(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
バッテリの電力により動作し注文情報を無線送信する情報端末と、この情報端末から無線送信される注文情報を受付ける注文受付装置とからなる情報処理システムにおいて、
前記情報端末は、
前記バッテリの電圧を検出する検出手段と、
前記注文受付装置から定期的に送信される確認信号を受けたとき、前記検出手段の検出電圧が設定値以上であれば、当該情報端末の識別情報が含まれる応答信号を前記注文受付装置に送信し、前記検出手段の検出電圧が設定値未満であれば、当該情報端末の識別情報と前記確認信号の送信間隔を拡大させるための情報とが含まれる応答信号を前記注文受付装置に送信する制御手段と、
を備えることを特徴とする情報処理システム。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、この発明の一実施形態について図面を参照して説明する。
図1において、1は飲食店等で顧客の注文情報を無線送信する手持式の情報端末いわゆるハンディターミナルで、基体部10とその基体部10にヒンジ2,3を介して開閉自在に連結された蓋体部20とで構成される。
【0011】
使用時は、図示のように蓋体部20を開くことにより、基体部10の内側の操作面であるタッチパネル式の液晶表示部11、および蓋体部20の内側の操作面であるタッチパネル式の液晶表示部21が露出する。非使用時は、蓋体部20を閉じて、係員のポケットなどに収容することができる。
このハンディターミナル1は、注文を受ける店員の人数や店舗の規模などに応じた複数台が用意される。
【0012】
基体部10の液晶表示部11は、情報入力用の操作手段として機能するもので、商品名の文字、商品の図形、商品の絵文字など多数の操作パターン11aを縦横に配列した操作パターン表示領域、および数値や文字などのキーパターンを縦横に配列したキー表示領域11bを表示する。また、液晶表示部11は、最上部に、後述のオーダーステーション40から送信される電波の受信強度をアナログ的に表わす受信電波強度表示パターン11c、および後述のバッテリ16の蓄電量をアナログ的に表わすバッテリ残量表示パターン11dを表示する。
【0013】
蓋体部20の液晶表示部21も、情報入力用の操作手段として機能するもので、商品名の文字、商品の図形、商品の絵文字など多数の操作パターン21aを縦横に配列した操作パターン表示領域を全面において表示する。
【0014】
基体部10の液晶表示部11は、基体部10を左手で持ちながら蓋体部20を右方向に開くことにより露出し、右手指でタッチ操作することができる。蓋体部20の液晶表示部21も、同様に、右手指でタッチ操作することができる。
【0015】
基体部10の長手方向に沿う側面部に、複数の操作キーたとえば上向きシフトキー12、下向きシフトキー13、および円形のエンターキー14が配置される。エンターキー14は、データ入力したオーダーの例えば確定キーとして用いるもので、基体部10を左手で持ちながら、左手の親指により押圧操作することができる。上向きシフトキー12および下向きシフトキー13も、同様に、基体部10が左手で持ちながら、左手の親指により押圧操作することができる。
【0016】
図2に示すように、基体部10の裏面の下部に、バッテリパック15が面一状態で嵌め込み装着される。バッテリパック15は、当該ハンディターミナル1の動作に必要な電力を蓄えるバッテリ16を内蔵している。
【0017】
このバッテリパック15を基体部10から取り外して専用の充電器にセットすることにより、そのバッテリパック15内のバッテリ16が充電される。そして、充電が完了したバッテリパック15を充電器から外して基体部10の上記装着位置に嵌め込むことにより、ハンディターミナル1の電源が投入される。
【0018】
ハンディターミナル1の制御回路、およびハンディターミナル1との無線通信を行う外部機器の制御回路を
図3に示す。
ハンディターミナル1における基体部10の回路基板上に、マイクロコンピュータのCPU100が搭載される。このCPU100に、タッチパネル101、LCD表示モジュール102、無線通信部103、ROM104、RAM105、電圧検出部106、上向きシフトキー12、下向きシフトキー13、およびエンターキー14が接続される。
【0019】
タッチパネル101およびLCD表示モジュール102により、基体部10におけるタッチパネル式の液晶表示部11が構成される。各種操作パターンや各種操作キーの画像がLCD表示モジュール102で表示され、それがタッチパネル101上に透過表示される。
【0020】
無線通信部103は、アンテナ103aを付属して備え、CPU100から供給される情報や信号を通信ネットワークたとえばLAN(ローカル・エリア・ネットワーク)30を介して外部機器に無線送信するとともに、外部機器から無線送信される情報や信号をLAN30を介して受信してCPU100に供給する。
【0021】
ROM104は、オペレーティングシステム(OS)、注文受付処理に必要なアプリケーションプログラム、および文字・図形・絵文字などの各種表示用パターンデータを記憶している。RAM105は、CPU100の処理の実行に伴い生じる各種データを記憶する。
【0022】
電圧検出部106は、基体部10に装着されるバッテリパック15内のバッテリ16の電圧Vを検出する。
【0023】
また、ハンディターミナル1における蓋体部20の回路基板に、タッチパネル201およびLCD表示モジュール202が搭載される。これらタッチパネル201およびLCD表示モジュール202は、折れ曲がり自在な配線ケーブルを介して基体部10のCPU100に接続される。
【0024】
タッチパネル201およびLCD表示モジュール202により、蓋体部20におけるタッチパネル式の液晶表示部21が構成される。各種操作パターンの画像がLCD表示モジュール202で表示され、それがタッチパネル201上に透過表示される。
【0025】
ハンディターミナル1との無線通信を行う外部機器として、ハンディターミナル1から無線送信される注文情報を受付ける注文受付装置いわゆるオーダーステーション40が厨房などに設置される。そして、このハンディターミナル1およびオーダーステーション40により、商品の注文受付処理を実行する情報処理システムが構成される。
【0026】
オーダーステーション40は、注文受付処理を実行するCPU41を有する。このCPU41に、無線通信部42、操作部43、表示部44が接続される。無線通信部42は、CPU41から供給される信号をLAN30を介してハンディターミナル1に無線送信するとともに、ハンディターミナル1から無線送信される信号をLAN30を介して受信してCPU41に供給する。
【0027】
そして、ハンディターミナル1のCPU100は、ROM104内のプログラムに基づく主要な機能として、次の(1)〜(6)の手段を有する。
(1)液晶表示部11,21へのタッチ操作および上向きシフトキー12、下向きシフトキー13、エンターキー14の操作に応じて入力される注文情報を、無線通信部103を介してオーダーステーション40に送信する第1制御手段。
【0028】
(2)電圧検出部106の検出電圧Vの値を液晶表示部11のバッテリ残量表示パターン11dにより大まかに表示する第2制御手段。
【0029】
(3)電圧検出部106の検出電圧Vが予め定められた設定値V2以上のとき(V≧V2)、液晶表示部11,21の表示画面の明るさを通常レベルに設定する第3制御手段。設定値V2は、バッテリ16の満充電電圧の例えば1/2の値である。
【0030】
(4)電圧検出部106の検出電圧Vが設定値V2未満のとき(V<V2)、液晶表示部11,21の表示画面の明るさを通常レベルよりも低減する第4制御手段。
【0031】
(5)オーダーステーション40から定期的に送信される確認信号を無線通信部103を介して受けたとき、電圧検出部106の検出電圧Vが設定値V1以上であれば(V≧V1)、当該ハンディターミナル1の識別情報たとえばアドレス情報(IPアドレス等)が含まれる応答信号を生成し、それを無線通信部103を介してオーダーステーション40に送信する第5制御手段。設定値V1は、設定値V2より低く、バッテリ16の満充電電圧の例えば1/4の値である。
【0032】
(6)オーダーステーション40から定期的に送信される確認信号を無線通信部103を介して受けたとき、電圧検出部106の検出電圧Vが設定値V1未満であれば(V<V1)、当該ハンディターミナル1の識別情報である上記アドレス情報と上記確認信号の送信間隔を拡大させるための情報とが含まれる応答信号を生成し、それを無線通信部103を介してオーダーステーション40に送信する第6制御手段。確認信号の送信間隔を拡大させるための情報とは、電圧検出部106の検出電圧Vが設定値V1未満であることを表わすバッテリ残量低下情報である。このバッテリ残量低下情報としては、少なくとも1ビットの情報であればよい。
【0033】
また、オーダーステーション40のCPU41は、内部メモリに記憶しているプログラムに基づく主要な機能として、次の(11)〜(14)の手段を有する。
【0034】
(11)ハンディターミナル1から送信される応答信号を無線通信部42を介して受けたとき、その応答信号に含まれるアドレス情報に基づいて送信元のハンディターミナル1を認識する認識手段。
【0035】
(12)上記認識したハンディターミナル1から送信される注文情報を無線通信部42を介して受けた場合に、その注文情報を受付けて表示部44で表示する第1制御手段。
【0036】
(13)ハンディターミナル1から送信される応答信号を無線通信部42を介して受けたとき、その応答信号にバッテリ残量低下情報が含まれていなければ、ハンディターミナル1が通信可能エリア内に存在することを確認するための確認信号を一定時間t1ごとに送信する第2制御手段。
【0037】
(14)ハンディターミナル1から送信される応答信号を無線通信部42を介して受けたとき、その応答信号にバッテリ残量低下情報が含まれていれば、ハンディターミナル1が通信可能エリア内に存在することを確認するための確認信号を上記一定時間t1より長い所定時間t2ごとに送信する第3制御手段。
【0038】
つぎに、ハンディターミナル1のCPU100が実行する制御を
図4のフローチャートを参照しながら説明する。
バッテリ16の蓄電量の残りがまだ半分以上あって、電圧検出部106の検出電圧Vが設定値V2以上であれば(ステップ301のYES)、CPU100は、液晶表示部11,21の表示画面の明るさを通常レベルに設定する(ステップ302)。
【0039】
バッテリ16の蓄電量の残りが半分未満となって、電圧検出部106の検出電圧Vが設定値V2未満に低下すると(ステップ301のNO)、CPU100は、液晶表示部11,21の表示画面の明るさを通常レベルより低いレベルに低減する(ステップ303)。この明るさ低減により、液晶表示部11,21の表示に要する電力の消費量が少なくなり、バッテリ16の蓄電量の減少を抑えることができる。
【0040】
なお、表示画面の明るさを低減する代わりに、CPU100の処理の基準となるクロック周波数を低減してもよい。この場合も、バッテリ16の蓄電量の減少を抑えることができる。表示画面の明るさ低減とクロック周波数の低減の両方を行ってもよい。
【0041】
また、CPU100は、オーダーステーション40から送信される確認信号を受けると(ステップ304のYES)、電圧検出部106の検出電圧Vが設定値V1以上であるか否かを判定する(ステップ305)。
【0042】
電圧検出部106の検出電圧Vが設定値V1以上であれば(ステップ305のYES)、CPU100は、
図5に示すように当該ハンディターミナル1のアドレス情報(IPアドレス等)のみ含まれる応答信号を生成し(ステップ306)、それをオーダーステーション40に送信する(ステップ307)。
【0043】
電圧検出部106の検出電圧Vが設定値V1未満であれば(ステップ305のNO)、CPU100は、
図6に示すように当該ハンディターミナル1のアドレス情報とバッテリ残量低下情報とが含まれる応答信号を生成し(ステップ308)、それをオーダーステーション40に送信する(ステップ307)。
【0044】
一方、オーダーステーション40のCPU41が実行する制御を
図7のフローチャートを参照しながら説明する。
CPU41は、タイムカウントtを実行し(ステップ401)、そのタイムカウントtと予め定められた設定時間tsとを比較する(ステップ402)。
【0045】
タイムカウントtが設定時間tsに達すると(ステップ402のYES)、CPU41は、通信可能エリア内のハンディターミナル1の存在を確認してそのハンディターミナル1との通信リンクを確立するべく確認信号を送信し(ステップ403)、これに伴いタイムカウントtをリセットする(ステップ404)。そして、CPU41は、ハンディターミナル1からの応答信号の受信を待つ(ステップ405)。
【0046】
CPU41は、ハンディターミナル1から送信された応答信号を受けると(ステップ405のYES)、その応答信号に含まれるアドレス情報に基づいて送信元のハンディターミナル1を認識する(ステップ406)。また、CPU41は、受けた応答信号にバッテリ残量低下情報が含まれているか否かを判定する(ステップ407)。
【0047】
バッテリ残量低下情報が含まれていなければ(ステップ407のNO)、CPU41は、確認信号の送信時間間隔である上記設定時間tsとして、通常制御用の一定時間t1を選定する(ステップ408)。一定時間t1は、例えば数秒である。
【0048】
バッテリ残量低下情報が含まれていれば(ステップ407のYES)、CPU41は、上記設定時間tsとして、一定時間t1より長い所定時間t2を選定する(ステップ409)。所定時間t2は、例えば1分乃至2分である。そして、CPU41は、通信中のハンディターミナル1のバッテリ16の蓄電量が残り少ない状況にある旨を、そのハンディターミナル1のアドレス情報と共に、表示部44の例えば文字表示により報知する(ステッ410)。
【0049】
確認信号の送信時間間隔である設定時間tsとして通常制御用の一定時間t1より長い所定時間t2を選定することにより、ハンディターミナル1において応答信号を生成し送信する処理の実行間隔が長くなる。つまり、応答信号を生成して送信する処理の実行頻度が少なくなる。これにより、ハンディターミナル1における制御回路の電力の消費量が減少し、その分だけ、バッテリ16の蓄電量の減りが少なくなる。
【0050】
バッテリ16の蓄電量の減りが少なくなれば、いわゆるバッテリ切れによる業務の中断をできるだけ回避することができる。これにより、業務の効率が向上する。
【0051】
オーダーステーション40では、ハンディターミナル1のバッテリ16の蓄電量が残り少ない状況にある旨をそのハンディターミナル1のアドレス情報と共に文字表示するので、この表示を見た管理者は、バッテリ残量が少ないことをハンディターミナル1の使用者に伝えるなど適切な処置や管理を行うことができる。
【0052】
なお、上記実施形態では、表示画面の明るさを調節するための閾値である設定値V2として、バッテリ16の満充電時の電圧の1/2の値を選定し、バッテリ残量低下情報を応答信号に含ませるかどうか決めるための閾値である設定値V1として、バッテリ16の満充電時の電圧の1/4の値を選定したが、これら設定値V2,V1についてはバッテリ16の容量やハンディターミナル1の使用環境(店舗の種類や営業時間)などに応じて適宜に選定すればよい。
【0053】
その他、上記実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。この新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、書き換え、変更を行うことができる。これら実施形態や変形は、発明の範囲は要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。