特許第5836196号(P5836196)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5836196
(24)【登録日】2015年11月13日
(45)【発行日】2015年12月24日
(54)【発明の名称】ドレン構造
(51)【国際特許分類】
   F16H 57/04 20100101AFI20151203BHJP
   F01M 11/04 20060101ALI20151203BHJP
   F01M 11/00 20060101ALI20151203BHJP
【FI】
   F16H57/04 E
   F01M11/04 D
   F01M11/00 Q
【請求項の数】5
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2012-118091(P2012-118091)
(22)【出願日】2012年5月23日
(65)【公開番号】特開2013-245710(P2013-245710A)
(43)【公開日】2013年12月9日
【審査請求日】2014年11月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100077539
【弁理士】
【氏名又は名称】飯塚 義仁
(74)【代理人】
【識別番号】100114742
【弁理士】
【氏名又は名称】林 秀男
(74)【代理人】
【識別番号】100125265
【弁理士】
【氏名又は名称】貝塚 亮平
(72)【発明者】
【氏名】大森 生雄
【審査官】 稲葉 大紀
(56)【参考文献】
【文献】 特開平11−173133(JP,A)
【文献】 実開昭53−149133(JP,U)
【文献】 実開昭59−182612(JP,U)
【文献】 米国特許第04986502(US,A)
【文献】 実開昭50−115624(JP,U)
【文献】 実開昭56−169296(JP,U)
【文献】 実開平05−077516(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01M 11/00−13/06
F16H 57/00−57/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
オイルを収容したケーシングの壁部に設けたドレン穴と、前記ドレン穴に取り付けるドレンプラグとを備えるドレン構造であって、
前記ドレンプラグは、
前記ドレン穴に螺合させるネジ面が外周面に形成されたネジ軸部と、
該ネジ軸部の根元側の端部に設けた頭部と、
前記ネジ軸部の先端部に設けた開口から前記ネジ軸部内を軸方向に沿って延びる中空部と、
前記ネジ軸部内で前記中空部から外周面に連通する複数の連通穴と、を備え、
前記複数の連通穴は、互いが前記軸方向の異なる位置に配置されている
ことを特徴とするドレン構造。
【請求項2】
前記壁部の外面における前記ドレン穴の外周を囲む位置に形成した突起状のリブを備え、
前記リブは、前記壁部の外面から前記軸方向に突出しており、
前記ドレンプラグを緩めたときに前記ドレン穴から露出した前記連通穴が前記リブの内面に対向する
ことを特徴とする請求項1に記載のドレン構造。
【請求項3】
オイルを収容したケーシングの壁部に設けたドレン穴と、前記ドレン穴に取り付けるドレンプラグとを備えるドレン構造であって、
前記ドレンプラグは、
前記ドレン穴に螺合させるネジ面が外周面に形成されたネジ軸部と、
該ネジ軸部の根元側の端部に設けた頭部と、
前記ネジ軸部の先端部に設けた開口から前記ネジ軸部内を軸方向に延びる中空部と、
前記ネジ軸部の外周面に形成された周方向に延びる環状溝と、前記ネジ軸部内で前記中空部から前記環状溝に向かって径方向に延びる一又は複数の連通穴と、を備え、
前記連通穴の前記頭部側の内側面よりも前記環状溝の前記頭部側の内側面の方が前記軸方向で前記頭部に近い側に配置されている
ことを特徴とするドレン構造。
【請求項4】
前記壁部の外面における前記ドレン穴の外周を囲む位置に形成した突起状のリブを備え、
前記リブは、前記壁部の外面から前記軸方向に突出しており、
前記ドレンプラグを緩めたときに前記ドレン穴から露出した前記環状溝が前記リブの内面に対向する
ことを特徴とする請求項3に記載のドレン構造。
【請求項5】
前記ドレン穴及び前記リブが形成された前記壁部は、前記ケーシングの側部を覆う側壁であり、
前記リブは、前記ドレン穴の外周のうち少なくとも該ドレン穴の下側の部分が開放された開放部を有する
ことを特徴とする請求項2又は4に記載のドレン構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、変速機やエンジンなどにおいて、オイルを収容したケーシングの壁部に設けたドレン穴と、該ドレン穴に取り付けるドレンプラグとを備えるドレン構造に関する。
【背景技術】
【0002】
車両に搭載された変速機やエンジンなどには、オイルを収容したケーシングの壁部に設けたドレン穴と、このドレン穴に取り付けるドレンプラグとを備えるドレン構造が設けられている。上記のようなドレンプラグで変速機などのケーシング内のオイルをドレンオフするときには、ドレン穴からドレンプラグを完全に取り外す必要がある。しかしながら、その場合にドレン穴からオイルが勢い良く噴出するため、ドレン穴の周囲が飛散したオイルで汚染されるおそれがある。また、オイルが高温の場合には、飛散したオイルで作業者が火傷などを負う危険もある。
【0003】
この点に対処するため、特許文献1に記載のドレン構造では、大径のメインドレンプラグに小径のサブドレンプラグを設置し、サブドレンプラグのネジ部に縦溝を形成している。この構成によれば、変速機のケーシング内の油量調整するときなどに微量のオイルをドレンする場合は、サブドレンプラグを緩めるだけでオイルをドレンすることが可能となる。一方、大径プラグを取り外せばケーシング内のオイルの全量をドレンすることができる。
【0004】
また、特許文献2に記載のドレン構造では、ドレンプラグの先端にOリングを設置し、軸部の外周側に逃がし孔を設け、該逃がし孔をドレンプラグの軸部から頭部に貫通する逃がし通路に連通させている。これにより、ケーシングの連通孔から排出されたオイルが逃がし孔から逃がし通路を通って徐々に排出されるため、ドレンプラグを緩めてケーシング内のオイルを抜き取る際にドレン穴からオイルが噴出し飛散することを防止できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実開昭61−106662号公報
【特許文献2】実開平3−65100号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載のドレン構造では、多量のオイルをドレンするためのメインドレンプラグと、少量のオイルをドレンするためのサブドレンプラグとの2個のドレンプラグが必要である。そのため、ドレン構造の部品点数が増加し、構造の複雑化、重量増、コスト増につながる。また、2個のドレンプラグを備えることで、ケーシング内のオイルの油量調整を行う際に2種類の工具が必要となるため、作業に手間や時間がかかる。
【0007】
また、特許文献2に記載のドレン構造では、ケーシング内から排出可能なオイルの流量が連通孔の径寸法に依存する。しかしながら、連通孔の径寸法はその外周側に設置したOリングの径よりも小さくする必要がある。そのため、連通孔をあまり大きな径寸法に設定することができない。したがって、ケーシング内の多量のオイルを一度に排出できるようにするためには、ドレンプラグを含むドレン構造の全体を大型化する必要がある。また、特許文献2のドレン構造では、オイルをドレンした後にドレンプラグを締めて連通孔を塞ぐと、ドレンプラグの逃がし孔及び逃がし通路内にオイルが残留する。そのため、この逃がし通路などに残留するオイルが垂れることで、ドレンプラグの周辺がオイルの滲みや埃の付着などで汚染され易いという問題がある。
【0008】
本発明は上述の点に鑑みてなされたものであり、その目的は、部品点数を少なく抑えた簡単な構成で、ケーシング内のオイルのドレン量を詳細に調節することができ、オイルのドレンを迅速、安全かつ清潔に行うことができるドレン構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するための本発明は、オイル(L)を収容したケーシング(30)の壁部(31)に設けたドレン穴(33)と、ドレン穴(33)に取り付けるドレンプラグ(1)とを備えるドレン構造であって、ドレンプラグ(1)は、ドレン穴(33)に螺合させるネジ面(15)が外周面(10b)に形成されたネジ軸部(10)と、該ネジ軸部(10)の根元側の端部に設けた頭部(25)と、ネジ軸部(10)の先端部(10a)に設けた開口(11a)からネジ軸部(10)内を軸方向に沿って延びる中空部(11)と、ネジ軸部(10)の外周面(10b)と中空部(11)とを連通する複数の連通穴(12)と、を備え、複数の連通穴(12)は、互いが軸方向の異なる位置に配置されていることを特徴とする。
【0010】
本発明にかかるドレン構造によれば、ドレンプラグのネジ軸部内で中空部から外周面に連通する複数の連通穴を形成し、それらの軸方向位置を互いに異ならせて配置したことで、ドレン穴に螺合しているドレンプラグを緩めてケーシング内のオイルを排出する途中でドレン穴から露出する連通穴の数を変えることができる。これにより、単一のドレンプラグを徐々に緩めるだけの簡単な工程で、ドレン穴から排出されるオイルの排出量を詳細に調整しながらドレン作業を行うことができる。すなわち、例えば、ドレン開始後の初期にはドレン量を微量とし、ドレンプラグの緩みが大きくなるにつれてドレン量を次第に増加させることができる。また、このドレン構造によれば、ケーシング内のオイルがドレン穴から多量に噴出することを防止できるので、ケーシング内のオイルが高温の場合でもドレン作業を安全に行うことが可能となる。
【0011】
また、本発明にかかるドレン構造によれば、単一のドレンプラグのみでケーシング内のオイルのドレン量を切り替えることが可能となる。したがって、このドレン構造を備えた変速機やエンジンなどの構成の簡素化、部品点数の低減、軽量化、低コスト化を図ることができる。また、単一のドレンプラグのみを備えたドレン構造であるため、一種類の工具だけでドレン作業が可能となる。したがって、ドレン作業の効率化を図ることができる。
【0012】
また、上記のドレン構造では、ドレンプラグに設けたオイルを排出するための連通穴がネジ軸部に形成されているため、ドレンプラグを締めると連通穴がドレン穴内に収容される。したがって、ドレンプラグを締めてドレン穴を塞いだ後で、ドレンプラグ及びその周辺にオイルが残留するおそれがない。したがって、ドレンプラグの周辺がオイルの滲みや埃の付着などで汚染されることを防止できる。
【0013】
また、上記課題を解決するための本発明は、オイル(L)を収容したケーシング(30)の壁部(31)に設けたドレン穴(33)と、前記ドレン穴(33)に取り付けるドレンプラグ(1)とを備えるドレン構造であって、前記ドレンプラグ(1)は、前記ドレン穴(33)に螺合させるネジ面(15)が外周面(10b)に形成されたネジ軸部(10)と、該ネジ軸部(10)の根元側の端部に設けた頭部(25)と、前記ネジ軸部(10)の先端部(10a)に設けた開口(11a)から前記ネジ軸部(10)内を軸方向に延びる中空部(11)と、前記ネジ軸部(10)の外周面(10b)に形成された周方向に延びる環状溝(13)と、前記ネジ軸部(10)内で前記中空部(11)から前記環状溝(13)に向かって径方向に延びる一又は複数の連通穴(12−2)と、を備え、前記連通穴(12−2)の前記頭部(25)側の内側面(12−2a)よりも前記環状溝(13)の前記頭部(25)側の内側面(13a)の方が前記軸方向で前記頭部(25)に近い側に配置されていることを特徴とする。
【0014】
本発明にかかるドレン構造によれば、ネジ軸部の外周面に形成された周方向に延びる環状溝と、ネジ軸部内で中空部から環状溝に向かって径方向に延びる一又は複数の連通穴とを備えたことで、ドレンプラグを緩めることによりドレン穴から環状溝の少なくとも一部を露出させた状態で、中空部から連通穴に導かれたオイルを環状溝から排出することができる。そして、環状溝がネジ軸部の外周面において周方向に延びていることで、周方向における連通穴の向きに関わらず安定したドレン量を確保することが可能となる。
【0015】
また、連通穴の頭部側の内側面よりも環状溝の頭部側の内側面の方が軸方向で頭部に近い側に配置されていることで、ドレンプラグを緩めてゆく過程で、最初に環状溝の一部がドレン穴から露出し、その後、環状溝と連通穴の両方がドレン穴から露出するようになる。これにより、ドレンプラグを徐々に緩めることによってドレン穴の排出面積を徐々に変化させることができる。したがって、単一のドレンプラグを徐々に緩めるだけの簡単な工程で、ドレン穴からのオイルの排出量を詳細に調整しながらドレン作業を行うことができる。
【0016】
また、上記のドレン構造では、前記壁部(31)の外面(31a)における前記ドレン穴(33)の外周を囲む位置に形成した突起状のリブ(37)を備え、前記リブ(37)は、前記壁部(31)の外面(31a)から前記軸方向に突出しており、前記ドレンプラグ(1)を緩めたときに前記ドレン穴(33)から露出した前記連通穴(12)又は前記環状溝(13)が前記リブ(37)の内面(37a)に対向するようにしてよい。
【0017】
この構成によれば、ドレンプラグを緩めたときに連通穴又は環状溝から排出されたオイルがリブの内面で受け止められるようになる。これにより、連通穴又は環状溝から排出されるオイルがドレン穴の周囲に飛散することを防止できる。したがって、ドレンプラグを緩めてドレン穴からオイルを排出する作業の効率及び安全性を向上させることができる。
【0018】
また、上記のドレン構造では、前記ドレン穴(33)及び前記リブ(37)が形成された前記壁部(31)は、前記ケーシング(30)の側部を覆う側壁(31)であり、前記リブ(37)は、前記ドレン穴(33)の外周のうち少なくとも該ドレン穴(33)の下側の部分が開放された開放部(38)を有するとよい。
【0019】
この構成によれば、ケーシングの側壁に設けたドレン穴からオイルを排出する際に、ドレンプラグの連通穴又は環状溝から出てリブの内面で受け止められたオイルを上記の開放部から流下させて回収することができる。したがって、ドレン穴から排出されたオイルの回収を効率的に行うことが可能となる。
なお、上記の括弧内の符号は、後述する実施形態における構成要素の符号を本発明の一例として示したものである。
【発明の効果】
【0020】
本発明にかかるドレン構造によれば、部品点数を少なく抑えた簡単な構成で、ケーシング内のオイルのドレン量を詳細に調節することができ、オイルのドレンを迅速、安全かつ清潔に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の第1実施形態にかかるドレン構造を示す図で、(a)は、ケーシングのドレン穴に取り付けたドレンプラグを示す側断面図、(b)は、(a)のX1矢視を示す図、(c)は、(a)のY1−Y1矢視を示す図である。
図2】第1実施形態のドレンプラグを取り外す手順を説明するための図である。
図3】本発明の第2実施形態にかかるドレン構造を示す図で、(a)は、ケーシングのドレン穴に取り付けたドレンプラグを示す側断面図、(b)は、(a)のX2部分の拡大図、(c)は、(a)のY2−Y2矢視を示す図である。
図4】第2実施形態のドレンプラグを取り外す手順を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、添付図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。
〔第1実施形態〕
図1は、本発明の第1実施形態にかかるドレン構造を示す図で、(a)は、ケーシングのドレン穴に取り付けたドレンプラグを示す側断面図、(b)は、(a)のX1矢視を示す図、(c)は、(a)のY1−Y1矢視を示す図である。なお、以下の説明で軸方向というときは、後述するネジ軸部10の軸方向を指すものとする。同図に示すドレン構造は、車両に搭載される変速機やエンジンのケーシング内に溜められたオイルを排出するためのドレン構造である。このドレン構造は、オイルLを収容したケーシング30の側壁31に設けたドレン穴33と、ドレン穴33に取り付けるドレンプラグ1とを備える。ドレン穴33は、側壁31に形成した突起状のボス部35を貫通する貫通穴として設けられており、側壁31の内側から外側に連通している。ドレンプラグ1は、ドレン穴33に螺合させるネジ軸部10と、ネジ軸部10の根元側の端部に設けた円形薄板状のフランジ部26及び略六角柱状の頭部25とを有する。ネジ軸部10の外周面10bとドレン穴33の内周面33bとの間には、互いが螺合するネジ溝及びネジ山を有するネジ面15が形成されている。そして、ネジ軸部10の内部には、ネジ軸部10の先端面(先端部)10aに設けた開口11aから頭部25側に向かってネジ軸部10内を軸方向に延びる中空部11と、ネジ軸部10の中空部11から外周面10bに連通する複数の連通穴12とが形成されている。
【0023】
連通穴12は、中空部11の側面からネジ軸部10の径方向の外側に向かって延びている。複数の連通穴12は、ネジ軸部10の周方向で等間隔に配置されており、本実施形態では、図1(c)に示すように、ネジ軸部10の周方向において180°間隔で2個が形成されている。そして、これら2個の連通穴12,12は、図1(a)に示すように、ネジ軸部10内で軸方向の位置が互いに異なる位置に配置されている。すなわち、一方の連通穴12は、他方の連通穴12よりも軸方向で頭部25に近い側に配置されている。
【0024】
ドレンプラグ1は、フランジ部26とケーシング30の側壁31(詳細には、ボス部35の先端面35a)との間にワッシャー27を介在させた状態でネジ軸部10がドレン穴33に螺合して取り付けられている。すなわち、ドレン穴10へのドレンプラグ1の締め込みによってフランジ部26とボス部35の先端面35aとの間がワッシャー27を挟んでシールされる。こうして、ドレンプラグ1でドレン穴33が閉塞されている。またその状態で、ドレンプラグ1の連通穴12,12がドレン穴33内に位置しており、連通穴12,12がドレン穴33の内周面33bで塞がれている。
【0025】
また、詳細な図示は省略するが、ドレン穴33が形成された側壁31は、ケーシング30の底壁近傍の側部を覆う壁部であって、ボス部35は、側壁31から横方向に突出しており、ドレン穴10は、ボス部35の軸方向に沿って横方向に延びている。そして、側壁31におけるドレン穴33の外周を囲む位置には突起状のリブ37が形成されている。リブ37は、詳細には、ボス部35の先端面35aに形成されている。このリブ37は、その面が軸方向に沿って側壁31から離れる方へ突出している。また、図1(b)に示すように、リブ37は、ドレン穴33の外周のうち、下側の部分が開放された開放部38を有している。したがって、リブ37は、ドレン穴33の上側及び左右両側を囲む略円弧状のひさし型に形成されている。これにより、ドレンプラグ1を緩めたときにドレン穴33から露出した連通穴12,12がリブ37の内面37aに対向するように配置されている。
【0026】
図2は、ドレン穴33からドレンプラグ1を取り外してケーシング30内のオイルLを排出する手順を説明するための図である。ドレンプラグ1は、六角柱状の頭部25にソケットレンチなどの工具50を係合させて回転させる。これにより、ドレン穴33に対するネジ軸部10の螺合を解除する。そして、ドレン作業では、当初、図2(a)に示すように、ドレンプラグ1を若干緩めて2個の連通穴12,12のうち1個のみをドレン穴33から露出させることで少量のオイルLのドレンが可能である。その後、ケーシング30内のオイルLが幾分か抜けた段階でドレンプラグ1をさらに緩めることで、図2(b)に示すように、他方の連通穴12をドレン穴33から露出させることができる。これにより、露出させる連通穴12の数を増やしてオイルLの排出を促進できる。最終的には、ケーシング30内のオイルLの相当量が抜けたと判断した時点でドレンプラグ1をドレン穴33から取り外すようにする。このように、ドレン穴33から排出するオイルの流量を徐々に増加させることで、ケーシング30内のオイルLを周囲に飛散させることなく迅速かつ完全に抜くことができ、ドレン作業を安全清潔に行うことが可能となる。また、上記のドレン作業において、ドレンプラグ1の連通穴12から排出されたオイルは、ドレン穴33の外周を囲むリブ37の内面37aで受け止められる。このリブ37で受け止められたオイルは、開放部38から下方へ流下する。
【0027】
以上説明したように、本実施形態のドレン構造によれば、ドレンプラグ1にネジ軸部10の中空部11から外周面10bに連通する複数の連通穴12,12を形成し、それらの軸方向の位置を互いに異ならせて配置したことで、ドレン穴33に螺合しているドレンプラグ1を緩めてケーシング30内のオイルLを排出する途中でドレン穴33から露出する連通穴12の数を変えることができる。これにより、ドレン開始後の初期にはドレン量を微量とし、ドレンプラグ1の緩みが大きくなるにつれてドレン量を次第に増加させることができる。したがって、単一のドレンプラグ1を徐々に緩めるだけの簡単な工程で、ドレン穴33からのオイルLの排出量を詳細に調整しながらドレン作業を行うことができる。また、このドレン構造によれば、ケーシング30内のオイルLがドレン穴33から一度に大量に噴出することを防止できるので、ケーシング30内のオイルLが高温の場合でもドレン作業を安全に行うことが可能となる。
【0028】
また、本実施形態のドレン構造によれば、単一のドレンプラグ1のみでケーシング30内のオイルLのドレン量を切り替えることが可能となる。したがって、このドレン構造を備えた変速機やエンジンなどの構成の簡素化、部品点数の低減、軽量化、低コスト化を図ることができる。また、単一のドレンプラグ1のみを備えたドレン構造であるため、一種類の工具だけでドレン作業が可能となる。したがって、ドレン作業の効率化を図ることができる。
【0029】
また、上記のドレン構造では、ドレン穴33から露出した連通穴12にリブ37の内面37aが対向することで、連通穴12から排出されるオイルLがリブ37の内面37aで受け止められるようになる。これにより、連通穴12から排出されるオイルLがドレン穴33の周囲に飛散することを防止できる。したがって、ドレンプラグ1を緩めてドレン穴33からオイルLを排出する作業の効率及び安全性を向上させることができる。
【0030】
また、上記のドレン構造では、ケーシング30の側壁31に設けたドレン穴33からオイルLを排出する際に、ドレンプラグ1の連通穴12から排出されてリブ37の内面37aで受け止められたオイルLを開放部38から下方に流下させて回収することができる。したがって、ドレン穴33から排出されたオイルLの回収を効率的に行うことが可能となる。
【0031】
また、上記のドレン構造では、ドレンプラグ1に設けたオイルLを排出するための連通穴12がネジ軸部10に形成されているため、ドレンプラグ1を締めると連通穴12がドレン穴33内に収容される。したがって、ドレンプラグ1を締めてドレン穴33を塞いだ後で、ドレンプラグ1及びその周辺にオイルが残留するおそれがない。したがって、ドレンプラグ1の周辺がオイルの滲みや埃の付着などで汚染されることを防止できる。
【0032】
〔第2実施形態〕
次に、本発明の第2実施形態にかかるドレン構造について説明する。なお、第2実施形態の説明及び対応する図面においては、第1実施形態と同一又は相当する構成部分には同一の符号を付し、以下ではその部分の詳細な説明は省略する。また、以下で説明する事項以外の事項、及び図示する以外の事項については、第1実施形態と同じである。
【0033】
図3は、本発明の第2実施形態にかかるドレン構造を示す図で、(a)は、ケーシング30のドレン穴33に取り付けたドレンプラグ1−2を示す側断面図、(b)は、(a)のX2部分を示す部分拡大図、(c)は、(a)のY2−Y2矢視を示す図である。
【0034】
本実施形態のドレンプラグ1−2は、ネジ軸部10の外周面10bに形成された周方向に延びる環状溝13と、ネジ軸部10内で中空部11から環状溝13に向かって径方向に延びる一又は複数の連通穴12−2とを備えている。本実施形態では、連通穴12−2は、図3(c)に示すように、ネジ軸部10の周方向における180°間隔で2個が形成されている。
【0035】
そして、連通穴12−2の径寸法よりも環状溝13の幅寸法(軸方向の寸法)の方が大きな寸法に設定されている。これにより、図3(b)に示すように、連通穴12−2における頭部25側の端面12−2aよりも環状溝13における頭部25側の端面13aの方が軸方向で頭部25に近い側に配置されている。したがって、ドレン穴33に螺合しているドレンプラグ1−2を緩めてゆくと、最初にドレン穴33から環状溝13が露出し、その後、連通穴12−2が露出するようになる。
【0036】
図4は、ドレンプラグ1−2を取り外してケーシング30内のオイルLを排出する手順を説明するための図である。ドレン作業では、当初、図4(a)に示すように、ドレンプラグ1−2を若干緩めてドレン穴33から環状溝13のみを露出させることで少量のオイルLのドレンが可能である。その後、ケーシング30内のオイルLが幾分か抜けた段階でドレンプラグ1−2をさらに緩めることで、図4(b)に示すように、環状溝13と連通穴12−2との両方を露出させることができる。これにより、ドレン穴33からのオイルLの排出を促進できる。最終的には、ケーシング30内のオイルLの相当量が抜けたと判断した時点でドレンプラグ1−2をドレン穴33から取り外すようにする。本実施形態のドレン構造でも、単一のドレンプラグ1−2を徐々に緩めるだけの簡単な工程で、ドレン穴33から排出するオイルの流量を徐々に増加させることができる。これにより、ケーシング30内のオイルLを周囲に飛散させることなく迅速かつ完全に抜くことができ、ドレン作業を安全清潔に行うことが可能となる。また、本実施形態のドレン構造でも、ドレン穴33の外周を囲むリブ37を設けたことにより、ドレンプラグ1の環状溝13から排出されたオイルLがリブ37の内面37aで受け止められる。これにより、環状溝13から排出されるオイルLが周囲に飛散することを防止できる。特に、本実施形態のドレンプラグ1−2では、環状溝13がネジ軸部10の全周に渡って環状に形成されているため、環状溝13から排出されるオイルがネジ軸部10の周方向の広範な角度へ噴出するようになるところ、上記のリブ37によって、この環状溝13から噴出するオイルを確実に受け止めて回収することができる。したがって、ドレンプラグ1−2を緩めてドレン穴33からオイルLを排出する作業の効率及び安全性を向上させることができる。
【0037】
本実施形態のドレン構造によれば、ネジ軸部10の外周面10bに形成された周方向に延びる環状溝13と、ネジ軸部10内で中空部11から環状溝13に向かって径方向に延びる連通穴12−2とを備えたことで、ドレン穴33から少なくとも環状溝13を露出させた状態で、中空部11から連通穴12−2に導かれたオイルLが環状溝13からドレン穴33の外へ排出されるようになる。したがって、周方向における連通穴12−2の向きに関わらず安定したドレン量を確保することが可能となる。
【0038】
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲、及び明細書と図面に記載された技術的思想の範囲内において種々の変形が可能である。例えば、ドレンプラグ1,1−2のネジ軸部10に設ける連通穴12、12−2の数や配置は、上記実施形態に示す数や配置には限定されない。
【0039】
また、上記実施形態では、ドレン穴33をケーシング30の側部を覆う側壁31に設けた場合を示したが、ドレン穴33は、ケーシングの底壁など他の壁部に設けることも可能である。なおその場合は、ドレン穴の周囲に形成したリブは省略してもよい。
【符号の説明】
【0040】
1,1−2 ドレンプラグ
10 ネジ軸部
10a 先端部
10b 外周面
11 中空部
11a 開口
12,12−2 連通穴
13 環状溝
15 ネジ面
25 頭部
26 フランジ部
27 ワッシャー
30 ケーシング
31 側壁
33 ドレン穴
33b 内周面
35 ボス部
35a 先端面
37 リブ
37a 内面
38 開放部
50 工具
L オイル
図1
図2
図3
図4