(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5837199
(24)【登録日】2015年11月13日
(45)【発行日】2015年12月24日
(54)【発明の名称】自動車ドライバの運転操作を支援する方法及び装置
(51)【国際特許分類】
B60R 21/00 20060101AFI20151203BHJP
G08G 1/16 20060101ALI20151203BHJP
【FI】
B60R21/00 628D
B60R21/00 621B
B60R21/00 621E
B60R21/00 621D
G08G1/16 C
【請求項の数】7
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2014-525367(P2014-525367)
(86)(22)【出願日】2012年7月16日
(65)【公表番号】特表2014-524382(P2014-524382A)
(43)【公表日】2014年9月22日
(86)【国際出願番号】EP2012063917
(87)【国際公開番号】WO2013023854
(87)【国際公開日】20130221
【審査請求日】2014年2月12日
(31)【優先権主張番号】102011080930.9
(32)【優先日】2011年8月12日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】390023711
【氏名又は名称】ローベルト ボツシユ ゲゼルシヤフト ミツト ベシユレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100099483
【弁理士】
【氏名又は名称】久野 琢也
(72)【発明者】
【氏名】フォルカー ニームツ
【審査官】
田々井 正吾
(56)【参考文献】
【文献】
特開2002−120677(JP,A)
【文献】
特開2003−335196(JP,A)
【文献】
特開2010−076760(JP,A)
【文献】
特開2008−290669(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2012/0191337(US,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2011/0063131(US,A1)
【文献】
国際公開第2009/078356(WO,A1)
【文献】
国際公開第2009/065492(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 21/00
G08G 1/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車(1)の側方の周囲を、リア領域に設けられた第1センサ(3)とフロント領域に設けられた第2センサ(5)により捕捉する、
自動車(1)のドライバの運転操作を支援する方法において、
所定の走行区間中に順次取得された前記第1センサ(3)から物体(7)までの距離値(13)に基づき、物体エッジ(15)を求め、
前記物体エッジ(15)を延長した直線(17)と、前記物体(7)を捕捉していない第2センサ(5)の捕捉領域(9)の境界を前記第1センサ(3)の側で規定する直線(11)とが交差する位置に存在する接触ポイント(19)を設定し、
前記物体(7)を捕捉していない前記第2センサ(5)の捕捉領域の境界を前記第1センサ(3)の側で規定する前記直線(11)は、前記物体(7)まで最小距離のところで実行される測定において捕捉領域の境界を規定する直線である、
ことを特徴とする、
自動車(1)のドライバの運転操作を支援する方法。
【請求項2】
前記運転操作を実行するために、前記自動車(1)を移動させる軌跡(21)を計算し、設定された前記接触ポイント(19)に前記自動車(1)が接触しないように、該軌跡(21)を決定する、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記運転操作の実行において、運転操作中に前記自動車(1)が設定された前記接触ポイント(19)に接近したときに距離警告を送出する、請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
前記運転操作は入庫操作、出庫操作または入れ替え操作である、請求項1から3のいずれか1項記載の方法。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項記載の方法を実施するための装置において、
自動車(1)の側方の周囲を捕捉するための、該自動車(1)のリア領域に配置された第1センサ(3)と、フロント領域に配置された第2センサ(5)と、
前記第1センサ(3)により順次行われる測定により捕捉された距離値(13)から物体エッジ(15)を求めて接触ポイント(19)を設定する手段が設けられており、
該接触ポイント(19)は、前記物体エッジ(15)を延長した直線(17)と、前記物体(7)を捕捉していない前記第2センサ(5)の捕捉領域の境界を前記第1センサ(3)の側で規定する直線(11)とが交差する位置に存在する
ことを特徴とする装置。
【請求項6】
前記第1センサ(3)により順次行われる測定により捕捉された距離値(13)から物体エッジ(15)を求めて接触ポイント(19)を設定する前記手段は、ドライブアシストシステムの制御装置を含む、請求項5記載の装置。
【請求項7】
リア領域に配置された前記第1センサ(3)と、フロント領域に配置された前記第2センサ(5)は、それぞれ互いに独立したものとして、超音波センサ、赤外線センサ、レーダセンサ、ライダセンサまたは光学センサである、請求項6記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の上位概念に記載の自動車ドライバの運転操作を支援する方法に関する。さらに本発明は、この方法を実施するための装置に関する。
【0002】
自動車ドライバの運転操作を支援するために、すでに数多くの様々なドライブアシストシステムが存在しており、例えば駐車する際もしくは駐車スペースから出庫する際にドライバを支援するシステムが存在している。この場合、車両に設けられた距離センサによって、自動車周囲に存在する物体までの距離を測定する。その際、センサは一般的に自動車のフロント領域とリア領域に設けられる。
【0003】
殊に縦列駐車のときに必要とされるのは、実際に駐車を行っている間、自動車脇の側方周囲を繰り返し測定して、例えば車両−スペース−柱−車両といったシーンを識別できるようにすることである。
【0004】
この目的で現在知られているシステムの場合、リア領域に2つの付加的なセンサが設けられ、これらのセンサのセンシング方向は実質的に走行方向を横断する方向に配向されている。
【0005】
さらに周囲を捕捉するために超音波センサを使用し、近傍領域で検出された物体をマップに登録して、ナビゲーションにおいてドライバを支援するようにしたシステムも知られている。これによって例えば、フロントセンサ又はリアセンサにより捕捉され、通過する際、運転操作において妨害となるかもしれない柱を把握できるようになる。なぜならば、捕捉された柱の本来のポジションは車両が動いている間中、記憶されたままだからである。
【0006】
車両が辿る細長い走行経路中に、捕捉されてマップに登録されていた物体が存在しているならば、ドライバに対しそれ相応に警告を発することができる。
【0007】
例えばDE-A 10 2009 024 062またはDE-A 10 2008 001 648には、周囲を捕捉し周辺マップを作成するようにした運転操作における周囲捕捉方法が知られている。この場合、車両周囲の物体がセンサの視野から消えても、その物体を引き続き追跡できるように、周辺マップがそのつど記憶される。
【0008】
しかしながらこれら公知の方法の欠点は、周辺マップ作成にあたり最初に車両の周囲を捕捉しなければならないことである。殊に駐車スペースから出庫するときの運転操作においては、最初はこれは不可能である。周辺マップは出庫過程中に初めて作成することができる。ただしその場合、出庫時にカーブを走行すると、車両側方の物体が捕捉されない、というリスクが発生する。入庫の際に作成された周辺マップを利用しても、ほとんど役に立たない。なぜならば、例えば隣り合う駐車スペースに入る車両が入れ替わってしまうことで、自動車駐車中に周囲が変化してしまう可能性があるからである。
【0009】
発明の概要
発明の利点
自動車のドライバの運転操作を支援する本発明による方法によれば、自動車の側方周囲を、リア領域に設けられた第1センサとフロント領域に設けられた第2センサにより捕捉する。その際、短い走行区間中に順次取得された第1センサから物体までの距離値に基づき、物体エッジを求め、接触ポイントを設定する。この接触ポイントは、物体エッジを延長した直線と、第1センサの側で物体を捕捉していない第2センサの捕捉領域の境界を規定する直線とが交差する位置に存在する。
【0010】
本発明による方法によれば、例えば駐車スペースから出庫するときのように、短い走行区間を辿った後にすでに、計算された接触ポイントに車両が接近したならば警告を発生させることができる。接触ポイントは車両側方において物体の外側に位置しているので、このようにすれば物体との衝突が確実に回避される。
【0011】
本発明の1つの実施形態によれば、運転操作を実行するために、自動車を移動させる軌跡を計算し、設定された接触ポイントに自動車が接触しないように、この軌跡を決定する。軌跡を計算することによって、運転操作を自動的にまたは半自動的に実行することが可能となる。設定された接触ポイントを考慮して軌跡を計算することによって、例えば車両と隣り合う物体との衝突などのような危険な状況が発生することなく、運転操作を確実に実行することができる。
【0012】
本発明との関連で自動運転操作とは、車両の縦方向の移動も横方向の移動も自動的に実行される運転操作のことを意図しており、つまり車両の制動、速度保持、加速、車両の操舵が自動的に実行される運転操作のことを表している。この場合、ドライバの役割は、監視の機能を果たすことだけである。半自動運転操作の場合、例えば車両の縦方向の移動が自動的に行われ、計算された軌跡をドライバが追従できるよう、ドライバに対しては必要な操舵の動きが指示されるようにすることが可能である。他方、その代案として、操舵の動きが自動的に実行され、ドライバの役割を車両の縦方向移動とすることも可能である。半自動運転操作のさらに別の実施形態によれば、計算された軌跡を追従するためにドライバに対し必要な操舵の動きが指示され、かつ縦方向の動きも横方向の動きも自動車のドライバによって実行される。
【0013】
本発明の1つの有利な実施形態によれば、運転操作が実行されているとき、自動車が設定された接触ポイントに運転操作中に接近したならば、距離警告が発せられる。このような距離警告の発生は、運転操作が自動で実行されるのか半自動で実行されるのか、あるいはドライバ自身が運転操作を実行するのか、ということには関係なく行われる。自動車が設定された接触ポイントに接近したという、ドライバに発せられる警告に基づき、ドライバは物体との衝突を避けるための措置をとることができる。したがって例えばドライバは衝突を回避するために、車両を適時に停止させることができるし、あるいは車両が進む方向を変えることができる。
【0014】
距離警告の送出は例えば、聴覚的、視覚的または触覚的に行うことができる。これらの送出手法の組み合わせも可能である。したがって例えば殊に有利であるのは、距離警告を聴覚的及び視覚的に送出させることである。聴覚的な距離警告を、例えばシグナルトーンの送信によって行うことができる。その際に有利であるのは、接触ポイントまでの距離が縮まるにつれてシグナルトーンの送信頻度を高めることである。接触ポイントまでの距離が予め定められた距離よりも短くなると、持続的なシグナルが送信される。視覚的な距離警告の場合に可能であるのは、例えば光のバーないしはライトバーを設け、接触ポイントまでの距離が縮まるにつれて、点灯するライトバーの個数が増えるようにすることである。予め定められた距離よりも短くなると、例えばライトバーの色が変化するように設定することができ、例えば赤いライトバーになるようにする。さらに例えば、ナビゲーションシステムのモニタなどの表示装置に、車両の2次元描画を行わせることも可能である。この場合、物体の位置を描画としてそのまま表示させることができる。このようにすることによって、ドライバは物体の位置に関する付加的な指示を受け取ることができ、したがって物体との衝突を回避するために必要とされる所期の措置を講ずることができる。
【0015】
さらに、運転操作をできるかぎりまっすぐに、そしてできるかぎり僅かな車両移動で行えるようにする目的で有利であるのは、物体を捕捉していない第2センサの捕捉領域の境界を第1センサの側で規定する直線を、物体まで最小距離のところで実行された測定において捕捉領域の境界を成す直線とすることである。例えば駐車スペースから出庫する場合であれば、物体まで最小距離のところで実行された測定は、センサにより実行された最初の測定である。これに対し入庫過程であるならば、センサにより実行された最後のないしは直前の測定が、物体まで最小距離のところで実行された測定となる。物体まで最小距離を有する接触ポイントを規定する直線を用いることによって、接触ポイントと物体との距離ができるかぎり短くなるように接触ポイントが設定される。このようにして、車両が走行する際に辿る軌跡ができるかぎり物体の近くを通過するように選定することができる。これによって例えば出庫過程の際、対向車線に達することなくパークスペースから出庫できるようになる。さらにこれによって例えば、接触ポイントが物体からもっと隔たっているならば何度も移動を行う必要があるようないくつかの運転操作を行うにあたり、1回の車両移動で運転操作を実行することができる。
【0016】
運転操作の実行直前に車両のエンジンが始動された場合には、実行される運転操作を例えば出庫操作とすることができる。他方、自動車のエンジンがすでに長い間稼動しており、自動車が動いていたならば、入庫操作とすることができる。
【0017】
入庫操作または出庫操作のほか、運転操作を他の任意の入れ替え操作とすることもできる。例えば他の入れ替え操作を、場合によっては1回の移動だけでは済まない狭いカーブを走行する可能性があるような、狭い道路や路地での入れ替え操作とすることができる。個々の車両移動を1回の移動で実行できるけれども、運転操作実行のためにほとんどスペースがない場合も、狭い道路や路地での走行を入れ替え操作とみなすことができる。
【0018】
本発明による方法を実施するための装置には、自動車の側方の周囲を捕捉するための、自動車のリア領域に配置された第1センサと、自動車のフロント領域に配置された第2センサと、第1センサにより順次行われる測定により捕捉された距離値から物体エッジを求めて接触ポイントを設定する手段が設けられており、この接触ポイントは、物体エッジを延長した直線と、物体を捕捉していないセンサの捕捉領域の境界を第1センサの側で規定する直線とが交差する位置に存在する。
【0019】
第1センサにより順次行われる測定により捕捉された距離値から物体エッジを求めて接触ポイントを設定する手段には、例えばドライバアシストシステムの制御装置が含まれている。例えばこの場合、入庫アシストシステムの制御装置を利用することができる。そのような制御装置には、測定値から物体エッジを求めるためにそのつど先行の測定結果を記憶させることのできる記憶手段が必ず設けられる。さらに、捕捉領域を規定する直線を求める目的で第2センサによる最初の測定を使用する場合、対応するそれらのデータを記憶する必要もある。そのようにすれば、プロセッサ及び適切なソフトウェアを用いることで、センサにより捕捉されたデータから接触ポイントを求めることができる。
【0020】
周囲を捕捉するためには通常、距離センサが用いられる。その際、リア領域に配置された第1センサと、フロント領域に配置された第2センサを、それぞれ互いに独立したものとして、超音波センサ、赤外線センサ、レーダセンサ、ライダセンサまたは光学センサとすることができる。その際に有利であるのは、フロント領域におけるセンサとリア領域におけるセンサを同種のものとすることである。とはいえ、それぞれ異なるセンサを使用することもできる。本発明においては光学センサとは例えば、ビデオに基づくセンサシステムのことである。ビデオに基づくこの種のセンサシステムを使用する場合、それを例えば自動車のサイドミラーに取り付けることができる。ここで自動車のサイドミラーは、フロント領域にあるとみなされる。
【0021】
図面には本発明の実施例が示されており、次にそれらの実施例について詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図2】設定された接触ポイントを考慮した出庫操作を示す図
【
図3】設定された接触ポイントを考慮しない出庫操作を示す図
【0023】
発明を実施するための形態
図1には本発明による方法が略示されている。
【0024】
運転操作が行われる自動車1は、リア領域の第1センサ3とフロント領域の第2センサ5によって側方周囲を捕捉する。これらに加え、フロント領域とリア領域に設けられたさらに別のセンサによって、自動車前方及び後方の周囲も捕捉される。このことは
図1には描かれていない。なぜならばフロント領域及びリア領域の周囲を捕捉することは、本発明による接触ポイントの決定手法にとって重要ではないからである。
【0025】
自動車1のリア領域に設けられた第1センサ3によって物体が捕捉される。ここに図示されている実施形態では、この物体は駐車中の自動車7である。第1センサ3による測定によって、自動車1と駐車中の自動車7との距離Iが測定される。
【0026】
自動車1のポジションと駐車中の自動車7のポジションがずれているので、駐車中の自動車7は第2センサ5の捕捉領域9内には存在しない。駐車中の自動車7に向いた側で第2センサ5の捕捉領域の境界を規定する直線11の位置が、本発明による方法を実施するドライブアシストシステムのメモリに記憶される。
【0027】
運転操作実行中、自動車1は移動する。自動車の移動中、第1センサ3と第2センサ5によってさらに測定が行われる。自動車1,7相互間のポジションに起因して、自動車1が前進運動しても自動車1のリア領域に設けられた第1センサ3によってしか信号が受信されない。この信号は、駐車中の自動車7までの測定距離Iをそれぞれ成している。自動車1の走行中に様々なポジションで行われる距離Iの測定について、
図1では測定ポイント13によって例示されている。
【0028】
測定ポイント13の位置から、駐車中の自動車7の物体エッジ15が求められる。この場合、物体エッジ15は、駐車中の自動車7の向きを表している。次のステップでは、物体エッジ15に沿って直線17が形成される。
【0029】
物体エッジ15に沿った直線17と、第2センサ5の捕捉領域9の境界を規定する直線11との交点から、接触ポイント19が設定される。本発明によればこの接触ポイント19が、駐車中の自動車7の前方境界とされる。
【0030】
自動車1のドライバが運転操作中、接触ポイント19に近づくと、接触ポイント19に側方が接近したことの警告が送出される。これによりドライバは、駐車中の自動車7との衝突が回避されるよう、運転操作を適合させることができる。
【0031】
自動車1のドライバへ送出される警告を、視覚的及び/又は音響的に行うことができる。触覚的な警告も考えられる。ただし有利であるのは、場合によっては音響による警告と合わせて視覚的な警告を行うことである。
【0032】
ドライバに対し視覚的に警告するための1つのやり方は、例えば接触ポイント19との距離が縮まるにつれて長くなるような光のバーないしはライトバーを設けることである。これに対する代案として、例えば接触ポイント19との距離が縮まるにつれて点灯するLEDの個数が増えるようにしたLEDを設けることもできる。これに加え、予め定められた最小距離を下回ったときに、自動車1のドライバにさらに警告を与える目的で、色を変えることもできる。音響による警告を行う場合には通常、トーン信号が繰り返し送信されるが、同様にこの場合も接触ポイント19との距離が縮まるにつれて、送信されるトーンの頻度が増えるようにする。予め定められた最小距離を下回ったときに、ドライバにさらに警告を与える目的で、持続トーンが送信される。
【0033】
ライトバーやLEDによる既述の視覚的警告に対する代案として、ドライバの視野内に配置された例えばナビゲーションシステムのモニタなどの表示装置あるいは他の任意の表示装置に2次元で表示を行い、そこには自動車1が俯瞰図で描かれ、さらに自動車周囲の測定物体も描かれる。この場合、接触ポイント19も表示可能であり、そのことでドライバに対し接触ポイント19への接近を示すことができる。
【0034】
ドライバが運転操作を行っているときにドライバに警告を発することに加えて、あるいは警告を発する代わりに、本発明による方法を自動運転操作または半自動運転操作に利用することもできる。この場合、運転操作はある軌跡に沿って行われることになるが、そのような軌跡が計算されて、接触ポイント19と接触しないように車両が動かされる。
【0035】
図2には、出庫操作に関する軌跡が例示されている。
【0036】
自動車1は駐車スペースから出庫するため、右後部コーナーのところで軌跡21に沿って移動する。ここでは駐車スペースは、駐車中の自動車7によって区切られている。最初に、
図1に示したようにして接触ポイント19が計算される。次に、接触ポイント19に基づき軌跡21が求められ、自動車1はこの軌跡に沿って、駐車中の自動車7と衝突するおそれなく移動することができる。接触ポイント19は第2センサ5の捕捉領域の境界を成す直線上に存在し、かつ第2センサ5によっても物体は検出されていないことから、接触ポイント19は駐車中の自動車7の外側に位置しているのは既知であるので、接触ポイント19を通って軌跡21を導くことができる。ただしいっそう有利であるのは、軌跡が接触ポイント19の周囲に沿って案内されるようにすることである。
【0037】
軌跡21が接触ポイント19の周囲に沿って案内されるように軌跡21を計算するのが有利となるのは、ドライバにとって例えば自動車のハンドル操作などの役割が依然として必須である場合であり、つまりセミオートマチックの運転操作が実行されているときである。
【0038】
図2に破線で描かれているのは、自動車が接触ポイント19つまりは駐車中の自動車7に対し次の段階のポジションに位置しているときの、運転操作実行中の自動車のポジションである。この場合には自動車の動きは、駐車中の自動車7と衝突しないように、すなわち自動車1が駐車スペースから危険なく出庫できるように進行する。
【0039】
これに対し
図3の場合、駐車中の自動車7との衝突に至ってしまう軌跡23の経過が示されている。
【0040】
図3に示されている実施形態の場合、自動車1の右後部コーナーの軌跡23は、接触ポイント19を通ってまたはその周囲に沿って案内されているのではなく、駐車中の自動車7の側で接触ポイント19の前を通過している。その結果、自動車1は過度に狭い弧を描いて駐車中の自動車7の周囲に沿って案内され、軌跡23が駐車中の自動車7に最も近いところを通過しようとする個所で、衝突に至ってしまう。
【0041】
接触ポイント19を決定してそれを考慮することにより、
図3に示されているような衝突を回避することができる。したがって自動車周囲の物体を損傷させるリスクなく、そして当然ながら自身の自動車1も損傷させることなく、いっそう安全な出庫を行うことができるようになる。