特許第5836228号(P5836228)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5836228
(24)【登録日】2015年11月13日
(45)【発行日】2015年12月24日
(54)【発明の名称】エレベータ用ドア装置
(51)【国際特許分類】
   B66B 13/30 20060101AFI20151203BHJP
【FI】
   B66B13/30 F
   B66B13/30 K
【請求項の数】1
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2012-193549(P2012-193549)
(22)【出願日】2012年9月3日
(65)【公開番号】特開2014-47066(P2014-47066A)
(43)【公開日】2014年3月17日
【審査請求日】2014年8月11日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005108
【氏名又は名称】株式会社日立製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000279
【氏名又は名称】特許業務法人ウィルフォート国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】萬年 紘平
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 智宏
【審査官】 大野 明良
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−166953(JP,A)
【文献】 実開昭63−167476(JP,U)
【文献】 特開2009−166970(JP,A)
【文献】 実公昭29−012838(JP,Y1)
【文献】 特開2001−055292(JP,A)
【文献】 実公昭51−021480(JP,Y1)
【文献】 国際公開第2012/008043(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66B 13/00−13/30
A47B 88/00−88/16
E06B 3/42− 3/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
出入口の上側に配設された上側ガイドレール部材に吊下され、前記出入口を開閉するために設けられる複数のドアを備えるエレベータ用ドア装置であって、
少なくとも前記各ドアの開閉範囲の全体に延びるようにして、前記各ドアの下端側に設けられる複数の下側ガイドレール部材と、
前記出入口の下端側に位置する敷居上に設けられ、前記各下側ガイドレール部材の移動をローラで支持する複数のガイドローラ部材と、
を備え、
前記複数の下側ガイドレール部材の一端側は、前記各ドアが開いたときに前記各ドアを収容する戸袋空間内に延設されており、
前記複数の下側ガイドレール部材のうち前記ドアの下端側に位置する部分は、当該ドアの内部空間に挿通されており、
前記複数のガイドローラ部材は、前記戸袋空間内に位置して前記敷居上に設けられており、
記下側ガイドレール部材の両側に対向して位置する側壁部と、
前記各側壁部の間に設けられる回転軸と、
前記下側ガイドレール部材の下側に位置して前記回転軸に回転可能に取り付けられ、前記下側ガイドレール部材を下側から支持する前記ローラと、
前記各側壁部の上側を連結するようにして設けられ、前記下側ガイドレール部材が所定量以上上側に変位するのを規制するストッパと、
を備えて構成されるエレベータ用ドア装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エレベータ用ドア装置に関する。
【背景技術】
【0002】
エレベータの出入口には片開き式または両開き式のドアが設けられている。ドアの上端側は、出入口の上側に配設されたレールにハンガーローラを介して吊下されている。ドアの下端側には、敷居に形成された溝に係合する脚部が設けられている。これにより、ドアは、その上下でガイドされながら左右方向に移動して出入口を開閉する。
【0003】
しかし、敷居に溝を形成する構造では、ユーザが溝に躓いたり、溝の中に塵埃等の異物が溜まって円滑な開閉を阻害するおそれがある。そこで、敷居上面に溝を形成せずにドアの下側をガイドできるようにした技術も提案されている(特許文献1,2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開昭54−22763号のマイクロフィルム
【特許文献2】特開平3−232683号公報
【特許文献3】特開2009−166970号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の従来技術では、戸袋内でのみ案内条体を配設するため、ユーザが案内条体に躓いたりするおそれはない。しかし、ドアの開閉する全範囲ではなく、戸袋内の一部の範囲についてのみドアの下側をガイドするため、ドアの下側が奥と手前との間で揺動するのを十分に抑制できないおそれがある。
【0006】
特許文献2に記載の従来技術では、ドアの下端側に形成した脚部を敷居の前面を介して敷居の下面に回り込ませる構成のため、敷居下側のエプロン部分に脚部を通すための切欠部をドア開閉方向に長く形成する必要がある。かごと乗り場との位置の誤差、つまり着床誤差がある場合、その切欠部がユーザの円滑な乗車を妨げる可能性がある。
【0007】
特許文献3に記載の従来技術では、ドアの開閉に連動してガイドリンクが上下動するため、ガイドリンクの移動領域では、ドアに補強部材を取り付けることができない。従って、ドアに強い荷重が加わったりした場合に、ドアが撓んでしまうおそれがある。
【0008】
そこで、本発明の目的は、ユーザの円滑な乗降を妨げることなく、ドアを安定してガイドすることができるようにしたエレベータ用ドア装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決すべく、本発明に係るエレベータ用ドア装置は、出入口の上側に配設された上側ガイドレール部材に吊下され、出入口を開閉するために設けられる複数のドアを備えるエレベータ用ドア装置であって、少なくとも各ドアの開閉範囲の全体に延びるようにして、各ドアの下端側に設けられる複数の下側ガイドレール部材と、出入口の下端側に位置する敷居上に設けられ、各下側ガイドレール部材の移動をローラで支持する複数のガイドローラ部材と、を備える。
【0010】
複数の下側ガイドレール部材の一端側を、各ドアが開いたときに各ドアを収容する戸袋空間内に延設してもよく、さらに、複数のガイドローラ部材は、戸袋空間内に位置して敷居上に設けられてもよい。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、ドアの開閉範囲の全体に延びる下側ガイドレール部材により、ドアがかご側と乗り場側との間で揺動するのを抑制しつつ、ドアを安定してガイドすることができる。敷居上面には溝またはガイド用突起などを形成する必要がないため、ユーザが乗降時に躓いたりすることがなく、ユーザの使い勝手が向上する。
【0012】
また、ドアの下端にのみ下側ガイドレール部材を設け、戸袋内のガイドローラ部材で支持するため、構成が比較的簡易であり、かつ、ガイドリンクのように大きく上下動する部材を用いる構成ではないため、ドア裏面への補強も簡単にできる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】第1実施例に係り、かご側から見た戸閉時の乗り場ドアの正面図である。
図2】戸開時の乗り場ドアを拡大して示す正面図である。
図3図1の乗り場ドアの一部を示す斜視図である。
図4図1を矢示IV方向から見た側面図である。
図5図4の下部を拡大して示す側面図である。
図6】第2実施例に係り、かご側から見た戸閉時の乗り場ドアの一部を拡大して示す正面図である。
図7】戸開時の乗り場ドアの一部を拡大して示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面に基づいて、本発明の実施の形態を説明する。本実施形態のエレベータ用ドア装置は、以下に詳述するように、少なくとも各ドアの開閉範囲の全体に延びるようにして、各ドアの下端側に設けられる複数の下側ガイドレール部材と、出入口の下端側に位置する敷居上に設けられ、各下側ガイドレール部材の移動をローラで支持する複数のガイドローラ部材と、を備える。
【実施例1】
【0015】
図1図5を用いて第1実施例を説明する。本実施例では、2枚の戸が連動して同一方向に移動する、いわゆる2枚戸片開き式のドア装置に適用する場合を説明する。図1は、かご側から見た乗り場ドアの正面図である。図2は、戸開時の乗り場ドアを拡大して示す正面図である。図3は、乗り場ドアの一部を拡大して示す斜視図である。
【0016】
乗り場の出入口DWの両側には、乗り場側に突出するようにして出入口枠1a,1bが設けられている。一方の出入口枠1aは、戸閉時にドア3aが接触する側の枠であり、戸当たり側出入口枠1aとも呼ぶ。他方の出入口枠1bは、戸開時にドア3a,3bが収容される戸袋側の枠であり、戸袋側出入口枠1bとも呼ぶ。
【0017】
出入口DWを開閉するために複数の(例えば2枚の)ドア3a,3bが図1中の左右方向に移動可能に設けられている。一方のドア3aは、戸開時に戸当たり側出入口枠1aに接触する高速ドアである。他方のドア3bは、高速ドア3aの後側(ドア開閉方向の閉側)に連結された低速ドアである。
【0018】
かごには、かごドアと、かごドアを開閉するドア駆動装置とが設けられている(いずれも図示せず)。かごが乗り場に到着すると、ドア駆動装置はかごドアを戸開方向に移動させる。かごドアと乗り場ドアとは係合部材を介して係合し、かごドアの戸開方向の動きに連動して、乗り場ドア3a,3bも戸開方向に移動する。戸閉時は、かごドアの戸閉方向の動きに連動して、乗り場ドア3a,3bも戸閉方向に移動する。
【0019】
出入口DWの上側には、乗客から通常見えない箇所に位置して、上側ガイドレール部材10がドア開閉方向に設けられている。上側ガイドレール部材10には、複数の(この例では2個の)ハンガーローラ9がローラ8を介して摺動可能に設けられている。一方のハンガーローラ9は高速ドア3aを吊下しており、他方のハンガーローラ9は低速ドア3bを吊下している。
【0020】
図3図5を用いて、ドア3a,3bのガイド構造を説明する。ドア3a,3bの下端側には、少なくともドアの開閉範囲の全体に延びるようにして、下側ガイドレール部材4a,4bが設けられている。各ドア3a,3bの裏面側壁部には、下側ガイドレール部材4a,4bを挿通するための切欠部2が上下方向に形成されている。
【0021】
一方のドア3aの下端側には、一方の下側ガイドレール部材4aが、一方のドア3aの開閉範囲La(図3参照)にわたって設けられている。一方の下側ガイドレール部材4aは、ドア3aの裏側の壁部に取付ブラケット7を介して取り付けられている。一方の開閉範囲Laは、例えば、ドア3aが戸当たり側出入口枠1aに当接する位置から、下側ガイドレール部材4aを支持するガイドローラ部材5aの設置位置までの領域である。
【0022】
他方のドア3bの下端側には、他方の下側ガイドレール部材4bが、他方のドア3bの開閉範囲Lbにわたって設けられている。他方の下側ガイドレール部材4bも、ドア3bの裏側の壁部に取付ブラケット7を介して取り付けられている。他方の開閉範囲Lbは、例えば、出入口DWの幅寸法の略中間点から、下側ガイドレール部材4bを支持するガイドローラ部材5bの設定位置までの領域である。
【0023】
乗り場の敷居6の上面には、戸袋側に位置して、ガイドローラ部材5a,5bが設けられている。そこで、図4および図5を参照して、ガイドローラ部材5a,5bの構成を説明する。図5では一方のガイドローラ部材5aのみを拡大して示すが、各ガイドローラ部材5a,5bは同一構成である。以下、一方のガイドローラ部材5aを中心に説明するが、他方のガイドローラ部材5bについても同様である。
【0024】
図5に示すように、ガイドローラ部材5aは、敷居6の上面にボルトまたは溶接などの固定手段を用いて固定されており、対向する側壁部5a1,5a2と、ストッパ5a3と、回転軸5cと、ローラ5dを備える。
【0025】
ガイドローラ部材5aは、下側ガイドレール部材4aの幅寸法W4よりも若干広い寸法で対向する側壁部5a1,5a2と、各側壁部5a1,5a2の上端側を接続するストッパ5a3とから、断面が鍔付の帽子状に形成されている。各側壁部5a1,5a2の間には、回転軸5cが取り付けられており、回転軸5cにはローラ5dが回転可能に取り付けられている。断面が鍔無しの帽子状に形成された下側ガイドレール部材4aは、その戸袋側に位置する端部がローラ5dを上側から覆うようにして取り付けられている。ローラ5dは、下側ガイドレール部材4aの移動に追従して回転しながら、下側ガイドレール部材4aを下側から支持する。
【0026】
つまり、下側ガイドレール部材4aの両側部の下端は、敷居6の上面から所定寸法hだけ上方に離間している。下側ガイドレール部材4aは、敷居6の上方に位置してドア3aの下端に固定されており、ドア3aと一緒に移動する。
【0027】
ストッパ5a3は、下側ガイドレール部材4aの端部が上側に所定量以上変位するのを規制するためのものである。下側ガイドレール部材4aの戸当たり側の端部は、取付ブラケット7を介してドア3aの裏面側の壁部に固定されており、下側ガイドレール部材4aの戸袋側の端部は自由端になっている。しかし、戸袋側の端部の上方への変位は、ガイドローラ部材5aのストッパ5a3によって規制されている。
【0028】
ここで各部材の幅寸法の関係を説明する。ドア3aの厚さ寸法をW1とすると、切欠部2の形成される幅寸法、つまり、下側のガイド構造が配置される取付空間の幅寸法W2は、板の厚み分だけW1よりも小さい(W1>W2)。ガイドローラ部材5aのストッパ5a3の幅寸法W3は、取付空間W2よりもやや小さい(W1>W2>W3)。下側ガイドレール部材4aの幅寸法W4は、ガイドローラ部材5aの各側壁部5a1,5a2間の離間寸法よりやや小さい。ガイドローラ部材5aの幅寸法は、下側ガイドレール部材4aが円滑に摺動できるように形成される。ガイドローラ部材5aの各側壁部5a1,5a2を、例えば自己潤滑性樹脂材料などでコーティングしてもよい。下側ガイドレール部材4aおよびガイドローラ部材5aの幅寸法をできるだけ大きくすることで、ドア3aがかご側と乗り場側との間で揺動するのを抑制することができる。
【0029】
このように、本実施例では、各ドア3a,3bの下端側と乗り場の敷居6とを、ガイドレール部材4a,4bおよびガイドローラ部材5a,5bを介して接続することで、各ドア3a,3bを下側で安定してガイドすることができる。従って、本実施例では、敷居6の上面に溝を形成したり、ガイドレールを敷設したりする必要がなく、ユーザが溝またはガイドレールに躓いたりすることがない。また、溝を形成する必要がないため、敷居6の製造コストを低減できると共に、溝に塵埃、異物などが蓄積することもない。
【0030】
さらに、本実施例では、各ドア3a,3bの下端側に少なくともドアの開閉方向の全体にわたって下側ガイドレール部材4a,4bを設けるため、ドア3a,3bの戸閉時に、ドア3a,3bをしっかりと支持することができる。特に、本実施例のように、複数のドアを連動して同一方向に移動させる、いわゆる2枚戸片開き式のドア装置の場合は、ストローク(ドアの開閉範囲)が長くなるため、揺動が大きくなりやすい。しかし、本実施例では、ドア3a,3bの開閉方向の全体を下側から支持できるため、部分的に下側を支持する従来技術に比べて、揺動を効果的に抑制することができる。
【実施例2】
【0031】
図6および図7を用いて第2実施例を説明する。本実施例では、第1実施例で述べたガイド構造を、2枚のドアが中央から左右に開閉する形式のドア装置に適用する。図6は、かご側から見た戸閉時の乗り場ドア12の一部を拡大して示す正面図である。図7は、戸開時の状態を示す。
【0032】
出入口DWの両側には、乗り場側出入口枠11が設けられており、2枚のドア12が出入口DWの中央で開閉するようになっている。各ドア14の下端側には、下側ガイドレール部材14が取付ブラケット7によって取り付けられている。
【0033】
乗り場の敷居13の上面には、戸袋内に位置して、ガイドローラ部材5aが固定されている。ガイドローラ部材5aと下側ガイドレール部材14の構造および関係は、第1実施例で述べたガイドローラ部材5a,5bと下側ガイドレール部材4a,4bの構造および関係と基本的に同一である。
【0034】
このように構成される本実施例も第1実施例と同様の作用効果を奏する。さらに、本実施例では、各ドアが出入口DWの中央から左右に開くドア装置に適用しているため、ドアの開閉範囲(ストローク)は短い。従って、ドア12の揺動がもともと小さいため、下側ガイドレール部材14およびガイドローラ部材5aによってさらに効果的にドア12の揺動を抑制しつつ下側からガイドすることができる。
【0035】
なお、本発明は、上述した実施例に限定されない。当業者であれば、本発明の範囲内で、種々の追加や変更等を行うことができる。
【符号の説明】
【0036】
1a,1b,11:出入口枠、8:ローラ、9:ハンガーローラ、10:上側ガイドレール部材、2:切欠部、3a,3b,12:ドア、4a,4b,14:下側ガイドレール部材、5a,5b:ガイドローラ部材、6,13:敷居、7:取付ブラケット、5a1,5a2:側壁部、5a3:ストッパ、5c:回転軸、5d:ローラ、DW:出入口
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7