特許第5836360号(P5836360)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許58363601‐シクロプロピル‐8‐メチル‐7‐[5‐メチル‐6‐(メチルアミノ)‐3‐ピリジニル]‐4‐オキソ‐1,4‐ジヒドロ‐3‐キノリンカルボン酸塩
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5836360
(24)【登録日】2015年11月13日
(45)【発行日】2015年12月24日
(54)【発明の名称】1‐シクロプロピル‐8‐メチル‐7‐[5‐メチル‐6‐(メチルアミノ)‐3‐ピリジニル]‐4‐オキソ‐1,4‐ジヒドロ‐3‐キノリンカルボン酸塩
(51)【国際特許分類】
   C07D 401/04 20060101AFI20151203BHJP
   A61K 31/4709 20060101ALI20151203BHJP
   A61P 31/10 20060101ALI20151203BHJP
【FI】
   C07D401/04CSP
   A61K31/4709
   A61P31/10
【請求項の数】4
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2013-503005(P2013-503005)
(86)(22)【出願日】2010年4月6日
(65)【公表番号】特表2013-523786(P2013-523786A)
(43)【公表日】2013年6月17日
(86)【国際出願番号】EP2010054506
(87)【国際公開番号】WO2011124249
(87)【国際公開日】20111013
【審査請求日】2013年1月18日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】501108452
【氏名又は名称】フエルレル インターナショナル,ソシエダッド アノニマ
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】特許業務法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】パロメル、アルベルト
(72)【発明者】
【氏名】アングラーダ、ルイス
【審査官】 榎本 佳予子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−356426(JP,A)
【文献】 国際公開第2005/094788(WO,A1)
【文献】 長瀬 博,最新 創薬化学 下巻,株式会社 テクノミック,1999年 9月25日,p.347-349
【文献】 仲町秀男,医薬品と結晶水,化学と工業,1980年,Vol.33, No.9,p.605-607
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D 401/04
A61K 31/4709
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水に対し0.050mg/mL以上の溶解度を有する1‐シクロプロピル‐8‐メチル‐7‐[5‐メチル‐6‐(メチルアミノ)‐3‐ピリジニル]‐4‐オキソ‐1,4‐ジヒドロ‐3‐キノリンカルボン酸塩酸塩一水和物である製薬上の塩であって、粉末X線回折パターンで、2θで、9.5、25.4及び26.0;又は8.6、9.5、14.7、16.7、20.6、25.4、26.0及び29.8に特徴的なピークを有する、上記製薬上の塩。
【請求項2】
活性成分として請求項1に記載の製薬上の塩を含む医薬組成物。
【請求項3】
医薬として使用するための請求項1に記載の製薬上の塩。
【請求項4】
細菌感染症の治療又は予防に使用するための請求項1に記載の製薬上の塩。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は1‐シクロプロピル‐8‐メチル‐7‐[5‐メチル‐6‐(メチルアミノ)‐3‐ピリジニル]‐4‐オキソ‐1,4‐ジヒドロ‐3‐キノリンカルボン酸のクエン酸塩、ヘミフマル酸塩、マレイン酸塩、L‐酒石酸塩、メシル酸塩、塩酸塩、カリウム塩、及びナトリウム塩に関する。これらの塩は水溶性が改良されていることが特徴である。
【背景技術】
【0002】
1‐シクロプロピル‐8‐メチル‐7‐[5‐メチル‐6‐(メチルアミノ)‐3‐ピリジニル]‐4‐オキソ‐1,4‐ジヒドロ‐3‐キノリンカルボン酸は米国特許第6335447号に開示されている。この物質はオゼノキサシン(ozenoxacin)という国際一般的名称(INN)で知られている。
【0003】
【化1】

オゼノキサシン、C2121(I)
【0004】
オゼノキサシンは公知の抗菌剤である。オゼノキサシンを含む幾つかの皮膚科用組成物がJP2002356426A、JP2003226643A、EP1731138A1及びWO2007015453A1に開示されている。オゼノキサシンの眼科用組成物がJP2007119456A、及びYamakawa,T.et al.,Journal of Controlled Release(2003),86(1),101−103に開示されている。
【0005】
上記の米国特許第6335447号は概括的に塩に言及しているがデスフルオロキノロン化合物(I)の特定の塩を開示しているわけではない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
オゼノキサシンは水への低い溶解度を示す。水溶性が極めて低い医薬品はその溶解速度の遅さの故に製剤上の問題を提示していることは周知である。さらに、水溶性の低い医薬品の効率は、全身投与が要求される時には厳しく制限され、吸収の個人間偏差が大きく、溶解性の低い医薬品はしばしば適切に吸収されないのである。
【0007】
従って、この薬剤物質のより良い医薬化合物を供給するために、オゼノキサシンの可溶性塩を発見することが望まれていた。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らはオゼノキサシンの様々な塩を調べ、オゼノキサシンの特定の塩が基剤薬剤よりも高い可溶性を有していることを見出した。
【0009】
第一の態様として本発明は、溶解度が水に対し0.050mg/mL以上であることを特徴とする、1‐シクロプロピル‐8‐メチル‐7‐[5‐メチル‐6‐(メチルアミノ)‐3‐ピリジニル]‐4‐オキソ‐1,4‐ジヒドロ‐3‐キノリンカルボン酸の製薬上の塩に関するものである。
【0010】
第二の態様として本発明は、クエン酸塩、ヘミフマル酸塩、マレイン酸塩、L‐酒石酸塩、メシル酸塩、塩酸塩、カリウム塩、及びナトリウム塩からなる群から選ばれる、1‐シクロプロピル‐8‐メチル‐7‐[5‐メチル‐6‐(メチルアミノ)‐3‐ピリジニル]‐4‐オキソ‐1,4‐ジヒドロ‐3‐キノリンカルボン酸の製薬上の塩に関するものである。
【0011】
第三の態様として本発明は、活性成分として、クエン酸塩、ヘミフマル酸塩、マレイン酸塩、L‐酒石酸塩、メシル酸塩、塩酸塩、カリウム塩、及びナトリウム塩からなる群から選ばれる、1‐シクロプロピル‐8‐メチル‐7‐[5‐メチル‐6‐(メチルアミノ)‐3‐ピリジニル]‐4‐オキソ‐1,4‐ジヒドロ‐3‐キノリンカルボン酸の製薬上の塩を含む医薬組成物に関するものである。
【0012】
第四の態様として本発明は、医薬として使用するための、クエン酸塩、ヘミフマル酸塩、マレイン酸塩、L‐酒石酸塩、メシル酸塩、塩酸塩、カリウム塩、及びナトリウム塩からなる群から選ばれる、1‐シクロプロピル‐8‐メチル‐7‐[5‐メチル‐6‐(メチルアミノ)‐3‐ピリジニル]‐4‐オキソ‐1,4‐ジヒドロ‐3‐キノリンカルボン酸の製薬上の塩に関するものである。
【0013】
第五の態様として本発明は、細菌感染症の治療と予防のための医薬の製造のための、クエン酸塩、ヘミフマル酸塩、マレイン酸塩、L‐酒石酸塩、メシル酸塩、塩酸塩、カリウム塩、及びナトリウム塩からなる群から選ばれる、1‐シクロプロピル‐8‐メチル‐7‐[5‐メチル‐6‐(メチルアミノ)‐3‐ピリジニル]‐4‐オキソ‐1,4‐ジヒドロ‐3‐キノリンカルボン酸の製薬上の塩の使用に関するものである。
【0014】
第六の態様として本発明は、細菌感染症の治療と予防に使用するための、クエン酸塩、ヘミフマル酸塩、マレイン酸塩、L‐酒石酸塩、メシル酸塩、塩酸塩、カリウム塩、及びナトリウム塩からなる群から選ばれる、1‐シクロプロピル‐8‐メチル‐7‐[5‐メチル‐6‐(メチルアミノ)‐3‐ピリジニル]‐4‐オキソ‐1,4‐ジヒドロ‐3‐キノリンカルボン酸の製薬上の塩に関するものである。
【0015】
この発明の他の目的は、クエン酸塩、ヘミフマル酸塩、マレイン酸塩、L‐酒石酸塩、メシル酸塩、塩酸塩、カリウム塩、及びナトリウム塩からなる群から選ばれる、1‐シクロプロピル‐8‐メチル‐7‐[5‐メチル‐6‐(メチルアミノ)‐3‐ピリジニル]‐4‐オキソ‐1,4‐ジヒドロ‐3‐キノリンカルボン酸の製薬上の塩の治療有効量を投与することによる細菌感染症に罹っている又はそのリスクにある対象を治療する新規な方法を提供することである。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】実施例1の化合物のFT−ラマンスペクトルを示す。
図2】実施例1の化合物の粉末X線回折パターンを示す。
図3】実施例2の化合物のFT−ラマンスペクトルを示す。
図4】実施例2の化合物の粉末X線回折パターンを示す。
図5】実施例3の化合物のFT−ラマンスペクトルを示す。
図6】実施例3の化合物の粉末X線回折パターンを示す。
図7】実施例4の化合物のFT−ラマンスペクトルを示す。
図8】実施例4の化合物の粉末X線回折パターンを示す。
図9】実施例5の化合物のFT−ラマンスペクトルを示す。
図10】実施例5の化合物の粉末X線回折パターンを示す。
図11】実施例6の化合物のFT−ラマンスペクトルを示す。
図12】実施例6の化合物の粉末X線回折パターンを示す。
図13】実施例7の化合物のFT−ラマンスペクトルを示す。
図14】実施例7の化合物の粉末X線回折パターンを示す。
図15】実施例8の化合物のIRスペクトルを示す。
図16】実施例8の化合物の粉末X線回折パターンを示す。
【0017】
FT−ラマンスペクトルにおいて座標の縦軸は強度を示し、座標の横軸はラマンシフト(cm−1)を示す。
IRスペクトルにおいて座標の縦軸は吸収%を示し、座標の横軸は波長(cm−1)を示す。
粉末X線回折パターンにおいて座標の縦軸は回折強度を示し、座標の横軸は回折角(2θ)を示す。
【発明を実施するための形態】
【0018】
好ましい実施態様では、本発明は、水への溶解度が0.075mg/mL以上であることを特徴とする発明の第一の態様に従った製薬上の塩に関する。
【0019】
好ましくは、本発明は発明の第二の態様に従った製薬上の塩であって、
a)1‐シクロプロピル‐8‐メチル‐7‐[5‐メチル‐6‐(メチルアミノ)‐3‐ピリジニル]‐4‐オキソ‐1,4‐ジヒドロ‐3‐キノリンカルボン酸クエン酸塩、
b)1‐シクロプロピル‐8‐メチル‐7‐[5‐メチル‐6‐(メチルアミノ)‐3‐ピリジニル]‐4‐オキソ‐1,4‐ジヒドロ‐3‐キノリンカルボン酸ヘミフマル酸塩、
c)1‐シクロプロピル‐8‐メチル‐7‐[5‐メチル‐6‐(メチルアミノ)‐3‐ピリジニル]‐4‐オキソ‐1,4‐ジヒドロ‐3‐キノリンカルボン酸マレイン酸塩、
d)1‐シクロプロピル‐8‐メチル‐7‐[5‐メチル‐6‐(メチルアミノ)‐3‐ピリジニル]‐4‐オキソ‐1,4‐ジヒドロ‐3‐キノリンカルボン酸L‐酒石酸塩、
e)1‐シクロプロピル‐8‐メチル‐7‐[5‐メチル‐6‐(メチルアミノ)‐3‐ピリジニル]‐4‐オキソ‐1,4‐ジヒドロ‐3‐キノリンカルボン酸メシル酸塩、
f)1‐シクロプロピル‐8‐メチル‐7‐[5‐メチル‐6‐(メチルアミノ)‐3‐ピリジニル]‐4‐オキソ‐1,4‐ジヒドロ‐3‐キノリンカルボン酸塩酸塩、
g)1‐シクロプロピル‐8‐メチル‐7‐[5‐メチル‐6‐(メチルアミノ)‐3‐ピリジニル]‐4‐オキソ‐1,4‐ジヒドロ‐3‐キノリンカルボン酸塩酸塩水和物、
h)1‐シクロプロピル‐8‐メチル‐7‐[5‐メチル‐6‐(メチルアミノ)‐3‐ピリジニル]‐4‐オキソ‐1,4‐ジヒドロ‐3‐キノリンカルボン酸塩酸塩一水和物、
i)1‐シクロプロピル‐8‐メチル‐7‐[5‐メチル‐6‐(メチルアミノ)‐3‐ピリジニル]‐4‐オキソ‐1,4‐ジヒドロ‐3‐キノリンカルボン酸カリウム塩、及び
j)1‐シクロプロピル‐8‐メチル‐7‐[5‐メチル‐6‐(メチルアミノ)‐3‐ピリジニル]‐4‐オキソ‐1,4‐ジヒドロ‐3‐キノリンカルボン酸ナトリウム塩
である上記塩に関する。
【0020】
或る態様によれば、クエン酸塩はラマンスペクトルで、2930、1640、1390、1370、1290、1210、780及び670(cm−1)に特徴的なピークを有する。特に、クエン酸塩は図1に示すラマンスペクトルで特徴付けられる。
【0021】
或る態様によれば、クエン酸塩は粉末X線回折パターンで、2θで、5.9、6.7、9.8、12.3、18.2、24.1及び26.5;又は5.9、6.7、8.3、9.8、11.8、12.3、14.0、15.3、17.1、17.4、18.2、18.8、19.4、19.7、20.2、23.0、23.6、24.1、24.5、25.1、25.9、26.5及び27.3に特徴的なピークを有する。特に、クエン酸塩は図2に示す粉末X線回折パターンで特徴付けられる。
【0022】
或る態様によれば、ヘミフマル酸塩はラマンスペクトルで、3042、2942、1635、1400及び1317(cm−1)に特徴的なピークを有する。特に、ヘミフマル酸塩は図3に示すラマンスペクトルで特徴付けられる。
【0023】
或る態様によれば、ヘミフマル酸塩は粉末X線回折パターンで、2θで、5.5、12.0、12.8、16.2、20.9、26.5及び29.1;又は5.5、12.0、12.8、13.0、16.2、16.8、20.6、20.9、23.6、24.4、26.5、27.8及び29.1に特徴的なピークを有する。特に、ヘミフマル酸塩は図4に示す粉末X線回折パターンで特徴付けられる。
【0024】
或る態様によれば、マレイン酸塩はラマンスペクトルで、617(cm−1)に特徴的なピークを有する。特に、マレイン酸塩は図5に示すラマンスペクトルで特徴付けられる。
【0025】
或る態様によれば、マレイン酸塩は粉末X線回折パターンで、2θで、7.7、12.3、12.8、14.0、21.5、25.7、26.3及び28.2;又は7.7、12.3、12.8、13.6、14.0、16.0、17.9、21.5、23.2、24.95、25.7、26.3、28.2、29.8、30.3、32.3及び38.3に特徴的なピークを有する。特に、マレイン酸塩は図6に示す粉末X線回折パターンで特徴付けられる。
【0026】
或る態様によれば、L-酒石酸塩はラマンスペクトルで、3067、3005、2960、1625、1417、1367、1325、1285、1247及び783(cm−1)に特徴的なピークを有する。特に、L-酒石酸塩は図7に示すラマンスペクトルで特徴付けられる。
【0027】
或る態様によれば、L-酒石酸塩は粉末X線回折パターンで、2θで、5.3、9.4、12.1、14.7、16.0、18.7、22.6、23.1及び24.5;又は5.3、9.4、10.7、12.1、13.9、14.7、15.6、16.0、16.7、18.1、18.7、19.8、20.9、21.3、21.7、22.6、23.1、24.5、25.2、25.7、26.4及び34.9に特徴的なピークを有する。特に、L-酒石酸塩は図8に示す粉末X線回折パターンで特徴付けられる。
【0028】
或る態様によれば、メシル酸塩はラマンスペクトルで、2942、1608、1365及び1300(cm−1)に特徴的なピークを有する。特に、メシル酸塩は図9に示すラマンスペクトルで特徴付けられる。
【0029】
或る態様によれば、メシル酸塩は粉末X線回折パターンで、2θで、8.3、11.2、17.9、18.6、20.8及び29.9;又は8.3、11.2、12.4、12.8、13.7、17.9、18.6、19.5、20.8、22.4及び29.9に特徴的なピークを有する。特に、メシル酸塩は図10に示す粉末X線回折パターンで特徴付けられる。
【0030】
或る態様によれば、塩酸塩一水和物塩はラマンスペクトルで、1615、1380、1350及び1300(cm−1)に特徴的なピークを有する。特に、塩酸塩一水和物塩は図11に示すラマンスペクトルで特徴付けられる。
【0031】
或る態様によれば、塩酸塩一水和物塩は粉末X線回折パターンで、2θで、9.5、25.4及び26.0;又は8.6、9.5、14.7、16.7、20.6、25.4、26.0及び29.8に特徴的なピークを有する。特に、塩酸塩一水和物塩は図12に示す粉末X線回折パターンで特徴付けられる。
【0032】
或る態様によれば、カリウム塩はラマンスペクトルで、3050、3017、2940、1600、1358及び1325(cm−1)に特徴的なピークを有する。特に、カリウム塩は図13に示すラマンスペクトルで特徴付けられる。
【0033】
或る態様によれば、カリウム塩は粉末X線回折パターンで、2θで、5.8、16.2、19.7及び25.7;又は5.8、9.9、14.7、16.2、19.7及び25.7に特徴的なピークを有する。特に、カリウム塩は図14に示す粉末X線回折パターンで特徴付けられる。
【0034】
或る態様によれば、ナトリウム塩はラマンスペクトルで、3370、1630、1580、1520、1430、1390、1360、1280及び630(cm−1)に特徴的なピークを有する。特に、ナトリウム塩は図15に示すラマンスペクトルで特徴付けられる。
【0035】
或る態様によれば、ナトリウム塩は図16に示す粉末X線回折パターンで特徴付けられる。
【0036】
酸添加塩はデスフルオロキノロン遊離塩基(I)の対応する酸との反応により得ることができる。一方、アルカリ塩は(I)の対応する水酸化物との反応により得ることができる。塩化(salification)プロセスには非常に多種類の溶媒を用いることができる。適切な溶媒の非制限的な例として、酢酸エチル、エタノール、エタノールと水の混合物、ジメチルスルホキシド、t−ブチルメチルエーテル、アセトニトリル等、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0037】
本発明の化合物は全身投与に適した医薬組成物において適切な賦形剤、担体、及び希釈剤とともに処方することができる。このような組成物には薬剤の有意な血中濃度が要求されるものを含み、ヒト及び動物のいくつかの細菌感染を治療し予防するのに有益である。本発明の化合物は、錠剤、カプセル、粉末、シロップ、顆粒、ピル、懸濁液、乳化液、液体、粉末製剤、坐薬、点眼薬、点鼻薬、点耳薬、包帯、軟膏、又は注射剤の形態で従来の方法に従って経口又は非経口投与によって、投与することができる。投与方法、用量及び投与の回数は、年齢、体重及び患者の症状に応じて適当に選ぶことができる。通常は、本発明の化合物は成人に一度に又は数回の部分に分けて経口又は非経口投与により0.1〜100mg/kgの用量で投与することができる(例えば、注射、点滴、直腸部への投与)。治療又は予防すべき特定の感染症には、デスフルオロキノロン化合物(I)に感受性のあるあらゆる種類の細菌によって引き起こされるものが挙げられる。
【0038】
明細書及び特許請求の範囲を通してすべて、「を含む」の用語及びその用語の変化(例えば、「含んでいる」)は他の技術的特徴、添加剤、成分、又は工程を排除することを意図するものではない。発明の更なる目的、利点、及び特徴は、明細書を調べれば当業者に明らかとなるであろうし、発明の実施により習得してもよい。以下の実施例は説明のために提供するものであって、本発明を限定することを意図するものではない。
【実施例】
【0039】
装置
FT−ラマン。
Bruker RFS100
Nd:YAG 1064nm励起、300mWレーザー出力、Ge検出器、64スキャン、範囲25〜3500cm−1、2cm−1、分解能。
【0040】
IR
Thermo Nicolet Nexus。
15798cm−1レーザー周波数、DTGS KBr検出器、32スキャン、範囲400〜4000cm−1、4cm−1分解能。
【0041】
粉末X線回折パターン(図8、10、12及び14)
CuKα線のX線回折計Bruker D8 Advance(装置 Nr.G.16.SYS.S013);標準測定条件:管出力35kV/45mA、ステップサイズ0.017°(2θ)、ステップ時間105±5秒、スキャン範囲2〜50°(2θ)、発散スリットは変数V12に設定;試料を回転させた;検出器Vantec1、オープニング角3°、チャンネル数360±10。
試料台:シリコン単結晶
試料の大きさ、深さ/直径:1.0mm/12mm又は0.5mm/12mm又は0.1mm/〜12mm。
回折図のy軸(カウント数又はCPS)は全強度(/秒)ではなく、活性な検出器チャネル数当たりの強度値(/秒)を示す。
【0042】
粉末X線回折パターン(図16
X線回折計PANalytical X’Pert PRO MPD(CuKα線);標準測定条件:管出力45kV/40mA、ステップサイズ0.017°(2θ)、ステップ時間300秒、スキャン範囲2〜50°(2θ)、スリット0.19mm、検出器 X’Celerator。
【0043】
実施例1:1‐シクロプロピル‐8‐メチル‐7‐[5‐メチル‐6‐(メチルアミノ)‐3‐ピリジニル]‐4‐オキソ‐1,4‐ジヒドロ‐3‐キノリンカルボン酸クエン酸塩(C2121・C
デスフルオロキノロン化合物(I)(100.3mg)及びクエン酸(52.7mg)の混合物をボールミル(90分、30Hz)で酢酸エチル(50μL)を添加しながら処理した。得られた粉末を酢酸エチル(0.5mL)中、温度サイクル(T1=25℃、T2=30℃、500rpm)で振った。一晩後、懸濁液を濾過し、固体を真空乾燥した。
FTスペクトルを図1に示す。
粉末X線回折パターンを図2に示す。座標の縦軸はLin(cps)で表した回折強度を示す。
【0044】
実施例2:1‐シクロプロピル‐8‐メチル‐7‐[5‐メチル‐6‐(メチルアミノ)‐3‐ピリジニル]‐4‐オキソ‐1,4‐ジヒドロ‐3‐キノリンカルボン酸ヘミフマル酸塩(C2121・0.5C
(I)(100mg)及びフマル酸(35mg)の混合物をボールミル(90分、30Hz)で酢酸エチル(50μL)を添加しながら処理した。得られた固体をエタノール(1mL)中、温度サイクル(T1=25℃、T2=30℃、600rpm)で振った。一晩後、懸濁液を濾過し、固体を真空乾燥した。
FTスペクトルを図3に示す。
粉末X線回折パターンを図4に示す。座標の縦軸はカウント/秒で表した回折強度を示す。
【0045】
実施例3:1‐シクロプロピル‐8‐メチル‐7‐[5‐メチル‐6‐(メチルアミノ)‐3‐ピリジニル]‐4‐オキソ‐1,4‐ジヒドロ‐3‐キノリンカルボン酸マレイン酸塩(C2121・C
(I)(99.8mg)及びマレイン酸(31.9mg)の混合物をボールミル(90分、30Hz)でエタノール:水(1:1)(50μL)を添加しながら処理した。得られた固体をエタノール(1mL)中、温度サイクル(T1=25℃、T2=30℃、500rpm)で振った。一晩後、懸濁液を濾過し、固体を真空乾燥した。
FTスペクトルを図5に示す。
粉末X線回折パターンを図6に示す。座標の縦軸はLin(cps)で表した回折強度を示す。
【0046】
実施例4:1‐シクロプロピル‐8‐メチル‐7‐[5‐メチル‐6‐(メチルアミノ)‐3‐ピリジニル]‐4‐オキソ‐1,4‐ジヒドロ‐3‐キノリンカルボン酸L‐酒石酸塩(C2121・C
(I)(100.1mg)及びL‐酒石酸(41.2mg)の混合物をボールミル(90分、30Hz)で酢酸エチル(50μL)を添加しながら処理した。得られた固体を酢酸エチル(1mL)中、温度サイクル(T1=25℃、T2=30℃、500rpm)で振った。一晩後、懸濁液を濾過し、固体を真空乾燥した。
FTスペクトルを図7に示す。
粉末X線回折パターンを図8に示す。座標の縦軸はLin(cps)で表した回折強度を示す。
【0047】
実施例5:1‐シクロプロピル‐8‐メチル‐7‐[5‐メチル‐6‐(メチルアミノ)‐3‐ピリジニル]‐4‐オキソ‐1,4‐ジヒドロ‐3‐キノリンカルボン酸メシル酸塩(C2121・CHS)
化合物(I)(100mg)及びメタンスルホン酸(17.9μL)の混合物をジメチルスルホキシド(10mL)に溶かした。清澄な溶液を濃縮し、得られた固体をt‐ブチルメチルエーテル(2mL)中、温度サイクル(T1=25℃、T2=30℃、500rpm)で振った。一晩後、懸濁液を濾過し、固体を真空乾燥した。
FTスペクトルを図9に示す。
粉末X線回折パターンを図10に示す。座標の縦軸はLin(cps)で表した回折強度を示す。
【0048】
実施例6:1‐シクロプロピル‐8‐メチル‐7‐[5‐メチル‐6‐(メチルアミノ)‐3‐ピリジニル]‐4‐オキソ‐1,4‐ジヒドロ‐3‐キノリンカルボン酸塩酸塩一水和物塩(C2121・HCl・HO)
化合物(I)(200.4mg)をHCl(0.1N)(5.5mL)及び追加のHO(60mL)及びエタノール(10mL)に溶かした。懸濁液を2時間攪拌し、濾過した。清澄な溶液を濃縮し(N)、得られた黄色の固体を真空乾燥し、次いでt‐ブチルメチルエーテル(4mL)中、温度サイクル(T1=25℃、T2=30℃、500rpm)で振った。一日後、懸濁液を濾過し、固体を真空乾燥した。固体にアセトニトリル(4mL)を加え、懸濁液を超音波浴(10分)で処理し、次いで25℃で振った(30分)。懸濁液を濾過し真空乾燥した。
FTスペクトルを図11に示す。
粉末X線回折パターンを図12に示す。座標の縦軸はカウント/秒で表した回折強度を示す。
【0049】
実施例7:1‐シクロプロピル‐8‐メチル‐7‐[5‐メチル‐6‐(メチルアミノ)‐3‐ピリジニル]‐4‐オキソ‐1,4‐ジヒドロ‐3‐キノリンカルボン酸カリウム塩(C2120KN
化合物(I)(100mg)を水(5mL)にKOH(0.05M)(5.5mL)を添加しながら溶かした。溶液を濾過し、濃縮し、非晶質の残渣をアセトニトリル(0.5mL)中(温度サイクル:T1=25℃、T2=30℃、600rpm)振り、その結果白色の固体が形成された。一日後、追加のアセトニトリル(1mL)を加え、懸濁液を超音波浴で短時間処理し、次いで前と同じ温度サイクルで振った。2時間後懸濁液を濾過し、固体を真空乾燥した。
FTスペクトルを図13に示す。
粉末X線回折パターンを図14に示す。座標の縦軸はLin(cps)で表した回折強度を示す。
【0050】
実施例8:1‐シクロプロピル‐8‐メチル‐7‐[5‐メチル‐6‐(メチルアミノ)‐3‐ピリジニル]‐4‐オキソ‐1,4‐ジヒドロ‐3‐キノリンカルボン酸ナトリウム塩(C2120NaO
化合物(I)(22.87mg)を水(130mL)に懸濁させた。NaOHの水溶液(0.5M)(126mL)を1時間20分の間添加した。次いでNaOHの水溶液(1%)(1.3mL)を添加した。混合物を1時間振った後、pHが10.99〜11.00で安定し、混合物は濁りを示した。次いで25mLの水を添加し、15分振った。追加の分量の水(25mL)を添加し、混合物を更に15分振った。溶液を冷却し、固体を得、凍結乾燥した。
IRスペクトルを図15に示す。
粉末X線回折パターンを図16に示す。座標の縦軸はLin(cps)で表した回折強度を示す。
【0051】
実施例9:水への溶解度
塩の水への溶解度を決定するため、塩の懸濁液を2時間、20℃、400rpmで振った。塩の量と対応する水の体積を表1にまとめた。その後混合物を濾過し(0.1μm遠心フィルター)、濃縮物をHPLCで決定した。
【0052】
表1
【表1】

HPLCで決定した塩の水への溶解度を表2に示す。
【0053】
表2
【表2】
図1
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