(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記浄化空気用送風部は、イオン発生器を有し、該イオン発生器により発生させたイオンを浄化空気と共に外部に吹き出す構成であることを特徴とする請求項1又は2に記載の空気清浄機。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の空気清浄機では、外部に吹き出すイオンの供給量はイオン発生器が設置された箇所を流れてイオンが付加される際の浄化空気の風量に依存するため、イオンの供給量を多くするには、送風ファンの回転数を高くして浄化空気の風量を多くする必要がある。その結果、全体の消費電力が増加し、運転時の騒音も大きくなる。
【0006】
特許文献2に記載の空気清浄機では、浄化空気及びイオンは横方向に並置された各吹出口から平行に上向きに吹き出されるので、イオンの供給量を変更するためにイオン用通風路の送風量を変化させた場合に、イオンが付加された空気の吹き出し量の変化が浄化空気の吹き出し状態に影響し、室内等に対する浄化空気の供給効率が損なわれる場合がある。
【0007】
本発明は、上述したような事情に鑑みてなされたものであり、室内等に対する浄化空気の供給効率を損なうことなく、イオンの供給量を変更することができる空気清浄機及び空気清浄機の使用方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る空気清浄機は、外部から吸い込んだ空気を浄化して外部に吹き出す浄化空気用送風部を備えた空気清浄機において、イオン発生器
及び送風機を有し、該イオン発生器により発生させたイオンを
前記送風機により外部から吸い込んだ空気と共に
横長のイオン用吹出口から外部に吹き出すイオン用送風部を備え、該イオン用
吹出口からの吹出し方向と前記浄化空気用送風部の吹出し方向とが異なる方向であ
り、前記浄化空気用送風部は、水槽と、該水槽内に収容される水に下部が浸漬し、通風される浄化空気を加湿する吸水フィルタと、該水槽に水を補給する給水タンクとを備え、前面側に後方へ傾斜した傾斜部分又は後方へ窪んだ窪み部分を有し、前記イオン用送風部は、前記浄化空気用送風部の傾斜部分の前側又は窪み部分に位置しており、前記送風機は、ファンと、該ファンを回転させるモータとを有するクロスフローファンであって、前記モータは、正面視で前記給水タンクの反対側に配置してあることを特徴とする。
【0009】
本発明によれば、
イオン発生器及び送風機を有するイオン用送風部に
おいて、イオン発生器により発生させたイオンが
、送風機の動作により外部から吸い込んだ空気と共に浄化空気用送風部の吹出し方向と異なる方向で外部に吹き出される。
イオン用送風部の送風機はクロスフローファンであり、イオンを含む空気は安定した層流状態で吹き出され、乱流によるイオンの消滅を抑制し、効率よくイオンを送り出すことができる。浄化空気用送風部では、給水タンクから水槽に水が補給され、下部が水槽内に収容される水に浸漬し、水槽内の水を吸水して加湿された吸水フィルタを浄化空気が通風して加湿させることができる。イオン用送風部は、浄化空気用送風部の前面側に設けた後方への傾斜部分又は窪み部分に位置させ、また重量の重いクロスフローファンのモータは、浄化空気用送風部が備える給水タンクと正面視で反対側に配置させてあり、イオン用送風部の前方への突出を抑制して外形サイズの大型化を避けると共に、左右方向及び前後方向の重量バランスを良好にできる。浄化空気用送風部による浄化空気の供給量とは独立してイオン用送風部によるイオンの供給量の調整が可能となるので、例えば、室内等が埃等であまり汚れていない綺麗な状態では、浄化空気の供給量を少なくして送風ファン等の消費電力や騒音を小さくする一方、イオン用送風部によるイオンの供給量を多くすることができる。
【0010】
本発明に係る空気清浄機は、前記イオン用
吹出口からの吹出し方向は前方であり、前記浄化空気用送風部の吹出し方向は上方であることを特徴とする。
本発明によれば、浄化空気は上方に吹き出
され、イオンを含む空気は前方に吹き出
されるので、イオン用送風部の送風量の変化が浄化空気用送風部による浄化空気の吹き出し状態に与える影響を確実に小さくすることが可能である。尚、浄化空気の吹出し方向である上方は、真上以外に斜め上方も含む概念である。またイオンを含む空気の吹出し方向である前方は、真正面前方以外に斜め上前方及び斜め下前方も含む概念である。
【0011】
本発明に係る空気清浄機は、前記浄化空気用送風部は、イオン発生器を有し、該イオン発生器により発生させたイオンを浄化空気と共に外部に吹き出す構成であることを特徴とする。
本発明によれば、浄化空気用送風部により、外部から吸い込まれて浄化された浄化空気と共に、イオン発生器により発生させたイオンが外部に吹き出される。その結果、イオンの供給能力を高くすることができる。
【0012】
本発明に係る空気清浄機は、前記イオン用送風部は、外部の空気を吸い込むイオン用吸込口と
、該イオン用
吸込口と
前記イオン用
吹出口とを繋ぐ
横長断面の通風路と
を更に有し、前記イオン発生器は前記通風路の途中に
配置され、前記送風機は、回転軸の方向が横長の断面の長手方向に沿うように前記通風路の途中に配置してあることを特徴とする。
本発明によれば、イオン用送風部では、イオン用吹出口とイオン用吸込口とを繋ぐ
横長断面のイオン用通風路の途中
において、断面の長手方向に沿う回転軸を有する送風機が作動し、外部の空気がイオン用吸込口から吸い込まれて通風路を流れるときに通風路の途中に配置したイオン発生器により発生したイオンが付加され、イオンを含む空気がイオン用吹出口から吹き出される。
送風機はクロスフローファンであり、イオンを含む空気は安定した層流状態で吹き出される。
【0014】
本発明に係る空気清浄機は、前記イオン用吸込口は、前面、下面又は横側面に設けてあり、前記浄化空気用送風部の吸込口が、後面、下面又は横側面に設けてあることを特徴とする。
本発明によれば、例えば、イオン用吸込口を前面又は横側面に設け、浄化空気用送風部の吸込口を後面又は横側面に設けた空気清浄機を室内の床上に設置した場合、後面又は横側面の吸込口から吸い込まれた空気が浄化された後、上方に吹き出され、前面又は横側面のイオン用吸込口から吸い込まれた空気にイオンが付加された後、前方に吹き出される。また、イオン用吸込口及び浄化空気用送風部の吸込口を下面又は横側面に設けた空気清浄機を壁に取り付けた場合、下面又は横側面の吸込口から吸い込まれた空気が浄化された後、上方に吹き出され、下面又は横側面のイオン用吸込口から吸い込まれた空気がイオンを付加された後、前方に吹き出される。その結果、イオン用送風部の吹出し方向と浄化空気用送風部の吹出し方向とを異なる方向としてイオンの吹き出し状態が浄化空気の流れへ与える影響を抑制しつつ、空気清浄機を床置き、壁掛け等の異なる設置形態で使用することができる。
【0015】
本発明に係る空気清浄機は、前記イオン用吸込口は、前記浄化空気用送風部の吸込口に対して上側に位置していることを特徴とする。
本発明によれば、上側に位置したイオン用吸込口は設置面からの高さが浄化空気用送風部の吸込口より高いので、設置面に近い浄化空気用送風部の吸込口と比べて吸い込まれる空気中の埃等の量が少ない。その結果、イオン用吸込口に設置する防塵用のフィルタは通気抵抗の小さい簡易なタイプを使用することができ、また埃等がイオン用吸込口から通風路に侵入してイオン発生器の動作不良を発生させる等の問題も抑制することができる。
【0016】
本発明に係る空気清浄機は、前記イオン用吸込口は、前面に設けられ、上部が前記
送風機の前側に位置し、下部が前記
送風機よりも下側に位置しており、前記イオン用吸込口に、上部が前側に傾斜した防塵フィルタを備えていることを特徴とする。
本発明によれば、前面に設けたイオン用吸込口の上部を
送風機の前側に位置させて
送風機との干渉を避ける
ことができ、イオン用吸込口の下部を
送風機よりも下側に位置させることにより、イオン用吸込口の開口面積を広くして吸込み風量を確保することができる。また、イオン用吸込口に備えた防塵フィルタに捕集された埃等は、堆積量が多くなると上部が前側に傾斜している防塵フィルタから落下し易く、イオン用吸込口から内部への侵入が防止できる。
【0017】
本発明に係る空気清浄機は、前記イオン用吸込口は、下縁部の中央部が前面視で下側に凸状をなすことを特徴とする。
本発明によれば、イオン用吸込口は左右中央部での上下幅が端部側よりも広く、通気抵抗が小さいので、中央部での吸引量を端部側での吸引量よりも大きくした状態で安定に外部の空気を吸い込むことができる。
【0018】
本発明に係る空気清浄機は、前記イオン用吸込口の前方側を覆う前パネルを備え、該前パネルは、上下摺動可能又は上部側を支点とした前後揺動が可能であることを特徴とする。
本発明によれば、上下摺動可能な前パネルでは、前パネルが上側に摺動されると、イオン用吸込口の下部が露出してイオン用吸込口に吸引される空気の通気抵抗が小さくなり、前パネルが下側に摺動されると、イオン用吸込口の下部が露出せずイオン用吸込口に吸引される空気の通気抵抗が大きくなる。また、前後揺動可能な前パネルでは、前パネルが上部側を支点として前側に揺動されると、前パネルとイオン用吸込口との間隙が大きくなるのでイオン用吸込口に吸引される空気の通気抵抗が小さくなり、前パネルが後側に揺動されると、前パネルとイオン用吸込口との間隙が小さくなるのでイオン用吸込口に吸引される空気の通気抵抗が大きくなる。その結果、イオン用吸込口の前方側を覆う前パネルを上下摺動又は前後揺動させることにより、イオン用吸込口に吸引される空気の吸引量を変化させてイオン用吹出口から吹き出されるイオンの供給量を調整することができる。
【0019】
本発明に係る空気清浄機は
、前記モータは、前記水槽より前側に配置してあることを特徴とする。
本発明によれば
、重量の重い
送風機のモータと水槽とを前後に配置することで重量をバランスさせることができる。
【0021】
本発明に係る空気清浄機は、前記イオン用送風部は上側に配置されており、前記イオン用送風部よりも下側の前面を覆うカバーを備え、該カバーは上部側ほど後方に傾斜した面を上部に有することを特徴とする。
本発明によれば、上側に配置されたイオン送風装置よりも下側の前面を覆うカバーに当たった空気の一部は上部側ほど後方に傾斜した上部の面に沿って上方に誘導され、イオン送風装置のイオン用吸込口から吸引される。その結果、前面側で循環する空気にイオンを付加して、イオンを室内等に効率よく供給することができる。
【0022】
本発明に係る空気清浄機は、底面に脚部又は車輪を備え、前記カバーは、下部側ほど後方に傾斜した面を下部に有することを特徴とする。
本発明によれば、上側に配置されたイオン送風装置よりも下側の前面を覆うカバーに当たった空気の一部は下部側ほど後方に傾斜した下部の面に沿って下方に誘導され、底面と脚部又は車輪との間隙を通って背面側に回り、後面の吸込口から吸引される。その結果、前面側、底面側、後面側で循環する空気の流れによって、浄化空気を室内等に効率よく供給することができる。
【0023】
本発明に係る空気清浄機の使用方法は、前面側が異臭又は細菌の存在箇所に向くように設置することを特徴とする。
本発明によれば、空気清浄機の前面から前方に吹き出される空気に含まれたイオンが異臭又は細菌の存在箇所に達し、異臭又は細菌を消滅させることができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明に係る空気清浄機によれば、イオン用送風部のイオンを含む空気の吹出し方向と浄化空気用送風部の浄化空気の吹出し方向とが異なる方向であるので
、イオンが付加された空気の吹き出し量の変化が浄化空気用送風部による浄化空気の吹き出し状態に影響しないようにすることが可能であり、その結果、室内等に対する浄化空気の供給効率を損なうことなく、イオンの供給量を変更することができ
、更に、浄化空気用送風部に対するイオン用送風部の適正な配置により、外形サイズの大型化を避け、左右方向及び前後方向の重量バランスが良好な空気清浄機が提供される。
【0025】
本発明に係る空気清浄機の使用方法によれば、イオンの吹出し方向である前面側が異臭又は細菌の存在箇所に向くように設置することにより、効率よく異臭又は細菌を消滅させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明に係る空気清浄機の実施の形態を図面に基づいて説明する。
(実施の形態1)
図1は本発明の実施の形態1に係る空気清浄機の前側の外観斜視図、
図2は同空気清浄機の後側の外観斜視図、
図3は同空気清浄機の正面図、
図4は同空気清浄機の背面図、
図5は同空気清浄機の側面図、
図6は同空気清浄機の平面図、
図7は同空気清浄機の側面断面図、
図8は同空気清浄機の正面断面図、
図9は同空気清浄機の一部を拡大した正面断面図、
図10は
図1に示す空気清浄機の一部を拡大した側面断面図である。
【0028】
本発明に係る空気清浄機は、矩形状の箱体を垂直に立てたような外形のハウジング1を備え、ハウジング1の内部は隔壁11によって前後に仕切られている(
図7)。隔壁11は上側の略半分が後方に傾斜している。
【0029】
隔壁11の後側に、浄化用の各種フィルタを収納するフィルタ収納部1aが形成されている。フィルタ収納部1aは、ハウジング1の後面側に開口し、直方体状に窪んだ空間であり、フィルタ収納部1aには、後側より順に、脱臭フィルタ7a及び集塵フィルタ7bが重ね合わされた状態で収納されている。
【0030】
脱臭フィルタ7aは、空気中の臭い成分であるアセトアルデヒドやアンモニアや酢酸等を吸着する機能を有し、長方形をなす枠体にポリエステル製の不織布を取り付け、その上に活性炭を均一に分散配置し、その上からポリエステル製の不織布を被せた構造である。
【0031】
集塵フィルタ7bは、微細な塵埃を捕集する機能を有し、いわゆるHEPA(High Efficiency Particulate Air)フィルタで構成してある。該HEPAフィルタは、ポリエステル/ビニロン系不織布からなる骨材に電石加工したメルトブロー不織布を合わせて濾材とし、これを折り畳み、その上下面にハイドロキシアパタイト加工した不織布からなる抗菌シートを重ねて熱圧着し、ホットメルト付き不織布からなる枠を溶着した構造である。
【0032】
フィルタ収納部1aの開口を覆う着脱可能な後パネル2が備えられている。脱臭フィルタ7a及び集塵フィルタ7bは、後パネル2によってフィルタ収納部1aからの脱落が防止される。後パネル2は概ね矩形の板状をなし、マトリックス状に複数の小孔からなる吸込口2aが形成され、裏面にはメッシュ状の繊維シートが貼り付けてある。
【0033】
集塵フィルタ7bの前側に、加湿フィルタユニット3及び水槽4が配されている。水槽4はハウジング1の底板上に載置され、水槽4に支持される加湿フィルタユニット3と共に、ハウジング1の一側部から外部に引き出すことが可能である。水槽4の引き出し側の端部には、タンク受け40が連設され、タンク受け40上には、給水栓(不図示)を下向きとした給水タンク41が着脱される。給水タンク41から水が適時供給され、水槽4の水位Lは一定に維持される(
図9)。
【0034】
加湿フィルタユニット3は、吸水性及び通気性を有し、ジグザグに折り畳まれた円盤状の吸水フィルタ31及び吸水フィルタ31を収納保持する円環状の保持枠30からなる。吸水フィルタ31は適宜の厚さを有するフィルタ素材を打ち抜いて作製される。保持枠30は合成樹脂製である。
【0035】
次に加湿フィルタユニット3の回転支持構造について説明する。保持枠30の外周面には、幅方向の中央部に全周に亘って歯が形成されたリングギア32が設けてある。水槽4の内部には、軸心が水槽4の幅方向に沿った2つの支持ローラ6,6が水槽4の長手方向に振り分け配置されている。各支持ローラ6は、長さ方向中央の小径部の両側に斜め外向きに立ち上がる転接面6a,6aを有する鼓形ローラであり、水槽4の幅方向の両側壁44,44間に保持された保持ブラケット60に回転自在に支持されている。
【0036】
保持ブラケット60は、水槽4の底板の両端部に垂直に立ち上がる側板を備えた断面がコの字形の部材である。支持ローラ6は、両端面の中央部に設けた凹部61,61を保持ブラケット60の両側板に設けた凸部62,62に係合させて保持されている。保持ブラケット60は、水槽4の幅方向の両側壁44,44の内面に両側板を当てた状態で嵌め込まれている。
【0037】
各支持ローラ6は転接面6a,6aをリングギア32の両側面に転接させることにより、加湿フィルタユニット3の保持枠30を下部から支えると共に、水槽4の幅方向の位置決めをする。加湿フィルタユニット3は下部を水槽4の内部に差し込み、垂直に立ち上がる姿勢で支持されている。
【0038】
保持枠30のリングギア32は保持枠30の上方に配した駆動ユニット5の駆動歯車51に噛合されている。駆動ユニット5は基台50の一面に駆動歯車51及び駆動歯車51と噛合する伝動歯車52を備え、基台50の他面に駆動モータ53を備え、駆動モータ53の出力軸が伝動歯車52に連結されている。基台50は貫通する固定ネジ54,54によりハウジング1内の適宜位置に固定されている。
【0039】
吸水フィルタ31には、保持枠30の内側に侵入した水によって浸水する浸水部31a及び浸水しない非浸水部31bが周方向に離隔して設けてある。非浸水部31bは吸水フィルタ31の外周部の一部に設けられ、浸水部31aは吸水フィルタ31の外周部の残りに設けられている。加湿フィルタユニット3が回転駆動されていない場合、吸水フィルタ31は自重で回転し、非浸水部31bの周方向中央部が鉛直方向の最下部に位置する状態となる。
【0040】
非浸水部31bの周方向中央部が鉛直方向の最下部に位置した場合、吸水フィルタ31は非浸水状態となり、水槽4内の水を吸水しないため、吸水フィルタ31は乾燥し、吸水フィルタ31を通過する空気の加湿が抑制される。吸水フィルタ31が周方向へ回転して、非浸水部31bの周方向中央部が鉛直方向の最下部から外れた場合、吸水フィルタ31は浸水状態となり、水槽4内の水を吸水し、吸水フィルタ31を通過する空気が加湿される。
【0041】
隔壁11の前面側に風路カバー12が取り付けられている。風路カバー12は、下側の円筒部12aと、円筒部12aの外周部に下端が連なる扁平状の上側の角筒部12b(但し、隔壁11側が開口している)とからなる。円筒部12aは、隔壁11の下側部分と略平行な円形の底壁部12a1と、底壁部12a1の縁部全周と隔壁11とを接続する側壁部12a2とを有している。角筒部12bは、隔壁11の上側部分と略平行に対向した状態で後方に傾斜した壁部12b1と、該壁部12b1の縁部全周と隔壁11とを接続する側壁部12b2とを有している。
【0042】
加湿フィルタユニット3の前側に、隔壁11を隔てて送風機8が配置され、隔壁11の下部には送風機8に通じる複数の通気孔11aが形成されている。送風機8はファン81及び該ファン81を回転駆動するファンモータ82を備え、風路カバー12の底壁部12a1にファンモータ82が固定されている。ファン81はターボファンであるが、その他、プロペラファンやクロスフローファンを採用してもよい。ファンモータ82は駆動制御の容易性を重視して直流モータを用いている。
【0043】
送風機8の上方側に位置し、隔壁11と風路カバー12の角筒部12bとで囲まれた空間が吹出風路13に形成されている。ハウジング1の上面は、後側部分が前側部分より低くなるように傾斜し、この傾斜した後側部分に、吹出風路13に連通した上向き開口の吹出口15が設けてある。吹出口15には風向板15aが設けてある。風向板15aは吹き出し空気の方向を斜め後方側から上方側の所定範囲で変更することが可能である。
【0044】
送風機8のファンモータ82の駆動によりファン81が回転し、後パネル2の吸込口2aから外部の空気(室内の空気)が吸い込まれ、吸い込まれた空気は、脱臭フィルタ7a及び集塵フィルタ7bを通過する際の臭いや塵埃のない空気に浄化される。浄化された空気は、吸水フィルタ31で加湿され、又は加湿をされずに、隔壁11の通気孔11aからファン81の中心部に吸い込まれる。ファン81の中心部に吸い込まれた空気は、ファンブレード同士の間を通りファン81の外周から吐き出され、吹出風路13を流れて上方に導かれて吹出口15から室内に吹き出される。
【0045】
以上より、吸込口2a、脱臭フィルタ7a及び集塵フィルタ7bを設けたフィルタ収納部1a、送風機8、吹出風路13及び吹出口15によって、外部から吸い込んだ空気を浄化して外部に吹き出す浄化空気用送風部が構成される。また浄化空気用送風部は前面側に後方へ傾斜した傾斜部分(風路カバー12の角筒部12b)を有している。
【0046】
後方に傾斜した風路カバー12の角筒部12bの前側には、ハウジング1の前面に開口した吸込口18から横断面視で略「くの字」状に湾曲して上向きに伸び、ハウジング1の前面上部に設けた吹出口17に至る通風路20が設けてある。通風路20は、後壁20aと、前壁20bと、後壁20a及び前壁20bの両側の縁部を結ぶ側壁20cとで囲まれた空間である。
【0047】
吹出口17は横長の開口を有し、複数の縦向きの風向板17a及び横向きの風向板17bを備えている。縦向きの風向板17aは前方に吹き出す空気の流れを横方向に広げるように吹出口17の両端側で外向きの角度とされている。横向きの風向板17bは前方側に吹き出す空気の流れを略水平状態にするためのものである。
【0048】
通風路20の吹出口17に近い箇所に、ファン21cを取り付けた回転軸21bが横向きに配置されたクロスフローファン21が設けてある。回転軸21bは通風路20の両側の側壁20cに回転自在に支持されている。クロスフローファン21の駆動用のモータ21aは通風路20の外に設置され、モータ21aの出力軸が回転軸21bと同軸に配置されている。モータ21aは前後方向で水槽4より前側に位置している(
図7)。また、モータ21aは正面視で左側に位置し、正面視で右側に位置する給水タンク41の反対側に配置されている(
図8)。
【0049】
吸込口18は横方向が吹出口17と同幅で縦方向の幅が吹出口17より広く、正面視で下縁部の中央部が下側に凸状をなす矩形状の開口を有する。吸込口18は上部がクロスフローファン21の前側に位置し、下部がクロスフローファン21より下側に位置し、前側に傾斜している。また吸込口18は、後パネル2に設けた吸込口2aに対して上側にある。具体的には、吸込口18の上端部は最上部位置の吸込口2aよりも高い位置にあり、吸込口18の下端部は、最上部位置の吸込口2aより低いがハウジング1の高さの略半分よりも上側の位置にあり、最下部位置の吸込口2aよりは高い位置にある。
【0050】
吸込口18には防塵フィルタ19が縦姿勢に装着され、防塵フィルタ19はクロスフローファン21と接触しないように上部が下部に対して前側に傾斜している。吸込口18及び防塵フィルタ19の前方側を覆うように、前パネル23がハウジング1に固定されて垂下されている。前パネル23は吸込口18の形状に合わせて正面視で下縁部の中央部が下側に凸状をなし、又、中央部が前側に突き出るように左右方向に湾曲している。
【0051】
通風路20のクロスフローファン21と吹出口17との間の壁面に、正負のイオンを発生させるイオン発生器22が配設されている。イオン発生器22には、針状の放電電極(不図示)が風路内に露出するように設けられ、放電電極に給電部(不図示)から交流波形またはインパルス波形の電圧を供給することによって放電電極がイオンを発生する。
【0052】
クロスフローファン21のモータ21a及びイオン発生器22が駆動されると、クロスフローファン21によって吹出口17から吸い込まれた空気に、イオン発生器22により発生したイオンが付加され、イオンを含む空気が吹出口17より前方側に吹き出される。
【0053】
放電電極の印加電圧が正電圧の場合はイオンが空気中の水分と結合して主としてH
+ (H
2 O)
m から成るプラスイオンを発生する。放電電極の印加電圧が負電圧の場合はイオンが空気中の水分と結合して主としてO
2-(H
2 O)
n から成るマイナスイオンを発生する。ここで、m、nは任意の自然数である。H
+ (H
2 O)
m 及びO
2-(H
2 O)
n は空気中の浮遊菌や臭い成分の表面で凝集してこれらを取り囲む。
【0054】
そして、式(1)〜(3)に示すように、衝突により活性種である[・OH](水酸基ラジカル)やH
2O
2(過酸化水素)を微生物等の表面上で凝集生成して浮遊菌や臭い成分を破壊する。ここで、m’、n’は任意の自然数である。従って、プラスイオン及びマイナスイオンを発生して吹出口から吐出することにより使用者の近傍の殺菌及び臭い除去を行うことができる。
H
+ (H
2 O)
m +O
2-(H
2 O)
n →・OH+1/2O
2 +(m+n)H
2 O ・・・(1)
H
+ (H
2 O)
m +H
+ (H
2 O)
m ’+O
2-(H
2 O)
n +O
2-(H
2 O)
n ’
→2・OH+O
2 +(m+m'+n+n')H
2 O・・・(2)
H
+ (H
2 O)
m +H
+ (H
2 O)
m ’+O
2-(H
2 O)
n +O
2-(H
2 O)
n ’
→H
2O
2+O
2 +(m+m'+n+n')H
2 O・・・(3)
【0055】
尚、本実施形態ではイオン発生器22によってプラスイオン及びマイナスイオンを発生しているが、マイナスイオンのみを発生してもよい。
【0056】
以上より、吸込口18、通風路20、クロスフローファン21、イオン発生器22及び吹出口17によって、イオン発生器22により発生させたイオンを外部から吸い込んだ空気と共に外部に吹き出すイオン用送風部が構成される。またイオン用送風部は浄化空気用送風部の前面側の傾斜部分(風路カバー12の角筒部12b)の前側に位置している。
【0057】
ハウジング1は、風路カバー12の前側を覆う前カバー16を前面下部に備えている。前カバー16は上部に上部側ほど後方に緩やかに傾斜した上傾斜面16aを有する。前カバー16は下端部に横方向に伸びる凹溝部16cを有し、凹溝部16cの底部は開口している。凹溝部16cの上側斜面が下部側ほど後方に急傾斜した下傾斜面16bを形成している。
【0058】
ハウジング1の底面には、ロック機構付きの複数の車輪9が取り付けてある。これにより、車輪9のロック機構を解除して空気清浄機を室内の適所に移動させた後、ロック機構を作動させて空気清浄機を床上で移動しない状態で設置することができる。
【0059】
次に以上の如き構成の空気清浄機による空気の流れについて説明する。
図11は本発明に係る空気清浄機による空気の流れを示す図である。空気清浄機は壁W際の床面Fに設置してある。上面の吹出口15から斜め後方上向きに吹き出された清浄空気は背側の壁W、天井及び向かい側の壁(不図示)を経て室内を循環した後、空気清浄機の前面側に戻り、前カバー16に当たる。前カバー16の上側部分に当たった空気は上傾斜面16aに沿って流れ、前パネル23と上傾斜面16aとの間隙を通ってイオン用の吸込口18に吸引される。吸込口18に吸引された空気は防塵フィルタ19にて埃が除去され、通風路20を流れるときにイオンを付加され、吹出口17から前方側に吹き出される。尚、吹出口17から前方側に吹き出された空気も循環して空気清浄機の前面側に戻る。
【0060】
一方、前カバー16の下側部分に当たった空気は凹溝部16cに入って下傾斜面16bに沿って流れ、さらに底面と床面Fとの間を流れて背面側に達し、吸込口2aに吸引される。吸込口2aに吸引された空気は脱臭フィルタ7a、集塵フィルタ7b及び加湿フィルタユニット3を通過して浄化及び加湿され(又は加湿されず)、上面の吹出口15から吹き出される。以下、このような空気の循環を繰り返す。
【0061】
次に空気清浄機の上記と異なる使用形態について説明する。
図12は空気清浄機の使用方法を説明する図である。本使用形態では、空気清浄機は壁際ではなく、LDKタイプの部屋のリビングとダイニングキッチンとの境界付近の床面Fに、イオン用の吹出口17及び吸込口18をダイニングキッチン側に向け、後パネル2をリビング側に向けて設置してある。ダイニングキッチンはリビングよりも臭気や細菌が発生し易いので、ダイニングキッチン側に向けてイオンを集中的に放出することにより、臭気や細菌の発生を抑制することができ、同時に、リビングに対しては浄化空気を供給することができる。結果的に、浄化空気供給用の空気清浄機とイオン供給用の空気清浄機との2台の空気清浄機の機能が1台の空気清浄機で実現できる。
【0062】
上記の実施の形態では、前パネル23がハウジング1に固定されているが、前パネルがハウジング1に上下摺動可能又は上部側を支点とした前後揺動可能に支持される構成でもよい。
図13及び
図14は本発明の実施の形態1に係る空気清浄機の別実施形態を模式的に示す側面図及び一部断面図である。尚、
図14のBはAのB−B線における断面を示す。
【0063】
図13は前後揺動可能な前パネル23Aの例を示し、前パネル23Aの上端部23A1がハウジング1に固定された軸部23A2に外嵌され回転自在に支持されている。前パネル23Aが上端部23A1を支点として前側に揺動されると、前パネル23Aと吸込口18との間隙が大きくなるので吸込口18に吸引される空気の通気抵抗が小さくなり、前パネル23Aが後側に揺動されると、前パネル23Aと吸込口18との間隙が小さくなるので吸込口18に吸引される空気の通気抵抗が大きくなる。
図14は上下摺動可能な前パネル23Bの例を示し、前パネル23Bの上部23B1がハウジング1に固定されたレール23B2に外嵌され上下に摺動自在に支持されている。前パネル23Bを上側に摺動させると、吸込口18の下部が露出して吸込口18に吸引される空気の通気抵抗が小さくなり、前パネル23Bを下側に摺動させると、吸込口18の下部が露出せず吸込口18に吸引される空気の通気抵抗が大きくなる。
【0064】
上記の実施の形態では、浄化空気用送風部が、脱臭フィルタ7a、集塵フィルタ7b及び加湿フィルタユニット3を備える空気清浄機について説明したが、これに限るものではない。例えば、浄化空気用送風部が、脱臭フィルタ7a及び集塵フィルタ7bを備え、加湿フィルタユニット3を備えていない空気清浄機でもよい。
【0065】
上記の実施の形態では、浄化空気用送風部が前面側に後方へ傾斜した傾斜部分(風路カバー12の角筒部12b)を有し、イオン用送風部が浄化空気用送風部の前面側の傾斜部分(風路カバー12の角筒部12b)の前側に位置しているが、これに限るものではない。例えば、浄化空気用送風部が前面側に後方へ窪んだ窪み部分を有し、イオン用送風部が浄化空気用送風部の前面側の窪み部分に位置している構成でもよい。
【0066】
(実施の形態2)
図15は本発明の実施の形態2に係る空気清浄機の側面断面図である。
実施の形態2では、イオン用送風部が浄化空気用送風部と略同程度の高さを有し、浄化空気用送風部の前側に位置している点、イオン用送風部の送風機がターボファンである点、浄化空気用送風部がイオン発生機能を備えている点、及び、加湿フィルタユニットが回転軸で支持される点が実施の形態1と異なる。尚、
図15中、実施の形態1と対応する構成には同じ番号を付している。
【0067】
具体的には、前面下部にイオン用吸込口18Aを設け、前面上部にイオン用吹出口17Aを設け、イオン用吸込口18Aとイオン用吹出口17Aを繋ぐように略鉛直方向向きの通風路20Aを形成している。浄化空気用送風部の送風機8と略同高さの位置にイオン用送風部の送風機8Aが設けてある。尚、イオン用吹出口17Aは横長の矩形状である。イオン用吸込口18Aには、複数の吸込孔24aを有し、内面に防塵フィルタ24bを備えた前パネル24が着脱自在に取り付けてある。
【0068】
風路カバー12の角筒部12bの壁部12b1にイオン発生器22Aを設け、イオン発生器22Aにより発生させたイオンを吹出風路13を流れる浄化空気に付加している。
【0069】
加湿フィルタユニットの円環状の保持枠30が中心部に回転軸30aを備えており、この回転軸30aが水槽4に設けた軸受部4aに回転自在に支持されている。
【0070】
上記の実施の形態1,2では、ハウジング1の底面に車輪9を取り付けたが、車輪の代わりに脚部を取り付けてもよい。
【0071】
上記の実施の形態1,2では、浄化空気用送風部の吸込口2aを後面に設け、イオン用送風部の吸込口18を前面に設けたが、これらの吸込口の両方、又は一方を横側面に設けてもよい。
【0072】
上記の実施の形態1,2では、床面F上に設置する空気清浄機について説明したが、壁掛け形式の空気清浄機に構成してもよい。壁掛け形式の場合は、後面が壁Wに密接されるので、浄化空気用送風部の吸込口2aは横側面又は下面に設け、イオン用送風部の吸込口18は前面、横側面又は下面に設ける構成が採用できる。
【0073】
本発明において、発生させるイオンは帯電微粒子水も含むものとする。この時、イオン発生器は静電霧化装置から成り、静電霧化装置によってラジカル成分を含む帯電微粒子水が生成される。即ち、静電霧化装置に設けた放電電極をペルチェ素子により冷却することで放電電極の表面に結露水が生じる。次に、放電電極にマイナスの高電圧を印加すると、結露水から帯電微粒子水が生成される。また、放電電極からは帯電微粒子水とともに空気中に放出されるマイナスイオンも発生する。
【0074】
なお、今回開示した実施の形態は、全ての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、特許請求の範囲内での全ての変更及び特許請求の範囲と均等の範囲が含まれることが意図される。