(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0014】
〔実施形態1〕
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。
図1は、本実施形態に係る粒子測定器10Aの構成を示す斜視図である。本実施形態に係る粒子測定器10Aは、外部から気体(例えば空気)を吸引し、該気体に含まれる所望粒径の微粒子の量を測定するものである。
【0015】
図1に示されるように、本実施形態に係る粒子測定器10Aは、センサ1(測定部)と、吸気部2と、分粒部3と、ファン4(流体駆動部)と、を備えている。粒子測定器10Aは、単一の流体駆動部としてのファン4を駆動することによって、吸気部2から外部の空気を導入するようになっている。粒子測定器10A内に導入された空気は、装置内に形成された気体流路を通過して、ファン4を介して外部へ排出される。センサ1は、粒子測定器10A内に形成された気体流路の途中に設けられており、通過する空気中に含まれる微粒子の量を測定する。
【0016】
図2は、粒子測定器10A内に形成された気体流路の概略構成を示し、
図2の(a)は、断面図であり、
図2の(b)は断面斜視図である。
図2の(a)及び(b)に示されるように、粒子測定器10A内に形成された気体流路は、導入流路5aと、主流路5bと、支流路5cとから構成されている。
【0017】
導入流路5aは、吸気部2に形成されており、外部から気体(空気)を導入するための流路である。主流路5b及び支流路5cは、導入流路5aにおける外部と反対側の末端である分岐部Aにて分岐した流路である。
【0018】
粒子測定器10Aにおける粒子分離装置は、ファン4、及び導入流路5aと主流路5bと支流路5cとから構成された気体流路を備えている。そして、ファン4を駆動源として、導入流路5aから導入された気体に含まれる粒子を、その慣性力によって、分岐部Aにおいて主流路5b及び支流路5cへ分離する。導入流路5aから導入された気体に含まれる粒子の分離(分粒)の原理については、後述する。
【0019】
微小粒子を測定する測定部としてのセンサ1は、支流路5cの途中に設けられており、支流路5cを通過する気体中の微小粒子の量を測定する。このセンサ1は、例えば、通過する気流中の微粒子に光を照射し、微粒子から散乱した光を検出する(すなわち光散乱法)によって、気体中の微小粒子の量を測定するものである。また、センサ1は、光散乱法に限らず、重量法によって気体中の微小粒子の量を測定するものであってもよい。また、微小粒子を測定する測定部は、センサ1に限定されず、例えば、微小粒子を捕集するフィルターを備え、フィルターによって捕集された微小粒子を測定するものであってもよい。
【0020】
ファン4は、ただ1つ設けられおり、導入流路5aから、分岐部Aを介して、主流路5b及び支流路5cそれぞれにおける気体が外部へ排出される末端出口B・Dへ向かう気流を発生させる流体駆動部として機能する。本実施形態における流体駆動部は、
図2に示されるファン4に限定されず、導入流路5aから、分岐部Aを介して、主流路5b及び支流路5cそれぞれにおける気体が外部へ排出される末端出口B・Dへ向かう気流を発生させることが可能なものであればよい。例えば、流体駆動部は、ポンプであってもよい。また、ファン4は、遠心ファンであっても、軸流ファンであってもよい。
【0021】
ここで、ファン4の気体吸入面4aに対し垂直な方向をY方向とする。
図2に示されたY方向(矢印方向)は、重力方向と反対方向である。そして、Y方向に垂直な断面において、センサ1を通過する支流7cの方向をX方向とする。そして、X方向及びY方向の両方に垂直な方向をZ方向とする。
【0022】
図2の(a)に示されるように、ファン4の駆動によって、浮遊粒子を含んだ空気の流体(以下、含粒子流体と記す)は、支流路5c側へ傾斜した導入流路5aを通って、粒子測定器10A内に導入される(気流7a)。導入流路5aは、気流7aの方向に対して垂直な断面形状において、分岐部Aへ向かうに従い、流路が取り囲む面積(流路を構成する側壁によって囲まれた面積ともいう。以下、流路断面積または気流通過面積と記す)が小さくなる構成になっている。それゆえ、導入流路5aに導入された含粒子流体は、気流7aに沿って、分岐部Aに向かうに従い加速することになる。それゆえ、導入流路5aは、流体加速部ともいう。
【0023】
含粒子流体の気流7aは、分岐部Aにおいて、主流7b及び支流7cに分岐する。主流7b及び支流7cは、それぞれ、ファン4によって吸引される主流路5b及び支流路5cを通る。1つのファン4を流体駆動源として、主流7b及び支流7cに分岐して吸引することによって、大気などの含粒子流体を、導入流路5aを通して系内へ導入することができる。
【0024】
粒子測定器10Aにおいて、系内へ吸引された含粒子流体は、
図3に示されるように、気流7aが分岐部Aにおいて主流7b及び支流7cに分岐したときに、所望粒径の微小粒子8bを含む含粒子流体と所望粒径以外の粗大粒子8aを含む含粒子流体とに分粒される。このとき、主流7bには、所望粒径以外の粗大粒子8aを含む含粒子流体が含まれる。一方、支流7cには、所望粒径の微小粒子8bを含む含粒子流体が含まれる。
【0025】
ここで、
図3を参照して、上述した粒子の分粒原理について、詳述する。
図3は、導入流路5aを通して系内へ導入された含粒子流体の分岐部Aにおける分粒の状態を模式的に示した断面図である。
【0026】
図3に示されるように、ファン4によって系内に吸引された含粒子流体は、導入流路5aの分岐部Aへ向かうに従い加速する。分岐部Aにおいて、含粒子流体に含まれる粒子が周囲の気流7aに沿った主流7bに沿って運動するか否かは、ストークスの式より、粒子の密度、直径、速度に依存する。同一成分の粒子であれば、含粒子流体に含まれる粒子は、粒径が大きいほど、低い速度で含粒子流体の運動から外れる。このため、粒径が比較的大きい粗大粒子8aは、慣性力が大きいので、主流7bに乗せて主流路5bから外部へ排出され、支流7c側へ入り込みにくくなる。一方、粒径が比較的小さい微小粒子8bは、慣性力が小さい。それゆえ、微小粒子8bの移動は、含粒子流体の粘性によって支配される。このため、微小粒子8bは、主流7b及び主流7bと逆方向の支流7cに乗せて、主流路5b及び支流路5cへ送り込まれる。このように、分岐部Aにおける粒子の速度によって特定粒径以下の粒子のみを支流7cへ導くことが可能になる。
【0027】
このように、本実施形態に係る粒子測定器10Aでは、上述の流路構成及びファン4の配置などによって、ファン4によって吸引される含粒子流体に含まれる粗大粒子8aは、分岐部Aにおいて主流路5bと逆方向に延びた支流路5cへ混入しないようになっている。一方、微小粒子8bは、主流路5b及び支流路5cの両方に存在する。
【0028】
図2の(a)に示すように、支流路5cへ送り込まれた、微小粒子8bを含む含粒子流体は、支流7cに乗って、センサ1を通過する。このようにセンサ1を通過することによって、含粒子流体に含まれる微小粒子8bの量が測定される。
【0029】
センサ1から流出した、微小粒子8bを含む含粒子流体は、支流路5cの末端出口Dへ向かって流出することになる。ここで、導入流路5a、主流路5b、及びファン4は、略同一方向に配列して設けられている。このような構成とすることによって、粗大粒子8aは、支流路5cへ逆流することなく、主流路5bへ分岐後、末端出口Dを介して外部へ排出されやすくなる。それゆえ、測定対象でない粗大粒子8aを、効率的に除去することができる。
【0030】
このように、
図2の(a)に示される含粒子流体の気流において、粗大粒子8aを含む、含粒子流体の主流7bは、分岐部Aから、下側に配されたファン4へ向かって最短距離になるように延びる主流路5bを通って、気体吸入面4a真上に形成された空間から排出される。一方、微小粒子8bを含む、含粒子流体の支流7cは、分岐部Aから、主流路5bと逆方向に延びセンサ1を介して迂回する支流路5cを通って、末端出口Dから排出される。そして、このように分岐部Aにて粗大粒子8a及び微小粒子8bが分粒されるので、外部から吸引された含粒子流体のうち、粗大粒子8aを含む含粒子流体は、センサ1を通過することなく外部へ排出される。一方、微小粒子8bを含む含粒子流体は、センサ1にて量が測定された後、外部へ排出されることになる。
【0031】
このように、本実施形態に係る粒子測定器10Aにおいては、外部から吸引される含粒子流体の気流7aを、分岐部Aにおいて主流7b及び支流7cに分岐し、この分岐に際し、粗大粒子8a及び微小粒子8bの分粒を行っている。さらに、主流7b及び支流7cをそれぞれ、末端出口B及びDを介して外部へ排出している。また、主流7b及び支流7cの分岐は、単一の流体駆動源であるファン4によって実現されている。そして、支流路5cの途中にセンサ1を設けたことによって、支流7cの含粒子流体中の微小粒子8bの量を測定している。
【0032】
それゆえ、ポンプ及び測定器という2つの駆動源を用いている特許文献1の技術と比較して、小型であり、かつ安価な粒子測定器を実現することができる。
【0033】
ここで、主流路5bの主流7bの流速と支流路5cの支流7cの流速とは、非常にシビアな調整が必要である。例えば、主流7bの流速が最適値よりも大きく、支流7cの流速が最適値よりも小さい場合、主流路5b側に、粗大粒子8aのみならず微小粒子8bの大半が流れてしまう。その結果、支流路5c側へ流れる微小粒子8bの量が僅少となるため、好適に、粗大粒子8aと微小粒子8bとを分別することができない。反対に、主流7bの流速が最適値よりも小さく、支流7cの流速が最適値よりも大きい場合、粗大粒子8aの一部が支流路5c側へ流れてしまい、やはり好適に、粗大粒子8aと微小粒子8bとを分別することができない。主流7bの流速及び支流7cの流速はそれぞれ、主流路5b及び支流路5cの流路抵抗とファン4の排気速度によって決定される。このうち、流路抵抗は、主流路5b及び支流路5cの形状によって決定される値であり、流路形状を変更しない限り調整することができない。一方、排気速度は、ファン4の出力の調整によってのみ、調整可能な値であり、比較的調整が容易である。このため、特許文献1の技術のように、主吸引路112及び支吸引路114に対し個別のファンによって排気する構成では、主吸引路112及び支吸引路114それぞれにおける流体の流速の調整は、容易に行うことができる(
図11参照)。これに対して、粒子測定器10Aでは、単一のファン4によって主流路5b及び支流路5cの両方を排気するので、ファン4の出力によってそれぞれの流路における排気速度(すなわち主流7b及び支流7cの流速)を自由に調整することができないという課題が残されている。
【0034】
また、主流7b及び支流7cの流速に対しファン4の排気速度を十分に活かすためには、ファン4における気体吸入面4aの面積を可能な限り広くし、排気に利用する形態とすることが望ましい。このような形態をとるために、粒子測定器10Aでは、主流路5b及び支流路5cの末端出口B・Dをファン4の気体吸入面4aに接続した構成となっている。このような構成において、ファン4の気体吸入面4aが塞がれている場合、抵抗が大きくなりファン4の駆動源としての性能を十分に発揮することができない。それゆえ、ファン4の性能を十分に発揮するため、粒子測定器10Aでは、ファン4における吸気側の真上の部分に、気体吸入面4aと同程度の面積を有する空間を設けている。すなわち、気体吸入面4aの真上部分に空間を確保している。主流7b及び支流7cは、気体吸入面4a真上に形成された空間を通って外部に排出される。
【0035】
ここで、
図2に示されるように、粒子測定器10Aでは、支流路5cの流路長は、主流路5bの流路長よりも長くなっている。このため、主流7bよりも支流7cの方が、流路抵抗が大きくなっている。それゆえ、主流7b及び支流7cが合流する構成では、主流7bの方が、支流7cよりも流速が大きいため、乱流が発生する。その結果、気体吸入面4a真上に形成された空間において、主流7bに含まれる粗大粒子8aの一部が支流路5c側へ逆流するおそれがある。
【0036】
そこで、本実施形態に係る粒子測定器10Aでは、
図2に示されるように、主流路5bから排出される主流7bと、支流路5cから排出される支流7cとを仕切る仕切板6が設けられている。この仕切板6は、気体吸入面4a真上に形成された空間の中央に設けられている。すなわち、仕切板6によって区切られた気体吸入面4aの面積が、主流路5b側と支流路5c側とにおいて同じになっている。この仕切板6によって、主流7bと支流7cとの合流が防止される。その結果、主流路5bと支流路5cとの間にて粒子の逆流を防止することができる。
【0037】
なお、仕切板6の位置は、気体吸入面4a真上に形成された空間の中央に限定されず、仕切板6によって区切られた気体吸入面4aにおいて、主流7bが通過する面積と支流7cが通過する面積とが異なっていてもよい。このように、気体吸入面4a真上に形成された空間において仕切板6を中央からずれた位置に配置することによって、主流7bの流速及び支流7cの流速の比率が変化した粒子測定器10Aを実現することができる。
【0038】
また、仕切板6の角度や厚さは、主流路5b側と支流路5c側との間で異なっていてもよい。また、
図2に示された構成では、仕切板6は、平板形状である。しかし、仕切板6の形状は、主流7bと支流7cとの合流を防止する構成であれば、平板形状に限定されず、曲面を有する形状であってもよい。さらには、仕切板6は、支流7cの出口部分を囲うような構造であってもよい。
【0039】
また、本実施形態に係る粒子測定器10Aにおいて、粗大粒子8aを含む含粒子流体の主流7bが通る主流路5bは、下側に配されたファン4へ向かって最短距離になるように連結されている。一方、微小粒子8bを含む含粒子流体の支流7cが通る支流路5cは、分岐部Aから、主流路5bと逆方向に延びセンサ1を介して迂回してファン4に連結する。
【0040】
このように、本実施形態に係る粒子測定器10Aにおいて、主流路5bは、ファン4によって直接主流7bを外部へ排出するため、流路長が比較的短くなっている。一方、支流路5cは、途中にセンサ1が設けられており、支流7cがセンサ1を通過するように構成されているため、流路長が比較的長くなっている。粒子測定器10Aは、支流路5cの途中にセンサ1を備え、かつただ1つのファン4を流体駆動源としているため、支流路5cの流路長が主流路5bの流路長よりも長くなった構成となる。このように、支流路5cの流路長が主流路5bの流路長よりも長くなることによって、支流路5cにおける支流7cの流路抵抗が全体として大きくなり、分岐部Aでの支流7cの流速を低くすることができる。
【0041】
また、本実施形態に係る粒子測定器10Aにおいて、分岐部Aでの支流路5cの入口の位置は、センサ1の位置よりも重力方向の下側に配されている。この場合、分岐部Aにおいて分岐した支流7cの方向は、重力方向と反対側の方向になる。
【0042】
センサ1は、PM2.5等の微小粒子8bを測定対象としている。導入流路5aから流入する含粒子流体の気流7aには、微小粒子8bの他に、ほこり等の粗大粒子8aが含まれる。粗大粒子8aは、慣性力によって直進運動し外部へ排出される。ここで、ほこり等の粗大粒子8aは、自重によって自然沈降の影響が大きいため、分岐部Aでの支流路5cの入口の位置を、センサ1の位置よりも重力方向の下側に配することによって、粗大粒子8aのセンサ1への誤混入を確実に防止することができる。
【0043】
ここで、本実施形態の粒子測定器10Aにおいて、主流路5bは、分岐部A側の入口から末端出口Bへ至る流路の一部において、
図4に示す流路拡張部5d(第1の流路拡張部)を有する。
図4は、粒子測定器10Aの主流路5bの構成を示す拡大断面図である。
【0044】
図4に示されるように、流路拡張部5dにおいて、気流が通過する気流通過面積Sは、分岐部A側から末端出口B側へ向かうに従って漸次的に増大している。この気流通過面積Sは、流路を構成する側壁に囲まれた面積(流路断面積)であるともいえる。また、流路拡張部5dの形状は、所謂テーパ形状であるといえる。
【0045】
流路拡張部5dを構成する、互いに対向する2つの側壁は、分岐部A側から末端出口B側へ向かうに従って幅広になるように構成されている。また、流路拡張部5dを構成する、互いに対向する2つの側壁のうち、一方の側壁は、主流7bの方向に平行な面が設けられており、他方の側壁は、主流7bの方向に対して連続的に傾斜した傾斜面が設けられている。
【0046】
流路拡張部5dは、気流通過面積Sが分岐部A側から末端出口B側へ向かうに従って漸次的に増大しているので、分岐部A側の端部にて流路が絞り込まれた形状になっている。それゆえ、流路拡張部5dを通過する主流7bの流速は、分岐部A側の端部で最も大きくなり、末端出口Bへ向かうに従い小さくなる。
【0047】
それゆえ、ファン4における羽根の回転による乱流に含まれる粗大粒子や主流路5bの壁面と衝突した粗大粒子が分岐部Aへ向かって逆流したとしても、分岐部A側の端部での主流7bの流速が最も大きいため、粗大粒子が分岐部Aから支流路5cへ混入することがない。よって、分岐部Aとファン4との距離を小さくし粒子測定器10Aのサイズを小型化した場合であっても、主流路5bを流れる粗大粒子が支流路5c側へ逆流することを防止することができる。
【0048】
また、
図4に示されるように、主流路5bは、分岐部A側の入口から末端出口Bへ至る流路の中で、分岐部A側の入口における気流通過面積Saが最も小さくなっている。それゆえ、主流路5bを通過する主流7bの流速は、分岐部A側の入口で最も大きくなる。したがって、主流路5bを流れる粗大粒子が支流路5c側へ逆流することを確実に防止することができる。
【0049】
また、主流路5bは、分岐部A側の入口から末端出口Bへ至る流路の中で、末端出口Bにおける気流通過面積Sbが最も大きくなっている。このように末端出口Bにおける気流通過面積Sbが最も大きくなっているので、ファン4の吸気面積を十分に広く確保することができる。このため、ファン4による主流7bの吸気効率を向上させることができる。
【0050】
また、本実施形態に係る粒子測定器10Aにおいて、支流路5cは、センサ1における気体の出口Cから末端出口Dへ至る流路の少なくとも一部において、第2の流路拡張部を有する。上記第2の流路拡張部において、気流が通過する気流通過面積は、センサ1における気体の出口C側から末端出口D側へ向かうに従って漸次的に増大している。
【0051】
具体的には、
図2に示されるように、支流路5cは、センサ1における気体の出口Cから末端出口Dへ至る流路において、傾斜壁面5eを有する。この傾斜壁面5eは、該傾斜壁面5eと対向する壁面とのZ方向の距離が出口C側から末端出口D側へ向かうに従って漸次的に増加するように傾斜している。一方、傾斜壁面5eに対して立設する2つの壁面は、出口C側から末端出口D側へ至る流路において、互いの距離が一定になっている。このため、支流路5cにおいて、傾斜壁面5eを含む流路は、出口C側から末端出口D側へ向かうに従い気流通過面積が増大しているので、上記第2の流路拡張部である。
【0052】
ここで、粒子測定器10Aは、1つのファン4を流体駆動部として、主流7b及び支流7cといった2つの流体を発生させる構成になっている。それゆえ、主流路5bの末端出口Bから排出された粗大粒子が、ファン4の羽の回転によって、支流路5cの末端出口Dからセンサ1へ逆流するおそれがある。
【0053】
本実施形態に係る粒子測定器10Aによれば、センサ1における気体の出口Cから末端出口Dへ至る流路の少なくとも一部において、上述の第2の流路拡張部を有するので、第2の流路拡張部を通過する支流7cの流速は、出口C側の端部で最も大きくなり、末端出口Dへ向かうに従い小さくなる。それゆえ、主流路5bの末端出口Bから排出された粗大粒子が、ファン4の羽の回転によって支流路5cの末端出口Dからセンサ1へ逆流したとしても、出口C側の端部での主流7bの流速が最も大きいため、粗大粒子がセンサ1へ混入することがない。
【0054】
また、支流路5cは、センサ1における気体の出口Cから末端出口Dへ至る流路の中で、出口Cにおける気流通過面積が最も小さくなっている。それゆえ、支流路5cを通過する支流7cの流速は、センサ1における気体の出口Cで最も大きくなる。したがって、粗大粒子のセンサ1への逆流を確実に防止することができる。
【0055】
また、支流路5cは、分岐部A側の入口から末端出口Dへ至る流路の中で、末端出口Dにおける気流通過面積が最も大きくなっている。このように末端出口Dにおける気流通過面積が最も大きくなっているので、ファン4の吸気面積を十分に広く確保することができる。このため、ファン4による支流7cの吸気効率を向上させることができる。
【0056】
〔実施形態2〕
本発明の他の実施形態について、
図5及び
図6に基づいて説明すれば、以下のとおりである。
図5は、本実施形態に係る粒子測定器10Bの概略構成を示し、
図5の(a)は、断面図であり、
図5の(b)は断面斜視図である。
図6は、本実施形態に係る粒子測定器10Bにおける主流路の構成を模式的に示す図である。なお、説明の便宜上、前記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を省略する。また、
図5では、図面を簡潔にするため、ファン4を省略している。
【0057】
実施形態1に係る粒子測定器10Aにおいて、主流路5bは、分岐部A側の入口から末端出口Bへ至る流路の一部において、流路拡張部5d(第1の流路拡張部)を有していた。
【0058】
しかし、
図5及び
図6に示されるように、本実施形態に係る粒子測定器10Bにおいては、主流路5bは、分岐部A側の入口から末端出口Bへ至る流路全体に流路拡張部5dを有している点が実施形態1に係る粒子測定器10Aと異なる。すなわち、粒子測定器10Bの主流路5bにおいて、気流が通過する気流通過面積は、分岐部A側の入口のから末端出口Bへ向かうに従って漸次的に増大している。
【0059】
本実施形態に係る粒子測定器10Bによれば、主流路5bにおける気流通過面積は、分岐部A側の入口での気流通過面積Saが最小である。そして、分岐部A側の入口から末端出口Bへ向かい漸次的に増加し、末端出口Bでの気流通過面積Sbが最大となっている。それゆえ、分岐部Aとファン4との距離を小さくした場合であっても、主流路5bを流れる粗大粒子が支流路5c側へ逆流することを防止することができる。
【0060】
〔実施形態3〕
本発明のさらに他の実施形態について、
図7及び
図8に基づいて説明すれば、以下のとおりである。
図7は、本実施形態に係る粒子測定器10Cの概略構成を示し、
図7の(a)は、断面図であり、
図7の(b)は断面斜視図である。
図8は、本実施形態に係る粒子測定器10Cにおける主流路の構成を模式的に示す図である。なお、説明の便宜上、前記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を省略する。また、
図7では、図面を簡潔にするため、ファン4を省略している。
【0061】
図7及び
図8に示されるように、本実施形態に係る粒子測定器10Cは、流路拡張部5dにおける分岐部A側端部の気流通過面積Sa’が、分岐部A側の入口での気流通過面積Saと同じである点が、上記実施形態1及び2と異なる。
【0062】
本実施形態に係る粒子測定器10Cによれば、主流路5bにおける気流通過面積は、分岐部A側の入口から流路拡張部5dにおける分岐部A側端部へ至るまでの流路において、同一の気流通過面積Sa・Sa’となっている。そして、分岐部A側の入口から末端出口Bへ向かい漸次的に増加し、末端出口Bでの気流通過面積Sbが最大となっている。それゆえ、分岐部Aとファン4との距離を小さくした場合であっても、主流路5bを流れる粗大粒子が支流路5c側へ逆流することを防止することができる。
【0063】
〔実施形態4〕
本発明のさらに他の実施形態について、
図9及び
図10に基づいて説明すれば、以下のとおりである。
図9は、本実施形態に係る粒子測定器10Dの概略構成を示し、
図9の(a)は、断面図であり、
図9の(b)は断面斜視図である。
図10は、本実施形態に係る粒子測定器10Dにおける主流路の構成を模式的に示す図である。なお、説明の便宜上、前記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を省略する。また、
図9では、図面を簡潔にするため、ファン4を省略している。
【0064】
実施形態1に係る粒子測定器10Aにおいて、流路拡張部5dを構成する、互いに対向する2つの側壁は、分岐部A側から末端出口B側へ向かうに従って幅広になるように構成されていた。また、流路拡張部5dを構成する、互いに対向する2つの側壁のうち、一方の側壁は、主流7bの方向に平行な面が設けられており、他方の側壁は、主流7bの方向に対して連続的に傾斜した傾斜面が設けられていた。
【0065】
しかし、本実施形態に係る粒子測定器10Dにおいては、流路拡張部5dを構成する、互いに対向する2つの側壁のうち、一方の側壁が、主流7bの方向に平行な面が設けられており、他方の側壁が、主流7bの方向に対して非連続的に傾斜した傾斜面が設けられている点が上記実施形態1と異なる。
【0066】
上記傾斜面において、「非連続的に傾斜した」とは、傾斜面を構成する面が面一になっていないことをいう。「非連続的に傾斜した傾斜面」としては、例えば、
図9及び
図10に示される階段状の傾斜面が挙げられる。
【0067】
〔まとめ〕
本発明の態様1に係る粒子分離装置は、外部から気体を導入する導入流路5aと、上記導入流路5aにおける外部と反対側の末端にある分岐部Aにて分岐した主流路5b及び支流路5cと、上記導入流路5aから、上記分岐部Aを介して、上記主流路5b及び上記支流路5cそれぞれにおける気体が外部へ排出される末端出口B・Dへ向かう気流を発生させる流体駆動部(ファン4)と、を備え、上記導入流路5aから導入される気体(気流7a)に含まれる粒子を、その慣性力によって、上記主流路5b及び上記支流路5cへ分離する粒子分離装置であって、上記主流路5bは、分岐部A側の入口から上記末端出口Bへ至る流路の少なくとも一部において、第1の流路拡張部(流路拡張部5d)を有し、上記第1の流路拡張部(流路拡張部5d)において、気流が通過する気流通過面積Sは、分岐部A側から末端出口B側へ向かうに従って漸次的に増大している。ここで、「漸次的に増大」の範疇には、連続的に増大している構成も非連続的に増大している構成も含まれる。非連続的に増大する構成としては、例えば、第1の流路拡張部(流路拡張部5d)を構成する1つの壁面が、対向する壁面との距離が分岐部A側から末端出口B側へ向かうに従って広くなるように、階段状に傾斜した構成が挙げられる。
【0068】
上記の構成によれば、第1の流路拡張部(流路拡張部5d)は、気流通過面積Sが分岐部A側から末端出口B側へ向かうに従って漸次的に増大しているので、分岐部A側の端部にて流路が絞り込まれた形状になっている。それゆえ、流路拡張部5dを通過する気流(主流7b)の流速は、分岐部A側の端部で最も大きくなり、末端出口Bへ向かうに従い小さくなる。
【0069】
それゆえ、流体駆動部(ファン4)における羽根の回転による乱流に含まれる粗大粒子や主流路5bの壁面と衝突した粗大粒子が分岐部Aへ向かって逆流したとしても、分岐部A側の端部での主流7bの流速が最も大きいため、粗大粒子が分岐部Aから支流路5cへ混入することがない。よって、上記の構成によれば、分岐部Aとファン4との距離を小さくした場合であっても、主流路5bを流れる粗大粒子が支流路5c側へ逆流することを防止できる粒子分離装置を提供することができる。
【0070】
本発明の態様2に係る粒子分離装置は、上記態様1において、上記主流路5bは、分岐部A側の入口から末端出口Bへ至る流路の中で、分岐部A側の入口における気流通過面積Saが最も小さい構成であることが好ましい。
【0071】
上記の構成によれば、主流路5bを通過する気流(主流7b)の流速は、分岐部A側の入口で最も大きくなる。したがって、上記の構成によれば、主流路5bを流れる粗大粒子が支流路5c側へ逆流することを確実に防止することができる。
【0072】
本発明の態様3に係る粒子分離装置は、上記態様1または2において、上記主流路5bは、分岐部A側の入口から末端出口Bへ至る流路の中で、末端出口Bにおける気流通過面積Sbが最も大きい構成であることが好ましい。
【0073】
上記の構成によれば、末端出口Bにおける気流通過面積Sbが最も大きくなっているので、流体駆動部(ファン4)の吸気面積を十分に広く確保することができる。このため、上記の構成によれば、流体駆動部(ファン4)による気流(主流7b)の吸気効率を向上させることができる。
【0074】
本発明の態様4に係る粒子分離装置は、上記態様1から3において、上記第1の流路拡張部(流路拡張部5d)は、上記主流路5bにおける分岐部A側の入口から末端出口Bへ至る流路全体に設けられていてもよい。
【0075】
これにより、分岐部Aと流体駆動部(ファン4)との距離を小さくした場合であっても、主流路5bを流れる粗大粒子が支流路5c側へ逆流することを防止することができる。
【0076】
本発明の態様5に係る粒子測定器10Aは、上記態様1から4の何れかの粒子分離装置と、上記支流路5cの途中に設けられ、気体中の微粒子を測定する測定部(センサ1)と、を備えている。
【0077】
上記の構成によれば、分岐部Aとファン4との距離を小さくした場合であっても、主流路5bを流れる粗大粒子が支流路5c側へ逆流することを防止できる粒子測定器10Aを提供することができる。
【0078】
本発明の態様6に係る粒子測定器10Aは、外部から気体を導入する導入流路5aと、上記導入流路5aにおける外部と反対側の末端にある分岐部Aにて分岐した主流路5b及び支流路5cと、上記導入流路5aから、上記分岐部Aを介して、上記主流路5b及び上記支流路5cそれぞれにおける気体が外部へ排出される末端出口B・Dへ向かう気流を発生させる流体駆動部(ファン4)と、上記支流路5cの途中に設けられ、気体中の微粒子を測定する測定部(センサ1)と、を備え、上記支流路5cは、上記測定部(センサ1)における気体の出口Cから末端出口Dへ至る流路の少なくとも一部において、第2の流路拡張部(傾斜壁面5eを含む流路)を有し、上記第2の流路拡張部(傾斜壁面5eを含む流路)において、気流が通過する気流通過面積は、上記測定部(センサ1)における気体の出口C側から末端出口D側へ向かうに従って漸次的に増大している。
【0079】
ここで、粒子測定器10Aは、1つの流体駆動部(ファン4)を駆動源として、主流7b及び支流7cといった2つの気流を発生させる構成になっている。それゆえ、主流路5bの末端出口Bから排出された粗大粒子が、流体駆動部(ファン4)の羽の回転によって、支流路5cの末端出口Dから測定部(センサ1)へ逆流するおそれがある。
【0080】
上記の構成によれば、測定部(センサ1)における気体の出口Cから末端出口Dへ至る流路の少なくとも一部において、上記第2の流路拡張部を有するので、第2の流路拡張部を通過する気流(支流7c)の流速は、出口C側の端部で最も大きくなり、末端出口Dへ向かうに従い小さくなる。それゆえ、主流路5bの末端出口Bから排出された粗大粒子が、支流路5cの末端出口Dからセンサ1へ逆流したとしても、出口C側の端部での主流7bの流速が最も大きいため、粗大粒子がセンサ1へ混入することがない。
【0081】
本発明の態様7に係る粒子測定器10Aは、上記態様6において、上記支流路5cは、上記測定部(センサ1)における気体の出口Cから末端出口Dへ至る流路の中で、上記測定部(センサ1)における気体の出口Cの気流通過面積が最も小さい構成であることが好ましい。
【0082】
上記の構成によれば、支流路5cを通過する気流(支流7c)の流速は、上記測定部(センサ1)における気体の出口Cで最も大きくなる。したがって、粗大粒子の上記測定部(センサ1)への逆流を確実に防止することができる。
【0083】
本発明の態様8に係る粒子測定器10Aは、上記態様6または7において、上記支流路5cは、上記分岐部A側の入口から末端出口Dへ至る流路の中で、末端出口Dにおける気流通過面積が最も大きい構成であることが好ましい。
【0084】
上記の構成によれば、支流路5cの末端出口Dにおける気流通過面積が最も大きくなっているので、流体駆動部(ファン4)の吸気面積を十分に広く確保することができる。このため、流体駆動部(ファン4)による気流(支流7c)の吸気効率を向上させることができる。
【0085】
本発明の態様9に係る粒子分離装置は、上記態様1から4において、流路拡張部5dにおける分岐部A側の端部の気流通過面積Sa’が、分岐部A側の入口での気流通過面積Saと同じである構成であってもよい。
【0086】
本発明の態様10に係る粒子分離装置は、上記態様1から4、9において、上記流体駆動部(ファン4)が1つ設けられていることが好ましい。これにより、粒子分離装置をさらに小型化することができる。
【0087】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。さらに、各実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を組み合わせることにより、新しい技術的特徴を形成することができる。