(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来使用されている樹脂成形端子は、複数の電極を樹脂で固定したものであるが、製造するための金型の費用が高く、開発期間も長いという問題がある。さらに、一度金型を作成すると、電極の配置や寸法を変更することができないため、安易に採用できない。
【0006】
一方、ブロック端子や中空端子については、配置・寸法の自由度が高く、端子の費用は安価であるものの、信号線の数だけ電極をマウンターで1個ずつ基板に実装する必要があるため、電極の数が多い場合は実装(組立て)費用がかさむという問題がある。さらに、入手可能なブロック端子のサイズが比較的大きいため、広い実装スペースが必要であり、表面実装型モジュールの小型化が困難という問題もある。
【0007】
なお、特許文献1に記載の技術では、スルーホールを電極として用いるため、狭ピッチ化を図ることが困難である。さらに、基板(第2基板41)の厚さによって端子の高さが決まってしまい、端子の高さ寸法の自由度が制約されるという問題もある。
【0008】
そこで、本発明は、製造コスト及び実装コストが低く、開発期間が短く、かつ電極の配置位置や幅寸法の自由度および端子の高さ寸法の自由度の高い端子、および該端子を用いた表面実装型モジュール、並びにそれらの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様に係る表面実装型モジュールは、
上面又は下面に端子接続用のパッド部が一直線上に複数設けられた電子部品実装基板と、
第1の側面、および前記第1の側面の反対面となる第2の側面を有する直方体状の絶縁部材と、前記第1の側面に形成され且つ前記第1の側面の上辺と下辺とを結ぶ方向に走る複数の配線とを有する端子と、
を備え、
前記端子は、前記第1の側面が前記電子部品実装基板の主面と直交し、かつ前記複数の配線が前記複数のパッド部にそれぞれ対応するように、前記電子部品実装基板に接着され、前記配線は前記パッド部にはんだ付けされていることを特徴とする。
【0010】
また、前記表面実装型モジュールにおいて、
前記第1の側面に形成された配線と接続し、かつ前記第1の側面から前記第2の側面に貫通するように設けられた導電路と、
前記導電路に接続し且つ前記第2の側面の上辺と下辺とを結ぶ方向に走るように、前記第2の側面に形成された配線と、
をさらに備えてもよい。
【0011】
また、前記表面実装型モジュールにおいて、
前記第1の側面から前記第2の側面に貫通するように設けられた導電路と、
前記第2の側面に形成された配線と、
を備え、
前記第1の側面に形成された配線は、一端が前記導電路に接続し、前記第1の側面の上辺に向けて走り、
前記第2の側面に形成された配線は、一端が前記導電路と接続し、前記第2の側面の左辺と右辺とを結ぶ方向に走る横方向配線部と、一端が前記横方向配線部の他端と接続し、前記第2の側面の上辺と下辺とを結ぶ方向に走る縦方向配線部と、を有してもよい。
【0012】
また、前記表面実装型モジュールにおいて、
前記第1の側面に形成された配線と電気的に接続された分割ビアを電極としてさらに備えてもよい。
【0013】
また、前記表面実装型モジュールにおいて、
前記第1の側面に形成された配線は、複数の配線に分岐する分岐配線であってもよい。
【0014】
また、前記表面実装型モジュールにおいて、
前記第1の側面に形成された前記複数の配線のうち隣接する少なくとも2本の配線は、相互接続配線により互いに電気的に接続されていてもよい。
【0015】
また、前記表面実装型モジュールにおいて、
隣り合う前記配線間における前記絶縁部材の上面と、前記電子部品実装基板とが接着されていてもよい。
【0016】
また、前記表面実装型モジュールにおいて、
前記第1の側面および第2の側面は、上下方向の辺よりも左右方向の辺の方が長い横長の長方形状であってもよい。
【0017】
また、前記表面実装型モジュールにおいて、
前記絶縁部材は、ガラスエポキシ又はセラミックからなるようにしてもよい。
【0018】
本発明の一態様による表面実装型モジュール搭載基板は、
本発明による表面実装型モジュールと、
絶縁基板及び前記絶縁基板の上面に設けられた複数のパッド部を有し、前記表面実装型モジュールを搭載する被実装基板と、
を備え、
前記表面実装型モジュールの前記端子の配線と前記被実装基板のパッド部とは、はんだにより電気的に接続されているとともに、前記端子と前記被実装基板とは接着剤により接着されていることを特徴とする。
【0019】
本発明の一態様による端子は、
上面又は下面に端子接続用のパッド部が一直線上に複数設けられた電子部品実装基板を有する表面実装型モジュールの端子であって、
第1の側面、および前記第1の側面の反対面となる第2の側面を有する直方体状の絶縁部材と、
前記第1の側面に形成され、かつ前記絶縁部材の前記第1の側面の上辺と下辺とを結ぶ方向に走る複数の配線と、
を備え、
前記電子部品実装基板に接着された状態において、前記第1の側面が前記電子部品実装基板の主面と直交し、かつ前記複数の配線が前記複数のパッド部にそれぞれ対応することを特徴とする。
【0020】
本発明の一態様による端子の製造方法は、
絶縁基板の両面に金属箔が設けられた金属張積層板の所定の位置に貫通孔を形成する貫通孔形成工程と、
前記貫通孔に対してめっき処理を施すことにより、前記絶縁基板の表面及び裏面の金属箔を電気的に接続する導電路を形成する導電路形成工程と、
前記導電路が形成された金属張積層板の両面に、前記導電路を覆い且つ第1の方向に走るマスクパターンを形成するマスクパターン形成工程と、
前記マスクパターンで被覆されていない金属箔をエッチング処理で除去することにより、前記第1の方向に走る配線パターンを形成する配線パターン形成工程と、
前記配線パターンが形成された金属張積層板を、切断線が前記導電路を通らないように、前記第1の方向と異なる第2の方向に沿って所定の幅に切断する切断工程と、
を備えることを特徴とする。
【0021】
本発明の一態様による端子の製造方法は、
絶縁基板の少なくとも一方の主面に金属箔が設けられた金属張積層板の所定の位置に貫通孔を形成する貫通孔形成工程と、
前記貫通孔に対してめっき処理を施すことにより、前記絶縁基板の金属箔と電気的に接続された導電路を形成する導電路形成工程と、
前記導電路が形成された金属張積層板に、前記導電路を覆い且つ第1の方向に走るマスクパターンを形成するマスクパターン形成工程と、
前記マスクパターンで被覆されていない金属箔をエッチング処理で除去することにより、前記第1の方向に走る配線パターンを形成する配線パターン形成工程と、
前記配線パターンが形成された金属張積層板を、切断線が前記導電路を通るように、前記第1の方向と異なる第2の方向に沿って所定の幅に切断する切断工程と、
を備えることを特徴とする。
【0022】
本発明の一態様による表面実装型モジュールの製造方法は、
絶縁基板の少なくとも一方の面に第1の方向に走る複数の配線パターンを形成する配線パターン形成工程と、
前記複数の配線パターンが形成された絶縁基板を前記第1の方向と異なる第2の方向に沿って所定の幅に切断し、それにより、前記複数の配線パターンに対応した複数の配線を有する端子を作製する切断工程と、
前記複数の配線が形成された面が一直線上に複数のパッド部が設けられた電子部品実装基板の主面と直交し、かつ前記複数の配線が前記複数のパッド部にそれぞれ対応するように、前記端子を前記電子部品実装基板に接着する接着工程と、
前記配線と前記パッド部とをはんだ付けするはんだ付け工程と、
を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0023】
本発明では、直方体状の絶縁部材の側面に形成された配線を端子の電極として使用するため、製造コストや開発期間の点で、樹脂成形端子やブロック端子等の従来の端子に比べて有利である。
【0024】
また、一つの端子が複数の電極を有するため、ブロック端子や中空端子に比べて、実装コスト(表面実装型モジュールの組立てコスト)も低くすることができる。
【0025】
さらに、配線のパターンを変更することで電極の配置位置や幅寸法を容易に調整することが可能であるため、電極の配置位置や幅寸法の自由度が高い。また、絶縁部材の高さは容易に調整可能であるため、端子の高さ寸法についても自由度が高い。このため、接続先基板(被実装基板)のパッド部の位置やピッチに応じた端子を容易に提供することができる。また、電極間の狭ピッチ化にも容易に対応することができる。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施形態及び変形例について説明する。なお、各図において同等の機能を有する構成要素には同一の符号を付し、同一符号の構成要素の詳しい説明は繰り返さない。
【0028】
(表面実装型モジュール)
本発明の一実施形態に係る表面実装型モジュールについて、
図1ないし
図3を用いて説明する。
図1は、本実施形態による表面実装型モジュール10の斜視図であり、
図2は、表面実装型モジュール10の端子16の斜視図である。
図3は、被実装基板30に表面実装型モジュール10が実装された表面実装型モジュール搭載基板40の断面図である。
【0029】
本実施形態による表面実装型モジュール10は、
図1及び
図3に示すように、電子部品11が実装された電子部品実装基板13と、この電子部品実装基板13に実装された端子16とを備えている。
【0030】
より詳しくは、電子部品実装基板13は、上面及び下面に電子部品11(IC、トランジスタ、チップ部品等)が実装されるとともに、下面に端子接続用のパッド部12が一直線上に複数設けられている。電子部品11は、電子部品実装基板13に設けられたパッド部22にはんだ付けされている。
【0031】
なお、端子接続用のパッド部12は、回路構成に応じて、電子部品実装基板13に設けられた配線パターン(図示せず)を介して電子部品11と電気的に接続されていてもよい。
【0032】
また、電子部品11は電子部品実装基板13の上面又は下面にのみ実装されていてもよく、パッド部12は電子部品実装基板13の上面に設けられていてもよい。即ち、電子部品11およびパッド部12の配置(上面、下面)については任意である。
【0033】
一方、端子16は、
図2に示すように、長方形状の側面14a及びこの側面14aの反対面となる側面14bを有する直方体状の絶縁部材14と、側面14aに形成され且つ絶縁部材14の側面14aの上辺と下辺とを結ぶ方向に走る複数の配線15,15,・・・とを有する。なお、絶縁部材14の側面14aの上辺と下辺とを結ぶ方向とは、上辺(又は下辺)に対して垂直な方向に限らず、上辺に対して垂直以外の方向も含む。よって、例えば、配線15は、斜め方向に走るように形成されていてもよい。
【0034】
図1及び
図2に示すように、絶縁部材14の側面14a,14bは、上下方向の辺よりも左右方向の辺の方が長い横長の長方形状であるが、縦長の長方形状であってもよい。絶縁部材14は、例えばガラスエポキシ又はセラミックなどの基板材料からなる。
【0035】
配線15は、
図3に示すように、パッド部12にはんだ付けされている。配線15は例えば銅箔からなり、その幅や厚みは流れる電流等に応じて決めてよい。また、
図3に示すように、側面14aの反対面(側面14b)にも、配線15に対応した配線(配線17)を設けてもよい。
【0036】
図1及び
図3に示すように、端子16は、側面14aが電子部品実装基板13の主面(下面)と直交し、かつ複数の配線15,15,・・・が複数のパッド部12,12,・・・にそれぞれ対応するように、電子部品実装基板13に実装されている。
【0037】
また、端子16は、
図1に示すように、電子部品実装基板13の主面(下面)と絶縁部材14の上面14cとの間の接着剤21により、電子部品実装基板13に接着されている。なお、接着剤21は、配線15に付着しないように、隣り合う配線15,15間における絶縁部材14の上面14cに塗布されてもよい。即ち、隣り合う配線15,15間における絶縁部材14の上面14cと、電子部品実装基板13とが接着されていてもよい。
【0038】
上記のように接着剤21で電子部品実装基板13と端子16を接着することにより、表面実装型モジュール10を被実装基板30にはんだ付けした後、リフロー工法などの再加熱によりはんだが再溶解し、外力が加わったとしても、端子16と電子部品実装基板13が分離してしまうことを防止できる。同様に、端子16と被実装基板30を接着剤で固定してもよい。これにより、端子16と被実装基板30がはんだの再溶解によって分離することを防止できる。
【0039】
上記のように、表面実装型モジュール10の端子16は、絶縁部材14及び複数の配線15を備えるとともに、電子部品実装基板13に実装された状態において、側面14aが電子部品実装基板13の主面と直交し、かつ複数の配線15,15,・・・が複数のパッド部12,12,・・・にそれぞれ対応するものとして構成されている。
【0040】
図1及び
図3に示すように、表面実装型モジュール10は、電子部品実装基板13の2つの辺に沿って2つの端子16,16が接着されていることで、SOP(Small Outline Package)に類似した表面実装型のモジュールとして構成されている。
【0041】
次に、
図3を用いて、被実装基板30に表面実装型モジュール10が実装された表面実装型モジュール搭載基板40について説明する。
【0042】
被実装基板30は、表面実装型モジュール10を搭載する基板であり、絶縁基板31と、この絶縁基板31の上面に設けられた複数のパッド部32とを有する。
【0043】
表面実装型モジュール10は、
図3に示すように、端子16の配線15,15,・・・が被実装基板30のパッド部32,32,・・・にそれぞれ対応するように、被実装基板30に実装されている。配線15とパッド部32とは、はんだ19により電気的に接続されている。また、前述のように端子16と被実装基板30がはんだの溶解により分離するのを防止するため、端子16と被実装基板30とは接着剤により接着されていることが好ましい。
【0044】
以上、本実施形態による表面実装型モジュール10、及び表面実装型モジュール10の端子16、並びに表面実装型モジュール搭載基板40の構成について説明した。
【0045】
上記のように、本実施形態では、直方体状の絶縁部材の側面に形成された配線を端子の電極として使用するため、製造コストや開発期間の点で、樹脂成形端子やブロック端子等の従来の端子に比べて有利である。
【0046】
また、一つの端子が複数の電極を有するため、ブロック端子や中空端子に比べて、実装コスト(表面実装型モジュールの組立てコスト)も低くすることができる。
【0047】
さらに、配線のパターンを変更することで電極の配置位置や寸法を容易に調整することが可能であるため、電極の配置位置や幅寸法の自由度が高い。また、絶縁部材の高さは容易に調整可能であるため、端子の高さ寸法についても自由度が高い。このため、部品実装基板13のパッド部12や被実装基板30のパッド部32の位置およびピッチに応じた端子を容易に得ることができる。また、電極間の狭ピッチ化にも容易に対応することができる。
【0048】
さらに、例えば大電流が流れる電極については、幅広の配線とすることや、配線の厚みを増やすことで対応することができる。
【0049】
次に、
図4を用いて、本実施形態による端子16及び表面実装型モジュール10の製造方法について説明する。
【0050】
(1)まず、
図4に示すように、絶縁基板51の少なくとも一方の面に、第1の方向(垂直方向)に走る複数の配線パターン52,52,・・・を形成する(配線パターン形成工程)。
【0051】
この配線パターン52の形成は、サブトラクティブ法、アディティブ法等のエッチングやめっきを利用した手法、又はスクリーン印刷等の印刷手法などを用いて行うことが可能である。なお、絶縁基板51としては、例えば、ガラスエポキシ基板またはセラミック基板を用いることが可能である。
【0052】
(2)次に、
図4に示すように、複数の配線パターン52,52,・・・が形成された絶縁基板51を、第1の方向と異なる第2の方向(水平方向)に沿って所定の幅に切断する(切断工程)。この切断により、複数の配線パターン52,52,・・・に対応した配線15,15,・・・を有する端子16が作製される。
【0053】
この切断工程は、プリント配線板の外形加工する際に用いられるルータ加工等の手法により行うことが可能である。絶縁基板の切断間隔は、端子の所望の高さに応じて決定する。
【0054】
なお、本工程における第2の方向は、第1の方向と直交する方向に限らない。第1の方向と直交する方向以外の方向を選択することにより、端子16の配線15の幅を太くしたり、配線15が斜めに走るようにしてもよい。
【0055】
ここまでの工程を経て、
図2に示す端子16が複数作製される。
【0056】
(3)次に、配線15,15,・・・が形成された面(側面14a)が電子部品実装基板13の主面と直交し、かつ複数の配線15,15,・・・が複数のパッド部12,12,・・・にそれぞれ対応するように、端子16を電子部品実装基板13に接着する(接着工程)。
【0057】
なお、電子部品実装基板13と端子16との接着は、配線15,15,・・・に付着しないように接着剤を絶縁部材14の上面14cに塗布して行うことが好ましい。このようにすることで、配線15とパッド12との間の電気的接続を接着剤が害することを防止できる。
【0058】
(4)次に、配線15とパッド部12とをはんだ付けする(はんだ付け工程)。
【0059】
上記の工程を経て、
図1に示す表面実装型モジュール10が作製される。
【0060】
上記の製造方法の説明からわかるように、絶縁基板上に形成された配線パターンを切断して電極とするため、樹脂成形端子やブロック端子等の従来の端子に比べて製造コストを低減することができ、また、開発期間を短くすることができる。加えて、本実施形態による端子は複数の電極を含むため、ブロック端子や中空端子のように1個ずつ基板に実装する必要がなく、電子部品実装基板への実装コストも低い。
【0061】
さらに、電極(配線15,17)の配置位置や幅寸法は、パッド部12,32に応じて容易に調整することができる、パッド部の狭ピッチ化にも容易に対応することができる。また、絶縁基板の切断間隔を変えることで、所望の高さの端子を容易に得ることができる。
【0062】
次に、本実施形態による端子の第1〜第5の変形例について説明する。いずれの変形例についても、上記実施形態と同様の効果を得ることができ、また、電子部品実装基板にはんだ付けされて表面実装型モジュールを構成するものである。
【0063】
(第1の変形例)
図5は、第1の変形例による端子16Aの斜視図を示している。
図5に示すように、端子16Aは、導電路(ビア)18と、側面14bに形成された配線17とをさらに備える。
【0064】
導電路18は、側面14aに形成された配線15と接続し、かつ側面14aから側面14bに貫通するように設けられている。また、配線17は、導電路18に接続し、かつ側面14bの上辺と下辺とを結ぶ方向に走る。
【0065】
ここで、導電路18は、側面14aから側面14bに貫通する貫通孔にめっき金属を充填した貫通ビア、又は、当該貫通孔の内壁にめっき処理を施して形成しためっきスルーホールである。
【0066】
本変形例による端子16Aの製造方法は次の通りである。
【0067】
(1)まず、絶縁基板(ガラスエポキシ板など)の両面に金属箔(銅箔など)が設けられた金属張積層板を用意する。そして、この金属張積層板の所定の位置に貫通孔を形成する。
【0068】
(2)次に、貫通孔に対してめっき処理を施すことにより、絶縁基板の表面及び裏面の金属箔を電気的に接続する導電路(ビア)を形成する。この導電路は、貫通孔の内壁をめっきしためっきスルーホールでもよいし、あるいは、貫通孔にめっき金属を充填したフィルドビアであってもよい。
【0069】
(3)次に、導電路が形成された金属張積層板の両面に、導電路を覆い、且つ第1の方向に走るマスクパターンを形成する。
【0070】
(4)次に、マスクパターンで被覆されていない金属箔をエッチング処理で除去する。これにより、第1の方向に走る配線パターンを形成する。
【0071】
(5)次に、配線パターンが形成された金属張積層板を第1の方向と異なる第2の方向に沿って所定の幅に切断する。本工程の切断は、切断線が導電路を通らないように行う。
【0072】
なお、上記(1)〜(4)の工程は、テンティング法の一例であり、他のサブトラクティブ法(パターンめっき法、穴埋め法)やアディティブ法を用いてもよい。その他、セラミック基板を用いて、同様の機能を有する導電路(ビア)と配線パターンを形成してもよい。
【0073】
上記の端子16Aによれば、はんだ19の位置を、電子部品実装基板13側と被実装基板30側とで変えることができる。これについて、
図6を用いて詳しく説明する。
図6は、端子16Aを用いた表面実装型モジュール搭載基板の一部断面図である。
図6に示すように、電子部品実装基板13と端子16Aとを電気的に接続するはんだ19aは、内側の配線15とパッド部12のなす角部に形成される。一方、被実装基板30と端子16Aとを電気的に接続するはんだ19bは、外側の配線17とパッド部32のなす角部に形成される。
【0074】
図6に示す表面実装型モジュール搭載基板を作製する方法は次の通りである。
【0075】
(1)前述の接着工程において、端子16Aを電子部品実装基板13の端部に接着する。好ましくは、
図6に示すように、端子16Aの側面が電子部品実装基板13の側面と面一になるように接着する。
【0076】
(2)次に、前述のはんだ付け工程において、内側の側面に形成された配線15とパッド部12とをはんだ付けし、はんだ19aを形成する。これにより、表面実装型モジュールが作製される。
【0077】
(3)次に、外側の側面に形成された配線17とパッド部32とをはんだ付けし、はんだ19bを形成する。この際、
図6に示すように、配線17とパッド部32のなす角部が外部に晒されているため、表面実装型モジュールと被実装基板とのはんだ接続状態(はんだフィレット)を容易に目視あるいは自動外観検査装置60で確認することができる。自動外観検査装置60は、表面実装型モジュールと被実装基板とのはんだ接続部分を撮影し、自動で外観を検査する装置である。
【0078】
このように、端子16Aを用いる場合、端子16Aと電子部品実装基板13との電気的接続を内側の配線15により行うことで、端子をその側面が電子部品実装基板13の側面と面一になるように接着することが可能となり、それにより、表面実装型モジュールと被実装基板とのはんだ接続状態を容易に目視あるいは自動外観検査装置60で確認することができる。
【0079】
(第2の変形例)
図7は、第2の変形例による端子16Bの斜視図を示している。
【0080】
本変形例による端子16Bは、側面14aから側面14bに貫通するように設けられた導電路18と、側面14bに形成された配線20とを備える。
【0081】
図7に示すように、側面14aに形成された配線15は、一端が導電路18に接続し、側面14aの上辺に向けて走る。
【0082】
側面14bに形成された配線20は、一端が導電路18と接続し、側面14bの左辺と右辺とを結ぶ方向に走る横方向配線部20aと、一端が横方向配線部20aの他端と接続し、側面14bの上辺と下辺とを結ぶ方向に走る縦方向配線部20bとを有する。
【0083】
本変形例では、上記のように絶縁部材14に形成された配線を引き回すことで、例えば被実装基板30のパッド部32の位置に柔軟に対応することができる。
【0084】
(第3の変形例)
図8は、第3の変形例による端子16Cの斜視図を示している。
【0085】
図8に示すように、本変形例による端子16Cは、側面14aに形成された配線と電気的に接続された分割ビア23を電極としてさらに備えている。ここでいう分割ビアは、側面14aから側面14bの方向に形成された貫通孔に形成された導電路を該貫通孔の軸方向に分割したものである。
【0086】
本変形例の端子によれば、分割ビア23も電極として機能する。このため、端子16Cとパッド部12,32との間のはんだ接続強度を向上させることができる。
【0087】
なお、分割ビア23は貫通孔にめっき金属を充填してなる貫通ビアを軸方向に分割して形成された半円柱状のものであってもよい。この場合、半円柱状の分割ビア23は、その平坦な側面が絶縁部材14の上面または下面と面一になるように絶縁部材14に設けられており、側面14aに形成された配線15と接続される。
【0088】
ここで、
図9を用いて、本変形例による端子16Cの製造方法について説明する。
図9(a)は、配線パターン52及びめっきスルーホール54が形成された絶縁基板51の平面図であり、
図9(b)は、(a)の切断線に沿う該絶縁基板51の断面図である。
【0089】
(1)まず、ガラスエポキシ板などの絶縁基板51の少なくとも一方の主面に銅箔など金属箔が設けられた金属張積層板を用意する。そして、この金属張積層板の所定の位置に貫通孔を形成する。
【0090】
(2)次に、貫通孔に対してめっき処理を施すことにより、絶縁基板の金属箔と電気的に接続された導電路を形成する。この導電路は、貫通孔の内壁をめっきしためっきスルーホールでもよいし、あるいは、貫通孔にめっき金属を充填したフィルドビアであってもよい。
図9は、導電路がめっきスルーホール54である場合を図示している。
【0091】
(3)次に、導電路が形成された金属張積層板に、導電路を覆い、且つ第1の方向に走るマスクパターンを形成する。
【0092】
(4)次に、マスクパターンで被覆されていない金属箔をエッチング処理で除去する。これにより、第1の方向に走る配線パターン52を形成する。
【0093】
(5)次に、配線パターン52が形成された金属張積層板を第1の方向と異なる第2の方向に沿って所定の幅に切断する。本工程の切断は、切断線が導電路(めっきスルーホール54)を通るように行う。
【0094】
上記の工程を経て、
図8に示す端子16Cが作製される。
【0095】
なお、上記(1)〜(4)の工程は、テンティング法の一例であり、他のサブトラクティブ法(パターンめっき法、穴埋め法)やアディティブ法を用いてもよい。その他、セラミック基板を用いて、同様の機能を有する導電路(ビア)と配線パターンを形成してもよい。
【0096】
(第4の変形例)
図10は、第4の変形例による端子16Dの斜視図を示している。
【0097】
図10に示すように、絶縁部材14の側面14aには、複数の配線に分岐する分岐配線24が形成されている。このように、絶縁部材の側面に形成される配線は直線状のものに限らず、分岐したものでもよい。
【0098】
(第5の変形例)
図11は、第5の変形例による端子16Eの斜視図を示している。
【0099】
図11に示すように、側面14aに形成された複数の配線15,15,・・・のうち隣接する少なくとも2本の配線15,15は、相互接続配線25により互いに電気的に接続されている。相互接続配線25により接続された配線15は一つの電極26を構成する。このように、一つの電極が複数の配線から構成されてもよい。
【0100】
上記の記載に基づいて、当業者であれば、本発明の追加の効果や種々の変形を想到できるかもしれないが、本発明の態様は、上述した個々の実施形態に限定されるものではない。異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。特許請求の範囲に規定された内容及びその均等物から導き出される本発明の概念的な思想と趣旨を逸脱しない範囲で種々の追加、変更及び部分的削除が可能である。