特許第5836234号(P5836234)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5836234
(24)【登録日】2015年11月13日
(45)【発行日】2015年12月24日
(54)【発明の名称】ランマの転倒検出装置
(51)【国際特許分類】
   F02B 65/00 20060101AFI20151203BHJP
【FI】
   F02B65/00 F
【請求項の数】2
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2012-207469(P2012-207469)
(22)【出願日】2012年9月20日
(65)【公開番号】特開2014-62485(P2014-62485A)
(43)【公開日】2014年4月10日
【審査請求日】2014年11月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100081972
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 豊
(72)【発明者】
【氏名】福島 康平
(72)【発明者】
【氏名】竹重 隆正
(72)【発明者】
【氏名】松原 泰則
【審査官】 佐藤 健一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−226319(JP,A)
【文献】 国際公開第2009/095986(WO,A1)
【文献】 特表2002−521609(JP,A)
【文献】 実開昭59−040573(JP,U)
【文献】 実開平03−021544(JP,U)
【文献】 特開2005−337148(JP,A)
【文献】 特開2010−013076(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02B 63/00
F02B 65/00
E01C 19/30 −34
E02D 3/046−074
DWPI(Thomson Innovation)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンに接続されて回転する出力軸が収容されるクランクケースと、前記出力軸の回転を可動部材の重力方向における上下動に変換する変換機構が収容される可動部と、前記可動部に接続される整地板と、操作者が操作自在なハンドルとを備え、前記可動部材の上下動の衝撃力によって前記整地板で接地面を締め固めるようにしたランマの転倒検出装置において、前記エンジンの回転数を検出する回転数検出手段と、前記エンジンがアイドル回転数を超えるランマ作業回転数で運転されているとき、前記検出されたエンジンの回転数が前記アイドル回転数未満の値に設定されるしきい値以下に減少したか否か判断し、前記検出されたエンジンの回転数が前記しきい値以下に減少したと判断されるとき、前記ランマが転倒したと判定するランマ転倒判定手段と、前記ランマが転倒したと判定されるとき、前記エンジンを停止させるエンジン停止手段とを備えたことを特徴とするランマの転倒検出装置。
【請求項2】
前記ランマ転倒判定手段は、前記検出されたエンジンの回転数が、前記しきい値以下に減少、かつ、作業時のランマ作業回転数から所定回転数以上減少したか否か判断し、前記検出されたエンジンの回転数が前記しきい値以下に減少、かつ、前記作業時のランマ作業回転数から前記所定回転数以上減少したと判断されるとき、前記ランマが転倒したと判定することを特徴とする請求項1記載のランマの転倒検出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明はランマの転倒検出装置に関し、より詳しくは建設作業で使用されるランマの転倒を検出してエンジンを停止させるようにした装置に関する。
【背景技術】
【0002】
建設作業機械の一種として、エンジンに接続されて回転する出力軸の回転を可動部材の重力方向における上下動に変換する変換機構が収容される可動部と、それに接続される整地板と、操作者が操作自在なハンドルを備え、可動部材の上下動の衝撃力によって整地板で接地面を締め固めるようにしたランマは、良く知られている。
【0003】
ランマは操作者がハンドルを操作しつつ可動部材の上下動の衝撃力によって接地面を締め固めるようにしていることから、その転倒を迅速に検出してエンジンを停止させることが望ましい。そのため、特許文献1記載の技術において、圧力センサを用いてエンジンのオイルポンプの吐出口からオイルが吐出されているか否か検出し、吐出されないとき、ランマが転倒したと判定してエンジンを停止させることが提案される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011−226319号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1記載の技術は上記のように構成することでランマの転倒を検出してエンジンを停止させているが、転倒の検知に圧力センサからなる専用のセンサを必要とするため、構成が複雑となる不都合があった。また、振動や傾斜による通常使用時のオイルの圧力変化を転倒と誤認しないように、転倒の検出からエンジン停止までに時間がかかる不都合もあった。
【0006】
従って、この発明の目的は上記した課題を解決し、専用のセンサを必要とすることなく、迅速にランマの転倒を検出してエンジンを停止させるようにしたランマの転倒検出装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記した課題を解決するために、請求項1にあっては、エンジンに接続されて回転する出力軸が収容されるクランクケースと、前記出力軸の回転を可動部材の重力方向における上下動に変換する変換機構が収容される可動部と、前記可動部に接続される整地板と、操作者が操作自在なハンドルとを備え、前記可動部材の上下動の衝撃力によって前記整地板で接地面を締め固めるようにしたランマの転倒検出装置において、前記エンジンの回転数を検出する回転数検出手段と、前記エンジンがアイドル回転数を超えるランマ作業回転数で運転されているとき、前記検出されたエンジンの回転数が前記アイドル回転数未満の値に設定されるしきい値以下に減少したか否か判断し、前記検出されたエンジンの回転数が前記しきい値以下に減少したと判断されるとき、前記ランマが転倒したと判定するランマ転倒判定手段と、前記ランマが転倒したと判定されるとき、前記エンジンを停止させるエンジン停止手段とを備える如く構成した。
【0008】
請求項2に係るランマの転倒検出装置にあっては、前記ランマ転倒判定手段は、前記検出されたエンジンの回転数が、前記しきい値以下に減少、かつ、作業時のランマ作業回転数から所定回転数以上減少したか否か判断し、前記検出されたエンジンの回転数が前記しきい値以下に減少、かつ、前記作業時のランマ作業回転数から前記所定回転数以上減少したと判断されるとき、前記ランマが転倒したと判定する如く構成した。
【発明の効果】
【0009】
請求項1に係るランマの転倒検出装置にあっては、エンジンの回転数を検出し、エンジンがアイドル回転数を超えるランマ作業回転数で運転されているとき、検出されたエンジンの回転数がアイドル回転数未満の値に設定されるしきい値以下に減少したか否か判断し、しきい値以下に減少したと判断されるとき、ランマが転倒したと判定すると共に、エンジンを停止させる如く構成したので、専用のセンサを必要とすることなく、迅速かつ精度良くランマの転倒を検出してエンジンを停止させることができる。
【0010】
即ち、発明者達は、ランマが転倒すると、エンジンの回転数がランマ作業回転数からアイドル回転数未満の値に設定されるしきい値以下に急減速することを見出してこの発明をなしたものである。転倒直後にエンジン回転数が急減速するのは、可動部の運動によってハンドルを軸として整地板が接地面を蹴るため、その負荷によるものと考えられる。
【0011】
エンジンの回転数はエンジンの制御に使用される既存のセンサで検出可能であることから専用のセンサを必要とする不都合がないと共に、上記した知見に基づき、検出された回転数がアイドル回転数未満の値に設定されるしきい値以下に減少したと判断されるとき、ランマが転倒したと判定してエンジンを停止させるように構成したので、ランマの転倒を迅速かつ精度良く検出することができてエンジンを迅速に停止させることができる。
【0012】
また、エンジンがアイドル回転数を超えるランマ作業回転数で運転されているとき、エンジンの回転数がしきい値以下に減少したか否か判断することでランマの転倒を判定するようにしたので、アイドル運転時にメンテナンスなどのために操作者が故意にランマを横倒した場合、転倒と誤判定されてエンジンが停止されることがないので、エンジンを再始動するなどの不要な手間が生じることがない。
【0013】
請求項2に係るランマの転倒検出装置にあっては、検出されたエンジンの回転数が、しきい値以下に減少、かつ、作業時のランマ作業回転数から所定回転数以上減少したか否か判断し、しきい値以下に減少、かつ、作業時のランマ作業回転数から所定回転数以上減少したと判断されるとき、ランマが転倒したと判定する如く構成したので、即ち、発明者達は、ランマが転倒すると、エンジンの回転数がランマ作業回転数からアイドル回転数未満の値に設定されるしきい値以下に所定回転数以上急減速することを見出してこの発明をなしたので、上記した効果に加え、ランマの転倒を一層確実に判定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】この発明の第1実施例に係るランマの転倒検出装置が前提とするランマの側面図である。
図2図1に示すランマの上面図である。
図3図1に示すランマの(部分)正面図である。
図4図1に示すECUの動作を示すブロック図である。
図5】第1実施例に係る装置の動作を示すフロー・チャートである。
図6図5の動作を説明する、発明者達の実験データを示すタイム・チャートである。
図7図1に示すランマが転倒したときの挙動を示す説明図である。
図8】この発明の第2実施例に係る装置の動作を示すフロー・チャートである。
図9図8の動作を説明する、発明者達の実験データを示すタイム・チャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、添付図面に即してこの発明に係るランマの転倒検出装置を実施するための形態について説明する。
【実施例1】
【0016】
図1はこの発明の第1実施例に係るランマの転倒検出装置が前提とするランマの側面図、図2はそのランマの上面図、図3はそのランマの(部分)正面図である。
【0017】
図1において、符号10はランマを示す。ランマ10はエンジン12を備え、そのクランク軸(図示せず)に接続されて回転する出力軸(図示せず)が収容されるクランクケース10aと、出力軸の回転を可動部材の重力方向における上下動に変換する変換機構(図示せず)が収容される可動部10bと、可動部10bに接続される整地板10cと、操作者Pが操作自在なハンドル10dとを備える。
【0018】
図示は省略するが、ランマ10において、エンジン12のクランク軸に接続されて回転する出力軸は、変換機構によってピストンロッドなどの可動部材の上下動(往復直線運動)に変換される。可動部材はピストンロッドに接続されるピストンとバネが配置される内筒とそれに嵌合される外筒からなる振動伝達部材を介して整地板10cに接続される。
【0019】
かかる構成によって、ランマ10は可動部材の上下動、より具体的にはエンジン12の爆発(燃焼)によって重力方向において上方に跳ね上がり、次いで自然落下するときの衝撃力によって整地板10cで接地面100を締め固めるように構成される。
【0020】
エンジン12は空冷式の4サイクル単気筒OHV型でガソリンを燃料とし、例えば100cc程度の排気量を有し、農業、建設などの産業用小型作業機の動力源として使用される汎用内燃機関からなる。
【0021】
図3に良く示す如く、エンジン12のシリンダブロック14の内部に形成されたシリンダ(気筒)16には、ピストン20が往復動自在に収容される。シリンダブロック14は上方でシリンダヘッド22が取り付けられてピストン20の頂部との間に燃焼室24が形成される一方、下方でクランクケース26が取り付けられ、その内部にはクランク軸30が回転自在に収容される。クランク軸30はピストン20にコンロッド32を介して連結される。
【0022】
エアクリーナ(図示せず)から吸入された吸気は吸気管(図示せず)を流れ、燃料供給管を介して燃料タンク34に接続されるキャブレタ(図示せず)から燃料を噴霧されて混合気が生成される。生成される混合気はスロットルバルブ(図示せず)で流量を調整され、吸気バルブ(図示せず)が開かれるとき、燃焼室24に流入する。
【0023】
燃焼室24に流入した混合気は、点火プラグ36で点火されて燃焼してピストン20を駆動する。燃焼によって生じた排ガスは排気バルブ(図示せず)が開かれるとき、排気管(図示せず)を流れて外部に放出される。
【0024】
クランク軸30の一端はランマ10の出力軸に接続されると共に、他端にはフライホイール(図示せず)が取り付けられる。フライホイールの外側にはカバー40が取り付けられると共に、その付近には操作者の操作自在にリコイルスタータ42が設けられる。
【0025】
また、フライホイールの外側位置においてクランクケース26にはパルサコイル44が取り付けられる。パルサコイル44は、フライホイールの表面側に取り付けられた1個のマグネットと相対回転してその磁束と交錯することで、上死点付近の所定のクランク角度でクランク軸30の1回転当たり(360度当たり)1個の出力を生じる。
【0026】
また、クランクケース26の内側位置には発電コイル(図示せず)が取り付けられ、フライホイールの裏面側に取り付けられた複数個のマグネットとの相対回転に伴って起電力を生じるACG(交流発電機)として機能する。
【0027】
エンジン12のハウジング46上の適宜位置には操作者(ユーザ)に操作自在にスロットルレバー50(図2に示す)が配置される。スロットルレバー50はスロットルバルブにケーブル52などを介して接続され、操作者の操作に応じてスロットル開度がアイドル回転数(例えば1800rpm)に相当する全閉位置、またはランマ作業回転数(例えば3600rpm)に相当する全開位置となるようにスロットルバルブを駆動する。
【0028】
また、ハウジング46上の適宜位置には操作者に操作自在なメインスイッチ56が配置される。メインスイッチ56は操作者によってオフ位置に操作されるとき、点火コイルのエネルギラインをアースさせることでエンジン12を停止させ、ランマ10も停止させる。
【0029】
パルサコイル44の出力はECU(Electronic Control Unit。電子制御ユニット)70に送られる。
【0030】
図4はECU70の動作を示すブロック図である。
【0031】
図示の如く、ECU70は、エンジン回転数検出部70aと、ランマ転倒判定部70bと、点火信号オン/オフ部70cを備える。
【0032】
エンジン回転数検出部70aは、パルサコイル44の出力を入力し、入力された出力の時間間隔を計測(カウントしてエンジン12の回転数を検出して出力する。
【0033】
ランマ転倒判定部70bはエンジン回転数検出部70aの出力を入力し、エンジン回転数検出部70aで検出されたエンジン回転数に基づいてランマ10の転倒の有無を判定し、転倒と判定されるとき、点火信号オン/オフ部70cを介して点火信号をオフにさせ、点火プラグ36への通電を停止(点火を停止)する。
【0034】
図5はECU70のランマ転倒判定部70bの動作を詳細に示す(この実施例に係る装置の動作を示す)フロー・チャート、図6図5の動作を説明する、発明者達の実験データを示すタイム・チャート、図7は転倒したランマの挙動を示す説明図である。
【0035】
図5フロー・チャートに示す処理は、図6タイム・チャートにおいて操作者によってリコイルスタータ42が操作されてエンジン12が始動された時刻t1で開始する。
【0036】
以下説明すると、S10においてエンジン回転数を検出する。これは図4のエンジン回転数検出部70aの出力を読み込むことで行う。
【0037】
次いでS12に進み、検出されたエンジン回転数から、エンジン12がアイドル回転数(例えば1800rpm)を超えるランマ作業回転数(例えば3600rpm)で運転されているか否か判断する。
【0038】
図6に示す如く、時刻t1で操作者によってエンジン12が始動された後、適宜な時刻、例えば時刻t2でスロットルレバー50が操作されてスロットル開度がアイドル回転数(例えば1800rpm)に相当する全閉位置からランマ作業回転数(例えば3600rpm)に相当する全開位置となるように指示された筈であることから、エンジン回転数がその回転数にあるか否か判断する。
【0039】
S12で否定されるときはS10に戻る一方、肯定されるときはS14に進み、検出されたエンジン回転数がしきい値以下か(しきい値以下に減少したか)否か判断する。しきい値はアイドル回転数(例えば1800rpm)未満の値(例えば1500rpm)に設定される。
【0040】
S14で否定されるときはS10に戻る一方、肯定されてエンジン回転数がしきい値以下に減少したと判断されるときはS16に進み、操作者によってハンドル10dが把持されて動作していた筈のランマ10が操作者の手を離れて転倒したと判定し、S18に進み、点火スイッチ62を開放することでエンジン12の点火を中止し、エンジン12を停止させる。
【0041】
S14で肯定されるとき、ランマ10が転倒したと判定するのは、先に述べた通り、ランマ10が転倒すると、図6タイム・チャートの時刻t3に示す如く、エンジン回転数がランマ作業回転数(例えば3600rpm)からアイドル回転数(例えば1800rpm)未満に設定されるしきい値(例えば1500rpm)以下に急減速することを発明者達が見出してこの発明をなしたからである。
【0042】
転倒直後にエンジン回転数が急速に減少するのは、図7に示す如く、ランマ10の可動部10bの運動によってハンドル10dを軸として整地板10cが接地面100を蹴るため、その負荷によるものと考えられる。発明者達が知見した限り、ランマ10はこの後、矢印で示す方向に移動し、エンジン12が停止されて移動を中止した。
【0043】
尚、図6タイム・チャートに示す如く、エンジン回転数は時刻t3でしきい値以下に減少し、次いでランマ作業回転数に向けて増加し、反転して再びしきい値に向けて減少する挙動を繰り返し、時刻t4で点火が中止され、時刻t5でエンジンが停止されて終了した。
【0044】
第1実施例に係るランマの転倒検出装置にあっては上記のように構成したので、エンジン回転数はエンジン12の制御に使用される既存のセンサで検出可能であることから専用のセンサを必要とする不都合がないと共に、検出されたエンジン回転数がアイドル回転数未満に設定されるしきい値以下に減少したと判断されるとき、ランマ10が転倒したと判定してエンジン12を停止させるように構成したので、ランマ10の転倒を迅速かつ精度良く検出してエンジン12を迅速に停止させることができる。
【0045】
また、エンジン12がアイドル回転数を超えるランマ作業回転数で運転されているとき、エンジン回転数がしきい値以下に減少したか否か判断することでランマ10の転倒を判定するようにしたので、アイドル運転時にメンテナンスなどのために操作者が故意にランマ10を横倒した場合、転倒と誤判定されてエンジン12が停止されることがないので、エンジン12を再始動するなどの不要な手間が生じることがない。
【実施例2】
【0046】
図8はこの発明の第2実施例に係るランマの転倒検出装置の動作を示す、図5と同様のフロー・チャート、図9図8の動作を説明する、図6と同様の発明者達の実験データを示すタイム・チャートである。
【0047】
第2実施例の動作も第1実施例と同様であり、以下説明すると、S100においてエンジン回転数を検出し、S102に進み、検出されたエンジン回転数から、エンジン12がアイドル回転数を超えるランマ作業回転数で運転されているか否か判断する。
【0048】
S102で否定されるときはS100に戻る一方、肯定されるときはS104に進み、検出された、より正確には今回検出されたエンジン回転数(例えば1500rpm)がしきい値(第1実施例と同一の値。例えば1500rpm)以下か判断する。
【0049】
S104で否定されるときはS100に戻る一方、肯定されてエンジン回転数がしきい値以下に減少したと判断されるときはS106に進み、前回検出されたランマ作業回転数(例えば3600rpm)から今回検出された回転数(しきい値相当の1500rpm)の差が所定回転数(例えば2100rpm)以上か否か判断する。尚、「今回」「前回」は図8フロー・チャートの実行時期を意味する。
【0050】
S106で否定されるときはS100に戻る一方、肯定されるときはS108に進み、ランマ10が転倒したと判定し、S110に進み、エンジン12の点火を中止してエンジン12を停止させる。
【0051】
S106で肯定されるとき、ランマ10が転倒したと判定するのは、発明者達が知見した限り、ランマ10が転倒すると、図9タイム・チャートの時刻t3に示す如く、前回検出されたエンジン回転数(ランマ作業回転数。例えば3600rpm)と今回検出されたエンジン回転数(しきい値。例えば15000rpm)の差が所定回転数(例えば2100rpm)以上、換言すれば検出されたエンジン回転数が所定回転数以上(換言すれば所定回転数にわたってあるいは所定回転数だけ)、低下してしきい値以下に減少することを見出してこの発明をなしたからである。
【0052】
尚、図9タイム・チャートに示す残余の処理は第1実施例と異ならない。
【0053】
第2実施例に係るランマの転倒検出装置にあっては上記のように構成したので、エンジン回転数はエンジン12の制御に使用される既存のセンサで検出可能であることから専用のセンサを必要とする不都合がないと共に、検出されたエンジン回転数がアイドル回転数未満に設定されるしきい値以下に減少、かつ、作業時のランマ作業回転数から所定回転数以上減少したと判断されるとき、ランマ10が転倒したと判定してエンジン12を停止させるように構成したので、ランマ10の転倒を一層確実に判定することができる。
【0054】
上記した如く、第1、第2実施例にあっては、エンジン12に接続されて回転する出力軸が収容されるクランクケース10aと、前記出力軸の回転を可動部材の重力方向における上下動に変換する変換機構が収容される可動部10bと、前記可動部に接続される整地板10cと、操作者Pが操作自在なハンドル10dとを備え、前記可動部材の上下動の衝撃力によって前記整地板10cで接地面100を締め固めるようにしたランマ10の転倒検出装置(ECU70)において、前記エンジン12の回転数を検出する回転数検出手段(エンジン回転数検出部70a,S10,S100)と、前記エンジン12がアイドル回転数(例えば1800rpm)を超えるランマ作業回転数(例えば3600rpm)で運転されているとき、前記検出されたエンジン12の回転数(エンジン回転数)が前記アイドル回転数未満の値に設定されるしきい値(例えば1500rpm)以下に減少したか否か判断し、前記検出されたエンジンの回転数が前記しきい値以下に減少したと判断されるとき、前記ランマ10が転倒したと判定するランマ転倒判定手段(ランマ転倒判定部70b,S12,S14,S16,S102,S104,S106,S108)と、前記ランマ10が転倒したと判定されるとき、前記エンジン12を停止させるエンジン停止手段(S18,S110)とを備える如く構成したので、専用のセンサを必要とすることなく、迅速にランマ10の転倒を検出してエンジンを停止させることができる。
【0055】
即ち、発明者達は、ランマ10が転倒すると、エンジン12の回転数がランマ作業回転数からアイドル回転数未満の値に設定されるしきい値以下に急減速することを見出してこの発明をなしたものである。転倒直後にエンジン回転数が急減速するのは、ランマ10の可動部10bの運動によってハンドル10dを軸として整地板10cが接地面100を蹴るため、その負荷によるものと考えられる。
【0056】
エンジン12の回転数はエンジン12の点火時期などの通常の制御に使用される既存のセンサで検出可能であることから専用のセンサを必要とする不都合がないと共に、上記した知見に基づき、検出された回転数がアイドル回転数未満の値に設定されるしきい値以下に減少したと判断されるとき、ランマ10が転倒したと判定してエンジン12を停止させるように構成したので、ランマ10の転倒を迅速かつ精度良く検出することができてエンジン12を迅速に停止させることができる。
【0057】
また、エンジン12がアイドル回転数を超えるランマ作業回転数で運転されているとき、エンジン12の回転数がしきい値以下に減少したか否か判断することでランマ10の転倒を判定するようにしたので、アイドル運転時にメンテナンスなどのために操作者が故意にランマ10を横倒した場合、転倒と誤判定されてエンジンが停止されることがないので、エンジン12を再始動するなどの不要な手間が生じることがない。
【0058】
また、前記ランマ転倒判定手段(ランマ停止判定部70b)は、前記検出されたエンジン12の回転数が、前記しきい値(例えば1500rpm)以下に減少、かつ、作業時のランマ作業回転数(例えば3600rpm)から所定回転数(例えば2100rpm)以上減少したか否か判断し、前記検出されたエンジンの回転数が前記しきい値以下に減少、かつ、前記作業時のランマ作業回転数から前記所定回転数以上減少したと判断されるとき、前記ランマが転倒したと判定する(S104,S106)如く構成したので、即ち、発明者達は、ランマ10が転倒すると、エンジン12の回転数がランマ作業回転数(例えば3600rpm)からアイドル回転数未満の値に設定されるしきい値(例えば1500rpm)以下に所定回転数(例えば2100rpm)以上急減速することを見出してこの発明をなしたので、上記した効果に加え、ランマ10の転倒を一層確実に判定することができる。
【0059】
尚、上記において、ランマ10の構造は図示例に止まるものではなく、可動部材の上下動に変換する変換機構が収容される可動部と整地板を備える限り、この発明は妥当するものである。
【0060】
また、アイドル回転数、ランマ作業回転数、しきい値などとして具体的な回転数の値を記載したが、それらは例示であることはいうまでもない。
【符号の説明】
【0061】
10 ランマ、10a クランクケース、10b 可動部、10c 整地板、10d ハンドル、12 エンジン(内燃機関)、20 ピストン、24 燃焼室、30 クランク軸、36 点火プラグ、42 リコイルスタータ、44 パルサコイル、50 スロットルレバー、56 メインスイッチ、70 ECU(電子制御ユニット)、70a エンジン回転数検出部、70b ランマ転倒判定部、70c 点火信号オン/オフ部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9