特許第5836016号(P5836016)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5836016
(24)【登録日】2015年11月13日
(45)【発行日】2015年12月24日
(54)【発明の名称】水電気分解装置
(51)【国際特許分類】
   C25B 9/00 20060101AFI20151203BHJP
   C25B 11/03 20060101ALI20151203BHJP
   C25B 11/10 20060101ALI20151203BHJP
【FI】
   C25B9/00 A
   C25B11/03
   C25B11/10 C
   C25B11/10 Z
   C25B11/10 A
【請求項の数】9
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2011-188153(P2011-188153)
(22)【出願日】2011年8月31日
(65)【公開番号】特開2013-49888(P2013-49888A)
(43)【公開日】2013年3月14日
【審査請求日】2014年8月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005108
【氏名又は名称】株式会社日立製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100100310
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 学
(74)【代理人】
【識別番号】100098660
【弁理士】
【氏名又は名称】戸田 裕二
(74)【代理人】
【識別番号】100091720
【弁理士】
【氏名又は名称】岩崎 重美
(72)【発明者】
【氏名】杉政 昌俊
【審査官】 川崎 良平
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−100187(JP,A)
【文献】 特開平07−090665(JP,A)
【文献】 特開昭62−182294(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C25B 9/00,11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水を電気分解して水素と酸素を得る水電解分解装置において、
水の電気分解により水素を発生させる水素発生極と、
水の電気分解により酸素を発生させる酸素発生極と、
酸素発生極と対応して設置された二重層キャパシタ用陰極と、
前記水素発生極、前記酸素発生極、前記二重層キャパシタ用陰極、及び、電解液を収容する電解槽と、を備え、
前記酸素発生極を二重層キャパシタ用陽極として用いて、前記酸素発生極および前記二重層キャパシタ用陰極で二重層キャパシタを構成し、
前記水素発生極および前記酸素発生極で構成される水電気分解セルと前記二重層キャパシタが電気的に並列に接続された構成を備える水電気分解装置。
【請求項2】
請求項1において、前記酸素発生極および前記二重層キャパシタ用陰極は、基板の表面に金属酸化物が担持された構成であることを特徴とする水電気分解装置。
【請求項3】
請求項2において、前記金属酸化物が非晶質であることを特徴とする水電気分解装置。
【請求項4】
請求項1において、前記水素発生極と前記酸素発生極の間、および、前記酸素発生極と前記二重層キャパシタ用陰極の間に、電極間の短絡を防ぐ隔壁を有することを特徴とする水電気分解装置。
【請求項5】
請求項1において、前記二重層キャパシタ用陰極の水素発生過電圧が、前記水素発生極の水素発生過電圧よりも50〜500mV高いことを特徴とする水電気分解装置。
【請求項6】
請求項2において、前記基板Tiであり、前記金属酸化物がMn、Ru、Irのいずれかの酸化物の組み合わせからなることを特徴とする水電気分解装置。
【請求項7】
請求項2において、前記酸素発生極を構成する前記基板がTiであり、前記金属酸化物がMnとIrの非晶質体酸化物であることを特徴とする水電気分解装置。
【請求項8】
請求項2において、前記基板がTiであり、前記基板の形状が網、パンチメタル、エキスパンドメタル、多孔体のいずれかであることを特徴とする水電気分解装置。
【請求項9】
請求項1において、前記水素発生極、前記酸素発生極、前記二重層キャパシタ用陰極、及び、電解液を収容する電解槽を複数備え、それらが電気的に直列に接続されていることを特徴とする水電気分解装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二重層キャパシタを備えた水電気分解装置に関する。
【背景技術】
【0002】
化石燃料の大量消費による環境への悪影響およびエネルギー源の枯渇が懸念されるなか、化石燃料に代わって次世代を担うエネルギー源として水素が注目されている。水素は使用後に水しか排出しないため、環境負荷の少なく、水の電気分解により場所を選ばずに生産できる偏りのないクリーンで資源問題のない新たなエネルギー源と考えられている。
【0003】
水素の製造に関しては、炭化水素の水蒸気改質、水の光触媒分解反応、微生物反応、水の電気分解反応など多数の手法が存在する。特に水の電気分解は太陽光発電や風力発電など再生可能エネルギー由来の電力を用いれば、製造時の二酸化炭素排出量も極めて低レベルに抑えられるため、真にクリーンなエネルギー製造方法として注目されている。
【0004】
再生可能エネルギー由来の電力は出力が変動するため、これまで系統電力などの一定出力での利用が一般的であった水電気分解装置に直接連結すると電流集中による電極の破損や圧力上昇に伴う隔壁やセルの破壊等の様々な不具合が生じると予想される。例えば、特許文献1等のように再生可能エネルギー発電機と水電気分解装置の間に蓄電設備を設置することで、電力を一定にすることは可能である。しかし、設備コストが増し、制御法が複雑になるなどの問題点が残る。そこで、単独で再生可能エネルギー発電所向けとして変動電力利用に対応した装置が必要とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−257443号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
一般的に水の電気分解反応は、水分子の拡散や発生したガス泡沫の拡散など物質拡散が伴う反応であり、ミリ秒単位で変動する電力に対応することは難しい。特に急激な電力上昇が生じた場合、酸素発生極側での酸素発生反応が追随できず、電圧が想定以上に上昇し、酸素発生極側の溶解や破壊などの問題が生じると予想される。
【0007】
また水電解装置における酸素発生極は、二重層容量の大きな金属酸化物から形成されているため、水の電解反応が進行する前に酸素発生極の二重層容量の充電が必要になる。この充電による過渡応答性と入力電力の変動特性にずれがある場合、制御機器や発電機、電気分解装置に負荷がかかり故障の原因となる。
【0008】
電力変動を平準化するため、応答性に優れた二重層キャパシタやLi蓄電池を別途設置した場合、設置コストが増加する。また水電解装置と蓄電池を個別に制御する必要があるため制御法が難しくなる。
【0009】
本発明は、以上の問題点を踏まえ、水電気分解反応における過渡応答性を抑制し、簡便な制御で変動電力の入力にも対応可能な水電気分解装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、水を電気分解して水素と酸素を得る水電解分解装置において、水の電気分解により水素を発生させる水素発生極と、水の電気分解により酸素を発生させる酸素発生極と、酸素発生極と対応して設置された二重層キャパシタ用陰極と、前記水素発生極、前記酸素発生極、前記二重層キャパシタ用陰極、及び、電解液を収容する電解槽と、を備え、前記酸素発生極を二重層キャパシタ用陽極として用いて、前記酸素発生極および前記二重層キャパシタ用陰極で二重層キャパシタを構成し、前記水素発生極および前記酸素発生極で構成される水電気分解セルと前記二重層キャパシタが電気的に並列に接続された構成を備える水電気分解装置を特徴とする。
【0011】
一枚の陽極に対し、二重層キャパシタ用陰極と水電解用の水素発生極をそれぞれ対向して設置し、並列に接続することで、応答性の速い二重層キャパシタを一体化した変動電力対応型水電気分解装置を提供できる。この際、陽極は水電解用の酸素発生極および二重層キャパシタ用の陽極として機能する。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、二重層キャパシタと水電気分解装置を一体化することで設置コストや電極コストを低減することが可能となる。また陽極を共通化することで水電気分解反応における過渡応答性を抑制し、簡便な制御で変動電力の入力に対応可能となり、水電気分解装置の劣化抑制、低コスト化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の水電気分解装置の電極設置構成図と接続模式図。
図2】本発明の金属酸化物を担持した電極の構造断面模式図。
図3】本発明におけるMnとIrの非晶質体酸化物を担持した電極表面の光学顕微鏡像を示す図。
図4】本発明におけるMnとIrの非晶質体酸化物を担持した電極表面のXRD計測結果を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明は、水電気分解装置であり、一枚の陽極に対し、二重層キャパシタ用陰極と水電解用の水素発生極をそれぞれ対向して設置し、並列に接続することで、水電気分解と二重層キャパシタを一体化したことを特徴とする。
【0015】
本発明の水電気分解装置は、水素発生極と、酸素発生極と、酸素発生極と対応して設置された二重層キャパシタ用陰極と、前記水素発生極、前記酸素発生極、前記二重層キャパシタ用陰極、及び、電解液を収容する電解槽と、を備え、前記酸素発生極を二重層キャパシタ用陽極として用いて、前記酸素発生極および前記二重層キャパシタ用陰極で二重層キャパシタを構成し、前記水素発生極および前記酸素発生極で構成される水電気分解セルと前記二重層キャパシタが電気的に並列に接続された構成を備える。
【0016】
酸素発生極および二重層キャパシタ用陽極の電極には金属酸化物を用いることが好ましい。金属酸化物からなる電極を用いた二重層キャパシタは応答が速く、大容量であるため、短時間で急激に出力電力が変動する風力発電機などの再生可能エネルギー発電機との連携に好適である。
【0017】
一般的に水電気分解装置と二重層キャパシタを並列に接続した回路では、本来それぞれの陽極と陰極の計4枚の電極が必要となる。一方、水電気分解反応の陽極、すなわち酸素発生極では金属酸化物が利用される。金属酸化物には電解液との界面で電荷が貯まる二重層容量以外に、水酸化物への変化など価数の変化による疑似容量が存在し、あわせて大容量の電荷を貯めることができる。そのため、金属酸化物をキャパシタ用の電極として用いることも可能である。そこで、本発明では水電解分解反応の酸素発生極と二重層キャパシタの陽極を同一の電極とすることで、3枚の電極で水電気分解反応と二重層キャパシタを実現し、さらに同一の槽内に一体化することを可能とした。
【0018】
また、一般的な水電解分解反応において、キャパシタ容量を有する酸素発生極では電圧を印加すると電荷の充電が終了するまで、酸素発生が生じない。本発明では、酸素発生極を二重層キャパシタの陽極とすることで、水電気分解反応が生じない電圧領域でも電荷の充電が可能となるため、水電気分解反応の開始が円滑になり、急激な電圧の変動に対する応答性を向上できる。
【0019】
さらに、本発明による二重層キャパシタを一体化した水電気分解装置では、電解槽を直列に接続した場合に各槽の電圧の差を二重層キャパシタが吸収するため、水電気分解用の電極に過剰な負荷がかからず、劣化を抑制する効果が見込まれる。一般的な水電気分解装置では電解槽を直列に接続した際に、各槽の電極性能がわずかでも異なると、最も性能の劣る電解槽に高電圧がかかり、電極を劣化させる。したがって、本発明によれば電解槽を連結した大型装置の構築が容易になるという効果を有する。
【0020】
本発明では同一の浴槽に一体化した水電気分解用の電極と二重層キャパシタの電極を並列回路で接続する。これにより、瞬間的な電力変動は応答性の速い二重層キャパシタ電極に流れるため、風力発電機のように頻繁に短時間で出力が変動する発電機に接続することが可能となる。
【0021】
水電気分解用の電極と二重層キャパシタ用の電極との接続は、スイッチなどで機械的に切り替えてもよいが、電極材料の特性を活用することで自動切り替えも可能である。本発明では、二重層キャパシタの陰極に用いる電極の水素発生過電圧が、水電気分解における水素発生極の水素発生過電圧に比べ50mVから500mV高いことを特徴とする。これにより、水電気分解反応が進行しない1.48Vより低い電圧領域では二重層キャパシタの充放電反応が進行するが、電圧が上昇すると過電圧の低い水素発生極における水素発生反応が主となり、自動的に水電気分解反応へと反応が切り替わる。酸素セル側に設置した二重層キャパシタの陰極で水素発生反応が進行すると、酸素発生反応に悪影響を及ぼすため、二重層キャパシタの陰極の水素発生過電圧は高ければ高い方がよいが、水電解反応を優先的に進めるには過電圧に差があればよく、50mVから500mV程度の過電圧の差があれば十分であり、100mVから300mVの差があればなおよい。
【0022】
酸素発生極及び二重層キャパシタ用陰極は、基板表面に金属酸化物を担持した構成とする。担持する金属酸化物としては、Ni、Ru、Ir、Ti、Sn、Mo、Ta、Nb、V、Fe、Mnといった金属、もしくはいずれかからなる合金の酸化物が挙げられる。酸素発生反応に用いる酸素発生極としては触媒活性の高いNi、Ru、Ir、Fe、Mnを利用することが好ましい。また二重層キャパシタに用いる電極としては疑似容量の大きなRu、Ir、Sn、Mo、V、Mnがよい。水素発生極と対向して設置する陽極は、酸素発生反応と二重層キャパシタ充放電反応を同一の電極で行うため、双方の反応に適したRu、Ir、Mnを利用するとよい。ただし貴金属であるRu、Irは高コストになるため、Mnを主体とし、Ru、Irを付加することが好ましい。二重層キャパシタ充放電反応のみに利用する二重層キャパシタ用陰極はRu、Ir、Sn、Mo、V、Mnのいずれを用いてもよい。
【0023】
担持する金属酸化物の形態は特に制限するものではないが、非晶質であることが望ましい。結晶構造では特定の結晶面によって反応性が異なる、溶解性が異なるなどの問題があるため、均一で耐食性のある電極を形成するためには金属酸化物は非晶質であることが好ましい。
【0024】
酸素発生極及び二重層キャパシタ用陰極を構成する電極の基板としては、導電性を有する材料であれば良いが、耐食性に優れるTiを用いることが好ましい。電極性能を高めるため、Tiは高比表面積であることが望ましい。このため、基板としてはTiの多孔体や網、不織布、パンチングメタル、エキスパンドメタルなどを用いるとよい。特に酸素発生反応に用いる電極には、発生する泡の脱離が容易である網、パンチングメタル、エキスパンドメタルを用いるとよい。
【0025】
電極の作製方法については、上記の構成が実現できれば良く、特に制限するものではない。たとえば、Mn、Ir、Ruの塩を含む水溶液中でのカソード析出、アノード析出などの湿式法でも担持可能であり、Mn、Ir、Ruの塩を溶液中に溶解し、塗布焼成する乾式法でも担持可能である。
【0026】
水素発生極は水を還元して水素を発生させる反応を促進する役割を有している。水素発生極は高比表面積が好ましく、多孔体や網状、不織布状であるとより好ましい。さらに表面にナノ構造体などを作製するとよい。また、水素発生極はキャパシタ用電極の陰極に比べ水素発生過電圧が50mVから500mV低いことが好ましい。このような電極材料としてはIr、Mn、Ruの酸化物より水素発生過電圧の小さなPt、Rh、Irなどの白金族を利用することが好ましい。また白金族はコスト高であるため、より安価なNiを用いてもよく、白金族と合金化して用いても良い。
【0027】
本発明の水電気分解装置において、電極以外の部材は特に規定するものではないが、電解液に関しては抵抗が低く、腐食性の低いものがよい。一般的なアルカリ水電気分解装置で用いられる、水酸化ナトリウムや水酸化カリウムの水溶液を用いるとよい。電極間に設けられる隔壁の材料としては、特に規定されないが、水溶液に溶解しない安定性の高い樹脂が好ましい。ポリイミド、ポリエチレンなどが例として挙げられる。樹脂の場合、イオンが内部を移動できるように多孔体、スポンジ状であることが必要である。また電解質と隔壁の特性を併せ持つイオン導電性樹脂を利用しても良い。特にプロトン導電性樹脂を利用した場合、酸素発生極側は水溶液、水素発生極側には水が必要なく、純粋な水素のみになるため気液分離の必要がなく、発電も容易になる。なお、本発明の水電気分解装置においては、水素発生極と酸素発生極の電極間に加え、キャパシタ用の電極間にも短絡を防ぐ隔壁が設けられ、同様の材料を使用することができる。
【0028】
以下、本発明を実施するための最良の形態を具体的な実施例によって説明する。
【実施例1】
【0029】
実施例1は本発明の電極の一例である。
【0030】
図1は、本発明の水電気分解装置の電極設置構成図と接続模式図の一例である。
【0031】
水電気分解装置101は水電気分解用酸素発生極兼二重層キャパシタ用陽極102、二重層キャパシタ用陰極103、水電解用水素発生極104、電解液105、隔壁106、電解槽109、配線接続部110からなる。水電気分解用酸素発生極兼二重層キャパシタ用陽極102、二重層キャパシタ用陰極103、水電解用水素発生極104はそれぞれ対向して設置してあり、二重層キャパシタ用陰極103と水電解用水素発生極104との間に、水電気分解用酸素発生極兼二重層キャパシタ用陽極102が位置する。水電気分解用の電極と二重層キャパシタ用の電極は並列に接続しており、外部電力源111の正極が水電気分解用酸素発生極兼二重層キャパシタ用陽極102に、負極が二重層キャパシタ用陰極103および水電解用水素発生極104にそれぞれ接続される。外部電力源111から水の電気分解に必要な電圧が印加されると、水電解用水素発生極104から水素ガス107が、水電気分解用酸素発生極兼二重層キャパシタ用陽極102から酸素ガス108が発生する。
【0032】
水電気分解用酸素発生極兼二重層キャパシタ用陽極102と二重層キャパシタ用陰極103は基板に金属酸化物を担持した電極である。図2に基板に金属酸化物を担持した電極の構造断面模式図を示す。電極201は金属酸化物202と基板203からなる。金属酸化物202は基板203の全面に存在し、形状は微粒子状、薄膜状、多孔体、棒状、円盤状のいずれでもよい。また、金属酸化物は非晶質体である。基板203には水電解分解反応において、発生したガスの抜け道となる貫通孔204が存在する。
【0033】
電極201の一例として、図3に実際に作製した電極の表面の光学顕微鏡像を示す。Ti基板は90℃の10wt%シュウ酸水溶液中で10分間エッチングして作製した。次に、Mnを含むブタノール溶液にTi基板を浸漬した後、500℃で焼成してMnの酸化物を担持し、さらにIrを含むブタノール溶液に浸漬・焼成することで図3に示す電極を作成した。棒状に析出したMnとIrの混合酸化物が表面に確認できる。図4図3に示す電極表面のXRD計測結果を示す。金属TiとTi酸化物以外に非晶質体に由来するハローパターンとブロードなピークが確認でき、表面に担持したMnとIrの混合酸化物は非晶質体を形成していることを示している。
【0034】
実施例1では、酸素セル側の電極としてMnとIrの混合酸化物の非晶質体を選択した。MnとIrの比率は8:1とした。基板にはTiの0.2mm厚のエキスパンドメタルを使用した。水素発生極側にはNiの金網を使用した。電解液は30wt%の水酸化カリウム水溶液を利用し、隔壁には0.5mm厚のポリエチレン製の不織布を利用した。
【0035】
酸素セル側の二重層キャパシタにおける充放電容量は電極1cm2当たり824mCであった。水電気分解能力は1A通電時の電圧で計測した。実施例1の構成では、電解電圧は1.8Vとなった。
【実施例2】
【0036】
実施例2では、基板に0.15mm径のTi金網を使用した。他の条件は実施例1と同等とした。このとき、二重層キャパシタの充放電容量は電極1cm2当たり780mCであった。水電気分解における電解電圧は1.8Vとなった。
【実施例3】
【0037】
実施例3では、酸素セル側の電極としてMnとRuの混合酸化物の非晶質体を選択した。MnとRuの比率は6:1とした。他の条件は実施例1と同等とした。このとき、二重層キャパシタの充放電容量は電極1cm2当たり920mCであった。水電気分解における電解電圧は1.7Vとなった。
【実施例4】
【0038】
実施例4では、酸素セル側の電極としてMnとIrの酸化物をそれぞれ担持した電極を利用した。酸化物は結晶構造を有しており、主にMn34とIrO2から形成されていた。他の条件は実施例1と同等とした。このとき、二重層キャパシタの充放電容量は電極1cm2当たり620mCであった。水電気分解における電解電圧は2.4Vとなった。
【実施例5】
【0039】
実施例5では、酸素セル側の電極としてIrの酸化物を担持した電極を利用した。酸化物は結晶構造を有しており、主にIrO2から形成されていた。他の条件は実施例1と同等とした。このとき、二重層キャパシタの充放電容量は電極1cm2当たり480mCであった。水電気分解における電解電圧は2.2Vとなった。
【実施例6】
【0040】
実施例6では、酸素セル側の電極として水素発生極側と同等のNi金網を利用した。他の条件は実施例1と同等とした。このとき、二重層キャパシタの充放電容量は電極1cm2当たり90mCであった。水電気分解における電解電圧は2.0Vとなった。
【符号の説明】
【0041】
101 本発明による水電気分解装置
102 水電気分解用酸素発生極兼二重層キャパシタ用陽極
103 二重層キャパシタ用陰極
104 水電解用水素発生極
105 電解液
106 隔壁
107 水素ガス
108 酸素ガス
109 電解槽
110 配線接続部
111 外部電力源
201 電極
202 金属酸化物
203 基板
204 貫通孔
図1
図2
図3
図4