特許第5836810号(P5836810)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5836810
(24)【登録日】2015年11月13日
(45)【発行日】2015年12月24日
(54)【発明の名称】電気接続箱のねじ締めブロック組付構造
(51)【国際特許分類】
   H02G 3/16 20060101AFI20151203BHJP
   H05K 7/00 20060101ALI20151203BHJP
【FI】
   H02G3/16
   H05K7/00 P
【請求項の数】6
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2012-4860(P2012-4860)
(22)【出願日】2012年1月13日
(65)【公開番号】特開2013-146123(P2013-146123A)
(43)【公開日】2013年7月25日
【審査請求日】2014年12月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100060690
【弁理士】
【氏名又は名称】瀧野 秀雄
(74)【代理人】
【識別番号】100070002
【弁理士】
【氏名又は名称】川崎 隆夫
(74)【代理人】
【識別番号】100134832
【弁理士】
【氏名又は名称】瀧野 文雄
(74)【代理人】
【識別番号】100165308
【弁理士】
【氏名又は名称】津田 俊明
(74)【代理人】
【識別番号】100110733
【弁理士】
【氏名又は名称】鳥野 正司
(74)【代理人】
【識別番号】100173978
【弁理士】
【氏名又は名称】朴 志恩
(72)【発明者】
【氏名】金子 信崇
(72)【発明者】
【氏名】田代 裕貴
(72)【発明者】
【氏名】寺西 利博
(72)【発明者】
【氏名】新間 健永
【審査官】 久保 正典
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−148466(JP,A)
【文献】 特開2002−262435(JP,A)
【文献】 実開平05−091120(JP,U)
【文献】 特開2007−073321(JP,A)
【文献】 特開2013−055722(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02G 3/16
H05K 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気接続箱の部品装着ブロックにおけるねじ締めブロック収容空間を有するねじ締めブロック装着部に、ねじ締めブロックを組み付けて、該部品装着ブロックを該ねじ締めブロックごとフレームの内側に収容し、該ねじ締めブロックの縦方向の軸心を有するねじ部材にバスバー等の接続体をねじ締め接続する電気接続箱のねじ締めブロック組付構造において、
前記ねじ締めブロック装着部に横方向の側部開口が設けられ、該側部開口から前記ねじ締めブロック収容空間に前記ねじ締めブロックが横向きに組み付けられることを特徴とする電気接続箱のねじ締めブロック組付構造。
【請求項2】
前記ねじ締めブロック装着部内にガイド部が横向きに設けられ、該ガイド部にスライド係合する横向きのスライド係合部が前記ねじ締めブロックに設けられたことを特徴とする請求項1記載の電気接続箱のねじ締めブロック組付構造。
【請求項3】
左右一対のねじ締めブロックが隣接して各ねじ締めブロック装着部に組み付けられ、各ねじ締めブロック装着部の間の共通隔壁に、各ねじ締めブロックの対向する側の前記スライド係合部に対する前記ガイド部が高さ方向に交互に設けられたことを特徴とする請求項2記載の電気接続箱のねじ締めブロック組付構造。
【請求項4】
前記側部開口が前記フレームの側壁で塞がれることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の電気接続箱のねじ締めブロック組付構造。
【請求項5】
前記側部開口において前記フレームの側壁の内面が前記ねじ締めブロックの外面に近接ないし接触することを特徴とする請求項4記載の電気接続箱のねじ締めブロック組付構造。
【請求項6】
前記フレームの側壁の内面に縦方向のリブが設けられ、前記側部開口において該リブが前記ねじ締めブロックの外面に接触することを特徴とする請求項4記載の電気接続箱のねじ締めブロック組付構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両等に搭載される電気接続箱内に、バスバーや電線付き端子をねじ締め接続させるためのねじ締めブロックを組み付ける電気接続箱のねじ締めブロック組付構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、電気接続箱内に立設されたボルトに電気接続箱内の導電金属製のバスバーと外部の電線付き端子とをナットで締付接続させるために種々の電気接続箱構造が提案されている。
【0003】
例えば、特許文献1(図示せず)には、電気接続箱の合成樹脂製の有底の接続箱本体の垂直な側壁にプロテクタ付設部を形成し、プロテクタ付設部の上端部を切欠し、切欠内(接続箱本体内)に左右一対のバスバーを並列に配置し、各バスバーはボルト挿通孔を有し、合成樹脂製のプロテクタ内に一対の電線付き端子を収容し、電線付き端子の板状の電気接触部をプロテクタから外部に突出させた状態で、各電気接触部を各バスバーにボルトでねじ締め接続させることが記載されている。
【0004】
また、特許文献2(図示せず)には、電気接続箱の上下に貫通した合成樹脂製のケース本体(フレーム)内にバスバーやリレーやヒューズやヒュージブルリンクを収容・搭載し、外部の電線付き端子を端子カバーで覆い、端子カバーから突出した端子の電気接触部をバスバーの端子部にねじ締め接続し、ケース本体にアッパカバーとロアカバーを装着することが記載されている。
【0005】
上記以外の電気接続箱構造として、図10に示す電気接続箱のねじ締めブロック組付構造が存在する。このねじ締めブロック組付構造は、金属製の上向きのボルト71と、ボルト71の下部を固定した合成樹脂製のブロック本体72とを備えるボルトブロック(ねじ締めブロック)73を、合成樹脂製の部品装着ブロック74の上下に貫通した空室75内に下方から上向きに挿入して係止させるものである。
【0006】
部品装着ブロック74の空室75内には不図示の係止アームが上向きに突設され、ボルトブロック73が係止アームを外向きに撓ませつつ空室75内に進入し、係止アームが内向きに復帰してボルトブロック72の例えば底面を係止する。部品装着ブロック74はボルトブロック73と共に合成樹脂製の不図示のフレームの内側に下方から上向きに組み付けられる。フレーム内に予め組み付けられた導電金属製のバスバーのボルト挿通孔にボルト71が下方から上向きに貫通し、外部の不図示の電線付き端子をボルト71に挿通させて上方から不図示のナットでバスバーと電線付き端子を締付接続する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2004−236449号公報(図7図8
【特許文献2】特開2008−154412号公報(図1図2
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記した図10の電気接続箱のねじ締めブロック組付構造にあっては、ボルトブロック(ねじ締めブロック)73を部品装着ブロック74の縦方向の空室(孔部)75に下方から上向きに挿入して、部品装着ブロック74内の係止アーム等の係止手段で係止させるために、ボルトブロック73の挿入係止作業が面倒であるという懸念や、ボルトブロック73が部品装着ブロック74内に確実に挿入され、且つ部品装着ブロック内の係止アーム等の係止手段で確実に係止されたか否かを確認する作業が面倒であるという懸念があった。
【0009】
また、ボルトブロック(ねじ締めブロック)73のボルト(一方のねじ部材)71にバスバーと外部の電線付き端子をナット(他方のねじ部材)で締付接続する際に、ねじ締め用のレンチでボルトブロック73を上方から下向きに必要以上に強く押圧した場合に、空室75内の係止アームが外向きに撓んでボルトブロック73の係止が不意に解除されて、ボルトブロック73が下方に脱落し兼ねないという懸念があった。
【0010】
本発明は、上記した点に鑑み、部品装着ブロック内にねじ締めブロックを容易に且つ確実に組み付けることができ、しかも、ねじ締め用のレンチでねじ締めブロックを上方から下向きに縦方向に強く押圧した場合でも、不意な係止解除を起こさずに、ねじ締めブロックの下方への脱落を確実に防止することができ、それに加えて、ねじ締めブロックにバスバーや電線付き端子等といった接続体をしっかりと確実に締付接続させることのできる電気接続箱のねじ締めブロック組付構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、本発明の請求項1に係る電気接続箱のねじ締めブロック組付構造は、電気接続箱の部品装着ブロックにおけるねじ締めブロック収容空間を有するねじ締めブロック装着部に、ねじ締めブロックを組み付けて、該部品装着ブロックを該ねじ締めブロックごとフレームの内側に収容し、該ねじ締めブロックの縦方向の軸心を有するねじ部材にバスバー等の接続体をねじ締め接続する電気接続箱のねじ締めブロック組付構造において、前記ねじ締めブロック装着部に横方向の側部開口が設けられ、該側部開口から前記ねじ締めブロック収容空間に前記ねじ締めブロックが横向きに組み付けられることを特徴とする。
【0012】
上記構成により、ねじ締めブロック装着部が側部開口で外部に開放され、作業者の目視のもとでねじ締めブロックが側部開口から横方向にねじ締めブロック装着部内にスムーズ且つ容易に且つ確実に組み付けられる。また、ねじ締めブロックの一方のねじ部材(例えばボルト)に外部の他方のねじ部材(例えばナット)でバスバー等の接続体を締付接続する際に、ねじ締め用のレンチを上方から下向きに(縦方向に)他方のねじ部材(例えばナット)に係合させることで、ねじ締めブロックに下向きの押圧力が作用するが、部品装着ブロックへのねじ締めブロックの組付方向が横方向(ねじ締めブロックに作用する押圧力とは直交する方向)であるので、ねじ締めブロック装着部内にねじ締めブロックに対する強固な受け部ないし支持部(例えばねじ締めブロックの横方向のスライド係合部に対する横方向のガイド部)を設けることができ、下向きの強い押圧力を受けてもねじ締めブロックの脱落が確実に防止される。
【0013】
請求項2に係る電気接続箱のねじ締めブロック組付構造は、請求項1記載の電気接続箱のねじ締めブロック組付構造において、前記ねじ締めブロック装着部内にガイド部が横向きに設けられ、該ガイド部にスライド係合する横向きのスライド係合部が前記ねじ締めブロックに設けられたことを特徴とする。
【0014】
上記構成により、ねじ締めブロックが側部開口からねじ締めブロック装着部内に横方向にスライド式にスムーズに組み付けられる。ねじ締めブロックの横方向の(水平な)スライド係合部がねじ締めブロック装着部内の横方向(水平な)ガイド部にスライド係合する。また、ねじ締めブロックに下向きの押圧力が作用した際に、ねじ締めブロックの横方向のスライド係合部がブロック装着部内の横方向のガイド部でしっかりと受け止められて、ねじ締めブロックの脱落が確実に防止される。
【0015】
請求項3に係る電気接続箱のねじ締めブロック組付構造は、請求項2記載の電気接続箱のねじ締めブロック組付構造において、左右一対のねじ締めブロックが隣接して各ねじ締めブロック装着部に組み付けられ、各ねじ締めブロック装着部の間の共通隔壁に、各ねじ締めブロックの対向する側の前記スライド係合部に対する前記ガイド部が高さ方向に交互に設けられたことを特徴とする。
【0016】
上記構成により、左側のねじ締めブロックの右側のスライド係合部が共通隔壁の左側のガイド部にスライド係合し、右側のねじ締めブロックの左側のスライド係合部が同じく共通隔壁の右側のガイド部にスライド係合し、各ガイド部が上下方向に重なって配置されたことで、ねじ締めブロックの組付構造がねじ締めブロックの並び方向に省スペース化・コンパクト化される。
【0017】
請求項4に係る電気接続箱のねじ締めブロック組付構造は、請求項1〜3の何れかに記載の電気接続箱のねじ締めブロック組付構造において、前記側部開口が前記フレームの側壁で塞がれることを特徴とする。
【0018】
上記構成により、フレームの側壁がねじ締めブロック装着部の側壁を兼ねて、ねじ締めブロックがフレームの側壁で外部から隔離されて干渉や短絡等から保護される。また、ねじ締めブロックがねじ締めブロック装着部の三方の壁部とフレームの一側壁とで四方を囲まれて、しっかりと支持される。これにより、ねじ締め時の回転トルクでねじ締めブロックが回転方向に移動することが阻止される。
【0019】
請求項5に係る電気接続箱のねじ締めブロック組付構造は、請求項4記載の電気接続箱のねじ締めブロック組付構造において、前記側部開口において前記フレームの側壁の内面が前記ねじ締めブロックの外面に近接ないし接触することを特徴とする。
【0020】
上記構成により、ねじ締めブロック装着部の側部開口においてねじ締めブロックの外面がフレームの側壁の内面で支持され、ねじ締めブロック装着部の三方の壁部と共に四方を囲まれて保持され、ねじ締め時の回転トルクでねじ締めブロックが回転方向に移動することが阻止される。
【0021】
請求項6に係る電気接続箱のねじ締めブロック組付構造は、請求項4記載の電気接続箱のねじ締めブロック組付構造において、前記フレームの側壁の内面に縦方向のリブが設けられ、前記側部開口において該リブが前記ねじ締めブロックの外面に接触することを特徴とする。
【0022】
上記構成により、ねじ締めブロック装着部の側部開口においてねじ締めブロックの外面がフレームの側壁の内面のリブでガタ付きなく支持されて、ねじ締めブロック装着部の三方の壁部と共に四方を囲まれて、ねじ締め時の回転トルクでねじ締めブロックが回転方向に移動することが確実に阻止される。また、ねじ締めブロックを組み付けた部品装着ブロックをフレーム内に縦方向に組み付ける際に、縦方向のリブがフレームの側壁の内面にスムーズに摺接して、部品装着ブロックの組付摺動抵抗を低減させる。
【発明の効果】
【0023】
請求項1記載の発明によれば、作業者がねじ締めブロック収容空間を側部開口から容易に目視確認することができるので、ねじ締めブロックを側部開口からねじ締めブロック装着部内に容易に且つ確実に組み付けることができる。また、ねじ締め用のレンチでねじ締めブロックを縦方向に強く押圧した場合でも、押圧方向とねじ締めブロックの組付方向とは直交する方向であるので、従来のねじ締めブロック装着部内の縦方向の係止アームが不要となり、ねじ締めブロック装着部内にねじ締めブロックを受ける横方向の強固なガイド部を設けることができ、それによって、不意な係止解除とそれに伴うねじ締めブロックの脱落を確実に防止することができる。
【0024】
請求項2記載の発明によれば、ねじ締めブロックを側部開口からねじ締めブロック装着部内に横方向にスライド式に作業性良くスムーズに組み付けることができる。また、ねじ締め時にねじ締めブロックに下向きの押圧力が作用した際に、ねじ締めブロックの横方向のスライド係合部をブロック装着部内の横方向のガイド部でしっかりと受け止めて、ねじ締めブロックの脱落を確実に防止することができる。
【0025】
請求項3記載の発明によれば、左右のねじ締めブロックの対向する壁部側の各スライド係合部を共通隔壁の各ガイド部に沿って高さ(縦)方向に重ねて並列に配置することで、ねじ締めブロックの組付構造をねじ締めブロックの並び方向に省スペース化・コンパクト化することができる。
【0026】
請求項4記載の発明によれば、ねじ締めブロックをねじ締めブロック装着部の三方の壁部とフレームの側壁とで四方を囲んでしっかりと支持することで、ねじ締め時の回転トルクでねじ締めブロックを回転方向に移動させることを阻止して、ねじ締めブロックにバスバーや電線付き端子等といった接続体をしっかりと確実に締付接続させることができる。
【0027】
請求項5記載の発明によれば、ねじ締めブロック装着部の側部開口においてねじ締めブロックの外面をフレームの側壁の内面で支持して、ねじ締め時の回転トルクでねじ締めブロックを回転方向に移動させることを阻止することができる。
【0028】
請求項6記載の発明によれば、ねじ締めブロック装着部の側部開口においてねじ締めブロックの外面をフレームの側壁の内面のリブでガタ付きなく支持して、ねじ締め時の回転トルクでねじ締めブロックを回転方向に移動させることを確実に阻止することができる。また、ねじ締めブロックを組み付けた部品装着ブロックをフレーム内に縦方向に組み付ける際に、縦方向のリブをフレームの側壁の内面にスムーズに摺接させて、部品装着ブロックの組付摺動抵抗を低減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】本発明に係る電気接続箱のねじ締めブロック組付構造の一実施形態を示すボルトブロックと部品装着ブロックの分解斜視図である。
図2】ボルトブロックを組み付けた部品装着ブロックをフレーム内に収容した状態を示す斜視図である。
図3】ボルトブロックを組み付けた部品装着ブロックをフレーム内に収容した状態を示す平面図である。
図4】(a)(b)は左右の各ボルトブロックを示す正面図である。
図5】ボルトブロックを背面側から見た状態の斜視図である。
図6】(a)(b)は部品装着ブロックのボルトブロック装着部を斜め右側と斜め左側から見た状態を示す斜視図である。
図7】フレームを示す平面図である。
図8】フレーム内に部品装着ブロックを収容した状態を示す平面図である。
図9】(a)はボルトブロックを部品装着ブロックに組み付けた状態の平面図、(b)はボルトブロックを組み付けた部品装着ブロックをフレーム内に収容した状態の平面図である。
図10】従来の電気接続箱のねじ締めブロック組付構造の一形態を示す分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
図1図9は、本発明に係る電気接続箱のねじ締めブロック組付構造の一実施形態を示すものである。
【0031】
図1の如く、このねじ締めブロック組付構造は、合成樹脂製の部品装着ブロック1に、上下方向に貫通したボルトブロック収容空間(ねじ締めブロック収容空間)2を設けると共に(ボルトブロック収容空間2の上下の開口を符号2a,2bで示す)、ボルトブロック収容空間2の一側部を外部に開放した側部開口3を設けて、ボルトブロック装着部(ねじ締めブロック装着部)4を構成し、ボルトブロック(ねじ締めブロック)5を側部開口3から横方向に(前方から後向きに水平に)ボルトブロック収容空間2に挿入して組み付けるようにしたものである。
【0032】
図2図3の如く、部品装着ブロック1の左右一対のボルトブロック装着部4に各ボルトブロック5を組み付けた状態で、部品装着ブロック1の外側(側部)に合成樹脂製のフレーム6が配置され(フレーム6の内側に部品装着ブロック1を下方から上向きに挿入して組み付け)、部品装着ブロック1の各ボルトブロック収容空間2の側部開口3がフレーム6の垂直な側壁7で塞がれて各ボルトブロック装着部4の一側壁(7)が構成される。フレーム6の側壁7が各ボルトブロック装着部4の側壁を兼ねている。
【0033】
図1図2の如く、部品装着ブロック1に左右一対のボルトブロック装着部4が隣接して設けられ、各ボルトブロック収容空間2の側部開口3から各ボルトブロック5が横方向に(前方から後向きに水平に)挿入される。各ボルトブロック収容空間2の上部には予め導電金属製の各バスバー(接続体)8の平面視略コの字状の端子部9が水平に突出して設けられ、各バスバー8は各ボルトブロック装着部4から部品装着ブロック1の内側を通って後方に延長配置されている。
【0034】
各バスバー8の端子部9はフレーム6の一側壁7の上側の切欠部10の上端よりも少し上方に位置している。本例の各ボルトブロック5は上下方向に少し段違いに配置されている(右側のボルトブロック5が低く、左側のボルトブロック5が高く配置されている)。各バスバー8の端子部9も同様である。
【0035】
図1の如く、本例のボルトブロック5は、合成(絶縁)樹脂製の矩形状のブロック本体11と、ブロック本体11の上面から上向きに垂直に突出した金属製のボルト12と、ブロック本体11の上面と前面に沿ってL字状に屈曲配置され、上面にボルト挿通孔13aを有する導電金属製のバスバー13とを備えている。ブロック本体11の下半側の不図示の空室内にバスバー13の不図示の端子部が突出して、不図示の電源分配用の電線付きコネクタを下方から接続可能となっている。
【0036】
ボルト12には不図示の電源入力用の電線付き端子(接続体)が部品装着ブロック1側のバスバー8の端子部9と共に不図示のナットで締付接続される。左右の各ボルトブロック5はほぼ同じ構成のものである。左右の各ボルトブロック5のボルト12に締付接続された電源入力用の不図示の各電線付き端子には、例えば車両のバッテリからの電源とオルタネータからの電源が別々に入力される。
【0037】
図1図4(a)の如く、左側のボルトブロック5(51)のブロック本体11には、右壁14の外面に、上側の大きな断面コの字状のスライド係合部15と、下側の上下二条の平行なリブのスライド係合部16とがそれぞれ水平に設けられ、左壁21の外面に、上側の上下二条の平行なリブ状のスライド係合部17が水平に設けられている。
【0038】
図4(b)の如く、右側のボルトブロック5(52)のブロック本体11には、右壁22の外面に、上側の上下二条の平行な板状のスライド係合部18が水平に設けられ、左壁23の外面に、上側の小さな断面コの字状のスライド係合部19と、下側の大きな断面コの字状のスライド係合部20とがそれぞれ水平に設けられている。
【0039】
左右の各ボルトブロック5において各スライド係合部15〜20の形状大きさが異なることで、部品装着ブロック1(図2)の左右のボルトブロック収容空間2に対する左右の各ボルトブロック5の誤組付(例えば左用のボルトブロック51を左側に組み付けたり、各ボルトブロック5を前後(表裏)反転して組み付けたりすること)が防止されている。
【0040】
図5の如く、ボルトブロック5のブロック本体11の後壁(裏壁)24の外面の上部には、部品装着ブロック1(図6)に対する左右一対の可撓性の係止用の爪部(係止手段)25が左右対称に突設されている。各爪部25は平行な可撓性の各板片25aの突出先端に外向きの爪本体25bを有し、爪本体25bは傾斜面と略垂直な係止面を有している。
【0041】
図6の如く、左右の各ボルトブロック装着部4の各ボルトブロック収容空間2は、垂直な左右の各壁部26,27,29と各後壁28,30とで囲まれて横断面略コの字状に構成されている。両ボルトブロック収容空間2の間の隔壁(共通隔壁)27は共通で使用されている。左右のボルトブロック5(図4)の各スライド係合部15〜20に対応して部品装着ブロック1の左右のボルトブロック収容空間2に各ガイド部(受け部ないし支持部)31〜36が水平に設けられている。
【0042】
図6(a)の如く、左側のボルトブロック収容空間2の左側の垂直な壁部26の内面に、図4(a)の左側の上下一対のスライド係合部17の間に係合する水平なガイドリブ(ガイド部)33が設けられ、図6(b)の如く、左側のボルトブロック収容空間2の右側の垂直な壁部(隔壁)27に、図4(a)の右側の上下の各スライド係合部15,16を係合させる上下の水平な各ガイド溝(ガイド部)31,32が設けられている。
【0043】
図6(a)の如く、右側のボルトブロック収容空間2の左側の壁部(隔壁)27に、図4(b)の左側の上下の各スライド係合部19,20を係合させる水平な上下のガイド溝(ガイド部)35,36が設けられ、上下のガイド溝35,36は左側のボルトブロック収容空間2の右側の上下のガイド溝(ガイド部)31,32と互い違いに矩形波形に配置形成されている。このように、共通隔壁27を用いて左右の各ボルトブロック5に対するガイド部31,32,35,36を形成することで、ボルトブロック5の組付構造が省スペース化されている。
【0044】
右側のボルトブロック収容空間2の下部において左右の壁部27,29は短い垂直な前壁37で連結補強されている。図6(b)の如く右側のボルトブロック収容空間2の右側の壁部29に、図4(b)の右側の上下一対のスライド係合部18の間に係合する水平なガイドリブ(ガイド部)34が設けられている。
【0045】
図6(a)の如く、左右の各ボルトブロック収容空間2の垂直な後壁28,30と、後壁28,30の前面(内面)に沿う各バスバー(接続体)8の垂直板部38とに、図5のボルトブロック5の後壁24の左右一対の爪部25を貫通係合させる矩形状の各孔部39が貫通して設けられている。爪部25は各孔部39を貫通して後壁28,30の後面(背面)に係止される。
【0046】
バスバー8の垂直板部38は一側端の後方の延長部(図示せず)と上端の水平な端子部9とに続いている。端子部9は中央にボルト挿通用のスロット孔9aを有する。右側のボルトブロック収容空間2の右側の壁部29の外面と、図1の左側のボルトブロック収容空間2の左側の壁部26の外面に一体に設けられたリレー装着部42の左側の外壁とに、フレーム6(図7)に対する垂直な横断面L字状の前後一対の各スライド係合部40とその中間の各係止アーム(係止部)41とが設けられている。
【0047】
図1の矢印Aの如く、各ボルトブロック5の左右の壁部の水平な各スライド係合部15〜20が部品装着ブロック1の各ボルトブロック装着部4内の水平なガイド部31〜36に沿って横方向にスライド係合することで、図2の如く、部品装着ブロック1をフレーム6内に組み付けた状態で、各ボルトブロック5の上部のボルト12に、バスバー13の上板部13bと、バスバー8の端子部12と外部の不図示の電線付き端子とをナットで締付接続する際に、矢印Bの如くねじ締め用の不図示のレンチでボルトブロック5に下向きの押圧荷重がかかっても、水平な各スライド係合部15〜20が水平な各ガイド部31〜36でしっかりと受け止められて、ボルトブロック装着部4からのボルトブロック5の脱落が確実に阻止される。
【0048】
図7は、フレーム6の一部分(要部)を示し、図8は、フレーム6内に部品装着ブロック1を下方から上向きに組み付けた状態(ボルトブロック5の未装着の状態)を示すものであり、実際には、図3の如く、ボルトブロック5を装着した状態の部品装着ブロック1がフレーム6内に組み付けられる。
【0049】
図7の如く、フレーム6は前側の垂直な壁部(一側壁)と左右の垂直な壁部43,44と後側の上部の水平な壁部45とで囲まれた矩形状の空間46を上下に貫通して有している(空間46は上下の開口を有している)。図8の如く、フレーム6の空間46内に下方から上向きに図6の部品装着ブロック1の両ボルトブロック装着部4が、図3の如く両ボルトブロック5を組み付けた状態で挿入されて係止手段41,48で係止される。
【0050】
図7の如く、空間46の左右の壁部43,44の内面に垂直な一対の横断面逆L字状の各ガイドレール47とその間の係止突起48とが設けられ、ボルトブロック装着部4の左右両側の各ガイドレール40と係止アーム41(図6)が、ガイドレール47と係止突起48にスライド係合し、これら係止アーム41と係止突起48で係止手段が構成されている。
【0051】
本例の部品装着ブロック1は、左右のボルトブロック装着部4と、複数のリレー装着部42と複数のヒューズ装着部49(図2)と複数のヒュージブルリンク装着部50と、各ヒューズ装着部49とヒュージブルリンク装着部50の下半側に設けられた縦方向の不図示のバスバー装着部(装着溝)と下側のコネクタ装着部とで一体に構成されている。バスバー装着溝内に装着されたバスバー8の不図示の垂直板部には、ボルトブロック装着部4の後方において不図示の一対の電線付き端子がボルト締めで接続される。
【0052】
図7の如く、フレーム6の前側の壁部7の内面には、図8の左右のボルトブロック装着部4の収容空間2に対向して、複数(本例で各三本)の垂直なリブ51が設けられ、右側のボルトブロック装着部42が左側のボルトブロック装着部41よりも少し後退して配置された関係で、右側の収容空間2に対応するリブ51は厚肉の突出壁52を介して突出壁52の内面に設けられている。突出壁52は前側の壁部7の内面に設けられている。
【0053】
図3図9(b)の如く、各リブ51は各ボルトブロック5のブロック本体11(図4)の前壁面11aに接触当接する。各ボルトブロック5を横方向(図1の矢印A方向)から装着した部品装着ブロック1をフレーム6内に下方から上向きに組み付ける際に、フレーム6の前壁7側の内面の各リブ51が各ボルトブロック5のブロック本体11の前壁面11aに低摩擦で摺接して、各ボルトブロック装着部4をスムーズにフレーム6の矩形状の空間46内に挿入可能となる。図9は右側のボルトブロック52を示し、図9(a)はフレーム装着前の状態、図9(b)はフレーム6の装着後の状態をそれぞれ示している。
【0054】
図3の如く、左側のボルトブロック装着部41内に横方向に挿入された左側のボルトブロック51のブロック本体11の前壁面11aは、左側のボルトブロック装着部41の左右の垂直な壁部26,27の前端面26a,27aと同一垂直面上に位置する。また、図3図9(a)の如く、右側のボルトブロック52のブロック本体11の前壁面11aは、右側のボルトブロック装着部42の右側の垂直な壁部29の前端面29aと同一垂直面上に位置する。これは、フレーム6を組み付ける前(図9(a))においても同様である。
【0055】
そして、フレーム6を組み付けることで、図3図8の如く、左側のボルトブロック装着部41の左右の壁部26,27の前端面26a,27aがフレーム6の前壁7の内面に若干の隙間を存して近接し、図3の如く、フレーム6の前壁7の内面のリブ51が左側のボルトブロック51のブロック本体11の前壁面(外面)11aに接触当接して、ボルトブロック51を後方に(図6のボルトブロック装着部41の後壁28に沿うバスバー8の垂直部38に向けて)押し付けてしっかりと支える。
【0056】
左側のボルトブロック51よりも少し後方に位置した右側のボルトブロック52に対しては、図9(a)のフレーム未装着の状態から(符号37はボルトブロック装着部42の下方の連結壁、符号3は側部開口を示す)、図9(b)のフレーム6の装着によって、フレーム6の前壁7側の突出壁52の内面のリブ51が右側のボルトブロック装着部42の左右の壁部27,29の間においてボルトブロック52のブロック本体11の前壁面(外面)11aに接触当接して、ボルトブロック52を後方に(図6のボルトブロック装着部42の後壁30に沿うバスバー8の垂直部38に向けて)押し付けてしっかりと支える。
【0057】
これにより、図9(b)の矢印Cの如く、ねじ締め用のレンチを用いてボルトブロック5のボルト12に不図示のナットを螺合して、バスバー13の上面13bと、バスバー8の端子部9と外部の不図示の電線付き端子とを締付接続する際に、ボルトブロック52に矢印Cの右回り(時計回り)の大きなトルクがかかっても、ボルトブロック52を前後左右の壁部7(52),30,27,28すなわちボルトブロック装着部42の左右の壁部27,29と後壁30とフレーム6の前壁7の突出壁52とで四方から囲んで支持しているので(左側のボルトブロック51は突出壁52のない前壁7で囲まれて支持され)、各ボルトブロック5の矢印C方向(回転方向)の動きが阻止されて、ナットの締付作業すなわちボルトブロック5の上面のバスバー13bと部品装着ブロック1側のバスバー8の端子部9と外部の不図示の電線付き端子との相互接続がスムーズ且つ確実に行われる。
【0058】
なお、フレーム6の前壁7側の内面にリブ51を設けずに、フレーム6の前壁7側の内面を直接、ボルトブロック5のブロック本体11の外面に接触ないし近接させることも可能である。フレーム6の前壁7側の内面とは、左側のボルトブロック51に対するフレーム6の前壁7の内面と、右側のボルトブロック52に対するフレーム6の前壁7内側の突出壁52の内面を言う。
【0059】
外部の不図示の各端子付き電線は、例えば図2の各ボルトブロック5の前側においてフレーム6の前壁7の外面に沿って上から下向きないし横向きに配索される。各電線付き端子は合成樹脂製のサイドカバー(図示せず)の内側に収容されることが好ましく、サイドカバーのスリット状の各孔部から電線付き端子の板状の電気接触部がボルト12に向けて水平に突出する。図2で符号53はサイドカバーに対する左側の係止部を示す。
【0060】
図2のフレーム6は、ボルトブロック装着部4を有する部品装着ブロック1以外にも、不図示のリレー装着部を有する部品装着ブロック等といった複数の部品装着ブロックを収容する。これら複数の部品装着ブロックを収容したフレーム6の上下端には不図示の上下の各カバーが装着され、各部品装着ブロックに装着されたヒューズやヒュージブルリンクやリレー等の端子に接続された電線が下カバーの口部から外部に導出されて、電気接続箱が構成される。図3で符号54は下カバーに対するフレーム6の下側の係止部を示す。
【0061】
なお、上記実施形態においては、ねじ締めブロックとして、絶縁樹脂製のブロック本体11にボルト12を立設固定したボルトブロック5を用いたが、ボルト12に代えて不図示のナットをブロック本体内に固定したナットブロックを用い、ナットに不図示のボルトをその頭部を上向きにした状態で螺合させることも可能である。
【0062】
その場合は、ナットにボルトを仮締めした状態で、バスバー8の端子9や不図示の電線付き端子をボルトに組み付けセットし、ボルトを本締めしてナットブロック側のバスバー13とこれら接続体8,9を相互接続させる)。これらボルト12又は不図示のナットを有するものをねじ締めブロック5と総称する。ボルト12又は不図示のナットの軸心が縦方向になるように、ボルト12又は不図示のナットがねじ締めブロック5に配置される。
【0063】
また、上記実施形態においては、バスバー13を有するボルトブロック5を用いたが、ボルトブロック5のバスバー13や下半のコネクタ部を排除して、絶縁樹脂製のブロック本体11にボルト12を立設したのみのボルトブロックを用いて、部品装着ブロック1側のバスバー8と外部の電線付き端子とを相互に接続させることも可能である。ナットブロックの場合も同様である。また、明細書で前後左右の方向性は説明の便宜上のものであり、必ずしもねじ締めブロック5の組付方向と一致するとは限らない。
【産業上の利用可能性】
【0064】
本発明に係る電気接続箱のねじ締めブロック組付構造は、部品装着ブロック内にねじ締めブロックを簡単且つ確実に組み付けると共に、ねじ締め用のレンチでねじ締めブロックを上方から下向きに強く押圧した場合における、ねじ締めブロックの下方への脱落を確実に防止し、それに加えてねじ締めブロックにバスバーや電線付き端子を確実且つ強固に締付接続させるために利用することができる。
【符号の説明】
【0065】
1 部品装着ブロック
2 ボルトブロック収容空間(ねじ締めブロック収容空間)
3 側部開口
4 ボルトブロック装着部(ねじ締めブロック装着部)
5 ボルトブロック(ねじ締めブロック)
6 フレーム
7 側壁
8 バスバー(接続体)
12 ボルト(ねじ部材)
15〜20 スライド係合部
27 共通隔壁
31〜35 ガイド部
51 リブ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10