(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記外気導入部、前記第1排気導入部、および前記第2排気導入部は、開口面積を変更可能な開口部を有し、開口面積を変更することで導入する気体の量を調節するダンパである請求項1に記載の建物。
前記メインルームからの排気を通し、前記外気導入ルームとの間で前記第1排気導入部を介して空気を受け渡し、前記第2排気導入部を介して前記空調ルームへと空気を供給するダクトルームを更に備える請求項1または2に記載の建物。
前記制御部は、外気の温度が予め定められた温度下限未満の場合に、前記外気導入部、前記第1排気導入部、及び前記第2排気導入部を制御して、前記外気導入ルームを介して前記ダクトルームへと外気を導入させ、前記ダクトルームにおいて前記メインルームからの排気及び外気を混合させて前記第2排気導入部及び前記空調ルームを介して前記メインルームに供給させる
請求項3または4に記載の建物。
前記制御部は、外気の温度が予め定められた温度上限を超え、かつ、外気の絶対湿度が予め定められた湿度上限を超える場合に、前記外気導入部、前記第1排気導入部、および前記第2排気導入部を制御して、外気を遮断して前記メインルームからの排気を前記ダクトルームを介して前記外気導入ルームへと導入させ、
前記冷却部は、前記外気導入ルームへと導入された排気を除湿冷却し、
前記送風部は、前記冷却部により除湿冷却された空気を前記メインルームへと循環させる
請求項4または5に記載の建物。
前記制御部は、外気の温度が予め定められた温度上限を超えず、かつ外気の絶対湿度が予め定められた湿度上限を超える場合に、前記外気導入部、前記第1排気導入部、および前記第2排気導入部を制御して、外気を前記外気導入ルームを介して前記空調ルームに導入させると共に、前記メインルームからの排気を前記ダクトルームを介して前記空調ルームに導入させて外気および排気を混合させ、前記メインルームへと供給させる
請求項4から6のいずれか1項に記載の建物。
前記制御部は、外気の温度が予め定められた温度下限を超え、かつ、外気の絶対湿度が予め定められた湿度下限未満の場合に、前記空調ルームに外気を導入させると共に、前記メインルームからの排気の一部を前記加湿部で加湿してから前記空調ルームに導入させつつ、残りを前記空調ルームに前記外気導入ルームを介して導入する
請求項8に記載の建物。
熱を発生する機器が設けられるメインルームと、外部に対する開口面積を変更可能な外気導入部と前記メインルームからの排気を導入する導入量を変更可能な第1排気導入部とを有する外気導入ルームと、前記外気導入ルームから導入する空気を冷却して前記メインルームに供給する冷却部、及び、前記冷却部を介して導入した空気を前記メインルームに対して送風する送風部を有する空調ルームと、前記外気導入ルームから導入する空気を冷却して前記メインルームに供給する冷却部と、を備える建物を空調する空調システムであって、
前記外気導入部および前記第1排気導入部を制御して、前記メインルームに導入する空気の温度を調節する制御部を備え、
前記空調ルームは、前記メインルームから前記空調ルームへと排気を導入する導入量を変更可能な第2排気導入部を更に有し、
前記制御部は、前記第2排気導入部を更に制御する空調システム。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。以下、図面を参照して、実施形態について説明するが、図面の記載において、同一または類似の部分には同一の参照番号を付して重複する説明を省く場合がある。なお、図面は模式的なものであり、厚みと平面寸法との関係、比率等は現実のものとは異なる場合がある。また、説明の都合上、図面相互間においても互いの寸法の関係又は比率が異なる部分が含まれる場合がある。
【0008】
図1は、本実施形態に係る建物100の斜視図を示す。建物100は、熱を発生する発熱体等の負荷となる装置を備え、負荷によって暖められた空気と外気とを混合させ、混合させた混合気を循環させることで建物100内の温度および湿度を調節する。本実施例において、建物100は、熱を発生するサーバを備えるデータセンタの例を説明する。建物100は、外気導入部110と、チムニー120とを備える。
【0009】
外気導入部110は、建物100の外壁に備わり、外部に対する開口面積を変更可能な開口部を有する風量調節ダンパであってよい。また、外気導入部110は、モータで位置および/または角度を可変させて開口面積を変更する羽を有し、当該モータに電気信号を送信することで外気の導入量を電気信号で調節するモーターダンパであってよい。
【0010】
ここで、建物100は、外気導入部110の外側に、通気部をさらに備えてよい。通気部は、外部からの雨、異物、または生物等の侵入を防ぎつつ、外気を建物100内に通す。通気部は、通気口に羽板を平行に取りつけたルーバーでよい。また、通気部は、ルーバーが固定されたガラリであってもよい。通気部は、建物100の壁面の一部に備わってよく、これに代えて、壁面の全面に備わってよい。
【0011】
チムニー120は、建物100内部のメインルーム210からの排気を外部へと排出する。チムニー120は、建物100内部の温度差によって発生する重力換気(煙突効果)を利用して、建物100内部の排気を外部へと排出してよい。また、チムニー120は、メインルーム210よりも高い位置に備わり、建物100の外部で風が吹いた場合に、チムニー120周辺部の圧力が低くなる現象を利用して、チムニー120よりも低い位置に備わるメインルーム210との間に生じる圧力差によりメインルーム210の排気を外部へと排出してもよい。
【0012】
また、チムニー120は、建物100内部に備わるファン等の送風機からの送風によって、建物100内部の排気を外部へと排出してもよい。チムニー120は、建物100の屋上に備わってよい。これに代えて、チムニー120は、建物100の外壁に備わってよい。
【0013】
図2は、
図1におけるA−A'断面の構成例を示す。ここでA−A'断面は、建物100内部のメインルーム210を地面に対して水平方向に切断する面である。建物100は、メインルーム210と、外気導入ルーム220と、空調ルーム230と、ダクトルーム250とを備える。
【0014】
メインルーム210は、熱を発生する機器が設けられる。メインルーム210は、建物100内に複数備わってよい。例えば、建物100は2階以上の建物であって、メインルーム210は、それぞれの階に備わってよい。本実施例において、メインルーム210は、建物100内の1階および2階に備わる例を説明する。メインルーム210は、熱を発生する機器であるサーバ200と、排気部240とを有する。
【0015】
サーバ200は、CPU、メモリ、および/またはハードディスクドライブ等を有し、コンピュータとして動作してよい。また、サーバ200は、二次記憶装置として動作するストレージであってよい。サーバ200は、羽を回転させて風を発生させる送風機と、サーバ200が発生した熱を当該送風機が発生する風と共に外部へ出力する排気口とを有し、自身を空冷させてよい。サーバ200は、予め定められたサイズの筐体で形成され、予め定められたサイズの筐体を収容するサーバラック内に、複数収容されてよい。
【0016】
サーバ200は、高さと幅等が規格化されたラックマウント型サーバ、または、ブレードサーバであってよい。サーバ200は、ネットワークに接続され、建物100内部または建物100外部の他のサーバ200と相互にデータを送受信して、データの保管および提供、アプリケーション・ソフトウエア等を実行する。
【0017】
排気部240は、サーバ200が発生した熱と共にメインルーム210内の空気を排気する。排気部240は、メインルーム210からメインルーム210の上階まで、垂直方向に空気が通過できる吹き抜けであってよい。排気部240は、メインルーム210内のサーバ200によって暖められた空気が温度差によって上昇するので、メインルーム210内の空気をメインルーム210の上階へと排気することができる。また、排気部240は、送風機を有して、メインルーム210内の空気を上階へと強制的に排気してもよい。
【0018】
排気部240は、サーバ200と隣接されてメインルーム210に備わってよい。また、サーバ200が熱を外部へ放出する排気口またはファン等を有する場合、排気部240は、当該排気口またはファン等と近接して備わってよい。また、この場合、当該排気口またはファン等が排気部240側を向くように、サーバ200は設置されてよい。即ち、排気部240は、サーバ200がメインルーム210から吸い込んだ空気を排気口またはファン等によって内部で発生した熱と共に排出される空気を排気する。
【0019】
排気部240は、複数のサーバ200と隣接して備わってよく、メインルーム210に複数備わってよい。図中の例において、排気部240は、メインルーム210に2つ備わる。
【0020】
外気導入ルーム220は、外気導入部110から導入した外気と、メインルーム210の排気部240から排気された空気とを混合する。外気導入ルーム220は、建物100の外壁とメインルーム210との間に備わり、建物100内に複数備わってよい。外気導入ルーム220は、第1排気導入部226を有する。
【0021】
第1排気導入部226は、メインルーム210からの排気を外気導入ルーム220に導入する。第1排気導入部226は、外気導入部110と同様に、導入量が変更可能な風量調節ダンパまたはモーターダンパであってよい。
【0022】
図中の例において、外気導入ルーム220は、空調ルーム230およびダクトルーム250に隣接して建物100に備わり、混合した混合気を空調ルーム230へ導入する。外気導入ルーム220は、2つの排気部240を挟んだ2つが建物100内に備わる。
【0023】
空調ルーム230は、外気導入ルーム220および/またはダクトルーム250から導入された空気を、メインルーム210に送風する。空調ルーム230は、混合気導入部224と、冷却部232と、送風部234と、第2排気導入部238とを有する。
【0024】
混合気導入部224は、外気導入ルーム220から導入される空気を空調ルーム230に導入する。混合気導入部224は、外気導入部110と同様に、風量調節ダンパまたはモーターダンパであってよい。
【0025】
冷却部232は、外気導入ルーム220から導入する空気を冷却してメインルーム210に供給する。冷却部232は、冷媒を循環させるコイルを有し、導入する空気を当該コイルに通過させて冷却する冷却装置でよい。ここで、冷却部232は、冷媒として水またはフロン類等を用いてよい。
【0026】
送風部234は、冷却部232を介して導入した空気をメインルーム210に対して送風する。送風部234は、羽を回転させて送風する送風機でよい。また、送風部234は、回転速度を調節して送風量を制御できる送風機であってよい。
【0027】
第2排気導入部238は、ダクトルーム250から導入される空気を通し、メインルーム210から空調ルーム230へと排気を導入する。第2排気導入部238は、外気導入部110と同様に、導入量を変更可能な風量調節ダンパまたはモーターダンパであってよい。
【0028】
ダクトルーム250は、メインルーム210からの排気を通し、外気導入ルーム220との間で第1排気導入部226を介して空気を受け渡し、第2排気導入部238を介して空調ルーム230へと空気を供給する。建物100が複数階の建物の場合、ダクトルーム250は、各階毎に備わり、それぞれのダクトルーム250は垂直方向に開口を有し、垂直方向に空気が通過できる吹き抜けであってよい。
【0029】
また、ダクトルーム250は、グレーチングを有してもよい。一例として、ダクトルーム250は、図中の点線部にグレーチングを設ける。ダクトルーム250は、排気部240からの排気を上階から下階へと送り込むファンが設置されていてもよい。
【0030】
図3は、
図2におけるB−B'断面の構成例を示す。ここでB−B'断面は、建物100内部の外気導入ルーム220、ダクトルーム250、メインルーム210、および排気部240を、地面に対して垂直方向に切断する面である。
【0031】
排気部240は、メインルーム210に設けられたサーバ200によって暖められた空気を、メインルーム210の上方へと排気する。チムニー120は、メインルーム210よりも上方で排気部240と接続されて、メインルーム210からの排気を、排気量を変更可能な出力部330を介して外部へと排出する。出力部330は、外気導入部110と同様に、風量調節ダンパまたはモーターダンパであってよい。
【0032】
また、排気部240は、メインルーム210に設けられたサーバ200によって暖められた空気を、ダクトルーム250を介して外気導入ルーム220へと通す。外気導入ルーム220は、サーバ200によって暖められた空気と、外気導入部110から導入される外気とを混合する。
【0033】
ここで、排気部240は、メインルーム210からの排気を加湿する加湿部320を有してよい。加湿部320は、内部に収容されている水分を空気中に放出して加湿する加湿器でよい。加湿部320は、加湿した空気を、ダクトルーム250を介して空調ルーム230へと供給する。ここで、加湿部320は、加湿した空気を、ダクトルーム250内に区画して設けられたダクトを介して空調ルーム230へと供給してよい。
【0034】
また、排気部240は、鋼材等を格子状に組んだグレーチングを有してよい。排気部240は、このグレーチングを各階の床材として用いてよく、これによって、上階へ空気を通しつつ、通路として利用することができる。一例として、排気部240は、図中の点線部にグレーチングを設ける。
【0035】
図4は、
図2におけるC−C'断面の構成例を示す。ここでC−C'断面は、建物100内部のメインルーム210、外気導入ルーム220、排気部240、および空調ルーム230を、地面に対して垂直方向に切断する面である。排気部240は、メインルーム210に設けられたサーバ200によって暖められた空気を、ダクトルーム250を介して空調ルーム230へと通す。
【0036】
空調ルーム230は、メインルーム210からの排気を、外気導入ルーム220から冷却部232を介して空調ルーム230へと導入してよい。また、空調ルーム230は、メインルーム210からの排気を、ダクトルーム250から第2排気導入部238を介して空調ルーム230へと導入してもよい。
【0037】
また、空調ルーム230は、外気導入部110からの外気を、外気導入ルーム220から冷却部232を介して空調ルーム230へと導入してよい。また、外気導入部110からの外気を、ダクトルーム250から第2排気導入部238を介して空調ルーム230へと導入してもよい。
【0038】
以上の本実施例の建物100は、メインルーム210に設けられたサーバ200によって暖められた空気を、排気部240を介して全部または一部をチムニー120より排気する。また、建物100は、残りの空気を、ダクトルーム250に移動させて、外気導入ルーム220を介して空調ルーム230へ導入し、送風部234によってメインルーム210へ循環させる。ここで、建物100は、外気導入部110から導入した外気とメインルーム210の排気とを、外気導入ルーム220で混合する。
【0039】
また、建物100は、ダクトルーム250から、空調ルーム230へ導入させてメインルーム210へと循環させてもよい。ここで、建物100は、外気導入部110から導入した外気とメインルーム210の排気とを、ダクトルーム250で混合する。
【0040】
建物100は、建物100内に制御部510を設け、外気の温度および湿度に応じて、建物100内に循環させる空気における外気と排気の混合量等を制御する。これに代えて、建物100は、建物100の外部に制御部510を設け、有線または無線で電気信号をやりとりして、外気と排気の混合量等を制御してよい。
【0041】
図5は、本実施形態に係る建物100の制御部510の構成例を、外気測定部520およびメインルーム測定部530と共に示す。制御部510は、外気導入部110、混合気導入部224、第1排気導入部226、第2排気導入部238、および出力部330を制御して、メインルーム210に導入する空気の温度を調節する。また、制御部510は、冷却部232の冷却量、送風部234の送風量、および加湿部320の加湿量を制御してよい。
【0042】
制御部510は、各部に電気信号を送信して、外気導入量または排気の導入量を調節してよい。また、制御部510は、外気測定部520およびメインルーム測定部530から外気およびメインルーム210のそれぞれの温度および湿度の測定結果を受信して、外気導入量または排気の導入量を調節する。
【0043】
外気測定部520は、建物100の外部に備わり、外気の温度および湿度を測定する。ここで外気測定部520は、外気の絶対湿度を測定してよい。外気測定部520は、測定結果を建物100に送信する。メインルーム測定部530は、メインルーム210の内部に備わり、メインルーム210の温度および湿度を測定する。メインルーム測定部530は、メインルーム210の絶対湿度を測定してよい。
【0044】
ここで、メインルーム測定部530は、サーバ200の近辺に設置される場合、サーバ200の排気口側ではなく、空気を吸い込む側の温度および湿度を測定する。メインルーム測定部530は、測定結果を建物100に送信する。
【0045】
図6は、本実施形態に係る建物100の動作フローの一例を示す。外気測定部520は、外気の温度および絶対湿度を測定する(S600)。また、メインルーム測定部530は、メインルーム210の温度および絶対湿度を測定して、メインルーム210が予め定められた温度範囲内および湿度範囲内にあるか否かを確認する。
【0046】
制御部510は、外気測定部520より外気の温度および絶対湿度の測定結果を受け取り、測定結果と予め定められたメインルーム210の温度範囲および湿度範囲とを比較して、動作させるモードを判別する(S610)。ここで制御部510は、空気線図における予め定められたメインルーム210の温度範囲および湿度範囲と、外気の温度および絶対湿度との位置の関係に応じて、動作させるモードを判別してよい。
【0047】
制御部510は、判別したモードに応じて、外気導入部110、混合気導入部224、第1排気導入部226、第2排気導入部238、出力部330、冷却部232、送風部234、および加湿部320をそれぞれ制御して、メインルーム210内の温度および湿度を制御する(S620)。ここで制御部510は、外気の温度と絶対湿度に応じて、制御するモードをS630〜S690のように7つに分離する。
【0048】
制御部510は、このような測定のステップS600から、第1〜7のいずれかのモードの実行のステップまでを繰り返して、メインルーム210内の温度および湿度を制御する。ここで、制御部510は、上記手順を繰り返しても、メインルーム測定部530の温度および絶対湿度の測定結果が予め定められた範囲内に移動しない場合、何らかの不具合が発生したと判断して、警報、音声、または画面表示等でオペレータ等に異常を知らせてよい。
【0049】
図7は、本実施形態に係る建物100の外気の温度および絶対湿度に応じた建物100の動作モードの一例を、空気線図を用いて示す。図中の横軸は乾球温度を示し、縦軸は絶対湿度を示す。ここで絶対湿度は、乾き空気(DA:Dry Air)1kgに含まれている水分の重さをkg単位で示したものであり、単位は[kg/kg・DA]で表す。
【0050】
また、図中の左上から右下に向けて描かれた直線の点線は、比エンタルピ(乾き空気1kgが持っている熱量kJ)を示し、単位は[kJ/kg・DA]である。また、図中の右上から左下に向けて描かれた点線の曲線は、相対湿度であり、単位は[%]である。ここで、実線の曲線で示された相対湿度を、一例として100%とすると、当該実線が相対湿度の上限を示し、当該実線を超えた領域にプロットされる状態は生じ得ない。
【0051】
例えば、サーバ200の動作によって空気が暖まるといった、水分量(絶対湿度)の変化を伴わない温度変化の場合、絶対湿度一定で乾球温度が上がるので、このような過程は、本図において左から右方向への水平方向の直線で表現される(例えば、直線B−B')。また、空気を冷却すると、相対湿度の上限の曲線近辺に至るまでは右から左方向の直線で表現される(例えば、直線B'−B)。
【0052】
相対湿度の上限または近辺に達した状態は、飽和空気の状態であり、この状態から更に冷却を続けると、水蒸気が水となって空気中の水分量が減少するので、このような過程は、相対湿度一定の点線に沿って左下に下りる曲線で表現される(例えば、曲線B−C)。こうした空気中の水分量が減少する過程は、空気が乾燥する過程であり、即ち除湿である。また、例えば気化式加湿器のように水で加湿する場合等は、絶対湿度の上昇と共に温度も下がるので、湿球温度一定の線で表現される(例えば、直線B'−A)。
【0053】
本実施例の制御部510は、外気の温度および絶対湿度を図中にプロットした位置に応じて、制御するモードを第1モードから第7モードの7つに分離する。例えば、外気の比エンタルピが直線A−A'を超えた領域は、第1モードとする。また、直線A−B'、直線B−B'、および曲線A−Bで囲まれる領域を第2モードとする。また、多角形A'−B'−D−D'−C'内の領域を第3モードとする。
【0054】
同様に、D−D'−F−E−E"内の領域を第4モード、B−C−F−E−E"内の領域を第6モードとする。また、湿度がC点の絶対湿度未満で、温度が曲線G−Hよりも高温側であるG−H−C'内の領域を第5モード、湿度がC点の絶対湿度未満で、温度が曲線G−Hよりも低温側であるG−H−C内の領域を第7モードとする。本実施例において、制御部510は、メインルーム210内の温度および湿度を、図中の第4モードの範囲内に保つ。
【0055】
制御部510は、外気の温度が予め定められた範囲内で、かつ、外気の絶対湿度が予め定められた範囲にある場合に、外気導入部110、混合気導入部224および出力部330を開け、第1排気導入部226、および第2排気導入部238を閉める。また、制御部510は、冷却部232の冷却をオフにしてよい。
【0056】
例えば、制御部510は、まず、外気の温度および外気の絶対湿度が第4モード領域内にあるか否かを判別する。制御部510は、外気の温度および絶対湿度が第4モード領域内にある場合、メインルーム210の排気をチムニー120から建物100の外部に排気しつつ、外気を空調ルーム230へ導入して、当該外気を冷却無しでメインルーム210へと送風する全量外気を実行する。
【0057】
これによって、制御部510は、適温かつ適湿の外気を導入して、メインルーム210内の温度および湿度を予め定められた範囲内に安定して保つことができる。ここで、制御部510は、加湿部320の動作を停止または待機状態にしてよい。このように、外気が適温かつ適湿の場合、サーバ200のファンおよびチムニー120の排気の能力で建物100内の換気を実行させてよく、これによって消費エネルギーを低減させることができる。
【0058】
また、制御部510は、外気測定部520およびメインルーム測定部530の測定結果に応じて、外気導入部110の外気導入量および出力部330の排気量を制御してよい。例えば、制御部510は、外気の温度および絶対湿度を
図7にプロットした点が、メインルーム210内の温度および絶対湿度をプロットした点に比べて、第4モード領域のより中央部に近い場合に、外気導入量および排気量を増加させる。
【0059】
これによって、メインルーム210内の温度および湿度を、第4モード領域内で微調整することができる。このように、ダンパを駆動して空調制御することで、ファン等の排気の能力で空調制御することに比べて消費エネルギーを低減させることができる。
【0060】
制御部510は、外気の温度が予め定められた温度下限未満で、かつ、外気の絶対湿度が予め定められた湿度下限未満の場合に、外気導入部110、混合気導入部224、第1排気導入部226、第2排気導入部238、および出力部330を制御して、混合気導入部224を介してダクトルーム250へと外気を導入させ、ダクトルーム250においてメインルームからの排気および外気を混合させて第2排気導入部238および空調ルーム230を介してメインルームに供給させる。例えば、制御部510は、まず、外気が低温の第6または第7モード領域内にあるか否かを判別する。
【0061】
制御部510は、外気が第6または第7モード領域内にある場合、外気導入部110、第1排気導入部226、第2排気導入部238、および出力部330を開け、混合気導入部224を閉める。即ち、制御部510は、メインルーム210の空気の一部をチムニー120から建物100の外部に排気しつつ、残りの空気をダクトルーム250にて外気と混合させ、混合させた混合気を冷却無しで空調ルーム230を介してメインルーム210へと循環させる。
【0062】
これによって、制御部510は、サーバ200によって暖められた空気の一部を循環させるので、外気が低温であってもメインルーム210内の温度および湿度を予め定められた範囲内に安定して保つことができる。ここで制御部510は、冷却部232の動作を停止または待機状態にしてよい。このように、外気の乾燥した空気を暖めるよりも、メインルーム210内の湿度の安定した空気を循環した方が、湿度の調整が容易になる。ここで、制御部510が外部より取り入れた外気の量は、サーバ200の発熱に応じた量であってよい。
【0063】
ここで、サーバ200の発熱を除去するために必要な量の外気を導入した場合、外気が低温かつ低湿であるため、混合空気の絶対湿度が低下する。そこで、湿度調整のため、加湿部320を用いてメインルーム210からの排気を加湿して空調ルーム230へと供給する。これによって、制御部510は、外気の絶対湿度が低い第7モード領域であっても、加湿部320による加湿と、メインルーム210の排熱の循環によって、メインルーム210内の温度および湿度を予め定められた範囲内に安定して保つことができる。
【0064】
また、制御部510は、外気測定部520の測定結果に応じて、外気導入部110の外気導入量および出力部330の排気量を制御してよい。例えば、制御部510は、外気の温度と、第4モード領域の温度下限との差が大きい場合、外気導入量および排気量を減少させる。これによって、建物100内に循環するメインルーム210からの排気量が増加するので、メインルーム210の排熱により温度を上昇させることができる。
【0065】
制御部510は、外気の温度が予め定められた温度上限を超え、かつ、外気の絶対湿度が予め定められた湿度上限を超える場合に、外気を遮断してメインルーム210からの排気を、ダクトルーム250を介して外気導入ルーム220へと導入させ、冷却部232は、外気導入ルーム220へと導入された排気を除湿冷却し、送風部234は、冷却部232により除湿冷却された空気をメインルーム210へと循環させる。例えば、制御部510は、まず、外気が高温かつ高湿の第1モード領域内にあるか否かを判別する。
【0066】
制御部510は、外気が第1モード領域内にある場合、混合気導入部224、第1排気導入部226を開け、外気導入部110、第2排気導入部238、および出力部330を閉める。即ち、制御部510は、外気を遮断して、メインルーム210の空気を外気導入ルーム220へと導入して、冷却部232で除湿冷却してからメインルーム210へと循環させる。
【0067】
これによって、制御部510は、高温かつ高湿の外気を遮断して、除湿冷却した空気を循環させるので、メインルーム210内の温度および湿度を予め定められた範囲内に安定して保つことができる。ここで、制御部510は、外気の温度と絶対湿度の測定結果に応じて、冷却部232の冷却量を制御してよい。これによって、メインルーム210を冷却させる適切な冷却量を設定できる。
【0068】
制御部510は、外気の温度が予め定められた温度上限を超えず、かつ外気の絶対湿度が予め定められた湿度上限を超える場合に、外気導入ルーム220を介して空調ルーム230に外気を導入させると共に、メインルーム210からの排気を、ダクトルーム250を介して空調ルーム230に導入させて外気および排気を混合させ、メインルーム210へと供給させる。例えば、制御部510は、まず、外気が適温かつ高湿の第2モード領域内にあるか否かを判別する。
【0069】
制御部510は、外気が第2モード領域内にある場合、外気導入部110、混合気導入部224、第2排気導入部238、および出力部330を開け、第1排気導入部226を閉める。即ち、制御部510は、外気を外気導入ルーム220に導入して除湿してから空調ルーム230へと導入させると共に、メインルーム210の排気を空調ルーム230へと導入する。
【0070】
これによって、制御部510は、除湿した外気とサーバ200によって暖められた空気とを空調ルーム230で混合することができ、外気が高湿であっても、外気に比べて絶対湿度が低い混合気をメインルーム210へと循環させることができる。したがって、制御部510は、メインルーム210内の温度および湿度を予め定められた範囲内に安定して保つことができる。
【0071】
ここで、制御部510は、外気の温度と絶対湿度の測定結果に応じて、メインルーム210から空調ルーム230へと導入する空気の量と、外気導入ルーム220に導入する空気の量を制御してよい。例えば、制御部510は、外気の温度が第4モード領域の温度下限よりも低い場合、メインルーム210から空調ルーム230へと導入する空気の量を増加させる。これによって、建物100内に循環するメインルーム210からの排気量が増加するので、メインルーム210からの排熱により温度を上昇させることができる。
【0072】
制御部510は、外気の温度が予め定められた温度上限を超え、かつ、外気の絶対湿度が予め定められた湿度範囲にある場合に、外気導入ルーム220を介して空調ルーム230に外気を導入させると共に、メインルーム210からの排気を、出力部330を介してチムニー120から排気する。例えば、制御部510は、まず、外気が高温適湿の第3モード領域内にあるか否かを判別する。制御部510は、外気が第3モード領域内にある場合、外気導入部110、混合気導入部224、および出力部330を開け、第1排気導入部226および第2排気導入部238を閉める。
【0073】
即ち、制御部510は、外気導入ルーム220を介して外気を空調ルーム230へと導入して冷却しつつ、メインルーム210で暖められた空気をチムニー120から排気する。これによって、制御部510は、外気が高温であっても、メインルーム210を排熱しつつ、冷却した外気を導入してメインルーム210内の温度および湿度を予め定められた範囲内に安定して保つことができる。
【0074】
ここで、制御部510は、外気の温度および湿度の測定結果に応じて、外気導入部110から導入する外気の導入量、チムニー120からの排気量、冷却部232の冷却量を制御してよい。例えば、制御部510は、外気の温度が第4モード領域の温度上限近辺の場合は、冷却部232の冷却量を低減させ、外気導入部110から導入する空気の量を低減させてよい。これによって、メインルーム210内の温度を、予め定められた範囲内へと低消費エネルギーで変化させることができる。
【0075】
制御部510は、外気の温度が予め定められた温度下限を超え、かつ、外気の絶対湿度が予め定められた湿度下限未満の場合に、空調ルーム230に外気を導入させると共に、メインルーム210からの排気を、加湿部320で加湿してから空調ルーム230に導入させる。例えば、制御部510は、まず、外気が低湿の第5モード領域内にあるか否かを判別する。制御部510は、外気が第5モード領域内にある場合、外気導入部110、混合気導入部224、第2排気導入部238、および出力部330を開け、第1排気導入部226を閉める。
【0076】
即ち、制御部510は、加湿したメインルーム210の排気を循環させる。これによって、加湿したメインルーム210の排気と、低湿の外気とを混合させて、予め定められた温度および湿度の範囲内の空気をメインルーム210へ導入することができる。即ち、外気が低湿であってもメインルーム210内の温度および湿度を予め定められた範囲内に安定して保つことができる。
【0077】
ここで、制御部510は、メインルーム210の排気と、導入した外気とを混合した空気が、予め定められた温度および湿度の範囲内に入るように、外気導入部110、第1排気導入部226、および第2排気導入部238の導入量を調節してよい。例えば、混合空気の温度が予め定められたメインルーム210の温度下限を僅かに超えた温度程度の場合、制御部510は、第2排気導入部238の導入量を増加させて、メインルーム210で暖められた空気の循環量を増加させて、混合空気の温度を上昇させてよい。
【0078】
一方、外気の温度が予め定められた温度上限に比べて高い温度で、かつ、加湿したメインルーム210の排気と導入した外気との混合空気の温度が、予め定められたメインルーム210の温度上限よりも高い場合、制御部510は、当該混合空気を冷却部232で冷却して、当該混合空気の温度を下げてよい。
【0079】
このようにして、制御部510は、外気または冷却した外気と、加湿したメインルーム210の排気とを適切な混合比で混合させ、混合した混合気を循環させることでメインルーム210内の温度および湿度を予め定められた範囲内に安定して保つことができる。また、制御部510は、外気の温度に応じて、メインルーム210の排気の一部を加湿部で加湿してから空調ルーム230に導入させつつ、残りを外気と混合してから冷却してメインルーム210に導入することで、メインルーム210内の温度および湿度を予め定められた範囲内に低消費エネルギーで保つことができる。
【0080】
以上のように、本実施形態に係る建物100は、外気の温度が予め定められた温度よりも低い場合は、メインルーム210の排熱を循環させて暖める。また、建物100は、外気が適温または適湿の場合に、外気を導入する。このように、建物100は、メインルームの排熱、外気の温度および湿度を、循環させる空気に利用することで、メインルーム210の温度および湿度を予め定められた範囲に低消費エネルギーで保つことができる。
【0081】
また、建物100は、外気の温度と湿度に応じて、7つのモードのうちのいずれかを選択して動作させ、建物100内のメインルーム210の温度および湿度を予め定められた範囲に保つ。これによって、建物100は、日照、気候、または季節の変化等によって外気の温度および湿度が大きく変動しても、建物100内のメインルーム210の温度および湿度を予め定められた範囲に低消費エネルギーで保つことができる。
【0082】
以上の本実施形態に係る建物100は、
図7に示した外気の温度および絶対湿度に応じた動作モードの一例によって、メインルーム210の温度および湿度を予め定められた範囲に保つことを説明した。ここで、予め定められた範囲は、アメリカ暖房冷凍空調学会(American Society of Heating, Refrigerating and Air-Conditioning Engineers:ASHRAE)において「Recommended Data Center Class1&2」として定められた範囲であってよい。
【0083】
図8は、本実施形態に係る建物100の外気の温度および湿度に応じた建物100の動作モードの別の例を、空気線図を用いて示す。
図8における予め定められた範囲は、アメリカ暖房冷凍空調学会において「Allowable Data Center Class1」として定められた範囲であってよい。建物100は、予め定められた範囲に応じて、動作モードを分割することにより、建物100内のメインルーム210の温度および湿度を当該予め定められた範囲に低消費エネルギーで保つことができる。
【0084】
図9は、本実施形態に係るコンピュータ1900のハードウェア構成の一例を示す。本実施形態に係るコンピュータ1900は、ホスト・コントローラ2082により相互に接続されるCPU2000、RAM2020、グラフィック・コントローラ2075、および表示装置2080を有するCPU周辺部と、入出力コントローラ2084によりホスト・コントローラ2082に接続される通信インターフェイス2030、ハードディスクドライブ2040、およびDVDドライブ2060を有する入出力部と、入出力コントローラ2084に接続されるROM2010、フレキシブルディスク・ドライブ2050、および入出力チップ2070を有するレガシー入出力部と、を備える。
【0085】
ホスト・コントローラ2082は、RAM2020と、高い転送レートでRAM2020をアクセスするCPU2000およびグラフィック・コントローラ2075とを接続する。CPU2000は、ROM2010およびRAM2020に格納されたプログラムに基づいて動作し、各部の制御を行う。グラフィック・コントローラ2075は、CPU2000等がRAM2020内に設けたフレーム・バッファ上に生成する画像データを取得し、表示装置2080上に表示させる。これに代えて、グラフィック・コントローラ2075は、CPU2000等が生成する画像データを格納するフレーム・バッファを、内部に含んでもよい。
【0086】
入出力コントローラ2084は、ホスト・コントローラ2082と、比較的高速な入出力装置である通信インターフェイス2030、ハードディスクドライブ2040、DVDドライブ2060を接続する。通信インターフェイス2030は、ネットワークを介して他の装置と通信する。ハードディスクドライブ2040は、コンピュータ1900内のCPU2000が使用するプログラムおよびデータを格納する。DVDドライブ2060は、DVD−ROM2095からプログラムまたはデータを読み取り、RAM2020を介してハードディスクドライブ2040に提供する。
【0087】
また、入出力コントローラ2084には、ROM2010と、フレキシブルディスク・ドライブ2050、および入出力チップ2070の比較的低速な入出力装置とが接続される。ROM2010は、コンピュータ1900が起動時に実行するブート・プログラム、および/または、コンピュータ1900のハードウェアに依存するプログラム等を格納する。フレキシブルディスク・ドライブ2050は、フレキシブルディスク2090からプログラムまたはデータを読み取り、RAM2020を介してハードディスクドライブ2040に提供する。入出力チップ2070は、フレキシブルディスク・ドライブ2050を入出力コントローラ2084へと接続すると共に、例えばパラレル・ポート、シリアル・ポート、キーボード・ポート、マウス・ポート等を介して各種の入出力装置を入出力コントローラ2084へと接続する。
【0088】
RAM2020を介してハードディスクドライブ2040に提供されるプログラムは、フレキシブルディスク2090、DVD−ROM2095、またはICカード等の記録媒体に格納されて利用者によって提供される。プログラムは、記録媒体から読み出され、RAM2020を介してコンピュータ1900内のハードディスクドライブ2040にインストールされ、CPU2000において実行される。
【0089】
プログラムは、コンピュータ1900にインストールされ、コンピュータ1900を制御部510として機能させる。
【0090】
プログラムに記述された情報処理は、コンピュータ1900に読込まれることにより、ソフトウェアと上述した各種のハードウェア資源とが協働した具体的手段である制御部510として機能する。そして、この具体的手段によって、本実施形態におけるコンピュータ1900の使用目的に応じた情報の演算または加工を実現することにより、使用目的に応じた特有の制御部510が構築される。
【0091】
一例として、コンピュータ1900と外部の装置等との間で通信を行う場合には、CPU2000は、RAM2020上にロードされた通信プログラムを実行し、通信プログラムに記述された処理内容に基づいて、通信インターフェイス2030に対して通信処理を指示する。通信インターフェイス2030は、CPU2000の制御を受けて、RAM2020、ハードディスクドライブ2040、フレキシブルディスク2090、またはDVD−ROM2095等の記憶装置上に設けた送信バッファ領域等に記憶された送信データを読み出してネットワークへと送信し、もしくは、ネットワークから受信した受信データを記憶装置上に設けた受信バッファ領域等へと書き込む。このように、通信インターフェイス2030は、DMA(ダイレクト・メモリ・アクセス)方式により記憶装置との間で送受信データを転送してもよく、これに代えて、CPU2000が転送元の記憶装置または通信インターフェイス2030からデータを読み出し、転送先の通信インターフェイス2030または記憶装置へとデータを書き込むことにより送受信データを転送してもよい。
【0092】
また、CPU2000は、ハードディスクドライブ2040、DVDドライブ2060(DVD−ROM2095)、フレキシブルディスク・ドライブ2050(フレキシブルディスク2090)等の外部記憶装置に格納されたファイルまたはデータベース等の中から、全部または必要な部分をDMA転送等によりRAM2020へと読み込ませ、RAM2020上のデータに対して各種の処理を行う。そして、CPU2000は、処理を終えたデータを、DMA転送等により外部記憶装置へと書き戻す。このような処理において、RAM2020は、外部記憶装置の内容を一時的に保持するものとみなせるから、本実施形態においてはRAM2020および外部記憶装置等をメモリ、記憶部、または記憶装置等と総称する。本実施形態における各種のプログラム、データ、テーブル、データベース等の各種の情報は、このような記憶装置上に格納されて、情報処理の対象となる。なお、CPU2000は、RAM2020の一部をキャッシュメモリに保持し、キャッシュメモリ上で読み書きを行うこともできる。このような形態においても、キャッシュメモリはRAM2020の機能の一部を担うから、本実施形態においては、区別して示す場合を除き、キャッシュメモリもRAM2020、メモリ、および/または記憶装置に含まれるものとする。
【0093】
また、CPU2000は、RAM2020から読み出したデータに対して、プログラムの命令列により指定された、本実施形態中に記載した各種の演算、情報の加工、条件判断、情報の検索・置換等を含む各種の処理を行い、RAM2020へと書き戻す。例えば、CPU2000は、条件判断を行う場合においては、本実施形態において示した各種の変数が、他の変数または定数と比較して、大きい、小さい、以上、以下、等しい等の条件を満たすかどうかを判断し、条件が成立した場合(または不成立であった場合)に、異なる命令列へと分岐し、またはサブルーチンを呼び出す。
【0094】
また、CPU2000は、記憶装置内のファイルまたはデータベース等に格納された情報を検索することができる。例えば、第1属性の属性値に対し第2属性の属性値がそれぞれ対応付けられた複数のエントリが記憶装置に格納されている場合において、CPU2000は、記憶装置に格納されている複数のエントリの中から第1属性の属性値が指定された条件と一致するエントリを検索し、そのエントリに格納されている第2属性の属性値を読み出すことにより、所定の条件を満たす第1属性に対応付けられた第2属性の属性値を得ることができる。
【0095】
以上に示したプログラムまたはモジュールは、外部の記録媒体に格納されてもよい。記録媒体としては、フレキシブルディスク2090、DVD−ROM2095の他に、DVDまたはCD等の光学記録媒体、MO等の光磁気記録媒体、テープ媒体、ICカード等の半導体メモリ等を用いることができる。また、専用通信ネットワークまたはインターネットに接続されたサーバシステムに設けたハードディスクまたはRAM等の記憶装置を記録媒体として使用し、ネットワークを介してプログラムをコンピュータ1900に提供してもよい。
【0096】
以上、コンピュータ1900のハードウェア構成について説明したが、建物100は、複数のコンピュータ1900を備え、当該複数のコンピュータ1900によって分散して制御してもよい。例えば、プログラムの一部は、複数のコンピュータ1900のそれぞれにインストールされ、複数のコンピュータ1900を制御部510として機能させる。これに代えて、建物100は、シーケンス制御専用の複数の制御装置を備え、制御プログラムの一部を複数の制御装置のそれぞれにインストールして、複数の制御装置を制御部510として機能させるPLC(プログラマブル・ロジック・コントローラ)、またはDDC(ダイレクト・デジタル・コントローラ)等によって分散して制御してよい。
【0097】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【0098】
特許請求の範囲、明細書、および図面中において示した装置、システム、プログラム、および方法における動作、手順、ステップ、および段階等の各処理の実行順序は、特段「より前に」、「先立って」等と明示しておらず、また、前の処理の出力を後の処理で用いるのでない限り、任意の順序で実現しうることに留意すべきである。特許請求の範囲、明細書、および図面中の動作フローに関して、便宜上「まず、」、「次に、」等を用いて説明したとしても、この順で実施することが必須であることを意味するものではない。