特許第5836623号(P5836623)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5836623
(24)【登録日】2015年11月13日
(45)【発行日】2015年12月24日
(54)【発明の名称】コネクタ
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/42 20060101AFI20151203BHJP
【FI】
   H01R13/42 B
【請求項の数】1
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2011-82803(P2011-82803)
(22)【出願日】2011年4月4日
(65)【公開番号】特開2012-221576(P2012-221576A)
(43)【公開日】2012年11月12日
【審査請求日】2014年3月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】特許業務法人栄光特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100105474
【弁理士】
【氏名又は名称】本多 弘徳
(74)【代理人】
【識別番号】100108589
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 利光
(72)【発明者】
【氏名】長坂 尚一
(72)【発明者】
【氏名】中岸 巧
【審査官】 石川 貴志
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−157925(JP,A)
【文献】 実開平02−126376(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 13/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
接続端子と、該接続端子を収容する端子収容孔を有したコネクタハウジングとを備え、
前記接続端子には、ランス係合部と、誤挿入防止用のスタビライザと、が備えられ、
前記コネクタハウジングには、前記スタビライザを誘導するガイド溝が備えられると共に、前記端子収容孔への挿入が完了した接続端子の抜けを防止する手段として、前記ランス係合部に係合して前記接続端子の抜け方向への移動を規制するランスと、前記スタビライザと係合して前記接続端子の抜け方向への移動を規制するスタビライザ係止手段と、が備えられるコネクタであって、
前記ガイド溝は、前記ランスの側方に前記ランスの延在方向に沿って延設され、
前記スタビライザ係止手段は、前記ランスの側面に一体形成された隆起構造であり、前記スタビライザを係止する先端面と、前記スタビライザを前記先端面に案内する傾斜面と、該傾斜面に連続してスタビライザ挿入元側に延在して形成され前記ガイド溝の底面を兼用する上面とを有し、
前記ランス係合部は、前記接続端子の幅方向に偏心した状態で形成され、かつ前記接続端子の上部壁と側壁部とに跨がって開口を形成することで形成されていることを特徴とするコネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コネクタハウジングに収容した接続端子抜けを防止する手段として、前記接続端子のランス係合部に係合して前記接続端子の抜け方向への移動を規制するランスと、前記接続端子のスタビライザと係合して前記接続端子の抜け方向への移動を規制するスタビライザ係止手段と、を備えるコネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
図13及び図14は、下記特許文献1に開示されたコネクタを示している。
このコネクタ101は、金属板製の接続端子110と、該接続端子110を収容する端子収容孔121を有したコネクタハウジング120と、を備える。
【0003】
接続端子110は、金属板のプレス成形により形成された雌端子である。この接続端子110は、相手の接続端子(不図示)の先端部と嵌合する角筒状の端子嵌合部111と、この端子嵌合部111の後端に連なる角筒状部112と、この角筒状部112の後端に連なる電線圧着部113と、を備えている。
【0004】
そして、角筒状部112上には、ランス係合部114と、誤挿入防止用のスタビライザ116と、が備えられている。
【0005】
ランス係合部114は、後述するコネクタハウジング120のランス123と対向する角筒状部112の外壁部112aに形成した開口である。
【0006】
スタビライザ116は、外壁部112aの両側に位置する外側壁部112bの端縁の一部を、後述の端子収容孔121の底部121a側に延長した突片である。
【0007】
コネクタハウジング120には、スタビライザ116を誘導するガイド溝(不図示)が備えられると共に、端子収容孔121への挿入が完了した接続端子110の抜けを防止する手段として、ランス123と、スタビライザ係止手段としてのリテーナ124とが備えられる。
【0008】
スタビライザ116を誘導する不図示のガイド溝は、接続端子110におけるスタビライザ116の配置に対応して、スタビライザ116が対向する端子収容孔121の底部121aの両側縁に装備されている。
【0009】
ランス123は、接続端子110の端子収容孔121への挿入途中では、外壁部112aとの干渉で端子嵌合部111から離れる方向に撓み変位可能に形成された弾性係止片である。このランス123は、接続端子110の端子収容孔121への挿入が完了したときに、ランス係合部114に係合して、接続端子110の抜け方向への移動を規制する。
【0010】
スタビライザ係止手段としてのリテーナ124は、コネクタハウジング120とは別体に形成された部材で、コネクタハウジング120に着脱可能である。
【0011】
このリテーナ124は、接続端子110の端子収容孔121への挿入が完了した後でコネクタハウジング120に装着される。リテーナ124はコネクタハウジング120に装着されると、図13に示したように、端子収容孔121に保持されている接続端子110のスタビライザ116の後端縁116aと係合して、接続端子110の抜け方向への移動を規制する。
【0012】
以上に説明したコネクタ101は、コネクタハウジング120に収容した接続端子110の抜け止めを、ランス123と、スタビライザ係止手段としてのリテーナ124とで2重に行う。そのため、接続端子の抜け止め手段としてランスのみしか備えていないコネクタの場合と比較すると、接続端子の保持力を向上させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特開平8−213091号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
ところが、特許文献1に開示されたコネクタの場合、スタビライザ係止手段として、コネクタハウジング120とは別体のリテーナ124を使用しているため、コネクタの構成部品の増加や、組立工程の増加といった問題が発生した。
【0015】
そこで、本発明の目的は、上記課題を解消することに係り、構成部品や組立工程の増加を招くことなく、接続端子の保持力を向上させることのできるコネクタを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明の前述した目的は、下記の構成により達成される。
(1)接続端子と、該接続端子を収容する端子収容孔を有したコネクタハウジングとを備え、
前記接続端子には、ランス係合部と、誤挿入防止用のスタビライザと、が備えられ、
前記コネクタハウジングには、前記スタビライザを誘導するガイド溝が備えられると共に、前記端子収容孔への挿入が完了した接続端子の抜けを防止する手段として、前記ランス係合部に係合して前記接続端子の抜け方向への移動を規制するランスと、前記スタビライザと係合して前記接続端子の抜け方向への移動を規制するスタビライザ係止手段と、が備えられるコネクタであって、
前記ガイド溝は、前記ランスの側方に前記ランスの延在方向に沿って延設され、
前記スタビライザ係止手段は、前記ランスの側面に一体形成された隆起構造であり、前記スタビライザを係止する先端面と、前記スタビライザを前記先端面に案内する傾斜面と、該傾斜面に連続してスタビライザ挿入元側に延在して形成され前記ガイド溝の底面を兼用する上面とを有し、
前記ランス係合部は、前記接続端子の幅方向に偏心した状態で形成され、かつ前記接続端子の上部壁と側壁部とに跨がって開口を形成することで形成されていることを特徴とするコネクタ。
【0017】
上記(1)の構成によれば、コネクタハウジングに収容した接続端子の抜け止めを、ランスと、スタビライザ係止手段とで2重に行う。そのため、接続端子の抜け止め手段としてランスのみしか備えていないコネクタの場合と比較すると、接続端子の保持力を向上させることができる。
【0018】
しかも、上記(1)の構成によれば、スタビライザ係止手段は、ランスの側面に一体形成された隆起構造で、構成部品や組立工程の増加を招かない。
【0019】
従って、上記(1)の構成によれば、構成部品や組立工程の増加を招くことなく、接続端子の保持力を向上させることができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によるコネクタによれば、コネクタハウジングに収容した接続端子の抜け止めを、ランスと、スタビライザ係止手段とで2重に行う。そのため、接続端子の抜け止め手段としてランスのみしか備えていないコネクタの場合と比較すると、接続端子の保持力を向上させることができる。
【0021】
しかも、本発明によるコネクタによれば、スタビライザ係止手段は、ランスの側面に一体形成された隆起構造で、構成部品や組立工程の増加を招かない。
【0022】
従って、本発明によるコネクタによれば、構成部品や組立工程の増加を招くことなく、接続端子の保持力を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明に係るコネクタのコネクタハウジングが収容する雄タブ端子の一実施形態の斜視図である。
図2図1のB矢視図である。
図3図1に示した雄タブ端子の側面図(図2のC矢視図)である。
図4】本発明に係るコネクタのコネクタハウジングが収容する雌接続端子の一実施形態の斜視図である。
図5図4のD矢視図である。
図6図4に示した雌接続端子の側面図(図5のE矢視図)である。
図7】本発明に係る雌接続端子を収容するコネクタハウジングの一実施形態の要部の縦断面図である。
図8図7のF矢視図である。
図9図7に示したランス及びスタビライザ係止手段をランスの先端側上方から視た斜視図である。
図10図7に示したランス及びスタビライザ係止手段をランスの後端側上方から視た斜視図である。
図11図10に示したスタビライザ係止手段にスタビライザが係止された状態の斜視図である。
図12】本発明に係るスタビライザ係止手段の他の実施の形態を示すランスの側面図である。
図13】従来のコネクタの縦断面図である。
図14図13のA−A断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明に係るコネクタの好適な実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0025】
図1図3は本発明に係るコネクタのコネクタハウジングが収容する雄タブ端子の一実施形態を示したもので、図1は本発明の一実施形態の雄タブ端子の斜視図、図2図1のB矢視図、図3図1に示した雄タブ端子の側面図(図2のC矢視図)である。
【0026】
この一実施形態のコネクタは、図1図3に示す雄タブ端子10、図4図6に示す雌型接続端子20、雌型接続端子20を収容保持するコネクタハウジング30等から構成される。
【0027】
一実施形態における雄タブ端子10は、金属板のプレス成形品で、先端(図3では、左端)に形成された棒状のタブ11と、タブ11の後端に連なる角筒構造の角筒状部12と、該角筒状部12の後端に連なる電線圧着部14と、を備える。
【0028】
タブ11の先端部には、後述する雌型接続端子20への嵌合を容易にするための面取り15が施されている。
【0029】
角筒状部12の上部壁12a側には、コネクタハウジングのランスの突起部が係合するランス係合部16と、誤挿入防止用のスタビライザ19と、が形成されている。
ランス係合部16は、略四角形の開口で、図2に示す雄タブ端子10の中心軸C10に対して、幅方向に偏心した状態で形成されている。また、本実施形態の場合、ランス係合部16は、ランスの突起部が角筒状部12の片側の側壁部12bにも係合可能なように、ランスと対向する角筒状部12の上部壁12aと該上部壁12aの側縁に連なる側壁部12bとに跨って開口(切り欠き)を形成することで形成されている。
【0030】
このランス係合部16の先端側の縁部が、コネクタハウジング上のランスの突起部との当接により抜け止めを実現するランス係合面16aとなる。
【0031】
本実施形態のランス係合面16aは、図3に示すように、上部壁12aにおける開口の縁部である第1係合面161と、側壁部12bにおける開口の縁部で第1係合面161の端から上部壁12aと略直交する方向に延在する第2係合面162とを備えた鉤形(L字形)の係合面である。
【0032】
スタビライザ19は、上部壁12aの他側の側壁部12cの上端縁の一部を、上部壁12aよりも上方に突出するように延長した突片である。
【0033】
このスタビライザ19は、雄タブ端子10が上下逆転してコネクタハウジングに誤挿入されることを防止するために設けられている。
【0034】
電線圧着部14は、電線の導体に圧着される導体加締め片17と、電線の被覆部に加締め付けられる被覆加締め片18とを備えている。
【0035】
図4図6は本発明に係るコネクタのコネクタハウジングが収容する雌接続端子の一実施形態を示したもので、図4は本発明の一実施形態の雌接続端子の斜視図、図5図4のD矢視図、図6図4に示した雌接続端子の側面図(図5のE矢視図)である。
【0036】
雌型接続端子20は、金属板のプレス成形品で、先端(図6では左端)に形成された角筒状の端子嵌合部21と、端子嵌合部21の後端に連なる角筒構造の角筒状部22と、角筒状部22の後端に連なる電線圧着部24と、を備える。
【0037】
本実施形態の場合、角筒状部22は、端子嵌合部21の後端側を延長した角筒構造である。角筒状部22の上部壁22a側には、後述のランス37の突起部37bが係合するランス係合部としてのランス係合部23と、誤挿入防止用のスタビライザ29と、が形成されている。
【0038】
端子嵌合部21は、雄タブ端子10の先端のタブ11が嵌合可能な角筒構造で、タブ11が嵌合接続される。端子嵌合部21の内部には、図6に示すように、挿入されたタブ11を上面21a側に押圧してタブ11との導通接続を実現する押圧バネ片26が、設けられている。
【0039】
ランス係合部23は、後述のコネクタハウジング30におけるランス37の突起部37bが係合する略四角形の開口である。このランス係合部23は、図5に示す雌型接続端子20の中心軸C20に対して、幅方向に偏心した状態で形成されている。また、本実施形態の場合、ランス係合部23は、後述のランス37の突起部37bが角筒状部22の片側の側壁部22bにも係合可能なように、後述のランス37と対向する角筒状部12の上部壁22aと該上部壁の片側の側縁に連なる側壁部22bとに跨って開口(切り欠き)を形成することで形成されている。
【0040】
このランス係合部23の先端側の縁部が、ランス37の突起部37bとの当接により抜け止めを実現するランス係合面23aとなる。
【0041】
本実施形態のランス係合面23aは、図4に示すように、上部壁22aにおける開口の縁部である第1係合面231と、側壁部22bにおける開口の縁部で第1係合面231の端から上部壁22aと略直交する方向に延在する第2係合面232とを備えた鉤形(L字形)の係合面である。
【0042】
スタビライザ29は、上部壁22aの他側の側壁部22cの上端縁の一部を、上部壁12aよりも上方に突出するように延長した突片である。
【0043】
このスタビライザ29は、雌型接続端子20が上下逆転してコネクタハウジングに誤挿入されることを防止するために設けられている。
【0044】
電線圧着部24は、電線の導体に圧着される導体加締め片27と、電線の被覆部に加締め付けられる被覆加締め片28とを備えている。
【0045】
図7図11は雌型接続端子20を収容保持するコネクタハウジングの一実施形態を示したもので、図7は一実施形態のコネクタハウジング30の要部の縦断面図、図8図7のF矢視図、図9図7に示したランス及びスタビライザ係止手段をランスの先端側上方から視た斜視図、図10図7に示したランス及びスタビライザ係止手段をランスの後端側上方から視た斜視図、図11図10に示したスタビライザ係止手段にスタビライザが係止された状態の斜視図である。
【0046】
図7図11に示したコネクタハウジング30は、雌型接続端子20を収容保持する雌型ハウジングで、プラスチック材料による射出成型品である。
【0047】
このコネクタハウジング30は、雌型接続端子20を収容する端子収容孔31と、雌型接続端子20に嵌合接続する雄タブ端子10のタブ11が挿入されるタブ挿通口33と、雌型接続端子20のスタビライザ29を誘導するガイド溝35と、端子収容孔31への挿入が完了した雌型接続端子20の抜けを防止する手段としてのランス37及びスタビライザ係止手段38と、を備える。
【0048】
端子収容孔31は、ハウジング後端から雌型接続端子20が挿入可能なように、コネクタハウジング30の後端面(基端面)30aに開口した孔である。
【0049】
タブ挿通口33は、ハウジング先端に貫通形成された横断面形状が四角形の孔で、端子収容孔31の先端側に連通している。
【0050】
ガイド溝35は、図7及び図8に示すように、ランス37の片側の側方に、ランス37の延在方向に沿って延設されている。ガイド溝35は、雌型接続端子20が正規の装着向き(雌型接続端子20の上部壁22aをランス37側に向けた向き)で端子収容孔31に挿入された際に、雌型接続端子20のスタビライザ29を、端子収容孔31の長さ方向に沿って摺動可能に支持する。
【0051】
ランス37は、端子収容孔31の長手方向に沿って延在する片持ち梁状の弾性片37aと、弾性片37aの先端側から端子収容孔31内に突出する突起部37bとを備えている。ランス37は、雌型接続端子20の端子収容孔31への挿入が完了した際に、突起部37bが雌型接続端子20のランス係合部23に係合して、雌型接続端子20の抜け方向への移動を規制する。
【0052】
スタビライザ係止手段38は、本実施形態の場合、図8図10に示すように、ランス37の側面に一体形成された厚板状の隆起構造である。このスタビライザ係止手段38は、その上面38aが、スタビライザ29が摺動するガイド溝35の底面を兼ねるように、ランス37の側面に一体形成されている。このスタビライザ係止手段38は、雌型接続端子20の端子収容孔31への挿入が完了した際に、図11に示すように、先端面38bがスタビライザ29の後端面29aと係合して、雌型接続端子20の抜け方向(図11の矢印X方向)への移動を規制する。
【0053】
本実施形態では、雄タブ端子10を収容保持するコネクタハウジングは図示していない。しかし、雄タブ端子10を収容保持するコネクタハウジングも、上記コネクタハウジング30の場合と同様に、収容した雄タブ端子10の抜けを防止する手段として、ランスとスタビライザ係止手段を備える。そして、スタビライザ係止手段は、コネクタハウジング30の場合と同様に、ランスの側面に一体形成された隆起構造として装備される。
【0054】
以上に説明した一実施形態のコネクタでは、コネクタハウジング30に収容した雌型接続端子20の抜け止めを、ランス37と、スタビライザ係止手段38とで2重に行う。そのため、接続端子の抜け止め手段としてランスのみしか備えていないコネクタの場合と比較すると、雌型接続端子20の保持力を向上させることができる。
【0055】
しかも、一実施形態のコネクタでは、スタビライザ係止手段38は、ランス37の側面に一体形成された隆起構造で、構成部品や組立工程の増加を招かない。
【0056】
従って、一実施形態のコネクタでは、構成部品や組立工程の増加を招くことなく、雌型接続端子20の保持力を向上させることができる。
【0057】
また、雄タブ端子10を収容するコネクタハウジングにおいても、コネクタハウジング30と同様に、ランスの側面にスタビライザ係止手段を一体に形成した構成としておくことにより、コネクタとしては、嵌合接続する一対のコネクタハウジングのそれぞれにおいて、構成部品の増加防止、組立工程の増加防止を図ることができる。
【0058】
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良、等が可能である。その他、上述した実施形態における各構成要素の材質、形状、寸法、数、配置箇所、等は本発明を達成できるものであれば任意であり、限定されない。
【0059】
例えば、ランス37の側面に一体形成するスタビライザ係止手段38は、図9及び図10に示したようにランス37の長さ方向に沿って延在する長尺の隆起構造ではなく、図12に示すように、スタビライザ29が乗り越えて係合する小さな三角形状の隆起構造として、小型軽量化を図ることもできる。
【符号の説明】
【0060】
10 雄タブ端子(接続端子)
16 ランス係合部
19 スタビライザ
20 雌型接続端子(接続端子)
23 ランス係合部
29 スタビライザ
30 コネクタハウジング
31 端子収容孔
35 ガイド溝
37 ランス
38 スタビライザ係止手段
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14