(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を実施するための形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0011】
[第1実施形態]
図1は、本発明の第1実施形態に係る力覚センサの概略構成を示す説明図であり、
図1(a)は力覚センサの斜視図、
図1(b)は
図1(a)とは異なる方向から見た力覚センサの斜視図である。
【0012】
図1に示す力覚センサ100は、X軸、Y軸及びZ軸の並進方向の力Fx,Fy,Fz及びX軸、Y軸及びZ軸の回転方向のモーメントMx,My,Mzを検出する6軸の力覚センサである。力覚センサ100は、一対の被測定対象(不図示)の間に配置される。例えば一対の被測定対象のうちの一方の被測定対象はロボットアームであり、他方の被測定対象はハンド部であって、ロボットアームの先端には、力覚センサ100を介してハンド部が設けられている。
【0013】
力覚センサ100は、平板状の台座部材101と、台座部材101に相対して配置され、外力が作用して台座部材101に対して変位する平板状の作用部材102とを備えている。台座部材101は、一方の被測定対象に固定され、作用部材102は、他方の被測定対象に固定される。この作用部材102は、変位がないときには、台座部材101と平行である。また、台座部材101及び作用部材102は、外力の作用で容易に変形しない剛体で形成されている。台座部材101は、円板状に形成されているが、これに限定するものではなく、四角形の板状等、どのような形状の平板であってもよい。
【0014】
また、力覚センサ100は、台座部材101に相対して配置された剛性部材103を備えている。この剛性部材103は、環状(本第1実施形態では、円環状)に形成された剛性基体103aを有している。この剛性基体103aは、台座部材101と任意の間隔をとり、台座部材101に平行に相対して配置されている。剛性基体103aは、外周の形状が台座部材101の外周の形状と同一に設定されている。そして、剛性基体103aの内側に作用部材102が配置されている。また、剛性部材103は、台座部材101の平面に垂直な軸線Lまわりに間隔を開けて配置され、剛性基体103aから内側に突出する4つの剛性突出片103b,103c,103d,103eを有している。本第1実施形態では、軸線Lは、台座部材101の中心を通るZ軸に平行な線である。また、本第1実施形態では、4つの剛性突出片103b,103c,103d,103eは、台座部材101の平面に垂直な軸線Lまわりに等間隔(90度間隔)に配置されている。
【0015】
剛性基体103a及び各剛性突出片103b〜103eは、外力の作用により変形しない剛体からなる。そして、各剛性突出片103b〜103eは、剛性基体103aに固定されている。
【0016】
更に、力覚センサ100は、軸線Lまわりに間隔を開けて配置され、作用部材102の外周面と剛性部材103の剛性突出片103b〜103eとを連結する4つの弾性部104A,104B,104C,104Dを備えている。本第1実施形態では、4つの弾性部104A,104B,104C,104Dは、軸線Lまわりに等間隔(90度間隔)に配置されている。
【0017】
各弾性部104A〜104Dは、台座部材101に対して水平な水平方向に延びる少なくとも1つの梁状弾性部材からなり、本第1実施形態では、一対の梁状弾性部材からなる。具体的には、弾性部104Aは、一対の梁状弾性部材104a,104bからなり、弾性部104Bは、一対の梁状弾性部材104c,104dからなり、弾性部104Cは、一対の梁状弾性部材104e,104fからなる。また、弾性部104Dは、一対の梁状弾性部材104g,104hからなる。そして、各梁状弾性部材の一端が作用部材102に固定され、他端がそれぞれの剛性突出片に固定されている。
【0018】
各梁状弾性部材104a〜104hは、作用部材102の厚さよりも薄い厚さの薄肉に形成されている。つまり、作用部材102と剛性部材103の各剛性突出片とをつないだ各梁状弾性部材104a〜104hは、板ばね状に形成されており、台座部材101に垂直な垂直方向に撓み変形可能となる。
【0019】
また、各弾性部104A〜104Dの一対の梁状弾性部材は、軸線Lの方向に並べて配置されている。なお、一対の梁状弾性部材は、任意の間隔でよいが、本第1実施形態では作用部材102の厚さ程度の間隔に設定されている。このとき、梁状弾性部材104aと梁状弾性部材104b、梁状弾性部材104cと梁状弾性部材104d、梁状弾性部材104eと梁状弾性部材104f、梁状弾性部材104gと梁状弾性部材104hの間隔はすべて等しい。
【0020】
本第1実施形態では、十字形状の剛体であって、四方向に延びる剛体片のそれぞれに貫通孔を設けることで、一対の梁状弾性部材が作用部材102及び各剛性突出片103b〜103eと一体に形成されている。なお、この貫通孔は、
図1(a)及び
図1(b)に示すように正方形状に形成されているが、円形状や長方形状に形成されていてもよい。
【0021】
更にまた、力覚センサ100は、台座部材101に対して垂直方向に延び、台座部材101と剛性部材103の剛性基体103aとを連結する少なくとも3つ(本第1実施形態では4つ)の柱状弾性部材105a,105b,105c,105dを備えている。4つの柱状弾性部材105a〜105dは、軸線Lまわりに等間隔(90度間隔)に配置されている。つまり、剛性基体103aは、台座部材101に対して3点以上で支持されていればよく、本第1実施形態では、4点支持としている。このように台座部材101と剛性基体103aとをつないだ柱状弾性部材105a〜105dは、台座部材101に水平な水平方向に撓み変形可能となる。
【0022】
そして、各柱状弾性部材105a〜105dは、円柱や角柱等、いかなる柱状のものでもよいが、本第1実施形態では、四角柱としている。そして、各柱状弾性部材105a〜105dの一つの面が軸線L側を向くように、各柱状弾性部材105a〜105dは、
図1中、X軸及びY軸に対して斜めに配置されている。なお、各柱状弾性部材105a〜105dの一つの面がX軸又はY軸に対し平行な面で形成された角柱でもよい。
【0023】
これら台座部材101、作用部材102、剛性部材103、弾性部104A〜104D、柱状弾性部材105a〜105dによりセンサ本体が構成される。
【0024】
図2は、本発明の第1実施形態に係る力覚センサの変位検出部を説明するための図であり、
図2(a)は、力覚センサ100の正面図、
図2(b)は、力覚センサ100の断面図である。力覚センサ100は、台座部材101に対する作用部材102の変位を検出する変位検出部300を備えている。
【0025】
変位検出部300は、台座部材101及び作用部材102のうちの一方の部材、本第1実施形態では台座部材101に設けられた磁束発生源307を有している。また、変位検出部300は、磁束発生源307に対向するように他方の部材、本第1実施形態では作用部材102に設けられた磁電変換素子306a〜306dを有している。
【0026】
磁電変換素子306a〜306dは、回路基板308に所定の間隔をあけて実装されている。そして、回路基板308が回路基板取付部材309を介して作用部材102に固定されている。
【0027】
磁束発生源307は、台座部材101の一方の被測定対象が固定される面とは反対側の面、即ち台座部材101の内側の面に固定されている。また、回路基板308は、作用部材102の他方の被測定対象が固定される面とは反対側の面、即ち作用部材102の内側の面に固定されている。そして、磁束発生源307と磁電変換素子306a〜306dとが向かい合うようにそれぞれが配置されている。
【0028】
なお、磁束発生源307と磁電変換素子306a〜306dとの配置関係が逆であってもよく、その場合は、磁束発生源307が作用部材102に設けられ、磁電変換素子306a〜306dが台座部材101に設けられる。
【0029】
なお、ここでは、変位検出部300として、磁気を利用したものを例に挙げ説明したが、この構成を限定するものではなく、例えば静電容量の変化を利用した変位検出部でも良いし、光学式の変位検出部を用いても良い。
【0030】
次に、力覚センサ100の動作について
図3及び
図4を参照しながら説明する。なお、
図3及び
図4において、変位検出部300の図示を省略している。
図3は、X軸、Y軸及びZ軸の並進方向に作用部材102に力が印加された場合のセンサ本体の変形状態を示す図である。
図3(a)はX軸方向に作用部材102に力Fxが印加された場合、
図3(b)はY軸方向に作用部材102に力Fyが印加された場合、
図3(c)はZ軸方向に作用部材102に力Fzが印加された場合を示すセンサ本体の断面図である。
【0031】
また、
図4は、X軸、Y軸及びZ軸まわりの回転方向に作用部材102にモーメントが印加された場合のセンサ本体の変形状態を示す図である。
図4(a)はX軸まわりに作用部材102にモーメントMxが印加された場合、
図4(b)はY軸まわりに作用部材102にモーメントMyが印加された場合を示すセンサ本体の断面図である。
図4(c)はZ軸まわりに作用部材102にモーメントMzが印加された場合を示すセンサ本体の斜視図である。
【0032】
まず
図3(a)に示すように、作用部材102に、台座部材101に対して水平方向(X軸方向)に力Fxが印加されると、各弾性部104A〜104Dの梁状弾性部材104a〜104hは、水平方向の力に対してはほとんど撓まない剛体として作用する。これに対し、柱状弾性部材105a〜105dは、水平方向(X軸方向)に撓む。したがって、作用部材102は、弾性部104A〜104D及び剛性部材103と共に水平方向に変位する。同様に、
図3(b)に示すように、作用部材102に、台座部材101に対して水平方向(Y軸方向)に力Fyが印加されると、各弾性部104A〜104Dの梁状弾性部材104a〜104hは、水平方向の力に対してはほとんど撓まず剛体として作用する。これに対し、柱状弾性部材105a〜105dは、水平方向(Y軸方向)に撓む。したがって、作用部材102は、弾性部104A〜104D及び剛性部材103と共に水平方向に変位する。
【0033】
また、
図3(c)に示すように、作用部材102に、台座部材101に対して垂直方向(Z軸方向)に力Fzが印加された場合には、各柱状弾性部材105a〜105dは、Z軸方向の力Fzに対してほとんど撓まず剛体として作用する。これに対し、梁状弾性部材104a〜104hはZ軸方向へ撓み、作用部材102はZ軸方向へ変位する。
【0034】
更に、
図4(a)に示すように、作用部材102に、X軸まわりにモーメントMxが印加された場合には、柱状弾性部材105a〜105dはほとんど撓まない。これに対し、梁状弾性部材104a〜104hには撓みが生じる。これにより、作用部材102にはX軸まわりの変位が生じる。同様に、
図4(b)に示すように、作用部材102に、Y軸まわりにモーメントMyが印加された場合にも、柱状弾性部材105a〜105dはほとんど撓まない。これに対し、梁状弾性部材104a〜104hには撓みが生じる。これにより、作用部材102にはY軸まわりの変位が生じる。
【0035】
また、
図4(c)に示すように、作用部材102に、Z軸まわりにモーメントMzが印加された場合には、梁状弾性部材104a〜104hはほとんど撓まず、柱状弾性部材105a〜105dには撓みが生じる。これら柱状弾性部材105a〜105dの撓み変形により、作用部材102にはZ軸まわりの変位が生じる。
【0036】
したがって、X軸、Y軸、Z軸の3次元座標空間における各軸の並進方向の力Fx、Fy、Fzならびに各軸まわりのモーメントMx、My、Mzの相互間の干渉による検出誤差が小さくなる。
【0037】
これら作用部材102の変位は、変位検出部300(
図2参照)により検出される。つまり、X軸、Y軸、Z軸の3次元座標空間における各軸の並進方向の力Fx、Fy、Fz並びに各軸まわりのモーメントMx、My、Mzに対し、
図3及び
図4に示した変位が磁電変換素子306a〜306dに与えられる。これにより、台座部材101に設けられた磁束発生源307と、作用部材102に設けられた磁電変換素子306a〜306dの間に生じた相対的な変位量が、磁電変換素子306a〜306dにおける磁束密度の変化として検出される。磁電変換素子306a〜306dからは、磁束発生源307と磁電変換素子306a〜306dの間に生じた相対的な変位量に比例した電気的変位量が得られる。このように、力Fx、Fy、Fz及びモーメントMx、My、Mzに対応する作用部材102の変位量は、変位検出部300により検出される。以上、変位検出部300は、他軸干渉が低減されている作用部材102の変位を検出しているので、対象とする力及びモーメントを高精度に検出することができる。
【0038】
また、本第1実施形態では、一対の梁状弾性部材104a,104b、一対の梁状弾性部材104c,104d、一対の梁状弾性部材104e,104f、及び一対の梁状弾性部材104g,104hを所定の間隔として平行に構成している。また、柱状弾性部材105a〜105dを四角柱で構成している。従って、一対の梁状弾性部材の厚みや間隔、四角柱のXY平面で切断した断面の直角に交わった2辺のそれぞれの長さをパラメータとし設計することで、Fx、Fy、Fz、Mx、My、Mzが印加された際の作用部材102の変位量を独立して設計できる。
【0039】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態に係る力覚センサについて説明する。
図5は、本発明の第2実施形態に係る力覚センサの概略構成を示す斜視図である。
図5に示す力覚センサ200は、X軸、Y軸及びZ軸の並進方向の力Fx,Fy,Fz及びX軸、Y軸及びZ軸の回転方向のモーメントMx,My,Mzを検出する6軸の力覚センサである。力覚センサ200は、一対の被測定対象(不図示)の間に配置される。例えば一対の被測定対象のうちの一方の被測定対象はロボットアームであり、他方の被測定対象はハンド部であって、ロボットアームの先端には、力覚センサ200を介してハンド部が設けられている。
【0040】
力覚センサ200は、平板状の台座部材201と、作用部材202とを備えている。台座部材201は、一方の被測定対象に固定され、作用部材202は、他方の被測定対象に固定される。台座部材201及び作用部材202は、外力の作用で容易に変形しない剛体で形成されている。台座部材201は、円板状に形成されているが、これに限定するものではなく、四角形の板状等、どのような形状の平板であってもよい。
【0041】
作用部材202は、台座部材201に相対して配置され、外力が作用して台座部材201に対して変位する平板状の作用基体202aを有している。この作用基体202aは、変位がないときには、台座部材201と平行である。また、作用基体202aは、外周の形状が台座部材201と同一形状に設定されている。そして、本第2実施形態では、作用基体202aは、環状(本第2実施形態では、円環状)に形成されている。
【0042】
更に、作用部材202は、台座部材201の平面に垂直な軸線Lまわりに間隔を開けて配置され、作用基体202aから台座部材201の方向(台座部材側)に突出する2つの突出片202b,202cを有している。本第2実施形態では、軸線Lは、台座部材201の中心を通るZ軸に平行な線である。また、本第2実施形態では、2つの突出片202b,202cは、台座部材201の平面に垂直な軸線Lまわりに等間隔(180度間隔)に配置されている。
【0043】
また、力覚センサ200は、台座部材201に相対して配置された剛性部材203を備えている。この剛性部材203は、台座部材201と作用基体202aとの間に配置され、環状(本第2実施形態では、円環状)に形成された剛性基体203aを有している。剛性基体203aは、台座部材201と任意の間隔をとり、台座部材201に平行に配置されている。剛性基体203aは、外周の形状が台座部材201の外周の形状と同一に設定されている。
【0044】
更に、剛性部材203は、剛性基体203aから作用基体202aの方向(作用基体側)に突出して突出片202b,202cと互い違いとなるように軸線Lまわりに間隔を開けて配置された2つの剛性突出片203b,203cを有している。本第2実施形態では、2つの剛性突出片203b,203cは、剛性基体203aから作用基体202aの方向(作用基体側)に突出して突出片202b,202cと互い違いとなるように軸線Lまわりに等間隔(180度間隔)に配置されている。
【0045】
剛性基体203a及び各剛性突出片203b,203cは、外力の作用により変形しない剛体からなる。そして、各剛性突出片203b,203cは、剛性基体203aに固定されている。
【0046】
このとき、作用基体202aと剛性突出片203b,203cとは、作用基体202aが必要とされる変位を生じさせることを阻害しないように所定の間隔が設けられている。同様に、剛性基体203aと突出片202b,202cとは、作用基体202aが必要とされる変位を生じさせることを阻害しないように所定の間隔が設けられている。
【0047】
更に、力覚センサ200は、軸線Lまわりに間隔を開けて配置され、作用部材202の突出片202b,202cと剛性部材203の剛性突出片203b,203cとを連結する4つの弾性部204A,204B,204C,204Dを備えている。具体的には、弾性部204Aは突出片202bと剛性突出片203bとを連結し、弾性部204Bは突出片202bと剛性突出片203cとを連結し、弾性部204Cは突出片202cと剛性突出片203cとを連結する。また弾性部204Dは突出片202cと剛性突出片203bとを連結する。本第2実施形態では、4つの弾性部204A,204B,204C,204Dは、軸線Lまわりに等間隔(90度間隔)に配置されている。
【0048】
各弾性部204A〜204Dは、台座部材201に対して水平な水平方向に延びる少なくとも1つの梁状弾性部材からなり、本第2実施形態では、一対の梁状弾性部材からなる。具体的には、弾性部204Aは、一対の梁状弾性部材204a,204bからなり、弾性部204Bは、一対の梁状弾性部材204c,204dからなり、弾性部204Cは、一対の梁状弾性部材204e,204fからなる。また、弾性部204Dは、一対の梁状弾性部材204g,204hからなる。これら弾性部204A〜204Dの梁状弾性部材204a〜204hは、環状に形成された作用基体202a及び剛性基体203aに沿う周方向に延びるように配置されている。そして、各梁状弾性部材の一端が作用部材202の対応する突出片に固定され、他端が剛性部材203の対応する剛性突出片に固定されている。
【0049】
各梁状弾性部材204a〜204hは、作用部材202の突出片202b,202cの突出量及び剛性部材203の剛性突出片203b,203cの突出量よりも薄い厚さの薄肉に形成されている。つまり、作用部材202の突出片202b,202cと剛性部材203の剛性突出片203b,203cとをつないだ各梁状弾性部材204a〜204hは、板ばね状に形成されており、台座部材201に垂直な垂直方向に撓み変形可能となる。
【0050】
また、各弾性部204A〜204Dの一対の梁状弾性部材は、軸線Lの方向に並べて配置されている。このとき、梁状弾性部材204aと梁状弾性部材204b、梁状弾性部材204cと梁状弾性部材204d、梁状弾性部材204eと梁状弾性部材204f、梁状弾性部材204gと梁状弾性部材204hの間隔はすべて等しい。
【0051】
更にまた、力覚センサ200は、台座部材201に対して垂直方向に延び、台座部材201と剛性部材203の剛性基体203aとを連結する少なくとも3つ(本第2実施形態では4つ)の柱状弾性部材205a,205b,205c,205dを備えている。4つの柱状弾性部材205a〜205dは、軸線Lまわりに間隔を開けて配置されている。本第2実施形態では、4つの柱状弾性部材205a〜205dは、軸線Lまわりに等間隔(90度間隔)に配置されている。つまり、剛性基体203aは、台座部材201に対して3点以上で支持されていればよく、本第2実施形態では、4点支持としている。このように台座部材201と剛性基体203aとをつないだ柱状弾性部材205a〜205dは、台座部材201に水平な水平方向に撓み変形可能となる。
【0052】
そして、各柱状弾性部材205a〜205dは、円柱や角柱等、いかなる柱状のものでもよいが、本第2実施形態では、四角柱としている。そして、各柱状弾性部材205a〜205dの一つの面が軸線L側を向くように、各柱状弾性部材205a〜205dは、
図5中、X軸及びY軸に対して斜めに配置されている。なお、各柱状弾性部材205a〜205dの一つの面がX軸又はY軸に対し平行な面で形成された角柱でもよい。
【0053】
これら台座部材201、作用部材202、剛性部材203、弾性部204A〜204D、柱状弾性部材205a〜205dによりセンサ本体が構成される。
【0054】
ここで、力覚センサ200は、上記第1実施形態の変位検出部300(
図2)と同様の、台座部材201に対する作用基体202aの変位を検出する変位検出部を備えており、
図5においては図示を省略する。
【0055】
なお、本第2実施形態では、作用基体202a及び剛性基体203aを環状(貫通孔のある平板状)に形成したが、この形状に限定するものではなく、貫通孔のない平板状に形成してもよい。この場合、台座部材201を環状に形成してもよく、センサ本体を2つ以上設ける場合は、貫通孔がなくてもよい。
【0056】
次に、力覚センサ200の動作について
図6及び
図7を参照しながら説明する。なお、
図6及び
図7において、変位検出部の図示を省略している。
図6は、X軸、Y軸及びZ軸の並進方向に作用基体202aに力が印加された場合のセンサ本体の変形状態を示す図である。
図6(a)はX軸方向に作用基体202aに力Fxが印加された場合、
図6(b)はY軸方向に作用基体202aに力Fyが印加された場合、
図6(c)はZ軸方向に作用基体202aに力Fzが印加された場合を示すセンサ本体の断面図である。
【0057】
また、
図7は、X軸、Y軸及びZ軸まわりの回転方向に作用基体202aにモーメントが印加された場合のセンサ本体の変形状態を示す図である。
図7(a)はX軸まわりに作用基体202aにモーメントMxが印加された場合、
図7(b)はY軸まわりに作用基体202aにモーメントMyが印加された場合を示すセンサ本体の断面図である。
図7(c)はZ軸まわりに作用基体202aにモーメントMzが印加された場合を示すセンサ本体の斜視図である。
【0058】
まず
図6(a)に示すように、作用基体202aに、台座部材201に対して水平方向(X軸方向)に力Fxが印加されると、各弾性部204A〜204Dの梁状弾性部材204a〜204hは、水平方向の力に対してはほとんど撓まない剛体として作用する。これに対し、柱状弾性部材205a〜205dは、水平方向(X軸方向)に撓む。したがって、作用部材202は、弾性部204A〜204D及び剛性部材203と共に水平方向に変位する。同様に、
図6(b)に示すように、作用基体202aに、台座部材201に対して水平方向(Y軸方向)に力Fyが印加されると、各弾性部204A〜204Dの梁状弾性部材204a〜204hは、水平方向の力に対してはほとんど撓まず剛体として作用する。これに対し、柱状弾性部材205a〜205dは、水平方向(Y軸方向)に撓む。したがって、作用部材202は、弾性部204A〜204D及び剛性部材203と共に水平方向に変位する。
【0059】
また、
図6(c)に示すように、作用基体202aに、台座部材201に対して垂直方向(Z軸方向)に力Fzが印加された場合には、各柱状弾性部材205a〜205dは、Z軸方向の力Fzに対してほとんど撓まず剛体として作用する。これに対し、梁状弾性部材204a〜204hはZ軸方向へ撓み、作用部材202はZ軸方向へ変位する。
【0060】
更に、
図7(a)に示すように、作用基体202aに、X軸まわりにモーメントMxが印加された場合には、柱状弾性部材205a〜205dはほとんど撓まない。これに対し、梁状弾性部材204a〜204hには撓みが生じる。これにより、作用部材202にはX軸まわりの変位が生じる。同様に、
図7(b)に示すように、作用基体202aに、Y軸まわりにモーメントMyが印加された場合にも、柱状弾性部材205a〜205dはほとんど撓まない。これに対し、梁状弾性部材204a〜204hには撓みが生じる。これにより、作用部材202にはY軸まわりの変位が生じる。
【0061】
また、
図7(c)に示すように、作用基体202aに、Z軸まわりにモーメントMzが印加された場合には、梁状弾性部材204a〜204hはほとんど撓まず、柱状弾性部材205a〜205dには撓みが生じる。これら柱状弾性部材205a〜205dの撓み変形により、作用部材202にはZ軸まわりの変位が生じる。
【0062】
したがって、X軸、Y軸、Z軸の3次元座標空間における各軸の並進方向の力Fx、Fy、Fzならびに各軸まわりのモーメントMx、My、Mzの相互間の干渉による検出誤差が小さくなる。そして、変位検出部は、他軸干渉が低減されている作用部材202の作用基体202aの変位を検出しているので、対象とする力及びモーメントを高精度に検出することができる。
【0063】
また、本第2実施形態では、一対の梁状弾性部材204a,204b、一対の梁状弾性部材204c,204d、一対の梁状弾性部材204e,204f、及び一対の梁状弾性部材204g,204hを所定の間隔として平行に構成している。また、柱状弾性部材205a〜205dを四角柱で構成している。従って、一対の梁状弾性部材の厚みや間隔、四角柱のXY平面で切断した断面の直角に交わった2辺のそれぞれの長さをパラメータとし設計することで、Fx、Fy、Fz、Mx、My、Mzが印加された際の作用部材202の変位量を独立して設計できる。
【0064】
更に、本第2実施形態では、作用基体202a及び剛性基体203aが環状に形成され、梁状弾性部材204a〜204hが環状に形成された作用基体202a及び剛性基体203aに沿って配置されている。したがって、作用基体202aにモーメントMx,Myが加わった際に、作用基体202aの回転中心又はその近傍に変位検出部を配置することができ、上記第1実施形態の力覚センサ100よりも更に高精度に力及びモーメントを検出することができる。
【0065】
なお、上記実施の形態に基づいて本発明を説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。