(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
請求項1において、前記給電制御部は、前記可動部の前記非接触受電用素子の現在位置と、前記非接触給電用素子の立ち上がり安定化時間が経過した後の前記非接触受電用素子の予想位置とに基づいて、制御する選択スイッチを決定する基板用作業装置。
請求項1または2において、前記可動部は前記軌道限定手段上の現在位置を検出する位置検出部をもち、前記給電制御部は前記位置検出部から検出した現在位置の情報を受け取る基板用作業装置。
【背景技術】
【0002】
多数の部品が実装された基板を生産する基板用作業装置として、はんだ印刷装置、部品実装装置、リフロー装置、基板検査装置などがあり、これらを基板搬送装置で連結して基板生産ラインを構築する場合が多い。このうち部品実装装置は、基板を搬入出する基板搬送装置と、部品を供給する部品供給装置と、部品を装着する装着ヘッドおよびヘッド駆動機構を有する部品移載装置とを備えるのが一般的である。ヘッド駆動機構は、水平面内で直交するX軸方向およびY軸方向に装着ヘッドを駆動するために、例えば、各軸にサーボモータで駆動するボールねじ送り機構を有している。装着ヘッドは、負圧を利用して部品を吸着採取および装着する吸着ノズルを有し、さらに、吸着ノズルを垂直Z軸方向に昇降駆動するZ軸方向駆動機構や、Z軸を中心として吸着ノズルを回転駆動するR軸回転駆動機構を有している。
【0003】
装着ヘッド上で負圧の発生および制御を行う各種電装品や、Z軸およびR軸方向駆動機構の駆動モータなどに電力を供給するため、従来は固定側と可動部側の間を変形可能な給電用ケーブルで接続したり、移動しながらの給電が可能な摺動通電部を設けたりしていた。近年、可動部側の装着ヘッドに電力を供給する手段として、固定側の非接触給電用素子と可動部側の非接触受電用素子とを組み合わせた非接触給電技術が提案されている。非接触給電技術を採用することにより、従来技術で生じがちな給電用ケーブルの繰り返し変形による金属疲労や摺動通電部の摩耗などのおそれがなくなり、信頼性が向上する。また、非接触給電技術は基板検査装置においても有用であり、基板の上方を移動して部品実装外観を撮像する検査カメラに給電することができる。この種の非接触給電技術を基板用作業装置に組み込んだ例が、特許文献1および2に開示されている。
【0004】
特許文献1の電子部品実装装置は、電子部品供給装置と取付部の双方の対向面にコイルの電磁誘導を利用した非接触の電源供給部を備え、さらに双方に確認用信号の射出部および入射部を備えている。この構成で、確認用信号が伝達したか否かにより電子部品供給装置の取り付け不良を検出でき、非接触の電源供給を確実に行えるようになっている。特許文献1では、電子部品供給装置は取付部に対して着脱されるが位置関係は固定されており、従来必要とされていた給電用端子の接続作業および分離作業が不要になる。
【0005】
本願出願人が出願した特許文献2の電子部品供給装置は、電子部品供給カートリッジおよび移動体を含む部品供給ユニットを複数備え、移動体の各々に設けられた受電部と、共通の給電部とからなる無接触給電装置を含んでいる。さらに実施形態では、共通の給電部の具体的な構成として複数の移動体の全移動範囲に及ぶように配設する一次巻線を例示している。この構成により、一次巻線から移動する各部品供給ユニットに非接触で電力を供給できるようになっている。
【0006】
また、特許文献3には、移動体が軌道に沿って敷設された給電線から電力を受けて該軌道を走行するように構成された搬送装置が開示され、さらに、移動体に給電トランスが搭載された態様が開示されている。給電線は、移動体の全移動範囲に及ぶように敷設されており、給電トランスに非接触で電力を供給できるようになっている。
【0007】
特許文献2および3に例示される一次巻線や給電線などの単一の給電用素子は、移動体側の受電用素子と磁界結合して非接触給電を可能としている。しかしながら、給電用素子が移動体の全移動範囲に及ぶ長大なものとなるため、多くの漏洩磁束が生じて給電効率が大きく低下する。給電効率低下の問題点は、給電用素子および受電用素子がそれぞれ電極から成って電界結合する方式の非接触給電でも同様に生じる。
【0008】
そこで、多数の小形の給電用素子を固定側の移動経路に沿って列設し、移動体が接近している一部の給電用素子のみに通電する技術が提案されている。この技術では、移動体の位置を検出することが必要になり、例えば、各給電用素子の間にそれぞれ近接センサを配置する。さらに、位置情報に基づいて多数の給電用素子の通電を独立して制御することが必要になり、例えば、各給電用素子にそれぞれ選択スイッチを設けて制御部からオンオフ制御する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ところで、特許文献2および3に例示される単一の長大な給電用素子を用いた非接触給電では、前述したように給電効率が大きく低下する。一方、多数の小形の給電用素子を用いた非接触給電では、多数の位置検出手段が必要になってその分のコストが増加する。また、固定側に多数の位置検出手段を配置するスペースが必要となるため、小形化および軽量化の妨げになっている。さらには、給電用素子は通電開始の直後に給電機能が安定しないので、移動体の接近に対して給電用素子への通電開始が遅れると給電機能が不安定に陥るおそれがある。したがって、給電用素子に或る程度の立ち上がり安定化時間を確保することが好ましい。
【0011】
本発明は、上記背景技術の問題点に鑑みてなされたもので、コスト低廉で装置の小形化および軽量化に寄与でき、従来と比較して高い給電効率を確保しつつ安定した給電機能を有する非接触給電部を備えた
基板用作業装置を提供することを解決すべき課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決する請求項1に係る
基板用作業装置の発明は、
ヘッド駆動機構によって駆動された
作業ヘッドが、
位置決めされた基板に対して所定作業を行う基板用作業装置であって、前記
ヘッド駆動機構は、移動方向に延在した軌道限定手段と、前記軌道限定手段に沿って列設された複数の非接触給電用素子と、前記複数の非接触給電用素子のそれぞれの通電および非通電を独立して切り替える複数の選択スイッチと、前記
作業ヘッドを保持するとともに、前記軌道限定手段に移動可能に装架された可動部と、前記可動部を前記軌道限定手段に沿って移動させる駆動装置と、前記可動部に設けられ前記複数の非接触給電用素子の一部に離隔対向して電力を受け取り、少なくとも前記
作業ヘッドまたは前記駆動装置に給電する非接触受電用素子と、前記可動部の前記軌道限定手段上の位置に基づいて前記非接触受電用素子が接近している一部の非接触給電用素子のみに通電するように前記複数の選択スイッチを制御する給電制御部とを有し、前記給電制御部は、前記複数の非接触給電用素子のうち一の非接触給電用素子による前記非接触受電用素子への給電を開始したい位置に前記可動部が到達する以前に、当該一の非接触給電用素子に通電するように当該の選択スイッチを制御する。
【0013】
請求項2に係る発明は、
請求項1において、前記給電制御部は、前記可動部の前記非接触受電用素子の現在位置と、前記非接触給電用素子の立ち上がり安定化時間が経過した後の前記非接触受電用素子の予想位置とに基づいて、制御する選択スイッチを決定する。
【0014】
請求項3に係る発明は、
請求項1または2において、前記可動部は前記軌道限定手段上の現在位置を検出する位置検出部をもち、前記給電制御部は前記位置検出部から検出した現在位置の情報を受け取る。
【0015】
請求項4に係る発明は、
ヘッド駆動機構によって駆動された
作業ヘッドが、
位置決めされた基板に対して所定作業を行う基板用作業装置であって、前記
ヘッド駆動機構は、移動方向に延在した軌道限定手段と、前記軌道限定手段に沿って列設された複数の非接触給電用素子と、前記複数の非接触給電用素子のそれぞれの通電および非通電を独立して切り替える複数の選択スイッチと、前記
作業ヘッドを保持するとともに、前記軌道限定手段に移動可能に装架された可動部と、前記可動部を前記軌道限定手段に沿って移動させる駆動装置と、前記可動部に設けられ前記複数の非接触給電用素子の一部に離隔対向して電力を受け取り、少なくとも前記
作業ヘッドまたは前記駆動装置に給電する非接触受電用素子と、前記可動部の前記軌道限定手段上の位置に基づいて前記非接触受電用素子が接近している一部の非接触給電用素子のみに通電するように前記複数の選択スイッチを制御する給電制御部とを有し、前記給電制御部は、前記可動部を前記軌道限定手段に沿って移動させる目標位置を示す位置指令値および前記目標位置に移動するときの速度を示す速度指令値の少なくとも一方を記憶して前記駆動装置に出力するとともに、前記位置指令値および前記速度指令値の少なくとも一方に基づいて前記可動部の前記軌道限定手段上の位置を推定する。
【0016】
請求項5に係る発明は、請求項1〜4のいずれか一項において、前記駆動装置は、前記軌道限定手段に沿って列設された複数の固定子と、前記可動部に設けられて前記非接触受電用素子が受け取った電力の一部で駆動される可動子とを含んで構成されるリニアモータである。
【発明の効果】
【0017】
請求項1に係る基板用作業装置の発明では、軌道限定手段に沿って列設された複数の非接触給電用素子の一部のみに通電して、可動部の非接触受電用素子に給電できる。このため、非接触給電用素子の残りの多数を非通電とすることができ、特許文献2および3に例示される単一の長大な給電用素子を用いた構成と比較して高い給電効率を確保できる。
さらに、一の非接触給電用素子による非接触受電用素子への給電を開始したい位置に可動部が到達する以前に、当該一の非接触給電用素子に通電する。これにより、一の非接触給電用素子は給電を開始する以前から通電されて立ち上がり安定化時間を確保でき、給電機能が安定する。
【0018】
請求項2に係る発明では、
現在位置から予想位置までの範囲にある非接触給電用素子のみが通電される。したがって、予想位置付近の非接触給電用素子は、給電を開始する以前から通電されて立ち上がり安定化時間を確保でき、給電機能が安定する。
【0019】
請求項3に係る発明では、
可動部は軌道限定手段上の現在位置を検出する位置検出部をもち、給電制御部は位置検出部から検出した現在位置の情報を受け取る。したがって、近接センサなどの多数の位置検出手段が不要になってその分のコストを低減できる。また、従来の近接センサと異なり固定側に大きな配置スペースは不要なため、基板用作業装置の小形化および軽量化の妨げにならない。
【0020】
請求項4に係る発明では、
請求項1と同様に非接触給電用素子の多数を非通電とすることができ、高い給電効率を確保できる。加えて、給電制御部は、駆動装置を制御する駆動制御部を兼ね、駆動装置に出力する位置指令値および速度指令値の少なくとも一方に基づいて可動部の軌道限定手段上の位置を推定する。したがって、近接センサなどの多数の位置検出手段が不要になってその分のコストを低減できる。また、位置検出手段を不要としたので、基板用作業装置の小形化および軽量化に寄与できる。
【0021】
請求項5に係る発明では、駆動装置は、軌道限定手段に沿って列設された複数の固定子と、可動部に設けられて非接触受電用素子が受け取った電力の一部で駆動される可動子とを含んで構成されるリニアモータとされている。つまり、作業ヘッドへの給電に加えてリニアモータへの給電をも、同じ非接触給電用素子および非接触受電用素子で兼用して行うことができる。また、リニアモータの駆動制御に関する情報から可動部の位置を推定して、位置検出手段を無くすことができる。これらにより、部品点数を削減して
基板用作業装置のコスト低減や小形化および軽量化に寄与できる。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明の
基板用作業装置に相当する第1実施形態の部品実装装置1について、
図1〜
図4を参考にして説明する。
図1は、第1実施形態の部品実装装置1の全体構成を示す斜視図である。図示されるように、部品実装装置1は同じ装置が2セット隣接配置されて構成されており、以降では1セット分について説明する。部品実装装置1は、基板搬送装置12、部品供給装置13、部品移載装置14、部品カメラ15、および制御コンピュータ16などが基台11に組み付けられて構成されている。
図1の右上のXYZ座標軸に示されるように、部品実装機1の水平幅方向(
図1の紙面左上から右下に向かう方向)をX軸方向、部品実装機1の水平長手方向(
図1の紙面右上から左下に向かう方向)をY軸方向、鉛直高さ方向をZ軸方向とする。
【0024】
基板搬送装置12は、部品実装機1の長手方向の中間辺りに設けられている。基板搬送装置12は、第1搬送装置121および第2搬送装置125が並設された、いわゆるダブルコンベアタイプの装置であり、2枚の基板Kを並行操作してX軸方向に搬入し位置決めし搬出する。第1搬送装置121は、基台11上にX軸方向に平行に並設された一対のガイドレール122、123、およびガイドレール122、123にそれぞれ案内され基板Kを載置して搬送する一対のコンベアベルト(図示省略)などにより構成されている。また、第1搬送装置121には、部品実装位置まで搬送された基板Kを基台11側から押し上げて位置決めするクランプ装置(図示省略)が設けられている。第2搬送装置125も、第1搬送装置121と同様に構成されている。
【0025】
部品供給装置13は、フィーダ方式の装置であり、部品実装機1の長手方向の前部(
図1の左前側)に設けられている。部品供給装置13は、基台11上に複数のカセット式フィーダ131が並設されて構成されている。各カセット式フィーダ131は、基台11に離脱可能に取り付けられた本体132と、本体132の後部(部品実装装置1の前側)に回転可能かつ着脱可能に装着された供給リール133と、本体132の先端(部品実装装置1の中央寄り)に設けられた部品供給部134とを備えている。供給リール133は部品を供給する媒体であり、所定個数の部品を一定の間隔で保持したキャリアテープ(図示省略)が巻回されている。このキャリアテープの先端が部品供給部134まで引き出され、キャリアテープごとに異なる部品が供給される。
【0026】
部品移載装置14は、X軸方向およびY軸方向に移動可能ないわゆるXYロボットタイプの装置であり、部品実装機1の長手方向の後部(
図1の右奥側)から前部の部品供給装置13の上方にかけて配設されている。部品移載装置14は、X−Y軸ヘッド駆動機構2(
図1では大部分が隠れている)、装着ヘッド17などにより構成されている。X−Y軸ヘッド駆動機構2は、装着ヘッド17をX軸方向およびY軸方向に駆動する。
【0027】
装着ヘッド17は、X−Y軸ヘッド駆動機構2によって駆動される本発明の
作業ヘッドに相当し、負圧を利用して部品を吸着採取および装着する吸着ノズル18を有している。装着ヘッド17は、さらに、吸着ノズル18を垂直Z軸方向に昇降駆動するZ軸方向駆動機構、およびZ軸を中心として吸着ノズル18を回転駆動するR軸回転駆動機構を有している。装着ヘッド17は、負圧の発生および制御を行う各種電装品を有し、またZ軸方向駆動機構およびR軸回転駆動機構にそれぞれ駆動モータを有している。また、装着ヘッド17は、位置決めされた基板Kを撮像する基板カメラ(図示省略)を有している。各種電装品、駆動モータ、および基板カメラは直流電力で駆動されるようになっている。
【0028】
部品カメラ15は、部品移載装置14の吸着ノズル18の部品吸着状態および部品の良否を判定する装置であり、部品供給装置13の部品供給部134付近の基台11上に配設されている。制御コンピュータ16は、上部のカバー19の前側上部に配設されている。制御コンピュータ16は、基板搬送装置12、部品供給装置13、部品移載装置14、および部品カメラ15と情報伝送線によって連携されており、適宜情報を交換しつつ指令を発する。
【0029】
図2は、X−Y軸ヘッド駆動機構2を詳細に説明する斜視図であり、
図1のカバー19を取り外して略90°異なる方向から見た図である。X−Y軸ヘッド駆動機構2のうちY軸方向の駆動機構が本発明のヘッド駆動機構に相当し、
X軸方向の駆動機構には任意の方式の駆動機構を用いることができる。X−Y軸ヘッド駆動機構2は、Y軸ガイドレール3、可動部4、リニアモータ5、複数の非接触給電用素子6、
図2では隠れており
図3で付番された非接触受電用素子7、複数の選択スイッチ81〜83、およびサーボコントローラ9などにより構成されている。
【0030】
Y軸ガイドレール3は本発明の軌道限定手段に相当し、基台11の後方側上部から水平前方に向かって張設されている。Y軸ガイドレール3は、移動方向となるY軸方向に延在しており、基板搬送装置12の上方を通り部品供給装置13の上方にまで配置されている。Y軸ガイドレール3は、2つの側面部31、32と底部33とが一体に形成されて、断面形状は上方に開くコ字形状となっている。
図2で、一方の側面部31は中間よりも後ろ側が省略されている。他方の側面部32の側方に平行して、補助レール34が配設されている。
【0031】
可動部4は、Y軸ガイドレール3および補助レール34の上側に、Y軸方向の移動可能に装架されている。可動部4は底部から下方に突出する係合部48を有し、係合部48はY軸ガイドレール3の2つの側面部31、32の間に係入している。これにより、可動部4はY軸ガイドレール3から滑落せずに、Y軸方向に案内されるようになっている。また、可動部4には、Y軸ガイドレール3上の位置を検出するエンコーダ部49(
図3参照)が設けられている。エンコーダ部49は本発明の位置検出部に相当し、Y軸ガイドレール3上に配設されたリニアスケール(図示省略)を参照してY軸方向の位置(Y座標値)を検出し、エンコーダ位置情報Yeを出力するようになっている。
【0032】
また、可動部4は、X軸ガイドレール41を介して装着ヘッド17を保持している。X軸ガイドレール41は、可動部4に組み付けられて一体的にY軸方向に移動する部材であり、X軸方向(
図2では右方向)に延在している。X軸ガイドレール41の上部および下部には、上下一組のヘッド移動レール42、43がX軸方向に平行に張設されている。上側のヘッド移動レール42に隣接しかつ平行して給電レール44が張設されている。さらに、X軸ガイドレール41上には、その両端部で回転自在に軸承されたボールねじ45と、ボールねじ45の一方の端部を回転駆動するX軸サーボモータ46とが設けられている。
【0033】
一方、装着ヘッド17は、X軸方向の移動可能に移動レール42、43にそれぞれ係合する係合部171、172を有している。また、装着ヘッド17には、ボールねじ45に螺合するナット(
図2では隠れている)が設けられている。ナットと、X軸ガイドレール41側のボールねじ45およびX軸サーボモータ46とによりボールねじ送り機構が構成され、装着ヘッド17がX軸方向に駆動されるようになっている。さらに、装着ヘッド17は、給電レール44に摺動して直流電力を受け取る摺動受電端子173を有している。なお、
図2では、吸着ノズル18は一時的に取り外されている。
【0034】
リニアモータ5は、本発明の駆動装置に相当し、固定側のY軸ガイドレール3に列設された複数の固定子51と、可動部4に設けられて非接触受電用素子7が受け取った電力の一部で駆動される可動子52とを含んで構成されている。固定子51は、Y軸ガイドレール3の2つの側面部31、32の向かい合う内側にそれぞれ、N極とS極とが交互に列設された永久磁石である。
図2には1個の固定子51だけが例示されており、実際には多数の固定子51が等間隔で列設されている。
【0035】
一方、可動部4の底部の係合部48の側面には、9対の可動子52が固定子51と対向するように列設されている。可動子52は、電力により励磁されて磁界を発生する励磁コイルである。可動子52が作る磁界は位置及び時間に依存して変化し、固定子が作る定常的な磁界との作用で、可動部4を移動させる推進力が発生する。固定子51の大きさ、磁界強度や配設ピッチ、可動子52の数量や電気的性能などは、リニアモータ5に要求される推進力に応じて適宜設計することができる。なお、可動部4に永久磁石を設け固定側に励磁コイルを列設する場合と比較して、本実施形態は、永久磁石よりも複雑な励磁コイルの数量を限定できるメリットや大きな推進力を得やすいメリットなどがある。
【0036】
複数の非接触給電用素子6は、Y軸ガイドレール3の底部33の上面に、Y軸方向に沿って列設されている。一方、非接触受電用素子7(
図3参照)は、可動部4の係合部48の底面に下向きに設けられており、いずれかの非接触給電用素子6に離間対向するようになっている。非接触受電用素子7の数量や大きさは、特に限定されない。非接触給電用素子6と非接触受電用素子7とで非接触給電部が構成され、固定側から可動部4に給電できるようになっている。非接触給電部の結合方法は、磁界結合および電界結合のどちらでもよい。非接触給電用素子6および非接触受電用素子7は、磁界結合の場合にはそれぞれコイルとし、電界結合の場合にはそれぞれ電極とする。複数の非接触給電用素子6は、
図2では省略されている給電切替器89内の複数の選択スイッチ81〜83(
図3参照)により、それぞれの通電および非通電を独立して切り替えられるように構成されている。
【0037】
図3は、第1実施形態の部品実装装置1のY軸方向駆動機能および非接触給電機能を説明する図である。
図3には、Y軸方向に列設されている複数の非接触給電用素子6のうちの一部の3個61、62、63が例示され、電力の流れが実線の矢印で示され、情報および制御の流れが破線の矢印で示されている。
【0038】
まず、構成の詳細について説明する。
図3に示されるように、給電切替器89内には交流電源88と複数の選択スイッチ81、82、83が設けられている。交流電源88は、非接触給電用素子61、62、63から非接触受電用素子7への給電効率が良好となる所定周波数の交流電圧を出力する。選択スイッチ81、82、83は、非接触給電用素子61、62、63と同数設けられており、交流電源88と各非接触給電用素子61、62、63との間を独立してオンオフ制御するように接続されている。
【0039】
一方、可動部4には、AC−DC変換器4Aが設けられ、その入力側に非接触受電用素子7が接続されている。AC−DC変換器4Aは、非接触受電用素子7が受け取った交流電力を直流電力に変換する機能を有している。AC−DC変換器4Aから出力される直流電力は、図示されるように4系統に分岐されて給電される。第1の系統で、直流電力は給電レール44を介して装着ヘッド17に給電され、装着ヘッド17上の各種電装品、駆動モータ、および基板カメラが駆動される。第2の系統で、直流電力は可動部4上に配設された各種制御基板4Bに給電され、装着ヘッド17のX軸方向の位置の検出および演算や、X軸サーボモータ46の駆動などが行われる。
【0040】
第3の系統で、直流電力はリニア制御器4Dおよび電力増幅器4Eからなるリニア制御部4Cに給電される。リニア制御器4Dは、エンコーダ部49からエンコーダ位置情報Yeを受け取るとともに、サーボコントローラ9から速度指令値Vrおよび位置指令値Yrの少なくとも一方を受け取る。そして、リニア制御器4Dは、指令を満たすような制御信号を作成して電力増幅器4Eに送出する。制御信号に基づいて、電力増幅器4Eは、直流電力を可動子52(励磁コイル)に供給する形態の電力に変換し、可動子52に出力する。第4の系統で、直流電力はエンコーダ部49に給電される。エンコーダ部49は、エンコーダ位置情報Yeをリニア制御器4Dおよびサーボコントローラ9に送出する。
【0041】
サーボコントローラ9は、本発明の給電制御部に相当し、マイコンを内蔵してソフトウェアで動作する電子制御装置により構成されている。サーボコントローラ9は、非接触給電制御機能を有し、可動部4のY軸ガイドレール3上の位置に基づいて非接触受電用素子7が接近している一部の非接触給電用素子のみに通電するように複数の選択スイッチ81〜83を制御する。また、サーボコントローラ9は、Y軸方向の駆動制御部を兼ねており、リニアモータ5を制御して可動部4を駆動する。
【0042】
次に、サーボコントローラ9のY軸方向駆動制御機能について詳述する。サーボコントローラ9は、受け取ったエンコーダ位置情報Yeと制御コンピュータ16からの指令に基づいて、可動部4の移動速度または
目標位置の少なくとも一方を演算する。そして、サーボコントローラ9は、速度指令値Vrおよび位置指令値Yrの少なくとも一方をリニア制御器4Dに指令する。
【0043】
ここで、エンコーダ位置情報Ye、速度指令値Vrおよび位置指令値Yrは、可動部4と固定側の間で受け渡す情報であり、本第1実施形態では図略の無線光通信機により遠隔伝送する。情報伝送手段はこれに限定されず、無線電波通信を用いてもよく、有線通信を用いてもよい。
【0044】
次に、サーボコントローラ9の非接触給電制御機能について詳述する。サーボコントローラ9は、スイッチ選択演算部91を内蔵している。
図4は、サーボコントローラ9のスイッチ選択演算部91が行う非接触給電制御の処理フローを説明するフローチャートの図である。スイッチ選択演算部91は、ステップS1で、予めメモリ内にデータとして保持している各非接触給電用素子6iの位置(Y座標値)Yi(i=1〜n)を読み込む。ここで、添字iは列設されている非接触給電用素子6iの順番を示す番号であり、nは総素子数を示している。次にステップS2で、エンコーダ位置情報Yeを取得し、これに基づいて可動部4の非接触受電用素子7の現在位置Ynowを求める。エンコーダ位置情報Yeは、元々は駆動制御用の情報であるが、非接触受電用素子7の現在位置Ynowを正確に示すものであれば、両者は等しくなる(Ynow=Ye)。また、正確に示していなくとも、エンコーダ位置情報Yeに所定の補正を施すことで、非接触受電用素子7の現在位置Ynowを正確に求めることができる。
【0045】
次にステップS3で、現在位置Ynowと各非接触給電用素子6iの位置Yiとの隔たりを所定距離Dと比較し、所定距離D以下となっている非接触給電用素子6iの番号iを求める。所定距離Dは、非接触給電用素子6iおよび非接触受電用素子7の大きさなどから適宜設定できる。例えば、隣接する非接触給電用素子6iの中心間距離D0として所定距離D=(D0/2)とすると、概ね常時1つの非接触給電用素子6iを求めることができる。また、所定距離D=D0とすれば、概ね常時2つの非接触給電用素子6iを求めることができる。さらには、所定距離Dを設定せずに、非接触受電用素子7に最も近い唯一の非接触給電用素子6iを求めるようにしてもよい。
【0046】
次にステップS4で、条件を満たすi番目に対応する選択スイッチ8iをオン制御する。また、その他の選択スイッチでオン状態になっているものがあればオフ制御する。これにより給電制御の1サイクルが終了し、ステップS2に戻って、新しい現在位置Ynowに基づいて繰り返し制御する。
【0047】
この非接触給電制御により、
図3の例では1つの選択スイッチ82のみがオン状態とされて対応する非接触給電用素子62に交流電流が通電され、他の選択スイッチ81、83はオフ状態とされている。そして、非接触給電用素子62にちょうど可動部4の非接触受電用素子7が離間対向し、図中の白抜き矢印Sで示されるように非接触給電が行われて、可動部4に給電できる。
【0048】
次に、第1実施形態の部品実装装置1の効果について、従来構成と比較して説明する。
図6は、従来構成の部品実装装置の非接触給電機能を説明する図である。図示されるように、従来構成では、Y軸ガイドレール30上の複数の非接触給電用素子60の間にそれぞれ近接センサ6X(便宜的に斜線を付して表示)を配置して可動部40の接近を検出し、検出信号をスイッチ選択演算部92に送出する。スイッチ選択演算部92は、検出信号に基づいて複数の選択スイッチ80をオンオフ制御する。なお、可動部40をY軸方向に駆動する駆動装置は、非接触給電部とは別個に独立して設けられている。
【0049】
これに対し、第1実施形態の部品実装装置1は、可動部4にエンコーダ部49をもち、給電制御部
(サーボコントローラ9)はエンコーダ部49からエンコーダ位置情報Yeを受け取る。したがって、多数の近接センサ6Xが不要になってその分のコストを低減できる。また、Y軸ガイドレール30に配置する位置検出用のリニアスケールは簡易であり、従来の近接センサ6Xと異なり大きな配置スペースは不要でかつ軽量である。さらに、装着ヘッド17への給電に加えてリニアモータ5の可動子52への給電をも、同じ非接触給電用素子61〜63および非接触受電用素子7で兼用して行うことができる。また、リニアモータ5の駆動制御に関するエンコーダ位置情報Yeから可動部4の位置を推定して、従来の近接センサ6Xを無くすことができる。これらにより、部品点数を削減して基板用作業装置1のコスト低減や小形化および軽量化に寄与できる。
【0050】
また、複数の非接触給電用素子61〜63の一部のみに通電して、残りの多数を非通電とすることができ、特許文献2および3に例示される単一の長大な給電用素子を用いた構成と比較して高い給電効率を確保できる。
【0051】
次に、非接触給電用素子の立ち上がり安定化時間を確保した第2実施形態について、第1実施形態と異なる点を主に説明する。第2実施形態で、部品実装装置1の構成は
図1〜
図3に示された第1実施形態と同一であり、スイッチ選択演算部91の非接触給電制御に関する処理フローが異なる。第2実施形態では、一の非接触給電用素子による非接触受電用素子7への給電を開始したい位置に可動部4が到達する以前に、当該一の非接触給電用素子に通電するように当該の選択スイッチをオン制御する。つまり、非接触給電用素子の通電を、給電開始よりも立ち上がり安定化時間T1だけ先行して開始する。
図5は、第2実施形態でスイッチ選択演算部91が行う非接触給電制御の処理フローを説明するフローチャートの図である。
【0052】
スイッチ選択演算部91は、ステップS11で、予めメモリ内にデータとして保持している各非接触給電用素子6iの位置(Y座標値)Yi(i=1〜n)を読み込む。次にステップS12で、エンコーダ位置情報Yeを取得し、これに基づいて可動部4の非接触受電用素子7の現在位置Ynowを求める。さらにステップS13で、可動部4の非接触受電用素子7の予想位置Ynext、すなわち非接触給電用素子61〜63の立ち上がり安定化時間T1が経過した後の可動部4の予想位置Ynextを推定する。例えば、リニアモータ5の駆動制御で速度指令値Vrが用いられる場合、予想位置Ynextは次式で求めることができる。
予想位置Ynext=Ynow+Vr×T1
【0053】
次にステップS14で、現在位置Ynowと各非接触給電用素子6iの位置Yiとの隔たりを所定距離Dと比較し、所定距離D以下となっている非接触給電用素子6iの番号iを求める。さらに、予想位置Ynextと各非接触給電用素子6iの位置Yiとの隔たりを所定距離Eと比較し、所定距離E以下となっている非接触給電用素子6iの番号iを求める。所定距離Eは、立ち上がり安定化時間T1のばらつきに対するマージンなどを考慮して適宜設定できる。2つの条件で求めた番号iは一致しなくともよい。
【0054】
次にステップS15で、条件を満たす番号iの最小値から最大値までの範囲に対応する選択スイッチ8iをオン制御する。また、その他の選択スイッチでオン状態になっているものがあればオフ制御する。オン制御される選択スイッチ8iの個数は、可動部4の移動速度に関係して増加し得る。例えば、可動部4が概ね停止しているときには、現在位置Ynowに近い非接触給電用素子6iに通電する1個の選択スイッチ8iがオン制御される。可動部4の移動速度が一定速度以上になると、現在位置Ynowの非接触給電用素子6iに加えて進行方向側の非接触給電用素子6(i+1)にも通電するように、2個の選択スイッチ8i、8(i+1)がオン制御される。さらに、非接触給電用素子6iの立ち上がり安定化時間T1と可動部4の最大移動速度との関係によっては、3個以上の選択スイッチがオン制御されてもよい。ステップS15により給電制御の1サイクルが終了し、ステップS12に戻って、新しい現在位置Ynowおよび新しい予想位置Ynextに基づいて繰り返し制御する。
【0055】
この非接触給電制御により、端的に言えば、現在位置Ynowから予想位置Ynextまでの範囲にある非接触給電用素子6iのみが通電される。したがって、予想位置Ynext付近の非接触給電用素子は、給電を開始する以前から通電されて立ち上がり安定化時間T1を確保でき、給電機能が安定する。
【0056】
なお、第1および第2実施形態のリニアモータ5やエンコーダ部49は必須ではなく、他に置き換えることができる。例えば、可動部4を駆動する駆動装置として、ボールねじ送り機構を用いることができる。具体的には、Y軸ガイドレール3に沿って回転可能にボールねじを配置し、ボールねじの一端をY軸サーボモータで回転駆動し、可動部4にはボールねじに噛合するナットを固設する。このとき、サーボコントローラ9は、位置指令値および速度指令値の代替として回転量指令値および回転速度指令値をY軸サーボモータに出力する。したがって、スイッチ選択演算部91は、回転量指令値および回転速度指令値の少なくとも一方に基づいて可動部4のガイドレール3上の位置を推定することができ、エンコーダ部49は必要でなくなる。
【0057】
また、第1および第2実施形態でY軸方向に本発明を実施しX軸方向に従来技術を用いた理由は、Y軸方向の移動量、移動速度、および加速度が大きく、非接触給電の効果が顕著になることに拠っている。したがって、X軸方向にも本発明を実施し、二重の非接触給電部を経由して装着ヘッド17に給電することも可能である。
【0058】
さらにまた、本発明は、部品実装装置1以外の基板用作業装置、例えば基板検査装置などで実施することもできる。本発明は、その他にも様々な応用や変形が可能である。
【符号の説明】
【0059】
1:部品実装装置(
基板用作業装置)
11:基台 12:基板搬送装置 13:部品供給装置
14:部品移載装置 15:部品カメラ 16:制御コンピュータ
17:装着ヘッド(
作業ヘッド) 18:吸着ノズル 19:カバー
2:X−Y軸ヘッド駆動機構
3:Y軸ガイドレール(軌道限定手段)
31、32:側面部 33:底部 34:補助レール
4、40:可動部
41:X軸ガイドレール 42、43:ヘッド移動レール
44:給電レール 45:ボールねじ 46:X軸サーボモータ
48:係合部 49:エンコーダ部(位置検出部)
4A:AC−DC変換器 4B:各種制御基板 4C:リニア制御部
4D:リニア制御器 4E:電力増幅器4E
5:リニアモータ 51:固定子(永久磁石) 52:可動子(励磁コイル)
6、60、61〜63:非接触給電用素子 6X:近接センサ
7:非接触受電用素子
81〜83:選択スイッチ 88:交流電源 89:給電切替器
9:サーボコントローラ(給電制御部) 91、92スイッチ選択演算部
Ye:エンコーダ位置情報 Vr:速度指令値 Yr:位置指令値
Ynow:可動部の現在位置 Ynext:可動部の予想位置
Yi:非接触給電用素子の位置