特許第5836752号(P5836752)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5836752
(24)【登録日】2015年11月13日
(45)【発行日】2015年12月24日
(54)【発明の名称】画像形成装置及びその制御方法
(51)【国際特許分類】
   B41J 29/38 20060101AFI20151203BHJP
   G03G 21/00 20060101ALI20151203BHJP
【FI】
   B41J29/38 Z
   G03G21/00 388
【請求項の数】12
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2011-237569(P2011-237569)
(22)【出願日】2011年10月28日
(65)【公開番号】特開2013-94995(P2013-94995A)
(43)【公開日】2013年5月20日
【審査請求日】2014年10月23日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100126240
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 琢磨
(74)【代理人】
【識別番号】100124442
【弁理士】
【氏名又は名称】黒岩 創吾
(72)【発明者】
【氏名】相園 啓介
【審査官】 大浜 登世子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−028760(JP,A)
【文献】 特開2004−226921(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 29/38
G03G 21/00
H04N 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用状況情報を含む情報が記録された第1の不揮発性メモリと、使用状況情報として装置の画像形成に係る動作の有無が判定できる判定用の情報が記録された第2の不揮発性メモリとを備える画像形成装置であって、
前記第1の不揮発性メモリに記録された情報と、前記第2の不揮発性メモリに記録された判定用の情報とを含むデータを外部に送信する送信手段と、
前記第1の不揮発性メモリに書き込むべき情報と判定用の情報とを含むデータを受信する受信手段と、
前記受信手段により受信されたデータに含まれる判定用の情報と、画像形成装置の備える第2の不揮発性メモリに記録されている判定用の情報とを比較する比較手段と、
前記比較手段による比較の結果が一致する場合には、前記受信手段により受信されたデータに含まれる前記書き込むべき情報を、前記第1の不揮発性メモリに書き込む書き込み手段と、を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記書き込み手段は、前記比較手段による比較の結果が一致しない場合には、前記受信手段により受信されたデータに含まれる前記書き込むべき情報の中で、使用状況情報以外の情報を、画像形成装置の備える第1の不揮発性メモリに書き込むことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記比較手段による比較の結果が一致しない場合に、前記受信手段により受信されたデータに含まれる前記書き込むべき情報の中で、使用状況情報以外の情報を、画像形成装置の備える第1の不揮発性メモリに書き込むか否かを確認するための表示を行う表示手段をさらに有し、
前記書き込み手段は、前記表示手段による確認に応じて、前記受信手段により受信されたデータに含まれる前記書き込むべき情報の中で、使用状況情報以外の情報を、画像形成装置の備える第1の不揮発性メモリに書き込むことを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記判定用の情報は、画像形成装置での画像形成の処理に係る全使用枚数であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記第1の不揮発性メモリには、使用状況情報として、少なくとも各ユーザの使用枚数、または各部品の消耗度が含まれることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
使用状況情報を含む情報が記録された第1の不揮発性メモリと、第2の不揮発性メモリとを備える画像形成装置であって、
前記第1の不揮発性メモリに記録された情報を含むデータを外部に送信する送信手段と、
前記第1の不揮発性メモリに記録された使用状況情報を用いて、所定の手法で、生成された判定用の情報を、前記第2の不揮発性メモリに書き込む第1の書き込み手段と、
前記第1の不揮発性メモリに書き込むべき情報を含むデータを受信する受信手段と、
前記受信手段により受信されたデータに含まれる使用状況情報を用いて前記所定の手法で生成された情報と、前記第2の不揮発性メモリに書き込まれた判定用の情報とを比較する比較手段と、
前記比較手段による比較の結果が一致する場合には、前記受信手段により受信されたデータに含まれる前記書き込むべき情報を、前記第1の不揮発性メモリに書き込む第2の書き込み手段と、を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項7】
前記第1の書き込み手段は、前記比較手段による比較の結果が一致しない場合には、前記判定用の情報として、前記使用状況情報を用いて生成されることのない値を書き込むことを特徴とする請求項6に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記第2の書き込み手段は、前記比較手段による比較の結果が一致しない場合には、前記受信手段により受信されたデータに含まれる前記書き込むべき情報の中で、使用状況情報以外の情報を、画像形成装置の備える第1の不揮発性メモリに書き込むことを特徴とする請求項6または7に記載の画像形成装置。
【請求項9】
使用状況情報を含む情報が記録された第1の不揮発性メモリと、使用状況情報として装置の画像形成に係る動作の有無が判定できる判定用の情報が記録された第2の不揮発性メモリとを備える画像形成装置における制御方法であって、
前記第1の不揮発性メモリに記録された情報と、前記第2の不揮発性メモリに記録された判定用の情報とを含むデータを外部に送信する送信工程と、
前記第1の不揮発性メモリに書き込むべき情報と判定用の情報とを含むデータを受信する受信工程と、
前記受信工程で受信されたデータに含まれる判定用の情報と、画像形成装置の備える第2の不揮発性メモリに記録されている判定用の情報とを比較する比較工程と、
前記比較の結果が一致する場合には、前記受信工程で受信されたデータに含まれる前記書き込むべき情報を、前記第1の不揮発性メモリに書き込む書き込み工程と、を有することを特徴とする制御方法。
【請求項10】
使用状況情報を含む情報が記録された第1の不揮発性メモリと、第2の不揮発性メモリとを備える画像形成装置における制御方法であって、
前記第1の不揮発性メモリに記録された情報を含むデータを外部に送信する送信工程と、
前記第1の不揮発性メモリに記録された使用状況情報を用いて、所定の手法で、生成された判定用の情報を、前記第2の不揮発性メモリに書き込む第1の書き込み工程と、
前記第1の不揮発性メモリに書き込むべき情報を含むデータを受信する受信工程と、
前記受信工程で受信されたデータに含まれる使用状況情報を用いて前記所定の手法で生成された情報と、前記第2の不揮発性メモリに書き込まれた判定用の情報とを比較する比較工程と、
前記比較の結果が一致する場合には、前記受信工程で受信されたデータに含まれる前記書き込むべき情報を、前記第1の不揮発性メモリに書き込む第2の書き込み工程と、を有することを特徴とする制御方法。
【請求項11】
請求項1乃至5のいずれか1項に記載の手段としてコンピュータを機能させるためのプログラム。
【請求項12】
請求項6乃至8のいずれか1項に記載の手段としてコンピュータを機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置のハードウェアの故障時におけるデータ引き継ぎ手法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
プリンタや複写機、複合機といった画像形成装置は、コピー、プリント、ファックス、電子データ送信などの機能があり、これらに対してそれぞれ特定の設定値の情報や、使用枚数や部品消耗度のような使用状況に関する情報を管理している。通常、これらの情報は複合機内の不揮発性メモリに保存されている。そして、この不揮発性メモリはコストやハード構成などの都合により複合機を制御するメインボード上に他の制御チップなどと一緒に実装されることがある。画像形成装置内で、不揮発性メモリ以外の故障や不良によるメインボード交換が発生した場合には、結果として、当該装置では新たな不揮発性メモリに置き換わってしまう。不揮発性メモリが新しくなるような交換作業を行う場合には、設定値をはじめとする、失われてしまうデータの復旧のための多大な時間が必要となり、交換作業者(サービスマン)の作業効率が低下する。
【0003】
そこで、従来から、一旦、画像形成装置内の不揮発性メモリのデータを外部の装置(以降、サービスツール)に読み出しておき、メインボード交換後に読み出したデータを書き戻す技術が提案されている。これにより、故障時の設定値を、復旧後でも引き継ぐことができるようになる。
【0004】
しかし、その際、設定値以外の使用枚数や部品消耗度のような使用状況に関する情報までも引き継いでしまうと、本来の使用状況の情報と差異が発生してしまうことがある。例えば、故障前の画像形成装置のデータをバックアップとして読み出しておき、そのデータを故障時(数ヶ月後)に書き戻してしまうと、読み出しから書き戻しまでの間の稼動状況が反映されず、実際使用枚数や部品消耗度よりも小さくなってしまう。
【0005】
例えば、特許文献1では、不揮発性メモリにデータを書き込む際に、使用状況に関する情報は書き込みを禁止することが開示されている。これにより、使用枚数や部品消耗度が実際よりも小さくなることを防ぐことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−305899号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、バックアップした情報が問題なく利用できる場合などには前述したメインボードの交換後にそれら情報を用いて復旧することは有意義であって、常に使用状況に関する情報の書き戻しを許可しないといった技術思想はサービス性の低下につながる。
そこで、本発明は、画像形成装置の稼動状況を十分に考慮した上で、故障などから回復した後など、必要に応じて使用状況に関する情報の書き戻しを許可するための手法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
そこで、本発明の画像形成装置は、例えば、使用状況情報を含む情報が記録された第1の不揮発性メモリと、使用状況情報として装置の画像形成に係る動作の有無が判定できる判定用の情報が記録された第2の不揮発性メモリとを備える画像形成装置であって、前記第1の不揮発性メモリに記録された情報と、前記第2の不揮発性メモリに記録された判定用の情報とを含むデータを外部に送信する送信手段と、前記第1の不揮発性メモリに書き込むべき情報と判定用の情報とを含むデータを受信する受信手段と、前記受信手段により受信されたデータに含まれる判定用の情報と、画像形成装置の備える第2の不揮発性メモリに記録されている判定用の情報とを比較する比較手段と、前記比較手段による比較の結果が一致する場合には、前記受信手段により受信されたデータに含まれる前記書き込むべき情報を、前記第1の不揮発性メモリに書き込む書き込み手段と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
よって、本発明は、画像形成装置の稼動状況を十分に考慮した上で、必要に応じて使用状況に関する情報の書き戻しを適切に行える手法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】画像形成装置のシステム構成のブロック図
図2】NVMEM1とNVMEM2の記憶内容の概念図
図3】コントローラボード交換のフローチャート
図4】従来のデータ読み出し処理のフローチャート
図5】従来のデータ書き戻し処理のフローチャート
図6】実施例1におけるデータ読み出し処理のフローチャート
図7】実施例1におけるデータ書き戻し処理のフローチャート
図8】書き戻し不可時の画面例
図9】実施例2におけるデータ読み出し処理のフローチャート
図10】実施例2におけるデータ書き戻し処理のフローチャート
図11】実施例2におけるNVMEM1のデータ更新処理のフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を実施するための最良の形態について図面を用いて説明する。
【0012】
図1は、実施の形態に関わる画像形成装置の構成を示すブロック図である。
【0013】
画像形成装置101は、コントローラユニット102、表示部115、操作部116、プリンタユニット117、スキャナユニット118から構成されている。
【0014】
表示部115はLEDや液晶ディスプレイを備え、オペレータの操作内容や装置の内部状態を表示する。操作部116はオペレータからの操作を受け付ける。操作部116は、複数の操作ボタンを備えるだけでなく、表示部115とともにタッチディスプレイとして実現される場合もある。
【0015】
プリンタユニット117は、コントローラユニット102から送信される画像データを印刷用紙にプリントする。コントローラユニット102とデバイス制御I/F110を介して接続されており、コントローラユニット102からプリント指示や画像データ送信が行われ、プリンタユニット117からは給紙および排紙のタイミングやジャムおよび用紙なしを含むプリンタの異状状態を通知する。スキャンユニット118は、コントローラユニット102からスキャン指示を受け付け、スキャン動作を行い、その画像データをコントローラユニット102に送信する。コントローラユニット102とデバイス制御I/F110を介して接続されており、コントローラユニット102からスキャンユニット118へのスキャン指示や、スキャンユニット118からコントローラユニット102への状態通知などの通信を行う。
【0016】
コントローラユニット102は、コントローラボード103、NVMEM113、HDD114から構成されている。さらに、コントローラボード103は、CPU104、RAM105、画像処理チップ106、NVMEM107、表示部I/F108、操作部I/F109、デバイス制御I/F110、NetworkI/F111、USB I/F112から構成されている。CPU104は、画像形成装置101に内蔵される制御プログラムの実行媒体であり、各I/Fや記憶媒体のメモリなどを介して、コントローラユニット102に接続されるデバイスの動作を制御する。RAM105は、揮発性メモリであり、制御プログラムを実行する際の作業メモリである。画像処理チップ106は、画像形成装置101で処理する画像処理の機能を集積したチップである。NVMEM107は、不揮発性メモリであり、制御プログラムを実行する際に必要となる情報を記憶している。具体的な記憶内容に関しては図2の説明で述べる。表示部I/F108は、表示部115へ制御情報を出力するためのI/Fである。操作部I/F109は、操作部116から入力情報を受け付けるためのI/Fである。デバイス制御I/F110は、コントローラユニットに接続されるデバイス(プリンタユニット117、スキャナユニット118)との入出力を制御するためのI/Fである。デバイス制御I/F110は複数デバイスが接続可能なバス構造として実現されるだけでなく、複数のI/Fに分割されて、接続されるデバイスと1対1でI/Fが実現される場合もある。Newtork I/F111は、LAN/WANに接続するためのI/Fである。本実施形態ではサービスツール119と接続するためにNewtork I/F111を使用する。USB I/F112は、画像形成装置101をUSBデバイスとして使用する場合に接続するためのI/Fである。本実施形態ではサービスツール119と接続するためにUSB I/F112を使用する。画像形成装置101とサービスツール119の間は、Newtork I/F111、USB I/F112のいずれか一つで接続されていればよい。また、Newtork I/F111、USB I/F112に限らず画像形成装置101が持つ何らかのI/Fを使用して、サービスツール119と接続してもよい。
【0017】
NVMEM113は、コントローラボード101から取り外し可能な不揮発性メモリである。具体的な記憶内容に関しては図2の説明で述べる。HDD114は、磁気ディスクなどの記憶媒体であり、制御プログラムや画像データなどを記憶している。
【0018】
サービスツール119は、NVMEM107のデータを読み出したり、書き戻したりするように画像形成装置101に指示を与えるためのツールである。サービスツール119は、専用のツールとして実現されてもよいし、PCのソフトとして実現されてもよい。
【0019】
次に、図2を用いて、NVMEM107とNVMEM113に記憶している内容について説明する。図2は、NVMEM1とNVMEM2の記憶内容の概念図である。
【0020】
NVMEM107のデータは、設定値情報201と使用状況情報206から構成されている。さらに、設定値情報201は、デバイスの設定値202、コピー機能の設定値203、プリント機能の設定値204、スキャン機能の設定値205から構成されている。デバイスの設定値202とは、複合機の給紙段情報などのデバイス全体に関わる設定値である。コピー機能の設定値203、プリント機能の設定値204、スキャン機能の設定値205は、それぞれの機能特有の設定値である。複合機に上記以外の機能がある場合、その機能の設定値を追加してもよい。使用状況情報206は、各ユーザの使用枚数207、各部品の消耗度208から構成されている。各ユーザの使用枚数207とは、各ユーザがプリントした枚数、またはスキャンした枚数である。各部品の消耗度208とは、各部品がどの程度消耗しているか示す値である。具体的には、プリント動作やスキャン動作の回数を計測することで消耗度を判断している。これ以外にも、使用状況情報206には、デバイスの使用状況に応じて変化する情報を追加してもよい。
【0021】
NVMEM113のデータは、使用状況情報209から構成されている。さらに、使用状況情報209は、全使用枚数210、各機能の使用枚数211、使用状況情報206の合算値212から構成されている。全使用枚数210とは、デバイス全体でプリントした枚数、またはスキャンした枚数である。各機能の使用枚数211とは、コピー機能、プリント機能、スキャン機能のそれぞれでプリントした枚数、またはスキャンした枚数である。
【0022】
ここで、使用状況情報206の合算値212は、実施例2で使用する値であり、実施例1を実現する上ではとくに必要ない。合算値212については、実施例2で詳細を説明する。
【0023】
次に、図3を用いて、故障したコントローラボードを交換する際の復旧フローを説明する。ここでは、画像処理チップ106の故障のように、NVMEM107のデータを吸い出す処理に影響のない箇所の故障を想定している。コントローラボードの不良であることが判明すると、オペレータはコントローラボードの交換フローを開始(S301)する。
【0024】
S302で、オペレータの操作により、画像形成装置101がサービス専用モードで起動される。サービス専用モードは、画像形成装置101の起動時または起動後に操作部116から特定の操作をすることで起動する。次に、S303では、オペレータがサービスツール119を接続して操作することにより、コントローラボードの交換前のNVMEM107のデータを読み出し処理を実行する。そのときの制御プログラムにおける具体的な処理は図4で、詳細に説明する。データ読み出し後、オペレータの操作により、S304で画像形成装置101がシャットダウンする。S305では、オペレータがコントローラボード103の交換を行う。コントローラボード103交換では、NVMEM113の交換は行わない。
【0025】
S306では、コントローラボード103の交換後、オペレータの操作により、画像形成装置101が再度サービス専用モードで起動される。次に、S307では、オペレータがサービスツール119を接続して操作することにより、コントローラボードの交換後のNVMEM107へのデータの書き戻しを行う。そのときの制御プログラムにおける具体的な処理は図5で、詳細に説明する。書き戻し時に使用するデータは、S303で読み出したデータである。データの書き戻し後、オペレータの操作により、S308で、画像形成装置101がシャットダウンされ、コントローラボード103の交換に係る処理が終了する。
【0026】
次に、図4を用いてフローチャートを用いて、S303における、コントローラボード103の交換前のNVMEM107のデータ読み出し時の制御プログラムにより実現される処理を詳しく説明する。本処理は、CPU104によりHDD114からRAM105に制御プログラムが展開され、実行される。CPU104は、操作部116からの通知を受けて、データ読み出し処理を開始(S401)する。
【0027】
S402では、CPU104はサービスツール119からの読み出し指示を受け付ける。CPU104は、サービスツール119からの指示をNetwork I/F(111)またはUSB I/F(112)経由で取得する。S403では、読み出し指示の有無を判定し、サービスツール119から読み出し指示があった場合にはS404に進み、無かった場合にはS402に戻る。読み出し指示を受け付けた後、S404では、CPU104はNVMEM107の全データの読み込みを行う。データ読み込み後、S405では、CPU104はサービスツール119へ送信するためのデータを作成する。最後に、S406で、CPU104はNetwork I/F111またはUSB I/F112経由でサービスツール119へデータを送信し、処理を終了(S407)する。
【0028】
次に、図5を用いてフローチャートを用いて、S307における、コントローラボード103の交換後のNVMEM107のデータ書き戻し時の制御プログラムにより実現される処理を詳しく説明する。本処理は、CPU104によりHDD114からRAM105に制御プログラムが展開され、実行される。CPU104は、操作部116からの通知を受けて、データ書き戻し処理を開始(S501)する。
【0029】
S502で、CPU104はサービスツール119からの読み出し指示を受け付ける。CPU104は、サービスツール119からの指示をNetwork I/F111またはUSB I/F112経由で取得する。S503で、サービスツール119から書き戻し指示の有無を判定し、該指示があった場合にはS504に進み、該指示がない場合にはS502に戻る。書き戻し指示を受け付けた後、S504で、CPU104はNetwork I/F111またはUSB I/F112経由でサービスツール119からデータを受信する。データ受信後、S505で、CPU104は受信データからNVMEM107に書き込むためのデータの解析を行う。最後に、S506で、CPU104はNVMEM107へデータを書き込み、処理を終了(S507)する。
【0030】
(実施例1)
以下、読み出し処理/書き戻し処理に関する実施例ついて具体的に説明する。
【0031】
本実施例では、NVMEM113の全使用枚数210を利用し、NVMEM107に対する書き戻し処理が妥当か判断する。
【0032】
図6で示すフローチャートを用いて、本実施例に特有な読み出し処理について具体的に説明する。本処理は、CPU104によりHDD114からRAM105に制御プログラムが展開され、実行される。
【0033】
S601からS605は、S401からS405と同様のため、説明は省略する。
【0034】
NVMEM107の送信データ作成後、S606で、CPU104は、後述する書き戻し処理で用いる判定用の情報として、NVMEM113の全使用枚数210の読み込みを行う。判定用の情報として、NVMEM113の全使用枚数210を使用する理由は、全使用枚数210が画像形成装置でのプリントまたはスキャンの利用された回数を示しており、NVMEM107の使用状況情報206に変更がある場合、全使用枚数210も必ず変更されるためである。つまり、必ずしも全使用枚数210でなくてもよく、使用状況情報206に連動して変更されるNVEME2のその他の値を読み込んでもよい。
【0035】
次に、S607では、CPU104はS605で作成した送信データに全使用枚数210の情報を付加する。最後に、CPU104はNetwork I/F111またはUSB I/F112経由でサービスツール119へデータを送信し(S608)し、処理を終了する。
【0036】
次に、図7で示すフローチャートを用いて、図6の読み出し処理に対応した書き戻し処理について具体的に説明する。本処理は、CPU104によりHDD114からRAM105に制御プログラムが展開され、実行される。
【0037】
S701からS704は、S501からS504と同様のため、説明は省略する。
【0038】
S705で、受信したデータの解析を行う。解析したデータには、NVMEM107に書き込み予定のデータと、該データ読み出し時点(図6のS606)の全使用枚数が含まれる。S706で、CPU104はNVMEM113から現時点の全使用枚数210を読み出し。次に、S707で、CPU104は、S705のデータ読み出し時点の全使用枚数と、S706で読み込んだ現時点の全使用枚数210を比較する。コントローラボード交換された場合でもNVMEM113は交換されないため、これら2つの値が一致している場合は、前回のNVMEM107からのデータ読み出し後に画像形成装置101の画像形成に係る動作がなかったことになる。そこで一致している場合にはS708に進み、CPU104はS705で解析したデータを用いて、NVMEM107の全領域に対する書き込みデータを作成する。S707で一致していないと判断された場合には、前回のNVMEM107からのデータ読み出し後に画像形成装置101の画像形成に係る動作が行われたと考えられるため、S709に進む。S709以降の処理においては、S705で解析したデータを用いたNVMEM107の少なくとも全領域に対する書き込みデータを作成は行われない。
【0039】
S709で、CPU104は、NVMEM107の使用状況情報206を書き戻せないことを、表示部I/F108経由で表示部115にメッセージ表示する。図8は書き戻し不可時の画面例である。書き戻し不可画面801は、メッセージ表示部802、OKボタン803、キャンセルボタン804から構成されている。メッセージ表示部802には、書き戻せないことを表示する。OKボタン803、キャンセルボタン804は、S710のYes、Noのそれぞれに対応している。ここで、OKボタン803の押下は、NVMEM107への使用状況情報206以外の情報を書き戻すことを意味する。また、キャンセルボタン804の押下は、S705で解析したデータを用いた書き戻しを全く行わないことを意味する。CPU104は、S710で操作部116からの情報を操作部I/F109経由で取得し、キャンセルボタン804が押下されたと判断した場合にはそのまま処理を終了する。OKボタン803が押下されたと判断した場合にはS711に進む。S711で、CPU206は、S705の解析したデータを用いて、使用状況情報206を除く領域についての書き込みデータを作成する。
【0040】
最後に、S712で、CPU104は、S708またはS711で作成した書き込みデータをNVMEM107へ書き込み、処理を終了する。
【0041】
以上の通り、実施例1は、NVMEM113の全使用枚数210を使用することで、画像形成装置101におけるコントローラボード交換の前後などにおいて、NVMEM107に対して適切な情報を書き戻すことができるようになる。
【0042】
(実施例2)
以下、実施例1の変形例となる読み出し処理/書き戻し処理について具体的に説明する。
【0043】
実施例2では、NVMEM107の使用状況情報206から生成した判定用の情報を利用し、書き戻し処理が妥当か判定する。実施例1と同様の部分は説明を省略し、差分のみをフローチャートを用いて説明する。
【0044】
図9で示すフローチャートを用いて、実施例2におけるデータ読み出し処理について具体的に説明する。図9の処理は、CPU104によりHDD114からRAM105に制御プログラムが展開され、実行される。ここでは、S907、S908以外は実施例1に記載のデータ読み出し処理と同様のため、S907、S908のみ説明を行う。
【0045】
S906では、NVMEM107の送信データ作成後、CPU104は、NVMEM107の使用状況情報206の各項目における値を用いて判定用の情報を生成する。本実施例では各項目の値を全て足し合わせ合算値を計算している。ここで、NVMEM107の使用状況情報206の合算値を使用する理由は、使用状況情報206のいずれかの項目に変更があったことを確認できるためである。ほかにも、使用状況情報206の各項目における値と特定の係数とを利用して判定用の情報を生成するなど、種々の手法で実現してもよい。
【0046】
S907で、CPU104は、判定用の情報としてのNVMEM107の使用状況情報206の合算値を、NVMEM113の“使用状況情報の合算値”212の領域に書き込む。
【0047】
図10で示すフローチャートを用いて、実施例2におけるデータ書き戻し処理について具体的に説明する。図10の処理は、CPU104によりHDD114からRAM105に制御プログラムが展開され、実行される。S1005〜S1008、S1013以外は実施例1と同様のため、ここでは、S1005〜S1008、S1013における処理を説明する。
【0048】
S1005で、CPU104は受信したデータの解析を行う。解析したデータには、NVMEM107に書き込み予定のデータが含まれる。S1006で、CPU104はNVMEM107に書き込み予定のデータの使用状況情報の合算値を計算する。計算方法は、読み出し時(S906)と同じである。次に、S1007で、CPU104は、判定用の情報として記憶されている、NVMEM113の“使用状況情報の合算値”212の値を読み出す。
【0049】
S1008で、S1006で計算した合算値と、S1007で読み出した値を比較する。2つの値が一致している場合には、S1009を処理後、S1013に進む。また、2つの値が一致しない場合には、現在、書き込もうとしているデータを読み出した後に図9の処理よりさらにデータが読み出された場合、または、データ読み出し後に画像形成装置101が稼働した場合がある。そのような場合には、S1010以降の処理を行うことになる。
【0050】
次に、図11で示すフローチャートを用いて、S1013で示す更新処理について具体的に説明する。図11の処理は、CPU104によりHDD114からRAM105に制御プログラムが展開され、実行される。
【0051】
前述の通り、NVMEM107の使用状況情報206に変更があった場合、NVMEM113の“使用状況情報の合算値”212は無効であるため、“使用状況情報の合算値”212のクリア処理が必要となる。
【0052】
まず、S1101で、CPU104は、使用状況情報206の領域の値の変更かチェックする。使用状況情報206の領域の値に変更がない場合には、S1105でNVMEM107に書き込み処理を行い、本処理を終了する。使用状況情報206の領域の値に変更がある場合には、S1102に進む。
【0053】
S1102で、CPU104は、NVMEM113の“使用状況情報の合算値”212を読み出す。次に、読み出した合算値が“−1”であるかをチェックする。ここでは、使用状況情報の値としてあり得ない不正値の例として“−1”を用いているが、他の適当な値を用いても良い。S1102で“−1”であると確認された場合には、すでにクリア済みと判断し、S1105に進む。“−1”ではない場合には、S1104に進む。S1104で、CPU104は、“使用状況情報の合算値”212をクリアする必要があるため、“使用状況情報の合算値”212に−1を書き込み、その後、S1105進む。
【0054】
以上の通り、実施例2は、NVMEM107の使用状況情報206の合算値を使用することで、画像形成装置101が稼働中か故障中かを判断し、故障中の場合のみNVMEM107の使用状況情報206の書き戻しを行うことができるようになる。また、実施例1に比べてサービスツールに渡すデータ量が少なくて済む。
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