(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記無線通信装置の前記同期状態判定手段は、他の無線通信装置が管理している時刻と自身が管理している時刻との同期状態を保持し、同期状態に変更がある場合に、同期状態判定結果を前記基準装置へ通知する
ことを特徴とする請求項1または2に記載の無線通信システム。
前記無線通信装置の前記時刻同期手段は、基準装置が複数ある中で予め設定されている基準装置または当該基準装置との間で時刻同期が完了している他の無線通信装置から時刻情報を取得した場合に、自身が管理している時刻を当該時刻情報の取得元の装置が管理している時刻に同期させる
ことを特徴とする請求項1〜7のいずれか一つに記載の無線通信システム。
前記基準装置および前記無線通信装置の前記同期状態判定手段は、前記判定結果を前記基準装置とは異なる管理装置へ通知することを特徴とする請求項1〜8のいずれか一つに記載の無線通信システム。
前記無線通信装置の前記同期状態判定手段は、前記判定結果を前記同期先装置に対して送信し、前記判定結果を受信した前記同期先装置が自身の同期先装置に対して前記判定結果を中継送信し、前記基準装置まで前記判定結果を中継して通知すること
を特徴とする請求項1〜9のいずれか一つに記載の無線通信システム。
前記無線通信装置の前記同期状態判定手段は、前記判定結果を前記同期先装置に対して送信し、前記判定結果を受信した前記同期先装置が自身の同期先装置に対して前記判定結果および自身の識別情報を中継情報として中継送信し、前記基準装置まで前記判定結果を中継して通知するとともに、前記基準装置において前記中継情報により前記基準装置から前記判定結果の対象の無線通信装置までの経路を把握し管理する
ことを特徴とする請求項10に記載の無線通信システム。
前記同期状態判定手段は、他の無線通信装置が管理している時刻と自身が管理している時刻との同期状態を保持し、同期状態に変更がある場合に、同期状態判定結果を前記基準装置へ通知する
ことを特徴とする請求項13または14に記載の無線通信装置。
前記時刻同期手段は、基準装置が複数ある中で予め設定されている基準装置または当該基準装置との間で時刻同期が完了している他の無線通信装置から時刻情報を取得した場合に、自身が管理している時刻を当該時刻情報の取得元の装置が管理している時刻に同期させる
ことを特徴とする請求項13〜19のいずれか一つに記載の無線通信装置。
前記基準装置および前記同期状態判定手段は、前記判定結果を前記基準装置とは異なる管理装置へ通知することを特徴とする請求項13〜20のいずれか一つに記載の無線通信装置。
前記同期状態判定手段は、前記判定結果を前記同期先装置に対して送信し、前記判定結果を受信した前記同期先装置が自身の同期先装置に対して前記判定結果を中継送信し、前記基準装置まで前記判定結果を中継して通知すること
を特徴とする請求項13〜20のいずれか一つに記載の無線通信装置。
前記同期状態判定手段は、前記判定結果を前記同期先装置に対して送信し、前記判定結果を受信した前記同期先装置が自身の同期先装置に対して前記判定結果および自身の識別情報を中継情報として中継送信し、前記基準装置まで前記判定結果を中継して通知する
ことを特徴とする請求項22に記載の無線通信装置。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、本発明にかかる無線通信システム、無線通信装置および基準装置の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0013】
実施の形態1.
図1は、本発明にかかる無線通信装置を含んだ無線通信システムの実施の形態1の構成例を示す図である。この無線通信システムは、時刻配信マスターであるコンテンツ配信サーバ1と、時刻配信スレーブである複数の無線通信装置2(無線通信装置2−1〜2−4)とを含んで構成されている。コンテンツ配信サーバ1と無線通信装置2、および無線通信装置2同士は無線により接続されている。無線通信装置2−1および2−4とコンテンツ配信サーバ1は直接接続され、無線通信装置2−2とコンテンツ配信サーバ1は無線通信装置2−1経由で接続されている。無線通信装置2−3とコンテンツ配信サーバ1は無線通信装置2−1および2−2経由で接続されている。
【0014】
以下、本実施の形態の時刻配信マスター(コンテンツ配信サーバ1)と時刻配信スレーブ(無線通信装置2)の動作について、
図2から
図6を用いて説明する。
【0015】
図2は、時刻配信マスターから時刻配信スレーブへの時刻同期、および時刻配信マスターから見て3段目までの時刻配信スレーブ(
図2では時刻配信スレーブ#Cとしている)の同期状態確認シーケンスの一例を示す図である。なお、4段目以降の時刻配信スレーブの同期状態確認シーケンスについても同様である。
【0016】
まず、時刻配信マスターが自身の管理する時刻情報を時刻配信メッセージにより、周囲に送信する(ステップS11)。
【0017】
時刻配信メッセージは、
図3に示すように、時刻配信メッセージであることを示すメッセージ種別と、メッセージの送信元のノードを示す送信者識別子と、時刻情報と、を含む。なお、シーケンス番号については必須ではない。
【0018】
時刻配信マスターが送信した時刻配信メッセージは、周辺のノード(時刻配信スレーブ#A)によって受信され、時刻配信メッセージを受信した時刻配信スレーブ#Aは、時刻配信メッセージ中の時刻情報を演算処理し、自身が管理している時刻(ローカル時刻)を時刻配信メッセージの送信元のノード(ここでは時刻配信マスター)が管理している時刻(基準時刻)に同期させる時刻同期処理を行う(ステップS12)。時刻配信スレーブ#Aは、さらに、自身のタイミングで、自身が管理している時刻を時刻情報に設定した時刻配信メッセージを周囲に送信する(ステップS13)。この時刻配信メッセージを受信したノード(時刻配信スレーブ#B)は、時刻配信スレーブ#Aが時刻配信マスターから時刻配信メッセージを受信した場合と同様の手順で時刻同期処理と時刻配信メッセージの送信とを行う(ステップS16,S17)。
【0019】
ここで、時刻配信スレーブ#Aが送信した時刻配信メッセージは時刻配信マスターにも到達する。時刻配信マスターは、時刻配信スレーブ#Aの同期状態を確認するために、時刻配信スレーブ#Aが送信した時刻配信メッセージを受信し、受信時の自身の時刻と比較する時刻演算処理を行い、時刻配信スレーブ#Aの同期状態を判定する(ステップS14)。なお、当該時刻配信メッセージが時刻配信スレーブ#Aのメッセージであることは、時刻配信メッセージ中の送信者識別子により判断する。時刻配信マスターは、例えば、自身が管理している基準時刻と受信した時刻配信メッセージ中の時刻情報が示すローカル時刻との差の絶対値が規定時間以下である場合に同期状態と判定し、規定時間を越える場合に同期エラー(非同期状態)と判定する。
【0020】
時刻配信マスターは、時刻配信スレーブ#Aの同期状態判定結果(ステップS14での判定結果)をテーブルに保持して管理する(ステップS15)。これにより、現在の時刻同期状態を管理者が容易に確認することが可能となる。なお、時刻同期状態を保持するステップS15の処理は必須ではなく、同期状態エラーと判定された場合に、管理者にメールで通知する処理や、アラームを上げる処理としてもよい。
【0021】
また、時刻配信マスターから見て2段目の時刻配信スレーブ#Bの同期状態の確認は、時刻配信スレーブ#BがステップS17で送信した時刻配信メッセージを受信した時刻配信スレーブ#Aが行う。すなわち、時刻配信メッセージを時刻配信スレーブ#Bから受信した時刻配信スレーブ#Aは、時刻配信マスターが実行する上記ステップS14と同様の手順により、時刻配信スレーブ#Bの同期状態を判定する(ステップS18)。なお、当該時刻配信メッセージが時刻配信スレーブ#Bの時刻配信メッセージであることは、時刻配信メッセージ中の送信者識別子により判断する。
【0022】
時刻配信スレーブ#Aは、時刻配信スレーブ#Bの同期状態判定が終了すると、判定結果を
図4に示した同期状態通知メッセージにより、自身の同期元である時刻配信マスターへ通知する(ステップS19)。同期状態通知メッセージは、
図4に示すとおり、同期状態通知メッセージであることを示すメッセージ種別(同期中通知メッセージ、または同期エラー通知メッセージ)と、メッセージのあて先(時刻配信マスター)を示すあて先端末識別子と、同期状態判定の対象とした時刻配信スレーブ(ここでは時刻配信スレーブ#Bとなる)を示す端末識別子と、同期状態通知メッセージの送信時刻と、を含む。同期状態の判定結果が同期中となった場合は、メッセージ種別に同期中通知メッセージを設定し、同期状態の判定結果が同期エラーとなった場合は、メッセージ種別に同期エラー通知メッセージを設定する。なお、同期状態通知メッセージ中の送信時刻については、同期状態通知の発生タイミングを通知先の時刻配信マスターで管理する必要がない場合は必須ではない。
【0023】
時刻配信マスターは、時刻配信スレーブ#Aから通知された同期状態通知メッセージを受信することで、時刻配信スレーブ#Bの同期状態を取得し(ステップS20)、時刻配信スレーブ#Bの同期状態をテーブルに保持して管理する(ステップS21)。なお、ステップS21の処理は必須ではなく、同期状態エラーと判定された場合に、管理者にメールで通知する処理や、アラームを上げる処理としてもよい。
【0024】
ステップS17で時刻配信スレーブ#Bから送信された時刻配信メッセージを受信したノード(時刻配信スレーブ#C)は、時刻配信スレーブ#Aおよび#Bが時刻配信メッセージを受信した場合と同様の手順で時刻同期処理と時刻配信メッセージの送信を行う(ステップS22,S23)。
【0025】
時刻配信スレーブ#Cの同期状態確認は、時刻配信スレーブ#Bが行う。時刻配信スレーブ#Bは、時刻配信スレーブ#CがステップS23で送信した時刻配信メッセージを受信すると、時刻配信マスターが実行する上記ステップS14や時刻配信スレーブ#Aが実行する上記ステップS18と同様の手順により、時刻配信スレーブ#Cの同期状態を判定する(ステップS24)。時刻配信スレーブ#Bは、時刻配信スレーブ#Cの同期状態判定が終了すると、判定結果を自身の同期元である時刻配信スレーブ#Aへ通知する(ステップS25)。これは、時刻配信スレーブ#Bは、時刻配信マスターから直接通信できる範囲に存在しないため、時刻配信スレーブ#Aを介して時刻配信マスターへ時刻配信スレーブ#Cの同期状態を通知するためである。
【0026】
時刻配信スレーブ#Aは、時刻配信スレーブ#Bから通知された同期状態通知メッセージを受信すると、自身の同期元である時刻配信マスターへ転送する(ステップS26,S27)。
【0027】
時刻配信マスターは、時刻配信スレーブ#Aから通知された同期状態通知メッセージを受信することで、時刻配信スレーブ#Cの同期状態を取得し(ステップS28)、時刻配信スレーブ#Cの同期状態をテーブルに保持して管理する(ステップS29)。なお、ステップS29の処理は必須ではなく、同期状態エラーと判定された場合に、管理者にメールで通知する処理や、アラームを上げる処理としてもよい。
【0028】
以上の方法により、無線通信システム内の時刻配信スレーブの同期状態を時刻配信マスターで管理することが可能となる。なお、本実施の形態では時刻配信マスターから時刻配信スレーブ#A、#B、#Cと各階層に1台ずつ時刻配信スレーブが接続された例を用いて説明したが、各階層に属する時刻配信スレーブは複数存在してもよい。その場合、複数の時刻配信スレーブが周辺ノードの同期確認を行い、その結果を示す同期状態通知メッセージを上位階層のノード(時刻配信マスター,時刻配信スレーブ)へ通知してもよい。また、上記では、同期状態を
図4に示した時刻配信メッセージを用いて時刻配信マスターへ通知するようにしたが、別途ルーティングプロトコルや手動設定によりルートを用いて、時刻配信マスター、または時刻配信マスターとは別の同期状態管理サーバへ通知するようにしてもよい。
【0029】
次に、実施の形態1の時刻配信マスター(コンテンツ配信サーバ1)の装置構成について
図5を用いて説明する。
【0030】
図5に示したように、本実施の形態の時刻配信マスターは、復調・復号処理部11と、メッセージ種別判定部12と、時刻演算処理部13と、時刻管理部14と、端末同期管理部15と、時刻配信メッセージ生成部16と、送信時刻生成部17と、符号化・変調処理部18と、を備える。時刻演算処理部13は受信時刻生成部131および時刻配信メッセージ処理部132を含み、端末同期管理部15は同期状態通知メッセージ処理部151および同期状態管理部152を含んでいる。
【0031】
この様な構成の時刻配信マスターは、主要な処理として、周辺の端末(時刻配信スレーブである無線通信装置)へ時刻配信メッセージを送信する処理(時刻配信メッセージ送信処理)と、周辺の端末から送信された時刻配信メッセージを受信する処理(時刻配信メッセージ受信処理)と、周辺の端末から送信された同期状態通知メッセージを受信する処理(同期状態通知メッセージ受信処理)と、を行う。これらの処理を実施する場合の各部の動作を以下に示す。
【0032】
<時刻配信メッセージ送信処理>
時刻配信メッセージ送信処理では、まず、時刻管理部14から時刻配信メッセージ送信タイミング信号を時刻配信メッセージ生成部16に通知する。時刻配信メッセージ送信タイミング信号を通知された時刻配信メッセージ生成部16は、時刻配信メッセージの準備処理を行う。時刻配信メッセージは
図3に示したとおり、メッセージ種別と、送信者識別子と、シーケンス番号と、時刻情報と、を含む。時刻配信メッセージ生成部16は、メッセージ種別と送信者識別子を時刻配信メッセージに設定し、この時刻配信メッセージを送信時刻生成部17へ通知する。シーケンス番号は、時刻配信メッセージ準備処理を実施後、新たな番号に更新し、保持する。次回の時刻配信メッセージ送信時は、更新したシーケンス番号を使用する。シーケンス番号の初期値は任意の値でよい。ただし、時刻配信メッセージにシーケンス番号を含まない場合は、シーケンス番号の更新、およびシーケンス番号の保持は行わなくてもよい。
【0033】
送信時刻生成部17は、無線アクセス制御(例えば、CSMA/CA(Carrier Sense Multiple Access/Collision Avoidance))により無線への送信が可能となったタイミングで時刻管理部14から通知される時刻情報を時刻配信メッセージに設定し、この時刻配信メッセージを符号化・変調処理部18に通知する。なお、時刻配信を高精度に行うため、送信時刻生成部17において時刻配信メッセージへの時刻情報設定を実施しているが、時刻配信の精度が低くても問題ないシステムにおいては、時刻情報設定を時刻配信メッセージ生成部16の処理において実施してもよく、この場合は、送信時刻生成部17は必要なく、時刻配信メッセージ生成部16から直接、符号化・変調処理部18へ時刻配信メッセージを通知する。
【0034】
符号化・変調処理部18は、通知された時刻配信メッセージに対して符号化および変調処理を行い、無線信号として送信する。
【0035】
<時刻配信メッセージ受信処理>
時刻配信メッセージ受信処理では、まず、復調・復号処理部11が周辺の端末から送信されたメッセージ(時刻配信メッセージまたは同期状態通知メッセージ)を受信し、メッセージの受信タイミング信号を時刻演算処理部13内の受信時刻生成部131へ通知する。また、受信したメッセージに対して復調および復号処理を行い、復号したメッセージをメッセージ種別判定部12へ通知する。メッセージ種別判定部12では、メッセージ中のメッセージ種別から時刻配信メッセージであるか、同期状態通知メッセージであるかを判定する。
【0036】
メッセージ種別判定部12は、受信したメッセージが時刻配信メッセージであると判定した場合、受信したメッセージを時刻演算処理部13内の時刻配信メッセージ処理部132へ通知する。ここで、受信時刻生成部131は、復調・復号処理部11からメッセージ受信タイミング信号を通知された時に、時刻管理部14から時刻情報を取得し、取得した時刻情報を時刻配信メッセージ処理部132へ通知する。時刻配信メッセージ処理部132は、時刻配信メッセージに含まれる時刻情報と、受信時刻生成部131から通知された時刻情報とを比較し、それぞれの時刻情報が示している時刻の差の絶対値が規定時間以内であれば、時刻配信メッセージの送信者を同期状態と判定し、受信した時刻配信メッセージ中の送信者識別子(端末識別子)と、状態「同期状態」と、を同期状態管理部152へ通知する。また、上記時刻の差の絶対値が規定時間を越えている場合には、時刻配信メッセージの送信者を同期エラーと判定し、受信した時刻配信メッセージ中の送信者識別子(端末識別子)と、状態「同期エラー」と、を同期状態管理部152へ通知する。
【0037】
なお、以上の手順では、時刻同期確認を高精度に行うため、復調・復号処理部11から、メッセージ受信タイミングを受信時刻生成部131へ通知し、正確な受信時刻情報を時刻配信メッセージ処理部132へ通知するようにしているが、時刻同期確認の精度が低くても問題ないシステムにおいては、復調・復号処理部11からのメッセージ受信タイミング通知を受信時刻生成部131へ通知する処理を行わず、時刻配信メッセージ処理部132は、時刻配信メッセージが通知された時点の時刻情報を時刻管理部14から取得するようにし、取得した時刻情報と受信メッセージ中の時刻情報とを比較することで同期状態確認を行ってもよい。この場合は、受信時刻生成部131は必要ない。
【0038】
<同期状態通知メッセージ受信処理>
受信したメッセージの種別をメッセージ種別判定部12が判定するまでの手順は上述した時刻配信メッセージ受信処理と同様であるため、説明を省略する。
【0039】
メッセージ種別判定部12は、受信したメッセージが時刻配信メッセージであると判定した場合、受信したメッセージを端末同期管理部15の同期状態通知メッセージ処理部151へ通知する。
【0040】
同期状態通知メッセージ処理部151は、通知された同期状態通知メッセージ中のあて先端末識別子が自ノードである場合は、端末識別子と、同期状態と、を抽出し、同期状態管理部152へ通知する。あて先端末識別子が自ノードでない場合は当該メッセージを破棄する。
【0041】
同期状態管理部152では、時刻配信メッセージ処理部132、または同期状態通知メッセージ処理部151から通知された端末識別子と同期状態を保持する。なお、端末識別子と同期状態を保持せず、同期エラーの場合に端末識別子と同期エラーである旨を管理者などに対してメールで通知するようにしてもよく、アラームを上げるようにしてもよい。
【0042】
次に、実施の形態1の時刻配信スレーブ(無線通信装置2)の装置構成について
図6を用いて説明する。
【0043】
図6に示したように、本実施の形態の時刻配信スレーブは、復調・復号処理部21と、メッセージ種別判定部22と、時刻演算処理部23と、時刻管理部24と、端末同期管理部25と、時刻配信メッセージ生成部26と、送信時刻生成部27と、符号化・変調処理部28と、同期先端末管理部29と、を備える。時刻演算処理部23は受信時刻生成部231および時刻配信メッセージ処理部232を含み、端末同期管理部25は同期状態通知メッセージ処理部251および同期状態通知メッセージ生成部252を含んでいる。
【0044】
この様な構成の時刻配信スレーブは、主要な処理として、周辺の端末(時刻配信マスター,他の時刻配信スレーブ)へ時刻配信メッセージを送信する処理(時刻配信メッセージ送信処理)と、周辺の端末から送信された時刻配信メッセージを受信する処理(時刻配信メッセージ受信処理)と、周辺端末の同期状態を確認して同期先の端末へ通知する処理(同期状態確認・通知処理)と、を行う。これらの処理を実施する場合の各部の動作を以下に示す。
【0045】
<時刻配信メッセージ送信処理>
時刻配信メッセージ送信処理は、上述した時刻配信マスター(コンテンツ配信サーバ1)が実行する時刻配信メッセージ送信処理と同様である。ただし、シーケンス番号については、同期先状態管理部29で保持している自身の同期先端末から受信した最新のシーケンス番号を使用する。
【0046】
すなわち、時刻配信スレーブにおける時刻配信メッセージ送信処理では、まず、時刻管理部24から時刻配信メッセージ送信タイミング信号を時刻配信メッセージ生成部26に通知する。時刻配信メッセージ送信タイミング信号を通知された時刻配信メッセージ生成部26は、時刻配信メッセージの準備処理を行う。すなわち、時刻配信メッセージ生成部26は、メッセージ種別と送信者識別子を時刻配信メッセージに設定し、この時刻配信メッセージを送信時刻生成部27へ通知する。
【0047】
送信時刻生成部27は、無線アクセス制御(例えば、CSMA/CA)により無線への送信が可能となったタイミングで時刻管理部24から通知される時刻情報を時刻配信メッセージに設定し、この時刻配信メッセージを符号化・変調処理部28に通知する。なお、時刻配信を高精度に行うため、送信時刻生成部27において時刻配信メッセージへの時刻情報設定を実施しているが、時刻配信の精度が低くても問題ないシステムにおいては、時刻情報設定を時刻配信メッセージ生成部26の処理において実施してもよく、この場合は、送信時刻生成部27は必要なく、時刻配信メッセージ生成部24から直接、符号化・変調処理部28へ時刻配信メッセージを通知する。
【0048】
符号化・変調処理部28は、通知された時刻配信メッセージに対して符号化および変調処理を行い、無線信号化して送信する。
【0049】
<時刻配信メッセージ受信処理>
時刻配信メッセージ受信処理では、まず、復調・復号処理部21が周辺の端末から送信されたメッセージ(時刻配信メッセージまたは同期状態通知メッセージ)を受信し、メッセージの受信タイミング信号を時刻演算処理部23内の受信時刻生成部231へ通知する。また、受信したメッセージに対して復調および復号処理を行い、復号したメッセージをメッセージ種別判定部22へ通知する。メッセージ種別判定部22では、メッセージ中のメッセージ種別から時刻配信メッセージであるか、同期状態通知メッセージであるかを判定する。
【0050】
メッセージ種別判定部22は、受信したメッセージが時刻配信メッセージであると判定した場合、受信したメッセージを時刻演算処理部23内の時刻配信メッセージ処理部232へ通知する。ここで、受信時刻生成部231は、復調・復号処理部21からメッセージ受信タイミング信号を通知された時に、時刻管理部24から時刻情報を取得し、取得した時刻情報を時刻配信メッセージ処理部232へ通知する。
【0051】
時刻配信メッセージ処理部232は、時刻配信メッセージが同期先端末管理部29で同期先端末として管理されている端末から取得したものである場合は、時刻同期処理を行う。ここで、同期先端末とは、自身(自無線通信装置)が管理しているローカル時刻を同期させる相手の端末であり、例えば、時刻配信スレーブが起動後、最初に受信した時刻配信メッセージの送信元端末(送信者識別子が示しているコンテンツ配信サーバ、または周囲の他の無線通信装置)が該当する。なお、時刻配信メッセージにシーケンス番号を含む場合は、前記時刻配信メッセージ処理部232の処理に加え、同期先端末管理部29が管理する最新のシーケンス番号と、時刻配信メッセージ中のシーケンス番号と、を比較し、時刻配信メッセージ中のシーケンス番号が有効なものであると判定した場合に限り、受信した時刻配信メッセージ中のシーケンス番号を最新のシーケンス番号として同期先端末管理部29に通知するとともに、時刻同期処理を行う。時刻配信メッセージ処理部232は、同期先端末管理部29が同期先端末の識別情報を保持していない状態で時刻配信メッセージを受信した場合には、受信した時刻配信メッセージの送信者識別子を同期先端末の識別情報として同期先端末管理部29へ通知する。時刻配信メッセージにシーケンス番号が含まれている場合は、前記シーケンス番号を最新のシーケンス番号として同期先端末管理部29に通知する。同期先端末管理部29が同期先端末識情報を保持しており、かつ時刻配信メッセージが同期先端末管理部29で同期先端末として管理されている端末から取得したものではない場合、同期状態確認処理を実施する。
【0052】
また、時刻配信メッセージ処理部232は次の処理により、同期先端末の変更要否を判定し、同期先端末変更処理を行ってもよい。同期先時刻配信メッセージにシーケンス番号を含まない場合は同期先端末からの時刻配信メッセージの受信が一定時間無い時に、その後に受信した最初の時刻配信メッセージの送信元端末を同期先端末として同期先端末管理部29に通知する。また、時刻配信メッセージにシーケンス番号を含む場合は有効なシーケンス番号の時刻配信メッセージの受信が一定時間無い時に、その後に受信した最初の時刻配信メッセージの送信元端末を同期先端末とし、前記時刻配信メッセージ中のシーケンス番号を最新のシーケンス番号として同期先端末管理部29に通知する。
【0053】
時刻配信メッセージ処理部232は、時刻同期処理では、受信した時刻配信メッセージに含まれる時刻情報と受信時刻生成部231から通知された時刻情報(時刻配信メッセージの受信時刻の情報)とを比較し、これらの時刻情報が示している時刻の差分を時刻管理部24へ通知することにより、時刻管理部24が管理している時刻を補正する(時刻管理部24は通知された差分に基づいて、自身が管理している時刻を補正する)。なお、複数の時刻配信メッセージを受信してそれらに含まれている複数の時刻情報と各時刻配信メッセージの受信時刻情報から、クロックドリフトを算出することで、時刻補正精度を向上させるようにしてもよい。
【0054】
時刻配信メッセージ処理部232は、同期状態確認処理では、受信した時刻配信メッセージに含まれる時刻情報と、受信時刻生成部231から通知された時刻情報とを比較し、それぞれの時刻情報が示している時刻の差の絶対値が規定時間以内であれば、時刻配信メッセージの送信者を同期状態と判定し、受信した時刻配信メッセージ中の送信者識別子と、状態「同期状態」と、を同期状態通知メッセージ生成部252へ通知する。また、上記時刻の差の絶対値が規定時間を越えている場合には、時刻配信メッセージの送信者を同期エラーと判定し、受信した時刻配信メッセージ中の送信者識別子と、状態「同期エラー」と、を同期状態通知メッセージ生成部252へ通知する。
【0055】
なお、以上の手順では、時刻同期確認を高精度に行うため、復調・復号処理部21から、メッセージ受信タイミングを受信時刻生成部231へ通知し、正確な受信時刻情報を時刻配信メッセージ処理部232へ通知するようにしているが、時刻同期確認の精度が低くても問題ないシステムにおいては、復調・復号処理部21からのメッセージ受信タイミング通知を受信時刻生成部231へ通知する処理を行わず、時刻配信メッセージ処理部232は、時刻配信メッセージが通知された時点の時刻情報を時刻管理部24から取得するようにし、取得した時刻情報と受信メッセージ中の時刻情報とを比較することで同期状態確認を行ってもよい。この場合は、受信時刻生成部231は必要ない。
【0056】
<同期状態確認・通知処理>
受信したメッセージの種別をメッセージ種別判定部22が判定するまでの手順は上述した時刻配信メッセージ受信処理と同様であるため、説明を省略する。
【0057】
メッセージ種別判定部22は、受信したメッセージが同期状態通知メッセージであると判定した場合、受信したメッセージを端末同期管理部25の同期状態通知メッセージ処理部251へ通知する。
【0058】
同期状態通知メッセージ処理部251は、通知された同期状態通知メッセージ中のあて先端末識別子が自ノードである場合は、端末識別子と、同期状態と、を抽出し、同期状態通知メッセージ生成部252へ通知する。あて先端末識別子が自ノードでない場合は当該メッセージを破棄する。
【0059】
同期状態通知メッセージ生成部252は、時刻配信メッセージ処理部232、または同期状態通知メッセージ処理部251から通知された端末識別子と同期状態から、同期状態通知メッセージを生成する。同期状態通知メッセージのあて先端末識別子には同期先端末管理部29から取得した同期先端末の識別子を設定する。生成した同期状態通知メッセージは符号化・変調処理部28へ通知する。
【0060】
符号化・変調処理部28は、通知された同期状態通知メッセージに対して符号化・変調処理を行い、無線信号化して送信する。
【0061】
このように、本実施の形態の無線通信システムにおいて、時刻配信マスターは、自身が管理している時刻(基準時刻)の情報を含んだ時刻配信メッセージを周囲に送信し、また、時刻配信スレーブから時刻配信メッセージを受信した場合には、受信したメッセージに含まれている時刻情報とメッセージの受信時刻とに基づいて、メッセージの送信元の時刻配信スレーブで管理されている時刻と自身が管理している時刻が同期しているかどうかを判定する。時刻配信スレーブは、自身が管理している時刻の情報を含んだ時刻配信メッセージを周囲に送信し、また、時刻配信メッセージを受信した場合の処理として、メッセージの送信元が同期先端末に設定されていれば、受信したメッセージに含まれている時刻情報とメッセージの受信時刻とに基づいて、自身が管理している時刻を補正して同期先端末で管理されている時刻と同期させる処理を行い、一方、メッセージの送信元が同期先端末に設定されていなければ、受信したメッセージに含まれている時刻情報とメッセージの受信時刻とに基づいて、メッセージの送信元の時刻配信スレーブで管理されている時刻と自身が管理している時刻が同期しているかどうかを判定し、判定結果を時刻配信マスターに通知する処理を行う。これにより、無線センサネットワークなどの無線アドホックネットワークにおいて、各ノード間の時刻同期を実現するとともに、時刻配信マスターがネットワーク内の各ノードの時刻同期状態を把握できるようになる。
【0062】
実施の形態2.
実施の形態2の時刻配信スレーブ(無線通信装置2a)の装置構成について、
図7を用いて説明する。なお、時刻配信マスター(コンテンツ配信サーバ)の構成は、実施の形態1と同様である。また、無線通信システムの構成は実施の形態1と同様である。
【0063】
図7に示したように、本実施の形態の時刻配信スレーブは、実施の形態1の時刻配信スレーブ(
図6参照)が備えていた端末同期管理部25を端末同期管理部25aに置き換えたものである。この端末同期管理部25aは、端末同期管理部25に対して同期状態管理部253を追加したものである。本実施の形態では、実施の形態1の時刻配信スレーブと異なる部分についてのみ説明する。
【0064】
本実施の形態の時刻配信スレーブにおいて、時刻配信メッセージ処理部232は、同期状態確認処理を実行すると、その結果(同期状態か否かを示す情報)および送信者識別子を同期状態管理部253へ通知する。同期状態通知メッセージ処理部251は、同期状態通知メッセージから抽出した端末識別子および同期状態の情報を同期状態管理部253へ通知する。
【0065】
同期状態管理部253は、時刻配信メッセージ処理部232および同期状態通知メッセージ処理部251から通知された端末識別子および同期状態の情報を保持し、保持している各端末識別子それぞれに対応する端末の同期状態に変更があった場合にのみ、当該端末の端末識別子と同期状態を同期状態通知メッセージ処理部252へ通知する。
【0066】
同期状態通知メッセージ処理部252は、同期状態管理部253から端末識別子と同期状態が通知されると、同期状態通知メッセージを生成する。
【0067】
このように、本実施の形態の時刻配信スレーブは、同期状態管理部を備え、同期状態が変化した場合に同期状態メッセージを生成して時刻配信マスターへ通知することとしたので、無線ネットワーク内に不要な同期状態通知メッセージを送信するのを回避し、無線リソースの枯渇を防ぐことができる。
【0068】
実施の形態3.
本実施の形態の無線通信システムでは、
図3に示した構成の時刻配信メッセージに代えて、
図8に示した構成の時刻配信メッセージを使用する。なお、無線通信システムの構成、時刻配信マスターの構成、および時刻配信スレーブの構成は実施の形態1または2と同様である。
【0069】
すなわち、本実施の形態では、実施の形態1および2で使用した時刻配信メッセージに時刻配信マスターからのホップ数を追加したものを使用する。そして、時刻配信スレーブでの時刻配信メッセージ受信処理においては、よりホップ数の少ない時刻配信メッセージの送信者識別子の端末を同期先端末とする。同期先端末管理部29(
図6および
図7参照)では、同期先端末の端末識別子、および最新のシーケンス番号に加え、受信したホップ数に1を加えた値を自身のホップ数として管理する。時刻配信メッセージ処理部232は、同期先端末管理部29で管理しているホップ数よりも少ないホップ数が設定された時刻配信メッセージを受信した場合、同期先端末管理部29で管理している同期先端末の端末識別子、最新のシーケンス番号およびホップ数を更新し、同期先端末を切り替える。
【0070】
また、時刻配信メッセージ生成部26は、時刻配信メッセージの生成時には、同期先端末管理部29で管理しているホップ数を、メッセージ中の時刻配信マスターからのホップ数として設定する。
【0071】
以上の処理を加えることにより、よりホップ数の少ない効率的な時刻配信が可能となり、時刻同期誤差の削減が可能となる。
【0072】
実施の形態4.
実施の形態4の無線通信システムでは、実施の形態3の時刻配信スレーブを構成している時刻配信メッセージ処理部232が、時刻配信メッセージ中の時刻配信マスターからのホップ数が自身のホップ数より大きい場合に限り、時刻同期確認処理を実施することを特徴とする。これにより、自身より上位の端末の時刻同期確認を行うことを防止でき、不要な処理の実施を回避できる。
【0073】
実施の形態5.
実施の形態1〜4の無線通信システムにおいて、時刻配信メッセージ(
図3,
図8参照)に同期先端末識別子を追加したものを使用する。同期先端末識別子とは、時刻配信メッセージの送信元端末が時刻を同期させている相手端末(上位の端末)の識別子、つまり同期先端末識別子は、同期先端末管理部29で管理している同期先端末の識別子である。時刻配信メッセージの送信元端末は、自身が管理している時刻の同期先の端末を示す同期先端末識別子を時刻配信メッセージに含ませて送信する。なお、時刻配信マスターは、同期先の端末が存在しないため、自身の端末識別子または特別な値を同期先端末識別子に設定する。時刻配信スレーブとなる各端末は、周囲に複数の時刻配信スレーブが存在する場合、複数の時刻配信メッセージを受信するが、受信した時刻配信メッセージのうち、同期先端末識別子に自身の識別子が設定されているメッセージを対象として、同期状態確認処理を行う。同期先端末識別子に自身以外の識別子が設定されているメッセージについては無視(破棄)する。
【0074】
このように、時刻配信メッセージに同期先端末識別子を追加し、端末(時刻配信スレーブ)は、同期先端末識別子に自身の識別子が設定されている場合に同期状態確認処理を行うことにより、端末の処理負荷の低減、および端末から送信される同期状態メッセージ数の低減による無線トラヒックの低減を実現できる。
【0075】
実施の形態6.
実施の形態6では、実施の形態5の無線通信システムにおいて、
図9に示す同期状態通知メッセージを使用する。同期状態通知メッセージには、同期状態通知メッセージであることを示すメッセージ種別(同期開始通知メッセージ、同期終了通知メッセージ、または同期エラー通知メッセージ)と、メッセージのあて先を示すあて先端末識別子と、メッセージ長と、同期状態判定の対象とした時刻配信スレーブを示す端末識別子と、同期状態通知メッセージの送信時刻と、本メッセージの送信元端末の識別子と、同期状態通知先(時刻配信マスター)までに中継した端末の識別子(複数個)と、を含む。メッセージ種別は、同期状態判定の結果により次のように設定する。自身に同期している端末の同期状態を保持しておき、同期状態判定において当該端末が新規に同期した場合、または別の端末に同期した場合は同期開始通知メッセージとする。同期している状態から非同期状態となった場合、または自身に同期している端末からの時刻同期メッセージが一定時間受信できない場合は同期終了通知メッセージとする。また、同期エラーとなった場合は、同期エラー通知メッセージとする。
【0076】
時刻配信マスターへの同期状態通知メッセージの送信手順は、実施の形態1に記載のとおりであるが、同期状態通知メッセージを次端末へ中継する際に、同期状態通知メッセージの中継端末識別子の最後に自身の端末識別子を追加していく。
【0077】
図1を例に本動作を説明する。時刻配信スレーブ2−2は、時刻配信スレーブ2−3が自身に同期したことを時刻配信スレーブ2−3が送信する時刻配信メッセージを受信することにより確認する。時刻配信スレーブ2−3が非同期状態から新たに時刻配信スレーブ2−2に同期した場合、時刻配信スレーブ2−2は、時刻配信スレーブ2−1に対して同期開始通知メッセージを送信する。この時、当該時刻同期開始通知メッセージには中継端末識別子は含まれない。
【0078】
次に、時刻配信スレーブ2−1は、時刻配信スレーブ2−2が送信した前記同期開始通知メッセージを受信し、中継処理を行う。ここで、中継する時刻同期開始通知メッセージの中継端末識別子の末尾に自身の識別子(時刻配信スレーブ2−1の識別子)を追加し、あて先を時刻配信マスター1として当該時刻同期開始通知メッセージを送信する。
【0079】
時刻マスター1は、時刻配信スレーブ2−1が送信した前記同期開始通知メッセージを受信し、メッセージ内容の確認を行う。ここで、時刻配信マスター1から時刻配信スレーブ2−3までの経路は、前記同期開始通知メッセージの中継端末識別子を末尾から順にたどり(ここでは時刻配信スレーブ2−1のみ)、送信元端末識別子(時刻配信スレーブ2−2)、状態通知対象端末識別子(時刻配信スレーブ2−3)の順となり、時刻配信ネットワークのトポロジを時刻配信マスター1で管理することができる。
【0080】
上記の例では、同期状態開始通知メッセージについて説明したが、同期状態終了通知では経路が削除されたことを確認することができる。また、同期エラー通知では、通知対象の時刻同期期スレーブまでの経路と、当該通知対象端末が同期エラー状態にあることを確認することができる。
【0081】
以上の方法により、時刻配信マスターにおいて、時刻配信ネットワークのトポロジを常に管理し、トポロジの変化、および時刻配信スレーブのエラーを迅速に検出することが可能となる。
【0082】
実施の形態7.
実施の形態7では、実施の形態6の無線通信システムにおいて、
図10に示す同期状態通知メッセージを使用する。
図10に示す同期状態通知メッセージは、実施の形態6の同期状態通知メッセージ(
図9)に、シーケンス番号を追加したものである。前記シーケンス番号は、同期状態通知先(時刻配信マスター)からの送達確認に使用するものである。つまり、各時刻配信スレーブから送信される同期状態通知メッセージを識別するために使用するものであり、各時刻配信スレーブにおいて同期状態通知メッセージ毎に個別のユニークな値が設定できればよく、ネットワーク全体でユニークである必要はない。なお、同期状態通知メッセージを送信した時刻配信スレーブは、送達確認のため、当該メッセージの応答である同期状態通知応答メッセージが通知されるまで、前記同期状態通知メッセージの内容を保持する。
【0083】
送達確認には、
図11に示す同期状態通知応答メッセージを使用する。同期状態通知応答メッセージには、同期状態通知応答メッセージであることを示すメッセージ種別(同期開始応答メッセージ、同期終了応答メッセージ、または同期エラー応答メッセージ)と、メッセージのあて先を示すあて先端末識別子と、メッセージ長と、応答対象の同期状態通知メッセージのシーケンス番号と、同期状態判定の対象とした時刻配信スレーブを示す端末識別子と、本メッセージの応答先端末の識別子と、同期状態通知先(時刻配信マスター)までに中継した端末の識別子(複数個)と、を含む。
【0084】
同期状態通知応答メッセージの通知手順は次のとおりである。時刻配信マスターは、受信した同期状態通知メッセージのメッセージ種別に対応する同期状態応答メッセージを生成し、送信する。同期状態通知メッセージの各情報要素は次のように設定する。シーケンス番号は、受信した同期状態通知メッセージと同じ値を設定する。状態通知対象端末識別子は、受信した同期状態通知メッセージと同じ値を設定する。応答先端末識別子は、受信した同期状態通知メッセージの送信元端末識別子を設定する。中継端末識別子は、受信した同期状態通知メッセージの中継端末識別子の末尾の値を削除したものを設定する。ただし、中継端末識別子が存在しない場合は、中継端末識別子は設定しない。あて先端末識別子は、同期状態通知メッセージの中継端末識別子の末尾の値を設定する。ただし、中継端末識別子が存在しない場合は、応答先端末識別子と同じ値を設定する。
【0085】
時刻配信マスターからの同期状態通知応答メッセージを受信した時刻配信スレーブは、あて先端末識別子が自身の識別子と一致するかを確認する。不一致の場合は、当該同期状態通知応答メッセージを破棄する。一致している場合は、応答先端末識別子が自身の端末識別子と一致しているかを確認し、一致している場合は、同期状態通知応答メッセージの内容確認を行う。不一致の場合は同期状態通知応答メッセージの中継処理を行う。
【0086】
時刻配信スレーブでの同期状態通知応答メッセージの中継処理は、次の手順で行う。受信した同期状態通知応答メッセージの中継端末識別子の末尾の値を削除し、あて先端末識別子として設定し、送信する。中継端末識別子が存在しない場合は、応答先端末識別子をあて先端末識別子として設定し、送信する。
【0087】
応答先端末での時刻同期状態通知応答メッセージの確認処理は、次の手順で行う。受信した同期状態通知応答メッセージのメッセージ種別、シーケンス番号、および状態通知対象端末識別子を確認し、保持している同期状態通知メッセージの内容と一致するか確認する。不一致の場合は、受信した同期状態応答メッセージを破棄する。一致している場合は、前記同期状態通知メッセージの応答であると判断し、保持している同期状態通知メッセージの内容を破棄し、送信完了とする。
【0088】
同期状態通知メッセージの送信後、一定時間以内に、対応する同期状態通知応答メッセージが受信できなかった場合は、同期状態通知メッセージの送信に失敗したものと判断し、保持していた同期状態通知メッセージの再送を行う。
【0089】
以上の方法により、同期状態通知メッセージの送達確認を行うことで、同期状態通知メッセージの時刻配信マスターへの確実な通知を実現する。これにより、時刻配信マスターでの、時刻配信ネットワークの状態管理の精度を向上することが可能となる。
【0090】
実施の形態8.
実施の形態1〜7の無線通信システムにおいて、時刻配信メッセージに時刻配信マスターの端末識別子を追加したものを使用する。そして、時刻配信スレーブは時刻同期メッセージ受信処理において、時刻配信メッセージ内の時刻配信マスターの端末識別子を確認し、同期可否を判定する処理を行う。同期可否の判定処理は、あらかじめ時刻配信スレーブに設定された時刻配信マスターの端末識別子と比較し一致した場合に同期する処理や、時刻配信マスターの端末識別子の値がより小さいほうに同期する処理などの決められたルールに従って行う。ただし、前述の同期可否判定のルールに限定するものではない。
【0091】
以上の手順により、無線通信システム内に複数の時刻配信マスターが存在する場合に、ある時刻配信スレーブが、1つの時刻配信マスターに対して安定して時刻同期を行うことが可能となる。
【0092】
実施の形態9.
実施の形態8の無線通信システムでは、実施の形態1〜6の時刻配信スレーブが、同期状態通知を時刻配信マスターではなく、あらかじめ指定した管理サーバに通知することを特徴とする。また、時刻配信マスターについても、同期状態確認の結果を管理サーバに通知することを特徴とする。
【0093】
以上により、時刻配信マスター、およびスレーブが時刻配信に使用する無線通信手段とは別の通信手段を備えている場合に、前記別の通信手段により同期状態を時刻配信ネットワーク外の管理サーバに通知し、時刻配信ネットワークの同期状態を管理することが可能となる。