特許第5836029号(P5836029)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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特許5836029サーバラックの冷却システム及びサーバ機器
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5836029
(24)【登録日】2015年11月13日
(45)【発行日】2015年12月24日
(54)【発明の名称】サーバラックの冷却システム及びサーバ機器
(51)【国際特許分類】
   G06F 1/20 20060101AFI20151203BHJP
   H05K 7/20 20060101ALI20151203BHJP
【FI】
   G06F1/20 C
   G06F1/20 A
   H05K7/20 U
【請求項の数】12
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2011-204059(P2011-204059)
(22)【出願日】2011年9月20日
(65)【公開番号】特開2013-65227(P2013-65227A)
(43)【公開日】2013年4月11日
【審査請求日】2013年8月6日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005108
【氏名又は名称】株式会社日立製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100100310
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 学
(74)【代理人】
【識別番号】100098660
【弁理士】
【氏名又は名称】戸田 裕二
(74)【代理人】
【識別番号】100091720
【弁理士】
【氏名又は名称】岩崎 重美
(72)【発明者】
【氏名】武田 文夫
(72)【発明者】
【氏名】藤居 達郎
(72)【発明者】
【氏名】近藤 義広
(72)【発明者】
【氏名】豊田 浩之
【審査官】 野村 和史
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2010/0101765(US,A1)
【文献】 特開2005−249258(JP,A)
【文献】 特開2002−374086(JP,A)
【文献】 特開2004−246649(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0219681(US,A1)
【文献】 特開2004−363308(JP,A)
【文献】 特開2003−179375(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2003/0128516(US,A1)
【文献】 特開2006−285670(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 1/20
H05K 7/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
サーバユニットがスライドガイドにより着脱可能で、複数のサーバユニットが多段に搭載されたサーバラックの冷却システムであって、
前記サーバラックに設置した複数のサーバユニットの発熱素子に蒸発器を取り付けて、
封入した冷媒の蒸発で発熱素子を冷却する複数の第1気化型冷却装置と、
サーバユニットの側面に設けた前記第1気化型冷却装置の冷媒の蒸気を冷却する垂直な伝熱面を有する複数の凝縮器と、垂直な伝熱面を有し、前記第1気化型冷却装置の凝縮器
と接続する複数のサーマルコネクタを介して前記サーマルコネクタ内の蒸発器で冷媒の蒸
発により熱的に接続された第2気化型冷却装置と、
前記サーバラック上部に設けられサーバラック外で冷却された冷媒と第2気化型冷却装
置の冷媒の蒸気とが熱交換して凝縮するための熱交換器を有するトップボックスとを有し

前記第2気化型冷却装置は、サーマルコネクタ内の蒸発器に接続する複数の蒸気管が合流して接続された前記トップボックスへ冷媒の蒸気を送るメイン蒸気配管とトップボック
スで凝縮した戻りの液冷媒を分流して各々サーマルコネクタの蒸発器へ送るメイン液配管
とを有することを特徴とするサーバラックの冷却システム。
【請求項2】
請求項1において、
前記メイン蒸気配管は、前記第2気化型冷却装置の蒸発器に接続する複数の蒸気管が合
流して接続されており、前記トップボックスの熱交換器で凝縮した戻りの液を各サーマル
ハイウエイの各々蒸発器に供給するメイン液配管と、を備え、
前記メイン液配管から前記第2気化型冷却装置の蒸発器へ、前記戻りの液を分流して供
給する、複数の液配管を有することを特徴とするサーバラックの冷却システム。
【請求項3】
請求項2において、
前記複数の蒸気管が前記メイン蒸気配管へ合流する合流部に、蒸気を上方へ案内すると
共に下方からの蒸気の流れを阻害しない形状のガイドを設けることを特徴とするサーバラ
ックの冷却システム。
【請求項4】
請求項2において、
前記メイン液配管から前記複数の液配管が分岐する分岐部に液溜めを設け、
前記メイン液配管は前記各液溜め内において、前記液溜めの高さの範囲において仕切り
部材を設けて仕切られると共に、前記仕切り部材の上部と下部に開口穴を設けることを特
徴とするサーバラックの冷却システム。
【請求項5】
請求項4において、
前記仕切り部材の下部に設けた開口穴の高さを、前記第2気化型冷却装置の蒸発器の設
定液面と一致させることを特徴とするサーバラックの冷却システム。
【請求項6】
請求項1において、
前記メイン蒸気配管および前記メイン液配管の少なくとも一方において、下部よりも上
部の管径を大きくすることを特徴とするサーバラックの冷却システム。
【請求項7】
請求項1において、
前記メイン蒸気配管と前記メイン液配管を前記第2気化型冷却装置の複数の蒸発器に対
して両側に設け、前記蒸気管、前記熱交換器、前記液配管を循環する冷媒の流れを一方向
とすることを特徴とするサーバラックの冷却システム。
【請求項8】
請求項1乃至請求項7のいずれかにおいて、
前記メイン液配管には最下部に液タンクを設け、ポンプを介して、前記液タンクから各
ラックに設けた液溜めと接続する液配管を設けることを特徴とするサーバラックの冷却シ
ステム。
【請求項9】
請求項8において、
各液配管に電磁弁を設けることを特徴とするサーバラックの冷却システム。
【請求項10】
請求項1乃至請求項9いずれかにおいて、
サーバラックに搭載されるサーバ全体の負荷が定格よりも低い場合、稼働させるサーバ
の順番を前記第2気化型冷却装置内の冷媒の循環に対する応答性の良いサーバから順次稼
働させることを特徴とするサーバラックの冷却システム。
【請求項11】
請求項1において、
前記第1気化型冷却装置の凝縮器、前記第2気化型冷却装置の蒸発器及びそれらを接続
するサーマルコネクタをサーバラック内においてサーバユニットの後端部側のサーバラッ
クリヤ空間まで延長すると共に、
前記第2気化型冷却装置の蒸発器を、冷却するサーバユニットよりも1段上のサーバユ
ニットの位置に設け、
各サーバユニットに設けた蒸発器と接続した蒸気配管及び液配管をラック背面空間にお
いて斜めに接続することを特徴とするサーバラックの冷却システム。
【請求項12】
請求項1乃至請求項11のいずれか記載のサーバラックの冷却システムを有するサーバ機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、サーバユニットを複数着脱可能に積層したサーバラックにおいて、各サーバユニット内のマザーボードに搭載された複数のCPU等の発熱素子の熱を直接的に、屋外へ排出可能なサーバラックの冷却システム及びサーバ機器に関する。
【背景技術】
【0002】
本技術分野の背景技術として、特開2010−79403号公報(特許文献1)がある。この公報には、「筺体内に複数のブレードが着脱自在に装着され、その内部には発熱量の異なる複数のCPUを含む半導体デバイスが搭載されたブレードサーバなど、電子装置用の冷却システムは、比較的発熱量の大きなデバイスからの発熱を外部に輸送するサーモサイフォンと、比較的発熱量の小さなデバイスからの発熱をサーモサイフォンへ輸送するサーマルハイウエイと、更に、ブレードの装置筺体内への挿入に伴って、サーモサイフォンとサーマルハイウエイとの間を熱的に結合するためのサーマルコネクタを備えている。」と記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−79403号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の技術では、複数のブレードごとに、ブレードの熱がサーモサイフォンとサーマルハイウエイを経由して、外部の冷却システムへ接続されており、ブレードサーバ(サーバラック)全体の冷却システムとして、サーバラック内空間の効率的な利用や、ブレードサーバ(サーバラック)が設置された室内の空調負荷を削減することや、メンテナンスについて、配慮されていないという第1の課題がある。
【0005】
そこで、この第1の課題を解決する技術として、ブレードサーバ(サーバラック)の冷却システムとして、ラックに設置した複数のサーバユニット(ブレード)の複数のCPU等の発熱素子を冷却する第1気化型冷却装置(サーモサイフォン)の冷媒の蒸気を冷却する凝縮器とサーマルコネクタを介して熱的に接続された複数の第2気化型冷却装置(サーマルハイウエイ)を第3水冷却装置である屋外の冷却装置で冷却された水と熱交換するラック上部に設けたトップボックス(熱交換器)へ個々に接続する技術が想定される。
【0006】
そして、上記想定された技術において、配管を簡素にすることや各蒸発器の水位を所定に管理することによる信頼性向上を第2の課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、例えば特許請求の範囲に記載の構成を採用する。本願は上記課題を解決する手段を複数含んでいるが、その一例を挙げるならば、サーバラックの冷却システムであって、前記サーバラックに設置した複数のサーバユニットを冷却する複数の第1気化型冷却装置と、前記第1気化型冷却装置の冷媒の蒸気を冷却する複数の凝縮器と複数のサーマルコネクタを介して熱的に接続された第2気化型冷却装置と、前記サーバラック上部に設けられサーバラック外で冷却された冷媒と熱交換する熱交換器を有するトップボックスとを有し、前記第2気化型冷却装置は、前記トップボックスへ熱伝達する集合管を有することを特徴とする。
【0008】
また、前記集合管は、前記第2気化型冷却装置の蒸発器に接続する複数の蒸気管が接続されるメイン蒸気管と、前記トップボックスの熱交換器で凝縮した戻りの液を各サーマルハイウエイの蒸発器に供給するメイン液配管と、を備え、前記メイン液配管から前記第2気化型冷却装置の蒸発器へ、前記戻りの液を分流して供給する、複数の液配管を有することを特徴とする。
【0009】
また、上記記載のメイン液配管の各サーマルハイウエイの蒸発器に接続する液配管と接続する液配管の分岐部に液溜めを設けると共に、メイン液配管は各液溜め内の前記液溜めの高さの範囲において、仕切り部材を設けて仕切られると共に、その仕切り部材の上部と下部に開口穴を設けることを特徴とする。
【0010】
また、上記記載の仕切り部材の下部に設けた開口穴の高さをサーマルハイウエイの蒸発器の液面と一致させることを特徴とする。
【0011】
また、上記記載のメイン蒸気配管とメイン液配管は下部よりも上部の管径を大きくする。
【0012】
また、メイン蒸気配管とメイン液配管を各々サーマルハイウエイの蒸発器に対して互いに反対側に設け、蒸気管、トップボックス(熱交換器)、液配管を循環する冷媒の流れを一方向とすることを特徴とする。
【0013】
また、上記記載のメイン液配管の最下部に液タンクとポンプと液タンクから各ラックに設けた液溜めとを接続する液供給配管を設けることを特徴とする。
【0014】
さらに、上記記載のポンプに接続した液配管の各ラックに設けたサーマルハイウエイの蒸発器への分岐部に電磁弁を設けることを特徴とする。
【0015】
また、上記サーバ全体の負荷が定格負荷よりも低い場合、部分的に稼働させるサーバの順番をサーマルハイウエイ内の冷媒の循環に対する応答性の良い上段から操作することを特徴とする。
【0016】
また、上記記載のサーモサイフォンの凝縮器、サーマルハイウエイの蒸発器及び、それらを熱的に接続するサーマルコネクタをサーバラック内においてサーバユニットの後端部側にあるサーバラック背面空間まで延長すると共に、各サーモサイフォンの蒸発器を設けたCPUを搭載したサーバユニットの段よりも1段上の位置に設け、各サーバユニットに設けた蒸発器と接続した蒸気配管及び液配管をラック背面空間において斜め上方に接続することを特徴とする。
【0017】
また、サーバユニット内の2枚のマザーボードの2個のCPUに設ける蒸発器及び各蒸発器を接続する蒸気配管と液配管と凝縮器とを各々2枚のマザーボード配置に対して、点対称に設けることで左右のマザーボードの2個のCPUに設置するサーモサイフォンに互換性を持たせることを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
サーマルハイウエイの蒸発器とラック上部に設けたトップボックス(熱交換器)との間を接続する集合管を有することにより、配管の数を少なくし、冷却装置を簡素にすることができ、冷媒漏れを防止という観点で信頼性を向上できる。
【0019】
また、各ラックに設置したサーバユニット内の複数のCPU等の発熱素子を冷却する各サーモサイフォンの冷媒の蒸気を冷却する凝縮器とコネクタを介して接続された各サーマルハイウエイの蒸発器に接続された蒸気配管を、屋外の冷却装置で冷却された水と熱交換するラック上部に設けたトップボックス(熱交換器)に接続するメイン蒸気配管に各々接続して冷媒の蒸気を合流させると共に、各サーマルハイウエイの蒸発器に接続された液配管を上記トップボックス(熱交換器)に接続するメイン液配管に各々接続して、熱交換器で凝縮した戻りの液を各サーマルハイウエイの蒸発器に分流させることで、冷媒の流れを円滑にでき、かつ各サーマルハイウエイの蒸発器とラック上部に設けたトップボックス(熱交換器)との間を接続する配管の数を少なくし、冷却装置を簡素にすることができ、円滑な冷却と冷媒漏れを防止という観点で信頼性を向上できる。
【0020】
また、配管の接合部を少なくすることで冷却装置の信頼性の向上が可能であり、そのために各ラックに設けたサーマルハイウエイの蒸発器からの蒸気を逆流することなくメイン蒸気配管に合流させることができ、トップボックス(熱交換器)で凝縮した液をメイン液配管から各ラックに設けたサーマルハイウエイの蒸発器へ接続する液配管へ均等に液を分流することができ、安定な冷却を実現できる。すなわち、各蒸発器の水位を所定に管理することによる液枯れ防止の観点から信頼性向上が可能である。
【0021】
また、サーバの稼働状況に応じて、サーマルハイウエイの蒸発器の中の液面が下がった場合には、液タンク内の液を液面の低下した蒸発器へ強制的に補給が可能なことから、冷却能力の低下を防止でき、CPUの性能低下や信頼性低下を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】相変化を伴う3系統の冷却装置からなるサーバラックの冷却システムの構成図の例である。
図2】サーバラックに設置した各サーバユニットのCPU等の発熱素子に取り付けたサーモサイフォンと、サーバラックに設けたサーマルハイウエイ及びそのコネクタを含む構造を説明するサーバラックの縦断面図の例である。
図3】サーバユニットの2枚のマザーボードの各々2個のCPUに接続した第1気化型冷却装置(サーモサイフォン)を点対称構造として、2組のサーマルサイフォンに対して互換性をもたせた構造を示す例である。
図4】サーバラックの各サーバユニットに設けたサーモサイフォンを接続したメイン蒸気配管と、各冷媒の液面を一定に調節可能な構造を有する液溜めを設けたメイン液配管の構造を示すサーマルハイウエイの系統図である。
図5】メイン液配管に設けた液溜めと液面の調整機構を示す他の例である。
図6】メイン蒸気配管とメイン液配管とをサーマルハイウエイの蒸発器に対して両側に設け、冷媒の流れを一方向としたサーマルハイウエイの系統図の例を示す。
図7】サーモサイフォンの蒸発器に液溜めを設けると共に、液溜めの内部に液面の調整機構を設け、蒸発器の内部空間と液溜めの内部空間とを蒸発器仕切板により蒸気で満たす空間のみを仕切ると共に、一体化したサーマルハイウエイの系統図の例を示す。
図8】サーバユニットのマザーボードに搭載したCPU等発熱素子に設けたサーモサイフォン及び、その蒸気管と液配管をサーバラックの背面部へ伸ばして接続した配管のレイアウトの例を示す。
図9】サーバラックの背面空間でサーモサイフォンの凝縮器とサーマルハイウエイの蒸発器と各々を接続するコネクタ部をサーモサイフォンの蒸発器を設けたサーバユニットに対して、1段上の位置に設けた配管系統図を示すサーバラックの縦断面図の例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、実施例について図面を用いて説明する。以下の説明において、既に説明した同一の符号を付された構成について、同一の機能を有するので、再度説明せず、それらの説明を省略することがある。
【実施例1】
【0024】
図1を用いて本発明実施例のサーバラックの冷却システムの全体構成を説明する。サーバラック100の各ラックには、左右2列にマザーボード102を配置したサーバユニット101が積層されており、各マザーボード102には複数のCPU103が取り付けられている。本例では各マザーボードにCPUが2個設けられている例を示す。これらのサーバユニット101はサーバラック100のスライドガイドに沿ってスライドさせることによって着脱可能な構造になっている。これらの発熱素子であるCPU103の冷却装置として、CPU103と熱伝導良く取り付けられた冷媒の蒸発器とサーバユニット101の側部に設けた冷媒の凝縮器と、これらの蒸発器と凝縮器とを接続する蒸気配管と液配管とで構成される第1気化型冷却装置(サーモサイフォンと呼ぶ)104を設けている。第1気化型冷却装置においてCPU103が発熱すると、蒸発器の内部に真空状態で封入された冷媒が蒸発することでCPU103の熱を吸収する。蒸発した冷媒の蒸気は蒸気配管を通って凝縮器へ移動し、凝縮器で外部から冷却されることで液化する。液化した冷媒は高低差により重力で再び液配管を通って蒸発器へ戻る。次に、サーバユニット101の側部に設けられた第1気化型冷却装置の凝縮器はサーバラック100内の側部で伝熱面をサーマルコネクタ106により接合可能な位置に設けられた第2気化型冷却装置(サーマルハイウエイと呼ぶ)105の蒸発器とサーマルコネクタ106により接合している。第2気化型冷却装置105内に真空状態で封入された冷媒はサーマルコネクタ106で接合した蒸発器において第1気化型冷却装置の凝縮器からの熱を吸収することで蒸発する。
【0025】
複数の第1気化型冷却装置104から屋外の冷却装置で冷却された水と熱交換するラック上部に設けたトップボックス(熱交換器)107へ熱伝達するために、第2気化型冷却装置105は集合管を有することにより、配管が簡素化され、信頼性が向上する。そして、集合管の中を、マザーボード102上で発生した熱をトップボックス107へ伝え、トップボックス107で液化した冷媒がサーマルコネクタ106近傍の第2気化型冷却装置105の蒸発器へ戻る。
【0026】
集合管の構成としては、冷媒蒸気がトップボックス107へ伝わり、液化した冷媒がサーマルコネクタ106近傍の気化型冷却装置105の蒸発器へ戻る構成であれば良い。
【0027】
ここで、集合管の圧損について説明する。一般に、配管内の圧損は主に流速Vにより決まると考えられる。各サーバユニットのサーマルコネクタの(蒸発器)で発生した蒸気量の合計した流量Qが集合管を流れます。流速は配管の断面積をSとするとV=Q/Sですので、集合管の断面積が個別に設ける蒸気管の断面積×本数と等しければ理論上圧損は増えない。なお、個別に蒸気管を設けてもラックが10段あれば10本垂直に配置するわけですから配管の設置面積は同じになる。また、集合管の形状としては、円管形状の場合、サーバラックの側部隙間には入れることは困難となるので、規格形状のサーバラックから外部へはみ出す形状となるので、サーバラックの外周に空間が必要となる。そこで、集合管の形状としては、規格形状のサーバラックの側部隙間には入れることができるように、楕円形状や、断面が直方体となるようにすることが望ましい。
【0028】
次に、集合管の構成の望ましい一例として、メイン蒸気配管とメイン液配管を有する場合について述べる。
【0029】
蒸発した冷媒の蒸気は蒸気管を通ってサーバラック100の側部に設けられたメイン蒸気配管に流入する。その後、メイン蒸気配管内の蒸気はサーバラック100の上部に設けられた熱交換器(トップボックスと呼ぶ)107に流入し、そこで、第3水冷却装置により循環する冷却水で冷却されて液化する。液化した冷媒は同様にトップボックス107と接続するサーバラック100の側部に設けられたメイン液配管を通ってサーバラック100を下方へ流れる。メイン液配管内を流れる液は各ラックの位置で分岐した液配管によって各々ラックに積載されているサーバユニットの側部に設けられたサーマルハイウエイ105の蒸発器へ戻り、トップボック107との間を循環する。なお、サーマルハイウエイはサーバラック100の両側に各々独立して設けられている。第3水冷却装置108はサーバラック100の上部に設けたトップボックス107と、例えば屋上などの屋外に設けた水冷却装置(チラ―ユニットとする)である屋外空調機109との間を液配管で接続し、ポンプで昇圧して循環させる。
【0030】
なお、外気が低い場合はチラ―ユニットである屋外空調機109の代わりに循環する水を外気で冷却する熱交換器と冷却ファンを備えたフリークーリングを用いることもある。
【0031】
次に、図2図3を用いて各冷却装置について詳細に説明する。図3において、サーバユニット101内にはマザーボード102が左右に2枚配置されている。また、マザーボード102には発熱素子であるCPU(図3のマザーボード102上の2つの破線四角形状の部分)が各々2個配置されている。
【0032】
第1気化型冷却装置として用いているサーモサイフォン蒸発器110が各々CPUの上部で熱伝導の良い状態で接合されている。サーモサイフォン蒸発器110は内部が真空状態に保たれており、下部には封入した冷媒が溜められており、上部は冷媒の蒸気で満たされている。サーモサイフォン蒸発器110はマザーボード102の側部に設けられたサーモサイフォン凝縮器111とは下側を液配管で接続されており、上部空間において蒸気管で接続されている。また、同一マザーボード102に設けた2個のCPU103に接合したサーモサイフォン蒸発器110同士も下部を液配管で接続し、上部空間を蒸気管で接合している。サーモサイフォン凝縮器111はサーバユニット101の側部においてサーバラック100の側部に設けた第2気化型冷却装置であるサーマルハイウエイ蒸発器112とサーマルコネクタ106を介して熱伝導良く接合されている。
【0033】
その結果、CPU103で発生した熱はサーモサイフォン蒸発器110で蒸発した冷媒によって吸収され、その蒸気がサーモサイフォン凝縮器111で冷却され液化することで、第2気化型冷却装置の蒸発器内の冷媒に熱を伝える。冷媒を効率良く蒸発させる蒸発用伝熱板115を有するサーマルハイウエイ蒸発器112で熱を吸収した冷媒は蒸気になり、図2に示すメイン蒸気配管113を通ってサーバラック100の上部に設けたトップボックス107で冷却され、冷媒は液化する。液化した冷媒はメイン液配管114を通って落下するが、各々ラックの位置で液配管を通ってサーマルハイウエイ蒸発器112へ戻り、循環する。
【0034】
次に、図4によりサーマルハイウエイの詳細構造を説明する。サーマルハイウエイ蒸発器112の上部には蒸気配管121を設けており、水平に伸びた蒸気配管121はその先でメイン蒸気配管113に合流している。なお、メイン蒸気配管113の合流部では流入した蒸気を下方へ拡散させず且つ、下方から上昇する蒸気の流れを阻害しないような大きさと形状の蒸気管ガイド116を設けている。蒸気管ガイド116は、例えば、メイン蒸気配管113の内径より小さな径のエルボ配管とする。
【0035】
また、トップボックス107で冷却され液化した冷媒はメイン液配管114で下方へ降下し、各ラックに分岐する部分で液溜め117を介してサーマルハイウエイの蒸発器112の下部に接続する液配管122と接続している。なお、メイン液配管114は液溜め117の内部において端部を有し、その端面は仕切板118で端面が塞がれている。また、メイン液配管114の仕切板118の上部で液溜めの内部の位置には液が液溜め117内に一旦流出するための開口穴(1)119を設けている。また、液溜め117の下部には液溜めの内部に置いて開口端部を有するメイン液配管114が設けられており、液溜め117の内部で流出した液のうち、液配管122からサーマルハイウエイ蒸発器112へ戻る流量以外は下部へ流れる。ここで、液溜め117内において液配管の開口端部の高さをサーマルハイウエイ蒸発器112の液保有水位に設定することで、合流した冷媒を各ラックの蒸発器へ各々分配が可能になる。ここで、メイン蒸気配管113とメイン液配管114はサーバラック100の高さ方向に対して冷媒が合流する上部ほど配管径を大きくすると配管抵抗が増加せずに循環に対する損失を低減できる。
【0036】
また、サーマルハイウエイの蒸発器の伝熱面に温度検出センサ又は液面計を設け、液面の不足を推定して液タンク内の液を各サーマルハイウエイの蒸発器へ送付するポンプを稼働させることが望ましい。例えば、液溜め117の下方に液タンク124と、ポンプ123及び、液タンクとポンプと各ラックの液溜めに接続する液供給配管125を設けることで、CPU103が動作を開始してサーマルハイウエイ蒸発器112内の冷媒の蒸発が盛んになり、瞬間的に保有する冷媒の液面が低下し、万一液枯れを生じた場合にはポンプ123を動作させて、瞬時に液タンク124内の冷媒を各液溜め117へ供給することで、冷却能力の低下を防止でき、CPU103の性能低下や信頼性低下を防止することができる。更に液供給配管125の各液溜め117へ分岐する配管に電磁弁126を設けると特定の液溜めへ冷媒の供給が可能となる。
【0037】
上記例では、液面の不足として、液枯れを生じた場合を検知しているが、液枯れを生じる前の一定の液面になったら、液面の不足と推定して、液タンク内の液を各サーマルハイウエイの蒸発器へ送付するポンプを稼働させても良い。
【実施例2】
【0038】
次に、図5により、合流した冷媒を分配する他の方法について示す。メイン液配管114は各ラックの分配部で液溜め117を設けており、液溜め117の側部には分配した冷媒をサーモサイフォン蒸発器へ戻す液配管122が設けられている。メイン液配管114には液溜め117内において、内部を仕切板118で仕切られると共に、仕切板118の上部には落下してくる冷媒を一旦、液溜め117内へ排出する開口穴(1)119が設けられており、下部にはサーマルハイウエイ蒸発器112へ流れる流量以外の冷媒を下方へ流すための開口穴(2)120が設けられている。また、下部の開口穴(2)120はその高さをサーマルハイウエイ蒸発器112の冷媒の液面高さに合わせておくことで、各ラックの蒸発器へ冷媒を分配することが可能である。なお、液面131は液配管122に接続されるサーマルハイウエイ蒸発器の液面高さと同一である。
【実施例3】
【0039】
図6に、サーマルハイウエイの他の配管系の構成を示す。図6はサーマルハイウエイ蒸発器112に接続する蒸気配管121と、液配管122をサーマルハイウエイ蒸発器112の両側に配置することで各サーマルハイウエイ蒸発器からの蒸気が合流してメイン蒸気配管を上昇し、トップボックス107で凝縮する際、メイン液配管114もトップボックス107に対してメイン蒸気配管113とが反対側にあるために、トップボックスにおいて流入した蒸気と凝縮された冷媒の流れが一方向となり、図4で示す構造のように蒸気と液化した冷媒とが対向する流れにはならない。また、サーマルハイウエイ蒸発器においても、蒸気と流入する冷媒とが一方向に流れるため冷媒の循環に損失が少ない。
【実施例4】
【0040】
図7に、サーマルハイウエイの更に他の配管系の構成を示す。図7は各ラックに設けたサーマルハイウエイ蒸発器112に蒸発器仕切板130を介して液溜め117を設けた。この液溜め117に必要な容積の空間を設けることでサーマルハイウエイ蒸発器112に保有する冷媒の量を増加させることが可能で、CPU103の発熱により冷媒の蒸発量が増加しても液溜めに保有する冷媒が蒸発するまで液枯れによるCPUの性能低下や故障を防止することが可能である。
【実施例5】
【0041】
図8図9に、サーマルハイウエイの更に他の配管系の構成を示す。図8は、サーバラック100の一平面図を示す。図9は、サーバラック100を正面から見た正面図である。図8に示すようにサーモサイフォンのサーモサイフォン蒸発器110に接続する蒸気配管及び液配管をサーバユニットからサーバラックリヤ空間129まで引き出し、サーバラックリヤ空間129において、1段上のラック位置に設けたサーマルハイウエイ蒸発器112とサーマルコネクタ106を介して接続したサーモサイフォン凝縮器111に傾斜蒸気配管127を介して接続をしている。
【0042】
すなわち、前記第1気化型冷却装置の凝縮器、前記第2気化型冷却装置の蒸発器及びそれらを接続するサーマルコネクタをサーバラック内においてサーバユニットの後端部側のサーバサーバラックリヤ空間まで延長すると共に、前記第2気化型冷却装置の蒸発器を、冷却するサーバユニットよりも1段上のサーバユニットの位置に設け、各サーバユニットに設けた蒸発器と接続した蒸気配管及び液配管をラック背面空間において斜めに接続することを特徴としている。
【0043】
その結果、サーモサイフォン凝縮器111で液化した冷媒がサーモサイフォン蒸発器110との間の落差を大きく取れるので、サーモサイフォンの冷媒の循環が効率良く行われる。
【実施例6】
【0044】
図3を用いて、サーバユニットに配置された2枚のマザーボードに設置するサーモサイフォンを左右両方のマザーボードに取り付け可能とする構造を説明する。
【0045】
マザーボード102に取り付けた2個のCPUに設けたサーモサイフォン蒸発器110と各サーモサイフォン蒸発器とをつなぐ蒸気配管121及び液配管122をサーモサイフォン凝縮器111とを、2枚のマザーボードに対して点対称となる配置・形状とすることで、一方のマザーボードの2個のCPUに対して取り付け可能なサーモサイフォン蒸発器110と接合する液配管及び蒸気配管とサーモサイフォン凝縮器111を有するサーモサイフォンは、同じ形状・種類のものが他方のマザーボードの2個のCPUにも取り付けが可能となり、互換性を持たせることができ、部品種類の削減が可能となる。
【0046】
以上、本発明によれば、サーバラック内の発熱素子であるCPU103の熱は3系統の冷却装置により屋外へ直接的(サーバ室内の空気を介さず)に排気されるため、サーバラック100を設置したデータセンタ等の建屋内に熱が排出されることがなく、データセンタ等の建屋内の空調に対する省エネ効果が大きい。
【0047】
また、例えば、複数段のラックに設置したサーバユニット内の複数のCPU等の発熱素子を冷却する各第1気化型冷却装置(サーモサイフォン)の冷媒の蒸気を冷却する凝縮器とコネクタを介して接続された各第2気化型冷却装置(サーマルハイウエイ)の蒸発器に接続された蒸気配管を第3水冷却装置(屋外の冷却装置)で冷却された冷媒と熱交換するラック上部に設けたトップボックス(熱交換器)に接続するメイン蒸気配管に各々接続して蒸気を合流させる共に、各サーマルハイウエイの蒸発器に接続された液配管を屋外の冷却装置で冷却された水と熱交換するラック上部に設けたトップボックス(熱交換器)に接続するメイン液配管に各々接続して、熱交換器で凝縮した戻りの液を各第2気化型冷却装置(サーマルハイウエイ)の蒸発器に分流させることで、各第2気化型冷却装置(サーマルハイウエイ)の蒸発器とラック上部に設けたトップボックス(熱交換器)との間を接続する配管の数を少なくし、冷却装置を簡素にすることが望ましい。また、配管の接合部を低減することで信頼性を向上させることが望ましい。
【0048】
また、各ラックに設けた第2気化型冷却装置(サーマルハイウエイ)の蒸発器からの蒸気を逆流することなくメイン蒸気配管に合流させることと、トップボックス(熱交換器)で凝縮した水をメイン液配管から各ラックに設けたサーバユニットの第2気化型冷却装置(サーマルハイウエイ)の蒸発器へ接続する液配管へ均等に液を分配することと、サーバが稼働して第2気化型冷却装置(サーマルハイウエイ)の蒸発器の中の液面が下がった場合に、不足する液量の冷媒の補給を行うことが望ましい。
【0049】
そして、例えば、各ラックに設けた第2気化型冷却装置(サーマルハイウエイ)の蒸発器に接続する蒸気管を各々メイン蒸気管に接続すると共に、上記蒸発器に接続する液配管とメイン液配管から分岐させた配管とを各々接続することが望ましい。
【0050】
また、上記サーバ全体の負荷が定格負荷よりも低い場合、部分的に稼働させるサーバの順番をサーマルハイウエイ内の冷媒の循環に対する応答性の良い上段から操作することにより、サーバの片寄せ運転を効率的に実行できる。
【0051】
ここで、冷媒の循環に対する応答性は上段のサーバのほうが良いことについて説明する。サーマルハイウエイの構成上、サーマルコネクタの蒸発器内での蒸発プロセスと、トップボックス内での凝縮プロセスはサーバの取り付け位置に対して大きな差異はないが、サーマルコネクタとトップボックスとを接続する蒸気管(凝縮液管も兼ねる)の長さがサーバの取り付け位置で異なる。その結果、下段ほど、サーマルコネクタからトップボックスへの蒸気の到達する時間と、トップボックスからサーマルコネクタへ液冷媒が戻る時間が遅くなる。すなわち、上段のサーバのほうが冷媒の循環に対する応答性が良い。
【0052】
本実施例では、例えば、CPUからの熱をサーマルサイフォン、サーマルハイウエイ、トップボックス(熱交換器)により、外部へ放熱する例を説明したが、マザーボード102上で発生したCPU及びCPU以外の熱を、マザーボード上または近傍に設けた冷却ファンを併用して、サーバ室内の空気へ伝達し、サーバ室を冷却する空調機を併用して冷却しても良い。
【0053】
なお、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
【0054】
また、上記の各構成、機能、処理部、処理手段等は、それらの一部又は全部を、例えば集積回路で設計する等によりハードウェアで実現しても良い。また、上記の各構成、機能等は、プロセッサがそれぞれの機能を実現するプログラムを解釈し、実行することによりソフトウェアで実現しても良い。各機能を実現するプログラム、テーブル、ファイル等の情報は、メモリや、ハードディスク、SSD(Solid State Drive)等の記録装置、または、ICカード、SDカード、DVD等の記録媒体に置くことができる。
【0055】
また、制御線や情報線は説明上必要と考えられるものを示しており、製品上必ずしも全ての制御線や情報線を示しているとは限らない。実際には殆ど全ての構成が相互に接続されていると考えても良い。
【符号の説明】
【0056】
100 サーバラック
101 サーバユニット
102 マザーボード
103 CPU
104 第1気化型冷却装置
105 第2気化型冷却装置
106 サーマルコネクタ
107 熱交換器
108 第3水冷却装置
109 屋外空調機
110 サーモサイフォン蒸発器
111 サーモサイフォン凝縮器
112 サーマルハイウエイ蒸発器
113 メイン蒸気配管
114 メイン液配管
115 蒸発用伝熱板
116 蒸気管ガイド
117 液溜め
118 仕切板
119 開口穴(1)
120 開口穴(2)
121 蒸気配管
122 液配管
123 ポンプ
124 液タンク
125 液供給配管
126 電磁弁
127 傾斜蒸気配管
129 サーバラックリヤ空間
130 蒸発器仕切板
131 液面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9