特許第5836845号(P5836845)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5836845
(24)【登録日】2015年11月13日
(45)【発行日】2015年12月24日
(54)【発明の名称】スクロール圧縮機
(51)【国際特許分類】
   F04C 23/02 20060101AFI20151203BHJP
   F04C 18/02 20060101ALI20151203BHJP
   F04C 29/00 20060101ALI20151203BHJP
【FI】
   F04C23/02 J
   F04C18/02 311M
   F04C29/00 U
【請求項の数】2
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2012-47653(P2012-47653)
(22)【出願日】2012年3月5日
(65)【公開番号】特開2013-181516(P2013-181516A)
(43)【公開日】2013年9月12日
【審査請求日】2014年7月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100085198
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 久夫
(74)【代理人】
【識別番号】100098604
【弁理士】
【氏名又は名称】安島 清
(74)【代理人】
【識別番号】100087620
【弁理士】
【氏名又は名称】高梨 範夫
(74)【代理人】
【識別番号】100125494
【弁理士】
【氏名又は名称】山東 元希
(74)【代理人】
【識別番号】100141324
【弁理士】
【氏名又は名称】小河 卓
(74)【代理人】
【識別番号】100153936
【弁理士】
【氏名又は名称】村田 健誠
(74)【代理人】
【識別番号】100160831
【弁理士】
【氏名又は名称】大谷 元
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼井 哲仁
(72)【発明者】
【氏名】矢野 賢司
(72)【発明者】
【氏名】石園 文彦
(72)【発明者】
【氏名】角田 昌之
【審査官】 田谷 宗隆
(56)【参考文献】
【文献】 特開平09−032772(JP,A)
【文献】 特開平04−232396(JP,A)
【文献】 特開平01−318789(JP,A)
【文献】 特開平02−149787(JP,A)
【文献】 特開平08−165993(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04C 23/02
F04C 18/02
F04C 29/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器と、
前記容器内に固着支持されたステーターと、
前記ステーターの内周面側に回転可能に配設されたローターと、
前記ローターの中心部に挿入され、前記ローターとともに回転駆動する主軸と、
前記主軸の上部に取り付けられ、前記主軸とともに回転する第1バランサーと、
前記主軸の下部に取り付けられ、前記主軸とともに回転する第2バランサーと、
前記主軸の下部を回転自在に支持するボールベアリングを具備したサブフレームと、
前記サブフレームの上部に取り付けられ、前記第2バランサーの少なくとも側面側を囲む第2バランサーカバーと、を備え
前記主軸には、前記ボールベアリングの上部から給油するための切り欠きが形成されており、
前記第2バランサーカバーは、
前記ボールベアリングの外周の上方を囲んでいる
ことを特徴とするスクロール圧縮機。
【請求項2】
前記第2バランサーは、
磁性体で構成されている
ことを特徴とする請求項1に記載のスクロール圧縮機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、たとえば空気調和装置や冷凍装置に採用される冷凍サイクルの一構成要素として使用されるスクロール圧縮機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から存在しているスクロール圧縮機は、一般的に、フレームに固定された固定スクロールと、固定スクロールの中心に対して偏心した回転中心を有する揺動スクロールと、電動機構部を構成するステーターと、電動機構部を構成するローターと、電動機構部により回転駆動される主軸と、揺動スクロールを公転運動させるために揺動スクロールを支承するスライダーと、スライダーが主軸に対して偏心するように主軸の上部に設置されたスライダー装着軸である偏心軸部と、偏心軸部に装着され、固定スクロールや揺動スクロール等からなる圧縮部と、圧縮部および電動機構部を収容する密閉形のシェルと、外部よりスクロール圧縮機に冷媒ガスを導入するための吸入管と、スクロール圧縮機で圧縮された冷媒ガスを外部に吐出するための吐出管と、揺動スクロール及び主軸を支承し、固定スクロールに対してボルト等でシェルに固定されたフレームと、圧縮機構部の下部で主軸を回転自在に支えるサブフレームと、シェルの底部に溜まった油を主軸内の給油通路を通ってスライダーまで吸い上げる容積形油ポンプと、を有している。
【0003】
また、スクロール圧縮機の中には、揺動スクロールの偏心によるアンバランス相殺のため、主軸の上部に第一バランサーが取り付けられ、またローター下面に第二バランサーがローターと一体となって取り付けられているものがある(たとえば、特許文献1参照)。
【0004】
このようなスクロール圧縮機の中には、第2バランサーが略半円形状のため、油及び冷媒の撹拌による損失を低減するために第2バランサーカバーが取り付けられているものがある。そして、第2バランサーカバーが取り付けられているスクロール圧縮機では、ローター、第2バランサー、第2バランサーカバーが一体に組み立てられた状態で略円筒形の外形となり、主軸と一体となって回転するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平4−124485号公報(第1図等)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載されているような従来のスクロール圧縮機では、スクロール圧縮機の機種によって揺動スクロールの素材や形状が異なると、それぞれの機種に対応した第1バランサー、第2バランサーが必要となる。よって、スクロール圧縮機の機種毎に、それぞれ形の異なる第2バランサーが必要となり、第2バランサーを第2バランサーカバーで完全に覆うためには第2バランサーカバーの仕様も増える。それはまた、第2バランサーが油の存在する冷媒雰囲気中で回転する際の損失を低減するためには、第2バランサー側面が完全に覆われている方が大きい効果を生むためでもある。そのため、第2バランサー仕様の増加によってローターの仕様が増加する。その結果、ローターの共用化が進まず、作業工程、作業に要する手間、費用が増大してしまい、生産効率が低下している課題があった。
【0007】
また、特許文献1に記載されているような従来のスクロール圧縮機では、第2バランサーをローターと一体化するように取り付ける構造であるため、揺動スクロールから第2バランサーまでの距離が短く(ローターと揺動スクロールの距離が短いため)、アンバランス相殺のためのモーメントを発生させるには第2バランサーを大きく、又は重くしなければならなかった。そのため、第2バランサーの小型化ができず、スクロール圧縮機の小型化、軽量化できないという課題があった。加えて、第2バランサーを小型化するためには、比重の大きな素材を使用しなければならず、第2バランサーが高価なものになっていた。
【0008】
さらに、第2バランサー及び第2バランサーカバーは、リベットによってカシメることでローターに取り付けられており、第2バランサーの遠心力がリベットにせん断力を及ぼしている。そのため、リベットを選定する際に十分な強度を持ったものを選ぶ必要があること、また機種に応じてリベットの種類が増えることから、リベットに要する費用の増大を招来してしまっているという課題があった。
【0009】
またさらに、ローターと第2バランサーが一体化する構造になっているため、第2バランサーを、平易に磁性を帯びることが可能な鉄などの磁性体材料で構成すると、ローターに磁力を持たせる工程である着磁の時の磁束が、磁性体である第2バランサーに漏れ、着磁の効率が低下してしまう。また、運転時、ローター中の磁石の磁束が第2バランサーに漏れ、スクロール圧縮機を動かすトルクに寄与するローターの磁力が低下してしまう。これらのことから、圧縮機の性能が低下するなどの問題が生じる。そのため、第2バランサーを真鍮などの非磁性体材料で構成する必要があり、その分第2バランサーが高価なものになっているという課題があった。
【0010】
本発明は、以上のような課題のうちの少なくとも一つを解決するためになされたもので、揺動スクロールの仕様によってもローターの仕様を増やさず、アンバランス相殺のためのモーメントを発生させるのに必要な第2バランサーの小型化を実現し、第2バランサーを安価な材料で構成し、揺動スクロールの仕様によってもローターの仕様を増やさないスクロール圧縮機を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係るスクロール圧縮機は、容器と、前記容器内に固着支持されたステーターと、前記ステーターの内周面側に回転可能に配設されたローターと、前記ローターの中心部に挿入され、前記ローターとともに回転駆動する主軸と、前記主軸の上部に取り付けられ、前記主軸とともに回転する第1バランサーと、前記主軸の下部に取り付けられ、前記主軸とともに回転する第2バランサーと、前記主軸の下部を回転自在に支持するボールベアリングを具備したサブフレームと、前記サブフレームの上部に取り付けられ、前記第2バランサーの少なくとも側面側を囲む第2バランサーカバーと、を備え、前記主軸には、前記ボールベアリングの上部から給油するための切り欠きが形成されており、前記第2バランサーカバーは、前記ボールベアリングの外周の上方を囲んでいることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係るスクロール圧縮機によれば、第2バランサーカバーをサブフレームに取付けるため、揺動スクロールの仕様の増加により第2バランサーの仕様が増加しても、ローター及び第2バランサーカバーの仕様を増加させる必要がない。
【0013】
また、第2バランサーを、ローターではなく、主軸の下部に取り付けたので、第2バランサーを小型化、軽量化してもアンバランスを相殺するためのモーメントを発生させることができる。
【0014】
またさらに、第2バランサーをローターから離しているため、ローターを磁性体材料で構成しても磁束が第2バランサーに漏れることが無く、ローターの磁力が低下する心配がないので、第2バランサーを安価な磁性体材料で構成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の実施の形態1に係るスクロール圧縮機の断面構成例を示す縦断面図である。
図2】本発明の実施の形態1に係るスクロール圧縮機の第2バランサー部分の断面構成例を示す横断面図である。
図3】本発明の実施の形態1に係るスクロール圧縮機のサブフレームの軸受部分を拡大して示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1に係るスクロール圧縮機100の断面構成例を示す縦断面図である。図1に基づいて、スクロール圧縮機100の構成及び動作について説明する。このスクロール圧縮機100は、たとえば冷蔵庫や冷凍庫、自動販売機、空気調和装置、冷凍装置、給湯器等の各種産業機械に用いられる冷凍サイクルの構成要素の一つとなるものである。なお、図1を含め、以下の図面では各構成部材の大きさの関係が実際のものとは異なる場合がある。
【0017】
スクロール圧縮機100は、冷凍サイクルを循環する冷媒を吸入し、圧縮して高温高圧の状態として吐出させるものである。このスクロール圧縮機100は、固定スクロール9及び揺動スクロール10等からなる圧縮部と、電動回転機械7等からなる駆動部とにより構成されている。これら圧縮部及び駆動部は、容器1内に収納されている。図1に示すように、容器1内において、圧縮部が上側に、駆動部が下側に、それぞれ配置されている。
【0018】
容器1は、中間部容器1aの上部及び下部に上部容器1c及び下部容器1bが設けられた密閉容器となっている。下部容器1bは、潤滑油を貯留する油溜め23となっている。中間部容器1aには、冷媒ガスを吸入するための吸入管24が接続されている。上部容器1cには、冷媒ガスを吐出するための吐出管25が接続されている。
【0019】
圧縮部は、揺動スクロール10、固定スクロール9、及びフレーム11等で構成されている。図1に示すように、揺動スクロール10は下側に、固定スクロール9は上側に配置されるようになっている。また、揺動スクロール10とフレーム11との間には、揺動スクロール10を支承するスラストプレート14が設けられている。そして、揺動スクロール10とスラストプレート14とが、潤滑油を介して密着することにより、スラスト軸受を構成するようになっている。
【0020】
固定スクロール9には、一方の面に立設された渦巻状突起であるラップ部9aが形成されている。また、揺動スクロール10にも、一方の面に立設され、ラップ部9aと実質的に同一形状の渦巻状突起であるラップ部10aが形成されている。揺動スクロール10及び固定スクロール9は、ラップ部10aとラップ部9aとを互いに組み合わせ、容器1内に装着されている。揺動スクロール10及び固定スクロール9が組み合わされた状態では、ラップ部9aとラップ部10aの巻方向が互いに逆となる。
【0021】
そして、ラップ部10aとラップ部9aとの間には、相対的に容積が変化する圧縮室26が形成される。固定スクロール9及び揺動スクロール10には、ラップ部9a及びラップ部10aの先端面からの冷媒漏れを低減するため、ラップ部9a及びラップ部10aの先端面(上端面、下端面)にシール27、28が配設されている。
【0022】
固定スクロール9は、フレーム11に図示省略のボルト等によって固定されている。固定スクロール9の中央部には、圧縮され、高圧となった冷媒ガスを吐出する吐出ポート9bが形成されている。そして、圧縮され、高圧となった冷媒ガスは、固定スクロール9の上部に設けられている吐出空間33に排出されるようになっている。吐出空間33に排出された冷媒ガスは、吐出管25を介して冷凍サイクルに吐出されることになる。なお、吐出ポート9bには、吐出空間33から吐出ポート9b側への冷媒の逆流を防止する吐出弁29が設けられている。
【0023】
揺動スクロール10は、自転運動を阻止するためのオルダムリング15により、固定スクロール9に対して自転運動することなく公転旋回運動(揺動運動)を行うようになっている。また、揺動スクロール10のラップ部10a形成面とは反対側の面(以下、スラスト面と称する)の略中心部には、中空円筒形状の揺動軸受13が形成されている。揺動軸受13には、スライダー16が回転自在に挿入され、このスライダー16のスライド面(中心側面)には主軸4の上端に設けられた偏芯軸部4aが挿入されている。そして、揺動軸受13の内周部とスライダー16の外周部とが潤滑油を介して密着し、揺動軸受部を構成するようになっている。
【0024】
駆動部は、主軸4に固定されたローター3、ステーター2、及び回転軸である主軸4等で構成されている。ローター3は、主軸4に固定され、ステーター2への通電が開始することにより回転駆動し、主軸4を回転させるようになっている。すなわち、ステーター2及びローター3で電動回転機械7を構成している。
【0025】
主軸4は、ローター3の回転に伴って回転し、揺動スクロール10を旋回させるようになっている。この主軸4の上部(偏芯軸部4a近傍)は、フレーム11に設けられた主軸受12によって支持されている。この主軸受12と主軸4との間には、主軸4を円滑に回転運動させるため、スリーブ17が設けられている。
【0026】
一方、主軸4の下部は、ボールベアリング21によって回転自在に支持されている。このボールベアリング21は、容器1の下部に設けられたサブフレーム20の中央部に形成された軸受収納部20aに圧入固定されている。また、サブフレーム20には、容積型のオイルポンプ22が設けられている。このオイルポンプ22に回転力を伝達するポンプ軸4bは主軸4と一体形成されている。オイルポンプ22で吸引された潤滑油は、主軸4の内部形成された油穴4c等を介して各摺動部に送られる。
【0027】
ここで、ボールベアリング21への給油経路について説明する。オイルポンプ22によって吸い上げられた油が図3の給油穴4dを通って主軸4とボールベアリング21の間に送られる。この主軸4とボールベアリング21間を潤滑した油の一部が、主軸4の回転運動による遠心力によって切り欠き4eから放出され、ボールベアリング21の上部に送られボールベアリング21を潤滑するような構成となっている。なお、図3は、スクロール圧縮機100のサブフレーム20の軸受部分を拡大して示す縦断面図である。
【0028】
給油穴4dは、主軸4の油穴4cと主軸4の外周外側とが連通するように主軸4のボールベアリング21の内周面上部に形成されている。また、切り欠き4eは、給油穴4dから給油され、主軸4とボールベアリング21との間を潤滑した油の一部を、主軸4の回転運動による遠心力によって主軸4の外周外側に放出するものである。給油穴4d及び切り欠き4eによって、ボールベアリング21の上部からボールベアリング21に給油することが可能になっている。
【0029】
また、主軸4の上部及び下部には、揺動スクロール10と主軸4の回転中心に対してアンバランスを相殺するため、第1バランサー18及び第2バランサー19のそれぞれが設けられている。第1バランサー18は主軸4の上部に焼き嵌めによって固定され、第2バランサー19も主軸4の下部に焼き嵌め等によって固定される。
【0030】
また、サブフレーム20の上部には、円筒形状の第2バランサーカバー8が取り付けられ、第2バランサー19の少なくとも側面側を囲むように配置されている。このとき、第2バランサーカバー19がサブフレーム20の上部に取付けられているため、軸受収納部20aに収納されたボールベアリング21の上面の側面側を囲むように第2バランサーカバー8が配置されているとさらに望ましい。第2バランサーカバー8は、下端部がサブフレーム20の上部に取り付けられ、下端部から上端部に向かって軸方向上側に突出するように形成されている。第2バランサー19は、第2バランサーカバー8の内側で回転するようになっている。第2バランサーカバー8は、第2バランサー19による冷媒や油の撹拌を抑制し、また切り欠き4e(図3参照)からボールベアリング21に給油された油の飛散を抑制する機能を有している。なお、第2バランサーカバー8は、その上方が、開放されていても、閉塞されていてもよい。
【0031】
図2は、スクロール圧縮機100の第2バランサー19部分の断面構成例を示す横断面図である。図2に基づいて、第2バランサー19及び第2バランサーカバー8について説明する。なお、図2には、第2バランサー19の平面形状の一例が図示されているが、第2バランサー19の平面形状を図2に図示されているような形状に限定するものではない。
【0032】
上述したように、第2バランサー19は、主軸4の下部に固定されている。また、第2バランサーカバー8が、第2バランサー19の側面側を囲むように配置されている。そして、図2から、第2バランサー19が、第2バランサーカバー8の内側で回転するようになっていることがわかる。すなわち、スクロール圧縮機100では、第2バランサー19及び第2バランサーカバー8をローター3から離し、主軸4の下部に設置するようにしている。そして、第2バランサーカバー8をサブフレーム20側に取り付け、第2バランサーカバー8の内側で主軸4と第2バランサー19を回転させるようにしている。なお、バランスを取るためのモーメント和が変わらないため、第2バランサー19をローター3から離れた位置に設置しても軸受荷重は変わらない。
【0033】
このようにすることで、スクロール圧縮機100は、第2バランサー19を小型化しても、アンバランスを相殺するためのモーメントを発生させることができるようになった。また、第2バランサー19をローター3と一体的に組み立てる必要がなくなったので、第2バランサー19の仕様が増えても、ローター3、第2バランサーカバー8の仕様を増やす必要がなくなった。
【0034】
さらに、第2バランサー19を主軸4に固定し、第2バランサーカバー8をサブフレーム20に固定しているので、ローター3に偏心する部分が無くなることになる。そのため、リベットにかかる半径方向の荷重が無くなり、リベットのせん断に対する強度を無視できる。つまり、高価なリベットを選定する必要がなくなり、リベットに要する費用の増大を招来することがない。
【0035】
またさらに、第2バランサー19をローター3から離して設置することで、第2バランサー19の素材を鉄などの磁性体で構成することができるようになった。そのため、第2バランサーの素材として真鍮などの非磁性体材料を用いる必要がなくなり、第2バランサー19を平易に磁性を帯びることが可能な磁性体材料で構成しても、着磁時の磁束が第2バランサー19に漏れ、着磁の効率が低下すること、また運転時、ローター中の磁石の磁束が第2バランサー19に漏れ、スクロール圧縮機100を動かすトルクに寄与するローター3の磁力が低下し、スクロール圧縮機100の性能が低下するなどの問題が生じることはなくなった。その分第2バランサー19が安価に形成することが可能になった。
【0036】
さらに、第2バランサー19をローター3から離して設置することで、第2バランサー19を軽量化、小型化してもアンバランスを相殺するのに十分なモーメントを発生させることができるようになった。
【0037】
またさらに、第2バランサーカバー8が第2バランサー19の側面側を囲むように配置され、第2バランサーカバー8がサブフレーム20の上部に取付けてあるためボールベアリング21上面の側面側をも囲んでいるので、ボールベアリング21に給油可能かつ、第2バランサー19やボールベアリング21の撹拌によって飛散した油が圧縮部に吸入され油循環量が増大することを抑制できるようになった。
【0038】
次に、スクロール圧縮機100の動作について説明する。
電動回転機械7に電圧が印加されると、ステーター2の電線部に電流が流れ、磁界が発生する。この磁界は、ローター3を回転させるように働く。ローター3が回転すると、それに伴い主軸4が回転駆動される。主軸4が回転駆動されると、偏芯軸部4aを介してスライダー16も揺動軸受13内で回転する。そして、オルダムリング15により自転を抑制された揺動スクロール10は、揺動運動を行う。
【0039】
ローター3が回転するとき、主軸4の下部に固定されている第2バランサー19と、主軸4の上部に固定されている第1バランサー18と、で揺動スクロール10の偏心公転運動に対するバランスを保っている。その結果、主軸4の上部に偏心支持された揺動スクロール10が揺動されて公転旋回を始め、公知の圧縮原理により冷媒を圧縮する。
【0040】
これにより、冷媒ガスの一部はフレーム11の吸入ポート(図示せず)を介して圧縮室26内へ流れ、吸入過程が開始される。また、冷媒ガスの残りの一部は、ステーター2の鋼板の切り欠き(図示せず)を通って、電動回転機械7と潤滑油を冷却する。
【0041】
圧縮室26は、揺動スクロール10の揺動運動により揺動スクロール10の中心へ移動し、さらに体積が縮小される。この工程により、圧縮室26に吸入された冷媒ガスは圧縮されていく。このとき、圧縮される冷媒ガスにより固定スクロール9と揺動スクロール10は軸方向に離れようとする荷重が働くが、この荷重はスラストプレート14(スラスト軸受)で支持される。圧縮された冷媒は、固定スクロール9の吐出ポート9bを通り、吐出弁29を押し開けて吐出空間33に流入する。そして、吐出管25を介して容器1から吐出される。
【0042】
以上のような一連の動作中、揺動スクロール10とスラストプレート14との間、ラップ部10aとラップ部9aとの間(圧縮室26)、ラップ部9aのシール28と揺動スクロール10との間、ラップ部10aのシール27と固定スクロール9との間、オルダム溝とオルダムリング15のキー部との間、揺動軸受13とスライダー16との間、偏芯軸部4aとスライダー16のスライド面との間、主軸受12とスリーブ17との間、スリーブ17と主軸4との間等、各摺動部には、潤滑油が供給されている。また、これら摺動部は、容器1内に吸入された比較的温度の低い冷媒と同雰囲気になっている。これにより、これら摺動部は、容器1内に吸入された比較的温度の低い冷媒により冷却され、温度上昇が抑制されている。
【0043】
なお、容器1内の低圧冷媒ガスと、容器1内の高圧冷媒ガスとは、固定スクロール9及びフレーム11により気密が保たれるように仕切られているので容器1内で混在することがない。また、各摺動部に供給された潤滑油は、重力により返油通路(図示せず)を介して再び油溜め23へ戻る。そして、ステーター4への通電を止めると、スクロール圧縮機100が運転を停止する。
【符号の説明】
【0044】
1 容器、1a 中間部容器、1b 下部容器、1c 上部容器、2 ステーター、3 ローター、4 主軸、4a 偏芯軸部、4b ポンプ軸、4c 油穴、4d 給油穴、4e 切り欠き、7 電動回転機械、8 第2バランサーカバー、9 固定スクロール、9a ラップ部、9b 吐出ポート、10 揺動スクロール、10a ラップ部、11 フレーム、12 主軸受、13 揺動軸受、14 スラストプレート、15 オルダムリング、16 スライダー、17 スリーブ、18 第1バランサー、19 第2バランサー、20 サブフレーム、20a 軸受収納部、21 ボールベアリング、22 オイルポンプ、23 油溜め、24 吸入管、25 吐出管、26 圧縮室、27 シール、28 シール、29 吐出弁、33 吐出空間、100 スクロール圧縮機。
図1
図2
図3