(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記昇降板の前記端縁部側のうち前記シート幅方向の端部において、前記上面の一部が前記案内方向に突出した端部案内面を有することを特徴とする請求項1に記載の給紙装置。
前記複数の突片のうち、前記シート幅方向の端部側に配置された前記突片が、前記シート幅方向の中央部側に配置された前記突片よりも、前記案内方向に突出して配置されることを特徴とする請求項3に記載の給紙装置。
前記端部案内面は、上面視で前記昇降板の前記シート幅方向の角部を直角頂点とし、前記端縁部と前記昇降板の前記搬送方向に沿った側縁とからなる2辺と、前記上面において延伸された斜辺とを含み、前記斜辺を稜線として前記上面の一部が屈曲して形成された直角三角形からなることを特徴とする請求項2に記載の給紙装置。
前記昇降板の前記ガイド壁と対向する前記端縁部および前記シートトレイの前記搬送方向上流側の前記端部は、前記シートトレイに載置される前記シートに対して前記シート長さ方向に沿って同じ向きの撓み形状を付与することを特徴とする請求項6に記載の給紙装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載されたような手差しトレイでは、シート幅方向の中央部に配置された給紙ローラーによってシートが給送される。この場合、シートのシート幅方向の中央部は、給紙ローラーによって拘束されながら安定して送り出されるが、シートのシート幅方向の端部は、給紙ローラーによる拘束力が及ばないため、シート面と交差する方向に変位可能とされる。この結果、シートの前記端部が、手差しトレイと装置本体との間の隙間に進入し、シート折れや給紙不良が発生するという課題があった。
【0005】
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、装置本体に装着されシートが載置されるシートトレイからシートを給送する給紙装置において、シートトレイと装置本体との間に、シートの端部が進入することを抑止した給紙装置、およびこれを備える画像形成装置、画像読取装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一局面に係る給紙装置は、シートが載置される載置面を備えたシートトレイと、前記シートトレイから延設され、シートが所定の搬送方向に搬送されるシート搬送路と、前記シートトレイの前記搬送方向下流側において、前記シートトレイの前記搬送方向と交差するシート幅方向の中央部に配置され、回転駆動され、前記シートを前記シート搬送路に送り出す給紙ローラーと、前記載置面の前記搬送方向下流側に配置され、上面において前記シートを支持し、上下移動可能とされ、前記シートを前記給紙ローラーに当接させる昇降板と、前記昇降板に対して前記搬送方向下流側に所定の隙間をおいて配置され、前記給紙ローラーによって搬送された前記シートを、前記シート幅方向と交差する断面視において前記載置面と交差する案内方向に案内するガイド壁と、を有し、前記昇降板の前記ガイド壁と対向する端縁部において、前記昇降板の前記シート幅方向の端部が、前記昇降板の前記シート幅方向の中央部よりも前記ガイド壁の案内方向に突出していることを特徴とする。
【0007】
本構成によれば、シートのシート幅方向の中央部は、給紙ローラーによってガイド壁に向かって搬送される。一方、シートのシート幅方向の端部は給紙ローラーに当接していないため、シートが拘束されず、シートの前記端部が下方に垂れ下がりやすい。この結果、シートの前記端部が、昇降板とガイド壁との隙間に進入してしまい、シート折れやシートの搬送不良が生じやすくなる。このような場合であっても、上記の構成によれば、昇降板のガイド壁と対向する端縁部において、昇降板のシート幅方向の端部が、昇降板のシート幅方向の中央部よりもガイド壁の案内方向に突出して配置される。このため、シートの前記端部は、昇降板の前記端部によってガイド壁に近づくように案内される。換言すれば、シートの端部が隙間から遠ざかるように上方に案内される。この結果、シート折れやシートの搬送不良が好適に抑止される。
【0008】
上記の構成において、前記昇降板の前記端縁部側のうち前記シート幅方向の端部において、前記上面の一部が前記案内方向に突出した端部案内面を有することが望ましい。
【0009】
本構成によれば、端部案内面によってシートの端部が安定して上方に案内される。
【0010】
上記の構成において、前記昇降板の前記端縁部のうち前記シート幅方向の端部が、前記搬送方向および前記シート幅方向と交差する面をもって屈曲されることによって、前記昇降板の前記シート幅方向の端部が、前記ガイド壁の案内方向に突出されることが望ましい。
【0011】
本構成によれば、昇降板の端縁部を屈曲させることによって、シートの端部をガイド壁に向かって案内することができる。
【0012】
上記の構成において、前記昇降板の前記端縁部において、前記ガイド壁に向かって突設され、前記シート幅方向に沿って複数配置された突片を備え、前記ガイド壁は、前記突片が進入するように配置される複数の切欠き部を備えることが望ましい。
【0013】
本構成によれば、ガイド壁および昇降板が櫛形形状を備え、互いの櫛形形状が、前記隙間をおいて噛み合わされることとなる。このため、昇降板からガイド壁へのシートの受け渡しが好適に実現される。
【0014】
上記の構成において、前記複数の突片のうち、前記シート幅方向の端部側に配置された前記突片が、前記シート幅方向の中央部側に配置された前記突片よりも、前記案内方向に突出して配置されることが望ましい。
【0015】
本構成によれば、昇降板からガイド壁へのシートの受け渡しが好適に実現されるとともに、シート幅方向の端部側の突片の配置を変位させることによって、シート折れやシートの搬送不良が好適に抑止される。
【0016】
上記の構成において、前記端部案内面は、上面視で前記昇降板の前記シート幅方向の角部を直角頂点とし、前記端縁部と前記昇降板の前記搬送方向に沿った側縁とからなる2辺と、前記上面において延伸された斜辺とを含み、前記斜辺を稜線として前記上面の一部が屈曲して形成された直角三角形からなることが望ましい。
【0017】
本構成によれば、昇降板の端部に形成された直角三角形からなる端部案内面によって、シートが昇降板の上面から端部案内面に沿って安定して搬送される。
【0018】
上記の構成において、前記シートトレイの前記搬送方向上流側の端部において、前記シート幅方向の端部が、前記シート幅方向の中央部よりも、前記載置面と直交する方向
において前記載置面側に突出して配置されることが望ましい。
【0019】
本構成によれば、シートトレイよりも長いサイズのシートがシートトレイに載置される場合であっても、載置されたシートの搬送方向上流側の端部には、シート幅方向の端部がシート幅方向の中央部に対して反るように撓みが形成される。このため、シートトレイの外側まで延伸されたシートの端縁部側がシートトレイから垂れ下がりにくくなり、シートを安定して支持することが可能となる。
【0020】
上記の構成において、前記昇降板の前記ガイド壁と対向する前記端縁部および前記シートトレイの前記搬送方向上流側の前記端部は、前記シートトレイに載置される前記シートに対して前記シート長さ方向に沿って同じ向きの撓み形状を付与することが望ましい。
【0021】
本構成によれば、シートトレイに載置されるシートに対してシート長さ方向に沿って同じ向きの撓み形状が付与される。このため、シートが昇降板の端縁部の形状に沿ってガイド壁に向かって搬入されやすくなる。
【0022】
本発明の他の局面に係る画像形成装置は、装置本体と、前記装置本体に配置され、シートに画像を形成する画像形成部と、前記画像形成部に向かって前記シートを搬送する上記に記載の給紙装置と、を有することを特徴とする。
【0023】
本構成によれば、シート折れやシートの搬送不良が好適に抑止される。したがって、シートが安定して画像形成部に搬送され、シートに好適に画像が形成される。
【0024】
本発明の他の局面に係る画像読取装置は、装置本体と、前記装置本体に配置され、原稿としての前記シートを搬送する上記に記載の給紙装置と、前記シート搬送路に配置され、前記原稿の画像を読み取る読取手段と、を有することを特徴とする。
【0025】
本構成によれば、原稿において、シート折れやシートの搬送不良が好適に抑止される。したがって、原稿の画像が読取手段によって安定して読み取られる。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、装置本体に装着されシートが載置されるシートトレイからシートを給送する給紙装置において、シートトレイと装置本体との間に、シートの端部が進入することを抑止される。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、図面に基づいて、本発明の実施形態につき詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る画像形成装置1の内部構造を示す模式的な断面図である。ここでは、画像形成装置1として、プリンター機能と複写機能とを備えた複合機を例示するが、画像形成装置は、プリンター、複写機、ファクシミリ装置などであってもよい。
【0029】
<画像形成装置の説明>
画像形成装置1は、略直方体形状の筐体構造を有する装置本体10と、装置本体10上に配置される自動原稿給送装置20と、を備える。装置本体10の内部には、複写する原稿画像を光学的に読み取る読取ユニット25(読取手段)と、シートにトナー像を形成する画像形成部30と、前記トナー像をシートに定着させる定着部60と、画像形成部30へ搬送される定型シートを貯留する給紙部40と、定型シートを給紙部40又は手差し給紙部46から画像形成部30及び定着部60を経由してシート排出口10Eまで搬送する搬送経路50と、が収容されている。
【0030】
自動原稿給送装置(ADF)20は、装置本体10の上面に回動自在に取り付けられている。ADF20は、装置本体10における所定の原稿読取位置に向けて、複写される原稿シートを自動給送する。一方、ユーザーが手置きで原稿シートを所定の原稿読取位置に載置する場合は、ADF20は上方に開かれる。ADF20は、原稿シートが載置される原稿トレイ21と、原稿読取位置を経由して原稿シートを搬送する原稿搬送部22と、読取後の原稿シートが排出される原稿排出トレイ23とを含む。
【0031】
装置本体10の上面には、ADF20から自動給送される原稿シートの読取用のコンタクトガラス、又は手置きされる原稿シートの読取用のコンタクトガラス(不図示)が配置される。読取ユニット25は、これらのコンタクトガラスを通じて、原稿シートの画像を光学的に読み取る。なお、上記の自動原稿給送装置(ADF)20と読取ユニット25とによって、後記の画像読取装置2が構成される。
【0032】
画像形成部30は、公知の電子写真方式に基づいて、トナー画像を生成しこれをシート上に転写する処理を行う。なお、他の実施形態において、インクジェット方式などの他の画像形成方式が採用されてもよい。画像形成部30は、感光体ドラム321と、この感光体ドラム321の周囲に配置された、不図示の帯電器、露光器、現像装置、クリーニング装置などを含む。
【0033】
感光体ドラム321は、その軸回りに回転し、その周面に静電潜像及びトナー像が形成される。感光体ドラム321としては、アモルファスシリコン(a−Si)系材料を用いた感光体ドラムを用いることができる。帯電器は、感光体ドラム321の表面を均一に帯電する。露光器は、レーザー光源とミラーやレンズ等の光学系機器とを有し、感光体ドラム321の周面に、原稿画像の画像データに基づく光を照射して、静電潜像を形成する。現像装置は、感光体ドラム321上に形成された静電潜像を現像するために、感光体ドラム321の周面にトナーを供給する。現像装置は、2成分現像剤用のものであり、スクリューフィーダー、磁気ローラー、及び現像ローラーを含む。クリーニング装置は、クリーニングローラー等を有し、トナー像転写後の感光体ドラム321の周面を清掃する。
【0034】
感光体ドラム321に対向して、転写ローラー35(転写手段)が配置されている。感光体ドラム321と転写ローラー35との転写ニップ部において、感光体ドラム321上のトナー像がシートに転写される。転写ローラー35には、トナー像と逆極性の二次転写バイアス電位が印加される。
【0035】
給紙部40は、画像形成処理が施されるシートのうち、定型シートPを収容する2段の第1給紙カセット40A、第2給紙カセット40Bを備える。これらの給紙カセットは、装置本体10の前方から手前方向に引出可能である。第1給紙カセット40Aは、定型シートPが積層されてなるシート束を収納するシート収容部41と、給紙のために前記シート束をリフトアップするリフト板42とを備える。給紙カセット40Aの右端側の上部には、不図示のピックアップローラーと、給紙コロ44とリタードローラー45とのローラー対とが配置されている。ピックアップローラー及び給紙コロ44の駆動により、給紙カセット40A内のシート束の最上層のシートPが1枚ずつ繰り出され、搬送経路50の上流端へ搬入される。なお、第2給紙カセット40Bも、第1給紙カセット40Aと同様の構成を備える。
【0036】
装置本体10の右側面10Rには、手差し給紙部46(給紙装置)が配置される。手差し給紙部46は、手差し給紙用の手差しトレイ46A(シートトレイ)と、給紙ローラー461(搬送部)とを備える。手差しトレイ46Aは、その下端部に配置された支点部701を支点として装置本体10に対して開閉自在に取り付けられている。ユーザーは、手差し給紙を行う場合、図示の通り手差しトレイ46Aを開き、その上にシートを載置する。給紙ローラー461は、回転駆動され、シートをシート搬送方向に送り出す。手差しトレイ46Aに載置されたシートは、給紙ローラー461の駆動によって、手差しトレイ46Aから延設される手差しシート搬送路460(シート搬送路)へ搬入される。更に、シートは手差しシート搬送路460から搬送経路50に搬入される。
【0037】
搬送経路50は、給紙部40から画像形成部30および定着部60を通過して、シート排出口10Eまで延設されている。搬送経路50の、転写ニップ部よりも上流側には、レジストローラー対51が配置されている。シートは、停止状態のレジストローラー対51にて一旦停止され、スキュー矯正が行われる。その後、画像転写のための所定のタイミングで、レジストローラー対51が駆動部(図略)で回転駆動されることで、シートは転写ニップ部に送り出される。この他、搬送経路50には、シートを搬送するための不図示のシート搬送ローラーが複数配置されている。搬送経路50の最下流端には、排紙ローラー53が配置されている。排紙ローラー53は、シート排出口10EからシートPを排出する。シート排出口10Eから排出されたシートPは、排紙部10Uに排紙され、積載される。定着部60は、シートにトナー像を定着させる定着処理を施す。不図示の定着ローラーに対して加圧ローラーが圧接され、定着ニップ部が形成されている。シートが定着ニップ部を通過することで、シートに転写されたトナー像が当該シートに定着される。
【0038】
<給紙装置、シートトレイについて>
次に、
図1に加え、
図2乃至
図6を参照して、本実施形態に係る手差し給紙部46(給紙装置)の手差しトレイ46A(シートトレイ)の構成について詳述する。
図2乃至
図5は、本実施形態に係る手差しトレイ46Aの斜視図である。なお、
図3は、トレイ本体70に補助トレイ72が収容された状態、
図4は、トレイ本体70から補助トレイ72が引き出された状態(延伸された状態)、
図5は、更に、補助トレイ72の第2補助トレイ722が第1補助トレイ721に対して開放された状態を示している。また、
図6は、第2補助トレイ722の(A)斜視図、(B)側面図である。
【0039】
手差しトレイ46Aは、トレイ本体70と、補助トレイ72とを備える。トレイ本体70および補助トレイ72によって、手差しトレイ46Aのトレイ部7が構成される(
図4参照)。トレイ部7は、上面において、前後方向に所定の幅を備えたシートが載置されるシート載置面(載置面)を備える。トレイ本体70は、手差しトレイ46Aの本体部分である。トレイ本体70は、前後および左右方向に延伸された略矩形形状からなる板状部材である。トレイ本体70の前後方向の両端縁には、一対の側壁70A(
図3)が立設される。トレイ本体70は、支点部701と、係止部702と、ガイド溝703とを備える。また、トレイ本体70は、昇降板71を備える。
【0040】
支点部701は、装置本体10に対する手差しトレイ46Aの回動の支点となる。支点部701には、装置本体10の右側面10Rに配置された不図示の軸部が挿通される。係止部702は、側壁70Aに装着されるアーム部材である。係止部702は、手差しトレイ46Aの装置本体10に対する開閉角度を規定する。係止部702は、係止支点部702Aと、溝係合部702Bとを備える。係止支点部702Aは、係止部702の一端部に配置され、装置本体10の右側面10Rに配置された不図示の固定部に締結される。溝係合部702Bは、係止部702の他端部に配置され、ガイド溝703に挿通される突起部である。ガイド溝703は、一対の側壁70Aにおいて、手差しトレイ46Aに載置されるシートのシート端面面に沿って、シート搬送方向に延設される溝部である。溝係合部702Bがガイド溝703に沿って移動することで、手差しトレイ46Aの装置本体10に対する開閉動作が案内される。また、溝係合部702Bがガイド溝703の左端部に係止されることによって、手差しトレイ46Aの開放角度が規定される。
【0041】
昇降板71は、トレイ本体70のシート載置面のシート搬送方向(
図3の矢印DA方向)下流側に配置される板状部材からなる。昇降板71は、上面においてシートを支持し、昇降板71のシート搬送方向下流側端部が、不図示の昇降機構によって、トレイ本体70に対して上下に昇降可能とされる。昇降板71を含むトレイ本体70の上に載置されたシートは、昇降板71の前記下流側端部の上昇に伴って、給紙ローラー461(
図1)に当接可能とされる。昇降板71について換言すれば、昇降板71は、前記トレイ部7のうち、前記シート載置面に載置されたシートの一端縁に沿って、前記シートの幅方向に延設され、前記シートを支持する。昇降板71は、給紙パッド710と、内側案内片711と、外側案内片712と、カーソル713と、カーソルガイド溝714と、を備える。
【0042】
給紙パッド710は、昇降板71のシート幅方向(前後方向)の中央部であって、昇降板71のシート搬送方向(シート長手方向)の先端側に配置される。給紙パッド710は、シートの重送を防止する。給紙パッド710は、ゴム部材からなる。内側案内片711は、昇降板71のシート搬送方向下流側の端縁から、前記シート搬送方向に向かって突設される一対の突片である。内側案内片711は、シート幅方向において、給紙パッド710の両側に配置される。外側案内片712は、内側案内片711のシート幅方向の外側において、換言すれば、昇降板71の両端部において、シート搬送方向に向かって突設される一対の突片である。内側案内片711、外側案内片712は、手差しトレイ46Aから搬送されるシートをガイドする機能を備える。
【0043】
カーソル713は、一対の係止部702の内側に一対配置され、それぞれ昇降板71に対して前後方向に移動可能に配置される。カーソル713によって、トレイ本体70に載置されるシートの幅方向の位置が規定される。カーソル713は、不図示のラックおよびピニオン機構によって、昇降板71に形成されたカーソルガイド溝714に沿って前後方向に移動する。
【0044】
更に、
図4および
図5を参照して、補助トレイ72は、トレイ本体70から右方向に向かって引き出し可能とされる。このため、トレイ本体70の内部には、補助トレイ72が収容可能とされるための不図示の空間部が形成されている。手差しトレイ46Aの使用者は、補助トレイ72に形成された把持部722Aを把持して、補助トレイ72をトレイ本体70から引きだす。なお、トレイ本体70には、把持部722Aに対応して、半円切欠き部70Hが形成されている。補助トレイ72が、トレイ本体70に対して延伸されると、手差しトレイ46Aに、より長い長さのシートが載置可能とされる。トレイ本体70および補助トレイ72について換言すれば、前述のトレイ本体70は、シート搬送方向(シート長さ方向)において、第1の長さを備えるシートを載置可能とされ、補助トレイ72は、昇降板71から離間するようにトレイ本体70から前記シート長さ方向に延伸可能とされる。そして、補助トレイ72は、トレイ本体70との間で前記第1の長さよりも長い第2の長さを備えるシートを載置可能とする。
【0045】
補助トレイ72は、第1補助トレイ721と、第2補助トレイ722とを備える。第1補助トレイ721は、トレイ本体70から前記シート長さ方向に延伸可能に支持され、トレイ本体70と平行に配置される。第1補助トレイ721のシート幅方向の長さは、トレイ本体70よりも小さく設定されている。第2補助トレイ722は、第1補助トレイ721の上に配置される。
図4および
図5を参照して、第2補助トレイ722は、第1補助トレイ721に対して開放可能に支持され、第1補助トレイ721から少なくとも前記シート長さ方向に延伸される開状態(
図5)と、第1補助トレイ721の上に重なった状態で、第1補助トレイ721とともにトレイ本体70に収容可能な閉状態(
図4)との間で状態変更が可能とされる。なお、前記開状態における、「少なくともシート長さ方向に延伸される」とは、換言すれば、第2補助トレイ722は、第1補助トレイ721がトレイ本体70から延伸されるシート長さ方向に加え、上方に向かって延伸されることを意味する。他の実施形態において、第2補助トレイ722は、前記開状態において、第1補助トレイ721と同様にシート長さ方向に延伸され、トレイ本体70と平行に配置されてもよい。第2補助トレイ722は、第2補助トレイ軸部722S(
図6)を備える。第2補助トレイ軸部722Sは、第2補助トレイ722の第1補助トレイ721と対向する端縁において、シート幅方向の両端に配置された一対の軸部である。第2補助トレイ722の前記状態変更は、第2補助トレイ軸部722Sを支点とした回動によって実現される。
【0046】
図5および
図6を参照して、第2補助トレイ722は、プレート部722Bと、延伸プレート722Cとを備える。プレート部722Bは、第2補助トレイ722の本体部分であり、第1補助トレイ721に連設される板状部材からなる。なお、前述の把持部722Aは、プレート部722Bのうち、第1補助トレイ721(半円切欠き部70H)に対向した面のシート幅方向の中央部が、半円状に窪むことで形成されている。
【0047】
延伸プレート722Cは、プレート部722Bから延伸される板状部材である。
図5に示される第2補助トレイ722の開状態において、延伸プレート722Cは、プレート部722Bから、昇降板71に対して離間する方向に向かって延伸される。このため、第2補助トレイ722の開状態において、延伸プレート722Cはシート長さ方向において昇降板71とは反対側でシートの後端側を支持する。また、シート幅方向(前後方向)において、延伸プレート722Cの中央部には、シート没入部722H(切欠き部)が形成される。換言すれば、シート没入部722Hは、板状の第2補助トレイ722の延伸プレート722Cうち、シート幅方向の中央部が部分的に切り欠かれることで形成される。
【0048】
図6を参照して、本実施形態に係る第2補助トレイ722の延伸プレート722Cは、シート幅方向において傾斜した形状を備える。すなわち、延伸プレート722Cは、外側支持部722C1と内側支持部722C2と中間部722C3とを備える。外側支持部722C1は、延伸プレート722Cのうちシート幅方向外側の領域であり、内側支持部722C2は、延伸プレート722Cのうちシート幅方向内側の領域である。また、中間部722C3は、シート幅方向において、外側支持部722C1と内側支持部722C2とを連設させる。外側支持部722C1および内側支持部722C2は、略水平に配置され、中間部722C3は、傾斜して配置される。内側支持部722C2は、シート幅方向においてシート没入部722Hに対向している。そして、外側支持部722C1は、内側支持部722C2よりも、プレート部722Bのシート載置面(プレート部722Bに載置されるシートのシート面)と直交する方向(
図6の矢印DH方向)に突出して配置される。詳しくは、外側支持部722C1は、内側支持部722C2よりも、前記シート載置面側に突出している。
図6(B)を参照して、第2補助トレイ722のうちシートが載置される面SAとは反対側の面SBに対して、外側支持部722C1の高さをh1とし、内側支持部722C2の高さをh2とすると、h1>h2の関係が満たされる。上記の関係について換言すれば、第2補助トレイ722の延伸プレート722Cのシート幅方向の端部が、延伸プレート722Cのシート幅方向の中央部側よりも、前記シート面と直交する方向に突出して配置される。
【0049】
なお、上記のような延伸プレート722Cの形状に対応するため、第1補助トレイ721の左方部分には、前後および左右方向に沿って第1補助トレイ721が部分的に窪んで形成された収容部721H(
図5)が配置される。収容部721Hに延伸プレート722Cが収容されることで、第1補助トレイ721および第2補助トレイ722が一体化した場合の補助トレイ72の厚さが縮小される。なお、第1補助トレイ721のうち、収容部721Hの底面を画定する部分には、一対のテーパ面721Mが配置される。一対のテーパ面721Mは、シート幅方向の中央部から端部に向かって、先下がりに傾斜した傾斜面からなる。該傾斜面は、上記の外側支持部722C1と内側支持部722C2との間の傾斜に対応している。該テーパ面721Mによって、補助トレイ72の厚さが可及的に小さくされるべく延伸プレート722Cが収容部721Hに収容される。
【0050】
図5に示されるように、補助トレイ72がトレイ本体70から右方に引き出され、更に、第1補助トレイ721に対して第2補助トレイ722が開放された場合、第2補助トレイ722は、第1補助トレイ721に対して、所定の角度を持って略上方に向かって延伸されている。このため、トレイ本体70の長さに第1補助トレイ721の長さを足した長さ以上のシート長さを備えたシートが手差しトレイ46Aに載置された場合、該シートのシート搬送方向の後端部は、上方に湾曲して配置される。このため、シート長さ方向において手差しトレイ46Aの周辺がシートによって占有される空間が可及的に縮小される。換言すれば、手差しトレイ46Aに載置される最大のシート長さに対応して、手差しトレイ46Aの長さが設定された場合と比較して、
図1のトレイ突出長さLを小さくすることが可能となる。
【0051】
更に、手差しトレイ46Aに載置されたシートのうち、延伸プレート722Cに当接するシート部分には、延伸プレート722Cの前記傾斜形状に対応した撓みが形成される。前述のように、外側支持部722C1は、内側支持部722C2よりも、載置されるシートのシート面と直交する方向(
図6の矢印DH方向)に突出して配置される。このため、延伸プレート722Cが支持するシート面のシート幅方向の端部は、外側支持部722C1によって
図5の矢印DR1に示す方向に押圧される。この結果、シートの後端側には、シート幅方向の端部がシート幅方向の中央部に対して反るように、
図5の矢印DR2に示すような撓み形状が付与される。更に、本実施形態に係る延伸プレート722Cには前述のようにシート没入部722Hが配置される。このため、シートに上記の撓み形状が付与される際に、シートのシート幅方向の中央部が僅かにシート没入部722Hに没入することが可能となる。この結果、シートの撓みがより形成されやすくなる。
【0052】
上記のように、第2補助トレイ722の開状態において、手差しトレイ46Aに載置されたシートにはシート幅方向に沿った撓みが形成される。この結果、シートがシート長さ方向に沿って撓みにくいため、延伸プレート722Cよりもトレイ部7の外側まで延伸されたシートの後端部(他端縁側)がトレイ部7から垂れ下がりにくくなる。したがって、手差しトレイ46Aにトレイ部7の長さよりも長いシートが載置された場合であっても、シートの落下が抑制され、シートを安定して支持することが可能となる。特に、第2補助トレイ722が開状態とされることで、シートの後端部が上方に向かって湾曲され、延伸プレート722Cの形状によって、シートの後端部のうちシート幅方向の端部が、昇降板71側に湾曲される。この結果、第2補助トレイ722によるシートの湾曲と、延伸プレート722Cによるシートの撓みの相乗効果によって、シートが一層トレイ部7から脱離しにくくなる。
【0053】
次に、
図7乃至
図11を参照して、本実施形態に係る手差し給紙部46について、更に詳述する。
図7は、本実施形態に係る手差し給紙部46の斜視図である。
図8は、手差し給紙部46の平面図である。
図9は、本発明の実施形態に係る昇降板71の(A)平面図、(B)側面図である。また、
図10は、昇降板71の斜視図である。更に、
図11は、手差し給紙部46の断面斜視図である。
【0054】
図7を参照して、手差し給紙部46は、搬入部10Aを備える。搬入部10Aは、装置本体10(
図1)の右側面10Rの手差しトレイ46Aに対向する領域に配置される。搬入部10Aは、装置本体10の筐体の一部に相当する。搬入部10Aは、左右方向に所定の幅をもって、前後方向に延伸される略直方体形状のハウジングである。
図7に示すように、前述の手差しトレイ46Aの支点部701は、搬入部10Aの一部に支持される。
【0055】
搬入部10Aは、案内部100を備える。案内部100は、手差しトレイ46Aの昇降板71に対向して配置される壁部である。案内部100は、昇降板71に対してシート搬送方向に所定の隙間Gをおいて配置される(
図11参照)。案内部100は、給紙ローラー461(
図1)によって搬送されたシートを、シート幅方向と交差する断面視において昇降板71(載置面)と交差するシート案内方向(案内方向)に案内する(
図7、
図11の矢印DB参照)。
【0056】
案内部100は、案内パッド101と、内側切欠き部102と、外側切欠き部103とを備える。
【0057】
案内パッド101は、案内部100のシート幅方向(前後方向)の中央部に配置される。案内パッド101は、給紙パッド710と同様にゴム部材から構成される。案内パッド101は、前述の給紙ローラー461の周面との間で、搬送ニップ部を形成する。給紙ローラー461は、手差しトレイ46Aのシート搬送方向下流側において、シート幅方向の中央部に対向して配置される。すなわち、給紙ローラー461は、給紙パッド710と案内パッド101とが交差する領域に対向して配置される。給紙ローラー461の周面が、給紙パッド710および案内パッド101との間で、給紙ニップ部および搬送ニップ部を形成することによって、シートが
図7のシート搬送方向(矢印DA方向)から案内部100に沿ってシート案内方向(矢印DB)に向かって搬送される。
【0058】
内側切欠き部102は、案内部100のうち、前後方向において案内パッド101の外側に配置される一対の切欠き部である。内側切欠き部102は、昇降板71の内側案内片711に対向して配置される。そして、内側案内片711は、内側切欠き部102に進入するように配置される。同様に、外側切欠き部103は、案内部100のうち、前後方向において内側切欠き部102の外側に配置される一対の切欠き部である。換言すれば、外側切欠き部103は、案内部100の前後方向の両端部に配置される。外側切欠き部103は、昇降板71の外側案内片712に対向して配置される。そして、外側案内片712は、外側切欠き部103に進入するように配置される。
【0059】
昇降板71の内側案内片711および外側案内片712について換言すると、内側案内片711および外側案内片712は、昇降板71の案内部100と対向する端縁部において、案内部100に向かって突設され、シート幅方向に沿って複数配置された突片である。そして、内側案内片711および外側案内片712が、案内部100の内側切欠き部102および外側切欠き部103に進入するように配置されることで、案内部100および昇降板71の互いの櫛形形状が、隙間Gをおいて噛み合わされることとなる。このため、昇降板71から案内部100へのシートの受け渡しが好適に実現される。
【0060】
更に、本実施形態に係る昇降板71は、端部ガイド71Aを備える。端部ガイド71Aは、昇降板71の案内部100と対向する端縁部において、昇降板71のシート幅方向の端部が、昇降板71のシート幅方向の中央部よりも案内部100の案内方向に突出することで形成される。換言すれば、昇降板71のシート幅方向の端部は、昇降板71のシート幅方向の中央部よりもトレイ本体70のシート載置面と直交する方向(シート載置面側)に突出している。詳しくは、端部ガイド71Aは、昇降板71の前記端縁部のうちシート幅方向の端部が、シート搬送方向(
図7の矢印DA)およびシート幅方向(前後方向)と交差する面となるように屈曲されることで形成される。この際、端部ガイド71Aの基端部には、屈曲稜線71Bが形成される。また、端部ガイド71Aについて、更に換言すれば、端部ガイド71Aは、昇降板71のシート搬送方向下流側の端縁部のうちシート幅方向の端部において、シート載置面(上面)の一部が案内部100の案内方向に傾斜して形成された面である。そして、端部ガイド71Aは、上面視で昇降板71の前記シート幅方向の角部を直角頂点とし、前記端縁部と昇降板71のシート搬送方向に沿った側縁とからなる2辺と、シート載置面において延伸された斜辺(屈曲稜線71B)とを含み、前記斜辺を稜線としてシート載置面の一部が屈曲して形成された直角三角形からなる。
【0061】
このように、安価な屈曲加工によって、端部ガイド71Aが安定して形成される。また、本実施形態では、端部ガイド71Aは、前述の外側案内片712を含む。このため、シート幅方向の端部側に配置された外側案内片712が、シート幅方向の中央部側に配置された内側案内片711よりも、前記案内方向に突出して(隆起して)配置されることとなる。
【0062】
次に、
図11に加え、
図12を参照して、本実施形態に係る端部ガイド71Aの機能について説明する。
図12は、本実施形態に係る手差し給紙部46と比較される手差し給紙部46Zの斜視図である。手差し給紙部46Zは、手差し給紙部46と同様に、トレイ本体70Zおよび昇降板71Zを備える。また、不図示の装置本体に配置された搬入部10ZAが、昇降板71Zに対向して配置される。搬入部10ZAは、案内部100Zを備える。昇降板71Zは、本実施形態に係る昇降板71と異なり、端部ガイド71Aを備えていない。換言すれば、昇降板71Zの案内部100Zに対向する端縁部において、中央部71ZBと端部71ZAとは、面一に形成されている。
【0063】
このような手差し給紙部46Zにおいて、給紙パッド710Zに対向して配置された不図示の給紙ローラーによってシートが搬送された場合、シートのシート幅方向の中央部は、前記給紙ローラーによって確実に案内部100Zに向かって搬送される。一方、シートのシート幅方向の両端部は給紙ローラーに当接していないため、シートが拘束されず、シートの両端部が下方に垂れ下がりやすい。この結果、前記両端部が、昇降板71Zと案内部100Zとの隙間103Zに進入してしまい、シート折れやシートの搬送不良が生じやすくなる。
【0064】
一方、本実施形態に係る手差し給紙部46では、
図11に示すように、シートの拘束力が低下しやすいシート幅方向の端部には、端部ガイド71Aが配置される。したがって、シートの端部は、端部ガイド71Aによって案内部100に近づくように案内される。換言すれば、シートの端部が隙間Gから遠ざかるように上方に案内される。このため、上記の手差し給紙部46Zのようなシート折れやシートの搬送不良が好適に抑止される。特に、昇降板71は、シートを給紙ローラー461に当接させるために上下移動する。したがって、手差しトレイ46Aに積載されたシートの枚数が多い場合には、案内部100に対して昇降板71の位置がより下方に配置される。このため、シートが隙間Gの下方に向かってより進入しやすくなる。本実施形態では、昇降板71が最も下方に位置した場合であっても、シートが隙間Gに進入することを抑止できる程度に、端部ガイド71Aが上方に突出して(隆起して)配置されている。
【0065】
なお、端部ガイド71Aが上記のような形状を備えることによって、前述の延伸プレート722Cとの間に相乗効果が発現される。すなわち、端部ガイド71Aと延伸プレート722Cとは、手差しトレイ46Aに載置されるシートに対してシート長さ方向に沿って同じ向きの撓み形状を付与することとなる。このため、シートが端部ガイド71Aに沿って案内部100に向かって搬入されやすくなる。また、端部ガイド71Aによってシート先端側においても撓み形状が付与されることによって、延伸プレート722Cによるシート後端側の撓み形状が付与されやすくなる。この結果、手差しトレイ46Aの最大長さよりも長いシートが手差しトレイ46Aに載置された場合であっても、前記シートが手差しトレイ46Aから脱離されることが更に防止される。
【0066】
以上、本発明の実施形態に係る手差し給紙部46(手差しトレイ46A)およびこれを備えた画像形成装置1について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば次のような変形実施形態を採用することができる。
【0067】
(1)上記の実施形態では、シートトレイとして手差しトレイ46A、給紙装置として手差し給紙部46を用いて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。給紙装置として、本発明が自動原稿給送装置20に適用される態様でもよい。この場合、前述の読取ユニット25(読取手段)と、自動原稿給送装置20とによって、画像読取装置2が構成される。この場合であっても、昇降板71の形状によって、原稿としてのシートが原稿トレイ21から安定してシート搬送路に送り出される。この結果、シート搬送路に対向して配置された読取ユニット25によって、原稿の画像が好適に読み取られる。
【0068】
(2)上記の実施形態では、シートを安定して案内部100に向かって案内する端部ガイド71Aの形状が昇降板71に配置される態様にて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。トレイ本体70のシート長さ方向の先端部にも、案内部100に対向して端部ガイド71Aと同様の形状が形成される態様であってもよい。また、端部ガイド71Aの形状は、屈曲稜線71Bを中心に屈曲される態様に限定されるものではない。昇降板71の先端部のうちシート幅方向の端部において、少なくとも前記案内方向に突出した端部案内面を備える他の態様であってもよい。