(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5836705
(24)【登録日】2015年11月13日
(45)【発行日】2015年12月24日
(54)【発明の名称】余剰物品排出装置
(51)【国際特許分類】
B65B 1/04 20060101AFI20151203BHJP
B65B 35/10 20060101ALI20151203BHJP
B65G 47/34 20060101ALI20151203BHJP
【FI】
B65B1/04
B65B35/10
B65G47/34
【請求項の数】8
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2011-187186(P2011-187186)
(22)【出願日】2011年8月30日
(65)【公開番号】特開2013-49436(P2013-49436A)
(43)【公開日】2013年3月14日
【審査請求日】2014年9月1日
(73)【特許権者】
【識別番号】000206093
【氏名又は名称】大森機械工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092598
【弁理士】
【氏名又は名称】松井 伸一
(72)【発明者】
【氏名】菊池 哲男
(72)【発明者】
【氏名】矢野 和夫
【審査官】
山田 裕介
(56)【参考文献】
【文献】
特開2002−029516(JP,A)
【文献】
実開昭57−085523(JP,U)
【文献】
実開昭56−071277(JP,U)
【文献】
米国特許出願公開第2005/0230001(US,A1)
【文献】
独国特許出願公開第3842273(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65B 1/04
B65B 9/04
B65B 11/52
B65B 35/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
凹状のポケット部が形成された容器フィルムの上方に設置され、そのポケット部内の余剰の物品を搬出する余剰物品排出装置であって、
駆動部の回転力を受けて回転する回転軸と、
その回転軸の外周に装着した筒状体と、を備え、
前記回転軸の外周面の寸法形状よりも前記筒状体の内周面の寸法形状を大きくしその筒状体が前記回転軸に対して上下動可能にするとともに、前記筒状体の内周面が前記回転軸の外周面に接触することにより前記回転軸の回転を受けて前記筒状体が回転するようにし、
前記回転軸は、前記筒状体の外周面の前記容器フィルムに対向する部位の回転方向が前記容器フィルムの搬送方向に対して後方に向くように回転し、
前記筒状体の外周面は前記余剰の物品に接触し、前記後方に向けて付勢するように構成したことを特徴とする余剰物品排出装置。
【請求項2】
前記回転軸と前記筒状体は、前記容器フィルムの搬送方向に対して斜めに配置されることを特徴とする請求項1に記載の余剰物品排出装置。
【請求項3】
前記筒状体の周囲には凸部を設け、その凸部が前記余剰の物品の側面に接触可能に構成したことを特徴とする請求項1または2に記載の余剰物品排出装置。
【請求項4】
前記凸部は、前記筒状体の外周面に形成された複数の溝間に形成される凸条であることを特徴とする請求項3に記載の余剰物品排出装置。
【請求項5】
前記凸部の回転方向前側の先端は丸みを帯びるように形成されることを特徴とする請求項3または4に記載の余剰物品排出装置。
【請求項6】
前記回転軸と前記筒状体は、前記駆動部に対して着脱可能に連結されることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の余剰物品排出装置。
【請求項7】
前記筒状体は、少なくとも外周面が樹脂製であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の余剰物品排出装置。
【請求項8】
前記回転軸は外周面にOリングが装着され、
そのOリングを介して前記筒状体の内周面に接触するように構成したことを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の余剰物品排出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、製造途中におけるPTP(Press Through Package)シートのポケット部に余計に充填された余剰の錠剤等を、ポケット部から排出する余剰物品排出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
PTP包装体は、容器(ポケット部)側から中身を押し出して上蓋を破壊し、中身を取り出すようにした包装形態であり、薬品包装における錠剤やカプセルの包装に良く使われる。そして、係るPTP包装体を製造するPTP包装機は、原反ロールから樹脂製の容器フィルムを連続して引き出して搬送し、その搬送途中で容器フィルムを加熱後、容器フィルムの所定位置に凹状のポケット部(容器)を成型し、そのポケット部内に錠剤等の被包装物を供給後、容器フィルムの上に蓋フィルムを被せ、次いで両フィルムを熱シールして密封し、所定位置をカットすることによりPTP包装体を製造するようになっている。
【0003】
そして、容器フィルムのポケット部に被包装物を供給する装置は、容器フィルムの上方に配置されたホッパーを備え、そのホッパーの搬出口から多数の被包装物を落下供給する。すると、係る落下してきた被包装物がポケット部内に収まる。このとき、複数の被包装物が1つのポケット部内に入り込むことがある。その状態のまま蓋フィルムを被せてシールしようとすると不良品となるため、蓋フィルムを被せるポイントの上流側に余剰の被包装物を排出する排出装置を配置している。
【0004】
この排出装置は、特許文献1等に開示されているように、円柱状の回転体のブラシから構成される。すなわち、回転軸から放射状にブラシの毛が伸びるように配置され、ブラシの先端がポケット部内に入り込むか或いは上方をかすめる様に通過する。すると、仮にポケット部内に2個の被包装物(錠剤)が収納されている場合、上側の錠剤は容器フィルムのフィルム面よりも上方に突出していることから、回転するブラシの先端に接触して掻き出される。一方、ポケット部内に1個の被包装物のみが供給されている場合には、ブラシの先端が被包装物に接触しないか、仮に接触したとしてもポケット部内にその被包装物の全体がしっかりと入り込んでおり、弾力性のあるブラシで掻き出すことはできない。これにより、余剰の被包装物のみが掻き出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−29516号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来のブラシを用いた排出装置では、ブラシの毛が抜け落ちることがあり、係る場合、その抜け落ちた毛が容器フィルムの上に乗り、異物としてPTPシートに混入するおそれがある。よってブラシを用いない新たな構成からなる余剰物品排出装置の開発が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決するために、本発明は、(1)凹状のポケット部が形成された容器フィルムの上方に設置され、そのポケット部内の余剰の物品を搬出する余剰物品排出装置であって、駆動部の回転力を受けて回転する回転軸と、その回転軸の外周に装着した筒状体と、を備え、前記回転軸の外周面の寸法形状よりも前記筒状体の内周面の寸法形状を大きくしその筒状体が前記回転軸に対して上下動可能にするとともに、前記筒状体の内周面が前記回転軸の外周面に接触することにより前記回転軸の回転を受けて前記筒状体が回転するようにし、前記回転軸は、前記筒状体の外周面の前記容器フィルムに対向する部位の回転方向が前記容器フィルムの搬送方向に対して後方に向くように回転し、前記筒状体の
外周面は前記余剰の物品に接触し、前記後方に向けて付勢するように構成した。
【0008】
物品は、例えば錠剤やタブレット等のPTPシートに収納されるものである。回転軸の外周面の寸法形状は、筒状体の内周面に対向する部位で最も外側に突出する部位のものであり、例えば実施形態や下記の(8)のようにOリングを装着している場合には、そのOリングの寸法形状が回転軸の外周面の寸法形状となる。回転軸の回転方向と筒状体の回転方向は同じになるが、筒状体の回転方向が容器フィルムの搬送方向に対して後方とは、搬送方向に対して真後ろ(180度反対方向)というものに限ることはなく、前側と後側に分けた場合の後側(後方)である。実施形態や以下の(2)のように回転軸,筒状体が容器フィルムの搬送方向に対して斜めに配置した場合には、回転方向は斜め後方となる。
【0009】
ポケット部内に余剰の物品があると、筒状体の外周面が余剰の物品に接触する。筒状体の
外周面は余剰の物品に接触し、回転軸の回転力を受けて当該余剰の物品を後方に向けて付勢する。このとき容器フィルムの搬送に伴いポケット部内の余剰の物品も前進移動していることも相まって余剰の物品はポケット部の外に排出されることになる。そして、筒状体は回転軸に対して上下移動が可能となっているので、容器フィルム(ポケット部を含む)と筒状体との間に物品が潜り込むようなことがあると、筒状体はその潜り込んだ物品により上方に付勢され、それに伴い上昇移動して逃げる。よって、物品を押し潰してしまうこともなく、物品の形状を保持したまま下流側に流すことができる。そして、筒状体の外周面により物品を排出する構成を採るので、従来のようにブラシの毛が抜け落ちて異物としてポケット部に入り込むおそれもない。
【0010】
筒状体の外周面は、例えば実施形態や下記の(3),(4)等に記載したように、凸部を備えていると、その凸部が物品の側面等に接触して後方へ付勢することができるが、必ずしも凸部を設ける必要は無い。仮に凸部がなくても、例えば筒状体の外周面にグリップ力のある樹脂等を設けることで凹凸無しでも排出することが可能となる。
【0011】
(2)前記回転軸と前記筒状体は、前記容器フィルムの搬送方向に対して斜めに配置されるとよい。このようにすると、ポケット部から搬出された余剰の物品は、斜めに配置された筒状体に沿って自然に案内されて容器フィルムの端に導くことができ、容器フィルム上で溜まることがない。
【0012】
(3)前記筒状体の周囲には凸部を設け、その凸部が前記余剰の物品の側面に接触可能に構成するとよい。ポケット部内に余剰の物品があると、筒状体の外周面に設けた凸部が余剰の物品に接触する。そして、容器フィルムの搬送に伴いポケット部内の余剰の物品も前進移動し、また、筒状体も回転軸からの回転力を受けて回転することから余剰の物品をポケット部の外に排出することができる。筒状体の外周面に設けた凸部により物品を排出する構成を採るので、従来のようにブラシの毛が抜け落ちて異物としてポケット部に入り込むおそれもない。
【0013】
(4)前記凸部は、前記筒状体の外周面に形成された複数の溝間に形成される凸条とするとい。溝は、実施形態のように筒状体の軸方向と平行な直線でも良いし、螺旋状や適宜位置で折れ曲がっていても良い。連続した凸条とすることで確実に凸部(凸条)が余剰の物品を接触し排出することができる。
【0014】
(5)前記凸部の回転方向前側の先端は丸みを帯びるように形成されるとよい。先端が尖っていると、物品に当たった際に当該物品に加わる力が大きくなりすぎ、物品をポケット部の内周面との間で挟み込んで詰まってしまったり、物品を破損してしまったりするおそれがあるが丸みを帯びさせることで加わる力が小さくなりかかる問題が生じない。
【0015】
(6)前記回転軸と前記筒状体は、前記駆動部に対して着脱可能に連結されるようにするとよい。物品が錠剤などとすると、定期的に筒状体等を洗浄する必要があるが、このとき筒状体等を取り外すことで洗浄作業がやりやすくなる。
【0016】
(7)前記筒状体は、少なくとも外周面が樹脂製とするとよい。もちろん全体を樹脂製にしてもよい。樹脂は、例えばホルムアルデヒドを原料としたポリアセタール樹脂のエンジニアリングプラスッチ(例えばデルリン(登録商標))を用いると、対摩耗性もあるので長期にわたり排出処理が行え(機能が低下しない)、また、強度があり対疲労性などが良好であるため、使用中に凸部等の一部が破損して落下するおそれもないので好ましい。樹脂製で洗浄も容易に行える。上記のポリアセタール樹脂は、耐薬品性もあるのでより洗浄が適切に行える。
【0017】
(8)前記回転軸は外周面にOリングが装着され、そのOリングを介して前記筒状体の内周面に接触するように構成するとよい。
【発明の効果】
【0018】
本発明は、ブラシを用いていないので、ブラシの毛が抜け落ちる心配も無く、異物の混入を可及的に抑制できる。そして、回転軸の外周に筒状体を上下移動可能に装着しているので、物品を押し潰すこともない。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】(a)は本発明に係る余剰物品排出装置の好適な一実施形態を示す平面図であり、(b)はその一部断面図である。
【
図2】余剰物品排出装置を構成する部品の分解図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1は、PTP包装機に実装される余剰物品排出装置の好適な一実施形態を示している。この余剰物品排出装置10は、PTP包装機の所定位置に設置される。すなわち、PTP包装機は、樹脂製の容器フィルムの搬送途中でその容器フィルムの所定位置に凹状のポケット部を成型する成型装置、成型装置の下流側に配置されポケット部内に錠剤を供給する錠剤供給装置、錠剤供給装置の下流側に配置されポケット部内に錠剤が供給された容器フィルムの上に蓋フィルムを被せる装置や、両フィルムを熱シールしたりカットしたりする装置などが配置される。
【0021】
本発明の余剰物品排出装置10は、錠剤供給装置と、蓋フィルムを容器フィルム1に被せる地点との間に配置される。すなわち、容器フィルム1には、下に凸の凹状のポケット部1aがマトリクス状に多数整列したレイアウトで形成される。
図1(b)に示すようにポケット部1a内には錠剤2が収納されている。
【0022】
余剰物品排出装置10は、駆動部13の回転力を受けて回転する略棒状の回転軸11の外周に両端が開口した円筒状の筒状体12を装着した構成となる。まず駆動部13は、矩形のケース内に駆動モータが内蔵され回転軸11に直結する構成を採っても良いし、駆動モータは下方等に配置し、ギア等の動力伝達手段により回転軸11に駆動力を与えるようにしてもよい。
【0023】
回転軸11の先端には外側に突出するフランジ状のストッパ部11aが形成される。このストッパ部11aの外径は筒状体12の内径よりも大きい設定としている。これにより、回転軸11に装着された筒状体12は、ストッパ部11aによりそれ以上の先端側への移動が抑止されるため、先端側から離脱することはない。
【0024】
回転軸11,筒状体12は、容器フィルム1の上方所定位置において水平方向に伸びるように配置される。より具体的には、回転軸11,筒状体12は、容器フィルム1を横断し、かつ、回転軸11,筒状体12の軸方向が容器フィルム1の搬送方向と斜めに交差するように配置する。本実施形態では、先端側(駆動部13と非接続側)が進行方向前側に位置するようにしている。また、その傾斜角度は変更可能となっている。すなわち、駆動部13のケース部分を中心に所定角度範囲内で旋回できるようにし、錠剤2やポケット部1aの寸法形状等に応じて適切な角度に設定する。また、回転軸11ひいては筒状体12の回転数も変更制御可能となっており、錠剤2やポケット部1aの寸法形状等に応じて適宜調整する。
【0025】
回転軸11,筒状体12は、デルリン(登録商標)などのホルムアルデヒドを原料としたポリアセタール樹脂のエンジニアリングプラスッチを用いて形成している。この樹脂は、強度、剛性、硬さ、寸法安定性、靭性、耐疲労性、溶剤および燃料に対する耐性、耐摩耗性、低摩擦といった特性を持つ。特に筒状体12は、直接錠剤2に接触するものであるので安全性が高い必要がある。また、接触時に摩耗したり、一部が欠けたりすると、離脱したものが異物としてポケット部1a等に混入するおそれがあるが、耐摩耗性,耐疲労性など有するので好ましい。
【0026】
回転軸11の外径よりも筒状体12の内径を大きく設定する。これにより、回転軸11の外周面と筒状体12の内周面との間にはクリアランスが設けられ、回転軸11に対して筒状体12は軸方向と交差する方向にそのクリアランスの範囲内で自由に移動できる。また、回転軸11の外周面には、Oリング16が所定の間隔で装着されている。Oリング16は、シリコンから形成している。これにより筒状体12は通常自重により下方に移動しようとするため、
図1(b)に示すように、筒状体12の内周面の上側と、回転軸11(Oリング16)の外周面の上側とが接触し、筒状体12が吊り下がった状態(定常状態)で支持される。よって、回転軸11の回転に伴い一体となっているOリング16も回転するので、その回転力が筒状体12にも伝わり回転する。また、筒状体12が吊り下がった定常状態では、筒状体12の外周面の下側は、容器フィルム1の上面に近接する。そして駆動部13の回転力を受けて回転する回転軸11は、筒状体12の外周面の容器フィルム1に対向する部位の回転方向が容器フィルム1の搬送方向に対して後方に向くように回転するように構成される。
【0027】
図2(d)に示すように、筒状体12の外周面には、軸方向に伸びる溝12aが形成される。よって、円周方向の溝12aと溝12aの間には、凸条12bが形成される。後述するように、この凸条12bにて余剰物品を排出する。すなわち、ポケット部1a内に錠剤2が2個充填されてしまうと、上に乗っている錠剤は容器フィルム1の上面よりも上方に突出する。そこで、係る上側にある余剰の錠剤は、容器フィルム1の上面に近接する筒状体12の外周面の凸条12bに接触しポケット部1aから排出される。
【0028】
この溝12aの深さ(凸条12bの高さ)は、0.5mmとした。これは、あまり長いと凸条12bの側面とポケット部1aの内周面との間で錠剤2をしっかりと挟み込んでしまい、スムーズに余剰の錠剤をはき出すことができないおそれがあるためである。一方、あまり短いと凸条12bが錠剤2に引っかからずに掻き出す(掃き出す)ことができないおそれがあるためである。
【0029】
さらに凸条12bの回転方向の両先端12b′の角部はR取り加工をし、断面を円弧状にしている。これは、表面側の先端12b′が尖っていると、錠剤2との引っかかりが強く、錠剤2をポケット部1aの内周面に押さえつける力が強くかかりポケット部1aからスムーズに排出することができないおそれがあるためである。よって、両端12b′のうち、特に重要なのは回転方向の前側の先端12b′であるため、R取り加工は係る前側の先端12b′のみにしてもよい。但し、筒状体12は左右対称であるため回転方向の両先端12b′に形成することで、回転軸11への取り付け方向が左右逆でも構わなくなるので組み立て作業が容易になるので好ましい。
【0030】
また、溝12a,凸条12bは、軸と平行な直線状としている。もちろん本実施形態のように直線状にする必要はなく、螺旋状としたり、クランク状/階段状に折れ曲がっていたりする等の各種の形態をとれる。さらには軸方向に連続せず離散的に凸部が配置されるパターンでも良い。
【0031】
上述したように、筒状体12は錠剤に直接接触するもので有り、定期的に洗浄する必要がある。回転軸11も露出していることから同様である。そこで、本実施形態では、係る洗浄作業が容易に行えるようにするため、回転軸11,筒状体12を駆動部13に対して着脱自在の構成を採っている。
【0032】
すなわち、まず駆動部13の駆動軸には
図2(a),(b)に示すシャフト14が連結されて一体化される。このシャフト14は、駆動軸と一体となって回転する。そしてシャフト14は、円柱状の棒状体の本体を有し、その本体の基端側(駆動部13側)には径方向外側に突出する一対のピン14aを備え、そのピン14aよりもやや先端側に変位した位置にボールプランジャー14bを備えている。
【0033】
このシャフト14に回転軸22が装着される。回転軸11は、
図2(c)に示すように中空となっており、ストッパ部11aと反対側の端面で開口している。中空の内部空間11は、円柱状であり、その内周面には、開口側から軸方向奥側に向かって伸びる2本の切り込み11bが形成される。さらにその切り込み11bの奥側には、内部空間11の内周面を円周方向に沿って伸びる凹溝11cが形成される。
【0034】
内部空間11内にシャフト14が挿入される。シャフト14の先端が回転軸11の奥まで至るようにすると、シャフト14のピン14aは回転軸11の切り込み部11b内に入り込み回り止めされる。よってシャフト14の回転に伴い回転軸11も回転する。さらにシャフト14のボールプランジャー14bは、回転軸11の凹溝11cに入り込みシャフト14と回転軸11は連結し相対的なスラスト方向の移動が抑止される。この回転軸11をシャフト14に装着するに先立ち、筒状体12を回転軸11に装着しておく。
【0035】
一方、余剰物品排出装置10の駆動部13から回転軸11,筒状体12を取り外す場合、回転軸11の先端を持ってスラスト方向で駆動部13から引き離す方向に引っ張る。すると、回転軸11とシャフト14はボールプランジャー14bのスプリング力により連結されているので、一定以上の引っ張る力を加えることで、ボールプランジャー14bは凹溝11cから離脱し、回転軸11とシャフト14の連結が解除される。以降、そのまま回転軸11をスラスト方向に引っ張ることで、回転軸11をシャフト14から取り外すことができる。取り外した後は、回転軸11と筒状体12とを分離し、それぞれ洗浄等することができる。
【0036】
次に本実施形態を用いた余剰物品をポケット部1aから排出する作用を説明する。まず
図3〜
図5において、容器フィルム1は図中左から右に搬送されており、筒状体12は回転軸11(シャフト14)からの回転力を受けて時計方向に回転する。このとき、
図3(a)に示すように、ポケット部1a内に2個の錠剤2が入り込んだ状態で搬送されてきた場合、
図3(b)に示すように余剰となっている上側の錠剤2の側面に凸条12bの先端12b′が接触する。
【0037】
筒状体12は図中時計方向に回転し、容器フィルム1は図中右方向に移動しているため、余剰の錠剤2は凸条12bから進行方向後方或いは後斜め上方へ付勢力を受けるとともに、錠剤2に接触した凸条12bはポケット部1aの上を相対的に通過するように移動していく。よって、係る凸条12bの先端12b′と、ポケット部1aの進行方向後方側の壁面との距離も徐々に短くなる。さらに、筒状体12も回転しているため、凸条12bの位置も徐々に上昇していく。よって係る凸条12bの上昇や、凸条12bとポケット部1aの距離が短くなることと上記の付勢力とが相まって、
図3(c)に示すように錠剤2は回転しながら起立・反転し、最終的に
図4(a)に示すようにポケット部1aから排出される。
【0038】
なお、このようにして排出された錠剤2は、容器フィルム1の搬送方向に対して傾斜配置された筒状体12に案内され、徐々に容器フィルム1の側縁側に移動してくる。なお、この移動中にポケット部1aに再び入ることが有り余剰の錠剤となることがあっても、再び排出される。
【0039】
上記の例では、錠剤2が反転して排出されたが、錠剤2に接触した凸条12bの位置によっては、
図4(b)→
図4(c)→
図5(a)→
図5(b)に示すようになり、反転することなくポケット部1aから排出される。
【0040】
このように、多くの場合、余剰の錠剤2は、反転或いはそのまま水平移動してポケット部1aから排出されるので、余剰物品排出装置10の下流側では、各ポケット部1aには1つの錠剤が収納された状態となる。
【0041】
ところで、凸条12bが余剰の錠剤2に接触したときの相対位置関係などにより、凸条12bの先端12b′にて錠剤2をうまく搬出することができず、2つの錠剤が重なった状態のまま(余剰状態のまま)余剰物品排出装置10を通過しようとする。この場合、本実施形態では、筒状体12が回転軸11に対して所定のクリアランスを持ち上下に移動可能であるため、筒状体12は凸条12bを介して錠剤2に押し上げられて上昇移動し、
図5(c)に示すように筒状体12と容器フィルム1との間隔が広がった状態をとる。
【0042】
この状態で更に容器フィルム1が搬送されると、2個重なった錠剤2はその状態のまま余剰物品排出装置10を通過して下流側に移動する。すると、筒状体12は、上方に持ち上げていた錠剤がなくなるので下方に移動し回転軸11に吊り下がった状態に戻る。
【0043】
このように余剰の錠剤が重なったまま排出できずに余剰物品排出装置10を通過しようとした場合に、筒状体12が上方に逃げることができるので、錠剤を噛み込んで砕いてしまうことがなくなる。仮に筒状体12が回転軸11との間にクリアランスがないと、上記のような状態の時に上に逃げることができずに錠剤を砕いてしまうおそれが有り、そうすると砕かれた破片が周囲に散らばり、異物としてポケットに入り込んだりして、広い領域でPTPシートが不良品となったり、砕かれた破片がPTP包装機(余剰物品排出装置を含む)内に入り込むとのメンテナンスが煩雑になったり、砕けた破片が細かいと後段の検査装置で異物を検知できないおそれがあったりするという各種の問題を生じるが本実施例では係る問題発生の心配が無い。
【0044】
なお、
図5(c)のように余剰の物品が入ったまま蓋フィルムを被せてシールするとシール不良となり装置を損傷するおそれもあるので、余剰物品排出装置の下流側で、蓋フィルムを被せる前に検査装置を設け、余剰物品が検出された場合には装置を停止する。
【符号の説明】
【0045】
10 余剰物品排出装置
11 回転軸
12 筒状体
13 駆動部
14 シャフト
16 Oリング