【実施例1】
【0027】
[1 遊技機全体の概要]
実施例1のパチンコ機を、図面に基づき詳細に説明する。なお実施例において「左」又は「右」とは、パチンコ機の表側(前面側)から見たときの「左」又は「右」を示すものとする。まず本実施形態のパチンコ機の基本的構成を簡単に説明する。
【0028】
実施例1のパチンコ遊技機Pは、
図2に示す様に、外枠A、中枠B、遊技盤1、前枠D、上の球受け皿E、下の球受け皿F及び打球発射装置Gを備えている。外枠Aはパチンコ機Pの外郭を構成する縦長方形の枠である。中枠Bは、各種の遊技用構成部材をセットするための縦長方形の枠であって、外枠Aの前面側に開閉可能かつ着脱可能に組み付けられる。遊技盤1は、中枠(遊技盤取付枠)Bの開口部に取り付けられる。前枠Dは遊技盤1の透視保護窓であって、施錠装置Hの操作によって開閉可能な様に中枠Bの前面側に組み付けられる。上の球受け皿Eは、貸し球や賞球の受け皿で、本実施例においては前枠Dの下部と一体に構成されてる。従って、前枠Dを中枠Bに対して開閉するときに上の球受け皿Eも共に開閉される。下の球受け皿Fは、上の球受け皿Eが一杯になったときに排出される遊技球や打ち損じの遊技球等を受ける受け皿であって、中枠Bの下部に固定されている。打球発射装置Gは、上の球受け皿Eから発射レールに送り込まれた遊技球をハンドル操作に対応する強さで打ち出すための装置であって、中枠Bの右下部に装備される。
【0029】
中枠Bは、上縁をなす上枠部材B1と、下縁をなし打球発射装置G等が設置された下枠部材B2と、左側縁をなす左枠部材B3と、右側縁をなす右枠部材B4とから構成されて、これら上下左右の枠部材B1〜B4を組み付けた際に、全体が外枠Aの開口に整合する矩形枠状に形成される。そして、上下左右の枠部材B1〜B4を組み付けた際に開口する開口部分が、遊技盤1を設置する遊技盤保持部B5として機能する。ここで、中枠Bは、外枠Aの左上端部及び左下端部に設けられた支軸を介して枢支され、左側端部を中心として中枠Bを回転させることで外枠Aに対して中枠Bを開閉し得るようになっている。
【0030】
[2 遊技盤の概要]
本実施例において、遊技盤1はベニヤで構成され、
図3に示す様に、羽根物タイプのセンター役物10を取り囲む様に形成された遊技領域2の下部に取り付けられた始動入賞口31〜33と、左右の装飾体40,50と、下部装飾体60と、障害釘や風車などを備えている。この左右の装飾体40,50には普通入賞口34,35が備えられ、下部装飾体60の左右にに位置する普通入賞口36,37も備えられている。また、センター役物10自体も入賞口として機能する。遊技盤1の裏面には、これら入賞口31〜37及びセンター役物10と連絡して球排出通路113を形成する裏ユニット100が取り付けられている。
【0031】
裏ユニット100は、遊技盤1の内側に収まる縁枠111が前方に突設形成された裏ユニット本体110の前面側に、左右の装飾体40,50及び下部装飾体60の背後に位置するLED基板120,130,140を装着したものとなっている。また、裏ユニット本体110には、センター役物10の背後にあたる部分に後方へ窪んだ収納凹所112が形成されると共に、球排出通路113が設けられている。LED基板120等は、裏ユニット本体110の収納凹所112と縁枠111との間で球排出通路113を避ける位置に取り付けられる。なお、図示の状態は、LED基板120等の前面側に透明な合成樹脂で成形された前面カバーが装着され、基板前面に配置されたLEDが保護された状態を示している。
【0032】
[3 センター役物の概要]
センター役物10は、
図4〜
図7に示す様に、一般入賞領域11aと特別入賞領域11vとを備えた入賞空間11と、この入賞空間11への遊技球の進入口をソレノイド駆動による回動動作によって開閉する開閉部材12a,2bと、入賞空間11の最下部に備えられ、特別入賞領域11vへの受入通路を形成すると共にモータ駆動によって所定の揺動範囲内で左右方向に揺動される樋部材13と、樋部材13の上面よりやや上方に設置された底面形成部材14と、この底面形成部材14の中央に前後方向に伸びる様に設置され、モータ駆動により、傾きを変える傾動動作を実行する傾斜板15とを備えている。
【0033】
底面形成部材14の後端部には上方に上がった段差部14aが形成されている。この段差部14aは中央から左右に下がる屋根状に緩く傾斜し、中央前面には遊技球1個を受け入れることが可能な窪み14bが形成されている。また、傾斜板15の後端付近には、その先端を持ち上げる方向に傾動したときに突出するストッパ15aが備えられている。
【0034】
入賞空間11の中央には人形16が備えられ、人形16の前方で幅方向に伸びる中間床形成部材17も備えられている。中間床形成部材17の左右の端には、後方に向かって遊技球を転動させる様に後下がりに傾斜した転動面を備える前後方向誘導路形成部材18a,18bが備えられ、この前後方向誘導路形成部材18a,18bの後端から転がり出した遊技球を受け止めて中央に向かって転動させる様に、右下がり傾斜の転動面を備えた左奥傾斜路形成部材21が入賞空間11の下部左側最奥部に、左下がり傾斜の転動面を備えた右奥傾斜路形成部材22が入賞空間11の下部右側最奥部に、それぞれ設置されている。また、人形16の背面には、ソレノイド駆動によって回動動作する2枚の振り分け部材19a,19bも設置されている。
【0035】
左奥傾斜路形成部材21及び右奥傾斜路形成部材22は、底面形成部材14の段差部14aに底面を当接させると共に、入賞空間本体を形成する入賞空間ベース部材23の後壁23aに背面を当接させる様にして設置されている。
【0036】
センター役物10は、遊技領域2に備えられた始動入賞口31〜33に遊技球が入賞した場合に開閉部材12a,12bを1回又は2回開放する始動口入賞時制御と、この始動口入賞時制御の実行に伴って入賞空間11内に進入できた遊技球が特別入賞領域11vに入賞した場合に特別遊技制御を開始する入賞装置として機能する。
【0037】
特別遊技制御においては、始動口入賞時制御の際よりも長い開放時間にて、開閉部材12a,12bの開閉を繰り返し、繰り返し回数が18回になるか、この間の入賞球個数が10個となるまでを1ラウンドとする特別遊技が実行される。また、この特別遊技のラウンド数は、始動口入賞時に既に抽選されて決まっており、抽選の結果に対応して、最終ラウンドまでの継続性を高めるためのラウンド継続制御も実行される。
【0038】
ラウンド継続制御では、傾斜板15を、その後端を持ち上げる方向に回動させると共に、振り分け部材19a,19bを前方へ回動させ、中間床形成部材17上の遊技球を、左右の端に向かって誘導し、前後方向誘導路形成部材18a,18bを経由して、左奥傾斜路形成部材21及び右奥傾斜路形成部材22へと誘導し易い状態を形成する。また、樋部材13を傾斜板15の正面にあたる中央において停止した状態とする。
【0039】
この結果、ラウンド継続制御中は、入賞空間11内に進入した遊技球は、中間床形成部材17の上面に当たって後方に転動しつつ振り分け部材19a,19bに沿って左方又は右方に転動し、前後方向誘導路形成部材18a,18bへと導かれる。そして、前後方向誘導路形成部材18a,18bを経由して、左奥傾斜路形成部材21又は右奥傾斜路形成部材22へと誘導され、中央に向かって転動し、段差部14a中央の窪み14bに向かって放出され、傾斜板15の後端側で突出したストッパ部材15aによって邪魔されて窪み14b内に貯留される。なお、貯留される遊技球は1個だけで、その他の遊技球は窪み14bの左右から段差部14aへと転がり出し、底面形成部材14上を前方へと転がって一般入賞領域11aから裏ユニット100の球排出通路113へと排出されていく。
【0040】
そして、特別遊技中の所定のタイミングになると、傾斜板15の先端が下方に向かって傾動され、後端位置に貯留されていた遊技球はストッパ15aの没入動作に伴って傾斜板15へと転がり出し、傾斜板15の上を転がって正面に停止している樋部材13の受入口から特別入賞領域11vへと入賞し、裏ユニット100の球排出通路113へと排出されていく。
【0041】
こうしてラウンド継続制御では、貯留機能を作動させる傾斜板15の後方への傾動動作、貯留し易い状態を形成する振り分け部材19a,19bの前方への回動動作、樋部材13の中央停止動作をどの様なタイミングで開始、解除するかの組み合わせにより、特別遊技ラウンドが継続され易い状態を形成している。
【0042】
なお、樋部材13は、特別遊技状態以外の通常時(始動口入賞時制御を含む)においては、「(イ)中央→左端→中央」「(ロ)中央→右端→中央」の揺動動作を実行し、(イ)(ロ)の動作が切り替わる際に中央で一旦停止する動作を繰り返し実行している。また、この動作は、ギヤとカムの組み合わせにより、モータの正転→停止→逆転→停止→正転→…を切り替えることで実現されている。
【0043】
[4 センター役物の組み立て]
センター役物10の組み立てにおいては、
図8に示す様に、まず、入賞空間本体を形成する入賞空間ベース部材23の後壁23aに背面を当接させると共に、後壁23aに交差して前方へ伸びる様に一体成形されている段差部14aに底面を当接させる様にして、左奥傾斜路形成部材21及び右奥傾斜路形成部材22を取り付ける。
【0044】
次に、中間床形成部材17及び前後方向誘導路形成部材18a,18bが一体成形された入賞空間仕切部材24が入賞空間ベース部材23の前面側に取り付けられる。そして、前面側の飾り部材25、背面側の役物制御基板装着部材26及び底面側のモータ取り付け部材27が組み付けられる。なお、樋部材13、傾斜板15、人形16は、入賞空間仕切部材24を取り付ける前に入賞空間ベース部材23に対して組み付けられる。
【0045】
[5 左奥傾斜路形成部材及び右奥傾斜路形成部材の取り付け」
左奥傾斜路形成部材21は、
図9に示す様に、右下がりの傾斜面21aと、この傾斜面21aの前面に一体に形成される前板21bと、この前板21bの前面に前方へ伸びる様に一体に形成される邪魔板21cとを備えている。また、傾斜面21aの左右端には前板21bと底面を面一とする脚部21d,21eが一体に形成されている。
【0046】
前板21bは、傾斜面21a,及び脚部21d,21eの前面を塞ぐ様に一体形成され、傾斜面21aの右端から遊技球1個分弱の部分は上面が傾斜面21aと面一とされ、それより左側は遊技球が前方へと転がり出せない様にする高さの傾斜面前壁21fを形成する様に構成されている。
【0047】
また、傾斜面21aと右側の脚部21dとが連続する部分は曲面加工されると共に、前方に向かって傾斜する誘導溝部21gが形成されている。さらに、傾斜面21aの下面には、後方に向かって真っ直ぐに伸びる突起21hを後端に備えた位置決め部材21iと、ネジ孔21jが後端から穿設されたネジ止め部材21kが、前板21bの裏面から真っ直ぐ後方に伸びる様に一体形成されている。
【0048】
なお、本実施例では、左奥傾斜路形成部材21の左右方向の全長に対し、右端から約1/3の位置に位置決め部材21iが、右端から約2/3の位置にネジ止め部材21kが位置している。
【0049】
また、前板21b、脚部21d,21eによって形成される底面21mは、六面図中の左右の側面図から分かる様に、後方に向かって切り上げられた平面を構成している。これは、段差部14aが若干前下がりの傾斜面となっているのに対応させたものである。また、傾斜面21a、脚部21d,21eによって形成される背面21nは、垂直面を構成している。これは、入賞空間ベース部材23の後壁23aの前面が垂直面となっているのに対応させたものである。
【0050】
右奥傾斜路形成部材22は、
図10に示す様に、左下がりの傾斜面22aと、この傾斜面22aの前面に一体に形成される前板22bと、この前板22bの前面に前方へ伸びる様に一体に形成される邪魔板22cとを備えている。また、傾斜面22aの左右端には前板22bと底面を面一とする脚部22d,22eが一体に形成されている。
【0051】
前板22bは、傾斜面22a,及び脚部22d,22eの前面を塞ぐ様に一体形成され、傾斜面22aの右端から遊技球1個分弱の部分は上面が傾斜面22aと面一とされ、それより右側は遊技球が前方へと転がり出せない様にする高さの傾斜面前壁22fを形成する様に構成されている。
【0052】
また、傾斜面22aと左側の脚部22dとが連続する部分は曲面加工されると共に、前方に向かって傾斜する誘導溝部22gが形成されている。さらに、傾斜面22aの下面には、後方に向かって真っ直ぐに伸びる突起22hを後端に備えた位置決め部材22iと、ネジ孔22jが後端から穿設されたネジ止め部材22kが、前板22bの裏面から真っ直ぐ後方に伸びる様に一体形成されている。
【0053】
なお、本実施例では、右奥傾斜路形成部材22の左右方向の全長に対し、左端から約1/3の位置に位置決め部材22iが、左端から約2/3の位置にネジ止め部材22kが位置している。
【0054】
また、前板22b、脚部22d,22eによって形成される底面22mは、六面図中の左右の側面図から分かる様に、後方に向かって切り上げられた平面を構成している。これは、段差部14aが若干前下がりの傾斜面となっているのに対応させたものである。また、傾斜面22a、脚部22d,22eによって形成される背面22nは、垂直面を構成している。これは、入賞空間ベース部材23の後壁23aの前面が垂直面となっているのに対応させたものである。
【0055】
図11に示す様に、入賞空間ベース部材23の後壁23aには、左奥傾斜路形成部材21を入賞空間の左側下方最奥部に組み付けるための位置決め孔28a及びネジ挿通孔28bが形成されると共に、右奥傾斜路形成部材22を入賞空間の右側下方最奥部に組み付けるための位置決め孔29a及びネジ挿通孔29bが形成されている。
【0056】
左奥傾斜路形成部材21は、その位置決め部材21iの突起21hを入賞空間ベース部材23側の位置決め孔28aに挿入すると共に、ネジ止め部材21kのネジ孔21jを入賞空間ベース部材23側のネジ挿通孔28bに一致させ、入賞空間ベース部材23の背面側から左ネジで締め上げる様にして組み付けられる。
【0057】
右奥傾斜路形成部材22は、その位置決め部材22iの突起22hを入賞空間ベース部材23側の位置決め孔29aに挿入すると共に、ネジ止め部材22kのネジ孔22jを入賞空間ベース部材23側のネジ挿通孔29bに一致させ、入賞空間ベース部材23の背面側から右ネジで締め上げる様にして組み付けられる。
【0058】
この様に、左奥傾斜路形成部材21は左ネジで、右奥傾斜路形成部材22は右ネジで締め上げることにより、左右奥の各傾斜路形成部材21,22は、その下がった方の端部を下方に回転させる力が加えられつつネジ止めされることになる。この結果、左右奥の各傾斜路形成部材21,22は、それぞれの誘導溝部21g,22gが形成された側の端部がしっかりと段差部14aの上面に当接された状態で組み付けられる。
【0059】
なお、位置決め孔28a,29aと、位置決め部材21i,22iの突起21h,22hとによる位置決めは、遊びを有するものであるから、上述の様に左ネジ、右ネジによる締め上げ方向との関係で、特に、ネジ締め位置が位置決め突起21h,22hの外側にあたることにより、左右奥の各傾斜路形成部材21,22を全体として中央側の端部を下方に回動させようとする力を受けて締め上げられる結果、誘導溝部21g,22gが段差部14aの上面に対して正確な高さに位置する状態となり、遊技球を前方へ転がり出させる条件を設計通りに実現することができる。
【実施例2】
【0060】
次に、実施例2を
図12に基づいて説明する。この実施例は、デジパチタイプの遊技機でセンター役物を構成する大型装飾部材200の下部に遊技球を左右に転動させるステージ210を備えたものである。
【0061】
ステージ210は、中央にトンネル通路211を備えたステージベース部材212と、このステージベース部材212の前面に、トンネル通路211の上面と右端上面を一致させる様に取り付けられる左側ステージ形成部材220と、トンネル通路211の上面と左端上面を一致させる様に取り付けられる右側ステージ形成部材230とから構成されている。
【0062】
左側ステージ形成部材220は、大型装飾部材200の左側に設けられているワープ通路201の出口202側に位置する右下がり転動面221、トンネル通路211側に位置する右上がり転動面222、及びこれらの連接部分に前方へ向かって傾斜した放出部223を備え、全体として下方に湾曲した転動面224と、転動面224の前面に一体成形され、放出部223の左右に前壁225a,225bを形成する前板225とを備えた成形体として構成されている。
【0063】
また、左側ステージ形成部材220の転動面224の背面には、位置決め突起226a,226bが突設されている。なお、
図12では現されていないが、中央寄りの位置決め突起226aの左側にネジ孔部材が前板225の裏面から突設形成されている。
【0064】
右側ステージ形成部材230は、トンネル通路211側に位置する右下がり転動面232、左側ステージ形成部材220と左右対称位置となる位置に形成された前方へ向かって傾斜した放出部233、及び放出部233の右側に連続する右上がり転動面231を備え、全体として下方に湾曲した転動面234と、転動面234の前面に一体成形され、放出部233の左右に前壁235a,235bを形成する前板235とを備えた成形体として構成されている。
【0065】
また、右側ステージ形成部材230の転動面234の背面には、位置決め突起236a,236bが突設されている。さらに、
図12において一部見えているだけであるが、中央寄りの位置決め突起236aの右側にネジ孔部材237が前板235の裏面から突設形成されている。また、
図12には現れていないが、外よりの位置決め突起236bの内側位置にもネジ孔部材が前板235の裏面側に突設形成されている。さらに、右側ステージ形成部材230の右上がり転動面231の端には前板235とも一体となる側壁部238が形成されている。
【0066】
ステージベース部材212の前壁212aには、左側ステージ形成部材220をトンネル通路211の左側に組み付けるための位置決め孔213a,213b及びネジ挿通孔213cが形成されると共に、右側ステージ形成部材230をトンネル通路221の右側に組み付けるための位置決め孔214a,214b及びネジ挿通孔214c,214dが形成されている。
【0067】
左側ステージ形成部材220は、その位置決め突起226a,226bをステージベース部材210側の位置決め孔213a,213bに挿入すると共に、内側の位置決め孔213aの近くのネジ挿通孔213cを介して背面側から1本の左ネジで締め上げる様にして組み付けられる。
【0068】
この様に、左側ステージ形成部材220は左ネジにより、正面視右端側を下方に回動させようとする力を加えつつ締め上げることにより、右上がり転動面222の中央側の上面をステージベース部材210のトンネル通路211の上面とよく一致した状態に組み付けることができる。なお、左側ステージ部材220の放出部223は、この左ネジでの締め上げ位置に近いから、浮き上がることはない。この結果、放出部223も高さ方向に精度よく組み付けられる。
【0069】
右側ステージ形成部材230は、その位置決め突起236a,236bをステージベース部材210側の位置決め孔214a,214bに挿入すると共に、内側の位置決め孔214aの近傍内側のネジ挿通孔214cを介して背面側から右ネジで締め上げると共に、外側の位置決め孔214bの近傍内側のネジ挿通孔214dを介して背面側から2本の右ネジで締め上げる様にして組み付けられる。
【0070】
この様に、右側ステージ形成部材230の中央寄りを右ネジにより、正面視右端側を下方に回動させようとする力を加えつつ締め上げることにより、右下がり転動面232の中央側の上面をステージベース部材210のトンネル通路211の上面とよく一致した状態に組み付けることができる。
【0071】
ここで、右側ステージ形成部材230については、中央から遠い方の端側を左ネジとすることもできる。中央から遠い方の端側は、大きな返し239を備え、遊技球が中央へ向かって転動する動きに影響を与える部分である。従って、2本のネジで組み付ける右側ステージ形成部材230の中央から遠い方の端は右ネジではなく左ネジを用いることにより、返し239の取り付け精度を向上させるのも好ましいものとなる。
【0072】
この場合、右側ステージ部材230の放出部233は、近くを右ネジで締め上げられているから、返し239の取り付け精度を向上させるために左ネジを用いたとしても、大きく浮き上がり難い。従って、実施例2の場合、右側ステージ形成部材230については、2本の右ネジを用いてもよいし、右ネジと左ネジを組み合わせて用いる様にしてもよいといえる。どちらの組み合わせとするかは、ネジの本数とネジ止め位置との関係、及び、返し239の取り付け精度と放出部233の取り付け精度のどちらを重視すべきかによって選択し得る。3本のネジを用いるならば、中央寄りから、右ネジ、右ネジ、左ネジという組み合わせにするのがよいであろう。
【0073】
この実施例2では、実施例1とは異なり、ステージ形成部材220,230の底面を何らかの基準となる面に当接させるものではないが、左ネジ、右ネジの使い分けにより、元々遊びを有する位置決め孔213a,213b,214a,214bと位置決め突起226a,226b,236a,236bとの上下方向当接状態を設計通りとなる様にして転動面を構成する部品を精度よく組み付けるものとなっている。なお、この実施例2は、本発明との対応における遊技球の放出位置は、トンネル通路111の上面と高さを一致させる方の端となっている。
【0074】
以上、発明を実施するための実施例を説明したが、本発明は、これらに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲内における種々の変更が可能である。
【0075】
例えば、羽根物タイプと呼ばれる遊技機、デジパチタイプと呼ばれる遊技機に限らず、権利物と呼ばれるタイプの遊技機はもちろん、抽選機能を有しない普通機と呼ばれるタイプの遊技機にも適用できることはもちろんである。
【0076】
また、実施例1,2は、役物装置として、遊技領域の中央にセンター役物を備えた遊技機に基づいて説明したが、役物装置が遊技領域の中央ではなく、上下あるいは左右にずれた位置に存在する遊技機や、複数の役物装置を遊技領域に備える遊技機であっても、役物装置内において遊技球の転動面を有するスロープ等の遊技部品を備えるものであれば本発明を適用して組み付け精度を高めることができることはもちろんである。
【0077】
また、役物装置は、開閉部材として、左右方向に開閉動作するものに限らず、前後方向あるいは上下方向に開閉するものを備えていても構わない。さらに、本発明のネジ止め方法を採用する対象も、左右方向に遊技球を転動させる転動面を有する遊技部品に限らず、前後方向に遊技部品を転動させる転動面を有する遊技部品であって構わない。取り付け精度の向上による遊技球の転動動作を安定させる作用・効果は同様に発揮されるからである。
【0078】
さらに、実施例1の遊技機は、役物装置内における特別入賞領域への入賞で特別遊技(大当たり)を生起するタイプの遊技機であったが、役物装置内の特別入賞領域へ入賞することで図柄抽選を生起させるタイプの遊技機や、確率変動,時短と呼ばれる大当たり終了後の遊技特典の抽選契機を与える特別入賞領域を備えた役物装置など、入賞によって何らかの特典を与える特別入賞領域を備えた役物装置内の転動面を構成する遊技部品の取り付けにおいて、本発明を適用することで精度向上を図ることができるのはもちろんである。
【0079】
加えて、遊技部品のネジ止め方向が下側からであって遊技部品の転動面における遊技球放出位置の奥行き方向の取り付け精度が重要な場合には、本発明を適用して、下からネジ止めする際のネジを、遊技部品の取り付け条件との関係から、右ネジではなく左ネジを用いる様にするときにも、本発明が適用できる。
【0080】
また、遊技盤に転動面形成部材を直接取り付ける場合にも本発明を適用することができる。その場合、遊技盤の前面又は背面がベース部材側当接面となる。