(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ブレーキホース(32)及び前記センサケーブル(30)は、前記第1前輪側支持部材(35)及び前記第2前輪側支持部材(47)と、前記第1車体側支持部材(34)及び前記第2車体側支持部材(44)との間で、車幅方向内側に向けて突の状態で湾曲するように配索されることを特徴とする請求項1に記載の鞍乗型車両のケーブル配索構造。
前記第1車体側支持部材(34)及び前記第2車体側支持部材(44)はそれぞれ、前記ブレーキホース(32)及び前記センサケーブル(30)を車幅方向に指向するように、支持することを特徴とする請求項1又は2に記載の鞍乗型車両のケーブル配索構造。
前記センサケーブル(30)は、前記前輪(2)の車幅方向における前記一方側で前記ブレーキホース(32)の上方延出方向に沿うように、前記前輪(2)の車幅方向における前記他方側に向けて折り返って湾曲し、その折り返えし手前の部位が、第3前輪側支持部材(48)に支持されることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の鞍乗型車両のケーブル配索構造。
前記第1前輪側支持部材(35)、前記第2前輪側支持部材(47)及び前記第3前輪側支持部材(48)は、一体化された状態で、前記前輪(2)側に配置されることを特徴とする請求項4に記載の鞍乗型車両のケーブル配索構造。
前記第2前輪側支持部材(47)及び前記第3前輪側支持部材(48)は、単一の部材上に形成されることを特徴とする請求項5に記載の鞍乗型車両のケーブル配索構造。
前記第2前輪側支持部材(47)及び前記第3前輪側支持部材(48)にそれぞれ、前記センサケーブル(30)を受け入れる開口部(47A,48A)が形成され、前記第1前輪側支持部材(35)は、前記各開口部(47A,48A)を覆うように位置することを特徴とする請求項4〜6のいずれか1項に記載の鞍乗型車両のケーブル配索構造。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1のような構造では、ブレーキディスク及び車速センサが互いに寸法等の制約を与え合って、ブレーキディスクの内径や車速センサの大きさ等に制約が生じると共に、車速センサに接続されるセンサケーブルとブレーキディスクとが接触しないように配慮して、当該ケーブルをクランプ、ガイド等して支持する必要があるため、センサケーブルの支持箇所が煩雑になってしまう。また、センサケーブルは比較的細いものであり、走行風やクッションのストロークによって撓みが発生し易く、この点も考慮すると、支持箇所が比較的多くなってしまう。
【0005】
一方で、キャリパの前輪を挟んで逆側に、車速センサを配置することも考えられるが、センサケーブルは上述のように比較的細いものであるため、走行風やクッションのストロークによる撓みの発生を考慮すると、支持箇所が比較的多くなってしまう課題は依然として残る。
【0006】
そこで、本発明は、ブレーキディスク及び車速センサが互いに寸法等の制約を与え合うことをなくして、これらブレーキディスク及び車速センサの形状及び寸法等の自由度を向上できるとともに、支持箇所を可及的に抑制して簡素にセンサケーブルを配索することができる鞍乗型車両のケーブル配索構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題の解決手段として、請求項1に記載の発明は、車体に支持されて下方に延びると共に、下端部に前輪(2)を回転可能に支持し、前記車体と前記前輪(2)との間で伸縮する左右一対のフロントフォーク(10)と、前記前輪(2)の車幅方向における一方側に配置されるブレーキディスク(25)及び該ブレーキディスク(25)を挟み込むキャリパ(26)と、前記前輪(2)の車幅方向における他方側に配置される車速センサ(24)と、前記キャリパ(26)とマスタシリンダ(33)とを繋ぐブレーキホース(32)と、前記車速センサ(24)から延びるセンサケーブル(30)と、を備え、前記ブレーキホース(32)が、前記車体側に配置される第1車体側支持部材(34)と前記前輪(2)側に配置される第1前輪側支持部材(35)との間で、撓みを持って支持される鞍乗型車両のケーブル配索構造において、前記センサケーブル(30)は、前記前輪(2)の車幅方向における前記他方側から前記前輪(2)の上方を通って、前記前輪(2)の車幅方向における前記一方側に向けて延びると共に、前記キャリパ(26)から上方に向けて延びる前記ブレーキホース(32)の上方延出方向に沿うように湾曲した後で上方に延び、かつ前記第1前輪側支持部材(35)に並んで設けられる第2前輪側支持部材(47)に支持されると共に、前記第1車体側支持部材(34)に設けられる第2車体側支持部材(44)に支持され、前記センサケーブル(30)は、前記第2前輪側支持部材(47)と前記第2車体側支持部材(44)との間で、前記ブレーキホース(32)に沿って撓むように配索されることを特徴とする。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の鞍乗型車両のケーブル配索構造において、前記ブレーキホース(32)及び前記センサケーブル(30)は、前記第1前輪側支持部材(35)及び前記第2前輪側支持部材(47)と、前記第1車体側支持部材(34)及び前記第2車体側支持部材(44)との間で、車幅方向内側に向けて突の状態で湾曲するように配索されることを特徴とする。
【0009】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の鞍乗型車両のケーブル配索構造において、前記第1車体側支持部材(34)及び前記第2車体側支持部材(44)はそれぞれ、前記ブレーキホース(32)及び前記センサケーブル(30)を車幅方向に指向するように、支持することを特徴とする。
【0010】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか1項に記載の鞍乗型車両のケーブル配索構造において、前記センサケーブル(30)は、前記前輪(2)の車幅方向における前記一方側で前記ブレーキホース(32)の上方延出方向に沿うように、前記前輪(2)の車幅方向における前記他方側に向けて折り返って湾曲し、その折り返えし手前の部位が、第3前輪側支持部材(48)に支持されることを特徴とする。
【0011】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の鞍乗型車両のケーブル配索構造において、前記第1前輪側支持部材(35)、前記第2前輪側支持部材(47)及び前記第3前輪側支持部材(48)は、一体化された状態で、前記前輪(2)側に配置されることを特徴とする。
【0012】
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の鞍乗型車両のケーブル配索構造において、前記第2前輪側支持部材(47)及び前記第3前輪側支持部材(48)は、単一の部材上に形成されることを特徴とする。
【0013】
請求項7に記載の発明は、請求項4〜6のいずれか1項に記載の鞍乗型車両のケーブル配索構造において、前記第2前輪側支持部材(47)及び前記第3前輪側支持部材(48)にそれぞれ、前記センサケーブル(30)を受け入れる開口部(47A,48A)が形成され、前記第1前輪側支持部材(35)は、前記各開口部(47A,48A)を覆うように位置することを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
請求項1に記載の発明によれば、前輪の車幅方向における一方側と他方側とに、ブレーキディスク及びキャリパと車速センサとを振り分けて配置し、ブレーキディスク等と車速センサとが互いに寸法等の制約を与え合うことをなくすことで、これらブレーキディスク及び車速センサの形状及び寸法等の自由度を向上できる。また、ブレーキケーブルの支持部材とセンサケーブルの支持部材を並んで設けることで、支持箇所を可及的に抑制して簡素にセンサケーブルを配索することができる。
請求項2に記載の発明によれば、ブレーキホース及びセンサケーブルが車幅方向外側に膨らまないようにして、これらホース及びケーブルに対する車幅方向外側からの外乱の影響を抑制し易くすることができる。
請求項3に記載の発明によれば、フロントフォークの伸縮時にブレーキホース及びセンサケーブルをスムーズに屈曲させることができ、これらにかかる負担を低減できる。
請求項4に記載の発明によれば、センサケーブルの前輪を横切る部分の位置決め性を向上できる。
請求項5に記載の発明によれば、組付け性及び生産性を向上できる。
請求項6に記載の発明によれば、部品点数を削減できる。
請求項7に記載の発明によれば、センサケーブルの支持部材の開口部を塞いでセンサケーブルを保持するための部材を別途設ける必要をなくすことで、センサケーブルの保持に関する部品の部品点数を削減できる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、以下で用いる図面において、矢印FRは車両の前方を示し、矢印UPは車両の上方を示し、矢印LHは車両の左方を示している。
【0017】
図1、
図2及び
図3には、本実施形態に係る構造が適用された自動二輪車1の車両前部が示されている。符号2は前輪を示し、この前輪2は、車輪中心側に配置されるハブ部3、ハブ部3の径方向外側に位置する環状のリム部4、及びハブ部3とリム部4を結合する複数のスポーク部5が一体に形成されたホイール6と、リム部4の外周側に固着されたタイヤ7と、を備えている。前輪2は、ハブ部3に貫通して通されるアクスルシャフト8を介して、左右一対のフロントフォーク10の下端部に回転可能に支持されている。
【0018】
フロントフォーク10はそれぞれ、車体上部(後述のヘッドパイプ17)に支持されて下方に延びるインナーチューブ11と、インナーチューブ11の下部を内側に嵌入させてインナーチューブ11に対して伸縮可能とされるアウターチューブ12と、を備え、左右のアウターチューブ12の下端部の間に上記アクスルシャフト8が架け渡されて、上記前輪2が支持されている。インナーチューブ11とアウターチューブ12との間には、図示省略するスプリングが設けられ、このスプリングによってアウターチューブ12は伸長する方向に付勢されている。また、インナーチューブ11とアウターチューブ12との間には、アウターチューブ12の伸縮動を減衰させるオイル等が封入されている。
【0019】
左右のインナーチューブ11は、トップブリッジ13及びボトムブリッジ14によって連結されており、トップブリッジ13は、インナーチューブ11の上端部間を連結し、ボトムブリッジ14はトップブリッジ13よりも下方の位置で左右のインナーチューブ11を連結している。トップブリッジ13及びボトムブリッジ14の車幅方向中央の部位の間は、ステアリングシャフト15によって連結され、ステアリングシャフト15は、車体フレーム16の前端に設けられて車体上部に位置するヘッドパイプ17に回動可能に支持されている。これによりフロントフォーク10が前輪2を操向可能に支持する。また、アウターチューブ12の上部には、側面視弧状に形成されたフロントフェンダ9が支持され、前輪2の上方はフロントフェンダ9によって覆われている。
【0020】
なお、上記車体フレーム16は、ヘッドパイプ17、このヘッドパイプ17から後下方に延びるメインフレーム18、及びメインフレーム18の下方に位置して、ヘッドパイプ17から後下方に延びるダウンフレーム19等を備えている。
【0021】
トップブリッジ13の上部には、左右一対のハンドルホルダ20が設けられ、これらハンドルホルダ20には、車幅方向に延びるハンドルパイプ21が支持されている。ハンドルパイプ21の左側端部には、クラッチレバー22が揺動可能に支持されている。ハンドルパイプ21に右側端部には、ブレーキレバー23が揺動可能に支持されている。
【0022】
図1及び
図3に示すように、本実施形態では、前輪2のハブ部3の左方に車速センサ24が配置されており、車速センサ24は、左のフロントフォーク10におけるアウターチューブ12の下端部内側に固定されている。一方で、
図2及び
図3に示すように、前輪2のハブ部3の右方には、ブレーキディスク25及びキャリパ26が配置されている。
【0023】
ブレーキディスク25は、ハブ部3の右側面に固定され、前輪2と一体に回転する。また、キャリパ26は、右のアウターチューブ12の下部の後方に配置されて、ブレーキディスク25を挟み込み可能な状態で、このアウターチューブ12の下部に固定されている。
図3に示すように、キャリパ26は、前面視でアウターチューブ12と重なっており、これにより飛石等から保護されている。
【0024】
車速センサ24には、センサケーブル30が接続され、センサケーブル30は車速センサ24から上方に延びて、図示省略する車両上部のインストルメントパネルに接続する。この自動二輪車1では、インストルメントパネルにおいて、センサケーブル30から伝達される信号に基づき算出された車速が表示される。なお、
図3に示すように、本実施形態では、センサケーブル30の上端にカプラ31が設けられ、このカプラ31を介してセンサケーブル30とインストルメントパネルとが接続される。
【0025】
一方で、キャリパ26にはブレーキホース32が接続され、ブレーキホース32はキャリパ26から適宜湾曲しながら上方に延びて、
図3に示すように、ハンドルパイプ21の右端部側に設けられたマスタシリンダ33に繋がっている。本実施形態では、運転者がブレーキレバー23を握り込むことで、マスタシリンダ33からブレーキホース32を介して液圧がキャリパ26に作用する。これにより、キャリパ26がブレーキディスク25を挟み込むことで前輪2に対する制動力が付与される。
【0026】
図3及び
図4を参照し、本実施形態では、ブレーキホース32が、フロントフォーク10において車体上部側に位置するインナーチューブ11を左右に連結する車体としてのボトムブリッジ14の下面に固定された第1車体側支持部材34と、フロントフォーク10において前輪2側に位置する右のアウターチューブ12の上部に固定された第1前輪側支持部材35と、によって支持されている。換言すれば、ブレーキホース32は、フロントフォーク10における車体に対する非伸縮部分側に配置された第1車体側支持部材34と、車体に対する伸縮部に配置された第1前輪側支持部材35と、によって支持されている。なお、図中においてCLは、車幅方向の中央を示す車幅方向中心線を示している。
【0027】
第1車体側支持部材34は、ボトムブリッジ14の下面における車幅方向中央よりも右側の位置に、
図3に示すように、ボルト14Aによって締結固定され、
図4に示すように、ブレーキホース32の移動を規制しつつ支持するクランプ部34Aを備えている。クランプ部34Aは環状に形成されており、第1車体側支持部材34がボトムブリッジ14に締結固定された状態において、その軸方向が車幅方向に沿うように位置し、ブレーキホース32の外周面を外側からグロメット38を介して締め込むようにして、ブレーキホース32を支持している。このため、ブレーキホース32におけるクランプ部34Aに支持された部位は、車幅方向に指向する。なお、クランプ部34Aは、第1車体側支持部材34が締結固定される前の状態では、環状の部位の一部を開放させることが可能となっており、締結固定される前に一部を開放させてブレーキホース32を受け入れて、締結固定時にブレーキホース32を締め付ける構成とされている。このようなクランプ構成は、周知のものとして知られている。
【0028】
一方で、第1前輪側支持部材35は、右のアウターチューブ12の後方に配置されている。詳しくは、
図5を参照し、第1前輪側支持部材35は、右のアウターチューブ12の上部後面から後下方に突出するように、このアウターチューブ12に一体に形成されたブラケット部36に、ボルト37Aによって締結固定されている。
【0029】
第1前輪側支持部材35は、ブラケット部36から車幅方向内側に延びるステー部35Bと、ステー部35Bの先端部に設けられたクランプ部35Aと、を備えている。クランプ部35Aは環状に形成されており、第1前輪側支持部材35がアウターチューブ12に締結固定された状態において、
図4に示すように、その軸方向が車幅方向外側から内側に向けて斜め上方に向くように位置し、ブレーキホース32の外周面を外側からグロメット39を介して締め込むようにして、ブレーキホース32を支持している。
なお、
図5に示すように、クランプ部35Aは短冊状の板金を屈曲させて形成されており、環状部351と、前記板金の両端部を環状部351から外側に延ばすようにして形成した延出部352と、を有し、延出部352にボルト37Bを通して上記ステー部35Bの先端部に固定されている。
また、クランプ部35Aは、第1前輪側支持部材35が締結固定される前の状態では、環状部351を延出部352の両端を離間させることで開放させることが可能となっており、締結固定される前に一部を開放させてブレーキホース32を受け入れて、締結固定時にブレーキホース32を締め付ける構成とされている。
【0030】
第1車体側支持部材34及び第1前輪側支持部材35によって支持されるブレーキホース32の支持状態について詳述すると、ブレーキホース32は、キャリパ26から上方に延び、車幅方向外側から内側に向けて斜め上方に向く第1前輪側支持部材35のクランプ部35Aを車幅方向外側から通過して、車幅方向内側に向けて湾曲しつつ上方に延び、次に、車幅方向に沿う第1車体側支持部材34のクランプ部34Aを車幅方向内側から外側に向けて通過している。これにより、ブレーキホース32は、第1車体側支持部材34と第1前輪側支持部材35との間で、車幅方向内側に向けて突の状態で湾曲するように撓みを持って支持されている。なお、本実施形態では、第1車体側支持部材34は、第1前輪側支持部材35よりも車幅方向内側に配置されている。
そして、ブレーキホース32は、第1車体側支持部材34のクランプ部34Aを略水平の状態で通過後、ボトムブリッジ14の右端部後方で、上方に向けて湾曲して、インナーチューブ11に概略沿って延びてマスタシリンダ33に至っている。
【0031】
一方で、センサケーブル30は、車速センサ24から上方に延び、左のアウターチューブ12の上部後方で、車幅方向内側に湾曲し、前輪2及びフロントフェンダ9の上方を通って、右のアウターチューブ12側に向けて延びている。そして、センサケーブル30は、右のアウターチューブ12の上部後方の位置で、キャリパ26から上方に向けて延びるブレーキホース32の上方延出方向(矢印α)に沿うように折り返って湾曲した後で上方に延びている。ここで、センサケーブル30は、左のアウターチューブ12の上部後方の位置で、この左のアウターチューブ12に固定された基端側支持部材41に支持され、右のアウターチューブ12の上部後方の位置で上記第1前輪側支持部材35に並んで設けられた複合支持部材42に支持され、ボトムブリッジ14の下方の位置で、上記第1車体側支持部材34に並んで設けられた第2車体側支持部材44に支持されている。
【0032】
そして、本実施形態では、センサケーブル30が、複合支持部材42と第2車体側支持部材44との間で、ブレーキホース32に沿って撓むように延びており、車幅方向内側に向けて突の状態で湾曲している。また、センサケーブル30は、第2車体側支持部材44から更に車幅方向外側に延び、ボトムブリッジ14の右端部後方で、上方に向けて湾曲している。なお、センサケーブル32における複合支持部材42と第2車体側支持部材44との間で車幅方向中央に向けて突の状態となる部位は、複合支持部材42から車幅方向中央を超えた後に、左方に湾曲し、ブレーキホース30における第1前輪側支持部材35と第1車体側支持部材34との間で車幅方向中央に向けて突の状態となる部位は、第1前輪側支持部材35から車幅方向中央を超えた後に、左方に湾曲している。
【0033】
各支持部材について、以下説明すると、
図4及び
図6を参照し、上記基端側支持部材41は、左のアウターチューブ12の上部後面から後下方に突出するように、このアウターチューブ12に設けられたブラケット部45にボルト46によって締結固定されている。基端側支持部材41は、ブラケット部36に基端を締結固定して上方に延びると共に、その先端が車幅方向内側に延びるようにL字状に形成されたステー部41Bと、ステー部41Bの先端に固着されたクランプ部41Aと、を備えている。
【0034】
クランプ部41Aは環状に形成されており、基端側支持部材41がアウターチューブ12に締結固定された状態で、その軸方向が車幅方向外側から内側に向けて斜め上方に沿うように位置し、センサケーブル30の外周面を外側からグロメット55を介して締め込むようにして、センサケーブル30を支持している。また、基端側支持部材41のステー部41Bには、一部が開放した矩形環状のガイド部41Cが下方に延びるように設けられている。
図6を参照し、このガイド部41Cでは、その開放部分からセンサケーブル30を内側に受け入れて保持することが可能となっている。
なお、クランプ部41Aは、基端側支持部材41が締結固定される前の状態では、環状の部位を開放させることが可能となっており、締結固定される前に一部を開放させてセンサケーブル30を受け入れて、締結固定時にセンサケーブル30を締め付ける構成とされている。
【0035】
一方で、
図4を参照し、複合支持部材42には、センサケーブル30における右のアウターチューブ12の上部後方で折り返ってU字状をなして湾曲する部位のうち、車速センサ24側から見て折り返し直後の部位(カプラ31側の部位)を支持する第2前輪側支持部47と、上記U字状をなして湾曲する部位のうち、車速センサ24側から見て折り返えし手前の部位(車速センサ24側の部位)を支持する第3前輪側支持部48と、が形成されている。
【0036】
図7は、
図4の矢印A方向に複合支持部材42を見た図であり、説明便宜上ケーブル類を二点鎖線で示している。
図7を参照し、本実施形態の複合支持部材42においては、単一の板金を折り曲げ加工することで、第2前輪側支持部47と第3前輪側支持部48とが形成されており、さらに、複合支持部材42は、第1前輪側支持部材35と一体化されている。
【0037】
複合支持部材42は、第1前輪側支持部材35のステー部35Bの先端部に接続する基部42Aを有して、このステー部35Bに対して略直角に延び、その先端側に、U字状に折り曲げ加工されてなる第2前輪側支持部47が形成されるとともに、第2前輪側支持部47と基部42Aとの間の領域に、U字状に折り曲げ加工されてなる第3前輪側支持部48が形成されている。また、
図4及び
図7を参照し、複合支持部材42は、アウターチューブ12に締結固定された第1前輪側支持部材35のステー部35Bに当該複合支持部材42が一体化された状態で、第2前輪側支持部47が第3前輪側支持部48よりも上方に位置するように、第2前輪側支持部47と第3前輪側支持部48との間の部位が折り曲げられている。
また、複合支持部材42は、アウターチューブ12に締結固定された第1前輪側支持部材35のステー部35Bに当該複合支持部材42が一体化された状態で、第2前輪側支持部47の開口部47Aが前方に開放すると共に、第3前輪側支持部48の開口部48Aが上方に開放するように形成されている。
【0038】
また、第2前輪側支持部47及び第3前輪側支持部48はそれぞれ、開口部47A及び開口部47Bからセンサケーブル30を、それぞれの内周側に受け入れ、センサケーブル30の外周面に設けられたグロメット49,50を介してセンサケーブル30を支持している。
【0039】
図7及び
図8を参照し、複合支持部材42及び第1前輪側支持部材35の一体化について詳述すると、本実施形態では、
図7に示すように、複合支持部材42の基部42Aにおいて第1前輪側支持部材35のステー部35Bの先端部が当接する側の面と反対側の面に、ウェルドナット51が固着され、
図8に示すように、このウェルドナット51に第1前輪側支持部材35のステー部35B及びクランプ部35Aの延出部352を通過するボルト37Bを螺合することで、複合支持部材42と第1前輪側支持部材35とが一体化されている。なお、
図8に示すように、延出部352にはボルト37Bが通過するボルト挿通孔353が形成されている。したがって、本実施形態では、クランプ部35Aにブレーキホース32を挿入した状態としてから、複合支持部材42及び第1前輪側支持部材35とが一体化される構成となる。そして、この一体化の状態では、クランプ部35Aが、第2前輪側支持部47の開口部47Aと、第3前輪側支持部48の開口部48Aとを覆うように位置し、クランプ部35Aによってセンサケーブル30の離脱が抑制される。
【0040】
次に、
図4を参照し、第2車体側支持部材44も、第1車体側支持部材34に一体化されている。第2車体側支持部材44は、センサケーブル30の移動を規制しつつ支持するクランプ部44Aを備えている。クランプ部44Aは環状に形成されており、その軸方向が車幅方向に沿うように位置し、センサケーブル30の外周面を外側からグロメット52を介して締め込むようにして、センサケーブル30を支持している。このため、センサケーブル30におけるクランプ部44Aに支持された部位は、車幅方向に指向する。
ここで、クランプ部44Aも、第2車体側支持部材44が締結固定される前の状態では、環状の部位を開放させることが可能となっており、締結固定される前に一部を開放させてセンサケーブル30を受け入れて、締結固定時にセンサケーブル30を締め付ける構成とされている。
そして、概略の説明とするが、第2車体側支持部材44が第1車体側支持部材34に一体化される際は、第2車体側支持部材44は、そのクランプ部44Aにセンサケーブル30を挿入した状態とされてから、第1車体側支持部材34に一体化されるようになっている。
【0041】
以下、本実施形態におけるセンサケーブル30及びブレーキホース32の配索作業の一例について説明すると、まず、ボトムブリッジ14に締結固定する前の第1車体側支持部材34と第2車体側支持部材44それぞれのクランプ部34A及びクランプ部44Aの内側に、対応するグロメットを介してブレーキホース32及びセンサケーブル30を挿入する。また、アウターチューブ12に締結固定する前の基端側支持部材41のクランプ部41Aの内側にもグロメットを介してセンサケーブル30を挿入しておく。
次に、第1前輪側支持部材35及び複合支持部材42が分離している状態で、第1前輪側支持部材35のクランプ部35Aの内側に、対応するグロメットを介してブレーキホース32を挿入する。なお、この際、クランプ部35Aとステー部35Bは接続していない状態としておく。
一方で、複合支持部材42においては、第2前輪側支持部47及び第3前輪側支持部48の内側に、センサケーブル30を湾曲する状態となるように、対応するグロメットを介して挿入する。
次に、第1前輪側支持部材35のステー部35Bを右のアウターチューブ12のブラケット部36に締結し、ステー部35Bの先端部に、ブレーキホース32が組み込まれた状態のクランプ部35Aと、センサケーブル30が組み込まれた状態の複合支持部材42をボルト37Bによって締結する。
そして、上記のように第1前輪側支持部材35及び複合支持部材42によってブレーキホース32及びセンサケーブル30をフロントフォーク10に取り付けて仮止め状態として、その後、第1車体側支持部材34及び第2車体側支持部材44をボトムブリッジ14に締結固定すると共に、基端側支持部材41を左のアウターチューブ12に締結固定する。なお、各支持部材の締結固定は、ここで述べた順序でなくてもよい。
そして、その後は、センサケーブル30及びブレーキホース32の各支持点での位置を各支持部材のクランプ部を拡げて適宜ずらす等して、所望の配索状態に調整する。
【0042】
以上に記載したように本実施形態では、センサケーブル30が、前輪2の上方を通って、前輪2の車幅方向の一方側である右方に向けて延びると共に、キャリパ26から上方に向けて延びるブレーキホース32の上方延出方向に沿うように湾曲した後で上方に延び、かつ第1前輪側支持部材35に並んで設けられる第2前輪側支持部47に支持されると共に、第1車体側支持部材34に並んで設けられる第2車体側支持部材44に支持され、さらに、センサケーブル30は、第2前輪側支持部47と第2車体側支持部材44との間で、ブレーキホース32に沿って撓むように配索されている。
【0043】
このような構造では、前輪2の車幅方向における一方側と他方側とに、ブレーキディスク25及びキャリパ26と車速センサ24とを振り分けて配置し、ブレーキディスク25等と車速センサ24とが互いに寸法等の制約を与え合うことをなくすことで、これらブレーキディスク25及び車速センサ24の形状及び寸法等の自由度を向上できる。また、ブレーキホース32の支持部材である第1車体側支持部材34及び第1前輪側支持部材35に、センサケーブル30の支持部材である第2車体側支持部材44及び第2前輪側支持部47を並んで設けることで、支持箇所を可及的に抑制して簡素にセンサケーブルを配索することができる。
【0044】
また、本実施形態では、ブレーキホース32及びセンサケーブル30が、第1前輪側支持部材35及び第2前輪側支持部47と、第1車体側支持部材34、及び第2車体側支持部材44との間で、車幅方向内側に向けて突の状態で湾曲するように配索されているが、このようにした場合は、ブレーキホース32及びセンサケーブル30が車幅方向外側に膨らまないようにして、これらホース及びケーブルに対する車幅方向外側からの外乱の影響を抑制し易くすることができる。
【0045】
また、本実施形態では、第1車体側支持部材34及び第2車体側支持部材44がそれぞれ、ブレーキホース32及びセンサケーブル30を車幅方向に指向するように、これらブレーキホース32及びセンサケーブル30を支持するように構成されているので、フロントフォーク10の伸縮時にブレーキホース32及びセンサケーブル30をスムーズに屈曲させることができ、これらにかかる負担を低減できる。
【0046】
また、本実施形態では、センサケーブル30が、前輪2の車幅方向における一方側である右方でブレーキホース32の上方延出方向に沿うように、前輪2の車幅方向における他方側である左方に向けて折り返って湾曲し、その折り返えし手前の部位が、第3前輪側支持部48に支持されている。これによれば、センサケーブル30の前輪2を横切る部分の位置決め性を向上できる。
【0047】
また、本実施形態では、第1前輪側支持部材35、第2前輪側支持部47及び第3前輪側支持部48が、一体化された状態で、前輪2側に配置されるので、組付け性及び生産性を向上できる。さらに、第2前輪側支持部47及び第3前輪側支持部48は、単一の部材上に形成されるので、部品点数を削減できる。
【0048】
また、本実施形態では、第2前輪側支持部47及び第3前輪側支持部48にそれぞれ、センサケーブル30を受け入れる開口部47A,48Aが形成され、第1前輪側支持部材35が、各開口部47A,48Aを覆うように位置して、第1前輪側支持部材35、第2前輪側支持部47及び第3前輪側支持部48が一体化した状態とされている。これによれば、センサケーブル30の支持部材の開口部を塞いでセンサケーブル30を保持するための部材を別途設ける必要をなくすことで、センサケーブル30の保持に関する部品の部品点数を削減できる。
【0049】
以上で本発明の実施形態を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。
例えば、本実施形態では、ホイール6が所謂キャストホイールであるが、ワイヤスポークホイールであっても構わない。また、第2前輪側支持部47及び第3前輪側支持部48が別の部材で形成されてもよい。また、車速センサ24とブレーキディスク25及びブレーキキャリパ26との位置を左右で入れ替えてもよい。
また、上記実施形態では、本発明に係る構造をモータサイクル型の自動二輪車に適用した例を説明したが、本発明に係る構造は、スクータ型車両、アメリカンタイプの自動二輪車、三輪車等の種々の鞍乗型車両に適用可能である。