特許第5837253号(P5837253)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】5837253
(24)【登録日】2015年11月13日
(45)【発行日】2015年12月24日
(54)【発明の名称】燃料電池のスタック構造体
(51)【国際特許分類】
   H01M 8/02 20060101AFI20151203BHJP
   H01M 8/24 20060101ALI20151203BHJP
【FI】
   H01M8/02 Y
   H01M8/24 E
   H01M8/24 M
【請求項の数】4
【全頁数】41
(21)【出願番号】特願2015-181693(P2015-181693)
(22)【出願日】2015年9月15日
【審査請求日】2015年9月16日
(31)【優先権主張番号】特願2014-188470(P2014-188470)
(32)【優先日】2014年9月17日
(33)【優先権主張国】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000004064
【氏名又は名称】日本碍子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000202
【氏名又は名称】新樹グローバル・アイピー特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】中村 俊之
(72)【発明者】
【氏名】岡本 真理子
(72)【発明者】
【氏名】龍 崇
(72)【発明者】
【氏名】大森 誠
【審査官】 守安 太郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−282130(JP,A)
【文献】 特開2008−059793(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 8/02
H01M 8/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれが、長手方向を有し且つその内部に前記長手方向に沿う燃料ガス流路が形成された支持基板と、前記支持基板の表面に設けられ且つ少なくとも燃料極、固体電解質膜、及び空気極が積層されてなる発電素子部と、を含む複数の燃料電池セルと、
内部空間を有する燃料マニホールドであって、前記各セルが燃料マニホールドの上壁から上方に向けて前記長手方向に沿ってそれぞれ突出するように、且つ、上方から見たとき、前記複数のセルが第1方向に沿って互いに離れてスタック状に整列するように、且つ、前記内部空間と前記複数のセルの前記燃料ガス流路のそれぞれの燃料ガス流入側の一端部とが連通するように、前記各セルの前記支持基板の前記長手方向における燃料ガス流入側の一端部を前記上壁に対して接合・支持する燃料マニホールドと、
それぞれが、対応する隣り合う前記セルの間の空間に配置され、前記対応する隣り合うセルの間を電気的に接続する複数の集電部材と、
を備えた燃料電池のスタック構造体であって、
前記複数の集電部材は、酸化物セラミックスの焼成体で構成された複数の第1部材と、ばね構造を有し且つ金属で構成された1つ又は複数の第2部材と、からなり、
前記複数の集電部材は、前記第2部材が前記第1方向において連続して配置されないように、前記第1方向に沿って配置された、燃料電池のスタック構造体。
【請求項2】
支持板を有する燃料マニホールドと、
前記燃料マニホールドに支持される複数の燃料電池セルであって、前記燃料マニホールドの支持板から延び、互いに間隔をあけて第1方向に沿って配置される複数の燃料電池セルと、
前記各燃料電池セルの間に配置され、隣り合う前記各燃料電池セルを電気的に接続する、酸化物セラミックスの焼成体で構成された第1部材と、
前記第1部材及び前記複数の燃料電池セルによって構成された複数のセル集電体の間に配置され、隣り合う前記各セル集電体を電気的に接続する、バネ構造を有し且つ金属で構成された第2部材と、
を備える、燃料電池のスタック構造体。
【請求項3】
前記第1部材及び前記第2部材は、前記第2部材が連続して配置されないよう、前記第1方向に沿って配置される、
請求項2に記載の燃料電池のスタック構造体。
【請求項4】
前記第1方向において、各セル集合体の近位端部の幅に対する、各セル集合体の遠位端部の幅の割合は、0.958〜1.06である、
請求項2又は3に記載の燃料電池のスタック構造体。



【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料電池のスタック構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、スタック状に整列した複数の燃料電池セルが燃料マニホールドの上壁に接合・支持された固体酸化物形燃料電池のスタック構造体が知られている(例えば、特許文献1を参照)。各セルは、長手方向を有し且つその内部に前記長手方向に沿う燃料ガス流路が形成された支持基板と、前記支持基板の表面に設けられ且つ少なくとも燃料極、固体電解質膜、及び空気極が積層されてなる発電素子部と、を備えている。
【0003】
燃料マニホールドは、内部空間を有する。燃料マニホールドは、各セルが燃料マニホールドの上壁から上方に向けて前記長手方向に沿ってそれぞれ突出するように、且つ、上方から見たとき、前記複数のセルが第1方向に沿って互いに離れてスタック状に整列するように、且つ、前記内部空間と前記複数のセルの前記燃料ガス流路のそれぞれの燃料ガス流入側の一端部とが連通するように、前記各セルの前記支持基板の前記長手方向における燃料ガス流入側の一端部を前記上壁に対して接合・支持している。隣り合う前記セルの間の空間(以下、「セル間空間」と呼ぶ)には、隣り合うセルの間を電気的に接続する集電部材がそれぞれ設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第5551803号公報
【発明の概要】
【0005】
近年、導電性を有する酸化物セラミックスの焼成体(バルク体)で構成された前記集電部材が提案されてきている。前記集電部材がステンレス等で構成される場合には、燃料電池の稼働状態にて高温の集電部材の表面から蒸発したクロム(Cr)が電極に到達することによって、電極(特に、空気極)の反応を劣化させる現象(所謂、クロム被毒)が発生し易い。これに対し、前記集電部材が酸化物セラミックスの焼成体で構成される場合、上記クロム被毒の問題が発生し得ない。
【0006】
ところで、上記スタック構造体では、各構成部品の形状・寸法のばらつき、並びに、各構成部品の高温時での変形等に起因して、隣り合うセルの相対位置関係にずれが発生し得る。この問題は、スタック数(スタック状に整列するセルの枚数)が大きい場合に特に発生し易い。
【0007】
酸化物セラミックスの焼成体(バルク体)は、ばね構造を有さないので、変形し難い。従って、上記のような隣り合うセルの相対位置関係のずれに起因して集電部材に応力が作用した場合、この応力が緩和され難い。この結果、集電部材とセルとの接合箇所等にクラックが発生して隣り合うセルの間での電気的な接続が良好に維持されない、という問題が発生し得る。
【0008】
本発明は、この問題に対処するためになされたものであり、隣り合うセル間を電気的に接続する集電部材として酸化物セラミックスの焼成体(バルク体)が使用される燃料電池のスタック構造体であって、隣り合うセル間での電気的な接続が良好に維持され易いものを提供することを目的とする。
【0009】
本発明に係る燃料電池のスタック構造体の特徴は、「前記複数の集電部材が、酸化物セラミックスの焼成体(バルク体、ばね構造を有さない)で構成された複数の第1部材と、ばね構造を有し且つ金属で構成された1つ又は複数の第2部材と、からなり、且つ、前記複数の集電部材が、前記第2部材が前記第1方向において連続して配置されないように、前記第1方向に沿って配置された点」にある。ここで、前記第2部材の外表面にセラミックスで構成されたコーティング膜が形成されてもよい。このコーティング膜は、緻密質(気孔率が10%以下)の膜であっても、多孔質(気孔率が10%より大きい)の膜であってもよい。これにより、第2部材がクロムを含む金属で構成される場合において、第2部材の表面から蒸発したクロムに起因する上記クロム被毒の問題が発生し難くなる。
【0010】
上記本発明の特徴によれば、第2部材が第1方向において連続して配置されないことによって、複数の第2部材が第1方向において特定の箇所に集まって配置されることなく、第1方向において広い範囲に亘って配置される。この第2部材は、ばね構造を有するので、変形し易い。従って、第2部材が介在する隣り合うセルの間に相対位置関係のずれが発生した場合には、その第2部材が変形することによって、そのずれに起因してその第2部材に作用する応力が緩和され得る。この結果、第2部材とセルとの接合箇所等にクラックが発生し難くなる。
【0011】
また、第1部材が介在する隣り合うセルの間に相対位置関係のずれが発生した場合には、その隣り合うセルの近くに位置する第2部材が変形し得ることによって、その隣り合うセルの相対位置関係のずれが小さくなり得る。従って、そのずれに起因してその第1部材に作用する応力が緩和され得る。この結果、第1部材とセルとの接合箇所等にクラックが発生し難くなる。以上より、スタック全体として、集電部材とセルとの接合箇所等にクラックが発生し難くなるので、隣り合うセルの間での電気的な接続が良好に維持され易い。
【0012】
上記本発明の特徴にある「複数の集電部材の配置」は、例えば、以下の手順によって得られる。即ち、隣り合うセルが集電部材としての第1部材によって接合されたスタック数が2以上の部分的なスタック(以下、「セル集合体」と呼ぶ)が複数準備される。次に、これら複数のセル集合体が、全てのセルが一列に整列するように配置される。そして、隣り合うセル集合体の間で向かい合う2つのセル(以下、「対向セル」と呼ぶ)が、集電部材としての第2部材によって接合される。ここで、第1部材が連続して配置される最大数をN以下(N:自然数)とするためには、各セル集合体のスタック数を(N+1)以下とすればよい。
【0013】
上記のように、複数のセル集合体を利用してスタック構造体を得る場合、対向セルについて、相対位置関係のずれが特に発生し易い。この点、対向セルは、変形し易い第2部材によって接合されている。従って、この第2部材と対向セルとの接合箇所等にクラックが発生し難くなるので、対向セルの間での電気的な接続が良好に維持され易い。
【0014】
本発明の第2側面に係る燃料電池のスタック構造体は、燃料マニホールドと、複数の燃料電池セルと、第1部材と、第2部材とを備える。燃料マニホールドは、支持板を有する。各燃料電池セルは、燃料マニホールドに支持される。また、各燃料電池セルは、燃料マニホールドの支持板から延び、互いに間隔をあけて第1方向に沿って配置される。第1部材は、各燃料電池セルの間に配置され、隣り合う各燃料電池セルを電気的に接続している。この第1部材と各燃料電池セルによって、セル集合体が構成される。第1部材は、導電性の酸化物セラミックスの焼成体で構成されている。第2部材は、各セル集合体の間に配置され、隣り合うセル集合体を電気的に接続する。第2部材は、ばね構造を有し且つ金属で構成されている。
【0015】
この構成によれば、各燃料電池セルを電気的に接続する第1部材は導電性の酸化物セラミックスの焼成体で構成されているため、上述したクロム被毒の問題を抑制できる。また、各セル集合体を電気的に接続する第2部材はばね構造を有している。このため、第2部材が変形することによって、各セル集合体間の位置ずれを吸収することができる。この結果、第2部材とセルとの接合箇所等にクラックが発生し難くなる。
【0016】
好ましくは、第1部材及び第2部材は、第2部材が連続して配置されないよう、第1方向に沿って配置される。この構成によれば、複数の第2部材が第1方向において特定の箇所に集まって配置されることがなく、第1方向において広い範囲に亘って配置されている。このため、第2部材がステンレス鋼などのクロムを含む金属で構成される場合であっても、第2部材に起因するクロム被毒の問題を抑制することができる。
【0017】
好ましくは、第1方向において、各セル集合体の近位端部の幅に対する、各セル集合体の遠位端部の幅の割合が、0.958〜1.06である。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の実施形態に係る燃料電池のスタック構造体に使用される1つのセルを示す斜視図である。
図2図1に示すセルの2−2線に対応する断面図である。
図3図1に示す支持基板の凹部に埋設された燃料極及びインターコネクタの状態を示した平面図である。
図4図1に示すセルの作動状態を説明するための図である。
図5図1に示すセルの作動状態における電流の流れを説明するための図である。
図6図1に示す支持基板を示す斜視図である。
図7図1に示すセルの製造過程における第1段階における図2に対応する断面図である。
図8図1に示すセルの製造過程における第2段階における図2に対応する断面図である。
図9図1に示すセルの製造過程における第3段階における図2に対応する断面図である。
図10図1に示すセルの製造過程における第4段階における図2に対応する断面図である。
図11図1に示すセルの製造過程における第5段階における図2に対応する断面図である。
図12図1に示すセルの製造過程における第6段階における図2に対応する断面図である。
図13図1に示すセルの製造過程における第7段階における図2に対応する断面図である。
図14図1に示すセルの製造過程における第8段階における図2に対応する断面図である。
図15】本発明の実施形態に係る燃料電池のスタック構造体の全体の斜視図である。
図16図15に示した燃料マニホールドの全体の斜視図である。
図17図16に示した支持板に形成された挿入孔の拡大図である。
図18】挿入孔とセルの一端部との接合部の様子を示した横断面図である。
図19】挿入孔とセルの一端部との接合部の様子を示した縦断面図である。
図20】スタック全体における複数の集電部材の配置を示した側面図である。
図21】空気マニホールドと、スタックと、壁との位置関係を示した図である。
図22図20に示した空気マニホールドの正面図である。
図23】セル間空間を空気が移動する経路を説明するための図である。
図24】セル集合体の構成を説明するための図である。
図25】本実施形態に係るスタック構造体についてのセル集合体を用いた製造過程の第1段階を示した図20に対応する図である。
図26】本実施形態に係るスタック構造体についてのセル集合体を用いた製造過程の第2段階を示した図20に対応する図である。
図27】本実施形態に係るスタック構造体についてのセル集合体を用いた他の製造過程の第1段階を示した図20に対応する図である。
図28】本実施形態に係るスタック構造体についてのセル集合体を用いた他の製造過程の第2段階を示した図20に対応する図である。
図29】セル集合体を用いて組み付けられた比較例に係るスタック構造体を示した図20に対応する図である。
図30】本発明の実施形態の変形例に係る燃料電池のスタック構造体の図20に対応する図である。
図31図30に示した変形例における空気マニホールドの正面図である。
図32】本発明の実施形態の変形例に係る燃料電池のスタック構造体を示す図である。
図33】本発明の実施形態の変形例に係る燃料電池のスタック構造体を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
(スタック構造体に使用されるセルの構成の一例)
先ず、本発明の実施形態に係る固体酸化物形燃料電池(SOFC)のスタック構造体に使用されるセル100について説明する。図1に示すように、このセル100は、長手方向(x軸方向)を有する平板状の支持基板10の上下面(互いに平行な両側の主面(平面))のそれぞれに、電気的に直列に接続された複数(本例では、4つ)の同形の発電素子部Aが長手方向において所定の間隔をおいて配置された、所謂「横縞型」と呼ばれる構成を有する。
【0020】
このセル100の全体を上方からみた形状は、長方形である。例えば、セル100の長手方向の長さL1は50〜500mmとすることができ、好ましくは、150〜300mmである。また、セル100の長手方向に直交する幅方向(y軸方向)の長さL2は、10〜100mmとすることができる。セル100の長手方向の長さL1は、幅方向の長さL2よりも長い(L1>L2)。このセル100の全体の厚さL3は、1〜5mmである(L2>L3)。このセル100の全体は、厚さ方向の中心を通り且つ支持基板10の主面に平行な面に対して上下対称の形状を有する。以下、図1に加えて、このセル100の図1に示す2−2線に対応する部分断面図である図2を参照しながら、このセル100の詳細について説明する。図2は、代表的な1組の隣り合う発電素子部A,Aのそれぞれの構成(の一部)、並びに、発電素子部A,A間の構成を示す部分断面図である。その他の組の隣り合う発電素子部A,A間の構成も、図2に示す構成と同様である。
【0021】
支持基板10は、電子伝導性を有さない多孔質の材料からなる平板状の焼成体である。後述する図6に示すように、支持基板10の内部には、長手方向に延びる複数(本例では、6本)の燃料ガス流路11(貫通孔)が幅方向において所定の間隔をおいて形成されている。本例では、各凹部12は、支持基板10の材料からなる底壁と、全周に亘って支持基板10の材料からなる周方向に閉じた側壁(長手方向に沿う2つの側壁と幅方向に沿う2つの側壁)と、で画定された直方体状の窪みである。
【0022】
支持基板10は、例えば、CSZ(カルシア安定化ジルコニア)から構成され得る。或いは、NiO(酸化ニッケル)とYSZ(8YSZ)(イットリア安定化ジルコニア)とから構成されてもよいし、NiO(酸化ニッケル)とY(イットリア)とから構成されてもよいし、MgO(酸化マグネシウム)とMgAl(マグネシアアルミナスピネル)とから構成されてもよい。
【0023】
支持基板10は、「遷移金属酸化物又は遷移金属」と、絶縁性セラミックスとを含んで構成され得る。「遷移金属酸化物又は遷移金属」としては、NiO(酸化ニッケル)又はNi(ニッケル)が好適である。遷移金属は、燃料ガスの改質反応を促す触媒(炭化水素系のガスの改質触媒)として機能し得る。
【0024】
また、絶縁性セラミックスとしては、MgO(酸化マグネシウム)、又は、「MgAl(マグネシアアルミナスピネル)とMgO(酸化マグネシウム)の混合物」が好適である。また、絶縁性セラミックスとして、CSZ(カルシア安定化ジルコニア)、YSZ(8YSZ)(イットリア安定化ジルコニア)、Y(イットリア)が使用されてもよい。
【0025】
このように、支持基板10が「遷移金属酸化物又は遷移金属」を含むことによって、改質前の残存ガス成分を含んだガスが多孔質の支持基板10の内部の多数の気孔を介して燃料ガス流路11から燃料極に供給される過程において、上記触媒作用によって改質前の残存ガス成分の改質を促すことができる。加えて、支持基板10が絶縁性セラミックスを含むことによって、支持基板10の絶縁性を確保することができる。この結果、隣り合う燃料極間における絶縁性が確保され得る。
【0026】
支持基板10の厚さは、1〜5mmである。以下、この構造体の形状が上下対称となっていることを考慮し、説明の簡便化のため、支持基板10の上面側の構成についてのみ説明していく。支持基板10の下面側の構成についても同様である。
【0027】
図2及び図3に示すように、支持基板10の上面(上側の主面)に形成された各凹部12には、燃料極集電部21の全体が埋設(充填)されている。従って、各燃料極集電部21は直方体状を呈している。各燃料極集電部21の上面(外側面)には、凹部21aが形成されている。各凹部21aは、燃料極集電部21の材料からなる底壁と、周方向に閉じた側壁(長手方向に沿う2つの側壁と幅方向に沿う2つの側壁)と、で画定された直方体状の窪みである。周方向に閉じた側壁のうち、長手方向に沿う2つの側壁は支持基板10の材料からなり、幅方向に沿う2つの側壁は燃料極集電部21の材料からなる。
【0028】
各凹部21aには、燃料極活性部22の全体が埋設(充填)されている。従って、各燃料極活性部22は直方体状を呈している。燃料極集電部21と燃料極活性部22とにより燃料極20が構成される。燃料極20(燃料極集電部21+燃料極活性部22)は、電子伝導性を有する多孔質の材料からなる焼成体である。各燃料極活性部22の幅方向に沿う2つの側面と底面とは、凹部21a内で燃料極集電部21と接触している。
【0029】
各燃料極集電部21の上面(外側面)における凹部21aを除いた部分には、凹部21bが形成されている。各凹部21bは、燃料極集電部21の材料からなる底壁と、周方向に閉じた側壁(長手方向に沿う2つの側壁と幅方向に沿う2つの側壁)と、で画定された直方体状の窪みである。周方向に閉じた側壁のうち、長手方向に沿う2つの側壁は支持基板10の材料からなり、幅方向に沿う2つの側壁は燃料極集電部21の材料からなる。
【0030】
各凹部21bには、インターコネクタ30が埋設(充填)されている。従って、各インターコネクタ30は直方体状を呈している。インターコネクタ30は、電子伝導性を有する緻密な材料からなる焼成体である。各インターコネクタ30の幅方向に沿う2つの側面と底面とは、凹部21b内で燃料極集電部21と接触している。
【0031】
燃料極20(燃料極集電部21及び燃料極活性部22)の上面(外側面)と、インターコネクタ30の上面(外側面)と、支持基板10の主面とにより、1つの平面(凹部12が形成されていない場合の支持基板10の主面と同じ平面)が構成されている。即ち、燃料極20の上面とインターコネクタ30の上面と支持基板10の主面との間で、段差が形成されていない。
【0032】
燃料極活性部22は、例えば、NiO(酸化ニッケル)とYSZ(8YSZ)(イットリア安定化ジルコニア)とから構成され得る。或いは、NiO(酸化ニッケル)とGDC(ガドリニウムドープセリア)とから構成されてもよい。燃料極集電部21は、例えば、NiO(酸化ニッケル)とYSZ(8YSZ)(イットリア安定化ジルコニア)とから構成され得る。或いは、NiO(酸化ニッケル)とY(イットリア)とから構成されてもよいし、NiO(酸化ニッケル)とCSZ(カルシア安定化ジルコニア)とから構成されてもよい。燃料極活性部22の厚さは、5〜30μmであり、燃料極集電部21の厚さ(即ち、凹部12の深さ)は、50〜500μmである。
【0033】
このように、燃料極集電部21は、電子伝導性を有する物質を含んで構成される。燃料極活性部22は、電子伝導性を有する物質と酸素イオン伝導性を有する物質とを含んで構成される。燃料極活性部22における「気孔部分を除いた全体積に対する酸素イオン伝導性を有する物質の体積割合」は、燃料極集電部21における「気孔部分を除いた全体積に対する酸化性イオン伝導性を有する物質の体積割合」よりも大きい。
【0034】
インターコネクタ30は、例えば、LaCrO(ランタンクロマイト)から構成され得る。或いは、(Sr,La)TiO(ストロンチウムチタネート)から構成されても
よい。インターコネクタ30の厚さは、10〜100μmである。
【0035】
燃料極20及びインターコネクタ30がそれぞれの凹部12に埋設された状態の支持基板10における長手方向に延びる外周面において複数のインターコネクタ30が形成されたそれぞれの部分の長手方向中央部を除いた全面は、固体電解質膜40により覆われている。固体電解質膜40は、イオン伝導性を有し且つ電子伝導性を有さない緻密な材料からなる焼成体である。固体電解質膜40は、例えば、YSZ(8YSZ)(イットリア安定化ジルコニア)から構成され得る。或いは、LSGM(ランタンガレート)から構成されてもよい。固体電解質膜40の厚さは、3〜50μmである。
【0036】
即ち、燃料極20がそれぞれの凹部12に埋設された状態の支持基板10における長手方向に延びる外周面の全面は、インターコネクタ30と固体電解質膜40とからなる緻密層により覆われている。この緻密層は、緻密層の内側の空間を流れる燃料ガスと緻密層の外側の空間を流れる空気との混合を防止するガスシール機能を発揮する。
【0037】
なお、図2に示すように、本例では、固体電解質膜40が、燃料極20の上面、インターコネクタ30の上面における長手方向の両側端部、及び支持基板10の主面を覆っている。ここで、上述したように、燃料極20の上面とインターコネクタ30の上面と支持基板10の主面との間で段差が形成されていない。従って、固体電解質膜40が平坦化されている。この結果、固体電解質膜40に段差が形成される場合に比して、応力集中に起因する固体電解質膜40でのクラックの発生が抑制され得、固体電解質膜40が有するガスシール機能の低下が抑制され得る。
【0038】
固体電解質膜40における各燃料極活性部22と接している箇所の上面には、反応防止膜50を介して空気極60が形成されている。反応防止膜50は、緻密な材料からなる焼成体であり、空気極60は、電子伝導性を有する多孔質の材料からなる焼成体である。反応防止膜50及び空気極60を上方からみた形状は、燃料極活性部22と略同一の長方形である。
【0039】
反応防止膜50は、例えば、GDC=(Ce,Gd)O(ガドリニウムドープセリア)から構成され得る。反応防止膜50の厚さは、3〜50μmである。空気極60は、例えば、LSCF=(La,Sr)(Co,Fe)O(ランタンストロンチウムコバルトフェライト)から構成され得る。或いは、LSF=(La,Sr)FeO(ランタンストロンチウムフェライト)、LNF=La(Ni,Fe)O(ランタンニッケルフェライト)、LSC=(La,Sr)CoO(ランタンストロンチウムコバルタイト)等から構成されてもよい。また、空気極60は、LSCFからなる第1層(内側層)とLSCからなる第2層(外側層)との2層によって構成されてもよい。空気極60の厚さは、10〜100μmである。
【0040】
なお、反応防止膜50が介装されるのは、SOFC作製時又は作動中のSOFC内において固体電解質膜40内のYSZと空気極60内のSrとが反応して固体電解質膜40と空気極60との界面に電気抵抗が大きい反応層が形成される現象の発生を抑制するためである。
【0041】
ここで、燃料極20と、固体電解質膜40と、反応防止膜50と、空気極60とが積層されてなる積層体が、「発電素子部A」に対応する(図2を参照)。即ち、支持基板10の上面には、複数(本例では、4つ)の発電素子部Aが、長手方向において所定の間隔をおいて配置されている。
【0042】
各組の隣り合う発電素子部A,Aについて、一方の(図2では、左側の)発電素子部Aの空気極60と、他方の(図2では、右側の)発電素子部Aのインターコネクタ30とを跨ぐように、空気極60、固体電解質膜40、及び、インターコネクタ30の上面に、空気極集電膜70が形成されている。空気極集電膜70は、電子伝導性を有する多孔質の材料からなる焼成体である。空気極集電膜70を上方からみた形状は、長方形である。
【0043】
空気極集電膜70は、例えば、LSCF=(La,Sr)(Co,Fe)O(ランタンストロンチウムコバルトフェライト)から構成され得る。或いは、LSC=(La,Sr)CoO(ランタンストロンチウムコバルタイト)から構成されてもよい。或いは、Ag(銀)、Ag−Pd(銀パラジウム合金)から構成されてもよい。空気極集電膜70の厚さは、50〜500μmである。
【0044】
このように各空気極集電膜70が形成されることにより、各組の隣り合う発電素子部A,Aについて、一方の(図2では、左側の)発電素子部Aの空気極60と、他方の(図2では、右側の)発電素子部Aの燃料極20(特に、燃料極集電部21)とが、電子伝導性を有する「空気極集電膜70及びインターコネクタ30」を介して電気的に接続される。この結果、支持基板10の上面に配置されている複数(本例では、4つ)の発電素子部Aが電気的に直列に接続される。ここで、電子伝導性を有する「空気極集電膜70及びインターコネクタ30」が、「電気的接続部」に対応する。
【0045】
なお、インターコネクタ30は、前記「電気的接続部」における「緻密な材料で構成された第1部分」に対応し、気孔率は10%以下である。空気極集電膜70は、前記「電気的接続部」における「多孔質の材料で構成された第2部分」に対応し、気孔率は20〜60%である。
【0046】
以上、説明した図1に示す「横縞型」のセル100に対して、図4に示すように、支持基板10の燃料ガス流路11内に燃料ガス(水素ガス等)を流すとともに、支持基板10の上下面(特に、各空気極集電膜70)を「酸素を含むガス」(空気等)に曝す(或いは、支持基板10の上下面に沿って酸素を含むガスを流す)ことにより、固体電解質膜40の両側面間に生じる酸素分圧差によって起電力が発生する。更に、この構造体を外部の負荷に接続すると、下記(1)、(2)式に示す化学反応が起こり、電流が流れる(発電状態)。
(1/2)・O+2e→O (於:空気極60) …(1)
+O→HO+2e (於:燃料極20) …(2)
【0047】
発電状態においては、図5に示すように、各組の隣り合う発電素子部A,Aについて、電流が、矢印で示すように流れる。この結果、図4に示すように、このセル100全体から(具体的には、図4において最も手前側の発電素子部Aのインターコネクタ30と最も奥側の発電素子部Aの空気極60とを介して)電力が取り出される。
【0048】
(製造方法)
次に、図1に示した「横縞型」のセル100の製造方法の一例について図6図14を参照しながら簡単に説明する。図6図14において、各部材の符号の末尾の「g」は、その部材が「焼成前」であることを表す。
【0049】
先ず、図6に示す形状を有する支持基板の成形体10gが作製される。この支持基板の成形体10gは、例えば、支持基板10の材料(例えば、CSZ)の粉末にバインダー等が添加されて得られるスラリーを用いて、押し出し成形、切削等の手法を利用して作製され得る。以下、図6に示す7−7線に対応する部分断面を表す図7図14を参照しながら説明を続ける。
【0050】
図7に示すように、支持基板の成形体10gが作製されると、次に、図8に示すように、支持基板の成形体10gの上下面に形成された各凹部に、燃料極集電部の成形体21gがそれぞれ埋設・形成される。次いで、図9に示すように、各燃料極集電部の成形体21gの外側面に形成された各凹部に、燃料極活性部の成形体22gがそれぞれ埋設・形成される。各燃料極集電部の成形体21g、及び各燃料極活性部22gは、例えば、燃料極20の材料(例えば、NiとYSZ)の粉末にバインダー等が添加されて得られるスラリーを用いて、印刷法等を利用して埋設・形成される。
【0051】
続いて、図10に示すように、各燃料極集電部の成形体21gの外側面における「燃料極活性部の成形体22gが埋設された部分を除いた部分」に形成された各凹部に、インターコネクタの成形体30gがそれぞれ埋設・形成される。各インターコネクタの成形体30gは、例えば、インターコネクタ30の材料(例えば、LaCrO)の粉末にバインダー等が添加されて得られるスラリーを用いて、印刷法等を利用して埋設・形成される。
【0052】
次に、図11に示すように、複数の燃料極の成形体(21g+22g)及び複数のインターコネクタの成形体30gがそれぞれ埋設・形成された状態の支持基板の成形体10gにおける長手方向に延びる外周面において複数のインターコネクタの成形体30gが形成されたそれぞれの部分の長手方向中央部を除いた全面に、固体電解質膜の成形膜40gが形成される。固体電解質膜の成形膜40gは、例えば、固体電解質膜40の材料(例えば、YSZ)の粉末にバインダー等が添加されて得られるスラリーを用いて、印刷法、ディッピング法等を利用して形成される。
【0053】
次に、図12に示すように、固体電解質膜の成形体40gにおける各燃料極の成形体22gと接している箇所の外側面に、反応防止膜の成形膜50gが形成される。各反応防止膜の成形膜50gは、例えば、反応防止膜50の材料(例えば、GDC)の粉末にバインダー等が添加されて得られるスラリーを用いて、印刷法等を利用して形成される。
【0054】
そして、このように種々の成形膜が形成された状態の支持基板の成形体10gが、空気中にて1500℃で3時間焼成される。これにより、図1に示したセル100において空気極60及び空気極集電膜70が形成されていない状態の構造体が得られる。
【0055】
次に、図13に示すように、各反応防止膜50の外側面に、空気極の成形膜60gが形成される。各空気極の成形膜60gは、例えば、空気極60の材料(例えば、LSCF)の粉末にバインダー等が添加されて得られるスラリーを用いて、印刷法等を利用して形成される。
【0056】
次に、図14に示すように、各組の隣り合う発電素子部について、一方の発電素子部の空気極の成形膜60gと、他方の発電素子部のインターコネクタ30とを跨ぐように、空気極の成形膜60g、固体電解質膜40、及び、インターコネクタ30の外側面に、空気極集電膜の成形膜70gが形成される。各空気極集電膜の成形膜70gは、例えば、空気極集電膜70の材料(例えば、LSCF)の粉末にバインダー等が添加されて得られるスラリーを用いて、印刷法等を利用して形成される。
【0057】
そして、このように成形膜60g、70gが形成された状態の支持基板10が、空気中にて1050℃で3時間焼成される。これにより、図1に示したセル100が得られる。以上、図1に示したセル100の製造方法の一例について説明した。
【0058】
なお、この時点では、酸素含有雰囲気での焼成により、燃料極20中のNi成分が、NiOとなっている。従って、これらの導電性を獲得するため、その後、支持基板10側から還元性の燃料ガスが流され、NiOが800〜1000℃で1〜10時間に亘って還元処理される。なお、この還元処理は発電時に行われてもよい。
【0059】
(スタック構造体の全体構成の一例)
次に、上述したセル100を用いた本発明の実施形態に係る固体酸化物形燃料電池(SOFC)のスタック構造体について説明する。図15に示すように、このスタック構造体は、多数のセル100と、多数のセル100のそれぞれに燃料ガスを供給するための燃料マニホールド200と、を備えている。燃料マニホールド200の全体は、ステンレス鋼等の材料で構成されている。燃料マニホールド200は、内部空間(直方体状の空間、前記内部空間に対応)を備えた、長手方向(z軸方向)を有する直方体状の筐体である。
【0060】
燃料マニホールド200は、複数のセル100を支持するための支持板210を有している。なお、燃料マニホールド200の上壁(天板、換言すれば、ガスタンクの天板(平板))が、支持板210を兼ねている。また、燃料マニホールド200には、外部から燃料マニホールド200の内部空間に燃料ガスを導入するための導入通路220が、支持板210上にて、燃料マニホールド200の長手方向(z軸方向)の一方側(z軸正方向側)の端部に設けられている。導入通路220と燃料マニホールド200の内部空間とは連通している。
【0061】
この燃料マニホールド200は、各セル100を支持している。各セル100は、燃料マニホールド200の支持板210から延びている。詳細には、各セル100は、支持板210(=マニホールド200の上壁)から上方(x軸正方向)に向かって延びている。すなわち、各セル100は、支持板210から突出するように延びている。また、各セル100は、互いに間隔をあけて第1方向に沿って配置される。詳細には、上方から見たとき、各セル100がy軸方向に沿ってそれぞれ延在し且つ複数のセル100がz軸方向(前記第1方向)に沿って互いに離れてスタック状に整列している。各セル100の長手方向(x軸方向)における燃料ガス流入側の端部は、支持板210にて接合・支持されている。燃料マニホールド200の内部空間と、複数のセル100の燃料ガス流路11のそれぞれとは連通している。各セル100の長手方向(x軸方向)における燃料ガス排出側の端部は、自由端となっている。従って、このスタック構造は、「片持ちスタック構造」と表現することができる。
【0062】
図16に示すように、支持板210(=マニホールド200の上壁)には、燃料マニホールド200の内部空間と連通する複数の挿入孔211(貫通孔)が形成されている。各挿入孔211には、対応するセル100の燃料ガス流入側の一端部がそれぞれ挿入される。
【0063】
図17に示すように、本実施形態では、複数の挿入孔211は互いに同形である。各挿入孔211の形状は、長さL4、幅L5のy軸方向に延在する長円形状(L4>L5)を呈している。また、複数の挿入孔211は、y軸方向において同じ位置に、且つ、z軸方向において同じ間隔をおいて配置されている。
【0064】
各挿入孔211の長さL4は、セル100の一端部の側面の長さL2(図1を参照)より大きい。例えば、各挿入孔211の長さL4は、セル100の一端部の側面の長さL2より0.2〜3mm程度大きい。同様に、各挿入孔211の幅L5は、セル100の一端部の側面の幅L3(図1を参照)より大きい。例えば、各挿入孔211の幅L5は、セル100の一端部の側面の幅L3(図1を参照)より0.2〜3mm程度大きい。即ち、図18、19に示すように、セル100の一端部が挿入孔211に挿入された状態では、挿入孔211の内壁とセル100の一端部の外壁との間に隙間が形成される。換言すれば、セル100の一端部が挿入孔211に遊嵌される。なお、図18図19(特に、図18)では、前記隙間が誇張して描かれている。
【0065】
図18図19に示すように、挿入孔211とセル100の一端部との接合部のそれぞれにおいて、固化された第1接合材300が前記隙間に充填されるように設けられている。これにより、各挿入孔211と対応するセル100の一端部とがそれぞれ接合・固定されている。図19に示すように、各セル100のガス流路11の一端部は、燃料マニホールド200の内部空間と連通している。
【0066】
第1接合材300は、結晶化ガラスで構成されている。例えば、第1接合材300は、MgO−CaO−SiO−B系や、MgO−BaO−SiO−B系等の結晶化ガラスで構成される。なお、本明細書では、結晶化ガラスとは、全体積に対する「結晶相が占める体積」の割合(結晶化度)が60%以上であり、全体積に対する「非晶質相及び不純物が占める体積」の割合が40%未満のガラス(セラミックス)を指す。結晶化ガラスの結晶化度は、具体的には、例えば、「XRD等を用いて結晶相を同定し、SEM及びEDS、或いは、SEM及びEPMA等を用いて結晶化後のガラスの組織や組成分布を観察した結果に基づいて、結晶相領域の体積割合を算出する」ことによって得ることができる。
【0067】
また、図19に示すように、隣接するセル100、100の間の空間(以下、「セル間空間」とも呼ぶ)には、隣接するセル100、100の間(より詳細には、一方のセル100の燃料極20と他方のセル100の空気極60)を電気的に直列に接続するための集電部材400が介在している。加えて、各セル100について表側と裏側とを電気的に直列に接続するための集電部材500も設けられている。
【0068】
図19及び図20に示すように、セル間空間に介在する集電部材400として、第1部材400Aと第2部材400Bとが存在する。第1部材400Aは、酸化物セラミックスの焼成体(バルク体)で構成されている。第1部材400Aは、ばね構造を有していない。第1部材400Aは、隣り合うセル100の間に配置される。そして、第1部材400Aは、隣り合うセル100を電気的に接続して、セル集合体401を構成する。すなわち、セル集合体401は、複数のセル100と、各セル100の間に配置された第1部材400Aとを有する。なお、図20では、3つのセル100と2つの第1部材400Aとから構成されたセル集合体401が例示されている。
【0069】
第1部材400Aは、導電性を有する酸化物セラミックスの焼成体によって構成されている。このような酸化物セラミックスとしては、例えば、ペロブスカイト酸化物、又はスピネル酸化物などが挙げられる。ペロブスカイト酸化物としては、例えば、(La,Sr)MnO又は(La,Sr)(Co,Fe)O等が挙げられる。スピネル酸化物としては、例えば、(Mn,Co)又は(Mn,Fe)等が挙げられる。
【0070】
第1部材400Aは、第2接合材301によって、セル100に接合されている。すなわち、第2接合材301は、第1部材400Aとセル100とを接合している。第2接合材301は、例えば、(Mn,Co)、(La,Sr)MnO又は(La,Sr)(Co,Fe)O等よりなる群から選ばれる少なくとも1種である。
【0071】
第2部材400Bは、ばね構造を有する金属で構成されている。第2部材400Bは、各セル集合体401の間に配置されており、隣り合う各セル集合体401を電気的に接続している。この例では、複数の集電部材400が、z軸方向の一側から他側に向けて「連続する複数の(具体的には、2つの)第1部材400A」と「単一の第2部材400B」とが交互に配置されるように、且つ、「連続する複数の第1部材400A」がz軸方向の両端部にてそれぞれ配置されるように、z軸方向に沿って整列している。換言すれば、第2部材400Bがz軸方向において連続して配置されていない。
【0072】
第2部材400Bの材料(金属)としては、ステンレス鋼やNi基合金等が挙げられる。第2部材400Bのばね構造は、金属板を折り曲げることによって構成されてもよいし、コイルスプリング構造であってもよい。第2部材400Bは、第1部材400Aと同様に、第2接合材301によってセル100と接合される。
【0073】
第2部材400Bの外表面にセラミックスで構成されたコーティング膜が形成されてもよい。これにより、第2部材400Bがステンレス鋼などのクロムを含む金属で構成される場合において、第2部材400Bの表面から蒸発したクロムに起因する上記クロム被毒の問題が発生し難くなる。このコーティング膜は、緻密質(気孔率が10%以下)の膜であっても、多孔質(気孔率が10%より大きい)の膜であってもよい。
【0074】
なお、図19から理解できるように、集電部材400(400A、400B)は、複数の発電素子部Aのうち上下方向(x軸方向)における最も下側に設けられた発電素子部A(以下、「最下発電素子部AS」とも呼ぶ)より下側に配置されている。換言すれば、集電部材400は、燃料マニホールド200の上壁から突出するセル100の根元側(即ち、燃料ガス流入側)に接続されている。これは、セル100の根元側より温度が高いセル100の先端側(即ち、燃料ガス排出側)に集電部材400を設けると、集電部材400とセル100との接合部位にて剥離が発生し易いことに因る。ガス排出口から排出された余剰の燃料ガスが周囲の空気(酸素)と反応(燃焼)することによって、その燃焼による熱を受けてセル100の先端側の温度は局所的に高くなる。なお、集電部材400(400A、400B)は、燃料マニホールド200の上壁から突出するセル100の先端部分(即ち、燃料ガス排出側の部分)に接続されてもよい。この場合、例えば、集電部材400(400A、400B)は、複数の発電素子部Aのうち上下方向(x軸方向)における最も上側に設けられた発電素子部Aより上側に配置され得る。
【0075】
また、図21図23に示すように、このスタック構造体は、それぞれのセル間空間に空気を供給するための空気マニホールド600を備えている。空気マニホールド600は、内部空間(直方体状の空間)を備えた、長手方向(z軸方向)を有する直方体状の筐体である。
【0076】
特に、図21及び図23に示すように、空気マニホールド600は、燃料マニホールド200の上壁にて、スタック状に整列する複数のセル100に対してy軸方向(セルの幅方向)における第1側(y軸正方向側)にて、複数のセル100から離れて配置されている。空気マニホールド600は、その内部空間と連通する供給孔610を備える。この供給孔610から、それぞれのセル間空間に向けて空気が供給される。
【0077】
供給孔610は、空気マニホールド600におけるスタック側(y軸負方向側)の側面に形成されている。従って、供給孔610は、y軸方向(セルの幅方向)における第1側と反対の第2側(y軸負方向側)に向けて開口している。図22に示すように、本実施形態では、複数の円形の供給孔610が、z軸方向に沿うように、z軸方向において複数のセル間空間に対応する位置にそれぞれ独立して形成されている。
【0078】
図19及び図23に示すように、供給孔610は、上下方向(x軸方向)において「集電部材400とはオーバラップせず、且つ、最下発電素子部ASとはオーバラップする位置」に配置されている。本実施形態では、供給孔610は、上下方向(s軸方向)において「最下発電素子部ASの中央部に対応する位置」に配置されている。
【0079】
また、図21及び図23に示すように、このスタック構造体は、セル間空間内における空気の移動経路を制御するための壁800が、燃料マニホールド200の上壁にて、スタック状に整列した複数のセル100に対してy軸方向(セルの幅方向)における第2側(y軸負方向側)に配置されている。
【0080】
壁800は、スタック状に整列した複数のセル100のy軸方向(セルの幅方向)における第2側(y軸負方向側)の側端面を覆うように、x−z平面方向に沿って延在している。本実施形態では、壁800は、平板状を呈しており、スタック状に整列した複数のセル100のセルの幅方向における第2側の側端面に接触している。
【0081】
なお、図21に示すように、本実施形態では、セル間空間内における空気の移動経路を制御するため、壁800に加えて、一対の壁700も、燃料マニホールド200の上壁にて配置されている。一対の壁700は、スタック状に整列した複数のセル100のうちz軸方向の両端に位置する一対のセル100に対して、平行、且つ、各セル間空間の幅(z軸方向の距離)と同じ距離だけz軸方向に離れて配置されている。換言すれば、本実施形態では、スタック状に整列した複数のセル100は、上方からみたとき、四方のうち、空気マニホールド600と向かい合う方向を除いた三方について、一対の壁700、及び、壁800によって覆われている。
【0082】
以上、説明した燃料電池の片持ちスタック構造を稼働させる際には、図15図19図21、及び、図23に示すように、高温(例えば、600〜800℃)の燃料ガス(水素等)及び「空気」を流通させる。即ち、図15、及び、図19に示すように、導入通路220から導入された燃料ガスは、燃料マニホールド200の内部空間へと移動し、その後、各挿入孔211を介して対応するセル100のガス流路11にそれぞれ導入される。各ガス流路11を通過した燃料ガスは、その後、各ガス流路11の他端(自由端)から外部に排出される。
【0083】
一方、図19図21、及び、図23に示すように、図示しない導入通路から空気マニホールド600の内部空間に導入された空気は、それぞれの供給孔610から流出する。それぞれの供給孔610から流出した空気は、セルの幅方向(y軸方向)に沿って、それぞれのセル間空間における最下発電素子部ASの近傍部分を進行し、その後、壁800に当たる。これにより、それぞれのセル間空間におけるセル100の根元側の部分の圧力がセル100の幅方向(y軸方向)の全域に亘って相対的に上昇し得る。この結果、セル間空間における最下発電素子部ASの近傍部分をセル100の幅方向に沿って進行している空気は、セル100の幅方向の全域に亘って、進行方向を変えて上方(セル100の先端側)に向けて移動し始め得る(特に、図23を参照)。セル間空間を上方に向けて移動していく空気は、セル間空間における最下発電素子部ASより上方に位置する1つ又は複数の発電素子部Aの近傍部分を順に通過し(特に、図19を参照)、その後、セル間空間におけるセル100の先端側から外部に排出される(特に、図23を参照)。この結果、セル間空間における広範囲に亘って均一に空気を供給することができる。即ち、空気利用率を高めることができ、この結果、スタック構造体において高出力を得ることができる。
【0084】
上述した燃料電池のスタック構造体は、例えば、以下の手順で組み立てられる。先ず、必要な枚数の完成したセル100、完成した燃料マニホールド200、完成した空気マニホールド600、一対の壁700、及び、壁800が準備される。
【0085】
次に、図24に示すセル集合体401が複数作製される。図24に示すセル集合体401は、スタック数が「3」である。各セル集合体401において、各第1部材400Aの両端部は、対応する隣接するセル100の側面部と、第2接合材301を用いてそれぞれ接合される。なお、この時点では、第1部材400Aとセル100との固定は仮止めであり、第2接合材301は焼結されていない。なお、第1部材400Aが連続して配置される最大数をN以下(N:自然数)とするためには、各セル集合体401のスタック数を(N+1)以下とすればよい。
【0086】
次いで、図25に示すように、所定の治具等を用いて、複数のセル集合体401が、全てのセル100がz軸方向に沿って所定の間隔を空けて一列に整列するように、スタック状に固定される。この状態が維持されながら、複数のセル集合体401に含まれるそれぞれのセル100の一端部が、支持板210の対応する挿入孔211に一度に挿入される。続いて、第1接合材300用の非晶質材料(非晶質ガラス)のペーストが、挿入孔211とセル100の一端部との接合部のそれぞれの隙間に充填される。その際、図19に示すように、ペーストが支持板210の表面から上方に向けてはみ出す程度まで前記接合部に供給されてもよい。
【0087】
次に、上記のように充填された第1接合材300及び第2接合材301に熱処理が加えられる。この熱処理によって第1接合材300である非晶質材料の温度がその結晶化温度まで到達すると、結晶化温度下にて、材料の内部で結晶相が生成されて、結晶化が進行していく。この結果、非晶質材料が固化・セラミックス化されて、結晶化ガラスとなる。これにより、結晶化ガラスで構成される第1接合材300が機能を発揮し、各セルの一端部が対応する挿入孔211にそれぞれ接合・固定される。換言すれば、各セル100の一端部が第1接合材300を用いて支持板210にそれぞれ接合・支持される。また、上記熱処理によって、第2接合材301も焼成し、第1部材400Aとセル100とを接合・支持するようになる。その後、前記所定の治具が複数のセル100から取り外される。
【0088】
次いで、図26に示すように、隣り合うセル集合体401の間で向かい合う2つのセル(以下、「対向セル」と呼ぶ)の間のセル間空間に、それぞれ、集電部材400としての第2部材400Bが配置される。各第2部材400Bの両端部(電気的接合部)は、対応する対向セル100の側面部(電気的接合部)と、第2接合材301を用いてそれぞれ接合される。この結果、各対向セル100が電気的にそれぞれ接続される。即ち、スタックを構成する全てのセル100が、z軸方向に沿って電気的に直列に接続される。その後、燃料マニホールド200の上壁の所定の位置に、空気マニホールド600、一対の壁700、及び、壁800が固設されて、上述した片持ちスタック構造体が完成する。
【0089】
上述した図25及び図26に示した例では、複数のセル集合体401が支持板210に組み付けられた後に、各セル集合体401の間に第2部材400Bがそれぞれ組み付けられているが、図27及び図28に示す例のように、各セル集合体401の間に第2部材400Bがそれぞれ組み付けられた後に、複数のセル集合体401が支持板210に組み付けられてもよい。また、上述した図25図28に示した例では、複数のセル集合体401が作製される過程を経ているが、セル集合体401が作製される過程を経ることなく、全てのセル100のそれぞれの一端部が、支持板210の対応する挿入孔211に一度に挿入されてもよい。
【0090】
(作用・効果)
一般に、上述のようなスタック構造体では、各構成部品の形状・寸法のばらつき、並びに、各構成部品の高温時での変形等に起因して、隣り合うセルの相対位置関係にずれが発生し得る。この問題は、スタック数が大きい場合に特に発生し易い。ここで、酸化物セラミックスの焼成体(バルク体)で構成される第1部材400Aは、ばね構造を有さないので、変形し難い。これに対し、ばね構造を有する金属で構成された第2部材400Bは、変形し易い。
【0091】
上記本実施形態では、セル間空間に介在する集電部材400として、複数の第1部材400Aのみならず、複数の第2部材400Bが存在する。複数の第2部材400Bは、z軸方向において連続して配置されないように配置されている。即ち、複数の第2部材400Bがz軸方向において特定の箇所に集まって配置されることなく、z軸方向において広い範囲に亘って配置される。
【0092】
従って、第2部材400Bが介在する隣り合うセル100の間に相対位置関係のずれが発生した場合には、その第2部材400Bが変形することによって、そのずれに起因してその第2部材400Bに作用する応力が緩和され得る。この結果、第2部材400Bとセル100との接合箇所等にクラックが発生し難くなる。
【0093】
また、第1部材400Aが介在する隣り合うセル100の間に相対位置関係のずれが発生した場合には、その隣り合うセル100の近くに位置する第2部材400Bが変形し得ることによって、その隣り合うセル100の相対位置関係のずれが小さくなり得る。従って、そのずれに起因してその第1部材400Aに作用する応力が緩和され得る。この結果、第1部材400Aとセル100との接合箇所等にクラックが発生し難くなる。以上より、スタック全体として、集電部材400とセル100との接合箇所等にクラックが発生し難くなるので、隣り合うセル100の間での電気的な接続が良好に維持され易い。
【0094】
更には、上述した図25図28に示したように、複数のセル集合体401を利用してスタック構造体を得る場合、上記「対向セル」について、相対位置関係のずれが特に発生し易い。この点、図29に示すように、対向セルが、変形し難い第1部材400Aで接合されると(微細なドットで示した第1部材400Aを参照)、この第1部材400Aと対向セルとの接合箇所等にクラックが発生し易くなる。
【0095】
これに対し、上述した図25図28に示した例では、対向セルが、変形し易い第2部材400Bによって接合されている。従って、この第2部材400Bと対向セルとの接合箇所等にクラックが発生し難くなるので、対向セルの間での電気的な接続が良好に維持され易い。
【0096】
本発明は上記実施形態に限定されることはなく、本発明の範囲内において種々の変形例を採用することができる。例えば、上記本実施形態では、セル間空間に介在する集電部材400として、複数の第1部材400Aに加えて、複数の第2部材400Bが含まれているが、集電部材400として、複数の第1部材400Aに加えて、1つの第2部材400Bが含まれていてもよい。
【0097】
また、上記本実施形態では、図21、及び、図22に示すように、複数の円形の供給孔610が、z軸方向に沿うように、z軸方向において複数のセル間空間に対応する位置にそれぞれ独立して形成されているが、図21、及び、図22にそれぞれ対応する図30、及び、図31に示すように、供給孔610が、スタック状に整列する複数のセル100のうちz軸方向における両端に位置するセル100の間に亘って、z軸方向に連続して延在する単一の長穴であってもよい。これによれば、スタックに対する空気マニホールド600のz軸方向における相対的な組み付け位置にずれが生じた場合であっても、空気が、それぞれのセル間空間に向けて安定して供給され易くなる。
【0098】
また、上記本実施形態では、空気マニホールド600が燃料マニホールド200の上壁に固定されているが、空気マニホールド600がその他の部材に固定されていてもよい。また、壁800が燃料マニホールド200の上壁に固定されているが、壁800がその他の部材に固定されていてもよい。また、壁800がスタック状に整列する複数のセル100のy軸方向における第2側(y軸負方向側)の側端面に接触しているが、同側端面に接触していなくてもよい。
【0099】
また、上記本実施形態では、燃料マニホールド200の上壁が複数のセル100を支持するための支持板210を兼ねているが(即ち、支持板210が燃料マニホールド200と一体で構成されているが)、燃料マニホールド200の内部空間と複数のセル100のガス流路11とが連通する限りにおいて、支持板210が燃料マニホールド200とが別体で構成されていてもよい。また、上記本実施形態では、平板状を呈するセル100の両側面に発電素子部Aがそれぞれ設けられているが、平板状を呈するセル100の一側面にのみ発電素子部Aが設けられていても良い。更には、セルが円筒状を呈していてもよい。
【0100】
また、上記実施形態では、集電部材400は、第2部材400Bが連続して配置されていないが、第2部材400Bは連続して配置されていてもよい。例えば、図32に示すように、第2部材400Bは、セル集合体401を構成していないセル100を介して、隣り合うセル集合体401を電気的に接合してもよい。具体的には、セル集合体401、第2部材400B、セル100、第2部材400B、セル集合体401の順で電気的に接合されていてもよい。
【0101】
また、上記実施形態では、第1接合材300と第2接合材301とに対して同時に熱処理を施しているが、別々に熱処理を施してもよい。すなわち、まず、複数のセル集合体401を作製し、この各セル集合体401の第2接合材301に熱処理を施して第2接合材301を焼成する。そして、各セル集合体401の各セル100のそれぞれの一端部を支持板210の各挿入孔211に挿入する。その後、第1接合材300を挿入孔211内に充填し、第1接合材300に熱処理を施す。
【0102】
図33に示すように、第1方向(z方向)において、各セル集合体401の近位端部402の幅L6に対する、各セル集合体401の遠位端部403の幅L7の割合(L7/L6)は、0.958〜1.06としてもよい。なお、この割合(L7/L6)は、0.970〜1.06とすることがより好ましい。また、割合(L7/L6)は、1.0を除く。各セル集合体401の近位端部402は、燃料マニホールド200側の端部であり、各セル集合体401の遠位端部403は、燃料マニホールド200から離れた側の端部である。このようにセル集合体401を構成することによって、各セル100、特に支持基板10にクラックが発生することを防ぐことができる。なお、幅L6に対する幅L7の割合(L7/L6)を上記範囲内に収めるためには、例えば、セル100(主に支持基板10)、燃料マニホールド200、第1部材400A、第2部材400B、第1接合材300、第2接合材301の熱膨張性係数を精密に合わせこむことが好ましい。目安としては各材料の熱膨張係数としては、±0.5ppm/Kの範囲内に合わせこむことが好ましい。また、遠位端部側(L7側)のセル100の傾きを制御するための仮固定治具を使って接合処理をすることも効果的である。
【0103】
(実施例)
以下において、セル集合体401の近位端部の幅L6に対する遠位端部の幅L7の割合(L7/L6)と、クラックの発生の有無との関係について評価した試験について説明する。
【0104】
まず、セル集合体401を形成した。具体的には、各セル集合体401は、5〜20枚のセル100によって構成された。各セル100(支持基板10)の幅L2は50mm、長さL1は200mm、厚さは3mmとした。また、各セル100を構成する支持基板10の材質は、MgO−MgAlとした。これら各セル100の間に第1部材400Aを配置した。そして、第1部材400Aとセル100とを(Mn,Co)(第2接合材301)によって接合した。ここで、各セル100の間隔は3mmとし、第1部材400Aの厚さは、2.5mmとした。第1部材400Aは、(La,Sr)MnOによって形成した。
【0105】
次に、セル集合体401を燃料マニホールド200に取り付けた。詳細には、各セル100を、燃料マニホールド200の各挿入孔211に挿入した。そして、各セル100が挿入された状態の各挿入孔211に、第1接合材300としてSiO-MgO-B系のシール材料を充填した。
【0106】
次に、燃料マニホールド200にセル集合体401が取り付けられた状態で、熱処理を行い、第1接合材300であるSiO-MgO-B系のシール材料を結晶化ガラスとするとともに、第2接合材301である(Mn,Co)を焼成させた。この結果、燃料マニホールド200にセル集合体401が固定された。このようにして形成されたスタック構造体において、セル集合体401の近位端部402の幅L6と遠位端部403の幅L7とを測定した。具体的には、デジタルノギスまたはレーザー式自動計測器を用いて、幅L6と幅L7の寸法データを取得した。測定値は5回測定したデータの平均値を採用した。そして、各スタック構造体について、近位端部402の幅L6に対する遠位端部403の幅L7の割合(L7/L6)と、クラック発生の有無との関係について評価した。なお、クラックの発生の有無は、目視にて確認した。また、セル100の支持基板10に生じたクラックの発生の有無について確認した。この結果を、表1に示す。
【0107】
【表1】
【0108】
表1の結果より、割合(L7/L6)が0.958〜1.06であるとき、クラックの発生が抑制されることが分かった。また、割合(L7/L6)を0.970〜1.06とすることによって、クラックの発生を防ぐことができることが分かった。なお、上記実施例では、長さ200mmのセル100を用いて評価を行ったが、セル100の長さが150mm、又は250mmであっても同様の傾向が見られることを確認した。
【符号の説明】
【0109】
10…支持基板、11…燃料ガス流路、20…燃料極、40…固体電解質膜、60…空気極、A…発電素子部、100…セル、200…燃料マニホールド、210…支持板、211…挿入孔、300…接合材、400…集電部材、400A…第1部材、400B…第2部材、600…空気マニホールド、610…供給孔、800…壁
【要約】
【課題】隣り合うセル間を電気的に接続する集電部材として酸化物セラミックスの焼成体が使用される燃料電池のスタック構造体であって、隣り合うセル間での電気的な接続が良好に維持され易いものを提供すること。
【解決手段】燃料マニホールド200の上壁の上にz軸方向に沿って複数のセル100がスタック状に整列している。隣り合うセル100の間にはそれぞれ、セル100間を電気的に接続する集電部材400が介装されている。複数の集電部材400は、酸化物セラミックスの焼成体で構成された複数の第1部材400A(バルク体)と、ばね構造を有し且つ金属で構成された1つ又は複数の第2部材400Bと、からなる。第2部材400Bは、z軸方向において連続して配置されない。
【選択図】図20
図19
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図32
図33
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
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図31