駆動範囲の中央に位置するときの状況を示している。この場合、可動子5は筐体7の両端部と十分な距離が確保されているために、開口部11の端部からの温まった雰囲気の漏れだしは生じない。そのため、装置のバランスを保つために両方の端部排気口8a、8bから筐体7の内部の気体を同等に排気していることが特徴である。
【0022】
可動子5が駆動している間これらの制御を逐次繰り返すことで、より少ない排気量で、可動子5が筐体7の3端部を駆動する際に生じるステージ空間への熱漏れを抑制することが可能となる。c1、c2は装置のサイズや駆動条件に基づいて算出される評価値であり、装置ごとや駆動条件に応じて設定する。各端部排気口8a、8bは同じ排気配管に接続し、排気総量(各排気口の流量和)が一定となるよう構成しても良い。これにより、装置全体としての風量バランスを崩すことなく制御可能となる。
【0023】
[実施例3]
図5を用いて実施例3を示す。なお、これらの図において、実施例1、実施例2では、1つの筐体7に2つの端部排気口8a、8bを設ける構成としたが、本実施例3では筐体7の端部排気口8a、8bに加えて少なくとも1個以上の中央部排気口8cが設けられている。中央部排気口8cは2つの端部排気口8a、8bの間に配置され、端部排気口8a、8bと同様に筐体内部の気体を外部に強制排気している。これら全ての排気口の流量は制御可能であり、同じ排気ダクトに接続され、排気総量が一定としてもよい。
【0024】
実施例2と同様に、制御部Cは、可動子5から筐体7の両端部の各距離a、bをステージ2の位置情報から算出する。次に、制御部Cは、c=a/bの値を求め、cの大小関係に応じて、3パターンの排気量制御を行う。図5の(b)のように、c(=b/a)が一定値c1以上であれば、端部排気口8aからの排気量を端部排気口8bからの排気量より大きくする。端部排気口8bからの排気を止めてしまってもよい。図5の(c)に示されるように、cが一定値c2以下の場合、制御部Cは、端部排気口8aからの排気量よりも端部排気口8bからの排気量が大きくなるように流量制御弁16a、16bを制御する。この場合も端部排気口8aを止めてしまってもよい。図5の(d)にように、可動子5が中央部に存在している場合(c1<c<c2)、端部排気口8aの排気量と端部排気口8bの排気量はほぼ同じとするが、その排気量はどちらも0でも構わない。これは可動子5が筐体7の中央部に位置している時には、中央部排気口8cからの排気で十分ステージ空間への熱漏れが抑えられるためである。
【0025】
[実施例4]
図6には実施例4の位置決め装置の概略構成図を示す。位置決め装置は、ステージ2を挟むように、通常2つ又は4つの駆動部が設置される。図6では、ステージ2の周囲に4つの駆動部が設置されている。ステージ空間全体を温調された気体を供給する供給部1は、ステージ定盤13に対してほぼ水平に気体を流すサイド・フロー方式のものであり、ステージ定盤13の一方の端部に設置される。ステージ2を挟んで供給部1に対向する位置に気体を回収する回収部17が配置され、ステージ周りの気体は、供給部1から回収部17に向かう一方向の流れ方向に沿って流れる。ステージ2の位置は2つの干渉計14により測定され、各干渉計14の測定方向がステージ2の駆動方向に対して平行するように配置されている。
【0026】
このとき、干渉計14の光軸との位置関係に応じて各端部排気口の排気量を規定することで、筐体7の開口部11から漏れる温まった空気の干渉計光路15への影響を抑えることができる。図6では、干渉計14の光軸より供給部1から供給される気体の流れ方向の上流側に配置された端部排気口からの排気量を下流側に配置された端部排気口からの排気量よりも大きくしている。つまり、干渉計14の光路(光軸)15の上流側に位置する筐体7の開口部11から漏れ出した熱が、供給部1の流れにのって干渉計光路15に流入することを抑えている。各端部排気口の排気量をそれぞれq1_a〜 q4_bとすると、排気量q1_a〜 q4_bを以下の関係を満たすように制御する。下式の例では、より上流側の端部排気口からの熱漏れほどステージ全体空間への影響が大きいため、より上流側の端部排気口からの排気量を大きくしている。
q1_a,q1_b>q2_a,q3_b>q2_b,q3_a>q4_a,q4_b
実施例4では各端部排気口からの排気量は上記の式における流量の大小の関係を維持しつつ、実施例1〜3で示したようにステージ2の駆動とともにその排気量を制御することができる。また、ステージ装置内に複数の熱源が存在し、その各熱源に対して局所排気口が配置されているときも同様に供給部1、回収部17、干渉計14の光軸の位置に応じて局所排気口ごとの排気量の大小を変えることが好ましい。一般的に露光装置内の上流側の熱源としてはレチクルステージ空間における照明系や、ウエハステージ空間におけるアライメントユニットなどが、それにあたる。
【0027】
[デバイス製造方法]
本発明の好適な実施形態のデバイス製造方法は、例えば、半導体デバイス、FPDのデバイスの製造に好適である。前記方法は、感光剤が塗布された基板を、上記の露光装置を用いて露光する工程と、前記露光された基板を現像する工程とを含みうる。さらに、前記デバイス製造方法は、他の周知の工程(酸化、成膜、蒸着、ドーピング、平坦化、エッチング、レジスト剥離、ダイシング、ボンディング、パッケージング等)を含みうる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6