(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5837900
(24)【登録日】2015年11月13日
(45)【発行日】2015年12月24日
(54)【発明の名称】熱伝達回路への油戻り率を改善する方法
(51)【国際特許分類】
F25B 1/00 20060101AFI20151203BHJP
C10M 105/38 20060101ALI20151203BHJP
C10M 107/34 20060101ALI20151203BHJP
C10M 101/02 20060101ALI20151203BHJP
C10M 105/06 20060101ALI20151203BHJP
C10M 107/02 20060101ALI20151203BHJP
C09K 5/04 20060101ALI20151203BHJP
C10N 30/06 20060101ALN20151203BHJP
C10N 40/30 20060101ALN20151203BHJP
【FI】
F25B1/00 396A
C10M105/38
C10M107/34
C10M101/02
C10M105/06
C10M107/02
C09K5/04
C10N30:06
C10N40:30
【請求項の数】9
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2013-107752(P2013-107752)
(22)【出願日】2013年5月22日
(62)【分割の表示】特願2011-503144(P2011-503144)の分割
【原出願日】2009年4月1日
(65)【公開番号】特開2013-210184(P2013-210184A)
(43)【公開日】2013年10月10日
【審査請求日】2013年5月22日
(31)【優先権主張番号】61/041,474
(32)【優先日】2008年4月1日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/043,486
(32)【優先日】2008年4月9日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500575824
【氏名又は名称】ハネウェル・インターナショナル・インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100140109
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 新次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100075270
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 泰
(74)【代理人】
【識別番号】100101373
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 茂雄
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100120754
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 豊治
(72)【発明者】
【氏名】トーマス,レイモンド・エイチ
(72)【発明者】
【氏名】シートン,クリストファー・ジェイ
(72)【発明者】
【氏名】ウィルソン,デーヴィッド・ピー
(72)【発明者】
【氏名】ヤナ モッタ,サミュエル・エフ
(72)【発明者】
【氏名】スパッツ,マーク・ダブリュー
【審査官】
横溝 顕範
(56)【参考文献】
【文献】
国際公開第2008/006866(WO,A1)
【文献】
特表2005−531671(JP,A)
【文献】
特表2006−512426(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25B 1/00
C09K 5/04
C10M 101/02
C10M 105/06
C10M 105/38
C10M 107/02
C10M 107/34
C10N 30/06
C10N 40/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
蒸気圧縮システムへの油戻り率を改善する方法であって、冷媒に富む部分及び潤滑剤に富む部分を含む組成物を前記蒸気圧縮システムを通して循環させる工程を含み、ここで、これら部分の密度の間の相対的差異は20%未満であり、蒸気圧縮システムの低運転温度において冷媒に富む部分及び潤滑剤に富む部分は非混和性であり、冷媒に富む部分及び潤滑剤に富む部分の内の一方はより高密度であり、蒸気圧縮システムの高運転温度において冷媒に富む部分及び潤滑剤に富む部分は非混和性であり、冷媒に富む部分及び潤滑剤に富む部分の内の他方はより高密度である、方法。
【請求項2】
前記低運転温度において冷媒に富む部分は潤滑剤に富む部分よりも高密度であり、前記高運転温度において潤滑剤に富む部分は冷媒に富む部分よりも高密度である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記冷媒に富む部分は少なくとも1種類のC2〜C5フルオロアルケンを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記フルオロアルケンが、シス−1,3,3,3−テトラフルオロプロペン;トランス−1,3,3,3−テトラフルオロプロペン;1,1,1,2−テトラフルオロプロペン;1,1,1−トリフルオロ−3−クロロ−2−プロペン;3,3,3−トリフルオロプロペン;及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記潤滑剤に富む部分は、ポリオールエステル、ポリアルキレングリコール、ポリアルキレングリコールエステル、鉱油、アルキルベンゼン、ポリ−α−オレフィン、及びアルキル化ナフタレンの内の少なくとも1種類からなる群から選ばれる潤滑剤を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記高運転温度が+30℃〜+75℃である、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記低運転温度が−40℃〜+25℃の間である、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記組成物が、60〜90重量%の冷媒に富む部分及び10〜40重量%の潤滑剤に富む部分を含み、ここで重量%は前記組成物の全重量に対するものである、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記組成物が、超高圧耐摩耗添加剤、酸化及び熱安定性改良剤、流動点及びフロック点降下剤、消泡剤、フルオロオレフィン中に可溶な潤滑剤、界面活性剤、相溶化剤、及び可溶化剤の1種以上をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヒートポンプにおいて用いる潤滑剤を選択する方法に関する。より詳しくは、本発明は、圧縮機タイプのヒートポンプにおいて用いるための潤滑剤とヒドロフルオロオレフィン冷媒との組み合わせを選択するために用いる方法に関する。
【背景技術】
【0002】
圧縮タイプの冷却装置(例えば、ヒートポンプ、空調機、冷却機など)においてクロロフルオロカーボン(CFC)及びヒドロクロロフルオロカーボン(HCFC)のような塩素含有冷媒を用いることは、これらの冷媒が装置から漏れたり又はそれ以外の形態で排出されると地球のオゾン層に損傷を与える可能性があるので嫌われている。したがって、塩素含有冷媒を、ヒドロフルオロアルカン(HFC)又はヒドロフルオロオレフィン(HFO)のようなオゾン層を激減させない非塩素含有冷媒化合物に置き換えることによって塩素含有冷却システムを改造することが望ましい。これらの中で、HFOは通常は非常に低い地球温暖化係数(GWP)を有するものとみなされているのでより望ましい。
【0003】
好ましくは、これらの代替冷媒は、従来の圧縮タイプの冷却装置の潤滑剤と相溶性(例えば混和性)である。かかる相溶性によって、潤滑剤をより容易に冷媒と共にシステム全体を通して流動させることができ、これによりシステムの効率性及び期待寿命が増加する。相溶性に欠けると、冷媒及び潤滑剤が異なる相中に分離する可能性がある。冷却機を運転している間に冷媒と潤滑剤との間で相分離が起こると、装置の寿命及び効率性に重大な影響がある。例えば、冷媒と潤滑油との相分離が圧縮機内で起こると、稼働部品の潤滑が不適切になり、焼き付き又は他の故障が引き起こされ、それにより装置の寿命が大幅に短縮される。相分離が蒸発機内で起こると、高い粘度を有する潤滑油が現れ、それにより熱交換効率が減少する。残念なことに、HFC及びHFOなどの多くの非塩素含有冷媒流体は、例えば鉱油、アルキルベンゼン、又はポリ−α−オレフィンなどの従来の潤滑剤中に比較的不溶性及び/又は非混和性である。冷却液−潤滑剤の組み合わせが、圧縮冷却、空調、又はヒートポンプシステム内で効率的に作動するためには、潤滑剤は、好ましくは広範囲の運転温度にわたって冷媒と相溶性である。
【0004】
一般に、圧縮タイプの冷却装置は、圧縮機、凝縮器、膨張バルブ、及び蒸発器から構成されており、冷媒及び潤滑油の混合物が閉止系内を循環する機構を有する。かかる圧縮タイプの冷却装置においては、装置の種類によって定まるが、一般に圧縮機内の温度は約50℃又はそれ以上に上昇し、一方、冷却機においては温度は約−40℃に達する。したがって、冷媒及び潤滑油は、通常は約−40〜+50℃の範囲で相分離を起こさずにこの系内を循環させなければならない(例えば、米国特許5,536,881号(参照により本明細書中に援用する)を参照)。
【0005】
したがって、圧縮タイプの冷却装置のための潤滑剤の選択には、潤滑剤の所望の冷媒との混和性の分析を含めなければならない。混和性を達成することにより、非混和性の油を捕捉してそれを圧縮機に戻して所望のレベルの潤滑を維持するために圧縮機の直後に配置することができる油分離機の必要性が減少する。良好な潤滑を維持することにより、熱交換器表面の付着物及び圧縮機の焼き付きなどの低い油の循環に関係する問題が減少する。しかしながら、上述したように、多くの望ましいHFC及びHFO冷媒は、室温において従来の潤滑剤中に非混和性である。HFOと潤滑剤との種々の混合物が公知である(例えば、米国特許出願公開2004/00898号(参照によりその全てを本明細書中に援用する)を参照)が、HFC及び特にHFO冷媒と相溶性である潤滑剤を選択する方法に関する必要性が未だ存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許5,536,881号
【特許文献2】米国特許出願公開2004/00898号
【発明の概要】
【0007】
驚くべきことに、圧縮タイプの冷却装置において用いる特定の冷媒/潤滑剤の組み合わせが、冷媒と潤滑剤との間の混和性に欠けているにもかかわらず油の循環の問題を引き起こさなかったことが見出された。例えば、特定のHFO冷媒及び特定の潤滑剤を含む流体系は、冷媒と潤滑剤とが、装置の高運転温度において且つ低運転温度においても2つの相を形成するにもかかわらず、圧縮タイプの冷却装置の運転中に混和タイプの特性を示すことが見出された。
【0008】
ここで用いる「高運転温度」という用語は、通常の装置の運転中の凝縮器の出口における冷媒の温度を意味し、一般に約+30℃〜約+75℃、好ましくは約+40℃〜約+50℃の間である。「低運転温度」という用語は、通常の装置の運転中の膨張バルブの出口における冷媒の温度を意味し、一般に約−40℃〜約+25℃の間である。幾つかの好ましい態様、特に装置が冷却装置である態様においては、低運転温度は−40〜−5℃の範囲である。幾つかの他の好ましい態様、特に装置が冷却機又はヒートポンプである態様においては、低運転温度は約−20〜+5℃の範囲である。幾つかの他の好ましい態様、特に装置が空調機である態様においては、低運転温度は約0〜+15℃の範囲である。
【0009】
ここで用いる「相」という用語は、実質的に化学的に均一で物理的に別個の流体系の組成領域を意味する。相の寸法は、微視的、又はより好ましくは巨視的であってよい。
「潤滑剤」という用語は、2つの移動する表面の間に配置された際に表面間の摩擦を減少させて、それによって効率性を向上させ摩耗を減少させる傾向を有する物質を意味する。潤滑剤は、場合によっては装置内の異物粒子を溶解及び/又は移送する機能を有していてもよい。
【0010】
「冷媒」という用語は、通常の圧縮タイプの冷却装置において気体から液体への相変化及びその逆を起こして熱を雰囲気へ又は雰囲気から有効に伝達する1種類以上の化合物を
意味する。
【0011】
「潤滑剤に富む相」という用語は、冷媒に対して大部分(則ち、約50重量%より多く、100重量%より少ない)の潤滑剤を含む流体系中の相を意味する。幾つかの態様においては、潤滑剤に富む相は、冷媒に対して約10〜約90重量%、より好ましくは約25〜約70重量%、更により好ましくは約40〜約60重量%の潤滑剤を含む。
【0012】
「冷媒に富む相」という用語は、潤滑剤に対して大部分(則ち、約50重量%より多く、100重量%より少ない)の冷媒、好ましくは潤滑剤に対して少なくとも約75重量%乃至100重量%未満の冷媒、より好ましくは潤滑剤に対して少なくとも約90乃至約98重量%の冷媒を含む流体系中の相を意味する。
【0013】
冷媒に富む相と潤滑剤に富む相を含む流体系に関しては、それぞれの相の密度が温度の変化に対して逆に変化すると、則ち1つの温度において第2の相と比べてより高密度である第1の相が異なる温度において第2の相と比較してより低密度になるように変化すると、相の逆転が起こる。より詳しくは、比較的低い温度においては、冷媒に富む相は潤滑剤に富む相と比べてより高密度であり、したがって流体系の底部に沈降する。温度が上昇すると、潤滑剤に富む相はより重質になり、底部に沈下する。この相の逆転によって、流体
系において観察される混和タイプの特性が生起すると考えられる。したがって圧縮機への潤滑剤の循環が改良される。
【0014】
したがって、本発明の一形態は、(a)蒸気圧縮冷却装置の低運転温度範囲を定め;(b)蒸気圧縮冷却装置の高運転温度範囲を定め;(c)第1の濃度の少なくとも1種類のC
2〜C
5フルオロアルケンを含む冷媒を選択し、第2の濃度の少なくとも1種類のポリオールエステル、ポリアルキレングリコール、又はポリアルキレングリコールエステルを含む潤滑剤を選択して、かかる低運転温度範囲内の第1の温度及びかかる高運転温度範囲内の第2の温度において冷媒に富む相及び潤滑剤に富む相を有する流体系を形成し、但しかかる第2の温度はかかる第1の温度よりも高く、ここで、冷媒に富む相はかかる第1の温度において潤滑剤に富む相と比べてより高密度であり、潤滑剤に富む相はかかる第2の温度において冷媒に富む相と比べてより高密度であり、但し2つの相の間の密度の相対的差異は、かかる第1の温度において20%未満、かかる第2の温度において20%未満である;
工程を含む、蒸気圧縮冷却装置システムのための冷媒及び潤滑剤を選択する方法である。
【0015】
本発明の他の形態においては、(a)熱伝達回路、入口側及び出口側を有する圧縮機、並びに冷媒及び潤滑剤貯留槽を含む蒸気圧縮冷却装置を与え、ここでかかる貯留槽は圧縮機の入口側及びかかる熱伝達回路と流体連絡しており、かかる熱伝達回路はかかる圧縮機の出口側と流体連絡しており;(b)蒸気圧縮冷却装置の低運転温度範囲を定め;(c)蒸気圧縮冷却装置の高運転温度範囲を定め;(d)第1の濃度の少なくとも1種類のC
2〜C
5フルオロアルケンを含む冷媒を選択し、第2の濃度の少なくとも1種類のポリオールエステル又はポリアルキレングリコールを含む潤滑剤を選択して、かかる低運転温度範囲内の第1の温度及びかかる高運転温度範囲内の第2の温度において冷媒に富む相及び潤滑剤に富む相を有する流体系を形成し、但しかかる第2の温度はかかる第1の温度よりも高く、ここで、冷媒に富む相はかかる第1の温度において潤滑剤に富む相と比べてより高密度であり、潤滑剤に富む相はかかる第2の温度において冷媒に富む相と比べてより高密度であり;(e)かかる冷媒及び潤滑剤を蒸気圧縮冷却装置中に導入する;工程を含む、冷媒及び潤滑剤を蒸気圧縮冷却装置システム中に導入する方法が提供される。
【0016】
本発明の更に他の形態においては、(a)熱伝達回路、入口側及び出口側を有する圧縮機、並びに冷媒及び潤滑剤貯留槽を含む蒸気圧縮冷却装置を与え、ここでかかる貯留槽は圧縮機の入口側及びかかる熱伝達回路と流体連絡しており、かかる熱伝達回路はかかる圧縮機の出口側と流体連絡しており;(b)蒸気圧縮冷却装置の低運転温度範囲を定め;(c)蒸気圧縮冷却装置の高運転温度範囲を定め;(d)第1の濃度の少なくとも1種類のC
2〜C
5フルオロアルケンを含む冷媒を選択し、第2の濃度の少なくとも1種類のポリオールエステル又はポリアルキレングリコールを含む潤滑剤を選択して、かかる低運転温度範囲内の第1の温度及びかかる高運転温度範囲内の第2の温度において冷媒に富む相及び潤滑剤に富む相を有する流体系を形成し、但しかかる第2の温度はかかる第1の温度よりも高く、ここで、冷媒に富む相はかかる第1の温度において潤滑剤に富む相と比べてより高密度であり、潤滑剤に富む相はかかる第2の温度において冷媒に富む相と比べてより高密度であり(e)かかる冷媒及び潤滑剤をかかる第1の温度において蒸気圧縮冷却装置中に導入し;そして(f)かかる蒸気圧縮冷却装置をかかる潤滑剤で潤滑し、ここでかかる潤滑は蒸気圧縮冷却装置の温度を上昇させて冷媒及び潤滑剤に富む相の逆転を生じさせることを含む;工程を含む、蒸気圧縮冷却装置システムを潤滑する方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】
図1は、HFO−1234yfを有するポリアルキレングリコール潤滑剤ND8オイルの密度のグラフを示す。
【
図2】
図2は、HFO−1234yfを有するポリアルキレングリコール潤滑剤Idemitsu PAG46PSの密度のグラフを示す。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の好ましい態様は、組み合わせると混和タイプの特性を有する流体系を形成するフルオロアルケン冷媒及び潤滑剤を選択することを包含する。かかる流体系は蒸気圧縮冷却装置の運転において有用である。
【0019】
有用な冷媒は、好ましくは少なくとも1種類のC
2〜C
5フルオロアルケン、より好ましくはC
3〜C
4フルオロアルケンを含む。好ましいフルオロアルケンは、式:XCF
zR
3−z(式中、Xは置換又は非置換のビニル又はアリル基であり、Rは独立して、Cl、Br、I、又はHであり、zは1〜3、好ましくは3である)を有するものである。特に好ましいフルオロアルカンとしては、トリフルオロプロペン、テトラフルオロプロペン、及びペンタフルオロプロペンが挙げられる。これらの化合物の好ましい異性体の例としては、シス−1,3,3,3−テトラフルオロプロペン;トランス−1,3,3,3−テトラフルオロプロペン;1,1,1,2−テトラフルオロプロペン;1,1,1−トリフルオロ−3−クロロ−2−プロペン;及び3,3,3−トリフルオロプロペン;が挙げられる。冷媒としては、これらの化合物の1つ又はそれらの幾つかの組み合わせを挙げることができる。
【0020】
有用な潤滑剤としては、ポリオールエステル及びポリアルキレングリコールが挙げられる。本発明において用いるのに好適なポリアルキレングリコール潤滑剤は、通常は約5〜50の、1〜5個の炭素原子を有するオキシアルキレン繰り返し単位を含む。ポリアルキレングリコールは、直鎖又は分岐であってよく、ホモポリマー、或いは2つ、3つ、又はそれ以上のオキシエチレン、オキシプロピレン、オキシブチレン、又はオキシペンチレン基のコポリマー、或いは任意の割合のこれらの組み合わせであってよい。好ましいポリアルキレングリコールは少なくとも50%のオキシプロピレン基を含む。本発明による組成物には、潤滑剤として1種類以上のポリアルキレングリコール、潤滑剤として1種類以上のポリアルキレングリコールエステル、潤滑剤として1種類以上のポリオールエステル、又は1種類以上のポリアルキレングリコール、1種類以上のポリアルキレングリコールエステル、及び1種類以上のポリオールエステルの混合物を含ませることができる。ビニルエーテルも本発明において有用である。
【0021】
有用なポリアルキレングリコールは、米国特許4,971,712;4,948,525;及び5,254,280;並びに4,755,316(これらの印刷された明細書は参照として本明細書中に包含する)に記載されている。好適なポリアルキレングリコールとしては、それぞれの端部がヒドロキシル基で末端停止されているグリコールが挙げられるが、他の好適な潤滑剤としては、いずれか又は両方の末端ヒドロキシル基がキャップされているポリアルキレングリコールが挙げられる。ヒドロキシル基は、1〜10個の炭素原子を含むアルキル基、窒素のようなヘテロ原子を含む炭素原子数1〜10のアルキル基、米国特許4,975,212(その印刷された明細書は参照として本明細書中に包含する)によって記載されているフルオロアルキル基でキャップすることができる。両方のポリアルキレングリコールヒドロキシル基を末端キャップする場合には、同じタイプの末端キャップ基又は2つの異なるタイプの末端キャップ基の組み合わせを用いることができる。また、いずれか又は両方のヒドロキシル基は、米国特許5,008,028(この明細書も参照として本明細書中に包含する)によって開示されているようにカルボン酸とのエステルを形成することによってキャップすることもできる。
【0022】
また、カルボン酸はフッ素化することもできる。ポリアルキレングリコールの両方の端部をキャップする場合には、いずれか又は両方の端部をエステルでキャップすることができ、或いは、一方の端部をエステルでキャップし、他方をキャップしないか又は上記で言
及したアルキル、ヘテロアルキル、又はフルオロアルキル基の1つでキャップすることができる。
【0023】
商業的に入手できるポリアルキレングリコール潤滑剤としては、General MotorsからのGoodwrench Refrigeration Oil、及びアセチル基によってビスキャップされているポリアルキレングリコールであるDaimler-ChryslerからのMOPAR-56が挙げられる。また、広範囲のポリアルキレングリコール潤滑剤がDow Chemical又はShrieve Chemical Productsから
も入手可能である。商業的に入手できるポリオールエステルとしては、Exxon-Mobilから
入手できるMobil EAL Arctic 22CC、及びCPI Engineering Services, Inc.から入手でき
るSolest 120が挙げられる。
【0024】
好ましいポリオールエステルは、式(I)又は(II):
RO(R
1O)
nC(O)R
2 (式I)
R
3(O)C(O)R
2 (式II)
(式中、Rは少なくとも2個の炭素原子を有するヒドロカルビル基であり;
R
1はヒドロカルビレン基であり;
R
2は、H、ヒドロカルビル、−CF
3、−R
4CN、−R
4NO
2、又はR
5OCH(R
6)−であり;
R
3は、−R
4CF
3、−R
4CN、又は−R
4NO
2基であり、但しR
2が−R
4CNである場合にはR
3はヒドロカルビル基であってもよく;
nは1〜約50の整数であり;
R
4はヒドロカルビレン基であり;
R
5は、H、低級ヒドロカルビル基、又はR
7C(O)−(ここで、R
7はヒドロカルビル基である)であり;
R
6は、H、又は低級ヒドロカルビル基である)
にしたがう構造を有する。
【0025】
これらは米国特許5,008,028号(その印刷された明細書は参照により本明細書中に援用する)においてより完全に記載されている。好ましくは、フルオロアルケン及び潤滑剤は実質的に互いに非混和性である。
【0026】
本発明の潤滑剤は、通常は約25℃〜約50℃の温度において測定して約0.7g/cm
3〜約1.2g/cm
3、好ましくは約0.9g/cm
3〜約1g/cm
3、より好ましくは約0.95g/cm
3〜約1g/cm
3の範囲の密度を有する。
【0027】
本発明のフルオロアルケンは、通常は約25℃〜約50℃の温度において測定して約0.8g/cm
3〜約1.4g/cm
3、好ましくは約0.99g/cm
3〜約1.09g/cm
3、より好ましくは約1.04g/cm
3〜約1.19g/cm
3の範囲の密度を有する。
【0028】
通常の自動車冷却システムにおいては、フルオロアルケンは、冷媒及び潤滑剤の充填量の合計重量を基準として約60〜約90重量%、好ましくは約65〜約80重量%の量で存在させることができる。
【0029】
通常の自動車冷却システムにおいては、潤滑剤は、冷媒及び潤滑剤の充填量の合計重量を基準として約10〜約40重量%、好ましくは約20〜約35重量%の量で存在させることができる。
【0030】
通常の固定冷却システムにおいては、フルオロアルケンは、冷媒及び潤滑剤の充填量の合計重量を基準として約70〜約99重量%、好ましくは約80〜約85重量%の量で存
在させることができる。
【0031】
通常の固定冷却システムにおいては、潤滑剤は、冷媒及び潤滑剤の充填量の合計重量を基準として約1〜約30重量%、好ましくは約15〜約20重量%の量で存在させることができる。
【0032】
好ましい態様においては、本発明の冷媒−潤滑剤混合組成物は、約37℃において約1〜約1000センチストークス、より好ましくは約37℃において約2〜約200センチストークスの範囲、更により好ましくは約37℃において約4〜約40センチストークスの粘度を有していてよい。
【0033】
HFO冷媒及び潤滑剤に加えて、本発明の組成物には、冷却、空調、及びヒートポンプ組成物においてそれらの特性を向上させるために用いられるタイプの他の添加剤又は材料を含ませることができる。例えば、組成物には、超高圧耐摩耗添加剤、酸化及び熱安定性改良剤、流動点及びフロック点降下剤、消泡剤、HFO中に可溶及び不溶の他の潤滑剤などを含ませることもできる。かかる添加剤の例は米国特許5,254,280(その印刷された明細書は参照として本明細書中に包含する)において開示されている。
【0034】
したがって、本発明の組成物には、HFOと混和性又は可溶性ではないが、ポリアルキレングリコール、ポリアルキレングリコールエステル、又はポリオールエステルと組み合わせてHFOに加えると少なくとも部分的に混和性又は部分的に可溶性である、一定量の鉱油、アルキルベンゼン、ポリ−α−オレフィン、又はアルキル化ナフタレン潤滑剤、或いはそれらの組み合わせを更に含ませることができる。通常は、これは約5〜20重量%以下の量であるが、幾つかの態様においては90重量%以下の範囲であってもよい。また、米国特許6,516,837(その開示は参照として本明細書中に包含する)において開示されているように、界面活性剤を加えて、鉱油をポリアルキレングリコール、ポリアルキレングリコールエステル、又はポリオールエステル、並びにHFOと相溶化することもできる。
【0035】
本発明の組成物には、組成物の特定の官能性を向上させるか又は組成物に特定の官能性を与える目的で、或いは幾つかの場合においては組成物のコストを低減するために他の成分を含ませることができる。例えば、本組成物には、潤滑剤の相溶性及び/又は可溶性を促進させる目的でプロパンのような相溶化剤を含ませることもできる。プロパン、ブタン、及びペンタンのようなかかる相溶化剤は、好ましくは組成物の重量の約0.5〜約5重量%の量で存在させる。米国特許6,516,837号(その開示は参照により本明細書中に援用する)によって開示されているように、安定剤及び可溶化剤の組み合わせを本組成物に加えて油溶性を促進させることもできる。
【0036】
本発明の組成物には、場合によっては、0〜約30重量%の量のアルキルベンゼン又は炭化水素ベースの潤滑剤を含ませることができる。
フルオロアルケン及び潤滑剤は、好ましくは視覚的か又は屈折計法による方法のいずれかによって測定することができる別個の界面を有する2以上の別個の相を有する非混和性の組成物を形成する。それぞれの相の密度が他のものと近接しているならば、流体は圧縮タイプの冷却装置内で容易に循環状態に保持することができる。好ましくは、この組成物は冷媒に富む相及び1以上の潤滑剤に富む相を有し、冷媒に富む相と潤滑剤に富む相との間の密度の相違は、約20%以下、好ましくは約10%以下、より好ましくは約5%以下である。
【0037】
「相逆転温度」より低い温度においては潤滑剤に富む相が冷媒に富む相の上に存在し、「相逆転温度」より高い温度においては冷媒に富む相が潤滑剤に富む相の上に存在する。
特定の組成物において、1つの相が頂部に存在する状態から他の相が頂部に存在する状態へ転じる温度が相逆転温度である。通常は相逆転温度より低い温度に関しては、潤滑剤の大部分は、循環が開始される前には冷媒に富む相の上に浮遊している。相逆転温度付近の温度に関しては、全ての流速において安定なエマルジョンが形成され、一旦形成されると平衡相の分離時間は非常に長く、完全な分離のためには数時間のオーダーである。相逆転温度よりも高い温度に関しては、潤滑剤に富む相が貯留槽の底部に存在し、流動が開始されると安定なエマルジョンが形成される。排出配管が底部に配置されている容器又は部品に関しては、相逆転温度よりも高い温度において、充填組成物よりも高い循環速度によって、潤滑剤に富む相の凝集物が貯留槽の底部に沈降することが示され、ここで再び排出されて循環される。このエマルジョン及び相逆転温度の挙動により、圧縮タイプの冷却装置の信頼性のある運転が可能になる。則ち、この組成物は、冷媒に富む相が潤滑剤に富む相の上に位置するか、或いは潤滑剤に富む相が冷媒に富む相の上に位置する形態であり、冷媒に富む相と潤滑剤に富む相の位置が互いに対して位置を逆転させる温度が存在する。かかる相逆転温度は、約−15℃〜約75℃、好ましくは約10℃〜約60℃、より好ましくは約20℃〜約50℃の範囲であってよい。
【0038】
本発明の冷却組成物を、圧縮冷却、空調、又はヒートポンプシステムに導入するための任意の広範囲の方法を、本発明において用いることができる。例えば、1つの方法は、冷媒容器を冷却システムの低圧側に接続し、冷却システムの圧縮機を始動させて冷却組成物をシステム中に引き入れることを含む。かかる態様においては、冷媒容器は、システムに導入される冷却組成物の量を監視することができるようなスケールで配置することができる。所望量の冷却組成物がシステム中に導入されたら、充填を停止する。或いは、当業者に公知の広範囲の充填器具を商業的に入手することができる。したがって、上記の開示を考慮すれば、当業者であれば、過度の実験を行うことなく、HFO冷媒及び本発明の冷却組成物を、圧縮冷却、空調、及びヒートポンプシステム中に容易に導入することができるであろう。
【実施例】
【0039】
実施例1:
潤滑剤としてPAG RL897、及び冷媒としてHFO−1234yfを用いて、生成熱交換
器、ライン、及び圧縮機を用いる完全な自動車空調システムを用いる熱量測定特性試験システムを運転した。オイル循環の問題はなかった。これは、冷媒/オイル混合物の驚くべきエマルジョン様の挙動のためであった。これは、密度の逆転によって示されるように、部分的に密度の類似性によるものであった。
【0040】
実施例2:
Idemitsu PAG 46PS/HFO−1234yf混合物に関して、種々の温度において循環
組成物と比較したループの充填物濃度を調べるように循環ループを構成した。装置は、大きな貯留槽の底部からゆっくりと排出し、液体を貯留槽の頂部にポンプ移送して戻すように構成した。ポンプ移送速度は5〜60g/秒の伝統的な自動車システムの冷媒流速に調節し、大きな貯留槽を用いて悪いケースの高圧側液体受容器をシミュレートした。結果を表1に示す。相逆転温度(34℃)よりも低い温度に関しては、循環を開始する前は潤滑剤に富む相が冷媒に富む相の上に浮遊していた。15g/秒よりも大きな流れに関しては、貯留槽内の乱流は安定なエマルジョンを生成するのに十分に高く、循環濃度は充填濃度と同等であった。一方、低い流れに関しても、循環流は未だ非常に大きな割合の充填潤滑剤を含んでいて、静的平衡分離濃度は約4%であったが、少量の潤滑剤に富む相が表面に未だ存在していた。相逆転温度付近の温度に関しては、全ての流速において安定なエマルジョンが形成され、一旦形成されると、静的平衡分離時間は非常に長く、数時間のオーダーであった。相逆転温度よりも高い温度に関しては、貯留槽の底部に潤滑剤に富む相が存在し、流動が始まると、安定なエマルジョンが形成された。充填組成物よりも高い循環速
度によって、潤滑剤に富む相の凝集物が貯留槽の底部に沈降することが示され、ここで再び排出して循環し(これは実験装置の設定を示す)、これに対して運転しているヒートポンプ、空調機、又は冷却システムにおいては、高圧液体受容器中に移動するオイルが排出配管を通って排出され、容器又はマニホールドを閉塞しなかった。
【0041】
【表1】
【0042】
相の逆転及び非混和性は、ポリオールエステル潤滑剤でも、ポリアルキレン潤滑剤とほぼ同等の温度において測定された。アルキルベンゼン、鉱油、ポリ−α−オレフィン、及びアルキル化ナフタレンは、70℃よりも高い相逆転温度を有しており、このため、空調、固定型ヒートポンプ、及び冷却装置におけるそれらの適用が限定されるが、これらの混合物は高温ヒートポンプ用途における用途を有する可能性があった。アルキルベンゼン、鉱油、ポリ−α−オレフィン、及びアルキル化ナフタレンのような炭化水素潤滑剤とポリオールエステルとの混合物は、POE−炭化水素潤滑剤の配合比によってPOE−HFO混合物及び炭化水素潤滑剤−HFO混合物の間の相逆転温度を有していた。
【0043】
実施例3:
図1及び2は、一定濃度のHFO−1234yfと2種類の異なるポリアルキレングリコール潤滑剤であるそれぞれDenso ND8オイル及びIdemitsu PAG 46PSとの密度を示す。ND8オイル及び46PS潤滑剤は同様のタイプの分類及び粘度のグレードであるが、最終潤滑剤生成物を構成するための基分子が異なる。一定の重量%のHFO−1234yfと潤滑剤とを混合し、0℃〜150℃の温度範囲にわたって混合物の液体密度を測定することによって、密度曲線を実験的に求めた。これを、純粋な潤滑剤から50%のHFO−1234yfまで変化するそれぞれの潤滑剤−冷媒比に関して繰り返した。50%の冷媒−潤滑剤ブレンドにおいては両方の潤滑剤に関して、液体溶液は非混和性になり、フルオロアルケンに富む相とフルオロアルケンに乏しい相に分離した。この濃度及び50%フルオロアルケンよりも大きい濃度に関しては、この混合物は、加熱によってフルオロアルケンに富む相がフルオロアルケンに乏しい相よりも軽質になる密度相逆転を示した。この相逆転はDenso ND8オイルに関しては約35℃において起こり、一方、Idemitsu PAG 46PS潤滑剤は約25℃及び35℃(これは冷媒に乏しい相の濃度が変化するにつれて僅かに変化した)からの密度逆転温度を示した。
【0044】
理論実施例4〜18:
以下の冷媒−オイル混合物を用いて実施例3の手順を繰り返し、許容できる結果が得られる。
【0045】
実施例4:シス−1,3,3,3−テトラフルオロプロペン/PAG
実施例5:トランス−1,3,3,3−テトラフルオロプロペン/PAG
実施例6:1,1,1,2−テトラフルオロプロペン/PAG
実施例7:1,1,1−トリフルオロ−3−クロロ−2−プロペン/PAG
実施例8:3,3,3−トリフルオロプロペン/PAG
実施例9:シス−1,3,3,3−テトラフルオロプロペン/PEG
実施例10:トランス−1,3,3,3−テトラフルオロプロペン/PEG
実施例11:1,1,1,2−テトラフルオロプロペン/PEG
実施例12:1,1,1−トリフルオロ−3−クロロ−2−プロペン/PEG
実施例13:3,3,3−トリフルオロプロペン/PEG
実施例14:シス−1,3,3,3−テトラフルオロプロペン/POE
実施例15:トランス−1,3,3,3−テトラフルオロプロペン/POE
実施例16:1,1,1,2−テトラフルオロプロペン/POE
実施例17:1,1,1−トリフルオロ−3−クロロ−2−プロペン/POE
実施例18:3,3,3−トリフルオロプロペン/POE
好ましい態様を参照して本発明を特に示し記載したが、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく種々の変更及び修正を行うことができることは当業者には容易に認められるであろう。特許請求の範囲は、開示された態様、上記で議論したそれらの代替物、並びにそれらに対する全ての均等物をカバーするように解釈すると意図される。
本発明は以下の態様を含む。
[1]
熱伝達回路への油戻り率を改善する方法であって、冷媒に富む部分及び潤滑剤に富む部分を含む組成物を前記熱伝達回路を通して循環させる工程を含み、ここで、これら部分の密度の間の相対的差異は20%未満であり、前記組成物の相逆転温度より低い温度において冷媒に富む部分及び潤滑剤に富む部分は非混和性であり、冷媒に富む部分及び潤滑剤に富む部分の内の一方はより高密度であり、前記組成物の相逆転温度より高い温度において冷媒に富む部分及び潤滑剤に富む部分は非混和性であり、冷媒に富む部分及び潤滑剤に富む部分の内の他方はより高密度である、方法。
[2]
前記相逆転温度より低い温度において冷媒に富む部分は潤滑剤に富む部分よりも高密度であり、前記相逆転温度より高い温度において潤滑剤に富む部分は冷媒に富む部分よりも高密度である、[1]に記載の方法。
[3]
前記冷媒に富む部分は少なくとも1種類のC2〜C5フルオロアルケンを含む、[1]に記載の方法。
[4]
前記フルオロアルケンが、シス−1,3,3,3−テトラフルオロプロペン;トランス−1,3,3,3−テトラフルオロプロペン;1,1,1,2−テトラフルオロプロペン;1,1,1−トリフルオロ−3−クロロ−2−プロペン;3,3,3−トリフルオロプロペン;及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、[3]に記載の方法。
[5]
前記潤滑剤に富む部分は、ポリオールエステル、ポリアルキレングリコール、ポリアルキレングリコールエステル、鉱油、アルキルベンゼン、ポリ−α−オレフィン、及びアルキル化ナフタレンの内の少なくとも1種類からなる群から選ばれる潤滑剤を含む、[1]に記載の方法。
[6]
前記相逆転温度より高い温度が約+30℃〜約+75℃である、[1]に記載の方法。
[7]
前記相逆転温度より低い温度が約−40℃〜約+25℃の間である、[1]に記載の方法。
[8]
前記組成物が、約60〜約90重量%の冷媒に富む部分及び約10〜約40重量%の潤滑剤に富む部分を含み、ここで重量%は前記組成物の全重量に対するものである、[1]に記載の方法。
[9]
前記組成物が、超高圧耐摩耗添加剤、酸化及び熱安定性改良剤、流動点及びフロック点降下剤、消泡剤、フルオロオレフィン中に可溶な潤滑剤、界面活性剤、相溶化剤、及び可溶化剤の1種以上をさらに含む、[1]に記載の方法。