特許第5837295号(P5837295)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5837295
(24)【登録日】2015年11月13日
(45)【発行日】2015年12月24日
(54)【発明の名称】ラップフィルム収納箱
(51)【国際特許分類】
   B65D 5/72 20060101AFI20151203BHJP
   B65D 25/52 20060101ALI20151203BHJP
【FI】
   B65D5/72 A
   B65D25/52 E
【請求項の数】2
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2010-272228(P2010-272228)
(22)【出願日】2010年12月7日
(65)【公開番号】特開2012-121586(P2012-121586A)
(43)【公開日】2012年6月28日
【審査請求日】2013年11月13日
(73)【特許権者】
【識別番号】303046314
【氏名又は名称】旭化成ケミカルズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】高橋 洋介
(72)【発明者】
【氏名】田中 康成
【審査官】 高橋 裕一
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭53−022733(JP,U)
【文献】 特開2008−174284(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2003/0189077(US,A1)
【文献】 登録実用新案第3014410(JP,U)
【文献】 実開昭62−101775(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 5/72
B65D 25/52
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ラップフィルムを収納可能で、前板と、底板と、後板と、脇板とを有する上面が開口した本体部と、
前記後板から前方に延びて前記本体部の上面開口部を覆う蓋板と、前記蓋板から前記前板側に延びて前記前板の前面を覆う掩蓋片とを有する蓋部と、
前記掩蓋片の先端縁に切り取り線を介して接続され、前記前板に接着された開封片と、を有し、
前記開封片によって前記蓋部が封止されており、前記開封片を切り取ることによって前記蓋部を開封可能なラップフィルム収納箱であって、
前記前板には、前記開封片が接着する接着部が設けられ、
前記接着部の周縁部には、前記前板の厚み方向に貫通する切り込み線と、前記前板における前記接着部とその周辺部とをつなぐつなぎ部が形成され、
前記開封片の切り取りにより、当該開封片と共に前記接着部が前記前板から外れ
前記本体部は、前記前板の上端縁に接続され前記前板の裏面側に折り返された折返し板を有し、
前記前板の接着部の裏面側は、前記折返し板に覆われている、ラップフィルム収納箱。
【請求項2】
前記接着部のつなぎ部は、前記開封片の切り取り方向の前記接着部の中央を含む、当該中央より前記切り取り方向側に設けられている、請求項1に記載のラップフィルム収納箱。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に食品包装用のラップフィルム、アルミホイル、クッキングシート等(以下、ラップフィルムと称す)を巻回したラップフィルム収納箱に関する。
【背景技術】
【0002】
ラップフィルムは、通常、紙製の芯体に巻回された巻筒体が、紙製の直方体の箱に収納されており、接着剤等でラップフィルム収納箱の前板部分に接着されている開封片を切り取ることで、ラップフィルムの使用に先立ち蓋の開閉が可能になる。ラップフィルムの切断手段としては金属、紙、樹脂製の鋸刃が知られており、上記鋸刃は掩蓋片の先端部に配置されるのが一般的であるが、底板の前板側縁部、前板の上縁部に配置される場合もある。
【0003】
このようなラップフィルム収納箱には、消費者にわたるまでの流通段階では開封することなく、一方で消費者の使用時には開封片の取り外しが容易で、且つラップフィルム収納箱の外観品位を保ち、見苦しい切り取り状態にならないという、相反する要求があり、種々の提案がなされている。
【0004】
図11に示すようにラップフィルム収納箱100に設けられている開封片101は、切り取り線102および半円切れ目103を有している。開封片101は、前板104の接着部105に接着剤により接着されている。前板104の接着部105の外周縁には、円形あるいは楕円形状の半切れ線106が形成されている。半切れ線106とは、図12に示すように前板104を厚み方向に貫通せず、切り込みが途中で止まっているものである。そして、開封片101を一方の方向(図11においては右側から左側)へ引っ張って切り取るときには、半切れ線106により脆弱になっている前板104の接着部105が図13に示すように層間剥離(前板104は、多数層で構成されており、そのいずれかの層間での剥離)し、開封片101が前板104から離れることにより、蓋部107が開封される。つまり、開封片101の切り取りは、前板104の接着部105で層間剥離を起こすことによって行われている。なお、開封片101の半円切れ目103は、前板104の接着部105で層間剥離が起こらずに、開封片101側で層間剥離が起こった場合にその剥離を遮断する効果がある。
【0005】
特許文献1に記載の技術では、前板の半切れ線部分で層間剥離を起こしやすいように接着部の形状を偏平化した楕円形状としたものがある。また、特許文献2の技術では、前板の半切れ線は設けずに、ニスを塗布しない部分(接着する部分)の面積を小さくすることで、表層剥離を制御し開封が容易で、かつ見苦しい切り取り状態にならない効果を発揮している。特許文献3の技術では、切除部に部分的につなぎの残る環状の切込みを形成することによって貼着片を複数個形成し、内側板に貼着片を残しながら開封する収納箱が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第3142969号公報
【特許文献2】特開平6−293336号公報
【特許文献3】実開昭53−022733号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述の特許文献1記載の技術では、接着部の形状を偏平化した楕円形状とすることで、帯状に塗布する接着剤量を有効利用するのに効果的であり、局部層間剥離を起こしやすくしている。しかし、前板の半切れ線の加工精度(特に半切れ線の深さの精度)や、非ニス塗布部(ニスを塗らずに接着剤で接着する部分)の印刷精度を高い精度で安定させるのは難しい。このため、前板の接着部の層間剥離が適切に起こらずに、接着部が部分的に破けて剥離したり、開封片側が層間剥離して開封片のちぎれを誘発して、外観品位が低下することがある。
【0008】
また、特許文献2の技術では、前板の半切れ線は設けずに、接着剤が塗布されている部分の面積を小さくすることで、表層剥離を制御し開封が容易で、かつ見苦しい切り取り状態にならない効果を発揮している。しかし、この場合も、開封片と前板との貼合部分を引き剥がすことが必要であり、開封片の切り取り後の外観品位が低下するという問題は解決されていない。
【0009】
さらに、特許文献3の技術では、切除部に部分的につなぎの残る環状の切込みを形成することによって貼着片を複数個形成し、内側板に貼着片を残しながら開封する収納箱が提案されている。しかし、このような方式の場合、切除部から貼着片が刳り貫かれるため、切除部の強度が極端に低下し、切り取り時に切除部のちぎれ等が誘発され、外観品位が低下する懸念がある。
【0010】
本発明は、開封片による開封後の外観品位を保ち、見苦しい切り取り状態にならないラップフィルム収納箱を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者等は、鋭意研究を重ねた結果、開封片が接着している前板の接着部を、開封片と共に前板から切り取り可能にすることにより、上記の種々の課題が解決されることを見出し、本発明をなすに至った。すなわち、本発明は下記(1)〜(2)を提供する。
(1)ラップフィルムを収納可能で、前板と、底板と、後板と、脇板とを有する上面が開口した本体部と、前記後板から前方に延びて前記本体部の上面開口部を覆う蓋板と、前記蓋板から前記前板側に延びて前記前板の前面を覆う掩蓋片とを有する蓋部と、前記掩蓋片の先端縁に切り取り線を介して接続され、前記前板に接着された開封片と、を有し、前記開封片によって前記蓋部が封止されており、前記開封片を切り取ることによって前記蓋部を開封可能なラップフィルム収納箱であって、前記前板には、前記開封片が接着する接着部が設けられ、前記接着部の周縁部には、前記前板の厚み方向に貫通する切り込み線と、前記前板における前記接着部とその周辺部とをつなぐつなぎ部が形成され、前記開封片の切り取りにより、当該開封片と共に前記接着部が前記前板から外れ、前記本体部は、前記前板の上端縁に接続され前記前板の裏面側に折り返された折返し板を有し、前記前板の接着部の裏面側は、前記折返し板に覆われている、ラップフィルム収納箱。
(2)前記接着部のつなぎ部は、前記開封片の切り取り方向の前記接着部の中央を含む、当該中央より前記切り取り方向側に設けられている、(1)に記載のラップフィルム収納箱。
【発明の効果】
【0012】
本発明のラップフィルム収納箱は、開封時に接着部或いは開封片で層間剥離が行われず、開封片の強度も保たれるので、開封不良で見苦しい状態にならず、開封後の外観品位は非常に良好なものである。また、開封時に開封片がちぎれてしまう状況になりにくい。このような開封片のちぎれを防止することで、再度開封を試みる場合の、ラップフィルム収納箱に固定した切断具近傍での操作を抑制できるため、安全性も高められる。また、開封時には消費者の使用方法によらず容易な開封性を示し、使い勝手も良い。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明のラップフィルム収納箱を示す概略斜視図である。
図2】本発明のラップフィルム収納箱の展開図を示す概略平面図である。
図3】本発明のラップフィルム収納箱の開封時の状態を示す概略斜視図である。
図4】本発明の接着部の位置を示すラップフィルム収納箱の正面図である。
図5】本発明のラップフィルム収納箱の接着部の拡大図である。
図6】本発明のラップフィルム収納箱の接着部の断面図である。
図7】本発明のラップフィルム収納箱における開封片により取り外された接着部を示す断面図である。
図8】本発明のラップフィルム収納箱におけるつなぎ部の位置が異なる他の接着部の拡大図である。
図9】本発明のラップフィルム収納箱における開封片により取り外される際の他の接着部を示す拡大図である。
図10】実施例と比較例の評価を示す表である。
図11】従来のラップフィルム収納箱を示す概略斜視図である。
図12】従来の半切れ加工を施した接着部を示す断面図である。
図13】従来の層間剥離した接着部を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明について、以下具体的に説明する。なお、以下の実施の形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明はその実施の形態のみに限定されるものではない。なお、同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。また、図面中、上下左右等の位置関係は、特に断らない限り、図面に示す位置関係に基づくものとする。さらに、図面の寸法比率は、図示の比率に限定されるものではない。
【0015】
図1はラップフィルム収納箱を示す概略斜視図であり、図2図1のラップフィルム収納箱を展開した表面を示す展開図である。
【0016】
図1及び図2に示すようにラップフィルム収納箱1は、全体が直方体形状を有し、例えば掩蓋片10、蓋板11、脇掩蓋片12等からなる蓋部13と、前板14、底板15、後板16、脇板17、折返し板18等からなる本体部19と、開封片20とを有している。
【0017】
本体部19には、例えば円筒状の芯体に巻かれたラップフィルムを上面開口部から収容できる。蓋部13の蓋板11は、後板16から前方に延びて本体部19の上面開口部を覆っている。掩蓋片10は、蓋板11から前板14側に延びて前板14の前面を覆っている。折返し板18は、前板14の上端縁に接続され前板14の裏面側に折り返されて前板14の裏面を覆っている。
【0018】
なお、ラップフィルム収納箱1を構成する原紙としては、例えば、ボール紙、コートボール紙、段ボール等が挙げられるが、これらに限定されず、当業界で公知の紙類を適宜選択して用いることができる。原紙は、これらの素材に、エンボス加工、印刷加工、ポリエチレン等を用いたラミネート加工が施されたものであっても構わない。
【0019】
開封片20は、本体部19の前面に位置し、収納箱1の長手方向に沿った帯状に形成されている。開封片20は、掩蓋片10の先端縁に切り取り線21を介して接続されている。開封片20の裏面側は、前板14の後述の複数の接着部30に接着している。この開封片20によって蓋部13が封止されており、図3に示すように開封片20を切り取り線21に沿って切り取ることによって蓋部13を開封できる。
【0020】
掩蓋片10の先端部の裏面側には、収納箱1の長手方向に沿って金属製鋸刃22がカシメ爪でカシメ固定されている。使用時に本体部19から所望量引き出されたラップフィルムは、この金属製鋸刃22により切断される。なお、このラップフィルムの切断具の材質は金属、プラスチック、バルカナイズドファイバー等、切断具の形状は直線状、V状、アーチ状等従来公知のものであれば特に制限はない。また、切断具が配備されている部位は、掩蓋片10の先端縁部、その他前板14の上縁部、底板15と前板14の間の稜線部いずれでも構わない。
【0021】
図2及び図4に示すように前板14の下部には、開封片20が接着する複数の接着部30が長手方向に沿って並べて設けられている。接着部30の表面は、開封片20の裏面に塗布された接着剤により開封片20に接着されている。開封片20に対向する前板14の接着部30以外の部分は、接着剤との剥離性が良好なニスが塗布されており、開封片20の裏面に塗布された接着剤とは仮留め程度の接着力しか示さない。
【0022】
接着部30の周縁部には、図5に示すように例えば円形あるいは楕円形状の切り込み線31と、前板14の接着部30とその周辺部をつなぐつなぎ部32が形成されている。つなぎ部32は、切り込み線31の例えば4か所に均等に形成されている。切り込み線31は、図6に示すように前板14を厚み方向に貫通している。
【0023】
以上のラップフィルム収納箱1を開封する際には、図3に示したように開封片20が一端から切り取り方向Xに沿って切り取られる。この際開封片20のつまみ側が切り取り方向Xに折り返されて引っ張られる。このとき接着部30は、図3及び図7に示すように開封片20による引っ張り力により、前板14から外れ、開封片20の裏面に接着した状態で開封片20と共に切り取られる。前板14の接着部30が抜けた部分には孔50が形成され、当該孔50は、前板14の裏面にある折返し板18によりが塞がれている。
【0024】
本実施の形態によれば、接着部30の周縁部の切り込み線31が前板14を貫通しており、接着部30が開封片20の切り取りにより外れるので、従来のように接着部30や開封片20で層間剥離が起きることがなく、また開封片20が途中でちぎれにくくなるので、開封後もラップフィルム収納箱1の外観品位が維持される。また、開封片20の切り取りが安定してなおかつスムーズに行われるので、使い勝手が良い。さらに、開封片20が切り取られる際には、開封片20自体に応力がかかるが、接着部30が接着している分開封片20の強度が増し、開封片20のちぎれ等を抑制できる。特に、開封時には、開封片20の接着部30に対向する位置が最もちぎれ易くなるが、その部分が開封片20と接着部30の二枚が貼り合わされた状態になるので、強度が向上し、ちぎれにくくなる。また、紙の強度は折れ曲がることで極端に低下するが、このように二枚が貼り合わされているので、折り曲げられなくなり、強度低下が起こらず、開封片20のちぎれが抑制される。
【0025】
また、図11に示したように従来は、接着部に半切れ加工を施し、接着部を層間剥離させて、開封片を切り取っていたが、半切れ加工は、精度が安定しないため、接着部の層間剥離が適切に起きずに開封片側に層間剥離が生じる恐れがあった。このため、その開封片側の層間剥離を止めるため、開封片に半円切れ目103を設ける必要があった。しかしながら、この場合、開封片側の層間剥離の範囲が広くなると、半円切れ目103では食い止めきれず、層間剥離の距離が長くなり開封片がちぎれることがある。また、開封片に半円切れ目103を入れたことで、開封片自体の強度が低下し、さらには半円切れ目103により開封片が細くなった部分が折れやすく、折れることで極端に強度が低下するため、開封片のちぎれを誘発してしまう。本実施の形態では、接着部30に半切れ加工が施されず、切り込み線31が施されるので、従来のような開封片20に半円切れ目103を設ける必要がない。この結果、開封片20自体の強度が増し、開封片20のちぎれが抑制される。
【0026】
また、本実施の形態では、前板14の接着部30の裏面側が折返し板18により覆われているので、接着部30が前板14から外れて孔50が形成されたときも、本体部19の内側が外部に露出することを防止できる。
【0027】
以上の実施の形態における接着部30のつなぎ部32は、開封片20の切り取り方向Xの接着部30の中央を含む、当該中央より切り取り方向X側に設けられていてもよい。例えば図8に示すようにつなぎ部32は、中心線A上の2個所と、中心線Aより切り取り方向Xにずれた2箇所の計4箇所に設けられる。こうすることにより、例えば図9に示すようにつなぎ部32のある中心線Aを支点とするテコの原理でより弱い力で接着部30を取り外すことができる。また、開封片20の切り取り開始側の接着部30の端部に切り取り線31が入っており、つなぎ部32がないため、接着部30の取り外しのきっかけを得やすい。また開封片20の切り取り開始側の接着部30の端部に対向する位置は、最もちぎれやすいが、その位置につなぎ部32がないため、開封片20のちぎれを促進する抵抗がなく、従来技術と比べ開封片20のちぎれが劇的に減少する。この効果は、切り取り開始側の接着部30の端部とつなぎ部32の位置が遠いほど得やすい。また開封片20を、両側から切り取り可能にした場合は、つなぎ部32の位置が中央寄り、好ましくは中央にあると効果が得やすい。なお、つなぎ部32は、中央になく、中央より切り取り方向X側にのみあってもよい。
【0028】
つなぎ部32の距離(つなぎ幅)は、特に限定されないが、1.00mm以下が好ましい。より好ましくは0.75mm以下、さらに好ましくは0.50mm以下である。このような範囲にあれば、開封片の開封時の開封性と流通段階等の封止性のバランスが得られやすい。特につなぎの断面積の影響が出やすいため、紙厚が厚いほど、つなぎ幅は狭いことが好ましい。また、開封性と封止性のバランス調整として、つなぎ部分に精度の得られる程度の半切れ加工を施し、つながっている断面積を狭くしてもよい。つなぎ部32の数は、特に限定されないが、接着部30の1箇所あたり2〜6個が好ましい。開封性と封止性のバランスから、各接着部でつなぎ部32の数を変えてもよい。
【0029】
以上の実施形態における接着部30の数は、特に限定されないが、前板14の下部のニス塗布部に2〜10個の接着部を設けていることが好ましい。こうすることで、流通段階での封止性を十分に確保できる。また、接着部30を複数個所設けることで、各接着部30の接着強度を必要以上に上げる必要がないため、開封片20で開封する際の抵抗を極力抑えることができる。また、接着部30の形状も、特に限定されないが、円形、楕円形、三角形、四角形、偏平化した楕円形、ラップフィルムの収納箱1の幅方向で非対称に偏平化した楕円形、開封片20の切り取り開始側が広い状態に倒した三角形や涙形あるいは開封片20の切り取り開始側を狭い状態に倒した三角形や涙形等でもよい。
【0030】
また、接着部30の接着力は、特に限定されないが、開封片20の接着剤に対しニス塗布をしない方法や、接着剤が接着しやすいニス等を塗布することで接着剤の接着力を高める方法や、あるいは接着部30内に非貫通穴を複数個設けることで接着剤が非貫通穴に浸透し錨効果により接着力を高める方法により得られる。接着の方法としては、特に限定されないが、ホットメルト、コールドグルーといった接着剤を用いる方法や、両面テープのように基材を持つ接着方法であってもよい。両面テープのような基材を持つ接着を用いた場合、開封片20を切り取る際に切り取り方向の誘導につながり、不要部分まで破れることを防ぐことや、基材による開封片20自体の強化、さらには開封片20の裂けの保護により、開封片20のちぎれ抑制効果を高めることができる。また、接着部30の面積は、特に限定されないが、接着部30の1箇所あたり2.0cm2以下が好ましい。より好ましくは、1.5cm2以下、0.3cm2以上である。開封性と封止性のバランスから、各接着部の面積を前記範囲で変えてもよい。このような範囲にあれば、開封片20の開封時の開封性と流通段階等の封止性のバランスが得やすく、さらには外観品位に影響を及ぼしにくい。
【0031】
また、開封片20にエンボス加工を施してもよい。かかる場合、開封片20のちぎれをさらに抑制できる。エンボス加工を、開封片20の開封方向と垂直(縦方向)に入れた場合、開封片20を開封時に開封片20が折れ曲がっても裂けることもなく強度を維持できる。一方、エンボス加工を、開封片20の開封方向と同一方向(横方向)に入れた場合、開封片20の強度が上がり、開封時に開封片20が折れ曲がること自体を防ぎ、折れ曲がることでの強度低下を防ぐ。
【0032】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明はかかる例に限定されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【実施例】
【0033】
以下、実施例及び比較例を挙げて、本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0034】
まず、実施例及び比較例で用いた評価方法について説明する。
[評価方法]
各実施例と比較例のサンプルの開封片の切り取り(剥離)を行った。条件としては、開封片のつまみ位置から切り取り点と、前板とのなす角(開封角度)を90°および180°の2種類とし、切り取り速度は20cm/秒程度のゆっくりとした速度で各々50回実施した。この開封後のサンプルを観察し、下記のような評価を行い、その結果を図10の表1に示した。
(1)各接着部状況比率
A:きれいに剥離/刳り貫き
B:一部残る
C:ほとんど残る/剥がれない
(2)総合評価
◎:非常に良好
○:良好(2割以下の不具合発生)
△:不良(2割以上、5割以下の不具合発生)
×:非常に不良(5割以上の不具合発生)
【0035】
[実施例1]
原紙はコートボール紙(王子板紙(株)社製サンコート(登録商標))の坪量550g/m2を用い、基本設計を旭化成ホームプロダクツ(株)社製サランラップ(登録商標)の銘柄30cm×50mとした。前板には4個の接着部があり、該接着部の形状はそのままで、半切れ線を切り取り線に変更した。また、つなぎ部は、接着部の中央から切り取り方向の左方向2.4mmの位置の2箇所に設けられ、つなぎ幅を0.50mmにした。その長手方向各面を折り曲げて開封片を前板上に接着剤(ヘンケルジャパン(株)社製インスタントロック(登録商標))で貼り付け、その後側面部も接着剤で貼り付けて直方体状のラップフィルム収納箱を組み立てた。
【0036】
[実施例2]
実施例1と同様の設計で、相違はつなぎ部を、接着部の中央から切り取り方向の左方向に3.5mmの位置と中央の4箇所に設け、つなぎ幅を0.50mmとした。
【0037】
[実施例3]
実施例1と同様の設計で、相違はつなぎ部を、接着部の中央から切り取り方向の左方向に2.4mmの位置と、切り取り方向と逆の右方向に2.4mmの位置の4箇所に設け、つなぎ幅を0.50mmとした。
【0038】
[実施例4]
実施例3と同様の設計で、相違はつなぎ幅を0.75mmとした。
【0039】
[比較例1]
コートボール紙(王子板紙(株)社製サンコート(登録商標))の坪量550g/m2を用いた、旭化成ホームプロダクツ(株)社製サランラップ(登録商標)の銘柄30cm×50mを使用した。前板には4個の接着部があり、該接着部は半切れ線によって囲まれている。その長手方向各面を折り曲げて開封片を前板上に接着剤(ヘンケルジャパン(株)社製インスタントロック(登録商標))で貼り付け、その後側面部も接着剤で貼り付けて直方体状のラップフィルム収納箱を組み立てた。
【0040】
実施例1〜3のラップフィルム収納箱では、開封片を切り取る条件によらず、非常に良好な切り取り状態を示した。また、開封後の外観も原紙残りや層間剥離による内層の露出が発生せず、非常に良好であった。実施例4でも、開封片を切り取る条件にはよらず、良好な切り取り状態を示した。しかし、つなぎ幅を広くした影響で、接着部は完全には刳り貫けず、従来のような層間剥離を示すものが多く見られた。一方、比較例1では、開封片を切り取る条件により、切り取り状態は大きく影響を受けた。開封角度が90°では、良好な剥離性を示し、開封後の外観も想定通りの層間剥離となった。一方、開封角度が180°では、極端に切り取り状態が悪く、開封片のちぎれが多発した。
【産業上の利用可能性】
【0041】
以上詳述したとおり、本発明のラップフィルム収納箱は、流通段階での封止性に優れ、かつ消費者の使用時には良好な開封性を示すラップフィルム収納箱として好適に利用できる。
【符号の説明】
【0042】
1 ラップフィルム収納箱
10 掩蓋片
11 蓋板
12 脇掩蓋片
13 蓋部
14 前板
15 底板
16 後板
17 脇板
18 折返し板
19 本体部
20 開封片
21 切り取り線
22 鋸刃
30 接着部
31 切り込み線
32 つなぎ部
X 切り取り方向
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