特許第5836401号(P5836401)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5836401
(24)【登録日】2015年11月13日
(45)【発行日】2015年12月24日
(54)【発明の名称】風力発電システム
(51)【国際特許分類】
   F03D 11/00 20060101AFI20151203BHJP
   F03D 7/04 20060101ALI20151203BHJP
【FI】
   F03D11/00 Z
   F03D7/04 H
【請求項の数】8
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2013-554067(P2013-554067)
(86)(22)【出願日】2012年1月18日
(86)【国際出願番号】JP2012000248
(87)【国際公開番号】WO2013108288
(87)【国際公開日】20130725
【審査請求日】2013年12月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005108
【氏名又は名称】株式会社日立製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100100310
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 学
(74)【代理人】
【識別番号】100098660
【弁理士】
【氏名又は名称】戸田 裕二
(74)【代理人】
【識別番号】100091720
【弁理士】
【氏名又は名称】岩崎 重美
(72)【発明者】
【氏名】今家 和宏
(72)【発明者】
【氏名】一瀬 雅哉
【審査官】 佐藤 秀之
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2012/001739(WO,A1)
【文献】 特表2009−533011(JP,A)
【文献】 特開2001−190096(JP,A)
【文献】 特開2011−211817(JP,A)
【文献】 特開2007−239599(JP,A)
【文献】 特開2003−129935(JP,A)
【文献】 特開2008−125174(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F03D 11/00
F03D 7/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
風を受けて回転するブレードと、該ブレードに接続されるロータと、該ロータに接続され、該ロータの回転に伴って回転子を回転させて発電電力を発生させて系統に前記発電電力を供給する主発電機と、を備える風車と、を備え、
前記主発電機は前記回転子に永久磁石を搭載した永久磁石式回転発電機であり、
更に、該風車を制御する補機及び風車制御装置と、
前記主発電機における前記永久磁石により発生させられた発電電力を調整して前記風車制御装置及び前記補機に供給する電力変換器と、
前記永久磁石式回転発電機に接続されて交流電力を直流電力に変換する直流変換器と、該直流変換器に接続されて変換された前記直流電力により、前記電力変換器を制御する制御装置とを備えることを特徴とする風力発電システム。
【請求項2】
請求項1に記載の風力発電システムであって、
前記永久磁石式回転発電機と前記電力変換器の間に前記直流変換器は配置されており、
前記電力変換器には直流電力が印加されることを特徴とする風力発電システム。
【請求項3】
請求項1または2に記載の風力発電システムであって、
前記直流変換器はダイオードであることを特徴とする風力発電システム。
【請求項4】
請求項1または2に記載の風力発電システムであって、
前記直流変換器はコンバータであることを特徴とする風力発電システム。
【請求項5】
請求項4に記載の風力発電システムであって、
前記電力変換器はインバータであることを特徴とする風力発電システム。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれか一つに記載の風力発電システムであって、
更に、インバータと、
該インバータに接続されると共に、コイル及びコンデンサを有するLCフィルタと、
該LCフィルタに接続される遮断器と、
該遮断器に接続される変圧器とを備え、
該変圧器の高電圧側は電力系統と接続されていることを特徴とする風力発電システム。
【請求項7】
請求項6に記載の風力発電システムであって、
更に励磁式発電機と、
該励磁式発電機による交流の発電電力を直流に変換するコンバータとを備え、
該コンバータは、請求項6に記載のインバータに接続されることを特徴とする風力発電システム。
【請求項8】
請求項1ないし7のいずれか一つに記載の風力発電システムであって、
前記風車は、前記ロータが風下を向いた状態で発電するダウンウインド型風車であることを特徴とする風力発電システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は風力発電システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
風力発電システムは、太陽電池等と共に再生可能エネルギーとして、急速に普及が拡大している。従来の風力発電システムとして、例えば特許文献1に記載されたものがある。該特許文献1には、風力発電システムについて無停電電源を用いる技術が記載されている。
【0003】
また特許文献2には、電力系統の系統電圧が低下する異常の発生に応答して、風車ロータの回転から発生された電力をピッチ制御機構に供給する非常用電力供給機構とを具備する風力発電システムが記載されており、該非常用電力供給機構は電力系統の系統電圧が低下する異常の発生に応答してピッチ角制御機構に電力を供給するものが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許6921985号
【特許文献2】特開2007−239599号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記各特許文献によれば、電力系統の系統電圧が低下する異常時においては、一時的に制御用電源を賄える様にしているが、あくまでも非常時においての一時的な制御によるものであり、通常の発電運転中とは回路を切替える必要がある。よって、回路の切替のために機構が複雑化することは回避しがたい。また、当該回路の切替は非常時におけるものであり、万が一適切に動作しなかった場合、機器への損傷等を防ぐ手立てを失う恐れがある。
【0006】
そこで、本発明では電力系統の系統電圧が低下する異常時においても、通常の発電運転中とは回路の切替えを必要としない風力発電システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、本発明に係る風力発電システムは、風を受けて回転するブレードと、該ブレードに接続されるロータと、該ロータに接続され、該ロータの回転に伴って回転子を回転させて発電電力を発生させて系統に前記発電電力を供給する主発電機と、を備える風車と、を備え、前記主発電機は前記回転子に永久磁石を搭載した永久磁石式回転発電機であり、更に、該風車を制御する補機及び風車制御装置と、前記主発電機における前記永久磁石により発生させられた発電電力を調整して前記風車制御装置及び前記補機に供給する電力変換器と、前記永久磁石式回転発電機に接続されて交流電力を直流電力に変換する直流変換器と、該直流変換器に接続されて変換された前記直流電力により、前記電力変換器を制御する制御装置とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、電力系統の系統電圧が低下する異常時においても、通常の発電運転中とは回路の切替えを必要としない風力発電システムを提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施例1に係る風力発電システムの単線結線図である。
図2】電力変換器を説明するための図である。
図3】実施例2に係る風力発電システムの単線結線図である。
図4】実施例3に係る風力発電システムの単線結線図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、上記した本発明を実施するうえで好適な実施の形態について図面を用いて説明する。下記はあくまでも実施例に過ぎず、発明内容が係る特定の態様に限定して解釈されることを意図する趣旨ではない。
【実施例1】
【0011】
実施例1に係る風力発電システムについて図1及び図2を用いて説明する。本実施例に係る風力発電システムは、風を受けて回転する円周方向に均等に3枚に配置されたブレード202と、ブレード202に接続されてブレード202の回転軸となるロータ220と、ロータ220に接続されて回転速度を増加させるギアボックス221と、ギアボックス221を介して増速された永久磁石式回転発電機(PMG)201とを有する風車と、永久磁石式回転発電機201に接続される補機電源205と、補機電源205からの電力供給を受けてブレード202の(受風面積を制御する)ピッチ角制御や、図示を省略しているが、基礎の上に構築されたタワー上部に配置されるナセルの水平面内の回転角度を制御するヨー制御等を行う補機206と、補機206に指令を出力する風車制御装置203と、永久磁石式回転発電機201に接続される電力変換器204と、電力変換器204に接続されて高調波を抑制するLCフィルタ214と、LCフィルタ214に接続されて交流電流を遮断する遮断器212と、遮断器212と電力系統10との間に接続されて、風車によって発電された発電電力を昇圧して電力系統10に接続するための変圧器3とを有している。尚、これら各機器は全て風車内に配置することも可能であり、また一部を風車外に配置することも可能である。いずれを採用するかは設置環境等によって適宜変更可能である。
【0012】
補機電源205は、永久磁石式回転発電機201によって発生された交流電力を整流して直流電力に変換するダイオードブリッジ207と、ダイオードブリッジ207によって直流に変換された電力により賄われる制御電源208と、制御電源208によって駆動し、補機電源205内に配置された電力変換器210を制御する制御装置209とを備えている。制御装置209からの指令211により、電力変換器210は、補機206に適正な電力を供給できる様になっている。
【0013】
図2には電力変換器204の構成を示している。電力変換器204は、永久磁石式回転発電機201によって発生された交流電力を直流電力に変換するコンバータ2042と、該コンバータ2042より電力系統側に配置されてコンバータ2042によって変換された直流電力を商用周波数の交流電力に変換するインバータ2041と、インバータ2041及びコンバータ2042の間に配置される平滑コンデンサ2043とを有している。各インバータ及びコンバータは6個のスイッチング素子から構成されている。該電力変換器204により、電力系統10に送電する上で適正な(品質の高い)周波数及び波形に変換される。
【0014】
LCフィルタ214は、二つのコイル215と、二つのコイル215間に配置されるコンデンサ216とを有しており、電力変換器204から電力系統10側に出力される高調波を抑制する。
【0015】
風車の発電運転時の補機206による制御について説明する。風車は、カットインスピード以上の(または、より大きい)風速で、かつ、暴風時のカットアウト風速以下(または未満)の時に発電運転を行う。尚、カットインスピードやカットアウトスピードは機種によって仕様が異なる。
【0016】
本実施例では、発電機として永久磁石式回転発電機201を用いており、励磁電流が無くともロータ202が回転することで発電を行う。発電運転中において、永久磁石式回転発電機201が発生した交流の発電電力は補機電源205内のダイオードブリッジ207と、電力変換器210に印加される。
【0017】
ダイオードブリッジ207に印加された交流電流は、整流されて直流電力に変換される。それにより、制御装置209の制御電源208が賄われる。制御電源208に直流電力を用いるのは、制御装置に含まれる制御基板上のマイコン、メモリ、FPGA等のIC類が直流でないと動作しないためである。電力変換器210には永久磁石式回転発電機201が発生した交流の発電電力が印加されるが、制御装置209から指令211を電力変換器210に対して出力することにより、適正な電力波形及び周波数に変換して補機206及び風車制御装置203に供給できる。
【0018】
補機206は電力変換器210から電力供給を受けて風車制御装置203に指令を出し、風速や風向に応じてロータ202のピッチ角制御やヨー制御を行う。
【0019】
風車の発電運転時の発電電力は、永久磁石式回転発電機201から電力変換器204を介して電力系統10に送電される。この際、電力変換器204内のコンバータ2042及びインバータ2041により、品質を担保された電力へと変換され、更にLCフィルタ214により、電力変換器204から生ずる高調波ノイズもフィルタリングすることで、一層電力品質を向上させることができる。遮断器212は事故等が生じた場合に、事故の波及を防止するために設けられている。電力品質を向上させた発電電力は昇圧用の変圧器3により、電力系統10用に高電圧に変圧される。
【0020】
本実施例によれば、永久磁石式回転発電機201の発電電力により、風車を制御する補機電源205を賄っているので、電力系統10の状態によらずに補機206による制御、即ち風車全体の制御を行うことが可能となる。即ち、電力系統の系統電圧が低下しても、通常の発電運転中とは回路の切替えを必要としない。
【実施例2】
【0021】
実施例2について図3を用いて説明する。尚、実施例1と重複する箇所については説明を省略し、実施例1に対する変更箇所についてのみ説明する。
【0022】
実施例1では、永久磁石式回転発電機201に直接補機電源205を接続したが、本実施例では補機電源225は、電力変換器204内のコンバータ2042とインバータ2041の間の直流電流領域に接続させている。
【0023】
従って、コンバータ2042に含まれるスイッチング素子には、逆並列に接続するダイオードが設置されるため、当該コンバータ2042がスイッチング動作をしなくても当該ダイオードが発電電力を交流電力から直流電力に変換する役割を果たしているので、実施例1で必要とした発電電力を交流電流から直流電流に変換するためのダイオードブリッジ207は不要となる。これにより簡素化された構造となる。
【0024】
また、実施例1では補機電源205には交流電力が印加されていたが、本実施例では直流電力が印加される。よって、補機電源225内に配置される電力変換器226は、直流を交流に変換するだけで良く、実施例1と比較して半分の役割で足り、構成が簡素化される。
【0025】
本実施例によっても、永久磁石式回転発電機201の発電電力により、風車を制御する補機電源225を賄っているので、電力系統10の状態によらずに補機206による制御、即ち風車全体の制御を行うことが可能となる。
【実施例3】
【0026】
実施例3について図4を用いて説明する。尚、実施例1または実施例2と重複する箇所については説明を省略し、両実施例に対する変更箇所についてのみ説明する。
【0027】
本実施例では永久磁石式回転発電機201の代わりに二次励磁式発電機230を設け、ロータ233に、補助発電機として永久磁石式回転発電機232を設ける様にしている。電力変換装置304は、電力系統10に接続し、交流電力を直流電力に変換する変換器3041と直流電力を二次励磁式発電機230の出力周波数および力率を適切に制御するための交流電力を出力する変換器3042を介して、二次励磁式発電機230のロータにスリップリングを介して接続する。二次励磁式発電機230のステータは、発電電力を遮断器を介して電力系統10へ出力する。
【0028】
永久磁石式回転発電機232に接続するのは実施例1における補機電源205と同様の制御電源を用いる。本変更点については、実施例1の様に永久磁石式回転発電機201を主発電機として用いた場合でも同様の変更が可能であることは言うまでもない。
【0029】
本実施例によっても、永久磁石式回転発電機232の発電電力により、風車を制御する補機電源205を賄っているので、電力系統10の状態によらずに補機206による制御、即ち風車全体の制御を行うことが可能となる。
【0030】
上記各実施例では、永久磁石式回転発電機からの発電電力により、補機電源を賄う様にしている。永久磁石式回転発電機であれば、励磁電力を必要とせず(特に起動時において励磁電力を必要としない点は、電力系統からの独立運転を行う上で有効となる)、回転を開始することで発電運転が可能となるため、電力系統の状態に依拠せずに補機を駆動でき、風車を制御できる点で有益である。
【0031】
また、本発明を実施する上で、風車に風下にロータが向いた状態で発電運転するダウンウインド型風車を適用すると一層有益である。ダウンウインド型風車であれば、ヨー制御を行わずとも(いわゆるフリーヨー制御)、風見鶏の様に、ロータが自然と風下を向くことになり、発電運転に適した位置へと移行可能である。よって、制御電源がなくともロータが回転可能な状態へと移行できる。更に、ロータが回転しさえすれば、永久磁石式回転発電機は上述した様に、発電運転を開始できるので、両者を併せて使用することで、風車の再始動に励磁電力が必要とされず、電力系統からの電力供給や励磁電力が無い状態からの再始動が可能である。
【0032】
この点は、電力網が未整備の地域に設置する場合や、災害等により電力網が遮断されてしまった場合等を想定すると特に有益である。
【符号の説明】
【0033】
201、232 永久磁石式回転発電機
202 ブレード
203 風車制御装置
204、210、226、236 電力変換器
205、225、235 補機電源
206 補機
207、234 ダイオードブリッジ
208 制御電源
209 制御装置
211 指令
212 遮断器
214 LCフィルタ
215 コイル
216、2043 平滑コンデンサ
220、233 ロータ
221、231 ギアボックス
230 二次励磁式発電機
237 励磁電源用ケーブル
2041 インバータ
2042 コンバータ
図1
図2
図3
図4