特許第5836211号(P5836211)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5836211アイアンゴルフクラブ及びアイアンゴルフクラブセット
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5836211
(24)【登録日】2015年11月13日
(45)【発行日】2015年12月24日
(54)【発明の名称】アイアンゴルフクラブ及びアイアンゴルフクラブセット
(51)【国際特許分類】
   A63B 53/00 20150101AFI20151203BHJP
   A63B 53/04 20150101ALI20151203BHJP
【FI】
   A63B53/00 A
   A63B53/04 E
【請求項の数】6
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2012-147766(P2012-147766)
(22)【出願日】2012年6月29日
(65)【公開番号】特開2014-8287(P2014-8287A)
(43)【公開日】2014年1月20日
【審査請求日】2014年7月3日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002495
【氏名又は名称】グローブライド株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100126572
【弁理士】
【氏名又は名称】村越 智史
(74)【代理人】
【識別番号】100143823
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 英彦
(72)【発明者】
【氏名】辻浦 一輝
【審査官】 太田 恒明
(56)【参考文献】
【文献】 再公表特許第2002/032514(JP,A1)
【文献】 特開平06−086842(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63B 53/00
A63B 53/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のアイアンゴルフクラブにより構成されたアイアンゴルフクラブセットであって、
各アイアンゴルフクラブが、
一端から他端に向かって延び、底面を形成するソール部と、
該ソール部に対向して延びる板状のフェイス部と、
前記ソール部と前記フェイス部との間に配置され、該ソール部及び該フェイス部に沿って延び、該ソール部と該フェイス部とを結合する結合部と、
を備えたヘッドを有し、
前記結合部の基準位置におけるサイズが、前記ソール部から前記フェイス部に向かう方向に沿った該結合部の第2の厚みを含み、
当該アイアンゴルフクラブセットに含まれる或るアイアンゴルフクラブの前記結合部の基準位置におけるサイズが、当該アイアンゴルフクラブセットに含まれる別のアイアンゴルフクラブの前記結合部の前記基準位置におけるサイズと異なっており、
該或る番手のアイアンゴルフクラブの前記結合部の前記第2の厚みが、当該アイアンゴルフクラブセットに含まれる該或る番手より低い番手のアイアンゴルフクラブの前記結合部の前記第2の厚みより大きい、
ことを特徴とするアイアンゴルフクラブセット。
【請求項2】
前記結合部の前記基準位置におけるサイズが、鉛直方向に沿った該結合部の第1の厚みを含む、請求項1に記載のアイアンゴルフクラブセット。
【請求項3】
当該アイアンゴルフクラブセットに含まれる或る番手のアイアンゴルフクラブの前記結合部の前記第1の厚みが、当該アイアンゴルフクラブセットに含まれる該或る番手より低い番手のアイアンゴルフクラブの前記結合部の前記第1の厚みより小さい、請求項2に記載のアイアンゴルフクラブセット。
【請求項4】
請求項1から請求項のいずれかに記載のアイアンゴルフクラブセットに含まれた1つのアイアンゴルフクラブ。
【請求項5】
アイアンゴルフクラブセットに含まれるアイアンゴルフクラブであって、
前記アイアンゴルフクラブセットは、前記アイアンゴルフクラブより低い番手の他のアイアンゴルフクラブを含んでおり、
前記アイアンゴルフクラブ及び前記他のアイアンゴルフクラブはそれぞれ、
一端から他端に向かって延び、底面を形成するソール部、該ソール部に対向して延びる板状のフェイス部、及び、前記ソール部と前記フェイス部との間に配置され、該ソール部及び該フェイス部に沿って延び、該ソール部と該フェイス部とを結合する結合部、を備えたヘッドと、
該ヘッドに取り付けられた棒状のシャフトと、
を具備し、
前記結合部の基準位置におけるサイズが、前記ソール部から前記フェイス部に向かう方向に沿った該結合部の第2の厚みを含み、
前記アイアンゴルフクラブの前記結合部の前記第2の厚みが、前記他のアイアンゴルフクラブの前記結合部の前記第2の厚みより大きい、
ことを特徴とするアイアンゴルフクラブセットのアイアンゴルフクラブ。
【請求項6】
前記結合部の前記基準位置におけるサイズが、鉛直方向に沿った該結合部の第1の厚み、及び、前記ソール部から前記フェイス部に向かう方向に沿った該結合部の第2の厚み、のうちの少なくとも一方を含む、請求項に記載のアイアンゴルフクラブ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アイアンゴルフクラブ及び複数のアイアンゴルフクラブにより構成されたアイアンゴルフクラブセットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来技術に係るアイアンゴルフクラブとして、特開2008−246085号公報(特許文献1)に記載されたものが知られている。この文献に開示されたアイアンゴルフクラブは、前面及び背面の両方に形成された開口部を介して外部と連通するキャビティが形成されたヘッド本体であって、前面に形成された開口部が板状のフェイス部により覆われたヘッド本体を備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−246085号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
アイアンゴルフクラブにおいては、一般的に、番手が低く(高く)なるにつれて、フェイス部の高さが高く(低く)なる。よって、上記文献に開示されたアイアンゴルフクラブにあっては、低い番手のアイアンゴルフクラブは、高い番手のアイアンゴルフクラブに比べて、撓み易いフェイス部を備えることによって、高い反発性能を有することになる一方、高い番手のアイアンゴルフクラブは、低い番手のアイアンゴルフクラブに比べて、撓みにくいフェイス部を備えることによって、低い反発性能を有することになる。このように、番手間において反発性能のばらつきが生じてしまう。
【0005】
そこで、本発明の様々な実施の形態により、番手間における反発性能のばらつきを抑えるアイアンゴルフクラブを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の1つの態様に係るアイアンゴルフクラブセットは、複数のアイアンゴルフクラブにより構成されたアイアンゴルフクラブセットであって、各アイアンゴルフクラブが、一端から他端に向かって延び、底面を形成するソール部と、該ソール部に対向して延びる板状のフェイス部と、前記ソール部と前記フェイス部との間に配置され、該ソール部及び該フェイス部に沿って延び、該ソール部と該フェイス部とを結合する結合部と、を備えたヘッドを有し、当該アイアンゴルフクラブセットに含まれる或るアイアンゴルフクラブの前記結合部の基準位置におけるサイズが、当該アイアンゴルフクラブセットに含まれる別のアイアンゴルフクラブの前記結合部の前記基準位置におけるサイズと異なっている、ことを特徴とするものである。
本発明の1つの態様に係るゴルフクラブは、上記アイアンゴルフクラブセットに含まれた1つのアイアンゴルフクラブである。
本発明の別の態様に係るゴルフクラブは、一端から他端に向かって延び、底面を形成するソール部、該ソール部に対向して延びる板状のフェイス部、及び、前記ソール部と前記フェイス部との間に配置され、該ソール部及び該フェイス部に沿って延び、該ソール部と該フェイス部とを結合する板状の結合部、を備えたヘッドと、該ヘッドに取り付けられた棒状のシャフトと、を具備し、前記結合部の基準位置におけるサイズが、前記フェイス部が前記シャフトの中心軸に対して成す角度に基づいて定められている、ことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明の様々な実施の形態により、番手間における反発性能のばらつきを抑えるアイアンゴルフクラブを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、本発明の一実施形態に係るアイアンゴルフクラブの構成を示す正面図である。
図2図2は、図1に示したヘッド100の構成を示す正面図である。
図3図3は、図2に示したヘッド100を示す側面図である。
図4図4は、図2に示したヘッド100を示す背面図である。
図5図5は、図2のV−V’線に沿ったヘッド100の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、様々な実施形態を適宜図面を参照して説明する。なお、図面において共通する構成要素には同一の参照符号が付されている。また、各図面は、便宜上、必ずしも同一の縮尺により示されているとは限らない。
【0010】
図1は、本発明の一実施形態に係るアイアンゴルフクラブの構成を示す正面図である。図1に示すように、アイアンゴルフクラブ10は、主に、グリップGと、このグリップGに結合したシャフトSと、このシャフトSにホーゼルHZを介して結合したゴルフクラブヘッド(以下単に「ヘッド」という。)100と、を含む。
【0011】
図2は、図1に示したヘッド100の構成を示す正面図である。図3は、図2に示したヘッド100を示す側面図である。図4は、図2に示したヘッド100を示す背面図である。図5は、図2のV−V’線に沿ったヘッド100の断面図である。
【0012】
ヘッド100を背面からみた図4に示されているように、ヘッド100は、シャフトSを収容及び固定するホーゼルHZを備えたヒール部110と、ヒール部110に対向して延びるトゥー部120と、ヒール部110とトゥー部120との間に延び、ヒール部110とトゥー部120とを結合し、上面を形成するトップ部130と、ヒール部110とトゥー部120との間にトップ部130に対向してトップ部130の下方において延び、ヒール部110とトゥー部120とを結合し、底面を形成するソール部140と、を含む。ヒール部110、トゥー部120、トップ部130及びソール部140は、全体として略ロ字状を形成するように結合されている。
【0013】
ヒール部110、トゥー部120、トップ部130及びソール部140は、棒状や板状等の任意の形状となるように形成されうる。本実施形態では、一例として、トゥー部120は、ヒール部110より大きな高さを有するように形成され、トップ部130は、上に凸となるように湾曲して延び、ヒール部140は、下に凸となるように湾曲して延びている。
【0014】
図2及び図3に示されているように、ヘッド100は、ヒール部110とトゥー部120との間においてトップ部130及びソール部140に対向して延びる板状のフェイス部150をさらに含む。
【0015】
図4及び図5に示されているように、ヘッド100は、その内部にキャビティ160を有する。具体的には、ヘッド100は、ヒール部110、トゥー部120、トップ部130、ソール部140及びフェイス部150のそれぞれの内面により囲まれた領域であるキャビティ160を有する。このキャビティ160は、ヘッド100の背面に形成された開口部170であって、ヒール部110、トゥー部120、トップ部130及びソール部140に囲まれた開口部170を介して、ヘッド100の外部と連通している。
【0016】
図5に示されているように、板状に形成されたフェイス部150は、トップ部130及びソール部140に対向してこれらトップ部130及びソール部140に沿って延びている。
トップ部130は、フェイス部150に対向して延びる前面132を有する。前面132には、この前面132からフェイス部150に向かって突出する板状(薄肉状)の上部結合部134が形成されている。この上部結合部134は、トップ部130の前面132とフェイス部150の内面との間において前面132及びフェイス部150の内面に沿って弓状に延びることにより、トップ部130の前面132とフェイス部150の内面とを結合している。なお、この上部結合部134は、トップ部130の一部として設けられたものと捉えることもできるし、フェイス部150の一部として設けられたものと捉えることもできるし、また、トップ部130及びフェイス部150とは別体として設けられたものと捉えることもできるものである。
同様に、ソール部140は、フェイス部150に対向して延びる前面142を有する。前面142には、この前面142からフェイス部150に向かって突出する板状(薄肉状)の下部結合部144が形成されている。この下部結合部144は、ソール部140の前面142とフェイス部150の内面との間において前面142及びフェイス部150の内面に沿って弓状に延びることにより、ソール部140の前面142とフェイス部150の内面とを結合している。この下部結合部144は、上述した上部結合部134と対向して延びている。なお、この下部結合部144は、ソール部140の一部として設けられたものと捉えることもできるし、フェイス部150の一部として設けられたものとして捉えることもできるし、また、ソール部140及びフェイス部150とは別体として設けられたものと捉えることもできるものである。
【0017】
以上のような構成を有するヘッド100は、例えば、まず、ヒール部110、トゥー部120、トップ部130、ソール部140、上部結合部134及び下部結合部144を、鋳造により一体成形して、ヘッド本体を形成した後、このヘッド本体にフェイス部150を溶接する(フェイス部150と、上部結合部134、下部結合部144、ヒール部110及びトゥー部120とを溶接する)ことにより、製造することができるものである。ヘッド本体を構成する材料としては、例えば、チタン合金、ステンレス鋼及び炭素鋼等の金属材料を用いることができる。また、フェイス部150を構成する材料としては、例えば、チタン合金、ステンレス鋼、炭素鋼及びマレージング鋼等の金属材料を用いることができる。
【0018】
本実施形態では、下部結合部144(及び/又は上部結合部134)のサイズが、或る番手のアイアンゴルフクラブと別の番手のアイアンゴルフクラブとの間において異なるように設定される。具体的には、まず、サイズの意義を説明する。
図5に示すように、下部結合部144は、鉛直方向(すなわちソール部140からトップ部130に向かう方向)に沿って第1の厚みAを有する。また、下部結合部144は、ソール部140からフェイス部150に向かう方向に沿って第2の厚みBを有する。これら第1の厚みA及び第2の厚みBが下部結合部144のサイズを特定する。
【0019】
下部結合部144は、フェイス部150とソール部140とを一体的かつ連続的に繋ぐ部材である。よって、フェイス部150が撓むためには、下部結合部144も共同して撓む必要がある。したがって、小さい剛性を有する下部結合部144は、フェイス部150が撓むことを許容するので、フェイス部150の撓みを大きくすることができる。逆に、大きい剛性を有する下部結合部144は、フェイス部150が撓むことを阻害するので、フェイス部150の撓みを小さくすることができる。換言すれば、下部結合部144の第1の厚みAを小さく(大きく)すれば、下部結合部144の剛性が小さく(大きく)なるので、フェイス部150の撓みを大きく(小さく)することができる。同様に、下部結合部144の第2の厚みBを大きく(小さく)すれば、下部結合部144の剛性が小さく(大きく)なるので、フェイス部150の撓みを大きく(小さく)することができる。
【0020】
なお、本実施形態では、一例として、下部結合部144は、フェイス部150においてスコアライン152が設けられている幅(図1中の幅L)に対応する領域において、略一定のサイズ(すなわち、一定の第1の厚みA及び略一定の第2の厚みB)を有するものとしてもよい。本実施形態では、下部結合部144のうち略一定のサイズが保持されている位置は便宜上「基準位置」と称される。下部結合部144の基準位置は、任意に設定することが可能なものである。
【0021】
次に、下部結合部144の第1の厚みA及び第2の厚みBが各番手ごとにどのように設定可能であるのかについて、さらに表1を参照して説明する。表1は、本発明の一実施形態に係るアイアンゴルフクラブの下部連結部における第1の厚み及び第2の厚みの設定手法の一例を示す表である。
【表1】
【0022】
表1に示す具体例では、複数の番手の間(4番と5番との間、6番と7番との間、8番と9番との間)において第1の厚みAが同一となっているが、第1の厚みAは、番手が低くなる程(すなわち、ロフトが大きくなる程)、増加するように設定されるものとすることができる。これにより、低い番手(高い番手)のアイアンゴルフクラブである程、下部結合部144が大きい剛性(小さい剛性)を有するため、低い反発性能(高い反発性能)を有することになる。ここで、「ロフト」とは、フェイス部150が形成する平面(外面又は内面)がシャフトSの中心軸Aに対して成す角度θをいう(図3参照)。なお、表1には、単なる一例として、各番手に対して一般的なロフトが割り当てられている。
【0023】
一方、複数の番手の間(4番と5番との間、6番〜8番の間、9番とPWとの間)において第2の厚みBが同一となっているが、第2の厚みBは、番手が低くなる程(すなわち、ロフトが大きくなる程)、低下するように設定されるものとすることができる。これにより、低い番手(高い番手)のアイアンゴルフクラブである程、下部結合部144が大きい剛性(小さい剛性)を有するため、低い反発性能(高い反発性能)を有することになる。
【0024】
表1に示した番手と第1の厚みA及び第2の厚みBとの関係は、i)ロフトθが15°以上25°未満の範囲にあるときに、第2の厚みB/第1の厚みAが1.5以上2.5以下の範囲にあり、ii)ロフトθが25°以上33°未満の範囲にあるときに、第2の厚みB/第1の厚みAが1.0以上2.0未満の範囲にあり、ロフトθが33°以上50°未満の範囲にあるときに、第2の厚みB/第1の厚みAが0.5以上1.5未満の範囲にある、という表現により特定することも可能である。
【0025】
なお、表1に示した第1の厚みA及び第2の厚みBは、単なる一例に過ぎないものである。複数の番手間においてフェイス部150の反発性能を略一定にするという目的を達成するために、例えば、高い番手のフェイス部150の反発性能を増加させ、低い番手のフェイス部150の反発性能を低下させることによって、複数の番手間においてフェイス部150の反発性能を略一定にするという目的を達成するために、表1に示した、第1の厚みA、第2の厚みB、フェイス部の高さ、及び/又は、ロフトを適宜変更することができる。例えば、3つ以上の番手の間において第1の厚みA及び/又は第2の厚みBが同一となってもよいし、すべての番手の間において第1の厚みA及び/又は第2の厚みBが相違してもよい。
【0026】
また、表1は、一例として4番〜9番及びPWについてのみ、第1の厚みA及び第2の厚みBを示しているが、1番〜3番及びSWについても、複数の番手間において反発性能を略一定にすべく同様の手法を用いて第1の厚みA及び第2の厚みBを割り当てることができる。
【0027】
また、最も好ましい態様として、複数の番手の間において、第1の厚みA及び第2の厚みBの両方が相違する態様が、表1に示されているが、複数の番手の間において、第1の厚みA及び第2の厚みBのうちの一方を一定(不変)とし、第1の厚みA及び第2の厚みBのうちの他方のみを変化させるようにしてもよい。
【0028】
また、図5には、下部結合部144の基準位置における断面形状が矩形状である例が示されているが、下部結合部144の基準位置における断面形状は、台形状、菱形、円形状、楕円形状、多角形状等を含む任意の形状を有するものであってもよいし、曲面を含む断面形状を有するものであってもよい。
【0029】
以上、下部結合部144の具体例について説明したが、上部結合部134についても下部結合部144と同様の手法により形成することが可能である。具体的には、図5に示すように、上部結合部134は、鉛直方向(すなわちソール部140からトップ部130に向かう方向)に沿って第1の厚みA’を有し、トップ部130からフェイス部150に向かう方向に沿って第2の厚みB’を有する。これら第1の厚みA’及び第2の厚みB’が上部結合部134のサイズを特定する。
下部結合部144と同様に、上部結合部134の第1の厚みA’を小さく(大きく)すれば、上部結合部134の剛性が小さく(大きく)なるので、フェイス部150の撓みを大きく(小さく)することができる。同様に、上部結合部134の第2の厚みB’を大きく(小さく)すれば、上部結合部134の剛性が小さく(大きく)なるので、フェイス部150の撓みを大きく(小さく)することができる。
【0030】
上部結合部134についても、番手と第1の厚みA’及び第2の厚みB’との関係は、例えば、i)ロフトθが15°以上25°未満の範囲にあるときに、第2の厚みB’/第1の厚みA’が1.0以上2.0以下の範囲にあり、ii)ロフトθが25°以上33°未満の範囲にあるときに、第2の厚みB’/第1の厚みA’が0.5以上1.5未満の範囲にあり、ロフトθが33°以上50°未満の範囲にあるときに、第2の厚みB’/第1の厚みA’が0.1以上1.0未満の範囲にある、という表現により特定することも可能である。
【0031】
本実施形態では、最も好ましい態様として、上部結合部134及び下部結合部144の両方のサイズを複数の番手間において相違させる態様を示したが、上部結合部134及び下部結合部144のうちの一方のみのサイズを複数の番手間において相違させる態様によっても、複数の番手間における反発性能のばらつきを抑えることができる。
【0032】
本明細書において開示した技術的思想は、図5に示した構成のみに限定されるものではなく、フェイス部150とソール部140(及び/又はトップ部130)との間に配置されフェイス部150とソール部140(及び/又はトップ部130)とを結合する結合部であって、サイズを変更することによりフェイス部150の撓みを許容又は抑制することが可能な結合部を備えた任意の構成に適用することが可能なものである。なお、この結合部は、フェイス部150に一体化されたものであってもよいし、ソール部140(及び/又はトップ部130)に一体化されたものであってもよいし、フェイス部150及びソール部140(及び/又はトップ部130)とは別体として設けられたものであってもよい。
【0033】
このように、本実施形態では、フェイス部とソール部(及び/又はトップ部)との間に配置されフェイス部とソール部(及び/又はトップ部)とを結合する結合部のサイズを複数の番手間において相違させて、結合部の剛性を複数の番手間において変化させることにより、得られる反発係数を複数の番手間において略一定に保つことができる。ここで、複数の番手間において反発係数を略一定にするということは、これらの反発係数を厳密に同一の値に維持すること、及び、これらの反発係数を或る一定の範囲内の値に収まるように維持することを含むものである。これにより、番手間における反発性能のばらつきを抑えるアイアンゴルフクラブを提供することができる。
【0034】
また、一般的には、アイアンゴルフクラブの反発係数は、フェイス部の厚みによって変化しうるものである。具体的には、アイアンゴルフクラブの反発係数は、フェイス部の厚みが増加するにつれて(フェイス部が撓みにくくなることにより)減少し、フェイス部の厚みが減少するにつれて(フェイス部が撓み易くなることにより)増加する傾向にある。よって、結合部の剛性を複数の番手間において変化させることにより、得られる反発係数を複数の番手間において略一定に保つ、という目的をさらに確実に達成するためには、フェイス部の厚みを複数の番手間において略一定にすることが好ましい。
【0035】
本件出願人は、添付した特許請求の範囲に記載したとおり、本明細書において開示された複数のアイアンゴルフクラブにより構成されたアイアンゴルフクラブセットについてのみならず、このアイアンゴルフクラブセットに含まれた1つのアイアンゴルフクラブ(例えば、アイアンゴルフクラブセットからバラ売りされた1つのアイアンゴルフクラブ等)についても、特許を受けることを意図している。
【符号の説明】
【0036】
10 アイアンゴルフクラブ
100 ゴルフクラブヘッド(ヘッド)
110 ヒール部
120 トゥー部
130 トップ部
134 上部結合部
140 ソール部
144 下部結合部
150 フェイス部
図1
図2
図3
図4
図5