(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
筐体と、該筐体に設けられた洗濯槽と、該洗濯槽に接続され、排水弁を有する排水路と、前記排水弁より上流側に着脱自在に設けられた排水フィルタと、該排水フィルタの詰まりの有無を判定する詰まり判定手段とを備える洗濯機において、
前記詰まり判定手段により前記排水フィルタに詰まりがあると判定した場合に、前記排水弁を開く排水弁開手段を備えることを特徴とする洗濯機。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上述の詰まりが生じた場合、十分な排水ができないため、排水路内に水が残存した状態にある。従って、排水フィルタを取り出したときに、排水が機外に溢れ出し、洗濯機の周辺が汚れるという問題があった。そして、残存水量が多い場合、排水フィルタを取り出すための開口部の下方に水受けを置いたり、タオルを置いたりすることでは対処できないことがあった。
【0007】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、排水フィルタが詰まり、排水フィルタを取り外す場合に、排水が機外へ溢れ出すことが抑制された洗濯機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る洗濯機は、筐体と、該筐体に設けられた洗濯槽と、該洗濯槽に接続され、排水弁を有する排水路と、前記排水弁より上流側に着脱自在に設けられた排水フィルタと、該排水フィルタの詰まりの有無を判定する詰まり判定手段とを備える洗濯機において、前記詰まり判定手段により前記排水フィルタに詰まりがあると判定した場合に、前記排水弁を開く排水弁開手段を備えることを特徴とする。
【0009】
本発明においては、排水フィルタが詰まり、排水フィルタを取り外す場合に、排水弁が開いているので、排水路に溜まった洗濯水の大部分が排水路の下流側へ流れ、排水が機外へ溢れ出すことが抑制される。
【0010】
本発明に係る洗濯機は、前記排水弁開手段により前記排水弁を開く場合に、前記排水フィルタの詰まりを報知する報知手段を備えることを特徴とする。
【0011】
本発明においては、ユーザに排水フィルタが詰まったことを報知し、排水フィルタの取り外しを促したときに、排水弁を開いた状態にすることができる。
【0012】
本発明に係る洗濯機は、前記排水フィルタの着脱を検出する検出手段を備え、前記排水弁開手段は、前記検出手段により前記排水フィルタが取り外されたことを検出した場合に、前記排水弁を開き、その後、前記検出手段により前記排水フィルタが取り付けられたことを検出した場合に、前記排水弁を閉じる手段を備えることを特徴とする。
【0013】
本発明においては、ユーザが正に排水フィルタを取り出すタイミングで排水弁を開き、掃除した後、排水フィルタが取り付けられ、排水弁を開く必要がなくなった場合に、排水弁を閉じる。従って、排水弁を無駄に開けることがなく、排水弁が通電により開くように構成されている場合に運転コストを低減することができる。
【0014】
本発明に係る洗濯機は、前記洗濯槽内の洗濯水の水位を検出する水位センサを備え、前記詰まり判定手段は、前記水位センサにより検出した前記水位の変化量に基づいて前記排水フィルタの詰まりの有無を判定することを特徴とする。
【0015】
本発明においては、洗濯運転時に水位を検出する水位センサを用いて、容易に排水フィルタの詰まりを判定することができる。
【0016】
本発明に係る洗濯機は、前記排水弁開手段は、前記水位センサにより検出した前記水位の変化量が第1閾値未満である場合に前記排水弁を開き、前記水位の変化量が前記第1閾値以上であり、かつ該第1閾値より大きい第2閾値未満である場合に、前記排水フィルタが詰まっていないときより排水時間を長くする手段を備えることを特徴とする。
【0017】
本発明においては、排水フィルタの詰まり量が少ない場合、排水フィルタが詰まっていないときより排水時間を長くして排水を完了することができ、すなわち運転を停止せずに排水を続行することができ、ユーザの利便性が良好である。そして、排水フィルタの詰まり量が多く、運転を停止する場合に排水弁を開くので、排水フィルタを取り外したときに排水が確実に機外から溢れ出さないようにすることができる。
【0018】
本発明に係る洗濯機は、前記排水フィルタを前記筐体の外へ抜き差し自在に収容するフィルタケースを備え、該フィルタケースを、前記排水フィルタを抜き出す方向の外側が他側より高くなるように配してあることを特徴とする。
【0019】
本発明においては、フィルタケースを、排水フィルタを抜き出す方向の外側が他側より高くなるように配してあるので、高低差により排水が排水フィルタの抜き出し口から溢れ出ることが抑制される。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、排水フィルタが詰まり、排水フィルタを取り外す場合に、排水が機外へ溢れ出すことが抑制される。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明をその実施の形態を示す図面に基づいて詳述する。
図1は、本発明の実施の形態に係る洗濯機100の外観を略示する斜視図、
図2は、洗濯機100の内部構成を略示する縦断面図である。洗濯機100は乾燥風路を備え、乾燥運転を実行できるように構成されている。なお、本発明の洗濯機は、乾燥風路を備える場合には限定されない。
【0023】
図2に示すように、洗濯機100は、外装を構成する筐体1の内部に洗濯槽2及び回転ドラム3を備えている。洗濯槽2は、一端側に全面に亘って設けられた開口部20を有する大径の有底円筒状をなし、筐体1の底面に立設された複数本の支持脚21(1本のみ図示)により、開口部20の側を上向きとした斜め横姿勢で弾性支持されている。なお、洗濯槽2は、縦姿勢又は横姿勢で支持されるものであってもよい。
【0024】
筐体1の前面(
図2の左側面)には、洗濯槽2の開口部20を臨む位置に、蓋体10により開閉自在に洗濯物の投入口11が開設してあり、この投入口11と洗濯槽2の開口部20との間は、ベローズ12により液密に封止されている。
図1に示すように、筐体1の前面には、蓋体10の近傍にドア開ボタン13が設けられている。蓋体10は、ドア開ボタン13の操作により開放される。
【0025】
回転ドラム3は、洗濯槽2より少し小径の有底円筒状をなし、洗濯槽2の底部中央に固設されたドラムモータ4の出力軸40の端部に底面を固定し、一端側の開口部30を洗濯槽2の開口部20の内側に臨ませた状態で支持されている。このように支持された回転ドラム3は、ドラムモータ4の駆動により、洗濯槽2の内部で回転する。回転ドラム3の周壁には、多数の小孔32が全面に亘って貫通形成されており、また周壁内面には、軸長方向に延びるバッフル33が、周方向に等配をなして複数突設されている。なお
図2中には、多数の小孔32のうちの一部と、一つのバッフル33とを図示している。
【0026】
図1に示すように、筐体1の前面上部には、各種の操作のための操作部及び各種の表示のための表示部を備える操作パネル15が設けられている。該操作パネル15は、筐体1の上部内側に設けた運転制御部16(
図2参照)に接続されている。洗濯機100は、操作パネル15の操作に応じた運転制御部16の動作により洗濯運転、脱水運転、及び乾燥運転を実行する。
【0027】
図1に示すように筐体1の後部上面には、水道等の給水源との接続が可能な接続部50が設けられている。
図2に示すように接続部50は、筐体1の内側に設けた給水弁51に接続されている。給水弁51は、複数の給水出口を有する多連形の電磁弁であり、運転制御部16の指令に応じて、閉止位置を含む複数の切り替え位置間で切り換え動作する。
【0028】
給水弁51の第1給水出口は、給水管52を介して洗濯槽2の上部周面に開口する給水口に接続されている。給水弁51が第1給水出口に切り替えられた場合、給水源からの水は、給水管52を経て洗濯槽2の内部へ送り込まれる。給水管52は、洗濯槽2の上部に沿って前方に延長し、公知の洗剤ケースに接続され、該洗剤ケース内に予め収容された適量の洗剤を給水と共に洗濯槽2内に送り込むように構成してもよい。
【0029】
給水弁51の第2給水出口は、冷却水管55を介して、洗濯槽2の前下部に連結されている。洗濯槽2には、下部周面に軸長方向に延びる凹溝22が形成されており、該凹溝22の上部を覆うように冷却板23が架設されている。冷却板23は、後部を下として傾斜しており、上表面に複数の凹部が並設されている。
【0030】
凹溝22の後端部、すなわち洗濯槽2の最も低くなった部分には、排水口24が設けられており、排水口24には排水部80を介し排水管81の一端部が接続されている。排水管81は筐体1の前後方向に延び、排水管81の他端部は、フィルタケース82の略中央部に設けられた接続部82aに接続されている。筐体1の前下部には、前側を上とした傾斜状態で凹部17が設けられており、フィルタケース82は、該凹部17の底面の裏面に端部を当接し、前側を上とした傾斜状態で筐体1の底面前部に固定されている。フィルタケース82には糸屑等のごみを捕捉する排水フィルタ83が、凹部17から機外へ抜き差し(着脱)可能に収容されている。なお、フィルタケース82を傾けた状態で設ける場合には限定されない。
【0031】
フィルタケース82の後端部には、排水弁84が接続されている。排水弁84は、筐体1の底面前部に固定されている。排水弁84の下側には排水ホース85の一端部が接続されている。排水ホース85は筐体1の底面の前後に沿って延び、他端部は筐体1から突出し、下水管に繋がる排水溝(図示せず)に接続されている。
フィルタケース82の略中央部の下側には循環ポンプ86が接続されている。循環ポンプ86には戻し管91が接続され、戻し管91は洗濯槽2の前部に沿って上方に延び、洗濯槽2の開口20の周縁部に設けたノズル92に接続されている。循環ポンプ86の駆動によりフィルタケース82内の洗濯水は、戻し管91を経て洗濯槽2の上部に送水され、ノズル92から回転ドラム3内へ噴射される。
フィルタケース82の前側上端部には、排水フィルタ83の抜き差しを検知するフィルタセンサ93が取り付けられている。フィルタセンサ93は例えばリミットスイッチであり、排水フィルタ83の抜き差しに応じてスイッチがオフ/オンし、運転制御部16へ信号が送られるように構成されている。
【0032】
排水部80には、エアトラップ88が接続されており、該エアトラップ88には水位センサ89が取付けられている。排水弁84が閉じており、洗濯水がフィルタケース82及び排水管81を充満したとき、エアトラップ88の内部には空気が取り残される。この空気の圧力は、前記給水管52から水が供給されるとき、洗濯槽2内の洗濯水の水位の上昇に応じて大きくなる。水位センサ89はエアトラップ88内の空気圧を検出し、空気圧に対応する検出信号を運転制御部16へ送る。運転制御部16は、水位センサ89の検出信号に基づいて洗濯水の水位を認識する。
排水弁84が開放された場合、洗濯槽2内の洗濯水は、排水管81及びフィルタケース82を経て排水ホース85へ排出される。
【0033】
図3はフィルタケース82及び排水弁84の拡大斜視図、
図4はフィルタケース82及び排水弁84の拡大断面図、
図5はフィルタケース82から排水フィルタ83を抜き出した状態を示す拡大断面図である。
フィルタケース82は合成樹脂製である。フィルタケース82の本体821は角筒状をなし、該本体821の端部には、本体821より断面寸法が大きい円筒部82eが連設されている。該円筒部82eの外側には、矩形板状のフランジ部82fが周設されている。
フィルタケース82は、本体821の側面の長手方向に並設された支持脚82c,82dにより、上述したように斜め姿勢で筐体1の底面に固定されている。本体821の上面中央部には前記接続部82aが突設されており、該接続部82aに排水管81が接続される。本体821の側面の中央部下側には接続部82bが突設されており、該接続部82bに循環ポンプ86が接続される。
【0034】
排水フィルタ83は合成樹脂製であり、多数の網目を有する円柱状の本体831の端部に該本体831より大径の把手部83aを連設してなる。フィルタケース82は、排水フィルタ83を嵌め込むことができる内面形状を有する。
以上のように構成されているので、ユーザは凹部17に手を差し入れ、把手部83aを持ってフィルタケース82から排水フィルタ83を抜き差しすることができる。凹部17には蓋が設けられており、ユーザは該蓋を開けて排水フィルタ83の抜き差しを行う。
【0035】
排水弁84は、長手方向に並設された支持脚84d,支持脚84eにより、フィルタケース82から横に突出した状態(フィルタケース82に直交する状態)で筐体1の底面に固定されている。円柱状の本体841の左側に設けられた接続部84aが、接続管90を介し排水フィルタ82の本体821の側面後端部に接続されている。本体841の上側には接続部84fが設けられており、該接続部84fに洗濯槽2から溢れ出た洗濯水を送出する溢出管(図示せず)が接続される。本体841の下側には接続部84cが設けられており、該接続部84cに排水ホース85が接続される。
本体841の右側には接続部84bが設けられており、該接続部84bにソレノイドアクチュエータ(図示せず)が接続される。排水弁84は、ソレノイドアクチュエータが通電され、磁場が生じて弁が開く電磁弁である。
【0036】
本実施の形態に係る洗濯機100は、乾燥風を循環させる乾燥風路を備えている(
図2参照)。乾燥風路は、洗濯槽2の底面に沿って延び、該洗濯槽2と一体形成された導出ダクト60及び導入ダクト61を有している。導出ダクト60の下端部は、冷却板23の後位置で洗濯槽2内に開口する導出口62に連通している。導出ダクト60の上端部は、洗濯槽2の上部周面に上向きに突設された導出管63に連通している。
【0037】
導入ダクト61の上端部は、洗濯槽2の上部周面に上向きに突設された導入管64に連通している。また導入ダクト61の下端部においては、ドラムモータ4の出力軸40が突出しており、この突出部と同軸に、洗濯槽2の内部に向けて開口する円形断面の導入口65が開設されている。
【0038】
洗濯槽2の上部には、乾燥風を起風する送風ファン70が配されている。該送風ファン70は、吸込側のフィルタ71と、吐出側のヒータ72と共にユニット化され、筐体1の内部に固定支持されている。洗濯槽2の上部に突出する導出管63の端部は、送風ファン70の吸込側に連結され、同じく導入管64の端部は、送風ファン70の吐出側に連結されている。
なお、前記ユニットに、乾燥風にイオンを発生させるためのイオン発生装置をそなえることにしてもよい。
【0039】
図6は、以上のように構成された洗濯機100の制御ブロック図である。
運転制御部16は、CPU(Central Processing Unit)161、洗濯機100の全体を制御するための制御プログラムを格納したROM162、及び作業領域としてのRAM163を備えたマイクロコンピュータ(マイコン)で構成される。CPU161が、ROM162に格納された制御プログラムをRAM163上に読み出し、処理中のデータを一時的にRAM163に格納しながらその制御プログラムを実行する。
【0040】
運転制御部16には、水位センサ89、フィルタセンサ93の検出信号、及び操作パネル15の操作キーの信号が入力される。運転制御部16からは、操作パネル15に対する表示信号の他に、ドラムモータ4、送風ファン70、ヒータ72、排水弁84、給水弁51、循環ポンプ86、及びブザー95に対する駆動信号が出力される。運転制御部16は後述するように排水フィルタ83が重度の詰まり状態であると判定した場合に、ブザー95を鳴らすように構成されている。
【0041】
洗濯運転は、ユーザが蓋体10を開放し、投入口11の内側に位置する開口部20,30から回転ドラム3内に洗濯物を投入し、蓋体10を閉止した後、運転制御部16が給水弁51を第1給水出口に切り替え、給水管52から洗濯槽2の内部へ給水することにより開始される。
【0042】
給水時、排水弁84は閉じており、洗濯槽2の内部に給水される洗濯水は、排水管81を経てフィルタケース82内に入り、フィルタケース82及び排水管81内を満たした後、洗濯槽2の内部に溜まる。水位センサ89は、上述したようにエアトラップ88内の空気圧を検出し、空気圧に対応する検出信号を運転制御部16へ送る。運転制御部16は、水位センサ89の検出信号に基づいて洗濯水の水位を認識する。
運転制御部16は、洗濯水の水位が所定値に達したと判定した場合、ドラムモータ4を駆動して回転ドラム3を回転させる。上述したように回転ドラム3は、多数の小孔32と複数のバッフル33とを備えており、水は小孔32を経て回転ドラム3内に入る。回転ドラム3内の洗濯物は、バッフル33による持ち上げ及び落下が繰り返されて洗濯される。
【0043】
フィルタケース82に接続された循環ポンプ86は、洗濯運転中に連続的又は間欠的に駆動される。この駆動によりフィルタケース82内の洗濯水は、循環ポンプ86に吸い込まれて昇圧され、戻し管91を経て洗濯槽2の上部に送水されて、該戻し管91の先端に接続されたノズル92から回転ドラム3内の洗濯物に噴射される。以上のようにして、洗濯水が洗濯槽2からフィルタケース82内を通って回転ドラム3内に戻るという循環が生じ、少ない水量で効率的に洗濯が行われる。循環する洗濯水中に含まれる糸屑等のごみは、フィルタケース82に収容された排水フィルタ83に捕捉されて除去され、ドラム3内部には、戻し管91を経て清浄な洗濯水が降り注がれる。
【0044】
以上の洗濯運転の後、運転制御部16は、回転ドラム3の回転を停止し、フィルタケース82の下部に設けられた排水弁84を開放する。排水弁84の開放により洗濯槽2内の洗濯水は、排水管81及びフィルタケース82を経て排水ホース85へ排出される。この排水に際しても、洗濯水中に含まれるごみは、フィルタケース82内の排水フィルタ83に捕捉されるので、排水ホース85を経て機外へごみが排出される虞れがなく、環境負荷の軽減が図られている。
排水の完了後、運転制御部16は回転ドラム3を回転させて脱水運転を行う。回転ドラム3の回転により洗濯物に含まれる水が遠心力で振り切られ、洗濯槽2外へ流出し、排水管81及びフィルタケース82を経て排水ホース85へ排出される。
【0045】
脱水後、運転制御部16は、送風ファン70を駆動し、ヒータ72を動作させると共に、ドラムモータ4を駆動し、回転ドラム3を低速度で反復回転させて乾燥運転を行う。このとき、給水弁51を第2給水出口に切り替え、冷却板23上に冷却水を流す。送風ファン70の駆動により、吸込側に連結された導出管63から乾燥風が吸い込まれて加圧され、ヒータ72で加熱されて、吐出側に連結された導入管64を通って導入ダクト61へ送り出される。導入ダクト61内へ送り出された乾燥風は、洗濯槽2の外周から中央に向けて流れて導入口65に達し、回転ドラム3内に導入される。回転ドラム3内に導入された乾燥風は、周壁に形成された多数の小孔32を通って洗濯槽2内に流出し、導出口62を経て導出ダクト60内へ導出され、送風ファン70に再度吸い込まれる。
【0046】
回転ドラム3の内部の洗濯物は、該回転ドラム3の回転による持ち上げ及び落下を繰り返される。回転ドラム3内に導入される乾燥風は、回転ドラム3内の洗濯物に当たり、該洗濯物の水分を奪って洗濯槽2内に流出し、該洗濯槽2の底面下部に開口する導出口62に向かって流れる。このように流れる乾燥風は、冷却板23上の冷却水と接触して冷却され、含有水分を凝縮除去された低湿の乾燥風となって導出口62に達し、導出ダクト60内に送り出される。なお、乾燥運転時に排水弁84は開いており、凝縮除去された水分は、冷却板23上を冷却水と共に後側に流れ、後端部に達して凹溝22内に流れ落ち、排水管81及びフィルタケース82を通って排水ホース85内へ排水される。
【0047】
低湿の乾燥風は、導出ダクト60内を上昇し、導出管63を経て送風ファン70に吸い込まれて加圧され、ヒータ72により再度加熱されて高温、低湿の温風として導入ダクト61内を下降し、回転ドラム3の内部に導入される。回転ドラム3内の洗濯物は、上述のように回転ドラム3の回転による持ち上げ及び落下を繰り返されるので、冷却及び加熱を伴って循環する乾燥風との接触が繰り返され、効率的に乾燥させられる。
【0048】
以下、排水について詳述する。
図7は、運転制御部16による排水処理の手順を示すフローチャートである。運転制御部16は図示しないタイマを備えている。
まず、運転制御部16は、排水処理の開始時点からの前記タイマの計時を開始し、排水弁84を開く(S1)。
そして、運転制御部16は、水位センサ89により、所定のサンプリング周期で洗濯水の水位データを取得する(S2)。
次に、運転制御部16は、取得した複数の水位データに基づいて、時間当たりの水位変化量(排水速度)を算出する(S3)。この水位変化量として、連続するサンプリング時点における水位データの差に基づいて得られた複数の水位変化量の平均値、所定の回数目のサンプリング時点における水位変化量等が挙げられる。
【0049】
運転制御部16は、算出した水位変化量が第2閾値a以上であるか否かを判定する(S4)。運転制御部16は水位変化量が第2閾値a以上であると判定した場合(S4:YES)、排水が順調に進んでいることになり、処理をステップS5へ進める。ステップS5において、運転制御部16は、予め設定してある排水時間が経過したか否かを判定する(S5)。この排水時間は、排水フィルタ83が全く詰まっていない場合に排水の開始から完了までに要する時間に、所定の付加時間を加算して得られる。運転制御部16は、排水時間が経過していないと判定した場合(S5:NO)、判定の処理を繰り返す。運転制御部16は排水時間が経過したと判定した場合(S5:YES)、排水弁84を閉じ(S6)、排水処理を終了する。
【0050】
運転制御部16はステップS4において、算出した水位変化量が第2閾値a以上でない、すなわち第2閾値a未満であると判定した場合(S4:NO)、水位変化量が第1閾値b以上であるか否かを判定する(S7)。第1閾値bは第2閾値aより小さい。運転制御部16は水位変化量が第1閾値b以上であると判定した場合(S7:YES)、操作パネル15に排水フィルタ83が詰まったこと(ここでは、軽度の詰まり状態であること)を表示する(S8)。詰まりは軽度であるので、ユーザは排水フィルタ83を抜き出して掃除する必要性はなく、設定した前記排水時間を長くすれば足り、前記排水時間に所定の時間を加算して排水時間を補正し(S9)、処理をステップS5へ進める。この場合、ステップS5において、補正した排水時間が経過したか否かを判定する。
【0051】
運転制御部16が水位変化量が第1閾値b以上でない、すなわち第1閾値b未満であると判定した場合(S7:NO)、運転を停止し、操作パネル15に排水フィルタ83が詰まったこと(ここでは、重度の詰まり状態であること)を表示するとともに、ブザー95を鳴らして警報を行う(S10)。運転が停止されるので、電磁弁である排水弁84は閉じることになる。ユーザは警報を認知したとき、排水フィルタ83を掃除するために、凹部17へ手を差し入れ、把手部83aを持って、排水フィルタ83を機外へ抜き出す。
【0052】
運転制御部16は、排水フィルタ83が抜き出されたか否か、すなわち、フィルタセンサ93により排水フィルタ83の抜き出しに対応する検知信号が入力されたか否かを判定する(S11)。運転制御部16は排水フィルタ83が抜き出されていないと判定した場合(S11:NO)、判定の処理を繰り返す。運転制御部16は排水フィルタ83が抜き出されたと判定した場合(S11:YES)、排水弁84を開く(S12)。
【0053】
次に、運転制御部16は、フィルタセンサ93により排水フィルタ83が差し込まれたか否か、すなわち、フィルタセンサ93により排水フィルタ83の差し込みに対応する検知信号が入力されたか否かを判定する(S13)。運転制御部16は排水フィルタ83が差し込まれていないと判定した場合(S13:NO)、判定の処理を繰り返す。
運転制御部16は排水フィルタ83が差し込まれたと判定した場合(S13:YES)、運転停止を解除し(S14)、処理をステップS6へ進め、排水弁84を閉じ、排水処理を終了する。
【0054】
以上のように構成された本実施の形態に係る洗濯機100においては、排水フィルタ83が重度に詰まったと判定し、警報によりユーザに排水フィルタ83の抜き出しを促し、ユーザが排水フィルタ83を機外へ抜き出す場合に、排水弁84を開けるので、排水管81及びフィルタケース82に溜まった洗濯水の大部分が排水ホース85側へ流れ、洗濯水が筐体1の凹部17から溢れ出すことが抑制されている。しかも、フィルタケース82が外側を上にして傾いた状態で設けられているので、凹部17からの洗濯水の溢出がより抑制されている。
【0055】
そして、本実施の形態において、排水フィルタ83が抜き出されたことが検知された場合に排水弁84を開き、ユーザが排水フィルタ83を掃除した後、差し込まれたことが検知され、排水弁84を開く必要がなくなった場合に、排水弁84を閉じるので、排水弁84を開くために通電する時間を短くすることができ、運転コストを低減させることができる。なお、重度の詰まり状態であることの警報を行った時点で排水弁84を開いておき、排水フィルタ83を抜き出すときに確実に凹部17から排水が溢れ出さないようにしてもよい。
【0056】
また、本実施の形態においては、排水フィルタ83の詰まり量が少なく、掃除をする必要がない場合、排水フィルタ83が詰まっていない場合より排水時間を長くして排水を完了できるようにしているので、不必要に排水を中断することがなく、ユーザの利便性が良好である。
【0057】
今回開示された実施の形態は、全ての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上述した意味ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。