特許第5836103号(P5836103)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5836103
(24)【登録日】2015年11月13日
(45)【発行日】2015年12月24日
(54)【発明の名称】空調システム及び建物
(51)【国際特許分類】
   F24F 5/00 20060101AFI20151203BHJP
   F24F 11/02 20060101ALI20151203BHJP
   F24F 7/10 20060101ALI20151203BHJP
   F25B 30/02 20060101ALI20151203BHJP
   E04B 1/70 20060101ALI20151203BHJP
【FI】
   F24F5/00 K
   F24F11/02 102J
   F24F7/10 Z
   F25B30/02 F
   E04B1/70 B
【請求項の数】6
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2011-277809(P2011-277809)
(22)【出願日】2011年12月20日
(65)【公開番号】特開2013-130299(P2013-130299A)
(43)【公開日】2013年7月4日
【審査請求日】2014年7月2日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002174
【氏名又は名称】積水化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100082670
【弁理士】
【氏名又は名称】西脇 民雄
(72)【発明者】
【氏名】相良 峰雄
【審査官】 佐藤 正浩
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−197974(JP,A)
【文献】 特開2003−185207(JP,A)
【文献】 特開2002−089880(JP,A)
【文献】 特開2010−230200(JP,A)
【文献】 特開平09−014737(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 5/00
E04B 1/70
F24F 7/10
F24F 11/02
F25B 30/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒートポンプ式給湯機のヒートポンプ装置を利用した建物の空調システムであって、
前記建物の床下空間に面して冷気給気口が設けられており、該冷気給気口と前記ヒートポンプ式給湯機の前記ヒートポンプ装置の排気部とが通気経路で接続されているとともに、
前記床下空間には、換気用空気を換気用空気吹出部から吹き出し、前記床下空間と床上空間とを連通する空調用給気口から前記床上空間に給気する換気装置が設置されており、
前記床下空間内での蓄冷を主目的で行っているときは、前記換気装置の前記換気用空気吹出部からの換気用空気の単位時間当たりの吹出量を必要最低限とする制御を行い、前記床上空間での冷房を主目的で行っているときは、前記換気装置の前記換気用空気吹出部からの換気用空気の単位時間当たりの吹出量を自動調整し、冷房の強弱を設定する制御を行うことを特徴とする空調システム。
【請求項2】
前記床下空間は、その内側面に断熱材が設けられた断熱構造とされていることを特徴とする請求項1に記載の空調システム。
【請求項3】
前記床下空間に面して設けられた冷気循環口と前記ヒートポンプ装置の給気部とが循環経路で接続されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の空調システム。
【請求項4】
前記床下空間内に調湿材が設けられていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の空調システム。
【請求項5】
前記ヒートポンプ式給湯機の前記ヒートポンプ装置には、屋外排気部も設けられており、前記排気部と前記屋外排気部とには、排気量調整手段が設けられており、両者間の排気比率が調整可能とされていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の空調システム。
【請求項6】
請求項1乃至のいずれか1項に記載の空調システムを備えていることを特徴とする建物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空調システム、及びこの空調システムを備えた建物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、ヒートポンプ式給湯機のヒートポンプ装置の冷たい排気を利用して、夏場などの暑期における建物の床上空間内の冷房を行う空調システムが知られている(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4302429号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記した特許文献1のような従来技術では、ヒートポンプ式給湯機は、通常、比較的安価な深夜電力の時間帯(例えば関東地方では23時から翌7時までの時間帯)に稼動されることから、日中における冷房には利用できなかった。
【0005】
そこで、本発明は、日中における冷房を行うことができるヒートポンプ式給湯機のヒートポンプ装置の冷たい排気を利用した空調システム、及びこの空調システムを備えた建物を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するために、本発明の空調システムは、ヒートポンプ式給湯機のヒートポンプ装置を利用した建物の空調システムであって、前記建物の床下空間に面して冷気給気口が設けられており、該冷気給気口と前記ヒートポンプ式給湯機の前記ヒートポンプ装置の排気部とが通気経路で接続されているとともに、前記床下空間には、換気用空気を換気用空気吹出部から吹き出し、前記床下空間と床上空間とを連通する空調用給気口から前記床上空間に給気する換気装置が設置されていることを特徴とする。
【0007】
ここで、前記床下空間は、その内側面に断熱材が設けられた断熱構造とされているとよい。
【0008】
また、前記床下空間に面して設けられた冷気循環口と前記ヒートポンプ装置の給気部とが循環経路で接続されていてもよい。
【0009】
さらに、前記床下空間内に調湿材が設けられていてもよい。
【0010】
また、前記ヒートポンプ式給湯機の前記ヒートポンプ装置には、屋外排気部も設けられており、前記排気部と前記屋外排気部とには、排気量調整手段が設けられており、両者間の排気比率が調整可能とされているとよい。
【0011】
さらに、前記換気装置は、前記換気用空気吹出部からの換気用空気の単位時間当たりの吹出量の自動調整が可能とされているとよい。
【0012】
本発明の建物は、上記した本発明の空調システムを備えていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
このような本発明の空調システムは、ヒートポンプ式給湯機のヒートポンプ装置を利用した建物の空調システムである。
【0014】
そして、建物の床下空間に面して冷気給気口が設けられており、冷気給気口とヒートポンプ式給湯機のヒートポンプ装置の排気部とが通気経路で接続されている。
【0015】
さらに、床下空間には、換気用空気を換気用空気吹出部から吹き出し、床下空間と床上空間とを連通する空調用給気口から床上空間に給気する換気装置が設置された構成とされている。
【0016】
こうした構成なので、ヒートポンプ式給湯機のヒートポンプ装置の排気部から排出される冷気で、比較的安価な深夜電力の時間帯(例えば関東地方では23時から翌7時までの時間帯)に床下空間を構成する基礎を蓄冷体として主に冷やしておき、換気装置による換気時に、主に基礎が蓄えた冷熱を換気用空気とともに空調用給気口から床上空間内へ送り込むことにより、日中における冷房を行うことができる。
【0017】
ここで、床下空間は、その内側面に断熱材が設けられた断熱構造とされている場合は、基礎に蓄冷された冷熱が屋外に逃げ難くなるので、蓄冷効率を高めることができる。
【0018】
また、床下空間に面して設けられた冷気循環口とヒートポンプ装置の給気部とが循環経路で接続されている場合は、ヒートポンプ式給湯機のヒートポンプ装置の排気部から排出される冷気で、蓄冷体としての基礎を冷やしているときに空調用給気口から逃げる冷熱が少なくなるので、蓄冷効率をより高めることができる。
【0019】
さらに、床下空間内に調湿材が設けられている場合は、床下空間内の結露を防止することができるうえに、日中における冷房では、調湿材により除湿された冷気を床上空間内に給気することができる。
【0020】
また、ヒートポンプ式給湯機のヒートポンプ装置には、屋外排気部も設けられており、排気部と屋外排気部とには、排気量調整手段が設けられており、両者間の排気比率が調整可能とされている場合は、排気部と屋外排気部との間の排気比率を調整することにより、翌日の日中の冷房に適した蓄冷量を確保することができるし、冬場などの寒期にヒートポンプ式給湯機を稼動しているときは、ヒートポンプ装置の冷たい排気を屋外排気部から全部排気するようにすれば、床上空間内が冷えないで済む。
【0021】
さらに、換気装置は、換気用空気吹出部からの換気用空気の単位時間当たりの吹出量の自動調整が可能とされている場合は、蓄冷体としての基礎を冷やしているときには、必要最低限の換気用空気を換気用空気吹出部から吹き出すようにすれば、空調用給気口から逃げる冷熱が少なくなるので、蓄冷効率を高めることができるし、日中における冷房を行っているときには、換気用空気吹出部からの換気用空気の単位時間当たりの吹出量を調節することにより、冷房の強弱の設定を行うことができる。
【0022】
このような本発明の建物は、本発明の空調システムを備えた構成とされている。
【0023】
こうした構成なので、上記した本発明の空調システムの効果を奏する建物とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】実施例1の空調システムを備えた建物の概略構成を示す説明図である。
図2図1におけるヒートポンプ装置の部分の拡大図である。
図3】実施例1の空調システムにおいて、蓄冷運転を行っている状態を示す説明図である。
図4】実施例1の空調システムにおいて、小さい蓄冷量となるように蓄冷運転を行っている状態を示す説明図である。
図5】実施例1の空調システムにおいて、冷房運転を行っている状態を示す説明図である。
図6】実施例2の空調システムを備えた建物の概略構成を示す説明図である。
図7】実施例3の空調システムを備えた建物の概略構成を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明を実施するための形態を、図面に示す実施例1〜3に基づいて説明する。
【実施例1】
【0026】
先ず、実施例1の構成について説明する。
【0027】
図1は、実施例1の空調システムを備えた建物1の概略構成を示している。
【0028】
まず、この建物1は、地盤に打設された基礎1B上に建物本体1Aを構築して構成されている。
【0029】
ここで、建物1は、建物本体1A内に、内部空間が、空調用給気口13aが設けられた床部13で仕切られて、床下空間11と床上空間12とが形成されている。
【0030】
また、建物1の屋外には、ヒートポンプ式給湯機2と、このヒートポンプ式給湯機2のヒートポンプ装置3が設置されている。
【0031】
さらに、建物1の床下空間11の内側面には、冷気給気口5aが設けられているとともに、この冷気給気口5aは、屋外のヒートポンプ装置3の排気部31と、通気経路としてのダクト5で接続されている。
【0032】
また、床下空間11内には、換気用空気の単位時間当たりの吹出量の自動調整が可能とされた下流側に換気用空気吹出部61を有する換気装置6が設置されている。
【0033】
さらに、この換気装置6は、上流側に換気用空気吸込部62を有しており、この換気用空気吸込部62と建物本体1Aの外壁部に設けられた外気吸込口7aとは通気経路としてのダクト7で接続されている。
【0034】
また、床下空間11は、その内側面に断熱材4が設けられた断熱構造とされている。
【0035】
さらに、ヒートポンプ装置3は、図2に示したように、このヒートポンプ装置3の外殻を形成するケーシング3Aに、排気部31の他に、外気を吸い込むための給気部32と、熱交換後の外気を直接に排気することができる屋外排気部33とを備えている。
【0036】
ここで、排気部31と屋外排気部33とには、開度を調整可能とする排気量調整手段としての開度調整弁31a,33aがそれぞれ設けられている。
【0037】
さらに、制御部(図示せず)により、これら開度調整弁31a,33aの開度比率、すなわち、排気比率が調整可能とされている。
【0038】
なお、ケーシング3A内には、給気部32側に、送気用ファン34が設けられ、排気部31及び屋外排気部33側に、空気用熱交換器35が設けられている。
【0039】
次に、この実施例1の空調システムの運転パターンについて説明する。
【0040】
まず、この実施例1の空調システムにおける蓄冷運転パターンについて説明する。
【0041】
夏場などの翌日の日中が暑いと予想されるときは、深夜電力の時間帯(例えば関東地方では23時から翌7時までの時間帯)においてヒートポンプ式給湯機2を稼動させている際に、図2に示したヒートポンプ装置3では、排気部31の開度調整弁31aは全開状態とし、屋外排気部33の開度調整弁33aは閉状態とする。
【0042】
そして、送気用ファン34を回転させると、図3に示したように、白抜き矢印で表した給気部32から吸い込まれた外気は、空気用熱交換器35で冷やされ、排気部31からダクト5内に吹き出され、このダクト5を通って、冷気給気口5aから床下空間11内に吹き出される。
【0043】
そして、この床下空間11内に吹き出された冷たい外気は、床下空間11を構成する基礎1Bを蓄冷体として主に冷やす。
【0044】
なお、外気吸込口7aから吸い込まれ、ダクト7を通って換気装置6の換気用空気吹出部61から床下空間11内に吹き出される黒矢印で表した換気用空気は、単位時間当たりの吹出量が必要最低限となるように自動調整されている。
【0045】
これにより、空調用給気口13aから床上空間12に給気される換気用空気は、点線矢印で表したように、少ない冷熱を帯びただけであり、夜間には丁度いい涼しい風となる。
【0046】
夏場などの翌日の日中が若干暑いと予想されるときは、深夜電力の時間帯(例えば関東地方では23時から翌7時までの時間帯)においてヒートポンプ式給湯機2を稼動させている際に、図2に示したヒートポンプ装置3では、排気部31の開度調整弁31aは例えば70%の開度の開状態とし、屋外排気部33の開度調整弁33aは例えば30%の開度の開状態とする。
【0047】
そして、送気用ファン34を回転させると、図4に示したように、白抜き矢印で表した給気部32から吸い込まれた外気は、空気用熱交換器35で冷やされ、70%が排気部31からダクト5内に吹き出され、このダクト5を通って、冷気給気口5aから床下空間11内に吹き出され、残りの30%は屋外に直接排出される。
【0048】
そして、この床下空間11内に吹き出された冷たい外気は、床下空間11を構成する基礎1Bを蓄冷体として主に冷やす。
【0049】
なお、外気吸込口7aから吸い込まれ、ダクト7を通って換気装置6の換気用空気吹出部61から床下空間11内に吹き出される黒矢印で表した換気用空気は、単位時間当たりの吹出量が必要最低限となるように自動調整されている。
【0050】
これにより、空調用給気口13aから床上空間12に給気される換気用空気は、点線矢印で表したように、少ない冷熱を帯びただけであり、夜間には丁度いい涼しい風となる。
【0051】
次に、この実施例1の空調システムにおける冷房運転について説明する。
【0052】
上記したように蓄冷を行った翌日の日中において建物1内の冷房を行いたいときは、ヒートポンプ式給湯機2を稼動しておらず、図2に示したヒートポンプ装置3の送気用ファン34は回転していない。
【0053】
こうした状態では、蓄冷体としての基礎1Bが点線矢印で表したように、床下空間11内の空気を蓄冷していた冷熱で冷やしている。
【0054】
そして、外気吸込口7aから吸い込まれ、ダクト7を通って換気装置6の換気用空気吹出部61から床下空間11内に吹き出される黒矢印で表した換気用空気は、空調用給気口13aから床上空間12に給気されるに際し、点線矢印で表したように、冷熱を帯びており、この冷熱を帯びた換気用空気によって冷房が行われる。
【0055】
この際、コントローラー(図示せず)により、換気用空気の単位時間当たりの吹出量を変化させることで、冷房の強弱の設定を行うことができる。
【0056】
次に、実施例1の作用効果について説明する。
【0057】
このような実施例1の空調システムは、ヒートポンプ式給湯機2のヒートポンプ装置3を利用した建物1の空調システムである。
【0058】
そして、建物1の床下空間11の内側面に冷気給気口5aが設けられており、冷気給気口5aとヒートポンプ式給湯機2のヒートポンプ装置3の排気部31とが通気経路としてのダクト5で接続されている。
【0059】
さらに、床下空間11には、換気用空気を換気用空気吹出部61から吹き出し、床部13に設けられた空調用給気口13aから床上空間12に給気する換気装置6が設置された構成とされている。
【0060】
こうした構成なので、ヒートポンプ式給湯機2のヒートポンプ装置3の排気部31から排出される冷気で、比較的安価な深夜電力の時間帯(例えば関東地方では23時から翌7時までの時間帯)に床下空間11を構成する基礎1Bを蓄冷体として主に冷やしておき、換気装置6による換気時に、主に基礎1Bが蓄えた冷熱を換気用空気とともに空調用給気口13aから床上空間12内へ送り込むことにより、日中における冷房を行うことができる。
【0061】
ここで、床下空間11は、その内側面に断熱材4が設けられた断熱構造とされている。
【0062】
このため、主に基礎1Bに蓄冷された冷熱が屋外に逃げ難くなるので、蓄冷効率を高めることができる。
【0063】
また、ヒートポンプ式給湯機2のヒートポンプ装置3には、屋外排気部33も設けられており、排気部31と屋外排気部33とには、排気量調整手段としての開度調整弁31a,33aがそれぞれ設けられており、両者間の排気比率が調整可能とされている。
【0064】
このため、排気部31と屋外排気部33との間の排気比率を調整することにより、翌日の日中の冷房に適した蓄冷量を確保することができるし、冬場などの寒期にヒートポンプ式給湯機2を稼動しているときは、ヒートポンプ装置3の冷たい排気を屋外排気部33から全部排気するようにすれば、床上空間12内が冷えないで済む。
【0065】
さらに、換気装置6は、換気用空気吹出部61からの換気用空気の単位時間当たりの吹出量の自動調整が可能とされている。
【0066】
このため、蓄冷体としての基礎1Bを冷やしているときには、必要最低限の換気用空気を換気用空気吹出部61から吹き出すようにすれば、空調用給気口13aから逃げる冷熱が少なくなるので、蓄冷効率を高めることができるし、日中における冷房を行っているときには、換気用空気吹出部61からの換気用空気の単位時間当たりの吹出量を調節することにより、冷房の強弱の設定を行うことができる。
【0067】
このような実施例1の建物1は、上記した実施例1の空調システムを備えた構成とされている。
【0068】
こうした構成なので、上記した実施例1の空調システムの作用効果を奏する建物とすることができる。
【実施例2】
【0069】
次に、実施例2について説明する。
【0070】
なお、実施例1で説明した内容と同一乃至均等な部分の説明については同一符号を付して説明する。
【0071】
図6は、実施例2の空調システムを備えた建物10の概略構成を示している。
【0072】
この実施例2の建物10では、床下空間11の内側面に冷気循環口8aが設けられ、この冷気循環口8aとヒートポンプ装置3の給気部32とが循環経路としてのダクト8で接続されていることが実施例1の建物1と主に異なる。
【0073】
このため、ヒートポンプ式給湯機2のヒートポンプ装置3の排気部31から排出される冷気で、蓄冷体としての基礎1Bを冷やしているときに、床下空間11内の冷気がダクト8で循環し、空調用給気口13aから逃げる冷熱が少なくなるので、蓄冷効率をより高めることができる。
【0074】
なお、他の構成及び作用効果については、実施例1と略同様であるので説明を省略する。
【実施例3】
【0075】
次に、実施例3について説明する。
【0076】
なお、実施例1で説明した内容と同一乃至均等な部分の説明については同一符号を付して説明する。
【0077】
図7は、実施例3の空調システムを備えた建物100の概略構成を示している。
【0078】
この実施例3の建物100では、床下空間11内にゼオライトなどを袋詰めにした調湿材9,・・・が設けられていることが実施例1の建物1と主に異なる。
【0079】
このため、床下空間11内の結露を防止することができるうえに、日中における冷房では、調湿材9,・・・により除湿された冷気を床上空間12内に給気することができる。
【0080】
なお、他の構成及び作用効果については、実施例1と略同様であるので説明を省略する。
【0081】
以上、図面を参照して、本発明を実施するための形態を実施例1〜3に基づいて詳述してきたが、具体的な構成は、これら実施例1〜3に限らず、本発明の要旨を逸脱しない程度の設計的変更は、本発明に含まれる。
【0082】
例えば、上記した実施例1〜3では、説明を簡単とするために、建物1,10,100を単純な構造として実施したが、これに限定されず、勿論、より複雑な構造で実施してもよい。
【0083】
また、上記した実施例1〜3では、説明を簡単とするために、換気装置6を単純な構造として実施したが、これに限定されず、勿論、フィルターボックスを設けるなどのより複雑な構造で実施してもよい。
【0084】
さらに、上記した実施例1〜3では、換気用空気として外気を利用する換気装置6を用いて実施したが、これに限定されず、例えば、換気用空気として人工的に清浄化した空気を利用する換気装置を用いて実施してもよい。
【符号の説明】
【0085】
1 建物
10 建物
100 建物
1A 建物本体
1B 基礎
11 床下空間
12 床上空間
13 床部
13a 空調用給気口
2 ヒートポンプ式給湯機
3 ヒートポンプ装置
3A ケーシング
31 排気部
31a 開度調整弁(排気量調整手段)
32 給気部
33 屋外排気部
33a 開度調整弁(排気量調整手段)
34 送気用ファン
35 空気用熱交換器
4 断熱材
5 ダクト(通気経路)
5a 冷気給気口
6 換気装置
61 換気用空気吹出部
62 換気用空気吸込部
7 ダクト(通気経路)
7a 外気吸込口
8 ダクト(循環経路)
8a 冷気循環口
9 調湿材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7