特許第5836150号(P5836150)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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特許5836150金属材料と樹脂材料との接合方法及びそれに用いる溶接装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5836150
(24)【登録日】2015年11月13日
(45)【発行日】2015年12月24日
(54)【発明の名称】金属材料と樹脂材料との接合方法及びそれに用いる溶接装置
(51)【国際特許分類】
   B29C 65/00 20060101AFI20151203BHJP
   B23K 11/16 20060101ALI20151203BHJP
   B23K 11/36 20060101ALI20151203BHJP
   B23K 11/00 20060101ALN20151203BHJP
【FI】
   B29C65/00
   B23K11/16
   B23K11/36 310
   !B23K11/00 520
【請求項の数】3
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2012-26256(P2012-26256)
(22)【出願日】2012年2月9日
(65)【公開番号】特開2013-163277(P2013-163277A)
(43)【公開日】2013年8月22日
【審査請求日】2014年11月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000800
【氏名又は名称】特許業務法人創成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】櫻井 基樹
(72)【発明者】
【氏名】小林 正俊
【審査官】 大塚 徹
(56)【参考文献】
【文献】 特開2001−032819(JP,A)
【文献】 特開平05−010356(JP,A)
【文献】 特開平11−037331(JP,A)
【文献】 特開昭53−093369(JP,A)
【文献】 特開平08−047783(JP,A)
【文献】 特開2005−294056(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0129041(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 65/00
B23K 11/00 − 11/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属粒子と樹脂粒子とを混合して一体化させてなり、一方の端部に近づくほど金属粒子の含有量が大であり、他方の端部に近づくほど樹脂粒子の含有量が大であるコンポジット部材と、該コンポジット部材の金属粒子の含有量が大となる側の端部で該コンポジット部材に連接する金属部材とからなる接合部材を用い、該金属部材を金属材料に溶接すると共に、該コンポジット部材の樹脂粒子の含有量が大となる側の端部に樹脂材料を接合する金属材料と樹脂材料との接合方法において、
該金属部材を該金属材料に溶接する際に、溶接される部分に連接する該金属部材を冷却し、該コンポジット部材を、その含有する樹脂の劣化温度未満の温度となるようにすることを特徴とする金属材料と樹脂材料との接合方法。
【請求項2】
請求項1記載の金属材料と樹脂材料との接合方法において、前記金属部材を前記金属材料に溶接する際に、前記溶接される部分に連接する該金属部材を冷却すると共に該金属部材の温度分布を測定し、該溶接される部分との間に、該金属部材の温度が前記コンポジット部材の含有する樹脂の劣化温度未満の温度となる間隔を存して、該コンポジット部材を連接させて前記接合部材を形成することを特徴とする金属材料と樹脂材料との接合方法。
【請求項3】
金属粒子と樹脂粒子とを混合して一体化させてなり、一方の端部に近づくほど金属粒子の含有量が大であり、他方の端部に近づくほど樹脂粒子の含有量が大であるコンポジット部材と、該コンポジット部材の金属粒子の含有量が大となる側の端部で該コンポジット部材に連接する金属部材とからなる接合部材の該金属部材を金属材料に溶接する溶接装置であって、
前記金属部材と前記金属材料との溶接される部分を挟持して溶接する1対の溶接手段と、該溶接される部分に連接する該金属部材を冷却する冷却手段を備えることを特徴とする溶接装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属材料と樹脂材料と接合方法及びそれに用いる溶接装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、金属と樹脂とが複合されてそれぞれの含有量が連続的に変化し、一方の端部は実質的に金属からなり、他方の端部は実質的に樹脂からなるコンポジット部材が知られている。前記コンポジット部材は、例えば、樹脂粒子と、金属粒子とを混合して一体化させたものである。前記コンポジット部材は、一方の端部に近づくほど樹脂粒子の含有量が大となっており、他方の端部に近づくほど金属粒子の含有量が大となっている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平5−10356号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記コンポジット部材は、金属部材を接続して接合部材とすることも考えられる。前記コンポジット部材は、前記金属粒子の含有量が大となっていて実質的に金属からなる端部に前記金属部材を連接させることにより、前記接合部材を形成することができる。
【0005】
前記接合部材によれば、前記金属部材に金属材料を溶接すると共に、前記コンポジット部材の樹脂粒子の含有量が大となっていて実質的に樹脂からなる端部に樹脂材料を接合することにより、該金属材料と該樹脂材料とを接合することができる。
【0006】
しかしながら、前記従来の方法では、前記金属部材に前記金属材料を溶接する際の熱が、該金属部材を介して前記コンポジット部材に伝導され、該コンポジット部材が含有する樹脂を劣化させることがあるという不都合がある。
【0007】
本発明は、かかる不都合を解消して、接合部材が含有する樹脂を劣化させることなく、金属材料と樹脂材料とを接合することができる方法及びそれに用いる溶接装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
かかる目的を達成するために、本発明は、金属粒子と樹脂粒子とを混合して一体化させてなり、一方の端部に近づくほど金属粒子の含有量が大であり、他方の端部に近づくほど樹脂粒子の含有量が大であるコンポジット部材と、該コンポジット部材の金属粒子の含有量が大となる側の端部で該コンポジット部材に連接する金属部材とからなる接合部材を用い、該金属部材を金属材料に溶接すると共に、該コンポジット部材の樹脂粒子の含有量が大となる側の端部に樹脂材料を接合する金属材料と樹脂材料との接合方法において、該金属部材を該金属材料に溶接する際に、溶接される部分に連接する該金属部材を冷却し、該コンポジット部材を、その含有する樹脂の劣化温度未満の温度となるようにすることを特徴とする。
【0009】
本発明では、金属粉末と樹脂粉末とを含むコンポジット部材と、該コンポジット部材の実質的に金属からなる端部に連接された金属部材とからなる接合部材を用いて、金属材料と樹脂材料とを接合する。
【0010】
前記コンポジット部材は、金属粒子と樹脂粒子とを混合して一体化させてなる。前記コンポジット部材では、一方の端部に近づくほど金属粒子の含有量が大となっており、他方の端部に近づくほど樹脂粒子の含有量が大となっている。
【0011】
この結果、前記コンポジット部材は、金属粒子の含有量が大となっている端部は実質的に金属からなり、樹脂粒子の含有量が大となっている端部は実質的に樹脂からなっている。
【0012】
前記接合部材によれば、前記金属部材を金属材料に溶接すると共に、前記コンポジット部材の樹脂粒子の含有量が大となる側の端部に樹脂材料を接合することにより、金属材料と樹脂材料とを接合することができる。しかし、このとき前記溶接の熱により、前記コンポジット部材が含有する樹脂が劣化すると、樹脂粒子の含有量が大となる側の端部における樹脂材料との接合が困難になることが懸念される。
【0013】
そこで、本発明では、前記金属材料に溶接される部分に連接する前記金属部材を冷却し、前記コンポジット部材を、その含有する樹脂の劣化温度未満の温度となるようにする。このようにすることにより、前記コンポジット部材が含有する樹脂が溶接の熱により劣化することを回避することができ、前記樹脂粒子の含有量が大となる側の端部に前記樹脂材料を確実に接合することができる。
【0014】
また、本発明の金属材料と樹脂材料との接合方法において、前記接合部材は、前記溶接される部分との間に、前記金属部材の温度が前記コンポジット部材の含有する樹脂の劣化温度未満の温度となる間隔を存して、該コンポジット部材を連接させることにより形成されることが好ましい。前記金属部材の温度が前記コンポジット部材の含有する樹脂の劣化温度未満の温度となる間隔は、前記金属部材を前記金属材料に溶接する際に、前記溶接される部分に連接する該金属部材を冷却し、該金属部材の温度分布を測定することにより把握される。
【0015】
このようにすることにより、前記金属部材の長さを必要最低限に短縮することができ、前記接合部材を軽量化することができる。また、前記溶接される部分との間に、前記間隔を存する範囲で、前記金属部材に対する前記コンポジット部材の連接位置を任意に設定できるので、該コンポジット部材を短小化して設計自由度を向上させることができると共に、コストを低減することができる。
【0016】
本発明の溶接装置は、前記金属部材を金属材料に溶接する溶接装置であって、前記金属部材と前記金属材料との溶接される部分を挟持して溶接する1対の溶接手段と、該溶接される部分に連接する該金属部材を冷却する冷却手段を備えることを特徴とする。
【0017】
本発明の溶接装置によれば、前記1対の溶接手段により、前記金属部材と前記金属材料との溶接される部分を挟持して溶接を行うことができる。また、本発明の溶接装置によれば、前記溶接と同時に、前記冷却手段により前記溶接される部分に連接する前記金属部材を冷却して、前記コンポジット部材を、その含有する樹脂の劣化温度未満の温度となるようにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の接合方法に用いる接合部材の構成を示す説明的断面図。
図2】本発明の接合方法に用いる溶接装置の構成を示す正面図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
次に、添付の図面を参照しながら本発明の実施の形態についてさらに詳しく説明する。
【0020】
本実施形態の接合方法は、図1に示す棒状の接合部材1を用いて、金属材料と樹脂材料とを接合する。
【0021】
接合部材1は、コンポジット部材2と、コンポジット部材2の実質的に金属からなる端部2aに連接された金属部材3とからなる。
【0022】
コンポジット部材2は、金属粒子21と、樹脂粒子22とを混合して一体化させてなる。コンポジット部材2では、端部2aに近づくほど金属粒子21の含有量が大となっており、端部2bに近づくほど樹脂粒子22の含有量が大となっている。この結果、コンポジット部材は、端部2aは実質的に金属からなり、端部2bは実質的に樹脂からなっている。
【0023】
コンポジット部材2において、金属粒子21を形成する金属としては、後述の金属材料32(図2参照)と同一の金属を用いることができる。金属粒子21を形成する金属として、例えば、鉄、銅、アルミニウム等の金属及びそれらの金属の合金を挙げることができる。金属粒子21は、例えば、粉砕等により数十μm程度の粒子径としたものを用いることができる。
【0024】
また、コンポジット部材2において、樹脂粒子22を形成する樹脂としては、接合される樹脂材料と同一の樹脂を用いることができ、例えば、エポキシ樹脂、ポリイミド、フェノールメラミン樹脂、尿素不飽和ポリエステル樹脂、アルキドポリウレタン樹脂等の樹脂を挙げることができる。樹脂粒子22は、例えば、粉砕等により数十μm程度の粒子径としたものを用いることができる。
【0025】
コンポジット部材2を製造するときには、まず、金属粒子21及び樹脂粒子22を、端部2aに近づくほど金属粒子21の含有量が大となり、端部2bに近づくほど樹脂粒子22の含有量が大となるように混合する。次に、前記のように混合された金属粒子21及び樹脂粒子22を、例えば、粉末成形法により成形し、プラズマ焼結を行うか、さらに10MPa程度の圧力を加えることにより、一体化する。
【0026】
金属部材3は、後述の金属材料32と同一の金属を用いることができる。金属部材3を形成する金属として、例えば、鉄、銅、アルミニウム等の金属及びそれらの金属の合金を挙げることができる。
【0027】
金属部材3は、例えば、粉砕又はアトマイズ法等により得られた金属の粉末又は微粉末を粉末成形法により成形し、プラズマ焼結を行うか、さらに10MPa程度の圧力を加えることにより形成することができる。前記金属の粉末又は微粉末を粉末成形法により成形する操作は、金属粒子21及び樹脂粒子22の粉末成形と同時に行うことが好ましく、このようにすることにより、接合部材1を一挙動で形成することができる。
【0028】
次に、接合部材1を用いる接合方法について説明する。
【0029】
本実施形態の接合方法では、まず、図2に示す溶接装置31を用いて、接合部材1を構成する金属部材3を、金属材料32に溶接する。
【0030】
溶接装置31は、第1のアーム33の先端に備えられた第1の溶接ガン34と、第2のアーム35の先端に備えられた第2の溶接ガン36とを備え、アーム33,35は軸37により互いに回動自在とされている。また、アーム33は、第3のアーム38を備えており、第3のアーム38の先端には、関節39,40を介して冷却部材41が接続されている。冷却部材41は、例えば、熱の良導体であるアルミニウム等の金属からなり、内部に冷却媒体が流通される導管を備えていてもよい。
【0031】
溶接装置31では、金属材料32上に接合部材1の金属部材3を載置し、金属部材3が金属材料32に溶接される部分を溶接ガン34,36で挟持する。また、同時に、金属部材3の前記溶接される部分に連接する領域に、冷却部材41を当接する。このとき、冷却部材41は、アーム38の先端に関節39,40を介して接続されているので、金属部材3が傾斜等の形状を備える場合にも容易に追随することができ、前記領域に確実に当接することができる。
【0032】
溶接装置31では、次に、溶接ガン34,36により、金属部材3を金属材料32に溶接する。このとき、溶接に伴って発生する熱が金属部材3を介してコンポジット部材2に伝導するが、溶接装置31では、金属部材3の前記溶接される部分に連接する領域に、冷却部材41が当接されているので、金属部材3が冷却される。この結果、金属部材3に連接するコンポジット部材2を、その含有する樹脂粒子22を形成する樹脂の劣化温度未満の温度となるようにすることができ、該樹脂が溶接の際の熱により劣化することを回避することができる。
【0033】
本実施形態の接合方法では、次に、金属部材3により金属材料32に溶接された接合部材1のコンポジット部材2の端部2bに、図示しない樹脂材料を接合する。前記樹脂材料の接合は、例えば、融着、接着等のそれ自体公知の方法により行うことができる。
【0034】
本実施形態の接合方法では、溶接装置31により金属部材3を金属材料32に溶接する際に、冷却部材41により冷却される金属部材3の温度分布を、予め測定するようにしてもよい。前記温度分布の測定によれば、金属部材3の温度がコンポジット部材2の含有する樹脂粒子22を形成する樹脂の劣化温度未満の温度となる位置を知ることができる。
【0035】
そこで、前記溶接される部分との間に、金属部材3の温度がコンポジット部材2の含有する樹脂粒子22を形成する樹脂の劣化温度未満の温度となる間隔を存して、コンポジット部材2を金属部材3に連接させて接合部材1を形成することができる。
【0036】
このようにすることにより、金属部材3の長さを必要最低限に短縮することができ、接合部材1を軽量化することができる。また、前記溶接される部分との間に、前記間隔を存する範囲で、前記金属部材3に対する前記コンポジット部材2の連接位置を任意に設定できるので、コンポジット部材2を短小化して設計自由度を向上させることができると共に、コンポジット部材2の製造に要するコストを低減することができる。
【0037】
尚、本実施形態の溶接装置31では、金属部材3の前記溶接される部分に連接する領域の冷却を冷却部材41により行っているが、冷却部材41に代えて冷風を吹き付けるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0038】
1…接合部材、 2…コンポジット部材、 3…金属部材、 21…金属粒子、 22…樹脂粒子、 31…溶接装置、 34,36…溶接ガン、 41…冷却部材。
図1
図2