特許第5836265号(P5836265)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5836265
(24)【登録日】2015年11月13日
(45)【発行日】2015年12月24日
(54)【発明の名称】体形矯正用ズボン
(51)【国際特許分類】
   A61F 5/02 20060101AFI20151203BHJP
   A41D 1/06 20060101ALI20151203BHJP
【FI】
   A61F5/02 N
   A41D1/06 501Z
   A41D1/06 503A
   A61F5/02 K
【請求項の数】6
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2012-510741(P2012-510741)
(86)(22)【出願日】2010年5月4日
(65)【公表番号】特表2012-526602(P2012-526602A)
(43)【公表日】2012年11月1日
(86)【国際出願番号】KR2010002831
(87)【国際公開番号】WO2010131864
(87)【国際公開日】20101118
【審査請求日】2013年5月1日
(31)【優先権主張番号】10-2009-0042728
(32)【優先日】2009年5月15日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】511262175
【氏名又は名称】チョウ ジョン デ
(74)【代理人】
【識別番号】100094248
【弁理士】
【氏名又は名称】楠本 高義
(72)【発明者】
【氏名】チョウ ジョン デ
【審査官】 姫島 卓弥
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−100239(JP,A)
【文献】 特開2004−238789(JP,A)
【文献】 特開2008−163523(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 5/02
A41D 1/06
A41D 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
生地の各部の織密度を異ならせて製織して脚関節を外回転させる回転力を生じさせるズボンであって、
下腹部から下方に進むにつれて大腿部の外回転方向に螺旋状に回転しつつ膝蓋骨の上端まで延び、右脚を、上から下を見て時計まわり方向に回転させ、左脚を、上から下を見て反時計まわりに回転させる大腿部回転バンド(106a)を備え、
前記大腿部回転バンド(106a)は、前記ズボンの他の領域に比べて相対的に高い織密度を有するように製織されることを特徴とする、体形矯正用ズボン。
【請求項2】
前記膝蓋骨の下端から下方に進むにつれてふくら脛の外回転方向に螺旋状に回転しつつふくら脛の中央部まで延びるふくら脛回転バンド(106c)をさらに備え、
前記ふくら脛回転バンド(106c)は、前記大腿部回転バンド(106a)に比べて相対的に高い織密度を有するように製織されることを特徴とする、請求項1に記載の体形矯正用ズボン。
【請求項3】
下腹部から下後方に向けて左右に延びて尻の下方において互いに連結され、大臀筋の下端部を支持する大臀筋支持バンド(102)をさらに備え、
前記大臀筋支持バンド(102)において、下腹部側にある前方の大臀筋支持バンド(102a)よりも、尻の下方にある後方の大臀筋支持バンド(102b)の方が相対的に高い織密度を有するように製織されることを特徴とする、請求項1に記載の体形矯正用ズボン。
【請求項4】
尻の上方から前方に向けて左右に延びて中臀筋を包囲し、末端が前方の大腿部回転バンド(106a)の一方の側に連結される中臀筋回転バンド(108)をさらに備え、
前記中臀筋回転バンド(108)において、身体の前側面にある前方の中臀筋回転バンド(108a)よりも、尻の上方にある後方の中臀筋回転バンド(108b)の方が相対的に高い織密度を有するように製織されることを特徴とする、請求項3に記載の体形矯正用ズボン。
【請求項5】
前記膝蓋骨の周りをひし形、六角形または円形のうちのいずれかの形状に包囲する膝支持バンド(110)をさらに備え、
前記膝支持バンド(110)は、前記大腿部回転バンド(106a)に比べて相対的に高い織密度を有し、且つ、前記ふくら脛回転バンド(106c)に比べて相対的に低い織密度を有するように製織されることを特徴とする、請求項1に記載の体形矯正用ズボン。
【請求項6】
前記膝支持バンド(110)の上端から外回転方向に螺旋状に回転しつつ前記膝支持バンド(110)の下端まで連結される後膝支持バンド(106b)をさらに備え、
前記後膝支持バンド(106b)は、前記膝支持バンド(110)と同じ織密度を有するように製織されることを特徴とする、請求項5に記載の体形矯正用ズボン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は体形矯正用ズボンに係り、さらに詳しくは、ズボンの各部の織密度を異ならせて着用者の脚を骨盤を中心として外回転させる力を生じさせることにより、O脚などの弓脚を矯正することができる体形矯正用ズボンに関する。
【背景技術】
【0002】
正常脚は、大腿骨と脛骨とが理想的な角度をなし、且つ、膝関節の左右間隔がバランスを取らなければならないが、韓国人のほとんどは股関節と膝関節が互いにずれて「O」字状脚などの弓脚を有することとなる。
【0003】
弓脚は遺伝や人種間の違いとも関係があり、疾病による場合もあるが、その原因が未だはっきりと判明していないのが現状である。ところが、先天的な原因よりは、後天的な原因の方が一層大きな影響を及ぼし、後天的な原因のうち一番重要なのは、幼いところのおんぶする習慣や、運動不足、老化、誤った歩行習慣など生活習慣や姿勢であることが判明している。特に、東洋人によく見られる座式生活は、骨盤の傍にある股関節の内回転変形を引き起こすため、西洋人よりも東洋人に弓脚が一層多く見られることとなる。
【0004】
このように、弓脚、特に、「O」字脚になれば、見掛けも悪いだけではなく、起立姿勢や歩行姿勢が不安定になり、膝関節の外側間隔は広がり、関節の内側間隔は狭まって潤滑作用を行う膝内側軟骨の摩擦圧力が高くなる結果、退行性関節炎になり易いという不都合が発生してしまう。
【0005】
このため、「O」字脚を矯正することは、見掛け上および健康上にも高い関心の対象となり、これを矯正するための様々な方法が紹介される。まず、典型的な方法としては、弓脚矯正手術をしたり、補正機または矯正機を用いて弓脚を矯正することが挙げられる。
【0006】
しかしながら、弓脚矯正手術や補正機または矯正機を用いた弓脚の矯正には、副作用や、手術時に心理的ストレスを受ける虞があり、コストも高くつくという不都合がある。より簡単な方法として、脚を束ねるベルトによる方法があるが、単に膝のみを膝の内方に押し付けるため、股関節の内回転変形を矯正することには何ら役に立たない。
【0007】
靴底に敷く中底や靴下は、下肢の体重軸を簡単に矯正することにより、弓脚をある程度矯正(補正)することができるものの、中底や靴下の場合、履物や靴下を履いているときにしか効果が得られないという問題点がある。すなわち、これは、弓脚の矯正ではなく、着用時の一時的な補正効果であるといえる。弓脚の矯正のための初期の効果を得るためには、人体の3次元的な整列を矯める必要があるため、1次元または2次元的なベルト、中底、靴下によってはその矯正の効果があまり得られなくなる。
【0008】
大腿部の内回転を矯めて弓脚を矯正するための技術として、大韓民国公開特許第2000−0053733号に「体形校正方法および道具」が開示されている。
【0009】
図1は、従来の技術による体形固定装置を示す図である。図1によれば、従来の技術による体形矯正具は、腕や脚に広幅弾力バンドを螺旋状に巻き付けてベッドのマトリックスの上に横たわって身体に回転力を生じさせる方法により体形を矯正する。
【0010】
しかしながら、この方法は、毎回矯正のために弾力バンドを身体に巻き付けることを余儀なくされ、特殊に製作されたベッドの上に横たわって運動をしなければ、矯正がなされないため、一般人が日常生活を営む中での使い勝手は悪かった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、ズボンの生地の各部の織密度を異ならせて製織して大腿骨と脛骨が外回転し得る回転力を生じさせ、前傾の骨盤を立てることにより、ズボンを履いて生活する間におのずと「O」字脚などの弓脚と傾いた骨盤を手軽に矯正することのできる体形矯正用ズボンを提供するところにある。
【0012】
また、本発明の他の目的は、筋肉を絶えず外回転運動させてズボンを履いていないときにも体形矯正効果が持続的に得られる体形矯正用ズボンを提供するところにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上述した問題点を解消するための本発明に係る体形矯正用ズボンは、生地の各部の織密度を異ならせて製織して脚関節を外回転させる回転力を生じさせるズボンであって、下腹部から下方に進むにつれて大腿部の外回転方向に螺旋状に回転しつつ膝蓋骨の上端まで延び、右脚を、上から下を見て時計まわり方向に回転させ、左脚を、上から下を見て反時計まわりに回転させる大腿部回転バンド106aと、前記膝蓋骨の下端から下方に進むにつれてふくら脛の外回転方向に螺旋状に回転しつつふくら脛の中央部まで延びるふくら脛回転バンド106cと、を備え、前記大腿部回転バンド106aは、前記ズボンの他の領域に比べて相対的に高い織密度を有するように製織され、前記ふくら脛回転バンド106cは、前記大腿部回転バンド106aに比べて相対的に高い織密度を有するように製織されることを特徴とする。
【0014】
本発明の他の実施形態による体形矯正用ズボンは、生地の各部の織密度を異ならせて製織して脚関節を外回転させる回転力を生じさせるズボンであって、下腹部から下方に進むにつれて大腿部の外回転方向に螺旋状に回転しつつ膝蓋骨の上端まで延びる大腿部回転バンド106aと、下腹部から下後方に向けて左右に延びて尻の下方において互いに連結され、大臀筋の下端部を支持する大臀筋支持バンド102と、を備え、前記大腿部回転バンド106aは、前記ズボンの他の領域に比べて相対的に高い織密度を有するように製織され、前記大臀筋支持バンド102において、下腹部側にある前方の大臀筋支持バンド102aよりも、尻の下方にある後方の大臀筋支持バンド102bの方が相対的に高い織密度を有するように製織される。
【0015】
本発明に係る体形矯正用ズボンは、尻の上方から前方に向けて左右に延びて中臀筋を包囲し、末端が前方の大腿部回転バンド106aの一方の側に連結される中臀筋回転バンド108をさらに備え、前記中臀筋回転バンド108において、身体の前側面にある前方の中臀筋回転バンド108aよりも、尻の上方にある後方の中臀筋回転バンド108bの方が相対的に高い織密度を有するように製織されることを特徴とする。
【0016】
本発明に係る体形矯正用ズボンは、前記膝蓋骨の周りをひし形、六角形または円形のうちのいずれかの形状に包囲する膝支持バンド110をさらに備え、前記膝支持バンド110は、前記大腿部回転バンド106aに比べて相対的に高い織密度を有し、且つ、前記ふくら脛回転バンド106cに比べて相対的に低い織密度を有するように製織されることを特徴とする。
【0017】
本発明に係る体形矯正用ズボンは、前記膝支持バンド110の上端から外回転方向に螺旋状に回転しつつ前記膝支持バンド110の下端まで連結される後膝支持バンド106bをさらに備え、前記後膝支持バンド106bは、前記膝支持バンド110と同じ織密度を有するように製織されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、日頃から日常生活を営む中で、O脚などの弓脚を簡単に矯正することができ、前傾の骨盤を立て直し、しかも、脚関節を真っすぐな姿勢に維持することにより、関節炎や軟骨老化を防ぐことができるという効果がある。
【0019】
また、本発明によれば、脚が真っすぐに伸びて見掛け上良い印象を与えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】従来の技術による体形固定装置を示す図である。
図2】大腿部筋肉の構造を示す解剖図である。
図3】本発明の実施形態による体形矯正用ズボンの構造を示す正面図である。
図4図3のズボンの構造を示す背面図である。
図5】ズボンの回転方向を示す正面図である。
図6】ズボンの回転方向を示す背面図である。
図7】着用者の歩行中の外回転運動方向を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、添付図面に基づき、本発明の実施形態による体形矯正用ズボンを説明する。
【0022】
図2は、大腿部筋肉の構造を示す解剖図である。
大腿の上部には、大腿骨を外回転させる大臀筋が尾骨を中心として斜め下方に左右に連結される。また、同様に、大臀筋の上部には、中臀筋が斜め下方に位置している。
大臀筋は、骨盤の背面にある外骨筋の一つであり、臀筋の中で最も大きく、臀部の
最表層にあり、結合組織が内部に入り込んで複数本に分岐している。
【0023】
この筋肉は、下肢を後方に引っ張る働きをし、下肢を固定する他、骨盤と体幹を後方に引っ張って真っすぐに立てる。このため、この筋肉は、直立姿勢を取るときに重要な役割を果たす。また、腸腰筋の対抗筋としての大臀筋は股関節の伸展筋であるのに対し、腸腰筋はその屈筋であり、下肢を昇降するのに両者が交互に働く。
【0024】
大臀筋および中臀筋は大腿骨の外回転筋であり、大臀筋および中臀筋に力を加えて外回転させる場合、大腿骨および脛骨が外回転しつつO脚などの弓脚が矯正される。
【0025】
図3は、本発明の実施形態による体形矯正用ズボンの構造を示す正面図であり、図4は、図3のズボンの構造を示す背面図である。
【0026】
本発明の体形矯正用ズボン100は、生地の織密度を異ならせて製織して圧力差による回転力を生じさせる原理を利用する。ズボン100におけるバンド状の部分を一層きめ細かく製織すれば、他の部分よりも大きな圧力が生じ、これにより、バンドの長手方向に引っ張る力が生じる。この力は、ユーザーがズボン100を履いたときに、脚関節を回転させる力に切り換わって筋肉および骨格を所定の方向に引っ張る。
【0027】
また、ズボン100の生地を一体形に製織して織密度差を与えるものであるため、ズボン100とバンドが引き離れることなく、正常的な回転力を生じさせる。なお、一体形に形成された生地の織密度を異ならせると、皮膚表面との摩擦力が増大して筋肉を所望の方向に回転させ得る力が大きくなるというメリットがある。
【0028】
バンドが形成されていない大腿部21、膝蓋骨22、大臀筋23の部分は、通常の生地により製織されて織密度が最も低い個所となる。
【0029】
体形矯正用ズボン100の前方の腹部には、前方の大臀筋支持バンド102aが位置する。
【0030】
前方の大臀筋支持バンド102aは、下腹部から下後方に向けて左右に延び、左右に延びたバンドの両端は尻の下方において遭遇して連結されて後方の大臀筋支持バンド102bを形成する。尻の直ぐ上部には大臀筋が位置するが、後方の大臀筋支持バンド102bは大臀筋の下端部を支える。前方の大臀筋支持バンド102aは前方に位置し、後方の大臀筋支持バンド102bは尻の後方に位置するため、尻の下方が下腹部に向けて斜めに持ち上げられる。
【0031】
さらに、前方の大臀筋支持バンド102aに比べて、後方の大臀筋支持バンド102bの方が相対的に高い織密度を有するように製織されるため、前方の大臀筋支持バンド102aから後方の大臀筋支持バンド102bに向けて引っ張る力が生じる。これにより、大腿の最上端が外回転する力を受けることとなる。
【0032】
前方の大臀筋支持バンド102aの中央部の直ぐ下方には結合部104が形成され、結合部104から下方に向けて大腿部回転バンド106aが延設される。
【0033】
大腿部回転バンド106aは、結合部104のある下腹部から下方に進むにつれて大腿部の外回転方向に螺旋状に回転しつつ膝(膝蓋骨)の上端まで延びる。すなわち、右脚には時計回り方向に、左脚には反時計回り方向に回転しつつ下降する螺旋状であり、大腿部回転バンド106aによって右脚は時計回り方向に、左脚は反時計回り方向に外回転をする。
【0034】
大腿部回転バンド106aは、膝蓋骨の上端まで1回転しつつ下降してもよいが、必要に応じて、2−3回転しつつ下降してもよい。
【0035】
大腿部回転バンド106aは、無バンド領域に比べて高い織密度を有するように製織されるが、大臀筋支持バンド102a、102bや結合部104よりも相対的に低い織密度を有する。
【0036】
また、大腿部回転バンド106aの上部には中臀筋回転バンド108が連結される。中臀筋回転バンド108は、前方の中臀筋回転バンド108aと、後方の中臀筋回転バンド108bとに分けられるが、前方の中臀筋回転バンド108aは、大腿部回転バンド106aと連結される個所に位置し、後方の中臀筋回転バンド108bは、腰の後方の中臀筋を包囲する形状を呈する。
【0037】
2枚の中臀筋回転バンド108a、108bのうち、腰の後方に位置している後方の中臀筋回転バンド108bの織密度が一層高く製織されるので、前方の中臀筋回転バンド108aから後方の中臀筋回転バンド108bに向けて外回転する力が生じる。
【0038】
後方の中臀筋回転バンド108bは、後方の大臀筋支持バンド102bとほとんど同じ織密度を有するように製織される。
両膝の中央の膝蓋骨の周りには膝支持バンド110が形成される
【0039】
膝支持バンド110は、ひし形、六角形または円形のうちのいずれかの形状に製織され、膝蓋骨の周りを包囲しつつ膝を上下左右に広げる力を生じさせる。
【0040】
膝支持バンド110は、大腿部回転バンド106aよりは相対的に織密度が高く、且つ、後方の大臀筋支持バンド102bや後方の中臀筋回転バンド108bよりは相対的に織密度が低くなるように製織される。
さらに、大腿部回転バンド106aの末端は、膝支持バンド110の上端に連結されるが、大腿部回転バンド106aの織密度よりも膝支持バンド110の織密度の方が一層高いため、大腿部回転バンド106aから膝支持バンド110への引張力が生じる。
【0041】
膝支持バンド110の上端には、螺旋方向に下に回転しつつ膝の後方を回って膝支持バンド110の下端まで連結される後膝支持バンド106bが連結される。後膝支持バンド106bも、大腿部回転バンド106aと同様に、外回転方向(右脚には時計回り方向、左脚には反時計回り方向)に回転しつつ下降するように製織される。
後膝支持バンド106bは、大腿部回転バンド106aから膝支持バンド110への引張力をふくら脛回転バンド106cに途切れなく伝える。このため、後膝支持バンド106bは、膝支持バンド110と同じ織密度に製織される。
【0042】
膝支持バンド110の下側端が位置している膝蓋骨の下端から下方には、ふくら脛の外回転方向に螺旋状に回転しつつ足首の直上(非腹筋の下端)まで達するふくら脛回転バンド106cが連結される。ふくら脛回転バンド106cは、大腿部回転バンド106aと同じ方向に回転するが、織密度は膝支持バンド110よりも一層高く製織される。
【0043】
ふくら脛回転バンド106cの下側の足首には足首支持バンド106dが連結されてふくら脛回転バンド106cを引っ張る役割を果たす。
一方、図5は、ズボンの回転方向を示す正面図であり、図6は、ズボンの回転方向を示す背面図である。
【0044】
図5および図6に示すように、左右両側大腿部21にはそれぞれ反時計回り方向と時計回り方向に外回転する力が働いて、股関節を中心として大腿部21が回転しつつ弓脚が矯正される。
【0045】
また、膝蓋骨22を中心として外周境界線に沿って拡張される力が発生して、膝に加わる荷重を分散させる。
図7は、着用者の歩行中の外回転運動方向を示す側面図であり、着用者が本発明の体形矯正用ズボン100を履いて歩行をするときに起こる外回転運動の方向を示している。
【0046】
まず、図7の左側から2番目の図に示すように、着用者が歩き始めるために脚を前方に持ち上げることにより(膝の屈曲運動)、着用者の大腿回転バンドを介して臀部(大臀筋、中臀筋など)に外回転運動が起こる。歩行中の膝の屈曲運動から始まった下肢の外回転運動は膝の伸展運動に切り換わり、臀部から大腿、膝を過ぎてふくら脛を経て足首まで外回転運動が続くこととなる。このため、着用者は、歩行時に左右交互に下肢全体の外回転運動をすることとなる。
図7に図示はしないものの、着用者の後脚(左側の下肢)は、前脚(右側の下肢)と同じ方法により外回転運動をし、着用者が前に進みつつ同じ方法の外回転が左右に交互に起こる。
【0047】
さらに、着用者が本発明の体形矯正用ズボン100を履いて歩行をする場合、持続的に股関節を外回転させ続けるが、股関節が外回転されて前傾の骨盤が真っすぐに立てられる効果が奏される。そして、外回転筋肉(大臀筋、中臀筋、梨状筋、上双子筋、内閉鎖筋、下双子筋、大腿方形筋、外閉鎖筋)を強化して靭帯と筋肉をバランスよく発達させる。これにより、骨盤から大腿部の全体、膝、ふくら脛まで下肢全体の整列を矯めて正しい歩行と弓脚の矯正が行われる。
【0048】
以上、添付図面に基づき、本発明の好適な実施形態を説明したが、上述した本発明の技術的構成は、本発明が属する技術分野における当業者が本発明のその技術的思想や必須的特徴を変更することなく他の具体的な形態にて実施可能であることが理解できるであろう。よって、上述した実施形態はあらゆる面で例示的なものに過ぎず、限定的なものではないと理解されるべきであり、本発明の範囲は、前記詳細な説明よりは、後述する特許請求の範囲によって開示され、特許請求の範囲の意味および範囲並びにその等価概念から導き出されるあらゆる変更または変形例が本発明の範囲に含まれるものと解釈されるべきである。
【符号の説明】
【0049】
21:大腿部
22:膝蓋骨
23:大臀筋
100:体形矯正用ズボン
102:大臀筋支持バンド
104:結合部
106a:大腿部回転バンド
106b:後膝支持バンド
106c:ふくら脛回転バンド
106d:足首支持バンド
108:中臀筋回転バンド
110:膝支持バンド
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7