特許第5836404号(P5836404)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5836404
(24)【登録日】2015年11月13日
(45)【発行日】2015年12月24日
(54)【発明の名称】投写型映像表示装置
(51)【国際特許分類】
   G03B 21/14 20060101AFI20151203BHJP
   G03B 21/00 20060101ALI20151203BHJP
   H04N 5/74 20060101ALI20151203BHJP
【FI】
   G03B21/14 F
   G03B21/00 E
   H04N5/74 Z
【請求項の数】7
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2013-557321(P2013-557321)
(86)(22)【出願日】2012年2月9日
(86)【国際出願番号】JP2012052992
(87)【国際公開番号】WO2013118279
(87)【国際公開日】20130815
【審査請求日】2014年7月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005810
【氏名又は名称】日立マクセル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001689
【氏名又は名称】青稜特許業務法人
(74)【代理人】
【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】平田 浩二
(72)【発明者】
【氏名】池田 幸
(72)【発明者】
【氏名】石川 達也
(72)【発明者】
【氏名】新治 啓行
【審査官】 小野 博之
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−220069(JP,A)
【文献】 特開2006−267181(JP,A)
【文献】 特開平09−154228(JP,A)
【文献】 特開2003−280088(JP,A)
【文献】 特開2005−107276(JP,A)
【文献】 特開2006−284893(JP,A)
【文献】 特開2001−174915(JP,A)
【文献】 特開2006−071929(JP,A)
【文献】 特開2005−107216(JP,A)
【文献】 特開2010−164795(JP,A)
【文献】 特開2011−034028(JP,A)
【文献】 特開2008−304734(JP,A)
【文献】 特開2009−003281(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03B 21/00−21/10
21/12−21/13
21/134−21/30
33/00−33/16
H04N 5/66−5/74
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源と映像表示素子により形成した光学像を投写レンズにより拡大投写する投写型映像表示装置において、
前記投写レンズが取り付けられる装置筐体の前面とは反対側の後面内に配置される、当該装置の異常内容を表示するエラー表示が可能な表示部を備え、
前記表示部は液晶モニタで構成され、当該装置の動作が正常の場合は、バックライトを不点灯にしておき、当該装置の動作に異常が発生した際にバックライトを点灯させることを特徴とする投写型映像表示装置。
【請求項2】
請求項1に記載の投写型映像表示装置において、
前記表示部は、当該装置の動作に異常が発生した後、前記バックライトを点滅させることを特徴とする投写型映像表示装置。
【請求項3】
請求項1に記載の投写型映像表示装置において、
前記表示部に表示される表示内容を切り替えることが可能な操作入力部をさらに備えることを特徴とする投写型映像表示装置。
【請求項4】
請求項3に記載の投写型映像表示装置において、
前記操作入力部を介した操作入力により、前記表示部の表示内容を過去のデータに関する表示に変更可能であることを特徴とする投写型映像表示装置。
【請求項5】
請求項1に記載の投写型映像表示装置において、
外部電源から供給された電圧波形を監視して直近の一定期間の電圧波形データをメモリに保存するAC電圧監視部を備え、
前記異常内容として、前記メモリに保存された外部電源の電圧波形データを読み出して前記表示部に表示することを特徴とする投写型映像表示装置。
【請求項6】
請求項1または2に記載の投写型映像表示装置において、
当該装置の設置姿勢を検出する重力センサを有し、
前記検出した設置姿勢に応じて前記表示部へ表示する信号の上下方向を反転させることを特徴とする投写型映像表示装置。
【請求項7】
請求項6に記載の投写型映像表示装置において、
前記検出した設置姿勢に応じて前記投写レンズから拡大投写する映像信号の上下方向を反転させることで、該投写映像の画面と前記表示部の画面とが連動して反転することを特徴とする投写型映像表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エラー発生表示機能を有する投写型映像表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
光源から出射された光を液晶パネルなどで光変調し、投写レンズによりスクリーン等へ拡大表示する投写型映像表示装置(プロジェクタ)においては、高輝度の光を発する光源ランプを使用し、ランプから発生する熱で装置内部が高温にならないよう要所にファンを設けて冷却する構成となっている。そして、装置内に温度センサやファンの回転センサを設けて温度上昇などの異常を検知し、異常が発生した場合エラーを表示し、ユーザに知らせるようにしている。
【0003】
例えば特許文献1には、装置内部の異常を検知した際に、異常の発生を投影画像中の一部に報知させると同時に、発生した異常の内容を本体操作表示部で詳細表示させる構成とした画像表示装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−107276号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1では、異常発生の内容として、温度センサや回転センサをもとに検知可能な装置内温度上昇のトラブルを取り上げている。一方その他のトラブルとして、外部電源異常により装置動作が停止する場合がある。例えば外部電源が瞬間的に遮断あるいは電圧降下が生じると、ランプ保護のための装置内の安全回路が作動して装置への電源供給を遮断させるからである。ただし、装置動作が停止したとしても、その原因は外部電源の異常による場合だけでなく、装置本体の何らかの不具合による場合もありえる。このような場合、ユーザはいずれの原因によるものかを正しく判断できず、装置停止のトラブルに対し的確に対処することができない。
【0006】
本発明の目的は、装置動作が停止した場合に外部電源の直近の電圧状況を表示することが可能な投写型映像表示装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、光源と映像表示素子により形成した光学像を投写レンズにより拡大投写する投写型映像表示装置において、投写レンズが取り付けられる装置筐体の前面とは反対側の後面内に、当該装置の異常内容を表示するエラー表示部を配置した構成とする。
【0008】
さらに、外部電源から供給された電圧波形を監視して直近の一定期間の電圧波形データをメモリに保存するAC電圧監視部を備え、前記異常内容として、メモリに保存された外部電源の電圧波形データを読み出してエラー表示部に表示する構成とした。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、装置動作が停止した場合にその原因が外部電源の異常によるものかどうかを容易に判断し、装置停止のトラブルに対し的確に対処することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1A】投写型映像表示装置の一実施例を示す外観構成図(前面側)。
図1B】投写型映像表示装置の一実施例を示す外観構成図(後面側)。
図2】投写型映像表示装置の後面側の拡大図。
図3】エラー表示部に表示するエラーメッセージの例を示す図。
図4】AC電圧監視用の回路構成を示すブロック図。
図5】電源遮断時の電圧波形データの一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。図1A図1Bは、投写型映像表示装置(プロジェクタ)の一実施例を示す外観構成図であり、図1Aは前面側、図1Bは後面側から見た図を示す。投写型映像表示装置は直方体上の装置筐体1に収納され、前面側には投写レンズ2、インジケータ3が、また後面側には入出力信号端子4、エラー表示部5、操作ボタン6,7などが取り付けられている。装置内には図示しない光源ランプ、液晶パネル等の映像表示素子、冷却手段(ファン)などとともに、異常監視用に温度センサやファンの回転センサを備え、これらは制御回路で制御される。
【0012】
投写レンズ2は映像表示素子で形成された光学像をスクリーンなどに拡大投写する。インジケータ3は複数個のLED(発光ダイオード)を点灯させ、電源ON/OFF状態や内部温度状態やランプの異常を表示するものである。入出力信号端子4には他の映像機器やパソコンなどを接続し、映像信号や制御信号の入出力を行う。エラー表示部5は本実施例の特徴的な構成であり、装置内の各種の異常発生をメッセージで表示する。操作ボタン6,7はエラー表示部5に表示する内容を切り替えるためのものである。
【0013】
図2は、投写型映像表示装置の後面側の拡大図である。エラー表示部5は液晶モニタで構成され、装置のエラーやアラームメッセージを表示する。その際操作ボタン(メニューボタン6とファンクションキー7)を押すことで、表示内容の切り替えや、過去のデータを読み出すことができる。装置動作が正常な場合は、表示部5のバックライトをOFFとして黒画面で表示する(何も表示しない)。異常発生時にはバックライトをONさせてメッセージを表示し、さらにバックライトを点滅(フラッシュ)させることで、ユーザに注意を喚起させる。
【0014】
本実施例では、エラー表示部5を装置筐体1の後面(投写レンズの反対側)に配置したので、表示するメッセージを装置の操作者のみに知らせ、メッセージを特に必要としないスクリーン映像の視聴者には見えにくくすることができる。
【0015】
本実施例の投写型映像表示装置は、装置を机上に設置する据置設置だけでなく、装置を天井に吊り下げて設置する天吊設置など様々な設置形態で使用できる。例えば天吊設置の場合には装置の上下方向(上面と下面)が逆転し、そのままでは投写レンズ2からスクリーンへ投写する映像は上下反転してしまう。そこで装置に内蔵する重力センサにより設置姿勢(重力方向)を検出し、装置姿勢が上下逆転していると判断した場合は、映像表示素子に入力する映像信号を上下反転させ、スクリーンには映像が反転せずに投写されるようにする。
【0016】
表示部5の表示についてもこれと同じように制御する。すなわち重力センサによる検出結果、装置姿勢が上下逆転している場合は、表示部5へのメッセージ信号も上下反転させる。結果として、スクリーンでの表示画面と表示部5での表示画面の上下方向の制御を連動して行うことで、装置の設置形態に依らず表示部5でのメッセージも正常な姿勢で表示することができる。
【0017】
図3は、エラー表示部5に表示するエラーメッセージの例を示す図である。各メッセージの示すエラーの種類を説明すると、「LAMP」は光源ランプの不点灯、「COVER」はランプカバーのはずれ、「FAN」はファン回転の不良または停止、「TEMP」は内部温度の異常値(高温側)、「AIR」は冷却風量の不足または停止、「COLD」は、内部温度の異常値(外気が低温側)、「FILTR」はフィルタの交換・清掃時期であること意味する。これらのエラー表示は、操作ボタンで選択して詳細データの表示に切り替えることができる。詳細データとしては、例えばランプ使用時間、装置内温度、フィルタの使用時間などを表示し、現在データだけでなく過去のエラーデータを表示することもできる。さらにこれ以外の機能として、後述するように電源電圧データの表示を行うことができる。
【0018】
また、これらのエラー表示の切り替えを自動で行う切替部を設けてもよい。例えば、据置設置の場合、ユーザから投写型映像表示装置までの距離が近いため詳細データを表示するようにし、天吊設置の場合、ユーザから投写型映像表示装置までの距離が遠いためエラーの種類のみを大きく表示するようにしてもよい。即ち、その設置形態に適した表示の仕方を自動で切り替えることで、より効果的に、ユーザに対しエラーを知らせることができる。
【0019】
これらのエラーメッセージやエラーデータはエラー表示部5に表示されるものであるが、エラーデータを取り出して入出力信号端子4から例えばRS−232C経由で外部パソコンに送信し、外部パソコン上に表示することもできる。
【0020】
次に、エラー表示機能として、装置動作が停止した場合に外部電源電圧の直近の状況を表示する機能について説明する。
【0021】
図4は、AC電圧監視用の回路構成を示すブロック図である。投写型映像表示装置に供給される外部AC電源は回路電源11にて全波整流され、AC電圧監視基板12に入力する。AC電圧監視基板12上のサブマイコン(サブCPU)13は、AC電圧波形のモニタリングを行い直近の所定期間の波形データを保存する。メイン基板14上のメインマイコン(メインCPU)16は、液晶モニタ(LCDモニタ)18(すなわち図1の表示部5)に表示データ(メッセージ含む)送るとともにその表示制御を行う。異常発生時(装置動作が停止など)には、メインCPU16はサブマイコン(サブCPU)15を経由してAC電圧監視基板12上のサブCPU13に電圧波形データを要求する。サブCPU13はメモリに保存している波形データを送信する。送信された波形データはLCDモニタ18(表示部5)に表示される。なお、メイン基板14上の重力センサ17はその重力方向を検知するもので、メインCPU16は検知した重力方向から装置の設置形態を判断して、LCDモニタ18での画面表示方向(上下方向)を切り替える。
【0022】
ここで、本実施例におけるAC電圧監視(波形モニタリング)の動作を説明する。回路電源11にて全波整流された電圧波形信号は、AD変換され、例えば1msec毎に10個のデータをサンプリングしてサブCPU13のリングバッファに記憶する。このときサンプリングされるデータは、商用電源周波数50Hzの半周期(10msec)分のデータとする。次に、リングバッファに記憶したデータのうち例えば上位3個のデータの平均値を算出し、その半周期における入力電圧値とする。このように算出した半周期(10msec)毎の入力電圧値を、直近の一定期間にわたりバッファに格納しておく。例えば、直近の100msec期間(50Hz信号の5周期分)をカバーするには、10個の入力電圧値を保存すればよい。なお、保存する期間の長さ(ここでは100msec)やデータ数は予想される電源遮断(瞬断)の期間に合わせて設定すればよい。
【0023】
図5は、電源遮断時の電圧波形データの一例を示す図である。前記したように、電圧データは10msec(半周期)ごとの入力電圧値(上位3個のデータの平均値)である。なお、電圧値は別途算出したピーク値の平均値で規格化している。この例では、電源エラーとして、時間幅が40msecの電源遮断(瞬断)が生じた場合を示している。
【0024】
一旦装置動作が停止した場合は、その後電源が復帰してもランプ保護のため安全回路が動作し、装置は停止状態を継続する。所定時間経過して安全回路が解除され装置が再起動すると、ユーザは操作ボタン6,7を操作して、メインCPU16からサブCPU13に向けて電圧波形データを要求する。サブCPU13は、バッファに格納している直近の電圧波形データを読み出してメインCPU16に送信する。送信された波形データはLCDモニタ18(すなわち表示部5)に表示される。ユーザは表示部5に表示された電圧波形データを分析することで、装置停止の原因が外部電源の異常によるものか、あるいはそれ以外の装置本体の不具合によるものかを判断することができる。従来の構成では、装置停止直近の外部電源の電圧状況が保存されていないので装置停止の原因を解明することが困難であった。本実施例によれば直近の電圧波形により容易に原因を解明でき、装置停止のトラブルに対し的確に対処することができる。
【符号の説明】
【0025】
1…筐体、
2:投写レンズ、
3:インジケータ、
4:入出力信号端子、
5:エラー表示部、
6,7:操作ボタン、
11:回路電源、
12:AC電圧監視基板、
13:サブマイコン(サブPCU)、
14:メイン基板、
15:サブマイコン(サブPCU)、
16:メインマイコン(メインCPU)、
17:重力センサ、
18:液晶モニタ(LCDモニタ)。
図1A
図1B
図2
図3
図4
図5