(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
固体識別情報に基づいたパターンで点滅する発光素子と、自身の周囲の温湿度を観測する温湿度センサと、室内の空調状態に対する利用者からの利用者情報を受け付ける利用者情報入力スイッチと、を備え、自身の周囲の温湿度情報、前記利用者情報、および前記固体識別情報を無線情報として送信する無線センサと、
空調制御対象の室内の画像情報を取得、および前記発光素子による点滅パターンを認識する撮像素子を備え、前記画像情報、および、前記撮像素子から得られる前記点滅パターンに基づく前記固体識別情報および前記無線情報に含まれる前記固体識別情報の2つの固体識別情報を用いて、前記無線情報を送信した前記無線センサの位置を特定し、前記無線情報を送信した無線センサがあるエリアを対象に空調制御を行う室内空調機と、
を備え、
前記室内空調機は、前記利用者情報に基づいて、当該利用者情報を含む無線情報を送信した無線センサの位置を対象とした空調制御を行う、
ことを特徴とするネットワーク空調制御システム。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本発明にかかるネットワーク空調制御システムの実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0011】
実施の形態.
図1は、本実施の形態に係るネットワーク空調制御システムの構成例を示す図である。ネットワーク空調制御システムは、室内空調機1と、室外機2と、有線リモコン3と、無線受信機4と、無線センサ5と、を備える。室内空調機1は、撮像素子6を備える。
【0012】
室内空調機1は、撮像素子6により得た画像情報から、室内空調機1を中心とした室内平面情報を得る。さらに、室内空調機1は、無線センサ5の発光を検出し、室内平面情報と無線センサ5の位置の整合を取ることで、室内空調機1と無線センサ5の相対的な位置情報を検出する。また、後述するように、無線センサ5では自身の固体識別情報に基づいて任意のパターンで発光素子を点滅させていることから、室内空調機1は、撮像素子6によって得られた点滅パターンと位置情報を関連付けて記憶する。なお、室内空調機1は、図示しない吸込みセンサ、配管センサ、流管センサ等を備え、各センサで観測された温度情報、有線リモコン3に備えられた温度センサによる温度情報、および無線センサ5から取得した温湿度情報等を用いて空調制御を行う。
【0013】
室外機2および有線リモコン3は、室内空調機1と接続し、空気調和機を構成する。なお、有線リモコン3は、図示しない室温センサを備え、観測した温度情報を室内空調機1へ出力する。
【0014】
無線受信機4は、無線センサ5から無線情報として、温湿度情報、人(利用者)によって無線センサ5に入力された利用者情報、および無線センサ5の固体識別情報を受信し、受信したこれらの情報を室内空調機1へ伝送する。
【0015】
無線センサ5は、観測した周囲の温湿度情報、人によって入力された利用者情報、および自身の固体識別情報を無線情報として無線受信機4へ送信する。ここで、無線センサ5の構成について説明する。
図2は、無線センサ5の構成例を示す図である。無線センサ5は、電源スイッチ51と、発光素子52と、温湿度センサ用外気取り込み口53と、表示装置54と、利用者情報入力スイッチ55と、を備える。
【0016】
電源スイッチ51は、人の操作により無線センサ5の電源をON/OFFする。発光素子52は、自身の固体識別情報に基づいて任意のパターンで点滅する。温湿度センサ用外気取り込み口53は、無線センサ5周囲の温湿度を観測する図示しない温湿度センサのための外気の取り込み口である。表示装置54は、図示しない温湿度センサで観測された温度、湿度等を表示する。利用者情報入力スイッチ55は、無線センサ5付近にいる人が感じる空調に対する情報(利用者情報:例えば、暑い、寒い等の情報)を受け付ける。
【0017】
無線センサ5は、電源が投入されると一定間隔で発光素子52を固体識別情報に応じて点滅させる。これにより、室内空調機1は、撮像素子6を用いて、発光素子52の位置および点滅パターンより認識した固体識別情報を関連付けて記憶することができる。
【0018】
また、無線センサ5は、無線情報(温湿度情報、利用者情報、固体識別情報)を無線受信機4へ送信し、無線受信機4は、受信した無線情報を室内空調機1へ伝送する。これにより、室内空調機1は、受信した固体識別情報を元に、温湿度情報と位置情報とを整合させ、無線センサ5周囲の温湿度情報を得ることができる。詳細については後述する。
【0019】
図3は、ネットワーク空調制御システムが空調制御を行う対象の室内の構成を示す図である。例えば、
図3に示すように、オフィスの各机に無線センサ5を配したフロアにおいて、出社時に無線センサ5の電源を投入し、退社時に無線センサ5の電源を切る場合、人が在席しているエリアAにある無線センサ5のみが、室内空調機1に無線受信機4経由で無線情報を送信する。人のいないエリアBに配置された無線センサ5は動作していないことから、室内空調機1へ無線情報を送信しない。この場合、室内空調機1は、エリアAに対して温度管理空調制御を行い、エリアBに対して温度管理空調制御を行わないため、効率的な空調制御が可能となる。
【0020】
なお、無線センサ5は、机に固定設置するほか、例えば、各人の個人所有としてもよい。これにより、会議室など、異なるエリアでも各人の周囲温度を適切に制御することが可能となる。
【0021】
つぎに、無線センサ5が利用者の操作により取得する利用者情報について説明する。
図4は、無線センサ5の配置例を示す図である。例えば、
図4に示すように、無線センサ5がモニタやPC(パーソナルコンピュータ)などの発熱源の近くに配置されていた場合、人のいる位置よりも高い温度が検出され、その情報が室内空調機1に送信されて空調制御されることから、過剰に冷やされる可能性がある。この場合、無線センサ5に備えられている利用者情報入力スイッチ55に、人が「寒い」などの情報を入力する。無線センサ5は、入力された利用者情報を含めて無線情報として、無線受信機4で室内空調機1へ送信する。これにより、室内空調機1において、個人にとって最適な空調環境を構築することが可能となる。なお、利用者情報を暑い、寒い等の情報としているが一例であり、例えば、設定温度や風向設定としてもよい。
【0022】
なお、本実施の形態では、無線センサ5と室内空調機1との組み合わせでシステムを構築するが、室内空調機1と無線センサ5の組み合わせは、室内空調機1が備える撮像素子6が撮像できるエリアによって決定される。
図5は、室内空調機1と無線センサ5との位置関係を示す図である。
図5に示すように、左側の室内空調機1(室内空調機C)が最も無線センサ5の近傍にあっても、室内空調機1(室内空調機C)の撮像素子6の死角となる位置に無線センサ5が配置してあった場合、室内空調機1(室内空調機C)では無線センサ5を認識することができない。この場合、無線センサ5を認識可能な右側の室内空調機1(室内空調機D)が、無線センサ5からの無線情報に基づいて、最適な空調を実現することが可能となる。
【0023】
また、室内空調機1の送風可能エリアと撮像素子6の視野角(撮像可能なエリア)を等しく(同一エリア)することで、壁に向かって送風するなどのムダを省くことが可能となる。各室内空調機1は、無線センサ5に対して送風可能なエリアを空調制御対象とする。
【0024】
図5に示すように、各室内空調機1が1つの撮像素子6を備え、複数の室内空調機1が、位置を特定した無線センサ5のあるエリアを対象として、それぞれが独立して空調制御を行ってネットワーク空調制御システムを構成することも可能である。
【0025】
つづいて、ネットワーク空調制御システムが実行する空調制御処理について説明する。
図6は、ネットワーク空調制御システムの空調制御処理を示すフローチャートである。
【0026】
まず、室内空調機1では、撮像素子6を用いて室内の画像情報を取得する(ステップS101)。室内空調機1は、取得した画像情報を解析し、室内空調機1を中心とするエリアで区切り、室内平面情報として取得する(ステップS102)。
【0027】
つぎに、室内空調機1では、特定波長に感度を持つ撮像素子6が、同波長で発光する発光体(無線センサ5の発行素子52)があるかどうかを確認する(ステップS103)。撮像可能エリアに発光体が確認できなかった場合(ステップS103:No)、室内空調機1は、ネットワーク空調制御システムの対象となる無線センサ5がないと判断し、再度画像情報の取得を行う(ステップS101)。
【0028】
撮像可能エリアに発光体が確認できた場合(ステップS103:Yes)、室内空調機1は、発光体が特定のパターンで点滅しているかどうかを確認する(ステップS104)。特定の点滅パターンを確認できなかった場合(ステップS104:No)、室内空調機1は、ネットワーク空調制御システムとは関係の無い発光と認識し、再度画像情報の取得を行う(ステップS101)。
【0029】
特定の点滅パターンを確認できた場合(ステップS104:Yes)、室内空調機1は、事前に用意された点滅パターンと固体識別情報とを関連付けし、確認できた発光体を固体識別情報1が割り当てられた無線センサ5として、無線センサ5の固体識別情報1を取得して記憶する(ステップS105)。
【0030】
室内空調機1は、ステップS102で取得した室内平面情報とステップS105で取得した固体識別情報1との整合をとり、無線センサ5の室内空調機1に対する位置情報を固体識別情報1と関連付けて記憶する(ステップS106)。
【0031】
なお、室内平面情報を取得(ステップS102)してから固体識別情報1を取得(ステップS105)する場合について説明したが、これに限定するものではない。例えば、固体識別情報1を取得(ステップS105)してから室内平面情報を取得(ステップS102)してもよいし、また、室内平面情報の取得(ステップS102)と固体識別情報1の取得(ステップS105)を並行して行ってもよい。
【0032】
つぎに、室内空調機1は、無線受信機4経由で無線センサ5からの無線情報を取得する(ステップS107)。室内空調機1は、取得した無線情報を解析し、取得した無線情報から固体識別信号2を読み出す(ステップS108)。
【0033】
室内空調機1は、ステップS106で記憶した固体識別情報1とステップS108で取得した固体識別情報2との整合をとり、取得した無線情報が室内空調機1の空調制御対象エリア内に存在しているかどうかを確認する(ステップS109)。整合がとれない場合(ステップS109:No)、室内空調機1は、取得した無線情報は空調制御に不要な情報となるため削除する(ステップS110)。そして、再度画像情報の取得を行う(ステップS101)。
【0034】
整合がとれた場合(ステップS109:Yes)、室内空調機1は、ステップS106で得られた固体識別情報1と位置情報との関係から、固体識別情報2の位置を特定する。室内空調機1は、固体識別情報2の位置を認識することで、無線センサ5における温湿度情報および無線センサ5を操作する利用者の利用者情報の発信位置を把握することができ、温湿度情報、利用者情報と無線センサ5の位置情報を関連付けることができる(ステップS111)。
【0035】
室内空調機1は、ステップS111で取得した温湿度情報と利用者情報とに基づいて所定の箇所に空調制御することが可能となり、空調制御対象位置に対して適切な空調制御を行うことができる(ステップS112)。室内空調機1は、一定時間経過するまで待機し(ステップS113:No)、一定時間経過後(ステップS113:Yes)、ステップS101に戻って上記空調制御処理を繰り返し実行する。室内空調機1は、上記空調制御処理を一定時間間隔で行うことで、無線センサ5のON/OFFや場所の移動に伴い、再度制御を行うことが可能となる。
【0036】
以上説明したように、本実施の形態では、室内空調機1が、撮像素子6を用いて取得した画像情報に基づく室内平面情報、撮像素子6で確認できた無線センサ5の点滅パターン、および無線受信機4経由で取得した無線センサ5からの無線情報に基づいて、無線センサ5の位置を特定し、無線情報に含まれる温湿度情報に基づいて制御対象の室内の空調制御を行うとともに、無線情報に含まれる利用者情報に基づいて、当該利用者情報の送信元の無線センサ5の位置に対して空調制御を行うこととした。これにより、無線センサ5では複雑な操作を行うことなく室内空調機1へ利用者の要望を送信でき、室内空調機1は、室内の温度を最適に保つとともに、各利用者の要望に応じた空調制御を行うことができることから、室内空調機1を、効率的に、利用者の主観的な環境を反映して稼動させることができ、快適な住環境を提供することが可能となる。
【0037】
また、室内空調機1では、撮像素子6を用いて無線センサ5の監視を常時行うことにより、各無線センサ5が任意の場所に移動した場合でも、撮像素子6の撮像可能なエリアであれば、確実に追跡、管理でき、空等制御を行うことができる。
【0038】
なお、室内の空調制御対象としてオフィスの場合を想定して説明したが、店舗などの不特定多数の人がいる空間を対象とすることも可能である。例えば、飲食店の各テーブルに無線センサ5を配置することにより、室内空調機1は、人の偏りによる温度ムラを把握することができ、効率的な空調制御を行うことが可能となる。
【0039】
また、利用客がテーブル上の無線センサ5を操作することで、利用客が無線センサ5の位置情報や制御を行う室内空調機1の指定などの煩雑な操作をすることなく、好みの環境を要望することが可能となる。